【実施例】
【0044】
(材料)
<支持体>
−その2つの主面をサンダー仕上げされたアルミニウム支持体(算術平均粗さRaの測定値が4〜6μmである);
−平滑な、脱脂のみを行ったアルミニウム支持体。
【0045】
<充填剤>
−GRACE DAVISON社によって商標名LUDOX AM 30で商品化されたコロイダルシリカ:表面の比表面積が約220m
2/gであり、30%乾物を含む水性分散物の形態で存在し、粒子のサイズが50nmと推定される、無修飾コロイダルシリカである;
−固形形態において比表面積が約150m
2/gであり、粒子のサイズが14nmと推定される、EVONIK社によって商標名AEROSIL 150で商品化された熱分解法シリカ;
−モノマー:ABCRによって商品化されている名前でHFPO(純度が97%);
−塩化ビニリデン(VDF);
−ポリエチレングリコール;
−HUNTSMAN社によって商標名Jeffamine(登録商標)1000で商品化されているポリエチレングリコールアミン;
−SPECIFIC POLYMERS社によって商品化されている式CH
3−O−(CH
2CH
2O)
9−(CH
2)
3−Si(OEt)
3のメトキシ−PEG−トリエトキシシランオリゴマー。
【0046】
<顔料>
−商品名Iriodin 153およびIriodin 225でMERCK社によって商品化された顔料フレーク(雲母および酸化チタン):
【0047】
(試験)
シリカ系充填剤を含むPTFE分散物の安定性の評価
シリカ充填剤(本発明によるコロイダルシリカまたはシリカナノ充填剤)を含むPTFE系スプレーを噴霧することによって塗布される下塗剤配合物の粘性の安定性を、DIN EN ISO 2433/ASTM D5125規格に基づき、BYK−Gardnerカップによって評価することからなる:
・噴霧によって塗布され、および較正された直径のオリフィスにおける周囲温度での液体の乾燥流動時間(粘性に相当する)の測定のための、下塗剤のための2.5カップの使用
・下塗剤の配合直後の周囲温度での乾燥流動時間の測定による粘性の変化の追跡、および、それに引き続く周囲温度での長期にわたるこの粘性の変化の追跡;
・下塗剤の配合および配合した下塗剤の40℃での乾燥直後の周囲温度での乾燥流動時間の測定による粘性の変化の追跡;
・次いで、周囲温度で測定した、粘性による流動時間の変化の追跡。
【0048】
耐摩耗性の評価
サンダー仕上げをしたアルミニウム基材上の焦げつき防止コーティングの耐摩耗性を評価した。
【0049】
AFNOR NF D21−511 セクション3.3.7規格にしたがって実施されるこの試験は:
・一方では、SCOTCH BRITE(登録商標)タイプの緑色の研磨パッドをかけることによって、下塗層の引掻耐性を評価することからなり、引掻耐性は、最初の引掻マーク(支持体構成金属の出現に対応する)を作るのに必要とされるパッドの通過回数によって定量的に推定され;かつ
・他方では、試験の間中、下塗層の焦げつき防止特性の減少を評価することからなり、後者は、下塗層の焦げつき防止特性が減少するまでに実施したサイクル数によって定量的に推定され(NF D 21−511規格によって、試験で炭化したミルクを用いる):後者は、炭化したミルクの洗浄の実際の容易性によって測定される。評価は以下の通りである:
100:炭化したミルクの膜が、キッチンの蛇口からの噴射水を単にかけることによって完全に除去されることを表す;
50:炭化した膜を完全に剥がすために、対象に噴射水をかけながら円運動を実施しなければならないことを表す;
25:膜を完全に除去するために、10分間の浸漬が必要であり、場合によっては、濡れたスポンジでふき取ることによって除去を強制的に行なうことを表す;
0:これまでのプロセスの後、炭化した膜の全てまたは一部が付着したままであることを表す。
【0050】
平滑なアルミニウム基材上の焦げつき防止コーティングの密着性の評価
この試験は、ISO 2409規格にしたがうグリッドパターンによって実施し、続いて製品を9時間浸漬する(熱湯中3時間を3サイクル)。
【0051】
次いで、チェックを実施して、焦げつき防止コーティングが剥離を示すか否かを調べる。評価以下の通りである:
・100の記録を得るためには、剥がれる区画があってはならない(優秀な密着性);
・剥がれた場合には、評価値は、100から剥がれた区画の数を引いた数に等しい。
【0052】
平滑なアルミニウム基材上の下塗層の耐食性の評価
アルミニウム基材上に堆積させた焦げつき防止コーティングの耐食性は、腐食する金属基材への塩の拡散に対するコーティングの耐性を評価することによって評価する。この評価は、実際に、沸騰させた食塩水中に下塗層で被覆した基材を20時間浸漬することによって実施する。この食塩水は、塩化ナトリウムを重量で10%含む。この試験のプロトコルは、AFNOR NF D21−511 セクション3.3.5規格で定義されているものである。
【0053】
各浸漬に続いて、(肉眼による目視観察、または双眼拡大鏡を用いた目視観察によって)腐食の痕跡の有無に印をつけることからなる、コーティングの最終的な外観の目視検査を実施する。実際には、範囲が拡大したブリスター、コーティングの下の白い痕跡などの可能性のある痕跡の存在を検出することからなる。この観察に続いて、ISO 2409規格にしたがう碁盤目試験を行う。
【0054】
(比較例1A(コロイダルシリカを含む))
以下の材料を含む下塗基剤組成物CPC1Aを達成し、組成物1000gに対するそれらのそれぞれの量をgで示す:
【0055】
【表1】
【0056】
(比較例1B(熱分解法シリカを含む))
以下の材料を含む下塗基剤組成物CPC1Bを達成し、組成物1000gに対するそれらのそれぞれの量をgで示す:
【0057】
【表2】
【0058】
以下の化合物を含む仕上組成物CF1(無色およびシリカを含まない)をさらに達成し、組成物1000gに対するそれらのそれぞれの量をgで示す:
【0059】
【表3】
【0060】
アルミニウム基材の一方の面は、典型的には、以下の手順によって被覆される(実施すべき試験によってサンダー仕上げまたは平滑仕上げのいずれかにする):
−CPC1AまたはCPC1B組成物の仕上層を、この内面に噴霧する;
−次に、このようにして形成した湿潤状態の下塗層を、粘着性がなくなるまで約65%の温度で乾燥させる;
−次に、仕上組成物CF1を下塗剤層に噴霧する;
−乾燥後、420℃+/−10℃のオーダーの温度で組立品を焼結させる。
【0061】
コロイダルシリカが下塗層に含まれている焦げつき防止コーティングで被覆した基材が得られる。このようにして得た部品は、次に本明細書の既述の一連の試験にかける。
【0062】
これらの異なる試験後に得られた結果を、以下の結果の第1表にまとめた。
【0063】
(比較例2)
コロイダルシリカを、HFPOオリゴマーからなる疎水性鎖を含む熱分解法シリカ(CPC1B組成物)と置き換えることを除いて、CPC1A組成物と同一である下塗組成物を実現することを試みる。
【0064】
シリカへのヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)のグラフト化を、ヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)オリゴマーの加水分解−縮合によって実施する。
【0065】
第1に、以下のように、ヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)を開環させることによってアニオン付加重合を実施する:
−重合は、メカニカルスターラー、破裂板、バルブおよび圧力計を取り付けたハステロイ反応器100mL(HC−276)中で実施する;
−真空下に50〜70℃で1時間、アルゴン下において反応器を加熱した後(典型的には、3サイクルの真空/アルゴンを実施する)、アルゴン流下でKFを加える。次いで反応器を閉め、次いで不活性雰囲気下で1時間加熱し、次いでテトラグリムおよびC
4F
5H
5を真空で導入する;
−液体試薬を導入する場合、その二重エンベロープを用いメタノール冷却剤で反応器を冷却する;
−気体形態のHFPOを二重計量法によって加える;
−次にオートクレーブを外部浴に接続し、10℃まで加熱する(加熱前、反応器の温度は−20℃であった);
−2〜3時間の終了時点で、メタノール15〜20mLを加えることによって重合を停止する;
−末端基は、30℃で1時間以内にエステル化される;
−反応器を開けた後、過剰なテトラグリムを可溶化させるために回収した生成物を水で洗浄する;
−次に滴下漏斗を使用して水相を分離し、ロータリーエバポレーターによって溶媒(有機相中)を蒸発させる。得られた生成物は無色で粘性がある。
【0066】
定量値は以下の通りである:反応器に、0.41g(7.1mmol)のKF、2.9mL(13.2mmol)のテトラグリム、および10mLのC
4F
5H
5を入れる。次いでヘキサフルオロプロペンオキシド45g(0.27mol)を反応器に移送する。温度が0℃に近づく際に重合が開始され、2時間後にメタノール15mLを加えることによって重合を停止させる。テトラグリム、メタノールおよび触媒を除去するためにポリマーを蒸留水で3回洗浄する。ロータリーエバポレーターを使用して40〜50℃で溶媒を蒸発させる。この場合、収率は56%、分子量は、NMRで1290g/molおよびCPVで1207である。
【0067】
第2に、アルコキシシランを伴うヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)のオリゴマーを熱分解法シリカの表面で加水分解−縮合(シリカ表面へのグラフト化のため)を実施する;
【0068】
定量値は以下の通りである:あらかじめ200℃で2時間にわたって真空乾燥させた熱分解法シリカ1.0gを、水/エタノール溶液(10/90、100mL)に分散させる。次いでこの分散物を激しく撹拌しながら15分間アルゴン下におく。
【0069】
次に、官能基化されたオリゴ(HFPO)アミド(プロピル)トリメトキシシラン(HFPO
x−Si(OEt)
3)2.6g(1.7mmol)を、そこに加える。混合物を80℃で24時間にわたって還流させ、次いでろ過し、蒸留水で数回洗浄する。得られた白色紛体(SiO
2−SiO
y−HFPO
x)を、恒量に達するまで80℃で4時間にわたって真空乾燥させる。
【0070】
この方法により、接触角が130°の疎水性シリカを調製することが可能である。
【0071】
この場合、このグラフト化したシリカをPTFEをベースとする分散物(コロイダルシリカをこの修飾したシリカと置き換えたと仮定するCPC1A型分散物)に導入できず、配合物は沈殿し、安定な分散物の形態の実現ができない。
【0072】
(実施例1)
コロイダルシリカを、HFPOオリゴマーおよびポリエチレングリコール(PEG)オリゴマーから構成される二重コーティングを含む本発明によるシリカナノ充填剤と置き換えることを除いて、CPC1組成物と同一である下塗組成物を実現することを試みる。
【0073】
Si(OEt)
3によって官能基化されたVDFオリゴマーおよびSi(OEt)
3によって官能基化されたPEGオリゴマーから構成される「二本鎖」による熱分解法シリカのグラフト化を、加水分解−縮合によって実施する。目的は、相溶性を増大させ、それによってPTFEコーティング中のコロイダルシリカ分散物を増大させることにある。
【0074】
VDFオリゴマーの合成
Specific Polymersから提供を受けた式CH3−O−(CH2CH2O)9−(CH2)3−Si(OEt)3のメトキシ−PEG−トリエトキシシランおよび熱分解法シリカ(EVONIK製のAEROSIL 150)の使用
【0075】
(実施例1A) 方法A(
図2に例示)によって熱分解法シリカへの二本鎖のグラフト化が達成される
【0076】
第1の工程において以下の条件でシリカをフッ素化鎖で修飾する:あらかじめ200℃で2時間にわたって真空乾燥させたシリカ3.0gを、水/エタノール溶液(10−90、150mL)に分散させる。次いで、この分散物を激しく撹拌しながら15分間アルゴン下におく。次に、1.26g(1.8mmol)の官能基化オリゴ(HFPO)アミド(プロピル)トリエトキシシラン(HFPO
3−Si(OEt)
3)をそこに加える。混合物を80℃で24時間にわたって還流させ、次いでろ過し、蒸留水で数回洗浄する。得られた白色紛体(SiO
2−SiO
y−HFPO
3)を、80℃で4時間にわたって真空乾燥させる。次に、同じ合成法を使用することによって、1g(1.8mmol)のPEG
9−Si(OEt)
3をシリカの表面でグラフトした。同様に、白色紛体を回収する(PEG
9−SiO
y−SiO
2−SiO
y−HFPO
x)x=3;
【0077】
HFPO/PEG比は、PEG
5−SiO
y−SiO
2−SiO
y−HFPO
3が以下の比率になるようなものである:
[SiO
2]
0:[HFPO]
0:[PEG]
0:100:5:5
【0078】
この割合を最適化する:比較例2に比較して、シリカの疎水性を低下させることができる。
【0079】
この場合、接触角が86°±2である:これによって、水相中でのこのシリカの利用を検討することが具体的に可能になる。
【0080】
(実施例1B) 方法B(
図2に例示)によって熱分解法シリカへの二本鎖のグラフトが達成される
【0081】
方法は、これまでのものと同様であり、唯一の相違は、1.00gのシリカを修飾するための、0.08g(0.114mmol)のHFPO
3−Si(OEt)
3、および0.58g(1.06mmol)のPEG
5−Si(OEt)
3の2種類の鎖の同時付加に関するものである。得られた白色粉末(PEG
5−SiO
y−SiO
2−SiO
y−HFPO
3)を、80℃で4時間にわたって真空乾燥させる。
【0082】
次に、以下の量、置換1/1/pで、CPC1Bの熱分解法シリカをこの二重グラフトされたシリカ(実施例1Aまたは1Bによる)に置き換えることによって、本発明による第1の下塗組成物C1が達成される。
【0083】
次に、典型的には、アルミニウム基材の一方の面を、組成物C1、次いで仕上組成物CF1(比較例1で使用したものと同一)によって被覆する。
【0084】
焦げつき防止コーティングで被覆した基材が得られ、その二重グラフトシリカは下塗層に含まれている。このようにして得た部品を、次に本明細書の前述の一連の試験にかける。
【0085】
これらの異なる試験後に得られた結果を、以下の結果の第1表にまとめた。
【0086】
(実施例2)
この実施例は、CPC1B型の配合物に加えたシリカの割合の低下によって実施例1と異なり、実施例1に記載されたシリカの量が熱分解法シリカに関して2/1/pの比である。
【0087】
これらの異なる試験後に得られた結果を、以下の結果の第1表にまとめた。
【0088】
(実施例3)
コロイダルシリカを、VDFオリゴマーおよびエチレングリコールオリゴマー(PEG)から構成される二重コーティングを含む本発明によるシリカナノ充填剤と置き換えることを除いて、組成物CPC1と同一である下塗組成物を実現することを試みる。
【0089】
熱分解法シリカ上へのVDF−Si(OEt)
3およびオリゴ(PEG)から構成される「二本鎖」のグラフト化を、加水分解−縮合によって実施する。
【0090】
目的は、相溶性を増大させ、それによってPTFEコーティング中のコロイドシリカの分散物を増大させることにある。
【0091】
VDFオリゴマーの合成
VDF(塩化ビニリデン)のオリゴマー化は、圧力計、ハステロイのメカニカルアンカー、破裂板(3000PSI)、およびガス導入口および放出弁を取り付けたハステロイオートクレーブ(HC 276)160mLによって達成される。電子システムが、オートクレーブ内の撹拌と温度の両方の調節および制御を可能にした。
【0092】
漏れがないことを検査するために、反応の前に、オートクレーブを窒素で30バールに加圧する。
【0093】
次に、痕跡量の酸素を除去するために、種々の真空のサイクル(10
−2mbar)/窒素に基づいてオートクレーブをコンディショニングする。
【0094】
次に、(漏斗によって)連鎖移動反応を生じない極性タイプの適切な溶媒に溶解させた液体および固体試薬を、オートクレーブに真空下で導入する:
−開始剤としてのジ−tert−ブチルペルオキシジカーボネート2.00g(すなわち0.005mol)、たとえばAKZO NOBEL社によってPerkadox(登録商標)16Sの名前で商品化された製品、
−移動剤としてのC
6F
13I 3.34g(または0.0074mol)、
−アセトニトリル(溶媒)80mL。
【0095】
次いで、反応器を冷却し、真空下に置いてから、二重計量法(すなわちVDFの導入前および後のオートクレーブの質量の差による)によって、反応器中に真空下でガス状塩化ビニリデン(VDF)20.2g(すなわち0.316モル)を移動させる。
【0096】
反応器は、以下の温度、40℃(約10分)、50℃(約20分)、最後に60℃(4時間)の温度まで段階的に徐々に加熱する。60℃では、圧力は19バールであり、その後この温度で4時間加熱した後に1バールまで低下する。
【0097】
これらの4時間にわたる60℃での加熱の後、反応器を停止し、次いで冷却する。約60分間氷中に浸漬し、脱ガスし、開ける。茶色の液体混合物が得られる。
【0098】
溶媒(ここではアセトニトリル)の蒸発後、残留物をアセトン中に溶解させ、次いでこのように生成したオリゴマーをメタノール中に沈殿させる。それらをろ過し、乾燥させ、次いで重さを量る:粉末形態のオリゴマーが得られるが、ろ液(より少ない分子量のテロマーを含有する)を蒸発させ、次いで乾燥させる。
【0099】
これら2つの画分は:
(1)より高い分子量に相当する黄色粉末(オリゴマー)13.2g、および
(2)茶色の蝋状物(低分子量のテロマー)16.6g
から構成されている。
【0100】
これら2つの画分は、
19Fおよび
1HのNMR分光法によって特徴づけられる:
1H NMR(アセトン−d
6、ppm)δ:3.75(−CF
2CF
2CH
2I、2H);3.50(−CH
2CF
2I、2H);3.30(−CF
2−CF
2CH
2−CF
2CH
2−CF
2−、2H);2.80(−[CH
2−CF
2]
nI、2nH);逆ダイアドVDF−VDF 尾−尾に帰属される2.4ppmにシグナルなし
【0101】
19F NMR(アセトン−d
6、ppm)δ:−39(−CH
2CF
2I、2F);−82(C
F3CF
2−、3F);−92(−[CF
2CH
2]
n、2nF);正常な付加 頭−尾;−109(−CF
2−C
F2−CH
2−I、2F);−112(−CF
2−CF
2−(CF
2)
x−C
F2−CH
2−) VDF−VDFダイアドにおける尾−尾 逆付加に帰属される−113および−116ppmでシグナルなし;−122〜−124(CF
3−CF
2−(CF
2)
x−CF
2、2F);−126(CF
3−C
F2−、2F)。
【0102】
VDFオリゴマーの官能基化
冷却器および窒素導入口を備えた三つ口フラスコに:0.053g(すなわち0.00032mol)のtert−ブチル−ペルオキシピバレート、1.125g(すなわち0.0057モル)のビニルトリエトキシシラン、10.02g(すなわち0.0029モル)の前述のオリゴマー、および20mLの乾燥アセトニトリルを連続的に導入する。
【0103】
反応性混合物を74℃で4時間にわたって加熱する。冷却後、トリエトキシシランで修飾されたVDFオリゴマーを乾燥ペンタン中で沈殿させ、ろ過し、次いで乾燥させた。
【0104】
1Hおよび
19FのNMRスペクトルは、VDF単位および末端CH
2CHISi(OEt)
3の特徴的なシグナルを示す:
【0105】
1H NMR(アセトン−d
6、ppm)3.75(−CF
2CF
2C
H2I)および3.50(−C
H2CF
2I、2H)でシグナルが消失;4.5ppmに中心がある多重ピークの存在がCHIに帰属され、3.8ppmおよび1.2ppmに四重線および三重線(それぞれOCH
2およびCH
3に帰属される)が存在する;3.30(−CF
2−CF
2C
H2−CF
2C
H2−CF
2−、2H);2.80(−[C
H2−CF
2]
nおよびCHIC
H2VDF)のシグナルが存在。
【0106】
19F NMR(アセトン−d
6、ppm) −39(−CH
2CF
2I基に帰属される、2F)のシグナルが消失;−82(C
F3CF
2−、3F);−92(−[CF
2CH
2]
n、2nF);−112(−CF
2−CF
2−(CF
2)
x−CF
2−CH
2−)で基が存在;−122〜−124(CF
3−CF
2−(C
F2)
x−CF
2、2F);−126(CF
3−C
F2−、2F)にシグナルが存在。
【0107】
Specific Polymersから提供を受けた式CH3−O−(CH2CH2O)9−(CH2)3−Si(OEt)3のメトキシ−PEG−トリエトキシシランおよび熱分解法シリカ:EVONIK製のAEROSIL 150の使用
【0108】
(実施例3A) 方法A(
図2に例示)によって熱分解法シリカへの二本鎖のグラフトが達成される。
【0109】
第1の工程において、以下の条件でシリカをフッ素化鎖によって修飾する:あらかじめ200℃で2時間にわたって真空乾燥させたシリカ3.0gを、水/エタノール(10/90、150mL)の溶液に分散させる。
【0110】
次いで、この分散物を激しく撹拌しながら15分間アルゴン下におく。次にアミド(プロピル)トリエトキシシラン(HFPO
3−Si(OEt)
3)で官能基化された(VDF)オリゴマー1.26g(1.8mmol)をそこに加える。
【0111】
混合物を80℃で24時間にわたって還流させ、次いでろ過し、蒸留水で数回洗浄する。得られた白色紛体(SiO
2−SiO
y−VDF
x)を、80℃で4時間にわたって真空乾燥させる。次に、同じ合成法を使用することによって、1g(1.8mmol)のPEG
9−Si(OEt)
3)をシリカの表面にグラフトする。同様に、白色紛体を回収する(PEG
9−SiO
y−SiO
2−SiO
y−VDF
x)x=3;
【0112】
VDF/PEG比は、PEG
5−SiO
y−SiO
2−SiO
y−VDF
3が:
[SiO
2]
0:[VDF]
0:[PEG]
0:100:5:5
の比率になるようなものである。
【0113】
この割合を最適化する:比較例2に比較して、シリカの疎水性を低下させることができる。
【0114】
この場合、接触角が86°±2である:これによって、水相中でのこのシリカの利用を検討することが具体的に可能になる。
【0115】
(実施例3B) 方法B(
図2に例示)によって熱分解法シリカへの二本鎖のグラフトが実施される
【0116】
方法は、これまでのものと同様であり、唯一の相違は、1.00gのシリカを修飾するための、0.08g(0.114mmol)のPVDF−Si(OEt)
3および0.58g(1.06mmol)のPEG
5−Si(OEt)
32種類の鎖の同時付加に関するものである。得られた白色粉末(PEG
5−SiO
y−SiO
2−SiO
y−HFPO
3)を、80℃で4時間にわたって真空乾燥させる。
【0117】
次に、以下の量、置換1/1/pで、CPC1Bの熱分解法シリカをこの二重グラフトされたシリカ(実施例3Aまたは3Bによる)に置き換えることによって、本発明による下塗組成物C3が達成される。
【0118】
次に、典型的には、アルミニウム基材の一方の面を、組成物C1、次いで仕上組成物CF1(比較例1で使用したものと同一)によって被覆する。
【0119】
焦げつき防止コーティングで被覆した基材が得られ、その二重グラフトシリカは下塗層に含まれている。このようにして得た部品は、次に本明細書の前述の一連の試験にかける。
【0120】
これらの異なる試験後に得られた結果を、以下の結果の第1表にまとめた。
【0121】
(実施例4)
【0122】
この実施例は、ナノ粒子のサイズの増大に関して実施例IAと異なる。ここでは、ナノ粒子のサイズは、1200nmのオーダーである
【0123】
これらの異なる試験後に得られた結果を、以下の結果の第1表にまとめた。
【0124】
【表4】