特許第5931913号(P5931913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5931913硬質ポリウレタンフォームの改善された低温スキン硬化のためのポリオール配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931913
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】硬質ポリウレタンフォームの改善された低温スキン硬化のためのポリオール配合物
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/66 20060101AFI20160526BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20160526BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20160526BHJP
【FI】
   C08G63/66
   C08G18/42 A
   C08G101:00
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-546207(P2013-546207)
(86)(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公表番号】特表2014-502651(P2014-502651A)
(43)【公表日】2014年2月3日
(86)【国際出願番号】US2011064628
(87)【国際公開番号】WO2012087667
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年10月9日
(31)【優先権主張番号】61/425,351
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】レックスロード,エリック,エム.
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,デイビッド,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ウ−スン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルファー,ミハイル,ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジメネス,ジョージ
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−273526(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/142399(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/015642(WO,A1)
【文献】 特開昭60−130620(JP,A)
【文献】 米国特許第04469824(US,A)
【文献】 特表2011−529997(JP,A)
【文献】 特表2012−529542(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0129966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G63/00−64/42
C08G18/00−18/87
C08G71/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのポリエチレングリコールと、
D)グリセリン
の反応生成物から本質的になり
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセント、D)が5〜20重量パーセントで存在する、芳香族ポリエステルポリオール。
【請求項2】
硬質フォームの製造のためのポリオール混合物であって、
ポリエステルポリオールである第1のポリオールであって
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのポリエチレングリコールと、
D)グリセリン
の反応生成物から本質的になり
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセント、D)が5〜20重量パーセントで存在する、第1のポリオールと、
2)官能基数が2〜8であり、分子量が100〜2,000であるポリエーテルポリオールである、第2のポリオールとを含み、
前記第1から第2のポリオールは、ポリオール混合物の重量パーセントで、第1のポリオールが20〜90重量パーセント、第2のポリオールが10〜80重量パーセントで存在する、ポリオール混合物。
【請求項3】
複合エレメントであって、
i)下部外装と、
ii)硬質フォーム製品であって、
(1)イソシアネートと、
(2)ポリオール混合物であって、
ポリエステルポリオールである第1のポリオールであり
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのポリエチレングリコールと、
D)グリセリン
の反応生成物から本質的になり
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセント、D)が5〜20重量パーセントで存在する、第1のポリオールと、
官能基数が2〜8であり、分子量が100〜2,000であるポリエーテルポリオールである、第2のポリオールとを含み、
前記第1から第2のポリオールは、ポリオール混合物の重量パーセントで、第1のポリオールが20〜90重量パーセント、第2のポリオールが10〜80重量パーセントで存在する、ポリオール混合物と
の反応生成物を含む、硬質フォーム製品と、
iii)上部外装と
を含む、複合エレメント。
【請求項4】
B)は数平均分子量が500未満である、請求項3に記載の複合エレメント。
【請求項5】
前記芳香族成分および前記ポリエチレングリコールは、それぞれ、ポリエステルポリオールに35〜45重量パーセントの量で添加される、請求項3または4に記載の複合エレメント。
【請求項6】
イソシアネートインデックスが80〜200である、請求項5に記載の複合エレメント。
【請求項7】
前記硬質フォームの密度が16〜64kg/mである、請求項5または6に記載の複合エレメント。
【請求項8】
(i)および(iii)に付着する前記硬質フォーム(ii)を、前記イソシアネートおよびポリオール混合物を25℃〜50℃の温度で反応させることによって、(i)と(iii)との間に調製する、請求項3からのいずれか一項に記載の複合エレメントを調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ポリウレタンフォームの調製に有用なある種のポリエステルポリオールを含むポリオール配合物に関する。そのようなフォームは、サンドイッチパネル等の複合エレメントの製造に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、クッション材(マットレス、枕、および座席クッション等)から包装材、断熱材まで、そして医療用途にわたる、幅広い種類の用途に使用される。ポリウレタンは、ポリマーを形成するために使用される原材料を選択することによって、特定の用途に合わせることができる。硬質なタイプのポリウレタンフォームは、器具の断熱フォームとして、および他の断熱用途に使用される。
【0003】
触媒やおそらくは他の材料の存在下でポリオールをポリイソシアネートと反応させることによるポリウレタンの調製において、ポリオールを使用することはよく知られている。芳香族ポリエステルポリオール、例えばテレフタル酸ジメチル(DMT)基部をベースとする芳香族ポリエステルポリオールは、フォームの燃焼性能を促進するために、難燃規格の硬質ポリウレタンパネルの製造に幅広く使用される。これらの芳香族ポリエステルポリオールを使用した典型的な配合物は、パネルスキンにおける気泡形成などの製造上の欠陥を回避するために、比較的高い金型または「スキン硬化」温度を必要とし、表面の脆性が高くなる傾向を示す。そのような高いスキン硬化温度は、処理時間を長くする一方で、場合によっては完成品の品質低下を招く。表面の脆性を低減するためにポリウレタン配合物に変更を加える試みがなされてきたが、フォームの加工処理および/または特性に別の負の結果を生じている。
【0004】
フォームの加工処理またはフォーム製品の材料特性に悪影響を与えることなく、硬質フォームに気泡が形成される傾向を低減する一方で、表面の脆性を低減し、そのような硬質ポリウレタンフォーム系のスキン硬化を周囲温度に近い金型温度で改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、表面の脆性が低減され、所与の金型温度でスキン硬化が改善された、建築用断熱材として使用される硬質ポリウレタンフォームを作製するためのポリオール配合物に関する。本発明の一実施形態は、官能基数が2〜8であり、分子量が100〜2,000であるポリエーテルポリオールと、20〜90重量パーセントの芳香族ポリエステルポリオールとを含むポリオールブレンドであって、該芳香族ポリエステルポリオールは、少なくとも、
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのグリコールと、
D)分子量が60〜250であり、公称官能基数が少なくとも3である、少なくとも1つのグリコールと
の反応生成物を含み、
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセント、D)が5〜20重量パーセントで存在する、ポリオールブレンドを提供する。
【0006】
さらなる態様では、本発明は、
(1)前記ポリオールブレンド、
(2)ポリイソシアネート、および
(3)任意選択で、それ自体知られている添加物および補助剤(そのような任意の添加物または補助剤は、染料、顔料、内部離型剤、物理的発泡剤、化学的発泡剤、難燃剤、充填剤、強化剤、可塑剤、防煙剤、芳香剤、静電気防止剤、殺生物剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される)
の反応生成物を含む硬質フォームの製造のため反応系を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、硬質ポリウレタンフォームを調製する方法であって、
a)少なくとも、
1)前記ポリオールブレンドと、
2)ポリイソシアネートと、
3)少なくとも1つの炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ジアルキルエーテルまたはフッ素置換ジアルキルエーテル物理的発泡剤と
を含有する反応混合物を形成する工程と
b)反応混合物が膨張および硬化して硬質ポリウレタンフォームを形成する条件に、反応混合物を曝す工程と
を含む方法を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、
i)下部外装と、
ii)硬質フォーム製品であって、
(1)イソシアネートと、
(2)ポリオール混合物であって、
ポリエステルポリオールである第1のポリオールであり、少なくとも、
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのグリコールと、
D)分子量が60〜250であり、公称官能基数が少なくとも3である、少なくとも1つのグリコールと
の反応生成物を含み、
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセン、D)が5〜20重量パーセントで存在する、第1のポリオールと、
官能基数が2〜8であり、分子量が100〜2,000であるポリエーテルポリオールである、第2のポリオールとを含み、
第1〜2のポリオールは、ポリオール混合物の重量パーセントで、第1のポリオールが20〜90重量パーセント、第2のポリオールが10〜80重量パーセントで存在する、ポリオール混合物と
の反応生成物を含む、硬質フォーム製品と、
iii)上部外装と
を含む、複合エレメントを提供する。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、複合エレメントを調製する方法であって、硬質フォーム(ii)は、(i)および(iii)に付着し、イソシアネートおよびポリオール混合物を25℃〜50℃の温度で反応させることによって(i)と(iii)との間に調製される方法を提供する。さらなる実施形態では、フォーム形成が起こる金型の温度は35℃未満である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリオールブレンドは、官能基数の高いポリエーテルポリオールと、少なくとも、A)テレフタル酸と、B)官能基数が2であり、ポリオキシエチレン含有量がポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、C)分子量が60〜250であるB)以外の少なくとも1つのグリコール成分と、D)分子量が60〜250であり、公称官能基数が少なくとも3である、少なくとも1つのグリコールとを含む反応混合物から調製されるある種の芳香族ポリエステルポリオールとを含む。そのようなポリオールブレンドを使用することによって、フォームの加工およびフォームの材料特性に悪影響を与えることなく、表面の脆性が低減され、かつ所与の金型温度においてスキン硬化が改善されている一方で、硬質フォームに気泡が形成される傾向が低減された、ポリウレタンフォームを製造可能であることが発見された。具体的には、金型温度を下げた場合にフォームに気泡が形成される傾向は、そのようなパネルを製造する際に、開示されているポリエステルを使用することによって低減されることが発見された。
【0011】
本発明によるポリエステルポリオールの芳香族成分(成分A)は、主にテレフタル酸に由来する。テレフタル酸成分は、一般的に芳香族含有量の80モルパーセント以上を構成するであろう。さらなる実施形態では、テレフタル酸は、芳香族成分の85モルパーセント以上を構成するであろう。別の実施形態では、テレフタル酸は、芳香族ポリエステルポリオールを作製するための芳香族成分の90モルパーセント以上を構成するであろう。別の実施形態では、芳香族含有量は、95モルパーセントを超えるテレフタル酸を含む。別の実施形態では、芳香族含有量は、本質的にテレフタル酸に由来する。ポリエステルポリオールは、実質的に純粋なテレフタル酸から調製することができるが、テレフタル酸の製造により生じた副流、廃棄物、またはスクラップ残留物などの、より複雑な材料も使用できる。テレフタル酸およびジエチレングリコールに分解可能なリサイクル材料、例えばポリエチレンテレフタレートの消化産物を使用することができる。存在し得る他の種類の芳香族材料には、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、ジメチルテレフタル酸残留物等が含まれる。
【0012】
成分A)は、一般的に、反応混合物の20〜60wt%を構成するであろう。さらなる実施形態では、成分A)は、反応混合物の30wt%以上を構成する。さらなる実施形態では、成分A)は、反応混合物の35wt%以上を構成する。
【0013】
成分B)は、適切な出発分子(開始剤)を、C〜Cアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−もしくは2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、またはこれら2つ以上の組み合わせによりアルコキシル化することによって得られる、ポリエーテルポリオールである。このポリエーテルポリオールは、一般的に、エチレンオキシド(EO)単位由来のオキシアルキレン単位を70重量%超、好ましくは、EO由来のオキシアルキレン単位を少なくとも75重量%含有するであろう。他の実施形態では、ポリオールは、EO由来のオキシアルキレン単位を80wt%超含有し、さらなる実施形態では、オキシアルキレン単位の85wt%以上がEOに由来するであろう。一部の実施形態では、エチレンオキシドが、ポリオールの製造に使用される唯一のアルキレンオキシドであろう。EO以外のアルキレンオキシドを使用する場合、プロピレンもしくはブチレンオキシド等の追加のアルキレンオキシドをEOとの同時供給物(co-feed)として供給するか、または内部ブロック(internal block)として供給することが好ましい。この重合のための触媒反応は、水酸化カリウム、水酸化セシウム、三フッ化ホウ素などの触媒、または亜鉛ヘキサシアノコバルテートまたは第四ホスファゼニウム(phosphazenium)化合物などの複シアン化物錯体(DMC)触媒による、アニオン性またはカチオン性のいずれかであってよい。アルカリ性触媒の場合、これらのアルカリ性触媒は、製造の最終段階において、例えば合体、ケイ酸マグネシウム分離、または酸中和などの適切な最終工程によって、ポリオールから除去されることが好ましい。
【0014】
ポリエチレンオキシドをベースとするポリオールは、一般的に、150〜1,000の分子量を有する。一実施形態では、数平均分子量は160以上である。さらなる実施形態では、数平均分子量は800未満または600未満でさえある。さらなる実施形態では、数平均分子量は500未満である。
【0015】
成分B)の製造のための開始剤は、官能基数が2である。本明細書において使用される場合、別段の記載がない限りは、官能基数は公称官能基数をさす。そのような開始剤の非限定的な例には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれる。
【0016】
ポリエチレンオキシドをベースとするポリオールは、一般的に、反応混合物の20〜60重量パーセントを構成する。さらなる実施形態では、ポリエチレンオキシドをベースとするポリオールは、反応混合物の30〜60wtパーセントを構成するであろう。別の実施形態では、ポリエチレンオキシドをベースとするポリオールは、反応混合物の少なくとも35wt%または40wt%を構成するであろう。
【0017】
ポリエステルポリオールを製造するための反応混合物は、芳香族成分A)、および、ポリエチレンオキシドをベースとするポリオール成分B)に加えて、分子量が60〜250であって、B)とは異なる、1つまたは複数のグリコール(成分C)を含有している。そのようなグリコールまたはグリコールのブレンドは、一般的に公称官能基数が2であろう。
【0018】
一実施形態では、成分C)である二官能グリコールは、以下の式によって表される:
【0019】
【化1】
(式中、Rは水素または炭素原子1〜4個の低級アルキルであり、nは分子量が250以下となるように選択される)。さらなる実施形態では、nは分子量が200未満となるように選択される。さらなる実施形態では、Rは水素である。本発明において使用できるジグリコールの非限定的な例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、および他のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が含まれる。
【0020】
成分C)は、一般的に、反応混合物の少なくとも5重量パーセントを構成し、一般的に、ポリエステルを作製するための反応混合物の20重量未満を構成するであろう。別の実施形態では、グリコール成分は、反応混合物の7wt%超を構成するであろう。さらなる実施形態では、グリコール成分は、反応混合物の18wt%未満を構成するであろう。
【0021】
成分D)は、公称官能基数が3以上のグリコールである。三官能性グリコールには、例えばグリセリンおよびトリメチロールプロパンが含まれる。官能基数がより高いグリコールには、例えばペンタエリスリトールが含まれる。成分D)は、一般的に、反応混合物の少なくとも5重量パーセントを構成し、一般的に、ポリエステルを作製するための反応混合物の20重量未満を構成するであろう。別の実施形態では、グリコール成分は、反応混合物の7wt%超を構成するであろう。さらなる実施形態では、グリコール成分は、反応混合物の18wt%未満を構成するであろう。
【0022】
ポリエステルを作製するための成分に基づくと、ポリエステルの公称官能基数は2.3よりも大きく、一般的に3.1以下であろう。さらなる実施形態では、ポリエステルの官能基数は2.4〜2.9であろう。さらなる実施形態では、ポリエステルの官能基数は2.5以上である。ポリエステルを作製するのに使用される材料の量は、一般的に、ヒドロキシル価200〜400のポリエステルを提供するであろう。さらなる実施形態では、ポリエステルのヒドロキシル価は350未満である。
【0023】
上述した他のグリコールと共に、芳香族成分と共に、特定量のポリエチレンオキシドをベースとするポリオールを含めることによって、得られるポリエステルの粘度は、UNI EN ISO 3219により25℃で測定した場合、一般的に30,000mPa*s未満である。さらなる実施形態では、ポリエステルポリオールの粘度は、20,000mPa*s未満である。ポリオールの粘度は可能な限り低い方が望ましいが、実際の化学的限界および最終用途により、ポリオールの粘度は一般的に1,000mPa*sよりも大きいであろう。
【0024】
本発明の芳香族ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールの調製後に残る未反応グリコールを任意の少量で含んでいてよい。望ましくはないが、芳香族ポリエステルポリオールは、遊離グリコール/ポリオールを約30重量パーセントまで含んでいてよい。本発明の芳香族ポリエステルポリオールの遊離グリコール含有量は、ポリエステルポリオール成分の総重量に基づいて、一般的に約0〜約30重量パーセント、通常は1〜約25重量パーセントである。ポリエステルポリオールはまた、残留した非エステル交換芳香族成分を少量含んでいてもよい。典型的には、非エステル交換芳香族材料は、本発明の芳香族ポリエステルポリオールを形成するために組み合わせる成分の総重量に基づいて、2重量パーセント未満の量で存在するであろう。
【0025】
ポリエステルポリオールは、当該技術分野において周知の条件下で、成分A、B、およびCを重縮合/エステル交換および重合することによって形成することができる。例えば、G. Oertel、Polyurethane Handbook、Carl Hanser Verlag、Munich、Germany 1985、54〜62ページ、および、Mihail Ionescu、Chemistry and Technology of Polyols for Polyurethanes、Rapra Technology、2005、263〜294ページを参照されたい。一般的に、合成は180〜280℃の温度で行われる。別の実施形態では、合成は少なくとも200℃の温度で行われる。さらなる実施形態では、合成は215℃以上の温度で行われる。さらなる実施形態では、合成は260℃以下の温度で行われる。
【0026】
合成は減圧または増圧下で生じうるが、反応は一般的に大気圧付近の条件下で実施される。
【0027】
合成は触媒の非存在下で起こりうるが、エステル化/エステル交換/重合反応を促進する触媒を使用することができる。そのような触媒の例には、チタン酸テトラブチル、ジブチルスズオキシド、カリウムメトキシド、または、亜鉛、鉛もしくはアンチモンの酸化物、チタン化合物、例えばチタン(IV)イソプロポキシドおよびアセチルアセトネートチタンが含まれる。使用される場合、そのような触媒は混合物全体の0.005〜1重量パーセントの量で使用される。さらなる実施形態では、触媒は、混合物全体の0.005〜0.5重量パーセントの量で存在する。
【0028】
反応の揮発性生成物(複数可)、例えば水および/またはメタノールは、一般的にプロセス中、上から除去され、エステル交換反応を完了させる。
【0029】
合成は、通常は1〜5時間かかる。実際に要する時間は、言うまでもなく、触媒濃度や温度等に応じて変わる。一般的に、経済的理由、および、重合サイクルが長すぎる場合には熱劣化しうるという理由の両方から、重合サイクルを長くしすぎないことが望ましい。
【0030】
本明細書に記載のポリエステルポリオールは、様々なポリウレタンまたはポリイソシアヌレート生成物を作製するためのポリオール配合物の一部として使用される。ポリオールは、イソシアネート反応性成分とも称され、イソシアネート成分と共に、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを生成するための系を構成する。ポリエステルは、用途に応じて、一般的にポリオール配合物全体の20〜90wt%の範囲である。特定用途のために使用可能なポリエステルポリオールの量は、当業者であれば容易に決定することができる。
【0031】
配合物中の他の代表的なポリオールには、ポリエーテルポリオール、本発明のポリエステルとは異なるポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、およびヒドロキシル末端アミンが含まれる。使用可能な代替ポリオールには、ポリアルキレンカーボネートベースのポリオール、およびポリリン酸ベースのポリオールが含まれる。ポリエーテルまたはポリエステルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはそれらの組み合わせを、2〜8個の活性水素原子を有する開始剤に添加することによって調製される。配合物中に使用されるポリオール(複数可)の官能基数は、当業者に知られているように最終用途に応じて異なる。そのようなポリオールは、有利には、少なくとも2、好ましくは3、最大で8、好ましくは6までの官能基数、1分子当たりの活性水素原子、を有している。硬質フォームに使用されるポリオールは、一般的に、ヒドロキシル価が約200〜約1,200、より好ましくは約250〜約800である。
【0032】
植物油または動物性脂肪等の再生可能資源から誘導されるポリオールも、追加的なポリオールとして使用することができる。そのようなポリオールの例には、ヒマシ油、WO 04/096882およびWO 04/096883に記載されているヒドロキシメチル化ポリエステル、米国特許第4,423,162号、同4,496,487号、および同4,543,369号に記載されているヒドロキシメチル化ポリオール、および米国公開特許出願第2002/0121328号、同2002/0119321号、および同2002/0090488号に記載されている「吹込み」植物油が含まれる。
【0033】
ポリオールブレンドは、架橋ネットワークを増強するために、官能基数が5〜8である、官能性のより高いポリオールを含有していてよい。そのようなポリオールのための開始剤としては、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、フルクトースまたは他の糖などが含まれる。そのような、官能性のより高いポリオールは、平均ヒドロキシル価が約200〜約850、好ましくは約300〜約770である。官能性のより高いポリオールには、他の開始剤、例えばグリセリンを添加して、1分子当たりヒドロキシル基4.1〜7の官能基数であり、ヒドロキシル当量が100〜175の同時開始ポリオールを生成することができる。そのようなポリオールが使用される場合、一般的に、特定用途に応じて、硬質フォーム作製のためのポリオール配合物の30〜70wt%を構成する。
【0034】
ポリオール混合物は、さらに別のポリオールを最大20重量%含有していてもよい。さらに別のポリオールとは、ポリエステルではなく、アミン開始ポリオールまたは官能性のより高いポリオールであって、ヒドロキシル官能基数が2.0〜3.0であり、ヒドロキシル当量が90〜600である。
【0035】
建築用途としては、ポリオールブレンドは、フェノールホルムアルデヒド樹脂のアルコキシル化生成物により形成されたポリオールを含んでいてもよい。そのようなポリオールは、当該技術分野においてはノボラックポリオールとして知られている。そのようなポリオールが配合物で使用される場合、20wtパーセントの量(in an amount of up 20 wt percent)で存在していてよい。
【0036】
一実施形態では、本発明は、上述の芳香族ポリエステルポリオールを30〜80重量パーセント含み、残りは、官能基数が2〜8であり、分子量が100〜10,000である少なくとも1つのポリオールまたは複数のポリオールの組み合わせである、ポリオールブレンドを提供する。
【0037】
スキン硬化が改善された建築用硬質フォームの製造に適したポリオール混合物の具体的な例には、本発明のポリエステルが30〜80重量%、ソルビトールまたはスクロース/グリセリン開始ポリエーテルポリオールが20〜70重量%(このポリオールまたはポリオールブレンドは、官能基数が3〜8であり、ヒドロキシル当量が200〜850である)、およびヒドロキシル官能基数が2.0〜3.0でありヒドロキシル当量が90〜500である別のポリオールが最大20重量%である混合物が含まれる。
【0038】
上述のポリオール混合物は、構成要素であるポリオールを個々に作製し、続いてそれらをブレンドすることによって調製することができる。あるいは、それぞれの開始剤化合物の混合物を形成することによって、ポリエステルを含まないポリオール混合物を調製し、続いて開始剤混合物をアルコキシル化してポリオール混合物を直接形成することもできる。これらの方法を組み合わせて使用することもできる。
【0039】
ポリウレタン生成物の生成に適したポリイソシアネートには、芳香族、脂環式、および脂肪族イソシアネートが含まれる。そのようなイソシアネートは、当該技術分野において周知である。
【0040】
適切な芳香族イソシアネートの例には、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’および2,2’−異性体、それらのブレンドならびにポリマーおよび単量体MDIブレンド、トルエン−2,4−および2,6−ジイソシアネート(TDI)m−およびp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネートおよびジフェニルエーテルジイソシアネートおよび2,4,6−トリイソシアナートトルエンおよび2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが含まれる。
【0041】
本発明の実施においては、粗ポリイソシアネート、例えばトルエンジアミンの混合物をホスゲン化することによって得られる粗トルエンジイソシアネート、または、粗メチレンジフェニルアミンをホスゲン化することによって得られる粗ジフェニルメタンジイソシアネート等を使用することもできる。一実施形態では、TDI/MDIブレンドを使用することができる。
【0042】
脂肪族ポリイソシアネートの例には、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(cis−またはtrans−異性体両方を含めて)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキサンイソシアネート)(H12MDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、上述の芳香族イソシアネートの飽和類似体、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0043】
ビウレット、尿素、カルボジイミド、アロホネート(allophonate)および/またはイソシアヌレート基を含有する、上述のポリイソシアネート基の任意の誘導体も使用することができる。これらの誘導体は、イソシアネート官能基数が高い場合が多いため、より高度に架橋された生成物を所望の場合に使用することが望ましい。
【0044】
硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート材料の製造においては、ポリイソシアネートは、一般的にジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、それらのポリマーもしくは誘導体、またはそれらの混合物である。好ましい一実施形態では、イソシアネート末端プレポリマーは、4,4’−MDI、または実質部分もしくは4.4’−異性体を含有する他のMDIブレンド、あるいは上述の修飾されたMDIにより調製される。好ましくは、MDIは、45〜95重量パーセントの4,4’−異性体を含有する。
【0045】
ポリイソシアネートは、イソシアネートインデックスが80〜200となるのに十分な量で使用される。イソシアネートインデックスは、ポリイソシアネート成分により供給される反応性イソシアネート基の数を、ポリウレタン形成組成物内のイソシアネート反応基の数(水などのイソシアネート反応性発泡剤が含有するものを含む)で除算し、100を乗算した数として算出される。水は、イソシアネートインデックスの算出目的では、1分子当たり2つのイソシアネート反応基を有すると見なす。硬質ポリウレタンフォーム用途の場合、好ましいイソシアネートインデックスは、一般的に100〜150である。
【0046】
ポリウレタン製品の製造のための配合物においては、1つまたは複数の鎖延長剤を使用することもできる。鎖延長剤を使用することによって、生じるポリマーの物理的特性が望ましいものとなる。鎖延長剤は、ポリウレタンポリマーの形成中にポリオール成分とブレンドしてもよく、または別個の流れとして存在していてもよい。鎖延長剤は、1分子当たり2つのイソシアネート反応基を有する材料であり、イソシアネート反応基当たりの当量は400未満、好ましくは300未満、特に31〜125ダルトンである。本発明のポリウレタンポリマー製造のための配合物中には、架橋剤が含まれていてもよい。「架橋剤」は、1分子当たり3つ以上のイソシアネート反応基を有する材料であり、イソシアネート反応基当たりの当量は400未満である。架橋剤は、好ましくは、1分子当たり3〜8個、特に3〜4個のヒドロキシル、第1級アミン、または第2級アミン基を含有しており、当量が30〜約200、特に50〜125である。
【0047】
本発明のポリオールブレンドは、幅広い種類の発泡剤と共に使用することができる。ポリウレタンを形成する組成物中で使用される発泡剤としては、炭化水素、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ジアルキルエーテルもしくはフッ素置換ジアルキルエーテル、またはこれら2つ以上の混合物である、少なくとも1つの物理的発泡剤が含まれる。このような種類の発泡剤としては、プロパン、イソペンタン、n−ペンタン、n−ブタン、イソブタン、イソブテン、シクロペンタン、ジメチルエーテル、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)および1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)が含まれる。HFOおよびHFCO発泡剤の例には、ペンタフルオロプロペン、例えばHFO−1225yezおよびHFO−1225ye、テトラフルオロプロペン、例えばHFO−1234yfおよびHFO−1234ez、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、1,2−ジフルオロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)が含まれる。そのような発泡剤は、例えば、WO2008121785A1、WO2008121790A1、WO2011/135395、US2008/0125506、US2011/0031436、US2009/0099272、US2010/0105788、US2011/0210289および2011/0031436等、多数の公開公報に開示されている。炭化水素およびヒドロフルオロカーボン発泡剤が好ましい。一般的に、物理的発泡剤に加えて、配合物中に水をさらに含むことが好ましい。
【0048】
発泡剤(複数可)は、好ましくは、配合物が硬化して、成形後の密度が16〜160kg/m、好ましくは16〜64kg/m、特に20〜48kg/mであるフォームを形成するのに十分な量で使用される。これらの密度を達成するためには、炭化水素またはヒドロフルオロカーボン発泡剤は、ポリオール(複数可)100重量部当たり約10〜約40、好ましくは約12〜約35重量部の範囲の量で使用すると好都合である。水はイソシアネート基と反応して二酸化炭素を生成し、二酸化炭素は膨張ガスとして作用する。水は、ポリオール(複数可)100重量部当たり0.5〜3.5、好ましくは1.0〜3.0重量部の範囲内の量で適切に使用される。
【0049】
ポリウレタンを形成する組成物は、典型的には、ポリオール(複数可)および/または水とポリイソシアネートとを反応させるための触媒を少なくとも1つ含む。適切なウレタン形成触媒としては、米国特許第4,390,645号およびWO02/079340に記載されている触媒が含まれ、これらはいずれも本明細書に参照により組み込まれる。代表的な触媒としては、第3級アミンおよびホスフィン化合物、様々な金属のキレート、強酸の酸性金属塩、強塩基、様々な金属のアルコラートおよびフェノラート、様々な金属と有機酸の塩、四価スズ、三価および五価As、Sb、およびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニルが含まれる。
【0050】
一般的には第3級アミン触媒が好ましい。第3級アミン触媒としては、ジメチルベンジルアミン(Desmorapid(登録商標)DB、Rhine Chemie製)、1,8−ジアザ(5,4,0)ウンデカン−7(例えばPolycat(登録商標)SA−1、Air Products製)、ペンタメチルジエチレントリアミン(例えばPolycat(登録商標)5、Air Products製)、ジメチルシクロヘキシルアミン(例えばPolycat(登録商標)8、Air Products製)、トリエチレンジアミン(例えばDabco(登録商標)33LV、Air Products製)、ジメチルエチルアミン、n−エチルモルホリン、N−アルキルジメチルアミン化合物、例えばN−エチルN,N−ジメチルアミンおよびN−セチルN,N−ジメチルアミン、N−アルキルモルホリン化合物、例えばN−エチルモルホリンおよびN−ココモルホリン等がある。使用することができる他の第3級アミン触媒としては、Air Productsによって販売されている、商品名Dabco(登録商標)NE1060、Dabco(登録商標)NE1070、Dabco(登録商標)NE500、Dabco(登録商標)TMR−2、Dabco(登録商標)TMR−4、Dabco(登録商標)TMR30、Polycat(登録商標)1058、Polycat(登録商標)11、Polycat15、Polycat(登録商標)33、Polycat(登録商標)41、およびDabco(登録商標)MD45、ならびに、Huntsmanによって販売されている、商品名ZR50およびZR70が含まれる。さらに本発明では、触媒材料として、WO01/58976Aに記載されているポリオールを含む、ある種のアミン開始ポリオールを使用することができる。上述の2つ以上の混合物を使用することができる。
【0051】
触媒は触媒作用に十分な量で使用される。好ましい第3級アミン触媒では、触媒の適切な量は、ポリオール(複数可)100重量部当たり第3級アミン触媒(複数可)約0.3〜約2部、特に約0.3〜約1.5部である。
【0052】
ポリウレタンを形成する組成物はまた、好ましくは、界面活性剤を少なくとも1つ含有している。界面活性剤は、ガスが発生して泡が形成されてフォームが膨張する際に、組成物のセルの安定を助ける。適切な界面活性剤の例には、脂肪酸のアルカリ金属およびアミン塩、例えばオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、オレイン酸ジエタノールアミン、ステアリン酸ジエタノールアミン、リシノール酸ジエタノールアミン等;スルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸およびジナフチルメタンジスルホン酸のアルカリ金属およびアミン塩;リシノール酸;、シロキサン−オキサアルキレン(oxalkylene)ポリマーまたはコポリマーおよび他の有機ポリシロキサン;オキシエチル化アルキルフェノール(例えばTergitol NP9およびTriton X100、The Dow Chemical Company製);オキシエチル化脂肪アルコール、例えばThe Dow Chemical Company製Tergitol 15−S−9;パラフィン油、ヒマシ油、リシノール酸エステル、ロート油、ピーナツ油、パラフィン、脂肪アルコール、ジメチルポリシロキサン、ならびにポリオキシアルキレンおよびフルオロアルカン側基を有するオリゴマーアクリレートが含まれる。これらの界面活性剤は、一般的に、ポリオールの100重量部に基づいて0.01〜6重量部の量で使用される。
【0053】
一般的には、有機シリコーン界面活性剤が好ましい種類である。これらの有機シリコーン界面活性剤は、幅広い種類が市販されており、Goldschmidtによって商品名Tegostab(登録商標)(例えばTegostab B−8462、B8427、B8433およびB−8404界面活性剤)で販売されているもの、OSi Specialtiesによって商品名Niax(登録商標)(例えばNiax(登録商標)L6900およびL6988界面活性剤)で販売されているもの、ならびにAir Products and Chemicalsから市販されている様々な界面活性剤製品(例えばDC−193、DC−198、DC−5000、DC−5043、およびDC−5098界面活性剤)がある。
【0054】
ポリウレタンを形成する組成物は、上述の材料に加えて様々な補助成分、例えば充填剤、着色剤、臭気マスク(odor mask)、難燃剤、殺生物剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、静電気防止剤、粘度調整剤等を含んでいてよい。
【0055】
適切な難燃剤の例には、リン化合物、ハロゲン含有化合物、およびメラミンが含まれる。
【0056】
充填剤および顔料の例には、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン、リサイクルされた硬質ポリウレタンフォーム、およびカーボンブラックが含まれる。
【0057】
紫外線安定剤の例には、ヒドロキシベンゾトリアゾール、亜鉛ジブチルチオカーバメート、2,6−ジ−tert−ブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒンダードアミンおよび亜リン酸塩が含まれる。
【0058】
充填剤を除き、上述の添加物は一般的に、少量で使用される。各々は、ポリウレタン配合物総重量の0.01パーセント〜3パーセントを構成していてよい。充填剤は、ポリウレタン配合物総重量の50%までの量で使用することができる。
【0059】
ポリウレタン形成組成物は、ポリオール(複数可)およびイソシアネート(複数可)が反応し、発泡剤がガスを発生させ、組成物が膨張および硬化する条件下において、様々な成分を合わせることによって調製される。ポリイソシアネートを除く全ての成分(またはそれらの任意の一部組み合わせ)は、所望であれば、予めブレンドして配合されたポリオール組成物にしておき、次いでこの組成物をフォームの調製時にポリイソシアネートと混合することができる。これらの成分は、所望であれば予熱することもできるが、通常予熱は不要である。これらの成分は、室温付近(約22℃)で合わせて反応させることができる。硬化を推進するために組成物に熱を加える作業は、通常は不要であるが、所望であれば実施することも可能である。
【0060】
本発明は、硬質または柔軟な材料から成る少なくとも2つの外層と硬質フォームのコア層とを含む、サンドイッチ複合エレメントの製造に特に有用である。
【0061】
外層または外装としては、原則的には、従来使用されている柔軟または硬質の外装、例えば、(ラッカー塗装および/または陽極酸化された)アルミニウム、(亜鉛めっきおよび/またはラッカー塗装された)鋼、銅、ステンレス鋼、および非金属、例えば不織有機繊維、プラスチックシート(例えばポリスチレン)、プラスチック箔(例えばPE箔)、木製板、ガラス繊維、含浸ボール紙、紙、またはこれらの積層の混合物を使用することができる。一般的に、金属外装、特にアルミニウムおよび/または鋼製の外装を使用することが好ましい。外装の厚さは、一般的に200μm〜5mmである。さらなる実施形態では、厚さは300μmよりも大きいか、または400μmよりも大きい。さらなる実施形態では、厚さは3mm未満または2mm未満である。市販されている外装の例として、Galvalumne(商標)金属外装がある。
【0062】
このような複合エレメントの製造は、当該技術分野において知られているプロセスによって行うことができる。例えば、成分を混合した後、まだ液体状態にある反応混合物を、プレス機/固定機内にある組み立て済みの空のパネル内に注入してもよい。これらの組み立て済みパネルは、典型的には2つの外装と、典型的には木、金属または高密度のポリウレタン製の囲いレールと、完成したフォームパネル同士を接続するために使用される固定装置とから成る。フォームが硬化した後、パネルがプレス機または固定機から取り外される。
【0063】
通常フォーム層は、厚さが一般的に2cm〜25cmである。フォーム層は、他の実施形態では2.5〜21cmであり、特定の実施形態では6〜16cmである。金型は一般的に25℃ 〜50℃の範囲内の温度で加熱される。特に、本発明のポリエステルを含有する配合物は、金型温度が35℃まで低下した場合でも表面欠陥が低減されていると共に接着性が良好であることが発見された。
【0064】
硬質の外層を有する複合エレメントの用途としては、トラックの車体、玄関のドア、および門として、ならびにコンテナーの建造における使用が挙げられる。断熱板、柔軟な外層を有する複合エレメントは、屋根、外壁、および床板の断熱材として採用される。
【0065】
本説明は、単に例示目的のためであって、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、当業者であれば、本発明の意図する精神および範囲から逸脱することなく、現在開示されている実施形態に様々な改変および変更を加えることができることは理解するであろう。本発明のさらなる有利点および詳細は、以下の実施例および特許請求の範囲を検討することによって明らかとなる。
【0066】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提供するものであって、その範囲を限定するためのものではない。全ての部およびパーセンテージは、別段の記載がない限りは重量である。
【0067】
本実施例において使用される原材料の説明は以下の通りである。
【0068】
DABCO DC 193は、ケイ素界面活性剤であり、Air Productsから購入可能である(DABCOはAir Productsの商標である)。
【0069】
TERATE(登録商標)−2031 polyolは、テレフタル酸ジメチルをベースとするポリエステルポリオールであり、Invistaから購入可能である。
【0070】
Polyester Aは、本明細書に記載のテレフタル酸、ジエチレングリコール、グリセリン、およびポリエチレングリコール200をベースとするポリエステルポリオールである。
【0071】
VORANOL(商標)RH 490は、官能基数が約4.3であり、ヒドロキシル価が約490である、スクロース/グリセリン開始ポリオキシプロピレンポリオールであり、The Dow Chemical Companyから商品名Voranol RH 490で購入可能である。
【0072】
POLYCAT(登録商標)8は、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン触媒であり、Air Productsから購入可能である。
【0073】
TCPP、Tris(クロロイソプロピル)リン酸塩は、低粘度および低酸度の難燃剤添加物であり、Suprestaから購入可能である。
【0074】
HFC−245fa、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは、発泡剤であり、商品名Enovate(登録商標)でHoneywellから購入可能である。
【0075】
PAPI(商標)27 polymeric MDIは、MDIを含有するポリメチレンポリフェニルイソシアネートであり、The Dow Chemical Companyから購入可能である。
【0076】
このようなポリエステルが組み込まれたポリエステルポリオールおよび配合物の特性について、それぞれ表1および2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
製造されたポリウレタンフォームの特性を表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
製造された硬質ポリウレタンフォームの特性は、以下の手順を用いて測定される。スキンの保持率については、各配合物を、離型剤で処理したアルミニウム金型(30×20×5cm)内に注入し、表示されている温度で加熱する。30分後に金型を開き、向かい合う2つの金型表面に付着しているスキンの量を測定する。金型への付着量はフォームの脆性を示しているため、金型への付着量が多いほど表面が傷付きやすい。
【0082】
ASTM D−1621に従って、37.8℃(100°F)の金型温度で製造されたフォームの圧縮強度をpsi単位で測定し、30分後に離型、フォームは試験前に少なくとも24時間は硬化させる。寸法安定性は、フォームを158°F(70°C)、相対湿度(RH)97%に14日間曝露した後に変化した容量%を示す。寸法安定性は、37.8℃(100°F)に加熱された金型内で製造されたフォーム上で測定する。
【0083】
生強度試験では、自由上昇サンプルを手で混合し、長さ8インチ(30.3cm)×幅8インチ(20.3cm)×高さ9.5インチ(24.1cm)の木型(室温)に注入する。十分な材料を混合して、完成したサンプルが十分に上昇して、高さが少なくとも8インチ(20.3cm)の、両側で平坦な面を形成するように、フォームを製造する。このフォームを、所望の試験時間の1分前まで型内で硬化させる、すなわち30分の試験結果に対して29分間硬化させる。
【0084】
生強度試験手順は、Instron 5566 幅広型材料試験機に基づいて実施される。ロードセル(UK 537/2000 lb)を、負荷フレームの垂直ガイド内に搭載されたクロスヘッド内に取りつける。試料を試験盤上に配置し、次いでロードセルに固定された直径8インチ(20.3cm)の圧子の先により圧縮する。
【0085】
生強度試験を開始するために、フォームサンプルを(注入に対して)水平に配置し、Instron試験盤の中央に配置する。所望時間の15秒前(30分試験では、離型の29分45秒後)に試験を開始する。これによりInstronが、ロードセルがフォームサンプルに接触するまで、クロスヘッドを高さ228.6mm(9インチ(22.9cm))の位置から100mm/分の速度で下げる。クロスヘッドは、力が8.9N(2.0lbf)に到達するまで下がり続け、到達した時点で厚さが自動的に記録される。次にクロスヘッドは、今度は305mm/分の速度で、(2.0lbfの厚さに対して)25.4mmの圧縮が得られるまで再び下がり、同圧縮が得られた時点で最大圧縮負荷(生強度)が自動的に記録される。生強度値は、成形または鋳造された生成物が、完全に硬化または堅くなる前に、取り扱い、金型排出、および機械加工に耐える能力を示す。
【0086】
表3に示す配合物を使用して製造されたフォームは、実施例#1の配合物を使用して製造された硬質フォームが、90°Fおよび100°Fでのスキン硬化率が対照(C1)に比して顕著に改善されていることを示している。スキン特性の保持を達成しながら、フォームの他の特性も維持または僅かに改善されている。
【0087】
上述の説明は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、その他およびさらなる実施形態も考案可能である。なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]少なくとも、
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのグリコールと、
D)分子量が60〜250であり、公称官能基数が少なくとも3である、少なくとも1つのグリコールと
の反応生成物を含み、
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセント、D)が5〜20重量パーセントで存在する、芳香族ポリエステルポリオール。
[2]硬質フォームの製造のためのポリオール混合物であって、
ポリエステルポリオールである第1のポリオールであって、少なくとも、
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのグリコールと、
D)分子量が60〜250であり、公称官能基数が少なくとも3である、少なくとも1つのグリコールと
の反応生成物を含み、
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセント、D)が5〜20重量パーセントで存在する、第1のポリオールと、
2)官能基数が2〜8であり、分子量が100〜2,000であるポリエーテルポリオールである、第2のポリオールとを含み、
前記第1から第2のポリオールは、ポリオール混合物の重量パーセントで、第1のポリオールが20〜90重量パーセント、第2のポリオールが10〜80重量パーセントで存在する、ポリオール混合物。
[3]複合エレメントであって、
i)下部外装と、
ii)硬質フォーム製品であって、
(1)イソシアネートと、
(2)ポリオール混合物であって、
ポリエステルポリオールである第1のポリオールであり、少なくとも、
A)テレフタル酸を80モルパーセント以上含む芳香族成分と、
B)公称官能基数が2であり、分子量が150〜1000であり、ポリオキシエチレン含有量がポリエーテルポリオールの少なくとも70重量%である、少なくとも1つのポリエーテルポリオールと、
C)分子量が60〜250である、B以外の少なくとも1つのグリコールと、
D)分子量が60〜250であり、公称官能基数が少なくとも3である、少なくとも1つのグリコールと
の反応生成物を含み、
A、B、CおよびDは、前記反応物中に、重量パーセントベースで、A)が20〜60重量パーセント、B)が20〜60重量パーセント、C)が5〜20重量パーセント、D)が5〜20重量パーセントで存在する、第1のポリオールと、
官能基数が2〜8であり、分子量が100〜2,000であるポリエーテルポリオールである、第2のポリオールとを含み、
前記第1から第2のポリオールは、ポリオール混合物の重量パーセントで、第1のポリオールが20〜90重量パーセント、第2のポリオールが10〜80重量パーセントで存在する、ポリオール混合物との反応生成物を含む、硬質フォーム製品と、
iii)上部外装と
を含む、複合エレメント。
[4]B)は数平均分子量が500未満である、[3]に記載の複合エレメント。
[5]前記芳香族成分および前記ポリエチレングリコールは、それぞれ、ポリエステルポリオールに35〜45重量パーセントの量で添加される、[3]または[4]に記載の複合エレメント。
[6]イソシアネートインデックスが80〜200、優先的には100〜150である、[5]に記載の複合エレメント。
[7]前記硬質フォームの密度が16〜64kg/mである、[5]または[6]に記載の複合エレメント。
[8](i)および(iii)に付着する前記硬質フォーム(ii)を、前記イソシアネートおよびポリオール混合物を25℃〜50℃の温度で反応させることによって、(i)と(iii)との間に調製する、[3]から[8]のいずれか一項に記載の複合エレメントを調製する方法。