(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のスリーブの遠位端に隣接して位置づけられた第1の放射状隣接部を更に備え、前記第1の放射状隣接部が、前記第1の放射状隣接部を通り過ぎた前記髄内釘穴の外への前記第1のスリーブの近位への後戻りを防ぐように構成されている、請求項1に記載の装置。
前記第1のスリーブの近位端に隣接して位置づけられた第2の放射状隣接部を更に備え、前記第2の放射状隣接部が、前記第2の放射状隣接部を通り過ぎた前記髄内釘穴内への前記第1のスリーブの遠位への移動を防ぐように構成されている、請求項2に記載の装置。
前記第1のスリーブが、その遠位端がその近位端より大きい直径を有するように実質的に円錐形であり、前記第1のスリーブの近位端が前記第2のスリーブの近位端にねじ方式に係合する、請求項5に記載の装置。
前記第2のねじ山付きコネクタの遠位面が、前記骨固定釘の前記近位部の対応する処置された表面に係合するように構成された、処置された表面を備え、前記処置された表面が、鋸歯状及びノッチ付きのいずれかである、請求項1に記載の装置。
前記骨固定釘が、それを貫通して延在する、近位端及び遠位端が開かれている中央長手方向チャネルを備えて、それを通じた道具の挿入を可能にし、前記螺旋構造が、その中に延在し、前記中央長手方向チャネルに対して開かれている、第1の開口部を備えて、それを通じた材料の注入及び引き出しのいずれかを可能にする、請求項1に記載の装置。
前記螺旋構造の近位端が、直径が拡大された部分を備えて、前記骨固定釘が近位に後戻りし前記直径が拡大された部分を通り過ぎて前記第1のスリーブ内に入ることを防ぐ、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、以下の説明及び添付の図を参照することにより更によく理解することができる。本発明は、一般に、転子間骨折の固定及び安定化のための装置及び方法に関する。本発明の実施形態について特定の骨に関して説明しているが、本発明は、大腿骨折及び他の長骨の骨折の固定(ただし限定せず)を含む任意の他の骨固定手技にも使用することができることに注意されたい。本発明は、外側スリーブが骨固定釘を受容するように構成された伸縮式多構成要素の骨固定システムに関するものであり、この骨固定釘は、骨に係止係合するように構成されている。一つ以上の係止ネジ及び/又は末端キャップは、外側スリーブに対して所望のように釘が配置された後に骨固定釘の位置を係止するように提供される。具体的には、本発明による代表的な外側スリーブは、髄内釘に係止係合するように構成された係止要素を備え、骨に埋め込まれたときのその外側移行を所望の範囲内に制限するように、外側スリーブを介して髄内釘が挿入される。本発明による代表的な骨固定釘は、外側スリーブを通して骨内に回転式に挿入されるように構成される。本発明の骨固定釘及び外側スリーブは、その埋め込み後の外側及び内側への移動を既定の望ましい範囲内に維持するように構成される。本明細書で使用する近位という用語は、医師又は他の使用者に近づく方向を指し、遠位という用語は、骨折又は何らかの損傷のある骨の標的部分に近づく方向を指す。
【0007】
図1〜4に示されるように、本発明による骨固定システム100は、外側スリーブ102と、外側スリーブ102を通して挿入するように構成された骨固定要素104と、骨固定要素104に挿入するように構成された係止ねじ106と、を備える。外側スリーブ102は、近位端110から遠位端112まで長手方向軸138に沿ってそれ自体を貫通して延在する長手方向チャネル108を備え、外側スリーブ102を挿入することができる髄内釘10に対する外側スリーブ102の回転を防ぐように、例えば、楕円形(例えば長円形)の円筒の形に作ることができる。しかし、当業者には、髄内釘10に対する外側スリーブ102の回転が防がれる限りは、外側スリーブ102がどのような任意の形であってもよいことが理解されるであろう。外側スリーブ102は、近位端110が実質的に斜めになるように第1の長手方向側壁114が第1の長さを有し、第2の長手方向側壁116が第1の長さを超える第2の長さを有するように構成され得る。これは、患者の柔らかい組織を傷つける可能性を減らし、外側スリーブ102の近位端110が、それが挿入されている骨の横皮質から延出し過ぎないようにする。代表的な実施形態では、対向する第1と第2の側壁114、116の長さの差は、係止ねじ106が動作構成において外側スリーブ102内に少なくとも部分的に置かれ、埋め込み後にそれに付加される外部応力の程度を低減するように、係止ねじ106の頭107の長さとほぼ等しくてよい。第2側壁116は、外側スリーブ102の遠位端112に隣接して位置づけられた第1返し部118を更に備える。より詳細に以下に説明するように、第1返し部118は、髄内釘穴12の外周壁とのその係合を可能にするために十分な長さだけ外側スリーブ102から突出している。第1返し部118の遠位面は、(例えば髄内釘10への遠位前進中に)角度のついた壁120に径方向に付加された圧縮力が、第1返し部118が外側スリーブ102の外壁とほぼぴったり重なるまで第1返し部118を径方向に内向きに圧縮するように、遠位方向に向かってテーパーしている角度のついた壁120を有する。第1返し部118の近位面は、外側スリーブ102から実質的に垂直に延在する近位壁122を備える。その結果、第1返し部118が髄内釘10を通っていったん前進した後、返し部118はその自然のバイアスの下で径方向に外向きに跳ねて、髄内釘穴12の外周壁に近位壁122を係合させることにより、外側スリーブ102が髄内釘10から近位に後戻りするのを防ぐ。したがって、スリーブ102を通っていったん挿入された後に骨固定要素104が近位に移動するのもまた防がれ、よって、固定の損失が防がれる。外側スリーブ102は、外側スリーブ102の近位端110に隣接し、第2の側壁116と整列した第2の返し部124を更に備えている。第2の返し部124は外側スリーブ102に対して実質的に垂直に外側スリーブ102から延出しており、髄内釘穴12内への外側スリーブ102の挿入の深さを制限するように構成される。
【0008】
骨固定システム100は、外側スリーブ102のチャネル108を通じた挿入のための構成及び寸法に作られる骨固定要素104を更に備える。骨固定要素104は近位端126から遠位端128まで延在し、近位ねじ山部分130と、中間のほぼ円筒形部分132と、遠位ブレード134(この代表的な実施形態においてブレード134は螺旋形である)と、を備える。ブレード134の近位部は、外側スリーブ102の内径より大きく増大された外径135を有し、ブレード134の近位端と外側スリーブ102との間の接触によって定められる範囲を超えてブレード134が外側スリーブ102内に近位に後戻りするのを防ぐ。更に、
図1〜3のブレード134は骨固定要素104に沿って螺旋に延びたノッチ136とともに描かれているが、任意の他のタイプのブレード及び/又はねじ山もまた、本発明の範囲から逸脱せずに使用することができる。例えば、ブレード134は、例えば
図9〜15に示されるように長手方向軸138に対して任意の角度で要素104の遠位部の上にほぼ螺旋に延びたねじ山又はノッチを備えることができる。
【0009】
近位ねじ山部分130は円筒部分132の第2の直径より小さい第1の直径を有し、円筒部分132内に延在する開口部140内に少なくとも部分的に挿入されるように構成される。具体的には、ねじ山部分130の遠位端は、円筒部分132の開口部140内の溝141に係止係合する構成及び寸法に作られるリップ142を備える。ねじ山部分130は円筒部分132に対して回転可能であり得る。代表的な実施形態では、近位ねじ山部分130は、近位ねじ山部分130を通じて延在する中央長手方向チャネル144が、円筒部分132及びブレード134を通じて延在する中央長手方向チャネル146に対して開かれかつそれと整列するように、製造工程中に開口部140内に適合され得る。代表的な実施形態では、チャネル144、146は、医療用道具又は注入可能材料(例えば骨を強化する材料)をそれを通じて挿入するのを可能にするように、近位端126及び遠位端128が開いている。あるいは、チャネル144、146は、ガイドワイヤを超えて骨内まで骨固定要素104が滑入され得るように、それを通じてガイドワイヤを受容することができる。より詳細に以下に説明するように、チャネル144の近位部の既定の長さに、係止ねじ106とのねじ係合を可能にするように構成されたねじ山148を提供することができる。ねじ山148は、骨の骨折の圧縮及び/又は骨固定要素104の取出しもまた可能にし得る。
【0010】
近位ねじ山部分130は、それ自体の上にコネクタ150をねじ方式で受け取るように構成される。コネクタ150は、円筒部分132の外径及び外側スリーブ102の内径とほぼ等しい外径を有する。代表的な実施形態では、コネクタ150は、骨固定要素104を外側スリーブ102を通じて挿入する前に、骨固定要素104にねじ方式で取り付けられる。コネクタ150はほぼ円筒形であり、近位端152から遠位端154へと延びている。例えば、コネクタ150は、その一定の長さに沿って延在し、チャネル108の平らな表面に対応する、平らな表面を含むことができる。
図4に示されるように、コネクタ150の遠位部分は、遠位端154から近位に延びる第1及び第2のスロット158によって画定される少なくとも1つのツメ156を備える。ツメ156の遠位端は、既定の距離だけコネクタ150から径方向に外向きに延在するノッチ160を備える。ノッチ160は、システム100が挿入器具から外れるのを防ぐように、挿入器具の一部と係合することができる。本実施形態について、1つのツメ156とともに説明しているが、本発明の範囲から逸脱せずに、任意の数のツメ156を任意の構成においてコネクタ150の上に提供することができる。また、コネクタ150の遠位端154には、円筒部分132の近位端のそれぞれ対応するように形成された表面164に係合するような構成及び寸法に作られた鋸歯状、ノッチ状、又は他の何らかの処置された表面162を提供してもよい。当業者には理解されるように、処置された表面162、164の係合は円筒部分132に対するコネクタ150の回転を防ぎ、したがって、円筒部分132に対する近位ねじ山部分130の回転を防ぐ。コネクタ150は、処置された表面162、164の係合と組み合わされたときに骨固定要素104が髄内釘10の開口部12に対して回転するのが防がれるように、外側スリーブ102のチャネル108の内面と適合することもまた可能である。
【0011】
本発明の代表的な係止ねじ106は、外側スリーブ102の内径より大きい外径を有するヘッド107と、係止ねじ106から遠位に延びるねじ山のついたシャフト部分109と、を有し、シャフト109の既定の部分及び全長のいずれかがねじ山を有する。係止ねじ106は、骨内での埋め込み後の骨固定要素104の横方向の動きの深さを制御するように構成される。具体的には、外側スリーブ102内の骨固定ねじ106の軸方向の摺動に伴う近位ねじ山部分130内部の係止ねじ106の挿入の深さは、医師又は他の使用者が骨内の骨固定要素104の移動範囲を制御するのを可能にする。そのような実施形態の1つは
図2及び3に図示されており、図中、係止ねじ106は、外側スリーブ102の内部での骨固定要素104の±10mmの横方向の移動を可能にするように、第1の目標の深さまで挿入される。具体的には、
図2では、ヘッド107が外側スリーブ102の近位端110と接触しているときに、その直径が拡大された部分135が外側スリーブ102の遠位端112から約10mm分離されるように選択された第1の深さまでシャフト109が近位ねじ山部分130にねじ止めされている。しかし、近位ねじ山部分130内のシャフト109の挿入の深さを変えることによって、外科医は希望に応じてこの範囲を増減できるということに注意されたい。
図3は、固定要素104が(例えば、埋め込み中又は埋め込み後の正常な力の付加の下で)外側スリーブ102内で近位に後退したときの
図2のシステムを図示している。外側スリーブ102内の骨固定要素104の近位移動は、外側スリーブ102の遠位端112とともに、直径が拡大された部分135の係合によって制限される。
【0012】
骨固定システム100の代表的な方法によると、骨折又は他の何らかの方法で損傷を受けた骨(図示せず)を補正整合させ、任意の既知の方法でその髄腔内に、その髄内の目標位置及び向きにその髄内釘10が挿入される。次いで、直径が拡大された部分135が髄内釘12の外に遠位に移動されるまで、髄内釘穴12を通じて骨固定要素104が目標の深さまで挿入される。外側スリーブ102、骨固定要素104、及びコネクタ150は予め組み立ててから、第1返し部118が釘穴12を少なくとも通過するまで髄内釘穴12を通じて目標の深さまで挿入することができる。外側スリーブ102、骨固定要素104、及びコネクタ106が穴12内に望ましく位置づけられたら、係止ねじ106をそこに挿入することができる。より詳細に上記に述べたように、釘穴12を通じた挿入の間、角度のある壁120と髄内釘穴12の内壁との係合によって、第1返し部118は髄内釘穴12の外へ遠位に移動するにつれて、外側スリーブ102に対して実質的にぴったりと重なるまで径方向に圧縮される。径方向の圧縮力がいったん取り除かれた後(すなわち、第1返し部118が釘穴12の外へ遠位に移動すると)、第1返し部118は既定の距離にかけて外側スリーブ102から径方向に外向きに延出するバイアスされた構成に戻る。この構成において、第1返し部118は、近位壁122と髄内釘穴12の外周との係合のために、髄内釘穴12の外へ近位に後戻りするのが防がれる。骨固定システム100が骨の内部に正しく置かれると、髄内釘係止ねじ(図示せず)は、当業者には理解されるであろうように、その遠位端が圧縮保持力を付加するために外側スリーブ102と接触するまで髄内釘10の係止ねじ穴14内に挿入される。
【0013】
図5〜8は、本発明の別の実施形態による骨固定システム200を図示する。骨固定システム200は
図1の骨固定システム100と実質的に同様に形成され、同様の要素は同様の参照番号で呼ばれる。具体的には、システム200は外側スリーブ102と実質的に同様に形成された、近位端210から遠位端212に延在する外側スリーブ202を備える。外側スリーブ102と同様に、外側スリーブ202は楕円形の円筒であり得る。しかし、外側スリーブ102と異なり、外側スリーブ202は均一の長手方向の長さを有する。骨固定システム200は、係止ねじ106の代わりに保護キャップ206を更に備える。保護キャップ206は、
図7に図示されているように圧縮を可能にし、外側スリーブ202の内径より大きい外径を有するヘッド207と、ヘッド207から遠位に延びているねじ山付きのシャフト209と、を備える。骨固定システム200は
図1〜4の骨固定システム100と実質的に同じ方法で動作し、骨固定要素104は外側スリーブ202に対して軸方向に±10mm移動可能である。
図5〜8の骨固定要素104は、ヘッド207と外側スリーブ202の近位端210との係合によって設定される制限を越えて外側スリーブ202に対して遠位に移動するのが防がれ、直径が拡大された部分135と外側スリーブ202の遠位端212との係合のおかげで、外側スリーブ202に対して近位に移動するのが防がれる。
【0014】
図9〜15に示されるように、本発明の更なる実施形態による骨固定システム300は、
図1〜4の骨固定システム100と実質的に同様であり、同様の要素は同様の参照番号で呼ばれる。骨固定装置100は、近位端310から遠位端312に延在する外側スリーブ302を備え、この外側スリーブは、それを長手方向に貫通して延在するチャネル308を有する。外側スリーブ302の近位部の既定の長さには、釘10を通じヘッド要素304の上に外側スリーブ302を挿入する挿入用具に係合するための内部ねじ311が提供される。外側スリーブ302は、それ自体を貫通する骨固定要素304を受容する構成及び寸法に作られ、骨固定要素304は、ねじ山部分334と、円筒形ボディ部分332と、円筒形ボディ部分322の近位端内に延在する開口部340と、を有する。しかし、骨固定システム100の開口部140は、近位ねじ山部分130に係止係合するように構成されるが、
図9〜15の代表的な開口部340は、係止ねじ306との直接のねじ方式の係合を可能にするために十分な深さだけ円筒形ボディ322の近位端339内に遠位に延びている。既に詳細に述べたように、開口部340は、円筒部分332及びねじ山部分304を貫通して延在する中央長手方向チャネル146に対して開かれていてもよい。
【0015】
代表的な係止ねじ306は、細長いねじ山シャフト部分309とヘッド307とを備える。シャフト部分309は、開口部340のねじ山とねじ方式で係合する構成及び寸法に作られる。ヘッド307の外径は、外側スリーブ302のチャネル308への係止ねじ306の完全挿入を可能に維持する一方で、ヘッド307をその開口部304に挿入することを可能にするように構成される。代表的な実施形態において、係止ねじ306は、それ自体を貫通してヘッド307からシャフト309の遠位端へと延びている中央長手方向チャネル305を更に備える。チャネル305は、円筒部分332及びねじ山部分304を貫通して延在する中央長手方向チャネル146と実質的に同じ直径を有する。したがって、係止ねじ306が円筒部分332内に挿入されたとき、中央長手方向チャネル305は、中央長手方向チャネル146と長手方向において整列し、かつそれに対して開いている。係止ねじ306は大腿骨頭部を通じた骨固定要素304の圧縮を可能にし、内側移動を防ぐ。
【0016】
図12に示されるように、本発明による第1の代表的な工程において、骨固定要素304は、骨内の目標の深さ(図示せず)に到達するまで、ガイドワイヤの上から髄内釘10の横方向の穴を通じて骨に挿入される。骨固定要素304は、目標の深さで位置づけられたときに円筒ボディ部分332の少なくとも一部が髄内釘10内に受け入れられる寸法に作られる。
図13に示されるように、次いで、前述の実施形態で詳細に説明したように、外側スリーブ302が骨内に、髄内釘10の横穴を貫通して、第1返し部118が少なくとも横穴の外に移動するまで挿入される。次いで、
図14に示されるように、係止ねじ306が開口部340内に目標の深さまで挿入される。係止ねじ306は、骨に挿入された後の外側スリーブ302に対する骨固定要素304の横方向の移動範囲を制限するように構成される。加えて、係止ねじ306は大腿骨頭部を通じた骨固定要素304の圧縮を可能にし、内側移動を防ぐ。
図15に示されるように、チャネル305の中央長手方向チャネル146との長手方向の整列は、骨内にその埋め込まれた後の骨固定システム300を通じて器具類を挿入することを可能にする。
【0017】
図16〜18は、本発明の別の実施形態による骨固定装置挿入システム400を図示する。具体的には、
図16〜18に示されるように、骨固定システム400は、
図1〜4の骨固定システム100と実質的に同様であり、同様の要素は同様の参照番号で呼ばれる。骨固定装置400は、任意の所望の骨係合構造434(例えばねじ、螺旋状ブレード等)を含むことができる、近位端426から遠位端428に延在する内側スリーブ404の上に受け入れられる外側スリーブ402を備え、この外側スリーブは、近位端410から遠位端412まで延在し、長手方向にそれ自体を貫通して延在するチャネル408を有する。外側スリーブ402は、外側スリーブ402を釘401に対して所望の位置及び回転配向に係止するように対応する形状の釘内の窪みと係合する、例えば半球突起部424のような釘係合構造もまた含む。例えば、釘は、外側スリーブ402がその内部において所望の量(例えば180度)回転された後に半球突起部420に係止係合するように構成されたバヨネット溝(図示せず)を含むことができる。外側スリーブ402の近位端410の内面は、内側スリーブ404の上で釘を通じて外側スリーブ402を回転し遠位に骨内に駆動することができるように挿入道具によって係合され得る構造411(例えば円形鋸歯)を含む。内側スリーブ404は、近位部430、中間円筒体部分432、及び、チャネル446が貫通して延在する遠位端428の骨係合構造434を含む。内側スリーブ404の近位部430は、長手方向に延在する複数の平らな表面を含む外面を有する。例えば、近位部430は六角形であり得る。しかし、好ましくは互いに対向する少なくとも2つの平面をこの外面が含む限りは近位部430が任意の様々な形を有することができることを当業者は理解するであろう。
【0018】
図18に示されるように、外側スリーブ402に対する内側スリーブ406の回転を安定させるための阻止装置450は、それに対してねじが回転可能であるようにねじ406のヘッド部分407を取り巻いている回転可能なカラー454から遠位に延びている指状のインサート452を含む。カラー454は外側スリーブ402の近位端410の構造411に対応するその外面に係合構造456を含む。例えば、カラー454は、その外面に沿って、外側スリーブ402の近位端410の内面に沿った円形鋸歯に対応する円形鋸歯を含むことができる。使用に際しては、
図19に示されるように、指状インサート452が内側スリーブ404の近位部430の平らな表面と外側スリーブ402のチャネル408との間の空間内でそれらの平らな表面の上に延びるように、阻止装置450を内側スリーブ404のチャネル446内に挿入して、指状インサート452に対して内側スリーブ404が回転するのを防ぐ。カラー454の係合構造456は、カラー454が外側スリーブ402に対して回転するのが防がれる一方でそれに対して軸方向に移動することが可能なように、内側スリーブ404の構造411に係合する。しかし、ねじ406は、チャネル446のねじ山部分448に係合するようにカラー454及び指状インサート452に対して回転可能である。したがって、ねじ406は、内側スリーブ404及び外側スリーブ402が互いに対して回転することは防がれるが互いに対して長手方向に移動することは可能なように、阻止装置450を内側スリーブ404に固定する。
【0019】
釘401を通じて最初に内側スリーブ404を導入してから外側スリーブ402をその上に滑らせて導入してもよく、両方のスリーブ402及び406をともに導入してもよい。半球突起部424をバヨネット溝と係合することによって外側スリーブ402が所望の位置に係止された後に、指状インサート452を内側スリーブ404の平らな表面とチャネル408の内面との間の空間に挿入することによって阻止装置を係合することができる。次いで使用者は、近位端の駆動用具係合構造(例えば六角形開口部458)を介してねじ山448にねじり込むことによってチャネル446内にねじ406を進める。
【0020】
図20〜24に示されるように、本発明の別の実施形態による骨固定システム500は、内側スリーブ502、外側スリーブ503、骨固定要素504、圧縮ねじ505、及び末端キャップとしても作用するへこみ制限ねじ506を備える。骨固定要素504は近位端526から遠位端528まで延在し、実質的に円筒の部分532及び骨係合構造534(例えばねじ山、ブレード等)を備える。骨係合構造534の全長の一部は、内側スリーブ502の外径より大きく増大された外径535を有する。骨係合構造534は、外側スリーブ502の外に延びて動作構成において骨と直接接触するように構成された骨固定釘504の遠位部分の既定の長さにかけて延在する。部分的にねじ山のある開口部540は、圧縮ねじ505とのねじ方式の係合を可能にするように構成された距離だけ円筒部分532内に延びる。具体的には、ねじ山のある開口部540は近位端526から遠位に延び、第1の係止ねじ505の増大された直径のヘッド507を受け入れる構成及び寸法に作られた第1のねじ山のないセクション541と、接続ねじ620のシャフト626のねじ山に係合する構成及び寸法に作られた中間ねじ山付き部分542と、骨固定要素504を通じて延びる中央長手方向チャネル146内に開かれた遠位のねじ山のない部分543と、を備える。中間のねじ山付き部分542及び遠位のねじ山のない部分543は、シャフト509の外径に相当する実質的に同じ直径を有することができる。既に詳述したように、圧縮ねじ505は、動作構成において骨固定要素504の中央長手方向チャネル146に対して長手方向に整列し、かつ開放されるように構成される、中央長手方向チャネル546を更に含み、それを通じた道具及び他の材料の挿入を可能にする。
【0021】
骨固定要素504の実質的に円筒の部分532は、内側スリーブ502を貫通して延在するチャネル508の内部に少なくとも部分的に受け入れられるように構成される。具体的には、内側スリーブ502は近位端510から遠位端512まで延在し、近位端の近位ねじ山付き部分514及びそこから遠位に延びる滑らかな外側シャフト部分516を備える。本発明の代表的な方法に関して詳細に説明されるように、内側スリーブ502は、その遠位部分が近位部分より大きい直径を有するように実質的に円錐形である。シャフト部分516の外径は、螺旋状ブレード534が近位にそれ自体の中に引かれるのを防ぐように、要素504の増大された外径の部分535の直径より小さい。シャフト部分516の内径は、内部での要素504の横方向の移動を防ぐように実質的に摩擦適合によって、実質的に円筒の部分532を受け入れる。内部への要素504のそれ自体の中への後戻りを防ぐように、近位ねじ山付き部分514はシャフト部分516より小さい内径及び外径を有する。より詳細に以下に説明されるように、近位ねじ山付き部分514には、へこみ制限ねじ506のヘッド557に係合するように構成された内部ねじ山515及び外側スリーブ503に係合するように構成された外部ねじ山517もまた提供される。
【0022】
外側スリーブ503は、近位端550から、内側スリーブ502の遠位端512に近位の遠位端552まで延びている。外側スリーブ503は、近位ねじ山付き部分554及びそこから遠位に延びるシャフト部分556もまた備える。シャフト部分556は、実質的に摩擦適合によって内側スリーブ502に係合するように構成される。近位ねじ山付き部分554は、内側スリーブ502の外部ねじ山517にねじ方式で係合するように構成された内部ねじ山558を備える。近位ねじ山付き部分554及びシャフト部分556は、リップと溝係合によって互いに取り付けられる分離した要素として形成されてもよい。したがって、内側スリーブ502及び外側スリーブ503と固定要素504とは、近位係止要素を必要とせずに互いに対して固定される。
【0023】
図25〜28に示されるように、本発明による代表的な方法により、挿入器具600を使用して骨固定システム500を骨内に案内する。挿入器具600は、細長い円筒シャフト604及びその近位端のハンドル606を有する第1の細長い道具602を備える。第1の細長い道具602は、シャフト604の遠位端608が近位ねじ山部分554の近位端550に接触するように構成される。より詳細に以下に説明されるように、道具602は、外側スリーブ503が内側スリーブ502に対して遠位に移動し、釘10へのシステムの係止が引き起こされるように、例えば時計回り方向の道具の回転が内側スリーブ502のねじ山付き部分514の上でねじ山付き部分554もまた回転するように、近位ねじ山付き部分554に係合する。第2の細長い道具610は、第1の細長い道具602内に少なくとも部分的に受け入れられる構成及び寸法に作られ、細長い実質的に円筒形のシャフト部分612及びその近位端に隣接したハンドル614を備える。シャフト部分612の既定の長さには、その上に提供された圧縮ナット618とのねじ方式の係合を可能にするように構成された外部ねじ山616が提供される。第2の細長い道具610の遠位端は、固定要素504の近位端526に係合するように構成され得、ここで、例えば、固定要素504はねじ山付き骨係合構造534を含む。挿入器具600は、第2の細長い道具610を通じて挿入可能な細長い接続ねじ620もまた備え、この接続ねじ620は細長い円筒シャフト622と、その近位端のヘッド624とを有する。接続ねじ620の遠位端は、骨固定要素504の開口部540のねじ山付き部分542にねじ方式で係合するように構成されたねじ山付き部分626を備える。
【0024】
図25に示されるように、第1の工程で、挿入器具600は骨固定システム500に接続される。次いで、接続ねじ620に遠位方向への力が付加されて、髄内釘穴12を通じて骨(図示せず)の中への、骨固定要素504及び内側スリーブ502並びに外側スリーブ503の前進が引き起こされる。固定要素504の骨係合構造534がブレードである場合、固定要素504は、そのヘッド624をハンマーでたたく力を介して接続ねじ620への遠位力を付加することによって、骨を通じて挿入され得る。骨係合構造534がねじ山である場合、使用者がハンドル614を道具610を回転して、例えば時計回り方向に回転して、骨固定要素504を回転して骨内に進めることができる。
図25の挿入構成において、内側スリーブ502はその遠位端512が外側スリーブ503の遠位端552に遠位に位置づけられるように位置づけられ得る。道具602が回転されて、外側スリーブ502を内側スリーブ502に対して遠位に移動する。外側スリーブ503に対する内側スリーブ502の相対的長手方向移動は、内側スリーブ502の遠位円錐形部分が外側スリーブ503に対して径方向拡大力を付加し、釘10内のシステム500を係止することを引き起こす。次いで、圧縮ナット618を必要な距離だけ回転して、骨に圧縮を付加することができる。
図28に示されるように、圧縮ナット618の回転は、骨係合構造534の外径の増大された部分535と内側スリーブ502及び外側スリーブ503の遠位端とが互いに近づくように移動させる。骨固定要素504が目的の位置にいったん移動した後、挿入器具600は取り除かれ、第1の係止ねじ505が骨(図示せず)内の骨固定要素504の深さに相当し得る第1の目標の深さまで開口部540内に挿入される。次いで、ヘッド557の外部ねじ山が内側スリーブ502の内部ねじ山558に係合するまで、第2の係止ねじ506が内側スリーブ502に挿入される。第2の係止ねじ506は、その遠位端が第1の係止ねじ505のヘッド507に接触するまで、遠位に内側スリーブ502にねじ込まれる。したがって、既に詳細に述べたように、第1及び第2の係止ねじ505、507は骨内で骨固定要素504の位置を係止する一方で、所望の範囲内でのその横方向の移動を可能にする。
【0025】
図29〜32に示されるように、本発明の更に別の実施形態による骨固定システム700は、前述の実施形態の骨固定釘と実質的に同様に形成された骨固定釘704を備える。骨固定釘704は、その遠位端に螺旋状ブレード734を有する実質的に円筒の細長い部分732を備える。開口部740は既定の深さまで骨固定釘704の近位端726内に延出し、近位のねじ山付き部分742及び遠位のねじ山のない部分744を備える。開口部740は、係止ねじ706にねじ方式で係合する構成及び寸法に作られる。システム700は、実質的に円筒の外側スリーブ702もまた備えており、このスリーブは近位端710から遠位端712まで延び、それ自体を貫通する中央長手方向チャネル708を有する。遠位端712は、係止ねじ706のヘッド707がそれを遠位に通り過ぎて移動するのを防ぐように選択された距離だけチャネル708内に延びる隣接部703を備える。より詳細に以下に説明されるように、内部ねじ山付き部分705は、末端キャップ750とのねじ方式の係合を可能にするように選択された距離だけ近位端710内に延びる。
【0026】
代表的な骨固定システム700は、既に説明した挿入器具600と実質的に同様に形成された挿入器具600’を使用して骨(図示せず)に挿入することができ、同様の要素は同様の参照番号によって参照される。具体的には、挿入器具600’は、細長い円筒シャフト604及びその近位端のハンドル606’を有する第1の細長い道具602’を備える。この実施形態によるハンドル606’は円周であり、第1の細長い道具602’の近位端の全周の周りに延びている。あるいは、ハンドル606’は第1の細長い道具602’の円周の周囲に配置された複数の把持部分を有する複数の部分からなるハンドルであってもよい。シャフト604の遠位端608は、外側スリーブ702の近位端710と接触するように構成される。遠位端608は、外側スリーブ702の対応する形(例えば六角形)の近位端710に係合する寸法及び形状に作ることができる。第2の細長い道具610’は、第1の細長い道具602’内に少なくとも部分的に受け入れられる構成及び寸法に作られ、細長い実質的に円筒形のシャフト部分612及びその近位端に隣接したハンドル614を備える。シャフト部分612の既定の遠位の長さは、外側スリーブ702の内部ねじ山付き部分705によるねじ方式の係合を可能にするように構成される外部ねじ山616’を備える。細長い圧縮器具620は第2の細長い道具610’を通じて挿入可能であり、細長い円筒形シャフト622及びその近位端のヘッド624を備える。細長い圧縮器具620の遠位端は、係止ねじ706のヘッド部分に係合するように構成される。
【0027】
本発明による代表的な方法によると、挿入器具600’は
図33に示されるような骨固定システム700とともに位置づけられる。次いで、
図34に示されるように、第2の細長い道具610’を使用して骨固定釘704を骨内に進める。具体的には、骨固定釘704がブレード734を備える場合は、遠位の軸方向の力が第2の細長い道具610’に付加される。骨固定釘がねじ山付きのねじの場合は、ハンドル606’を回転してねじ山付きのねじを遠位に骨内に進めることができる。次いで、横断係止キャップ16を髄内釘10の係止ねじ穴14内に挿入して、横断係止力を外側スリーブ702に付加し、その位置を係止する。
図36に示されるように、次いで、細長い圧縮要素620を第2の細長い道具610’を通じて挿入して、圧縮を加える。次いで、具体的には、細長い圧縮要素620を第2の細長い道具610’に対して回転してねじ706を回転すると、ねじ方式で係合されている固定要素704が近位に引かれる。
図37に示されるように、所望の圧縮がいったん達成された後、挿入器具600’を骨固定装置700から取り外すことができる。次いで、
図29に示されるように、末端キャップ750を外側スリーブ702内に挿入することができる。前述の実施形態においてより詳細に説明したように、骨固定釘704は、
図30の構成から
図31の構成まで外側スリーブ702内で約10mm横方向に移動することができる。より小さい範囲の移動にこの移動を制限することが望まれる場合は、より長い末端キャップ750’を外側スリーブ702内に挿入することができる。加えて、前述の実施形態でも開示されているように、末端キャップ750、750’、係止ねじ706及び骨固定釘704の全ては、医療用道具又は他の材料を挿入することを可能にするためにそれを貫通して延在し、動作中の埋め込まれた構成において互いに整列するように構成された、中央長手方向チャネルを備えることができる。
【0028】
図38〜41に示されるように、本発明の別の実施形態による骨固定システム800は、実質的に円筒の部分832と遠位の螺旋状ブレード834とを有する骨固定釘804を備える。開口部840は、その近位端に提供され、近位のねじ山付きの部分842と、中央長手方向チャネル146に開かれた遠位のねじ山のない部分844と、を備える。開口部840は、その内部に圧縮ねじ806を受け入れる構成及び寸法に作られる。この実施形態による圧縮ねじ806は、直径が拡大されたヘッド807と、近位のねじ山付きの部分842にねじ方式に係合するように構成されたねじ山付きのシャフト809と、を有する。
【0029】
骨固定システム800は、近位端810から遠位端812へと延びている実質的に円筒の外側スリーブ802もまた備え、この遠位端812は、圧縮ねじ806が遠位端812を遠位に通り過ぎて移動するのを防ぐように厚さの増した部分703を備える。外側スリーブ802の近位部は、径方向の拡大力の付加の際に径方向に外向きに偏向され得る対応する数のアーム813を画定する複数のスロット811を備える。骨固定システム800の代表的な挿入方法は、アーム813が髄内釘穴12の近位に位置づけられるように目的の深さまで骨固定釘804及び外側スリーブ802が髄内釘穴12を通じて挿入される前述の開示された方法と実質的に同様である。係止ねじ806は挿入中に開口部840内に少なくとも部分的にねじ込まれている。当業者には理解されるように、釘804及び外側スリーブ802がいったん目的の深さまで挿入されると、末端キャップ850が近位端810にねじ込まれて、外側スリーブ802の内部ねじ山852にねじ方式に係合し、外側スリーブ802を部分的に径方向に拡大することにより、骨内のその係止を助ける。より詳細に前述したように、この構成において、骨固定釘804は外側スリーブ内を軸方向に約10mm移動することが可能である。当業者には理解されるように、
図40に示されるように、末端キャップ850を通じて係止キャップ854を挿入することによってこの移動を排除又は制限し、その遠位端856を係止ねじ806のヘッド807と隣接させることができる。より詳細に前述したように、係止キャップ854は、それを長手方向に貫通して延在する中央長手方向チャネル858もまた備えることができ、それを通じて道具又は他の材料の挿入を可能にすることができる。
【0030】
図42〜44に示されるように、本発明の別の代表的な実施形態による骨固定システム900は、
図45に示されるように髄内釘10’の穴12’を通じた挿入のための寸法及び形状に作られた骨固定要素904を備える。上述の釘10と同様に、髄内釘10’は長手方向軸に沿って延在し、穴12’はその長手方向軸に対して一定の角度で釘10’を貫通して延在する。しかし、髄内釘10’は、穴12’に近位に釘10’のチャネル18’内に配置された係止突起14’及び穴12’の遠位に釘10’のチャネル18’内に配置されたプランジャ16’を更に備える。係止突起14’は、それぞれが穴12’の対向する側に位置づけられた一対のアーム22’を含む。係止突起14’は、以下に詳細に説明するように、骨固定要素904の切欠部938に係合するように穴12’内にアーム22’が延びるように釘10’内に遠位に移動することができる。係止突起14’は、係止突起14’の近位端に連結された係止ドライブ20’を介してチャネル18’内で長手方向に移動する。係止ドライブ20’は、釘10’に対する第1の方向への係止ドライブ20’の回転がチャネル18’内の遠位に係止突起14’を移動してアーム22’が穴12’内に延びるように、チャネル18’の内面にねじ方式で係合され、係止突起14’の近位端に回転可能に係合される。第2の方向への係止ドライブ20’の回転は、釘10’に対して近位に係止突起14’を移動する。
【0031】
プランジャ16’は、そこから近位に延びる突出部24’を含む。プランジャ16’は、プランジャ16’を第1の位置に付勢するばね24’を介して第1と第2の位置の間を移動可能である。第1の位置で、突出部26’は穴12’内に延び、一方、第2の位置で、プランジャ16’は、突出部16’が穴12’内に延びないように、釘10’に対して遠位に移動される。プランジャ16’を釘10’に固定するピン28’によって、プランジャ16’は既定の長手方向の範囲を超えて移動することが防がれる。突出部16’は、より詳細に以下に説明されるように、骨固定要素904の鋸歯状の部分936に係合する寸法及び形状に作られる。
【0032】
骨固定要素904は、細長い円筒部分932と、骨に係合する遠位部分934とを含む。遠位部分934は、例えばねじ山又はブレードのような骨係合構造を含むことができる。要素904は近位端910から遠位端912へと延びている。細長い部分932は、その既定の長さに沿って釘904の長手方向軸に対して実質的に平行の角度で延在する鋸歯状縁部936を備える。別の実施形態では、一対の鋸歯状部分936を、
図44に示されるように約180度、互いから分離して提供することができる。鋸歯状部分936は、穴12’を通じて骨固定要素904が骨の頭部内に挿入されることが可能だが、それを通じて内側に移動することは防がれるように、プランジャ16’の突出部26’に係合するように切断される。
【0033】
要素904は、同じく約180度、互いから分離された一対の長手方向の切欠部938もまた備え、それらはそれぞれ対応する鋸歯状の部分から約90度分離されている。切欠部938は、アーム22’が穴12’内に延びるように、係止突起14’が移動されると、係止突起14’のアーム22’によって係合される。アーム22’と長手方向切欠部938との間の係合は、骨固定要素904が釘10’に対して回転するのを防ぎ、切欠部938の近位端及び遠位端によって画定される既定の運動範囲内で内側/外側に摺動することを可能にする。
【0034】
骨固定要素が挿入される骨に係合するために、遠位部934はねじ山を有してもよく、又はブレードを含んでもよい。遠位部934はまた、それ自体の中に延在してチャネル908に対して開かれた開口部940を含んでもよい。開口部942は、本発明の範囲から逸脱せずに任意の構成(例えば、ずれて、長手方向に整列して、等)において遠位部934の上に配置することができ、埋め込み後の骨内への材料(例えば骨強化材料)の注入を可能にするために使用することができる。前述の実施形態で詳細に説明したように、開口部940は、係止ねじ(図示せず)との係合を可能にするように既定の距離だけ釘904の近位端910内に延在することができる。
【0035】
図46〜49は、本発明の別の代表的な実施形態による骨固定システム1000を図示する。この骨固定システムは、前述の実施形態の骨固定釘と実質的に同様に形成された骨固定釘1004を備える。骨固定システム1000は、骨固定釘1004を受け入れるように構成された外側スリーブ1002、及び外側スリーブ1002内に少なくとも部分的に挿入されるように構成された係止ねじ1006もまた備える。外側スリーブ1002は、長手方向軸1038に沿って、近位端1010から遠位端1012まで、それを貫通して延在する長手方向チャネル1008を備える。長手方向チャネル1008は、本発明の範囲から逸脱せずに、実質的に楕円形又は円形の円筒として形成され得る。前述の実施形態においても説明したように、髄内釘10に対する外側スリーブ1002の更なる回転安定性を提供するために、外側スリーブ1002には、第1の長手方向側壁1014及び第2の長手方向側壁1016に沿って平坦部1015もまた提供され得る。第1の長手方向側壁1014は第1の長さを有し、第2の長手方向側壁1016は近位端1010が実質的に斜めになるように、第1の長さを超える第2の長さを有する。代表的な実施形態では、対向する第1の側壁1014と第2の側壁1016の長さの差は、動作構成においてぴったりと重なって係合することができるように、係止ねじ1006の第1の側壁1014’と第2の側壁1016’の長さの差とほぼ同等である。第2の側壁1016は、外側スリーブ1002の近位端1010に隣接した返し部1018を更に備える。前述の実施形態でより詳細に説明したように、返し部1018は、髄内釘穴12の外周壁との係合を可能にするために十分な長さだけ外側スリーブ1002から突出している。
【0036】
骨固定要素1004は、近位端1026から遠位端(図示せず)まで延在する。骨固定要素1004の近位端1026は、係止ねじ1006の突出したヘッド1007に形成された凹部1009の形と相補的な形を有するツメ1028とともに形成される。具体的には、
図49に示されるように、ツメ1028は既定の距離だけ側壁1029に沿って骨固定要素1004から近位に離れて延びている。固定ねじ1006には、動作構成において内部にツメ1028を受け入れるように位置づけられた凹部1009が提供される。骨固定要素1004は、近位端1026から遠位端(図示せず)まで長手方向に延在する長手方向チャネル1030もまた備える。長手方向チャネル1030の近位部1032は、係止ねじ1006を貫通して延在するチャネル1005の直径と実質的に同様の直径で形成され、係止ねじ1006から骨固定要素1004へ、及びそれに次いで骨の目標部位へ、所望の医療用具又は注入可能な材料を妨害なしに輸送することを可能にする。
図49に示されるように、骨固定要素1030のチャネル1030の直径は、中間チャネル部分1032及び遠位チャネル部分1034を介して遠位方向に徐々に減少する。骨固定要素1004のツメ1028は、返し部1018と実質的に同様に形成されたノッチ1038を更に備え、ノッチ1038は、外側スリーブ1002のチャネル1008の近位部に提供された溝1040と歯止め方式で係合するように構成される。
図46〜49の代表的な実施形態は、外側スリーブ1002に対する骨固定要素1004の伸縮移動を可能にする一体化された歯止め機構を提供し、骨固定要素1004の内側移動を防止及び/又は抑制する一方で、その摩擦による磨耗を減少する。前述の実施形態において詳細に説明したように、骨固定要素1004の遠位部(図示せず)に螺旋状ブレード、ねじ山、ノッチ、又は他の任意の形を提供して、目標の転子位置に埋め込まれたときの骨の固定を促進することができる。
【0037】
係止ねじ1006は、溝1009に隣接したノッチ(図示せず)もまた備え、以下に詳細に説明するように、このノッチもまた、外側スリーブ1002の溝1040と歯止め方式に係合するように構成される。
【0038】
骨固定システム1000の代表的な方法によると、骨折又は他の何らかの方法で損傷を受けた骨(図示せず)を補正整合させ、任意の既知の方法でその髄腔内に、その髄内の目標位置及び向きに髄内釘10を挿入する。次いで、直径が拡大された遠位部分が髄内釘12の外に遠位に移動されるまで、髄内釘穴12を通じて骨固定要素1004を目標の深さまで挿入する。次いで、
図48に示されるように、外側スリーブ1002は、骨固定要素1004のノッチ1038が外側スリーブ1002のねじ山1040と係合するまで、髄内釘穴を通じて挿入される。次いで、髄内釘係止ねじ16’は、外側スリーブ1002の位置を係止し(例えば一時的な抽出中の)その横方向の移動を防ぐように、髄内釘10の係止ねじ穴14内に挿入され得る。外側スリーブ1002及び骨固定要素1004が穴12内に望まれるように位置づけられた後、係止ねじ1006は、凹部1009がツメ1028とぴったり重なり、その上のノッチ(図示せず)が溝1040に係止係合するように、それ自体の中に挿入される。骨固定要素1004に対する正しい定置を確保するように所望の角度で外側スリーブ1002へ挿入することを助けるために、係止ねじ1006にしるしを提供することができる。この構成において、係止ねじ1006は、ノッチ(図示せず)と溝1040との係合によって、髄内釘穴12の外へ近位に後戻りすることが防がれる。前述の実施形態のように、骨固定システム1000は、外側スリーブ1002内の骨固定要素1004の横方向の約±10mm移動を可能にする。
【0039】
本発明の意図又は範囲から逸脱せずに本発明の構造及び方法に様々な修正及び変更を行うことが可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、本発明の修正物及び変更物を、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に含まれるならば、包含するものとする。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 骨固定用装置であって、
近位端から遠位端まで延在する骨固定釘であって、前記遠位端が骨に係合するように構成された螺旋構造を有し、前記近位端がそれ自体の中に延在する開口部を有する、骨固定釘と、
髄内釘穴を通じて前記骨固定釘の近位部を超えて挿入されるように構成された第1のスリーブであって、その内部で前記骨固定釘が既定の移動範囲内で軸方向に移動することを可能にする、第1のスリーブと、
前記第1のスリーブに対する前記骨固定釘の移動を制限するように構成された係止ねじであって、前記骨固定釘の前記開口部に係止係合するように構成され、ヘッド及び前記ヘッドから遠位に延在するねじ山付きのシャフトを有する、係止ねじと、
を備えている、骨固定用装置。
(2) 前記第1のスリーブの遠位端に隣接して位置づけられた第1の放射状隣接部を更に備え、前記第1の放射状隣接部が、前記第1の放射状隣接部を通り過ぎた前記髄内釘穴の外への前記第1のスリーブの近位への後戻りを防ぐように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1の放射状隣接部が、前記髄内釘穴を通じた遠位への前進中に前記第1のスリーブに対して径方向に圧縮可能である、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記第1のスリーブの近位端に隣接して位置づけられた第2の放射状隣接部を更に備え、前記第2の放射状隣接部が、前記第2の放射状隣接部を通り過ぎた前記髄内釘穴内への前記第1のスリーブの遠位への移動を防ぐように構成されている、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記第1のスリーブの上に提供され、それに対して軸方向に移動可能な、第2のスリーブを更に備えている、実施態様1に記載の装置。
【0041】
(6) 前記第1のスリーブが、その遠位端がその近位端より大きい直径を有するように実質的に円錐形である、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記第1のスリーブの前記近位端が前記第2のスリーブの近位端にねじ方式で係合する、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記第1のスリーブの近位部が、対応する数の径方向に屈折可能なアームを画定する複数の長手方向スロットを備えている、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記骨固定釘の近位部が、前記開口部を有する第1のねじ山付きのコネクタを備え、前記第1のねじ山付きのコネクタが、前記骨固定釘に提供された溝に係合するようにその遠位端にリップを有する、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記第1のねじ山付きのコネクタにねじ方式で係合するように構成され、前記骨固定釘の前記近位部の外径と実質的に同等の外径を有する、第2のねじ山付きのコネクタを更に備えている、実施態様9に記載の装置。
【0042】
(11) 前記第2のねじ山付きのコネクタの遠位面が、前記骨固定釘の前記近位部の対応する処置された表面に係合するように構成された、処置された表面を備えている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記処置された表面が、鋸歯状及びノッチ付きのいずれかである、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記第2のねじ山付きのコネクタが、一対のスロットを備え、前記一対のスロットが、挿入器具に係合するために前記一対のスロットから延びている径方向に突出したツメを画定する、実施態様10に記載の装置。
(14) 前記係止ねじの前記ヘッドの直径が、前記第1のスリーブの内径より大きい又はそれと等しい直径である、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記骨固定釘が、それを貫通して延在する、近位端及び遠位端が開かれている中央長手方向チャネルを備えて、それを通じた道具の挿入を可能にする、実施態様1に記載の装置。
【0043】
(16) 前記螺旋構造が、その中に延在する、前記中央長手方向チャネルに対して開かれている第1の開口部を備えて、それを通じた材料の注入及び引き出しのいずれかを可能にする、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記螺旋構造の近位端が、直径が拡大された部分を備えて、前記骨固定釘が近位に後戻りし前記直径が拡大された部分を通り過ぎて前記第1のスリーブ内に入ることを防ぐ、実施態様1に記載の装置。
(18) 前記螺旋構造が、螺旋状ブレード及びねじ山付き部分のいずれかである、実施態様1に記載の装置。
(19) 前記骨固定釘の近位部が、その第1の長手方向側壁に沿って延在する第1の鋸歯部分を備える、実施態様1に記載の装置。
(20) 前記骨固定釘の前記近位端に位置づけられたノッチを更に備え、前記ノッチが、前記外側スリーブに対して前記骨固定釘の位置を係止するように前記第1のスリーブの溝付きの部分に歯止め方式で係合するように構成される、実施態様1に記載の装置。
【0044】
(21) 前記係止ねじの遠位端に位置づけられた第2のノッチを更に備え、前記第2のノッチが、前記外側スリーブに対して前記係止ねじの位置を係止するように前記第1のスリーブの前記溝付きの部分に歯止め方式で係合するように構成される、実施態様20に記載の装置。
(22) 骨固定のための方法であって、
髄内釘穴を通じて、第1の目標の深さまで骨内に骨固定釘を挿入する工程であって、前記骨固定釘が近位端から遠位端まで延在し、前記遠位端が、前記骨に係止係合するように構成された螺旋構造を有し、前記近位端がそれ自体の中に延在する開口部を有する、工程と、
第1のスリーブを前記髄内釘穴に、前記骨固定釘の近位部を超えて挿入する工程であって、前記第1のスリーブが、その内部で前記骨固定釘が既定の移動範囲内で軸方向に移動することを可能にする、工程と、
前記骨固定釘と第1のスリーブを互いに対して望ましい空間的関係に配置する工程と、
係止ねじを、前記第1のスリーブを通じて前記骨固定釘の前記開口部内に挿入して、前記第1のスリーブに対する前記骨固定釘の移動を所望の移動範囲内に制限する工程であって、前記係止ねじがヘッド及び前記ヘッドから遠位に延びるねじ山付きのシャフトを有する、工程と、を含む、方法。
(23) 前記第1のスリーブが、その遠位端に隣接して位置づけられた第1の放射状隣接部が前記髄内釘穴の遠位に位置づけられるまで前記髄内釘穴内に挿入され、前記第1のスリーブが前記第1の放射状隣接部を通り過ぎて前記髄内釘穴の外に近位に移動するのを防ぐ、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記第1のスリーブが、前記第1のスリーブの近位端に隣接して位置づけられた第2の放射状隣接部が前記髄内釘穴の近位に位置づけられるように前記髄内釘穴内に挿入され、前記第2の放射状隣接部が、前記第2の放射状隣接部を通り過ぎた前記髄内釘穴内への前記第1のスリーブの遠位移動を防ぐ、実施態様23に記載の方法。
(25) 第2のスリーブを前記第1のスリーブの上に挿入する工程であって、前記第1のスリーブが、その遠位端がその近位端より大きい直径を有するように実質的に円錐形である、工程と、
前記第1のスリーブを前記第2のスリーブ内へと近位にねじ方式で移動してその径方向拡大を引き起こす工程と、
を更に含む、実施態様22に記載の方法。
【0045】
(26) 前記第1のスリーブ内に末端キャップを挿入する工程を更に含み、前記末端キャップが前記第1のスリーブの近位端に提供された内部ねじ山にねじ方式で係合し、前記末端キャップの遠位端が前記係止ねじの前記ヘッドに係合して、前記第1のスリーブに対する前記骨固定釘の軸方向移動を防ぐ、実施態様22に記載の方法。
(27) 前記第1のスリーブ内に係止ナットを挿入する工程を更に含み、その挿入が前記第1のスリーブの近位部の径方向拡大を引き起こすように前記係止の少なくとも一部は前記第1のスリーブの内径より大きい直径を有する、実施態様22に記載の方法。
(28) 前記骨への埋め込み後に医療処置を行うために、前記係止ねじ、第1のスリーブ、及び骨固定釘を通じて道具を挿入する工程を更に含む、実施態様22に記載の方法。
(29) 前記骨固定釘を通じて前記骨内に骨強化材を注入する工程を更に含む、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記第1のスリーブに対する前記骨固定釘の横方向の移動を防ぐために、前記骨固定釘の近位端に隣接して位置づけられた放射状隣接部が前記第1のスリーブを貫通して延在するチャネル内に形成された溝に係合するまで前記第1のスリーブが前記髄内釘穴内に挿入される、実施態様22に記載の方法。
【0046】
(31) 前記係止ねじが、その遠位端が前記骨固定釘の前記近位端に係合するまで前記第1のスリーブを通じて挿入される、実施態様30に記載の方法。