特許第5931963号(P5931963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5931963振動舌片によって音発生装置の振動周波数範囲を調整する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5931963
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】振動舌片によって音発生装置の振動周波数範囲を調整する方法
(51)【国際特許分類】
   G10F 1/06 20060101AFI20160526BHJP
   G10D 13/00 20060101ALN20160526BHJP
【FI】
   G10F1/06 P
   !G10D13/00 180
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-122153(P2014-122153)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-1746(P2015-1746A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2014年6月13日
(31)【優先権主張番号】13172119.3
(32)【優先日】2013年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】レネ・ピゲ
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ジュノー
(72)【発明者】
【氏名】ポリクロニス・ナキス・カラパティス
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・マレシャル
【審査官】 千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−055325(JP,U)
【文献】 特開2006−003386(JP,A)
【文献】 実公昭40−007334(JP,Y1)
【文献】 米国特許第05824927(US,A)
【文献】 特開2004−029273(JP,A)
【文献】 特開2011−059462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10F 1/00−5/06
G10D 11/00−13/08
G10B 1/00−3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数の振動舌片(2C)を有する音発生装置(1)の振動周波数範囲を調整する方法であって、
前記装置は、櫛体(2A)と、この櫛体(2A)から延びる少なくとも1つの振動舌片とによって形成される集合体を有し、
前記櫛体は、少なくとも1つの穴(2B)を有し、支持顎体(4)と、及び前記櫛体の穴を貫通する締め付け要素(5)とによって、前記櫛体が支持体(3)に固定され、
当該方法は、前記支持顎体(4)と局所的対向支持部(7)の間の一又は複数の舌片の局所化されたクランプによって、振動する一又は複数の舌片の自由長を小さくすることによって、周波数範囲を調整し、
前記一又は複数の舌片が動くことが可能になるように、前記櫛体の穴(2B)が前記一又は複数の舌片の長さ方向に伸長されている
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の調整方法を実施するための手段であって、
一又は複数の振動舌片を有する音発生装置を備え、
この音発生装置は、櫛体(2A)と、櫛体(2A)から延びる少なくとも1つの振動舌片とによって形成され、
前記櫛体は、少なくとも1つの穴(2B)を有し、これによって、支持顎体(4)と、及び支持顎体(4)と前記櫛体の穴を貫通する締め付け要素(5)によって、前記櫛体が支持体(3)に固定され、
当該手段は、前記支持顎体(4)と局所的対向支持部(7)の間の一又は複数の舌片の局所化されたクランプによって、振動する一又は複数の舌片の自由長を小さくする手段を有し、
前記支持顎体(4)及び前記支持体(3)は、一又は複数の舌片の局所的クランプ領域(P)を形成するように構成し、
前記局所的クランプ領域(P)に対して前記一又は複数の舌片が動くことが可能になるように、前記櫛体の穴(2B)が前記一又は複数の舌片の長さ方向に伸長される
ことを特徴とする手段。
【請求項3】
請求項に記載の一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前記支持体(3)は、前縁に第1のリブ(7A)を有し、
前記顎体(4)は、前縁に第2のリブ(4A)を有し、
この第2のリブは、前記支持体の前記第1のリブ(7A)に対向するように位置して、前記第1のリブとクランプを形成する
ことを特徴とする手段。
【請求項4】
請求項に記載の一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前記支持体(3)の後縁及び前記顎体(4)の後縁も、お互い対向するように位置する他のリブ(7B、4B)を有する
ことを特徴とする手段。
【請求項5】
請求項2に記載の一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前記対向支持部は、前記支持体とは独立な部分(8)によって形成され、第2の対向支持顎体(8)を形成する
ことを特徴とする手段。
【請求項6】
請求項に記載一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前記2つの顎体(4、8)は、交差するハサミの形態で交差する形状を有する
ことを特徴とする手段。
【請求項7】
請求項に記載の一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前記第1及び第2の顎体(4、8)は、2つの板(10A、10B、11A、11B)によって形成され、
これらの板は、2つの実質的に平行な平面に位置し、かつ、交差形状メンバー(12A、12B)によって接合され、
これらの板の一方は、第1のループ(12A)によって形成され、
これらの板の他方は、前記第1のループ(12A)に挿入された傾斜した第2のループ(12B)によって形成され、
前記舌片の前方クランプ領域(P)及び後方クランプ領域(R)を形成するように、前記2つの板は、お互い対向するリブをそれぞれ有する
ことを特徴とする手段。
【請求項8】
請求項に記載の一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前記2つの顎体(4、8)は、これらの顎体の遠端で協力してはたらき、一種のピボットを当該遠端にて形成し、前記ピボットの後方では、各顎体がリブ(4A、8A)を有し、これによってクランプ領域が形成される
ことを特徴とする手段。
【請求項9】
請求項に記載の一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前方を向いての当該手段の2つの側面において、前記第2の対向支持顎体(8)は、当該第2の顎体の後方に向かって開いているフック(20)を有し、
このフックには、前記第1の支持顎体(4)の前縁の2つの突起(21)が挿入され、これによってピボットを形成する
ことを特徴とする手段。
【請求項10】
請求項に記載の一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する手段であって、
前記対向支持部は、固定手段によって前記顎体(4)に固定された交差片(8)によって形成され、
前記固定手段は、前記交差片を前記顎体(4)の方向に動かして前記一又は複数の舌片をクランプすることができる
ことを特徴とする手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一又は複数の振動舌片(tongue)ないし振動片(strip)を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アントワーヌ・ファーブル(Antoine Fabre)によって1796年に作られた最初の音楽ボックス(musical box;オルゴール)は、複数のピンが設けられたシリンダーと、音楽ピンバレルとして定義される舌片の群によって形成されていた。シリンダーが回転すると、シリンダー上のピンがピンバレルの鋼鉄製の舌片をよく定められた順序で持ち上げ、その後に放すように構成しており、これらは完璧なまでに調音されていて音を再生するようになっている。これらの舌片が落ちるごとに舌片が振動する。このように、再生されるべきメロディーから舌片が音を1つずつ間接的に発生させる。
【0003】
前述の音発生装置を有するこの種の音楽ボックスは、宝石箱やおもちゃ、また、腕時計に内臓させることができる。
【0004】
これに関連して特許文献1を引用する。これは、支持片及びクランプの間にクランプされた櫛体(comb)で保持される舌片を開示している。
【0005】
舌片によって作られる音響周波数を調節するために、舌片に負荷メンバーを与えることができる。この負荷メンバーは動くことができ、舌片上の負荷メンバーの位置に従って周波数が変わり、この結果、発生する音に変動が生じる。
【0006】
特許文献2は、共通の櫛体によって接続された舌片の群を開示している。この櫛体はベース上で固定されており、このベースでは、クランプと櫛体を貫通するネジを用いてクランプにより櫛体が支持され保持される。舌片を調整するために、負荷メンバーを与えるのではなく、舌片が機械加工されて材料が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2755697号公報
【特許文献2】米国特許第3013460号公報
【0008】
異なる長さを有するこの舌片の群を支持体やベースに固定するためには、通常、クランプが用いられる。このクランプは、櫛体に適用され、ネジによって特定位置に保持される。これらのネジの軸は、クランプや櫛体に設けられた穴を貫通し、それぞれ支持体に設けられたネジ切りされたシンク(threaded sink)に合わせられる。このクランプは櫛体を押すだけであり、開けられた穴は、ネジの軸の直径に対して動作上の遊びを設けるようにして作られる。
【0009】
原則的には、舌片の長さはそれぞれ所定の周波数の音を発生するように計算され、調整については特に作業が必要ではない。しかし、上述のように、特許文献1記載のように舌片に負荷メンバーを与えることによって、あるいは特許文献2記載のように材料を除去することによって、舌片の振動周波数をそれぞれ調整することができる。このようにして精密な調整が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1のスライドする負荷メンバーを与える手法は、腕時計に内蔵させる装置の場合には実装するのが難しい。これは小型化が必要とされるからである。また、信頼性に課題が発生する。なぜなら、負荷メンバーを固定するネジが振動によって緩みやすいので負荷メンバーを舌片に固定することが難しいからである。
【0011】
特許文献2に記載された手法はより信頼性が高いが、ピンバレルに対して付加的な機械加工をする必要がある。
【0012】
これらの精密な調整の範囲を超えて、別の周波数範囲で動作することが望まれる場合に、異なる舌片長さを有する別のピンバレルを作る必要性が発生する。毎回自分が望む舌片長さを有するピンバレルを作ることが必要になり、これは問題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述した現状の課題を解決する手段を提供することを提案する。
【0014】
以上を鑑みて、本発明は、一又は複数の振動舌片を有する音発生装置の振動周波数範囲を調整する方法に関し、前記装置は、櫛体と、この櫛体から延びる少なくとも1つの振動舌片とによって形成される集合体を有し、前記櫛体は、少なくとも1つの穴を有し、支持顎体と、及び前記櫛体の穴を貫通する締め付け要素とによって、前記櫛体が支持体に固定され、当該方法は、前記支持顎体と局所的対向支持部の間の一又は複数の舌片の局所化されたクランプによって、振動する一又は複数の舌片の自由長を小さくすることによって、周波数範囲を調整する。
【0015】
また、本発明は、調整方法を実装するための手段にも関し、個の手段は、一又は複数の振動舌片を有する音発生装置を備え、この音発生装置は、櫛体と、櫛体から延びる少なくとも1つの振動舌片とによって形成され、前記舌片は、少なくとも1つの穴を有し、これによって、支持顎体と、及び支持顎体と顎体の穴を貫通する締め付け要素とによって、前記舌片が支持体に固定され、当該手段は、前記支持顎体と局所的対向支持部の間の一又は複数の舌片の局所化されたクランプによって、振動する一又は複数の舌片の自由長を小さくする手段を有する。
【0016】
音楽ピンバレルの周波数範囲を調整する手段が設けられた音発生装置の利点の1つは、振動する一又は複数の舌片の一般的な長さをピンバレルを変更せずに容易に調整できるということに基づく。これによって、ピンバレルの櫛体が当該装置の支持体に固定されている場合に、一又は複数の舌片の端部を局所的にクランプすることにより、支持体に固定された少なくとも1つの顎体を介して、及び対向支持部を介して、周波数範囲を適合させることが可能になる。このように、腕時計等への取り付けが適合したピンバレルの舌片によって音が生成されることを可能にしながら、標準的なピンバレルを容易に作ることができる。
【0017】
また、好都合なことに、音発生装置のこれらの調整手段は、櫛体の上部及び下部に、そして、舌片の端部に設けられた支持体によってピンバレルの固定を改善するように構成することができる。このようにして、腕時計の音を放射する部品への音響的な伝達を改善することができる。
【0018】
本発明は、図面を参照しながら以下に例(これに限定されない)を用いて説明することによって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に従って音楽ピンバレルの周波数範囲を調整する手段が設けられた音発生装置の第1の実施形態の斜視図である。
図2図1の音発生装置の垂直方向の断面図である。
図3】本発明に従って音楽ピンバレルの周波数範囲を調整する手段が設けられた音発生装置の第2の実施形態の斜視図である。
図4図3の音発生装置の垂直方向の断面図である。
図5】本発明に従って音楽ピンバレルの周波数範囲を調整する手段が設けられた音発生装置の第3の実施形態の斜視図である。
図6図5の音発生装置の垂直方向の断面図である。
図7】本発明に従って音楽ピンバレルの周波数範囲を調整する手段が設けられた音発生装置の第4の実施形態の斜視図である。
図8図7の音発生装置の垂直方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の各図を参照する。装置1は、音楽を発生させるための振動舌片を有するように示されており、異なる長さの振動舌片2Cの群2を有し、一定範囲の音を発生させる。振動舌片2Cはすべてその一端が櫛体2Aにつながれており、櫛状構造を形成する。この舌片の群は、ピンバレルとも呼ばれ、その舌片と櫛体は、単一の材料片で作られる。しかし、単一の舌片の一端が固定用櫛体に接続されるものを作ることも想定することができる。
【0021】
手段(図示せず)によって、プログラムされた手法で、メロディーを発生させるために舌片の自由端を動かしたり放したりすることが可能になる。この手段は、バネ機構によって回転駆動されるドラム又はディスクとすることができる。このドラム又はディスクは、ドラムの円筒状の表面又はディスクの片面の上で突出する突起(lug)が設けられる。この突起が舌片の端を通る際、この舌片のカム形状の端が動き、ないし持ち上げられ、そして急激に落ちる。このようにして、舌片にはそれぞれ振動が発生する。
【0022】
舌片2Cの片方の端に接続する櫛体2Aには、支持顎体(support jaw)4によって当該櫛体を支持体3又はベース上で支持するために穴2Bが設けられている。好ましくは、櫛体2Aは、これを支持体3に固定するための穴2Bを少なくとも2つ有する。この顎体4は、櫛体上に支持されており、少なくとも1つの締め付け要素5によって固定され、この締め付け要素5は、顎体4と、櫛体2Aの穴2Bのうちの1つとを縦断する。好ましくは、少なくとも2つの締め付け要素5のそれぞれが櫛体の2つの穴2Bを通り抜け、この締め付け要素5は、櫛体を支持体に固定するように構成しており、櫛体は、顎体4の一部分と支持体3の表面の間でクランプされる。締め付け要素5は、ネジであることが好ましく、ネジの先頭が顎体4の上面に対して押された状態で、締め付け要素5の軸が顎体における対応する開口部を通り抜け、その後、支持体3の雌ネジにねじ込まれる。各締め付けネジが支持体の雌ネジにねじ込まれるほど、ピンバレルの舌片2Cの端部分に加わるクランプ力が大きくなり、これによって、良好な保持が確実になる。
【0023】
支持顎体4は、クランプを形成する剛性が高い厚い板によって形成されており、これは、櫛体と、この櫛体に接続された舌片の端部とをカバーする。櫛体と舌片の端部とを挟むことで顎体4を支持体に固定することによって、各舌片の有効長を合わせることができる。有効長は、ピンバレルの各舌片の振動パラメーターのうちの1つである。
【0024】
これを有利な手法で実現するために、図2に示すように、一又は複数の振動舌片2Cの自由長を減らすことによって周波数範囲を調整することができ、これは、支持顎体4と局所的な対向支持部7の間で当該舌片を局所的にクランプすることによって行うことができる。支持顎体4と、支持体3の対向支持部7との間の舌片2Cの端部をクランプすることは、櫛体によるピンバレルの固定を増強することとして考えることができることがある。図2の第1のクランプポイントと、櫛体からさらに離れて位置する第2のクランプポイントとの間のクランプによって、当該一又は複数の舌片は振動することができなくなる。このようにして、舌片のこれらのクランプされた部分は、ピンバレルの櫛体のようにふるまう。
【0025】
一又は複数の舌片の新しい有効な領域は、図2の第1のクランプポイントでのクランプと、各舌片の自由端との間に位置する。これに対して、現状の先端技術に従うと、各舌片の有効な領域は、各舌片と櫛体の間の接合ポイントで開始する。
【0026】
したがって、このようなピンバレルの一又は複数の舌片の局所化されたクランプによって、図2、4、6及び8に示すように、クランプ領域Pにおいて新しい振動節が作られる。このようにして、図2に示すように、顎体4と、局所的な対向支持部7等との間の局所化されたクランプによって各振動舌片の有効長又は自由長を減らす手段が用いられる。
【0027】
これを実現するために、支持顎体4と、少なくとも間接的に支持体3は、局所的クランプ領域Pを形成するように構成し、櫛体の一又は複数の穴2Bは、各舌片の方向に沿って伸長され、各舌片が局所的クランプ領域Pに対して動くことが可能になる。櫛体2Aから距離を置いた位置で各舌片2Cを押すことによって、新しい振動舌片長さが定められ、これは、元の長さよりも短い。この元の長さは、櫛体と、ピンバレルの各舌片の自由端との間の距離であった。
【0028】
このようにして、支持顎体4と対向支持部7は、櫛体2A及び一又は複数の舌片2Cの端部を支持体3上にロックする。局所的クランプ領域と櫛体の間に位置する、この舌片の端部は、このようにして不動にされ、よって、振動しなくなる。したがって、一又は複数の舌片の有効長は、局所的クランプ領域と、前記舌片の自由端との間で延びる。
【0029】
ピンバレルの一又は複数の舌片の有効長を調整するために、舌片に接続された櫛体は、特に、固定ポイントを形成する、支持体3、支持顎体4、及び対向支持部7に対して動かされる。このようなピンバレルの運動は、櫛体2Aの一又は複数の穴2Bが各舌片の長さ方向の軸に沿って伸長するために可能となる。櫛体がさらに後退するように動くほど、ネジを締め付けることによって顎体が支持体に固定された後に、各舌片の有効長がより短くなる。このようにしてピンバレルの一又は複数の舌片から材料を除去したり、これに材料を付加させずに、周波数ないし周波数範囲を変更することができる。
【0030】
支持体3と、支持顎体4のような一又は複数の舌片を固定する手段とは、固定位置を有する手段として考えられる。このようにして、櫛体を動かし、よって、一又は複数の舌片を動かすことによって、音発生装置が調整される。
【0031】
音楽ピンバレルの周波数範囲を調整する手段が設けられた音発生装置のいくつかの実施形態を以下に説明する。
【0032】
上で部分的に説明した図1及び2の第1の実施形態において、対向支持部7が支持体3によって直接形成される。支持体3は、その前縁上にリブ(rib)7Aを有し、顎体4の前縁もリブ4Aを有する。このリブ4Aは、支持体のリブ7Aに対向するように位置して、クランプを形成する。このクランプは、ピンバレルの一又は複数の舌片の端部上の第1のクランプポイントを定める。
【0033】
締め付けを改善するために、支持体3の後縁及び顎体4の後縁もまた、リブ3B、4Bをそれぞれ有し、これらは、お互い対向するように位置する。このようにして、櫛体2A及び一又は複数の舌片2Cは、支持体と顎体に対してリブにおいてのみ接触しており、ネジによって顎体4に与えられた力は、舌片及び櫛体に対する局所的クランプ圧力へと変換される。この圧力は、クランプ領域に集中している。
【0034】
図3及び4に示す第2の実施形態において、対向支持部は、支持体3と独立な部分8にある。これによって、第2の顎体8ないし対向支持顎体が形成される。この実施形態に従うと、二部分形成顎体4、8は、交差するハサミのように交差するように構成する。
【0035】
各顎体4、8は、2つの板10A、10B、11A及び11Bを有し、これらは2つの実質的に平行な平面上に位置し、交差形状メンバー12A、12Bによって接合され、これらの一方は第1のループ12Aであり、他方は傾斜した第2のループ12Bである。この傾斜した第2のループ12Bは、第1のループ12Aに挿入される。ピンバレルの舌片は、これら第1及び第2のループの間を通る。板は、お互い対向するリブを有し、前方クランプ領域Pと後方クランプ領域Rを形成する。前方クランプ領域Pは、ピンバレルの舌片の端部をクランプするように構成する。これは、当該ピンバレルの周波数範囲を調整するためである。クランプ領域Pを第1のクランプポイントとして定めることができ、一方、櫛体上の後方クランプ領域Rを第2のクランプポイントとして定めることができる。
【0036】
クランプ領域Rは、リブ4B、8Bの対のうちの1つによって形成され、これらは、各部品の後方と交差部分の間に位置する。クランプ領域Pにある他のリブの対4A、8Aは、交差形状メンバーの後に、これらからできるだけ離れて配置される。締め付けネジ5に最も近く、したがって、交差形状メンバーの後方にあるリブ4B、8Bがピボット線として機能すると想定することができる。
【0037】
ハサミ10aの2つのアームの1つは、支持体3上に支持され、顎体10Bを有する。顎体10Bは、ピンバレル2の舌片の上にあり、これに対して、他方のアームは、櫛体の上にあり、その顎体は舌片の下にある。
【0038】
上述の図1及び2の第1の実施形態において、舌片の自由長のみが、支持体3から突き出ている。しかし、この図3及び4の第2の実施形態においては、舌片クランプ領域Pが前記支持体から突き出ている。好ましくは、支持体3に支持される第2の顎体8は、第1の顎体4よりも剛性を有するように構成される。
【0039】
得られる「てこの原理」の効果は、締め付けネジ5に対して及びハサミの回転軸の位置に対してのリブ4A、8A、及び4B、8Bの対の位置に依存して、大きいこともあるし、小さいこともある。この解決手段に従うと、回転軸は、顎体4、8が交差する領域を越えた位置にリブ4B、8Bの対によって形成される。
【0040】
図5及び6に、音発生装置の第3の実施形態を示す。今回は、2つの顎体4、8は、一種のピボットを形成するように、それらの遠端で協力してはたらく。ピボットの後方には、各顎体はリブ4A、8Aを有し、クランプ領域Pを定める。このように、一又は複数の締め付けネジ5を締め付けると、ピンバレルの一又は複数の舌片のリブ4A、8Aがお互いが近くなるように動く。
【0041】
ピボット線を形成するには、いくつかの手法の可能性が考えられる。具体的には、前方に向かって2つの側面には、対向支持部を形成する第2の顎体8が、顎体の後方に向かって開いているフック20を備えている。第1の顎体4の前縁の2つの突起21は、これらのフック20に挿入され、ピボットを形成する。2つの顎体4及び8は、ピンバレルの振動舌片の群よりも幅広である。また、このピボットの集合体は、舌片を通すために開口部が開いたままになっている。
【0042】
図7及び8に、音発生装置の第4の実施形態を示す。この実施形態において、対向支持部を形成する交差片8が、支持顎体4の遠端に固定される。また顎体4は支持体3にも固定される。この部分ないし交差片8は、顎体4に固く固定され、これは、例えば、弾性的なロックやネジによる締め付けによって行う(図示せず)。
【0043】
交差片8を顎体4に固定する手段は、交差片を顎体4の方へ動かすことができ、これによって、舌片の端部をクランプする。このように、これらの固定手段の原理は、櫛体から距離をおいて舌片をクランプすることによって、櫛体を人工的に伸長させ、舌片の自由長を減らすことにある。これによって、自由な舌片それぞれの共鳴周波数を変更することができる。
【0044】
本明細書の説明から、当業者は、特許請求の範囲により定められる本発明の範囲から逸脱せずに、音楽ピンバレルの周波数範囲を調節する手段を備える音発生装置のいくつかの編集を考えつくことができるであろう。音楽ピンバレルの周波数範囲を部分的に変更するために、ピンバレルの舌片すべてではなく、ピンバレルの特定の舌片に対する選択的なクランプを行うことができる。ピンバレルの舌片の周波数範囲を収集する2つの別々の手段を、例えば、同じ支持体上に、固定されるように用意することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 音発生装置
2 ピンバレル
2A 櫛体
2B 穴
2C 振動舌片
3 支持体
4 支持顎体
4A、4B、7A、7B、8A、8B リブ
5 締め付け要素
7 局所的対向支持部
8 交差片
12A、12B ループ
20 フック
21 突起
P 局所的クランプ領域
R 後方クランプ領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8