(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベース部材は、前記収容部材が初期位置にあるときに前記収容部材の回動を禁止する回動禁止手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の作業用具収容装置。
前記収容部材の下面は開口しており、前記収容部材の内側面適所には、作業用具を収納する収納袋を係止可能な係止部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の作業用具収容装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態に係る作業用具収容装置について
図1〜
図3に基づいて説明する。
図1は本発明の第一の実施形態に係る作業用具収容装置の斜視図であり、(a)内箱が初期位置にある状態を示し、(b)は内箱が前進位置にある状態を示す図である。
図2はベース部材の斜視図であり、(a)は正面側から観察した図であり、(b)は背面側から観察した図である。
図3は、バケットとベース部材との関係を示す一部断面側面図であり、(a)はベース固定片が離間位置にある状態を示し、(b)はベース固定片が近接位置にある状態を示す図である。なお、
図3においては回動機構90に関わる部分を省略している。
本実施形態に係る作業用具収容装置は、高所作業車のバケットの一の外側面に着脱自在に装着され、収容部材内に作業用具を収容した状態で、バケットの側面に沿った方向に自在に回動するように構成されている点に特徴がある。
なお、以下の説明においては、作業用具収容装置のバケット側を「背面側」、又は「後方側」とし、バケット側から離れた側を「正面側」又は「前方側」として説明する。また、バケットを正面から見たときに左右に伸びる方向を「幅方向」とし、背面と正面とを結ぶ方向を「奥行方向」として説明する。
【0013】
作業用具収容装置1は、
図3に示すように上面が開口したバケット200の一つの外側面202に着脱自在に装着される装置である。作業用具収容装置1は、
図1、及び
図3に示すようにバケット200の上端縁201に掛止する掛止部13を備えたベース部材10と、バケット200の底面203から離間した離間位置とバケット200の底面203に近接した近接位置との間を進退自在に構成されて、近接位置にあるときに掛止部13との間でバケット200を挟むことによりベース部材10をバケット200に対して固定するベース固定片20と、作業用具を収容する収容部51を有し、バケット200一つの外側面202と並行な方向に回動するようにベース部材10によって支持された収容部材50と、を備えている。
【0014】
<ベース部材>
図2に示すように、ベース部材10は、作業員が搭乗する高所作業車のバケット200の外側面202に添設されるベース板11と、ベース板11の上端部に設けられた掛止部13とを有する。
ベース板11は平板状の部材であり、収容部材50を回動自在に支持する軸穴(軸支部)91と、軸穴91中心として所定の角度範囲内にて円弧状に形成された回動角抑制穴101と、軸穴91を中心として所定の角度毎に貫通形成された複数の固定穴111と、を備える。軸穴91は後述する回動機構90を構成し、回動角抑制穴101は後述する回動角抑制機構100を構成する。回動角抑制穴101は収容部材50を回動させる際のガイドとして機能すると共に、収容部材50の回動範囲を制限する。固定穴111は後述する固定機構110を構成し、収容部材50を所定の回動角度にて固定する。
ベース板11は、収容部材50内に収容される作業用具の重量や、収容部材50の回動動作に耐えうる程度の剛性を有する材料から作製される。例えば、繊維強化プラスチックや金属等、種々の材料から作製することができる。
【0015】
掛止部13は、例えば概略逆J字状のフックとすることができる。
掛止部13のバケット200の上端縁201との接触部位には、バケット200に傷が付くことを防止する緩衝材15が配置されている。緩衝材15としては、ネオプレンゴムやスポンジ等の柔軟な素材を用いる。また、緩衝材15としてバケット200との摩擦力を高める素材を用いた場合には、掛止部13がバケット200の上端縁201に対して滑りにくくなり、ベース部材10をバケットに固定する際の滑り止めとして機能させることができる。
【0016】
<ベース固定片>
図3に示すように、ベース固定片20は後述する進退機構30によって、バケット200の底面203から離間した離間位置とバケット200の底面203に近接した近接位置との間を進退自在に構成されている。
ベース固定片20が離間位置にあるとき、作業用具収容装置1をバケット200に対して着脱操作する際に、ベース固定片20が着脱操作の障害とならない。その一方で、近接位置にあるベース固定片20は、バケット200に対する作業用具収容装置1の着脱操作を阻止する。特に、本実施形態においてベース固定片20は、近接位置にあるときにバケット200底面203に密着して、掛止部13との間でバケット200を上下方向に挟むことによりベース部材10をバケット200に対して固定することができる。
【0017】
図2に示すように、ベース固定片20は、所定の幅方向長、及び奥行方向長を有し、バケット200の底面203に対してバケット200の下方から接近し、又は離間する。
ベース固定片20のバケット200底面203との接触部位には、バケット200の底面203に傷が付くことを防止する緩衝材15が配置されている。図示する緩衝材15は、ベース固定片20の幅方向両端部にのみ配置されているが、ベース固定片20に対して全面的に設けられていてもよい。緩衝材15としては、ネオプレンゴムやスポンジ等の柔軟な素材を用いる。また、緩衝材15としてバケット200との摩擦力を高めうる素材を用いた場合には、ベース固定片20がバケット200の底面203に対して滑りにくくなり、ベース部材10をバケット200に固定する際の滑り止めとして機能させることができる。
【0018】
<ベース固定片の進退機構>
図2及び
図3に示すように、離間位置と近接位置との間でベース固定片20を自在に進退(上下動)させる進退機構30は、ベース板11の後方側(バケット200の外側面202と対向する側)に形成されてベース固定片20を上下方向にガイドするガイド部31と、ベース固定片20に一体化されて、ガイド部31によってガイドされる被ガイド部33と、ガイド部31の適所に係止されることにより、ベース固定片20の落下を防止する落下防止ストッパ35と、を備える。本実施形態においてベース固定片20の離間位置は、近接位置の下方、言い換えればバケット200の底面203の直下に下降した位置である。
【0019】
図示するガイド部31は、上下方向に貫通形成された挿通穴を有した概略角筒状であり、ベース板11の幅方向両端部に夫々形成されている。ガイド部31は、被ガイド部33を上下方向にガイドする。ガイド部31の後方側には、バケット200の外側面202と接触したときに、外側面202に傷が付くことを防止する緩衝材15が配置されている。
図示する被ガイド部33は、ベース固定片20の幅方向両端部から上方に伸びる一対の帯板状の部材であり、夫々がガイド部31内に進退自在に挿通される。なお、図示するガイド部31及び被ガイド部の構成は一例に過ぎない。例えばガイド部をレール状の部材とし、被ガイド部を、レールを自在にスライドするキャリッジとしてもよい。
落下防止ストッパ35は、被ガイド部33の上端に一体化されると共に、ガイド部31の挿通穴内を通過不能な大きさを有する。落下防止ストッパ35がガイド部31の上端に係止されたときのベース固定片20の位置が離間位置である。ベース固定片20は、落下防止ストッパ35によって離間位置よりも下方への移動が阻止される。
【0020】
また、進退機構30は、一端を落下防止ストッパ35に取り付けられた操作用線材37(ベース固定片操作手段)と、操作用線材37の他端に配置されたリング39と、ベース板11の適所に形成されてリング39を掛止する上部フック41と下部フック43とを備える。
操作用線材37は、バケット200に乗り込んだ作業員が、ベース固定片20を上下方向に移動させる際に用いる。操作用線材37は、柔軟性のある自在に折り曲げ可能な線材であり、ロープ、ゴム紐、チェーン等種々のものを用いることができる。また、操作用線材37は、弾性を有する伸縮性の材料から構成してもよいし、非伸縮性の材料から構成してもよい。前者の場合は、線材の弾性を利用してベース固定片20をバケット200の底面203に密着させることが可能となるが、バケット200に対する作業用具収容装置1のがたつきの原因とならないように、線材の有するばね定数を適宜設定する必要がある。
リング39は、操作用線材37を上部フック41又は下部フック43の何れかに掛止する際に用いる。リング39を上部フック41に掛止した場合には、ベース固定片20が離間位置にある場合において操作用線材37の垂れ下がりを防止する。また、操作用線材37の中間部を上部フック41に掛止すると共に、リング39を下部フック43に掛止すれば、ベース固定片20を近接位置に固定することができる。
【0021】
<収容部材>
収容部材について、
図4、及び
図5に基づいて説明する。
図4は、収容部材の分解斜視図である。
図5(a)〜(c)は、内箱移動機構による内箱の移動を示す側面図である。
収容部材50は、ベース部材10によって回動自在に支持されると共に前面(前方側)が開口した外箱(回動部材)53と、作業用具を収容する収容部51を有し、外箱53によって支持された内箱55(収容箱)とを備える。内箱55は外箱53内に可動に収容されており、収容部材50は入れ子式の二重構造となっている。
収容部材50のサイズは、従来使用されている収納袋と同様に幅500mm、奥行200mm、高さ1000mm程度とすることができる。従来使用されている収納袋と同様のサイズに設定することで、従来と同様の使用感を得ることができる。
外箱53は、中空の直方体の上面及び前面を開口させた形状である。
内箱55は、中空の直方体の上面及び後面の上部を開口させた形状であり、作業用具を収容する空間である収容部51を有する。内箱55の対向する2つの側面板55Sの上端部には、作業員が内箱55を可動させる際に用いる取手57が設けられている。
内箱55は、収容部材50の下部に設けられた内箱移動機構60によって外箱53に対して進退可能に構成されている。
【0022】
内箱移動機構60は、内箱55が外箱53内の奥部に収容された初期位置(
図1(a)、
図5(a))と、外箱53内から前方且つ斜め上方へと移動した前進位置(
図1(b)、
図5(c))との間で内箱55を進退させる。
内箱移動機構60は、外箱53の2つの側面板53Sに夫々形成された概略「へ」の字形状(上方に凸となる山形状)のガイド穴61と、内箱55の2つの側面板55Sから外方に突出形成されてガイド穴61内に挿通される被ガイド軸63と、一端部65aを外箱53の側面板53Sに設けた軸穴67によって回動自在に支持され、他端部65bを内箱55の側面板55Sに設けた軸穴68によって回動自在に支持された第一リンク片65とを備える。被ガイド軸63はガイド穴61に沿って進退移動する。
ガイド穴61と被ガイド軸63は、第一リンク片65よりも下方に位置する。また、第一リンク片65の一端部65aは、第一リンク片65の他端部65bよりも上方かつ後方に位置する。内箱55の下部がガイド穴61に沿って移動するのに対して、内箱55の上部は、軸穴67を中心として外箱53に対して円弧状に移動する(
図5参照)。
【0023】
図5に示すように、初期位置にある内箱55の取手57を作業員が把持して持ち上げると、被ガイド軸63がガイド穴61によって案内されることにより、内箱55は前方に向かって斜め方向に上昇する。このとき、内箱55の上部は第一リンク片65によって外箱53に対する移動量及び移動方向を制限されながら、被ガイド軸63を中心とした所定の範囲内にて揺動しつつ斜め上方に移動する。
被ガイド軸63がガイド穴61の頂点に達した後は、被ガイド軸63がガイド穴61によって案内されることにより、内箱55は斜め前方に向かって下降する(
図5(b)、(c))。このとき、内箱55の上部は第一リンク片65によって外箱53に対する移動量及び移動方向を制限されながら、被ガイド軸63を中心とした所定の範囲内にて揺動しつつ斜め下方に移動して、前進位置にて安定する(
図5(c))。
【0024】
内箱55が初期位置にあるとき、内箱55の正面板55Fと外箱53の背面板53Rとは最も接近した状態にある。内箱55が初期位置にあるとき、内箱55と外箱53とによって形成される収容部材50全体としての上部開口面積は、内箱55上部の開口面積と略同じである。一方、内箱55が前進位置にあるとき、内箱55の正面板55Fと外箱53の背面板53Rとは最も離間した状態となる。内箱55が前進位置にあるとき、内箱55と外箱53との間で形成される収容部材50全体としての上部開口面積は、初期位置よりも大きくなる。このため、内箱55が前進位置にあるとき、初期位置にあるときに比して作業用具の出し入れが容易となる。
また、内箱55が前進位置にあるとき、内箱55はバケット200から離間するが、内箱55は初期位置よりも上方にあるので、内箱55が作業員から遠くなりすぎず、作業用具の取り出し易さを維持できる。
【0025】
ここで、内箱55が前進位置に移動すると、内箱55の背面板55Rと、外箱53の背面板53Rとの間に間隙が形成されることになり、この間隙内に作業用具が落下する虞がある。そこで、本実施形態においては、内箱55の移動に応じて可動し、内箱55と外箱53との間の隙間を閉止する可動補助板70を設けている。
図4に示すように、可動補助板70は概略矩形平板状であり、一端部70a(一辺)を内箱55の背面板55Rの上端部(一辺)によって上下方向(図中矢印A方向)に回動自在に支持され、他端部70bを外箱53の側面板53Sに設けたガイド長穴73によって上下動可能且つ上下方向(図中矢印B方向)に回動自在に支持されている。
可動補助板70の一端部70aと、内箱55の背面板55Rの上端部には、互いに噛合する複数の凹部及び凸部が形成されている。各凸部には軸穴が幅方向に貫通形成されており、各軸穴を連通させた状態にて各穴内に軸部材71を挿通することにより、可動補助板70が背面板55Rの上端部に回動可能に一体化される。
ガイド長穴73は側面板53Sに貫通形成された上下方向に伸びる長穴である。内箱55が初期位置にあるとき、可動補助板70は内箱55の背面板55Rと略平行、且つ面一な姿勢となる。
【0026】
図5に示すように可動補助板70は、初期位置と前進位置との間で移動する内箱55の動作に応じて動作する。即ち、可動補助板70は、内箱55が初期位置にあるときには、内箱55の背面板55R及び外箱53の背面板53Rに沿って伸びる第一の姿勢をとる。可動補助板70は、内箱55が前進位置にあるときには、一端部70aが外箱53の背面板53Rから離間して、可動補助板70が斜めに傾斜した第二の姿勢をとる。即ち、可動補助板70は、第一の姿勢と第二の姿勢との間で揺動する。そして、可動補助板70は、第二の姿勢をとるとき、内箱55の背面板55Rと外箱53の背面板53Rとの間に形成される間隙を閉止して、この間隙内に作業用具が落下することを防止する。
【0027】
図4に示すように、内箱55には、その内部を幅方向に複数の区画に分割する間仕切80が配置されている。間仕切80は、内箱55内の下部に配置されて奥行方向に伸びる固定間仕切81と、固定間仕切81の上方に配置され、内箱55の移動に応じて動作する可動間仕切83とを備える。可動間仕切83は固定間仕切81に沿って奥行方向に伸びている。固定間仕切81及び可動間仕切83は、作業用具の接触によっても容易には変形しない材料から構成される。
固定間仕切81は、平板状の部材から構成される。固定間仕切81は、内箱55の下部空間を幅方向に分割するので、分割された各区画に作業用具を分類して収容できる。
可動間仕切83は、例えば帯板状のリンク片から構成される。内箱55の正面板55Fの内側には可動間仕切83の一端部83aを回動自在に軸支する丸穴86を有した支持部85が形成され、外箱53の背面板53Rの内側には可動間仕切83の他端部83bを上下動自在、且つ上下方向に回動自在に支持する長穴88を有した支持部87が形成されている。
【0028】
可動間仕切83は、内箱55が初期位置と前進位置との間で移動する過程で、内箱55と外箱53の位置関係に応じて傾斜角度を変化させる。この過程で、可動間仕切83の他端部83bは内箱55の位置に応じて外箱53に対して上下動する。外箱53の背面板53Rと内箱55の正面板55Fとの間に形成される空間の上部を可動間仕切83にて幅方向に分割するので、内箱55が初期位置にあっても前進位置にあっても、長尺の作業用具が他の区画に倒れ込むことがない。
なお、間仕切80の配置や数量は自由に設定することができる。間仕切80は、内箱55内を奥行方向にのみ複数に分割するものでもよいし、幅方向と奥行方向の双方に分割するものでもよい。例えば、固定間仕切81と可動間仕切83を格子状のパネル部材から構成することによって、収容部材50の内部空間を幅方向と奥行方向の双方に分割することができる。
【0029】
<回動機構>
作業用具収容装置1は、収容部材50をバケット200の側面に沿った方向に回動させる収容部材回動機構(以下、単に「回動機構」という)90を備えている。回動機構90について、
図2、
図5、及び
図6を参照して説明する。
図6は、ベース板と収容部材との関係を示す図であり、(a)は背面図であり、(b)は側面図である。
回動機構90は、ベース板11に貫通形成された軸穴91と、収容部材50(外箱53)の背面板53Rから後方(ベース板11側)に向けて突出形成されて軸穴91に挿通される回動軸93とを備える。回動軸93がベース板11の軸穴91内に挿通されることにより、
図6(a)に示すように、収容部材50がベース板11によって回動自在に軸支持される。
外箱53に設けた回動軸93の後端部には、軸穴91の外径よりも大径、且つ軸穴91内を通過不能なフランジ部95が設けられている。
図6(b)に示すようにフランジ部95は、ベース板11の後方側、即ちバケット200側に露出することにより、回動軸93が軸穴91から脱落することを防止する。
【0030】
<回動角抑制機構>
作業用具収容装置1は、収容部材50の回動角度を所定範囲に制限する回動角抑制機構(以下、単に「抑制機構」という)100を備えている。
抑制機構100は、ベース板11に貫通形成されて軸穴91を中心とした円弧状の長穴からなる回動角抑制穴101(
図2、
図6参照)と、収容部材50の外箱53の背面板53Rからベース板11側に突出形成されて回動角抑制穴101に挿入される回動角抑制棒103とを備える(
図5、
図6参照)。
【0031】
図6(a)に示すように、回動軸93を中心として収容部材50を回動させたとき、回動角抑制棒103は、回動角抑制穴101に沿って回動角抑制穴101内をスライドする。回動角抑制棒103が回動角抑制穴101の端部に到達したとき、回動角抑制棒103のスライド移動が不能となるため、収容部材50の回動が停止する。
抑制機構100を備えることにより、収容部材50が必要以上に回動して内部に収容した作業用具が落下することを防止する。回動角抑制穴101は、収容部材50の回動角が0度のとき(
図6(a)の実線で示すに示す基準位置)を中心として、正転方向、及び逆転方向にそれぞれ所定角度ずつ回動するように設定されている。
なお、上述の回動角抑制棒と回動角抑制穴を用いた抑制機構は一例であって、収容部材50の回動角度を制限可能な機構であれば、その他の構成としてもよい。例えば、回動角抑制穴の代わりに凹所としてもよい。或いは、収容部材50が所定角度回動したときに回動角抑制棒と当接して収容部材50のその後の回動を禁止する突起をベース部材突出形成してもよい。また、回動角抑制棒をベース板11に配置し、回動角抑制穴を収容部材50に配置してもよい。
【0032】
<回動角固定機構>
作業用具収容装置1は、ベース部材10に対して収容部材50を所定の回動角度にて固定する固定機構110(回動角固定機構)を備えている。
図7は、固定機構の動作を説明する断面図であり、(a)は固定片が突出位置にある場合を示し、(b)は固定片が退避位置にある場合を示している。
【0033】
固定機構110は、軸穴91を中心とする円弧に沿って所定の角度毎にベース板11に形成された複数の固定穴111(
図2、
図6、
図7参照)と、外箱53の背面板53Rに貫通形成された挿通穴113と、挿通穴113内に挿通されて外箱53の背面板53Rからベース板11側に突出して固定穴111内に掛止される突出位置と、ベース板11側には突出せずに外箱53内に退避した退避位置との間で自在に進退する固定片115と、固定片115を常時突出方向に弾性付勢するゴムベルト117(弾性付勢部材)と、を備える(
図4、
図7参照)。
固定片115は、固定穴111内を軸方向に進退する概略棒状の小径部115aと、作業員が固定片115を操作する際に握るための操作部115bとを備えている。操作部115bは挿通穴113よりも大径であり、背面板53Rからベース板11へ向けた小径部115aの突出長を所定に制限すると共に、固定片115の挿通穴113からの脱落を防止する。
操作部115bは、背面板53Rの内側に常時突出する長さを有しており、ゴムベルト117によって背面板53Rの外側(ベース板11側)に向けて常時押圧されている。
ゴムベルト117の一端部は背面板53R内側の適所に固定され、他端部は固定片115の操作部115b上を跨がって、背面板53R内側の他の適所に固定されている。ゴムベルト117は緊張した状態で背面板53Rに固定されており、ゴムベルト117の弾性変形力(収縮しようとする力)を利用して、操作部115bを押圧する構成である。
【0034】
作業員が固定片115の操作部115bを把持し、ゴムベルト117の弾性付勢力に抗して外箱53の内側へ固定片115を引っ張ると、小径部115aが固定穴111の外部に引き出された退避位置となる。このとき、外箱53は、抑制機構100により許容された所定の角度範囲にて、自在に回動する。また、所定の回動角度となったときに、固定片115の小径部115aを複数ある固定穴111のうちの何れかに掛止することで、外箱53のベース板11に対する相対回転が禁止され、外箱53は所定の角度姿勢にて固定される。固定機構110によって収容部材50の回動角度を固定することができるので、バケット200の移動の際に、作業員が収容部材を支持する必要がなくなる。
なお、上記角度固定機構の構成は一例であって、収容部材50を所定の回動角度にて固定することができれば、上記以外の構成を用いてもよい。例えば固定穴111の代わりに、外箱53に位置するベース板11に形成した凹所としてもよい。
【0035】
<使用方法>
以上説明した作業用具収容装置の使用方法について説明する。作業用具収容装置1をバケット200に取り付ける前に、収容部材50の回動角度を0度(
図6に示す基準位置)に固定し、収容部材50の内箱55を初期位置にし、ベース固定片20を離間位置にしておく。
作業員は
図3に示すように、本実施形態に係る作業用具収容装置1の掛止部13をバケット200の上端縁201に引っ掛ける。作業員は、操作用線材37の他端側(リング39側)を引き上げることにより、間接的にベース固定片20を離間位置から近接位置まで移動させて、ベース固定片20をバケット200の底面203に密着させる。操作用線材37の中間部を上部フックに掛止すると共に、リング39を下部フック43に掛止することで、ベース部材10をバケット200に固定する。
絶縁操作棒等の長尺の作業用具を内箱55内に出し入れする際、作業員は
図5に示すように、内箱55の取手57を持って初期位置から前進位置に移動させる。内箱55が前進位置にあるとき、内箱55上部の開口が大きく広がるので、作業用具の出し入れが容易となる。
電線の間を縫ってバケット200を移動させる際に、収容部材50内に立てた長尺の作業用具が電線に引っ掛かる虞がある場合には、収容部材50を適宜回動させて、これを回避する。即ち
図7に示すように、固定片115を固定穴111から引き出して退避位置に移動させると共に、
図6に示すように収容部材50を所望の角度まで回動させた後、固定片115を何れかの固定穴111に掛止して、収容部材50を固定する。このようにすることで、バケット200の上端からの作業用具の突出量を抑制することができ、バケット200を移動させる際に作業用具が電線に引っ掛かる事態を効果的に防止できる。
【0036】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態に係る作業用具収容装置について
図8に基づいて説明する。
図8は本発明の第二の実施形態に係る作業用具収容装置の斜視図であり、(a)は収容部材が初期位置にある状態を示し、(b)は収容部材が下降した状態を示す図である。本実施形態に係る作業用具収容装置は、従来一般的に使用されている収納袋を使用できるようにした点、及び収容装置に作用する重力方向の力によってベース固定片を進退させるようにした点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同様の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
<収容部材>
作業用具収容装置2の収容部材120(回動部材)は、第一の実施形態の外箱53(
図1参照)に相当する部材であり、ベース部材10によって回動自在に支持されている。収容部材120は、中空の直方体の少なくとも上面及び下面が開口した概略筒状に形成されている。特に、本実施形態における収容部材120は、収容部材120の下部の一部分にのみ正面板120Fを有する構成である。
収容部材120の内側面適所、本例では背面板120Rの前方側上部には、従来使用されている間接活線作業用工具を収納する収納袋210を係止可能なフック123(係止部)が形成されている。フック123には、収納袋210に設けられたループ211(被係止部)が係止される。収納袋210のループ211をフック123に掛止すると、収納袋210の下部が収容部材120の下方から突出し、収納袋210をバケット200の上端縁201に掛止した従来と同様の使用感を得ることができる。
収容部材120の背面には第一の実施形態に係る外箱53と同様に、回動機構90を構成するフランジ部95を有した回動軸93、及び、抑制機構100を構成する回動角抑制棒103が突出形成されている(
図11参照)。同様に収容部材120は、固定機構110を構成する挿通穴113、固定片115、及びゴムベルト117を備えている(
図9、
図11参照)。
本実施形態において、収容部材120を
図11(a)に示すように回動させると収納袋210は側面板120Sに当接して、収容部材120と共に傾斜する。
【0038】
<ベース固定片の進退機構>
ベース固定片20を、バケット200の底面203から離間した離間位置とバケット200の底面203に近接した近接位置との間で進退させる進退機構130、及び進退機構に関わる作業用具収容装置の各部について説明する。
図9は収容部材を除く作業用具収容装置を示した斜視図であり、(a)は正面側から観察した図であり、(b)はリンク機構部分を背面側から観察した図である。
図10は、軸受可動片を示す図である。
図11は、作業用具収容装置の側面図であり、(a)は収容部材が初期位置にある状態を示し、(b)は収容部材が下降位置にある状態を示す図である。
【0039】
進退機構130は、ベース板11の後方側に配置されて、収容部材120をバケット200の一つの外側面202と並行な方向に回動自在に支持すると共に、収容部材120と共にベース部材10に対して上昇した初期位置と下降した下降位置との間で上下動するようにベース部材10によって支持された軸受可動片131と、軸受可動片131に設けたアーム133の上下動に応じて作動して、ベース固定片20を進退させるリンク機構160と、を備える。
ベース板11に形成された軸穴91は、本実施形態においては上下方向に伸びる長穴であり、収容部材120と軸受可動片131はベース板11に対して上下方向に相対移動する。
進退機構130の動作概略は以下の通りである。即ち、収容部材120を下方に移動させると、軸受可動片131が下降し、アーム133がリンク機構160を作動させる。ベース固定片20は、リンク機構160の動作に応じて離間位置から近接位置へと移動する。
即ち、ベース固定片20は進退機構130によって収容部材120と連動して動作し、収容部材120が初期位置にあるときベース固定片20はバケット200の底面203から離間した離間位置にあり、収容部材120が下降位置に移動したときベース固定片はバケット200の底面203に近接した近接位置に移動する。
【0040】
以下、進退機構に関わる各部位について詳細に説明する。
<ベース部材>
図9に示すように、ベース板11に貫通形成されて回動機構90を構成する軸穴91は、収容部材120の回動軸93(
図11参照)の上下動を許容する長穴である。収容部材120は、回動軸93が軸穴91の下端部に位置したときに回動する。
抑制機構100を構成する回動角抑制穴101は、軸穴91の下端部を中心とした円弧状の長穴である。回動角抑制穴101は、回動軸93が軸穴91の下端部に位置した状態にて収容部材120が回動したときに、収容部材120の背面に設けた回動角抑制棒103が描く軌跡に沿って形成されている。
【0041】
回動角抑制穴101の中央上部には、回動角抑制穴101に連続して、回動角抑制棒103を上下方向に案内する長穴からなるスリット135(回動禁止手段)が形成されている。スリット135は、収容部材120の回動角度が0度(基準位置)のときに、回動角抑制棒103の上下動を可能とする位置に形成されている。収容部材120が初期位置にあるとき、回動角抑制棒103はスリット135内に位置するので、スリット135は初期位置にある収容部材120の回動を禁止する回動禁止手段として機能する。また、収容部材120が下降位置に移動したとき、回動角抑制棒103は回動角抑制穴101内に位置するので、収容部材120の回動が許容される。
固定機構110を構成する固定穴111は、軸穴91の下端部を中心とする円弧に沿って所定の角度毎に形成されている。固定穴111は、回動軸93が軸穴91の下端部に位置した状態にて収容部材120が回動したときに、収容部材120の背面に設けた挿通穴113と連通する位置に形成されている。
ベース板11の上端縁には、固定片115が掛止される凹所137が形成されている。収容部材120の固定片115が凹所137に掛止されることにより、収容部材120の下降を阻止する。
【0042】
<軸受可動片>
軸受可動片131は
図10に示すように概略平板状の部材であり、収容部材120の回動軸93を回動自在に支持する真円形の第二軸穴132と、幅方向各端部から左右方向に突出形成された一対のアーム133と、を備えている。また、軸受可動片131は、第二軸穴132の斜め上方に、軸受可動片131をベース板11に対して上昇させる方向に弾性付勢する弾性付勢部材139を係止する係止部141を備えている。第二軸穴132を回避した軸受可動片131の面内には、ベース板11の背面からバケット200側に突出形成された突起143を相対的に上下動自在に挿通するスリット状の長穴145が形成されている。
図10において長穴145は、第二軸穴の直下に貫通形成されている。
【0043】
アーム133は、ベース板11に対する軸受可動片131の上下動に応じてリンク機構160を作動させるための駆動力を入力する手段である。各アーム133の先端部には、リンク機構160の駆動片169に駆動力を伝達する入力リンク170が回動自在に連結されている。
弾性付勢部材139は、例えばコイルバネであり、一端部が軸受可動片131の係止部141に係止され、他端部が係止部141よりも上方に位置するベース板11の背面の適所に設けた係止部142に取り付けられている。
長穴145は、軸受可動片131がベース板11に対して上下動した場合に、ベース板11に設けた突起143の相対的な上下動を許容する。また、収容部材120を回動させる場合、軸受可動片131は、長穴145に挿通された突起143により相対回転を禁止される。
リンク機構160を作動させるには、軸受可動片131を弾性付勢部材139の弾性力に抗して下降させる必要がある。弾性付勢部材139は、収容部材120を介して軸受可動片131に所定の重力方向の力が加えられたときに下降するように設定されている。例えば、収納袋210内に数本の作業用具が収容されたときに、軸受可動片131が下降するように設定される。
【0044】
<リンク機構支持部>
図9に示すようにベース板11の幅方向両端部には、リンク機構160を支持するリンク機構支持部150が夫々形成されている。
リンク機構支持部150は、上下方向に貫通した中空の角筒状に形成されている。リンク機構支持部150の背面板151R(バケット200との対向面)には、バケット200の外側面202と接触したときに、外側面202に傷が付くことを防止する緩衝材15が配置されている。
また、リンク機構支持部150の側面板151Sは、後述するリンク機構160の駆動リンク163の一端部163aと、従動リンク165の一端部165aとを夫々回動自在に支持する(
図12参照)。
リンク機構支持部150及びベース板11は、リンク機構160の動作を阻害しないように形成されている。即ち、リンク機構支持部150の背面板151Rの一部(下端部)には、切欠部152が形成され、リンク機構支持部150の前方側に位置するベース板11の一部(下端部)には、凹状の切欠部153が形成されている。各切欠部152,153は、リンク機構160と、リンク機構支持部150又はベース板11との接触を防止する。
【0045】
<リンク機構>
図12は、リンク機構の動作を説明する図であり、(a)〜(c)は側面図であり、(d)は背面側から観察した図である。なお、
図12(a)は収容部材が初期位置、且つベース固定片が離間位置にある場合を示し、(b)は収容部材が下降位置、且つベース固定片が近接位置にある場合を示している。
リンク機構160は、ベース固定片20を支持すると共にベース固定片20を進退させる。より具体的にいうとリンク機構160は、収容部材120及び軸受可動片131が初期位置にあるときにはベース固定片20を離間位置に維持する一方で、収容部材120及び軸受可動片131が下降位置に移動したときにはベース固定片20を近接位置に移動させる。
リンク機構160は、ベース固定片20を水平姿勢のまま離間位置と近接位置との間で進退させる平行リンク161と、平行リンク161に対してこれを作動させるための駆動力を与える入力リンク170とを備えている。
【0046】
平行リンク161は概略平行四辺形状のリンク機構である。平行リンク161を構成する各リンクは、平行リンク161が概略平行四辺形状を維持するように動作する。即ち、平行リンク161は、一端部163aがリンク機構支持部150の側面板151Sによって回動可能に軸支されると共に入力リンク170によって回転駆動される駆動リンク163と、一端部165aがベース板11のリンク機構支持部150によって回動可能に軸支されると共に駆動リンク163に対して略平行な姿勢を保持しつつ駆動リンク163に追従して回動する従動リンク165と、駆動リンク163の他端部163bと従動リンク165の他端部165bとによって回動可能に支持されて2つのリンクを連結する中間リンク167とを有する。
駆動リンク163の一端部163aと従動リンク165の一端部165aを夫々支持したリンク機構支持部150の側面板151Sは、いわゆる平行リンク機構の固定リンクに相当する。また、中間リンク167からバケット200側に向けて延びる延在部にはベース固定片20が配置されている。
駆動リンク163の一端部163aには、入力リンク170からの駆動力を受ける駆動片169が連結されている。駆動片169は駆動リンク163の長手方向と交差する方向に伸びると共に、駆動リンク163との相対変位が禁止されており、駆動片169と駆動リンク163は一体的に動作する。なお、
図12(a)〜(c)においては、リンク機構160の動作を理解しやすくするため、駆動リンク163と駆動片169との間の線を一部省略して描画している。
【0047】
入力リンク170は上下方向に延在し、その一端部170a(上端部)は軸受可動片131のアーム133によって回動自在に支持されている。入力リンク170の他端部170bは、収容部材120側にやや屈曲して形成されている。入力リンク170の他端部170bには、駆動リンク163の一端部163aを回動自在に支持し、且つ長手方向にスライド自在にガイドするスライド長穴171を有する。
【0048】
収容部材120が下降すると軸受可動片131が収容部材120と共に下降して、アーム133が入力リンク170を下方に押圧する。入力リンク170の他端部170bはスライド長穴171によって案内されることにより、下降しながら収容部材120側に移動する。さらに収容部材120を下降させると入力リンク170の他端部170bは、駆動片169及び駆動リンク163を、駆動リンク163の一端部163a(リンク機構支持部150による軸支部)を中心として図中時計回り方向に回動させる。
平行リンク161は入力リンク170から入力された駆動力により、平行四辺形状を保持したまま変形動作する。この過程で、離間位置にあったベース固定片20は、円弧状の軌跡を描きながら近接位置にまで移動して、バケット200の底面203に密着する。このように本例においてベース固定片20はリンク機構160によって、バケット200の外側面202よりも前方側に退避した離間位置と、バケットの底面に近接した近接位置との間を進退する。
【0049】
<使用方法>
本実施形態に係る作業用具収容装置の使用方法について説明する。
図13は、作業用具収容装置の動作を収容部材側から観察した図であり、(a)は収容部材が初期位置にある場合を示し、(b)は収容部材が下降位置にある場合を示している。
図14は、作業用具収容装置の背面図であり、特に収容部材の回転動作について説明する図である。なお、
図13では説明の便宜上、固定機構110の一部についての図示を省略している。
【0050】
まず、作業用具収容装置のバケットへの取付方法について説明する。
予め、収容部材120の固定片115をベース板11の凹所137に掛止して、収容部材120が
図11(a)に示す初期位置から移動しないようにしておく。収容部材120が初期位置にあるとき、収容部材120はスリット135によってその回動が禁止されるので、バケット200に対して作業用具収容装置2を安全に着脱できる。
この状態でバケット200の上端縁201にベース部材10の掛止部13を掛止し、固定片115を引き出して凹所137による掛止状態を解除する。収納袋210内に必要な作業用具を収容すると、作業用具及び収容部材120等の自重により、収容部材120が弾性付勢部材139の弾性付勢力に抗して下降する。なお、重量不足で収容部材120が下降しない場合には、作業員が収容部材を上から下に向かって押し付けるようにすればよい。
すると、収容部材120が下降して下降位置に移動する(
図11(b))。また、収容部材120の下降と共に軸受可動片131が下降するので、リンク機構が作動して、ベース固定片20が離間位置から近接位置に移動する。固定片115を何れかの固定穴111に掛止すれば、ベース固定片20を近接位置に固定することができる。このように、作業用具収容装置1をバケット200に対して着脱操作する際の操作が自動化されている。
また、ベース固定片20が近接位置に固定されたとき、収容部材120は回動軸93及び軸穴91の下端部を中心として
図14の点線のように回動する。また、収容部材120を所望の角度まで回動させると共に、固定片115を何れかの固定穴111に掛止することで、収容部材120を所望の回動角度にて固定することができる。
【0051】
〔変形実施形態〕
以上、本発明の作業用具収容装置に関して、2つの実施形態に基づいて説明した。第一の実施形態と第二の実施形態は、矛盾しない限り適宜構成を入れ替えて実施することができる。例えば、第一の実施形態に係る収容部材の構成と、第二の実施形態に係るベース固定片可動機構とを組み合わせた作業用具収容装置として実施してもよい。或いは、第一の実施形態に係るベース固定片可動機構と、第二の実施形態に係る収容部材の構成と、を組み合わせた作業用具収容装置として実施してもよい。
【0052】
〔実施態様例及びその効果〕
本発明は、それぞれ以下の態様にて実施することができる。
<第一の実施態様>
本態様は、上面が開口したバケット200の一外側面202に着脱自在に装着される作業用具収容装置1、2であって、バケットの上端縁201に掛止する掛止部13を備えたベース部材10と、バケットの底面203から離間した離間位置とバケットの底面に近接した近接位置との間を進退自在に構成されて、近接位置にあるときに掛止部との間でバケットを挟むことによりベース部材をバケットに対して固定するベース固定片20と、作業用具を収容する収容部51を有し、バケットの一外側面と並行な方向に回動するようにベース部材によって支持された収容部材50と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、作業用具を収容する収容部材がバケットの一外側面と並行な方向に回動するので、バケットを移動させる際に作業用具を架線等に干渉させないようにすることができる。また、収容部材の回動方向がバケットの一外側面と並行な方向であるので、作業用具のバケットからの突出量を最小限にしながら、架線等への干渉を防止できる。
【0053】
<第二の実施態様>
本態様に係る作業用具収容装置は、ベース固定片20を離間位置と近接位置との間で進退させる進退機構30を備え、進退機構は、ベース固定片に一体化された被ガイド部33と、ベース部材10に設けられて被ガイド部を上下方向にガイドするガイド部31と、を備えることを特徴とする。
本態様における進退機構は非常に簡易な構成であるため、作業用具収容装置自体を軽量化できる。
なお、本態様における収容部材は、第一の実施形態に示した収容部材50としてもよいし、第二の実施形態に示した収容部材120としてもよい。
【0054】
<第三の実施態様>
本態様に係る作業用具収容装置は、ベース固定片20を離間位置と近接位置との間で進退させる進退機構130を備え、進退機構は、収容部材をバケット200の一外側面202と並行な方向に回動自在に支持すると共に、収容部材と共にベース部材10に対して上昇した初期位置と下降した下降位置との間で上下動するようにベース部材によって支持された軸受可動片131と、軸受可動片の上下動に応じて作動して、ベース固定片を進退させるリンク機構160と、を備え、リンク機構は、収容部材及び軸受可動片が初期位置にあるときにはベース固定片を離間位置に維持する一方で、収容部材及び軸受可動片が下降位置に移動したときにはベース固定片を近接位置に移動させることを特徴とする。
収容部材内に必要な作業用具が収容されたとき、作業用具及び収容部材の自重により、収容部材及び軸受可動片が下降位置に移動する。収容部材及び軸受可動片の下降によりリンク機構が作動して、ベース固定片が離間位置から近接位置に移動する。本実施態様では、作業用具収容装置をバケットに対して着脱操作する際の操作を自動化できる。
なお、本態様における収容部材は、第一の実施形態に示した収容部材50としてもよいし、第二の実施形態に示した収容部材120としてもよい。
【0055】
<第四の実施態様>
本態様に係る作業用具収容装置においてベース部材10は、収容部材が初期位置にあるときに収容部材の回動を禁止する回動禁止手段(スリット135)を備えていることを特徴とする。
収容部材120が初期位置にあるとき、収容部材120はスリット135によってその回動が禁止されるので、バケット200に対して作業用具収容装置2を安全に着脱できる。
【0056】
<第五の実施態様>
本態様に係る作業用具収容装置において収容部材50は、ベース部材10によって回動自在に支持されると共に前面が開口した外箱53と、収容部51を有し外箱によって支持された内箱53と、を備え、内箱は、外箱内の奥部に収容された初期位置と、外箱内から前方且つ斜め上方へ移動した前進位置との間で進退可能に構成されていることを特徴とする。
内箱55を前進位置に移動させることで初期位置にあるときに比して作業用具の出し入れが容易となる。
【0057】
<第六の実施態様>
本態様に係る作業用具収容装置の収容部材120の下面は開口しており、収容部材の内側面適所には、作業用具を収納する収納袋210を係止可能な係止部(フック123)を備えていることを特徴とする。
従来一般的に使用されている収納袋を使用できる。
【0058】
<第七の実施態様>
ベース部材10に対して収容部材50、120を所定の回動角度にて固定する回動角固定機構110を備えたことを特徴とする。
バケット200の移動の際に、作業員が収容部材を支持する必要がない。