(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5932006
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】接触式位置測定器を用いた面取り穴径の測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/12 20060101AFI20160526BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
G01B5/12
B23Q17/20 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-252937(P2014-252937)
(22)【出願日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087619
【弁理士】
【氏名又は名称】下市 努
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康児
【審査官】
▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/108875(WO,A1)
【文献】
特開昭60−069501(JP,A)
【文献】
特開平09−243347(JP,A)
【文献】
実開昭60−051407(JP,U)
【文献】
米国特許第04905378(US,A)
【文献】
米国特許第04753555(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B 21/00−21/32
B23Q 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に移動させて軸方向に延びる軸穴の内周面に接触させることにより軸穴径を測定する軸穴径測定子と、前記軸方向に移動させて面取り穴の内周面に接触させることにより面取り穴径を測定する面取り穴径測定子とを備えた接触式位置測定器を用い、前記軸穴径測定子により前記軸穴径を測定し、該測定された軸穴径により前記軸穴の中心を求め、前記面取り穴径測定子を前記求められた軸穴の中心に一致するよう移動させ、該面取り穴径測定子を軸穴方向に移動させて前記面取り穴径を測定することを特徴とする面取り穴径の測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の面取り穴径の測定方法において、
前記接触式位置測定器の前記軸穴径測定子は、前記面取り穴径測定子に対して着脱可能となっていることを特徴とする面取り穴径の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工作機械の面取り加工時に使用される接触式位置測定器を用いた
面取り穴径の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械によりワークに軸穴を形成する場合、該軸穴の開口縁部に面取り加工を施す場合がある。このような面取り加工により形成された面取り穴径を測定するための測定器として、例えば、特許文献1には、大略円錐形状の測定子を前記面取り部に当接させることにより、面取り径を測定するようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−23303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記軸穴の開口縁部に面取り加工を施す場合に、面取り穴径に加えて軸穴径の測定も必要となる場合がある。このような場合には、まず、軸穴径測定子により軸穴径を測定し、この軸穴径測定子を前記従来の測定器のような面取り穴径測定子に交換して面取り穴径を測定することとなり、測定作業に手間がかかると共に、作業時間が長くなるという問題がある。
【0005】
また前記従来の測定器により面取り穴径を測定する場合、測定子の軸心を面取り穴の軸心に精度良く一致させる必要があるが、この一致作業に手間がかかり、場合によって面取り穴径の測定精度が低下するという懸念がある。
【0006】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、軸穴径及び面取り穴径を、簡単な作業でかつ短時間で測定できるとともに、面取り穴径の測定精度を向上できる接触式位置測定器用いた
面取り穴径の測定方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、径方向に移動させて軸方向に延びる軸穴の内周面に接触させることにより軸穴径を測定する軸穴径測定子と、前記軸方向に移動させて面取り穴の内周面に接触させることにより面取り穴径を測定する面取り穴径測定子とを備えた
接触式位置測定器を用い、前記軸穴径測定子により前記軸穴径を測定し、該測定された軸穴径により前記軸穴の中心を求め、前記面取り穴径測定子を前記求められた軸穴の中心に一致するよう移動させ、該面取り穴径測定子を軸穴方向に移動させて前記面取り穴径を測定することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の接触式位置測定器において、前記軸穴径測定子は、前記面取り穴径測定子に対して着脱可能となっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明に係る接触式位置測定器を用いた
面取り穴径の測定方法によれば、軸穴径を測定する軸穴径測定子と、面取り穴径を測定する面取り穴径測定子とを備えた
接触式位置測定器を用い、軸穴径測定子を径方向に移動させることにより軸穴径を測定し、
この軸穴径測定子により測定された軸穴径から軸穴中心を求め、該求めた軸穴中心に一致するように面取り穴径測定子を軸穴方向に移動させて面取り穴径を測定するようにしたので、軸穴中心に面取り穴径測定子を精度良く一致させた状態で面取り穴径を測定することができ、面取り穴径の測定精度を向上させることができる。また、軸穴径測定子を面取り穴径測定子と交換する必要がなく、測定作業に手間がかからず、かつ短時間で軸穴径及び面取り穴径を測定できる
請求項2の発明では、軸穴径測定子を面取り穴径測定子に対して着脱可能としたので、面取り穴径のみを測定する場合は軸穴径測定子を取り外すことができ、両方の測定子を一体化した測定器と、面取り穴径測定子のみの測定器の両方を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1による接触式位置測定器の構成図である。
【
図2】前記接触式位置測定器による測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1ないし
図3は、本発明の実施例1による接触式位置測定器及び該位置測定器を用いた測定方法を説明するための図である。
【0015】
図において、1はマシニングセンタ等の工作機械に配設される主軸頭を示している。この主軸頭1は、コラム(不図示)により垂直方向(Z軸方向)に移動可能に支持されており、該主軸頭1には軸受(不図示)を介して主軸2が回転自在に支持されている。なお、ワークWが搭載される加工テーブル(不図示)は、紙面左右水平方向(X軸方向)及び紙面前後水平方向(Y軸方向)に移動可能に構成されている(
図1参照)。
【0016】
前記マシニングセンタは、前記主軸2に所定の工具(不図示)を装着し、主軸頭1及び加工テーブルをそれぞれX軸,Y軸,Z軸方向に相対移動させることにより、ワークWにドリル加工,内径加工等を施して所定の軸穴W1を形成し、該軸穴W1の開口縁部に所定のテーパ角度をなす面取り穴W2を形成するように構成されている。本実施例では前記面取り穴W2のテーパ角度は45度に設定されている。
【0017】
前記主軸2には、接触式位置測定器7を備えたホルダ8が着脱可能に装着されている。このホルダ8は、前記主軸2に着脱可能に装着されるテーパ状のクランプ部9と前記位置測定器7が取り付けられた保持部10とを有する。
【0018】
前記位置測定器7は、前記軸穴W1内において径方向に移動させて該軸穴W1の内周面に接触させることにより軸穴径D1を測定する軸穴径測定子12と、前記軸穴W1の軸方向に移動させて面取り穴W2の内周面に当接させることにより面取り穴径D2を測定する面取り穴径測定子13とを備えている。具体的には、後述するように、軸穴径測定子12,面取り穴径測定子13は内周面に接触すると接触信号を出力し、該接触信号出力時のX軸方向,Y軸方向及びZ軸方向の移動量に基づいて軸穴径D1,面取り穴径D2が演算により求められる。
【0019】
前記面取り穴径測定子13は、45度のテーパ面が形成された下向き円錐形状の測定部13aと、該測定部13aの底面の中心に接続された取付けロッド13bとを有し、該取付けロッド13bが前記保持部10に取り付け固定されている。
【0020】
前記軸穴径測定子12は、球状の測定部12aと、該測定部12aの上面の中心に接続された支持ロッド12bとを有し、該支持ロッド12bは前記面取り穴径測定子13の測定部13aの頂部に接続されている。この支持ロッド12bの軸長さは、面取り穴W2の深さに応じて適宜設定される。また前記軸穴径測定子12と前記面取り穴径測定子13とは軸芯が一致するよう設定されている。
【0021】
ここで、前記軸穴径測定子12の支持ロッド12bを前記面取り穴径測定子13の測定部13aの頂部に着脱可能に接続しても良い。この場合の着脱構造としては、例えば、ねじ式,あるいは嵌合式が採用される。
【0022】
前記接触式位置測定器7により面取り穴径D2を測定するには、軸穴径測定子12を軸穴W1内に挿入し、径方向(X軸方向)に移動させて軸穴W1の内周面に当接させてX軸移動量X′を測定し、該移動量X′の中心C′を演算で求める。続いて軸穴径測定子12を前記中心C′を通るようにY軸方向に移動させることで軸穴径D1を測定し、この測定した軸穴径D1から軸穴W1の軸穴中心Cを求める(
図2(a),
図3(a)参照)。
【0023】
次に、軸穴径測定子12を上昇させ、該軸穴径測定子12の測定部12aの下面をワークWの上面(基準面)W3に当接させる(
図2(b)参照)。続いて、前記面取り穴径測定子13を前記軸穴中心Cに一致する位置に移動させ、該面取り穴径測定子13の測定部13aをZ軸方向(軸穴方向)に移動させて面取り穴W2の内周面に当接させ、基準面W3から面取り穴W2に当接までの軸方向ストローク量Lを測定し、該測定値に基づいて面取り穴径D2を演算により求める(
図2(c),
図3(b)参照)。
【0024】
このように本実施例によれば、ワークWに形成された軸穴W1の内周面に当接させることにより軸穴径D1を測定する軸穴径測定子12と、軸穴W1の開口縁部に形成された面取り穴W2に当接させることにより面取り穴径D2を測定する面取り穴径測定子13とを備えたものとし、前記軸穴径測定子12により測定された軸穴径D1から軸穴中心Cを求め、 該軸穴中心Cに面取り穴径測定子13を一致させた状態で面取り穴径D2を測定するようにしたので、軸穴W1から軸穴中心Cを求める測定作業と、該軸穴中心Cに一致させた状態で面取り穴径D2を測定する測定作業とを連続して行うことができる。従って、軸穴径測定子をテーパ穴径測定子に取り替える必要がなく、それだけ測定作業が簡単で、手間がかからず、かつ短時間で測定できる。またテーパ穴径測定子13を軸穴W1の軸心に精度良く一致させることができるので、面取り穴径の測定精度を向上させることができる。
【0025】
また本発明では、前記軸穴径測定子12を面取り穴径測定子13に着脱可能に取り付けることもでき、このようにした場合には、面取り穴径D2のみ測定する場合は取り外すことができ、両方の測定子を一体化した測定器と、面取り穴径測定子のみの測定器の両方を提供できる。
【符号の説明】
【0026】
7 接触式位置測定器
12 軸穴径測定子
13 面取り穴径測定子
C 軸穴中心
D1 軸穴径
D2 面取り穴径
W1 軸穴
W2 面取り穴
【要約】
【課題】コスト及び作業性の悪化を招くことなく、面取り穴の測定精度を向上できる接触式位置測定器を提供する。
【解決手段】接触式位置測定器7を構成するにあたって、径方向に移動させて軸方向に延びる軸穴W1の内周面に接触させることにより軸穴径D1を測定する軸穴径測定子12と、前記軸方向に移動させて面取り穴W2の内周面に接触させることにより面取り穴径D2を測定する面取り穴径測定子13とを備える。
【選択図】
図2