(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒反応の後、前記触媒粒子が、前記多層カーボンナノチューブを保持する使用済み触媒粒子であり、前記多層カーボンナノチューブを保持する使用済み触媒粒子を回収するステップを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の本発明の詳細な開示は、触媒前駆体、触媒前駆体の調製方法、および触媒前駆体の目的とする触媒への変換方法を開示する。加えて、本発明は、望ましい多層カーボンナノチューブのバッチをその触媒上で製造する方法を提供し、そのカーボンナノチューブ生成物は、層および外径について狭い範囲の分布を有する。本明細書において用いられる場合、「炭素含有量」は、炭素系の最終生成物(カーボンナノチューブ+触媒)のパーセンテージを指す。従って、最終生成物のうち250 gが炭素であり、最終生成物が全体で500 gである場合、炭素含有量は50%または50.0である(
図1で用いられているとおり)。本明細書において用いられる場合、「炭素収率」は、反応に用いられた触媒の量に対する、生成された炭素生成物の量を指す。炭素収率は下記の式、すなわち、(最終生成物中の炭素の量(g)/触媒の量(g))×100によって定義される。例えば、250 gの触媒が反応に用いられ、250 gの炭素生成物を生じる反応は、100%の炭素収率を有する((250g/250g)×100=100%)。本明細書において用いられる場合(
図2A〜2D;4A〜4Dを含む)、「頻度」は、特定の直径(x軸)を有するサンプル中のカーボンナノチューブの数を指す。例えば、
図2Aでは、約6 nmの直径を有する約20個のカーボンナノチューブが存在する。
【0011】
1. 触媒前駆体および触媒
本発明の触媒前駆体は、アルミナおよびアルミン酸マグネシウムの粒子上に担持された混合金属酸化物の表面相を有する。混合金属酸化物は、2つ以上の金属成分を有する酸化物である。加えて、アルミナ/アルミン酸マグネシウムの担体は、酸化マグネシウムの表面処理を有する。アルミナ/アルミン酸マグネシウム粒子に保持される酸化マグネシウムは、必ずしも表面全体を覆う(encompassing)層ではない。MgOのAl
2O
3に対する原子比率は、約0.02〜0.04である。言い換えれば、0.02:1の比率とは、1原子のMgOに対して、50原子のAl
2O
3が存在し、一方、0.04:1の比率では、1原子のMgOに対して、25原子のAl
2O
3が存在する。下記で述べるように、これらの計算に用いられたMgOの一部は、MgAl
2O
4に変換されるであろう。
【0012】
混合金属酸化物の好ましい表面相は、下記の1つ以上、すなわち、CoFe
2O
4、CoMoO
4、Co
xMoO
4、Co
xFe
yMoO
4、Fe
2(MoO
4)
3を含むが、それらに限定されない。通常、金属酸化物は、触媒前駆体において金属の下記の重量パーセント濃度を示す。すなわち、Coは約0.5%〜約2.0%;Moは約0.3%〜約2.0%;およびFeは約0%〜約3.0%。したがって、Co
xFe
yMoO
4について、xは約1.6〜6.5であり、yは0.1〜10.5でありうる。より好ましくは、xは約3.3であり、yは2.6〜6.3である。いずれの場合も、十分な量の金属酸化物が触媒前駆体上に存在し、結果として生じる触媒は、下記の重量パーセントの金属成分、すなわち、Co約0.5%〜約2.0%;Mo約0.3%〜約2.0%;およびFe約0%〜約3.0%を含有する。結果として生じる触媒中に、鉄は還元型金属または炭化物(Fe
3C)として存在してもよく、一方、モリブデンは炭化物(Mo
2C)として存在する。
【0013】
好ましくは、触媒前駆体組成の重量に基づく各金属成分の重量パーセントは、Co約0.75%〜約1.5%;Mo約0.5%〜約1.0%;およびFe約0.5%〜約2.0%である。従って、活性金属成分は、Moが一定であるとして、下記の原子比率で存在する。すなわち、CoのMoに対する比率は、約1.6〜約6.5の範囲であり、より好ましくは約2.44〜約4.88、最も好ましくは約3,3であり;FeのMoに対する比率は、約0〜約10.5、より好ましくは約1.75〜約6.98、最も好ましくは約2.62〜約6.28である。
【0014】
触媒担体上のMgイオンの存在は、アルミナ担体の表面上の強酸部位の数を減少させる。触媒担体の表面上の強酸部位の数を減少させることによって、改良された触媒の使用は、主にカーボンナノチューブを生じ、非晶質炭素または他の炭素生成物を著しく減らす。下記で述べるように、改良された触媒を用いた触媒反応は、得られる炭素生成物として少なくとも90%、好ましくは98%超のカーボンナノチューブを生成する。
【0015】
本発明の触媒前駆体は、好ましくは、約20μm〜約500μmの粒径を有する。好ましくは、粒径は約20μm〜250μmである。より好ましくは、触媒前駆体は、約20μm〜約150μmの粒径を有する。下記で述べる現在好ましい方法では、粒径の範囲は、約70μm〜約150μmである。
【0016】
上述の触媒前駆体は、金属酸化物の、それぞれの金属および金属炭化物、すなわち、Fe°、Fe
3C、Co°およびMo
2Cへの還元によって触媒粒子に変換される。触媒粒子は、触媒前駆体と同じ金属の原子比率を有する。結果として生じる金属コバルトおよび金属鉄のナノサイズの沈着物(deposits)が、触媒粒子上で生成される多層ナノチューブの内径を決定するであろう。加えて、Mo
2Cの存在は、金属コバルトを分散させるか、または金属コバルトの間隔を空け、それによってコバルトの焼結を妨げ、望ましいコバルト粒径を与える。通常、担体上に結果として生じる金属沈着物は、約1.5 nm〜約3.0 nmの直径を有する。好ましくは、結果として生じる、還元鉄および還元コバルトの金属沈着物は、約1.5 nm〜約2.2 nmの直径を有する。加えて、上述のように、最終触媒粒子は、担体としてアルミナのみを用いた触媒粒子よりも少ない表面酸性部位を有する。
【0017】
要約すると、本発明の最終触媒粒子は、約20μm〜約500μmの粒径を有する。好ましくは、粒径は約20μm〜250μmである。より好ましくは、触媒前駆体は、約20μm〜約150μmの粒径を有する。下記で述べる現在好ましい多層ナノチューブの製造方法では、現在好ましい粒径は、約70μm〜約150μmである。触媒粒子は、以下のものを含有する。すなわち、
a. ガンマアルミナ(γ-Al
2O
3):約91.0〜97.6重量%、好ましくは約94.8〜約97.3重量%;
b. Mg(MgOおよびMgAl
2O
4の形態で):約0.5〜約3.3重量%、好ましくは0.5%〜1.0%;
c. 還元Co:約0.5〜約2.0重量%、好ましくは約0.75〜約1.5重量%;
d. Mo(Mo
2Cの形態で):約0.3〜約2.0重量%、好ましくは約0.5〜約1.0重量%;ならびに、
e. Fe(還元鉄および炭化鉄(Fe°、Fe
3C)の形態で):約0〜約3.0重量%、好ましくは約0.5〜約2.0重量%。
【0018】
通常、触媒粒子の2.0重量%未満が金属炭化物である。金属炭化物は実質的な量では生成されないため、多層カーボンナノチューブの触媒的生成における還元型金属の原子比率は、実質的には触媒前駆体と変わらないであろう。
【0019】
2. 触媒前駆体粒子および触媒粒子の調製方法
本発明は、多層カーボンナノチューブの触媒的形成に適した触媒前駆体および触媒の製造方法を提供する。具体的には、本発明の触媒は、層および直径が狭い分布範囲を有する多層カーボンナノチューブのバッチの製造を可能にする。
【0020】
好ましい実施形態では、方法は、最初に、下記の2つ以上、すなわち、酢酸コバルト、硝酸コバルトからなる群より選択されるコバルト化合物;酢酸鉄、硝酸鉄からなる群より選択される鉄化合物;ヘプタモリブデン酸アンモニウムおよび二モリブデン酸アンモニウムからなる群より選択されるモリブデン化合物;ならびに硝酸マグネシウムを含有する混合金属化合物の溶液を調製することを含む。好ましい溶液は、水中に酢酸コバルト、硝酸鉄、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、および硝酸マグネシウムを含有する。
【0021】
選択されたコバルト化合物に関わらず、溶液は、約20 g/L〜約50 g/Lの濃度のコバルトイオン;約10.5 g/L〜約70.3 g/Lの濃度のモリブデンイオン;約35 g/L〜約105 g/Lの濃度の鉄イオン;および約6.7 g/L〜約27.0 g/Lの濃度のMgイオンを含有する。好ましい溶液は、約26.7 g/L〜約40.0 g/Lのコバルトイオン;約17.6 g/L〜約35.2 g/Lのモリブデンイオン;約52.7 g/L〜約70.1 g/Lの鉄イオン;および約6.7 g/L〜約13.5 g/Lのマグネシウムイオンを含有する。最も好ましいのは、約33.4 g/Lのコバルトイオン;約17.6 g/Lのモリブデンイオン;約63.1 g/Lの鉄イオン;および約6.7 g/Lのマグネシウムイオンの溶液である。金属イオン濃度の適切な選択は、望ましい混合金属酸化物の形成を促進するであろう。従って、この結果を実現するために、溶液中の金属の適切な化学量論比を提供することが望ましい。
【0022】
上記の金属イオンはその後、水酸化アルミニウムと反応して、化学量論比が示されたものとは異なり得る下記の水酸化物:すなわち、Mg(OH)
2、Fe(OH)
3、Co(OH)
2、CoMoO
4・nH
2O、Fe
2(MoO
4)
3・nH
2Oを含むがそれらに限定されない金属水酸化物および他のイオン性化合物の混合物を生じる。通常、上述の反応は、室温で約2〜4時間に渡って行われる。反応生成物は、ペースト状の粘稠度を有し、これは粒子の凝集を促進する。好ましくは、ペーストは、水が約20〜約40重量%の水分含量を有する。より好ましくは、ペーストは、約25〜約30重量%の水を含有する。
【0023】
粒子の凝集に必要であれば、ペースト状の生成物は、約100μm〜約1400μmの粒径を有する凝集粒子を生じるように処理される。通常、粒子は反応の間に凝集する。好ましくは、凝集粒子は、約100μm〜約500μmである。好ましい過程では、凝集粒子は、約20〜約50分間ペーストを練るかまたは混ぜる機械内で混合される。混練後、生成物を更に2〜3時間寝かせてもよい。総時間はバッチサイズによって左右される。約200〜約2000グラムのバッチに対して、好ましい混練時間は約30分である。より大きなバッチは、より長い混合時間を必要とする。凝集後、粒子は乾燥され、1400μm未満の粒子を分離するためにふるいにかけられる。好ましくは、ふるい分けステップは、約100μm〜約500μmの範囲の粒子を提供する。
【0024】
凝集粒子は、水が約10〜約20重量%の水分含量まで乾燥される。好ましくは、乾燥された粒子は15重量%未満の水しか含有しない。乾燥させるステップは、好ましくは約30℃〜50℃の温度で行われる。
【0025】
乾燥およびふるい分けの後、粒子は、約400℃〜約600℃の温度で約3時間〜約8時間、流動ガス下でか焼される。より好ましくは、か焼するステップは、約400℃〜約500℃の温度で約3.5時間〜約4.5時間行われる。最も好ましくは、か焼するステップは、約440℃〜460℃の温度で約3.5時間〜約4.5時間行われる。好ましくは、か焼ガスは、空気、窒素、ヘリウム、およびその混合物から選択される。通常、好ましいか焼ガスは、か焼条件下において不活性なガスである。乾燥させるステップおよびか焼するステップは、凝集粒子を約20μm〜500μmの粒径に縮小させる。あるいは、か焼の前に、粒子はふるい分けされ、必要であれば、か焼によって20μm〜250μmの粒子を生じるように粉砕される。好ましくは、か焼は、約20μm〜200μmの粒子を生じる。より好ましいのは、約20μm〜150μmの粒子である。後述される好ましい方法では、好ましい粒径の範囲は、約70μm〜150μmである。結果として生じる粒子は基本的に水分を含まない。すなわち、水分は3重量%以下である。
【0026】
粒子のか焼は、金属水酸化物をそれぞれの酸化物に変換する。例えば、モリブデン酸塩とともに水酸化鉄をか焼すると、モリブデン酸鉄(Fe
2(MoO
4)
3)を生じる。同様に、モリブデン酸塩とともに水酸化コバルトをか焼すると、モリブデン酸コバルト(CoMoO
4)を生じる。更に、か焼過程の間に、Fe(OH)
3およびCo(OH)
2が化合してCoFe
2O
4を生じる。最後に、か焼の間に、Mg(OH)
2はMgOを生じ、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)はガンマアルミナ、すなわちγ-Al
2O
3に変わる。か焼過程の間に、Mg(OH)
2の酸化はまた、γ-Al
2O
3の表面上の強酸部位の形成を妨げる。結果として生じる表面構造は、Mg-Al-Oと類似した混合酸化物であると考えられる。いずれにしても、MgOを有するγ-Al
2O
3の表面酸性度は、Mg(OH)
2の非存在下でか焼された際のγ-Al
2O
3の表面酸性度より有意に低い。
【0027】
更に、か焼過程の間、マグネシウムおよびアルミニウムのそれぞれの酸化物の形成に加えて、水酸化アルミニウムに隣接したMg
+2イオンの一部は、平行反応を引き起こす。この反応において、マグネシウムイオンのアルミナへの溶解性は、マグネシウムが粒子の表面近くの酸化アルミニウム四面体構造の一部を置換することを可能にし、それによってスピネル様構造を有する化合物である、アルミン酸マグネシウム(MgAl
2O
4)を生じる。アルミン酸マグネシウムの形成は、CoAl
2O
4およびFeAlO
3の形成より優先される。従って、優先反応は、得られる担体粒子の表面上での触媒部位への還元および変換のために触媒金属を保護する。具体的には、還元コバルトは得られる担体の表面上でナノ粒子サイズドメインの形態をとり、鉄は還元鉄および炭化鉄となり、モリブデンは炭化モリブデンとなる。炭化鉄および還元鉄は、触媒担体の表面上にコバルトを分散させ、それによって、得られるナノチューブの内径を制御する。
【0028】
結果として生じる触媒担体は、アルミン酸マグネシウムが主として粒子の外層においてγ-Al
2O
3の結晶構造に組み込まれている構造を有する。加えて、ガンマアルミナの表面はMgOを有する。理論に制限されるものではないが、表面上のMgOは、おそらく、粒子のアルミナを含む混合酸化物、すなわちMg-Al-Oの混合酸化物である。この構造は、か焼過程の間のマグネシウムイオンのアルミナとの反応から生じる。最後に、好ましい触媒担体は、好ましくはCoAl
2O
4およびFeAlO
3を含まない。もしFeAlO
3が存在する場合には、好ましくは、触媒担体は0.5重量パーセント未満のFeAlO
3しか含まない。もしCoAl
2O
4が存在する場合には、好ましくは、触媒担体は0.5重量パーセント未満のCoAl
2O
4しか含まない。
【0029】
触媒担体粒子の表面上のマグネシウムの存在は、触媒前駆体担体粒子および結果として生じる触媒担体粒子の表面酸性度を低下させる。担体粒子の表面上の酸性部位の数を減少させることによって、本発明の方法は、その後の多層カーボンナノチューブの製造中において、カーボンナノチューブの生成を改善し、他の炭素型の形成を減少させる。加えて、CoAl
2O
4およびFeAlO
3の形成を妨げることによって、マグネシウムイオンの存在は、触媒金属の損失を防ぐ。
【0030】
か焼および粒径の減少後、結果として生じる触媒前駆体粒子は、MgOの表面処理を伴うγ-Al
2O
3/MgAl
2O
4の触媒担体を有する。加えて、触媒担体の表面は、記載される金属酸化物の混合相を有する。上述のように、好ましい混合金属酸化物は、CoFe
2O
4、CoMoO
4、Co
xMoO
4、Fe
2(MoO
4)
3、Co
xFe
yMoO
4を含むが、それらに必ずしも限定されず、Co
xFe
yMoO
4が最も好ましい。
【0031】
結果として生じる触媒前駆体は、反応チャンバー内に置かれる。好ましくは、反応チャンバーは、流動ガスがチャンバーを通過し粒子がその中に置かれる際、触媒粒子の流動床を生じるように設計される。最終的に触媒前駆体を触媒に変換するために、前駆体は加熱され、炭素含有ガスと反応しなければならない。下記の多層ナノチューブの製造方法では、好ましいガス状炭素化合物はエチレンである。触媒前駆体の触媒への変換は、ガス状炭素化合物との接触の最初の10分間、約600℃〜700℃の温度で行われる。この時間中、金属酸化物は、上述のそれぞれの金属および金属炭化物に還元される。加えて、Fe
3CおよびMo
2Cの形成は、担体の表面上での還元コバルトおよび還元鉄の焼結および凝集を妨げる。従って、その結果生じる還元コバルトのナノ粒子は、好ましくは約1.5 nm〜約3.5 nmの直径を有する。より好ましくは、触媒担体の表面上の還元コバルト金属粒子は、約1.5 nm〜2.2 nmの直径を有する。還元鉄粒子は、同様のサイズ、すなわち約1.5 nm〜約3.5 nm、好ましくは約1.5 nm〜2.2 nmのサイズを有するであろう。
【0032】
得られる触媒は、担体の表面上にMgOの表面処理ならびにFe
3CおよびMo
2Cのナノサイズ粒子を有するγ-Al
2O
3/MgAl
2O
4の担体を含む。還元された金属コバルトは、γ-Al
2O
3/MgAl
2O
4によって保持されてもよく、また炭化モリブデン(Mo
2C)および炭化鉄(Fe
3C)上に見られてもよい。更に、還元鉄は、γ-Al
2O
3/MgAl
2O
4によって保持されてもよく、また炭化モリブデン(Mo
2C)および炭化鉄(Fe
3C)上に見られてもよい。
【0033】
上述のように、得られる触媒粒子は、約20μm〜約500μmの粒径を有する。好ましくは、粒径は約20μm〜250μmである。より好ましくは、触媒は、約20μm〜約150μmの粒径を有する。現在好ましい、多層ナノチューブの製造方法では、現在好ましい粒径は、約70μm〜約150μmである。
【0034】
触媒粒子は、以下のもの:すなわち、ガンマアルミナ(γ-Al
2O
3):約91.0〜97.6重量%、好ましくは約94.8〜約97.3重量%;Mg(MgOおよびMgAl
2O
4の形態で):約0.5〜約3.3重量%、好ましくは0.5%〜1.0%;還元Co:約0.5から約2.0重量%、好ましくは約0.75〜約1.5重量%;Mo(Mo
2Cの形態で):約0.3〜約2.0重量%、好ましくは約0.5〜約1.0重量%;ならびに、Fe(還元鉄および炭化鉄(Fe°、Fe
3C)の形態で):約0〜約3.0重量%、好ましくは約0.5%〜約2.0重量%を含有する。通常、触媒粒子の2.0重量%未満が金属炭化物である。金属炭化物は実質的な量では生成されないため、多層カーボンナノチューブの触媒的生成における還元型金属の原子比率は、実質的には触媒前駆体と変わらないであろう。
【0035】
触媒前駆体を調製するための代替方法では、硝酸マグネシウムは最初の溶液から除かれている。この方法では、水酸化マグネシウム粉末が水酸化アルミニウム粉末と混合され、酢酸コバルト、硝酸コバルトからなる群より選択されるコバルト化合物、酢酸鉄、硝酸鉄からなる群より選択される鉄化合物、ヘプタモリブデン酸アンモニウムおよび二モリブデン酸アンモニウムからなる群より選択されるモリブデン化合物、ならびにその混合物を含有する金属化合物の溶液と反応する。好ましい溶液は、水中に酢酸コバルト、硝酸鉄、
およびヘプタモリブデン酸アンモニウ
ムを含有する。
【0036】
選択されたコバルト化合物に関わらず、溶液は、約20 g/L〜約50 g/Lの濃度のコバルト;約10.5 g/L〜約70.3 g/Lの濃度のモリブデンイオン;約35 g/L〜約105 g/Lの濃度の鉄イオン;および約6.7 g/L〜約27.0 g/Lの濃度のMgイオンを含有する。好ましい溶液は、約26.7 g/L〜約40.0 g/Lのコバルトイオン;約17.6 g/L〜約35.2 g/Lのモリブデンイオン;約52.7 g/L〜約70.1 g/Lの鉄イオン;および約6.7 g/L〜約13.5 g/Lのマグネシウムイオンを含有する。最も好ましいのは、約33.4 g/Lのコバルトイオン;約17.6 g/Lのモリブデンイオン;および約63.1 g/Lの鉄イオンの溶液である。
【0037】
金属イオンの溶液はその後、約20μm〜約150μmの粒子を有する過剰量の水酸化アルミニウム粉末、および約20μm〜約150μmの粒子を有する水酸化マグネシウム粉末と反応する。この反応後、触媒前駆体およびそれに続く触媒の調製は、上述の過程と同じである。
【0038】
層および直径が狭い分布範囲を有する多層カーボンナノチューブバッチの製造
多層カーボンナノチューブの触媒的生成に関する下記の記載は、基本的に、触媒前駆体および触媒の調製に関する上記の記載の続きである。か焼された触媒前駆体を反応チャンバーに置いた後、粒子は流動化され、触媒粒子に変換される。上述のように、触媒は、約20μm〜約500μmの粒径を有しうる。好ましくは、粒径は約20μm〜250μmである。より好ましくは、触媒前駆体は、約20μm〜約150μmの粒径を有する。現在好ましい、多層ナノチューブの製造方法では、現在好ましい粒径は、約70μm〜約150μmである。従って、粒子は流動床反応器での使用によく適している。
【0039】
触媒前駆体粒子を反応チャンバーに置いた後、窒素ガスの流れが反応チャンバーを通過し、それによって粒子床を流動化させる。窒素ガスは、流動床内の温度を約600℃〜約700℃に上昇させるために十分な温度に加熱される。あるいは、反応チャンバーは、加熱炉または他の適切な加熱装置内に設置されてもよい。加熱炉内に設置される場合、反応チャンバーは通常、加熱炉およびガスの両方によって加熱される。より好ましくは、流動床は、約600℃〜約650℃の温度に予熱される。最も好ましくは、流動床は、約610℃〜約630℃に予熱される。当業者は、アルゴンまたはヘリウムなどの他の非反応性ガスが窒素に代替しうることを認識するであろう。予熱ステップの主要な必要条件は、流動化、および望ましくない副反応なく目的とする温度にまで流動床を加熱することである。
【0040】
流動床内の温度の安定時に、床へのガス流は、窒素から反応性ガスに切り替えられる。反応性ガスは、炭素含有ガスを含む非反応性のキャリアガスである。好ましいキャリアガスは窒素であり、好ましい炭素含有ガスはエチレンであるが、アルゴンまたはヘリウムなどの他のキャリアガスは同様によい性能を示すであろう。窒素中のエチレンの好ましい混合は、約10〜80容量%である。より好ましくは、反応性ガスは、窒素中に約20〜約50容量%のエチレンを含有する。最も好ましいのは、窒素中に約20〜約40容量%のエチレンを含有する反応性ガスである。
【0041】
エチレン含有ガスの流量は、反応チャンバーの大きさに依存しない。むしろ、反応チャンバーを通過するガスの量は、反応チャンバー内の触媒前駆体のグラム数に依存する。流量は、触媒前駆体のkgあたり約70 L/分〜触媒前駆体のkgあたり約150 L/分である。より好ましくは、流量は、触媒前駆体のkgあたり約90 L/分〜触媒前駆体のkgあたり約120 L/分である。
【0042】
エチレン含有ガスの触媒粒子との初期反応は、金属酸化物をそれらのそれぞれの金属(Co°およびFe°)ならびに金属炭化物(Mo
2CおよびFe
3C)に還元する。この還元ステップは通常、反応過程の最初の5分間に起こる。好ましくは、反応温度は600℃〜750℃である。より好ましくは、反応温度は610℃〜650℃である。最も好ましくは、反応温度は610℃である。加えて、反応過程の最初の10分間においては、進行している、エチレンの触媒前駆体およびその後の触媒粒子との反応は、発熱反応である。従って、好ましい方法は、流動床の温度を670℃未満に維持する。温度の維持は、反応チャンバーに入るガスの温度を下げることによって実現されうる。加熱炉が用いられる場合、加熱炉の温度もまた下げられうる。より高い温度は非晶質炭素の生成の増加を引き起こすため、好ましくは、温度は650℃未満に維持される。金属酸化物が還元されるにつれて、エチレンガスは、結果として生じる触媒粒子と接触し、多層カーボンナノチューブを成長させ始める。金属酸化物の触媒粒子への還元後、反応過程は、約10〜約40分間継続する。より好ましくは、反応過程は、金属酸化物の還元後、約15〜25分間継続する。
【0043】
ここで使用済みの触媒粒子によって保持される、得られた炭素生成物は、非晶質炭素および他の炭素型を98%含まない。従って、炭素生成物の98%は、多層カーボンナノチューブである。更に、得られる多層カーボンナノチューブは、主として3〜8層を有する。より好ましくは、使用済み触媒粒子によって保持される得られたナノチューブは、主として3〜6層を有し、約4.0 nm〜約7.0 nmの外径を有する。好ましくは、得られる多層カーボンナノチューブの少なくとも60%は、3〜6層を有し、約4.0 nm〜約7.0 nmの外径を有する。より好ましくは、本発明の方法は、得られる多層カーボンナノチューブの少なくとも75%が、3〜6層で約4.0 nm〜7.0 nmの直径の、望ましい狭い分布範囲を有する多層カーボンナノチューブを生成する。より好ましくは、使用済み触媒によって保持される得られたナノチューブの少なくとも85%は、3〜6層を有し、約4.0 nm〜約7.0 nmの外径を有する。最も好ましくは、連続的に維持される触媒粒子の流動化によって、本発明は、得られる多層ナノチューブの90%が3〜6層を有し、約4.0 nm〜約7.0 nmの直径を有する多層カーボンナノチューブを保持している使用済み触媒を提供する。
【実施例】
【0044】
下記の実施例および試験データは、本発明の特質を限定しない。むしろ、この情報は本発明の理解を高める。
【0045】
[実施例1]
目的
本実施例は、炭素収率およびカーボンナノチューブ直径に対する様々な触媒金属組成の影響を実証する。
【0046】
方法
様々な触媒前駆体を調製し、得られる多層生成物における触媒金属の重要性を実証した。
図1の表は、この比較のために生成されたナノチューブ生成物を同定する。これらの実施例のために、上述のように調製した150〜300ミクロンの粒径を有する600グラムの触媒前駆体を、流動床反応器内に置いた。上述のように、本発明の方法は、触媒前駆体を触媒に変換し、その後、得られた触媒上に多層カーボンナノチューブを成長させる。
図1に示されるそれぞれの実施例について、最終的な触媒は、610℃で、60 L/分のガス流量(触媒のKgあたり100 L/分のガス流/触媒量比率)で20分間、窒素中40%のエチレンと反応した。
【0047】
結果
図1に示されるように、触媒金属組成は、結果として生じる多層ナノチューブ生成物に大きな影響を与える。例えば、実験例 PXE2-282、PXE2-285、PXE2-292、およびPXE2-293は、Co、Mo、および約0.75重量パーセントの鉄〜約1.9重量%の鉄を有する触媒前駆体を用いて調製された多層カーボンナノチューブに関するデータを提供する。結果として生じるナノチューブのバッチは、約6.72 nm〜約8.24 nmのメディアン外径および4.97 nm〜約6 nmのモード外径を有する高収量のカーボンナノチューブを有する。これらのカーボンナノチューブの75%〜85%は、10 nm未満の外径を有する。具体的には、PXE2-282は、6.0 nmのモード径を有する多層ナノチューブのバッチを示し、そのバッチのメディアン径は8.24 nmであり、バッチの73%が10 nm未満の直径を有した。同様に、PXE2-285は、5.38 nmのモード径を有する多層ナノチューブのバッチを示し、そのバッチのメディアン径は6.72 nmであり、バッチの85%が10 nm未満の直径を有した。PXE2-292およびPXE2-293の値は、
図1から容易に決定できる。当業者に知られているように、このように用いられる場合「モード」という用語は、データセットの中で最も頻繁に出現する値を表す。従って、PXE2-285において、最も多く見られるバッチ中のナノチューブの直径は
5.38 nmである。
【0048】
これらの結果は、触媒前駆体の全金属の約0.75〜約1重量パーセントのCo、触媒前駆体の全金属の約0.75〜約1.9重量パーセントのFe、および触媒前駆体の全金属の約0.4〜約0.5重量パーセントのMoを含有する触媒前駆体組成物が、高収率の小径カーボンナノチューブを生じさせることを実証する。
【0049】
一方、鉄を含まない触媒前駆体粒子は、炭素収率の著しい減少をもたらす。例えば、実験例 PXE2-288は、前駆体触媒調製物から鉄を除いた場合、炭素収率の57%の低下を示す。興味深いことに、結果として生じる生成物は、6.98のメディアン外径および4.68のモード外径を有するカーボンナノチューブを含む。
【0050】
これは、鉄が、結果として生じるカーボンナノチューブの小さい直径に関与していないことを示唆する。しかし、結果は、モリブデンがカーボンナノチューブ直径の制限に関与することを示唆すると思われる。例えば、実験例 PXE2-284は、それぞれ、9.63 nmおよび11.06 nmのメディアン外径およびモード外径を有するカーボンナノチューブを生じた。加えて、Moが前駆体組成物に用いられた実験例 PXE2-285での85%と比較して、得られたカーボンナノチューブのわずか54%だけが、10 nm未満の外径を有した。
図2A〜2Dは更に、カーボンナノチューブの直径分布における、FeまたはMoのいずれかを触媒前駆体から除去する場合の影響を図示する。まとめると、これらの結果は、鉄が炭素収率を維持するように作用し、一方、モリブデンはより小さな直径のカーボンナノチューブの生成を促進することを示す。
【0051】
[実施例2]
目的
図3を参照して、本実施例は、炭素収率およびカーボンナノチューブ直径に対する、反応温度およびガス組成の影響を実証する。
【0052】
方法
本試験では基準として、
図1におけるPXE2-282およびPXE2-285の配合を有する触媒組成物を使用した。得られるナノチューブ生成物に対する反応温度の影響を決定するために、610〜675℃の温度で反応を行った。更に、これらの試験は、得られるナノチューブ生成物に対するガス供給物中のエチレン濃度の変化による影響を、30〜40%のエチレン濃度の変化について決定した。
【0053】
結果
反応温度の上昇および/または40%から30%へのガス組成の低下は、炭素収率を減少させ、カーボンナノチューブの直径を増加させる。従って、炭素収率を最大にし、小径カーボンナノチューブを生成するためには、触媒反応は、約610℃で、40%エチレンを含有する反応性ガス混合物を用いて行われるべきである。
【0054】
[実施例3]
目的
本実施例は、3〜6層(直径4〜8 nm)を有する主として小さい直径の多層カーボンナノチューブを含有する複合材と、より大きな直径のカーボンナノチューブを含有する複合材との、電気伝導性を比較する。本実施例およびその後の実施例は、本発明に従って調製され、
図1においてPXE2-282として識別される物
質を使用する。
【0055】
方法
本発明の方法および触媒組成物によって製造されたカーボンナノチューブ(以下、SMW-100は、
図1のPXE2-282に記載される触媒組成物によって製造された多層カーボンナノチューブを指す)を、表1および
図4A〜Dに記載される直径分布を有する様々な市販のカーボンナノチューブと比較した。下記の表1は、様々な市販の多層カーボンナノチューブおよびSMW-100のカーボンナノチューブ直径分布を示す。例えば、SMW-100に関して、ナノチューブの10%は4.2 nmより小さい直径を有し、全ナノチューブの50%は6.7 nmより小さい直径を有し、全ナノチューブの90%は12 nmより小さい直径を有する。
【表1】
【0056】
ポリカーボネートMakrolon 2600 PC顆粒を、表1に記載されるカーボンナノチューブ源と溶融混合した。DSMマイクロコンパウンダー(15 cm3)で、下記の条件下:すなわち、スクリュー速度:200 rpm;温度:280℃;時間:5分間で、溶融混合を行った。押出ストランドから圧縮プレート(60 mm直径×0.5 mm厚)を作製した(温度:280℃、時間:1分間、圧力:100kN)。TGAおよびTEM分析によってカーボンナノチューブサンプルの特性を明らかにした(
図4A〜D)。
【0057】
Keithley 8009試験装置(抵抗率>10
7 Ohm cmに対して)またはストリップ試験装置(抵抗率<10
7Ohm cmに対して)と組み合わせたKeithley 6517A電位計を用いて、抵抗率を測定した。本開示において、パーコレーション閾値という用語は、物質中に1つの、唯一の、連続的な伝導路が存在する炭素充填濃度のことである。
【0058】
結果
図5は、SMW-100カーボンナノチューブ材料が最も低い電気的パーコレーション閾値を与えることを示す。
図5に示されるように、0.33 wt.%のCNT充填は、電気的パーコレーションの必要条件を満たした。
図5に示されるように、SMW-100は、0.5〜1.0 wt%の充填に対して10
4〜10
2 Ohm/cmの抵抗率測定値を与えた。一方、それぞれ7〜9 nm(MW
CNT A)、10〜11 nm(MW
CNT C)、および12〜15 nm(MW
CNT B)の直径を有する比較例のカーボンナノチューブはそれぞれ、0.50 wt%、0.50 wt%、および0.55〜0.60 wt%のパーコレーション閾値をもたらした。
【0059】
上記の結果を踏まえて、表1および
図1に示されるSMW-100の特徴を有する直線状多層カーボンナノチューブのバッチの使用は、他の市販の多層カーボンナノチューブ源より低い充填レベルで、より高い伝導特性をもたらすであろう。
【0060】
[実施例4]
目的
本試験は、Nylon66樹脂中に分散された市販の多層カーボンナノチューブを基にした複合材の性能を、Nylon66樹脂中に分散されたSMW-100カーボンナノチューブから作製した複合材の性能と比較する。
【0061】
方法
二軸スクリュー押出によってCNT-Nylon 6,6の配合を行った。その後、得られた複合材を、標準的なASTM試験のバー(bars)およびプラーク(plaque)(4in×4in×3.2mm)に射出成形した。その後、射出成形プラークに対して、標準的なProStat抵抗計を用いて、ASTM D-257により体積抵抗および表面抵抗について、伝導率測定を行った。表面抵抗は、PRF-912Bプローブを用いて、射出成形プラークの各表面上のあらかじめ決められた25ヶ所で、すなわちプラークの前面の25ヶ所および裏面の25ヶ所で測定された。この厳密な試験は、材料および/または加工における不均一性による電気的性能のいかなるわずかな差異も明らかにするように考案されている。プラークの前面は、エジェクタピンがある側に相当する。プラークの裏面は、工具の固定部(ノズルにより近い)に相当する。プラークの体積抵抗は、PRF-911同心円リングを用いて、サンプルあたり5ヶ所で試験され、プラークの前面および裏面の両方に対して平均化された。
【0062】
結果
表面抵抗データは、
図6Aおよび6Bに示される。SMW-100複合材は、市販の多層カーボンナノチューブ(MWCNT)と比較して、成形後、より低くより均一な電気抵抗特性を示した。MWCNTおよびSMW-100充填サンプルの表面抵抗は、プラークの前面および裏面においてかなり均一であり、非常によく一致している。
【0063】
更に、Nylon 6,6を基材としたSMW-100を含む複合材は、Nylon 6,6を基材とした市販等級のMWCNTを含む複合材より高い伝導性の値を示した。SMW-100複合材はまた、試験される位置間およびプラークの前面と裏面との間で、より狭い範囲の標準偏差で、より均一な抵抗値を示した。
図6Aおよび6Bに反映されるように、本発明のカーボンナノチューブ材料、すなわち、直径および層の数が狭い分布を有するナノチューブのバッチから作製される複合材は、現在入手可能な材料と比較して、改善された伝導性を有する。
【0064】
[実施例5]
目的
本実施例は、下記のそれぞれ:すなわち、SMW-100;単層カーボンナノチューブ(SWNT);二層カーボンナノチューブ(DWNT);および市販の多層カーボンナノチューブ(実施例3のMWCNT B)を含有する薄膜の表面抵抗率を比較する。
【0065】
方法
1%Triton-X 100界面活性剤中1 g/リットルのカーボンナノチューブを含有する溶液を用いて、異なる透明性(透過率80〜95%)を有するカーボンナノチューブに基づいた薄膜を調製した。その後、溶液を超音波処理し、遠心分離した。ロッドコーティング技術を用いて、様々なカーボンナノチューブインクをPET 505基板に沈着させた。
【0066】
結果
図7に示されるように、SWNT を用いて調製された80〜90%の透明性を有する薄膜は、薄膜中の他の種類のカーボンナノチューブ材料より高い電気伝導性を示す。しかし、本発明の新規バッチ材料、すなわちSMW-100を用いて調製された薄膜は、従来のDWNTおよびMWNTを組み込んだ薄膜よりも良好な伝導性能を有した。
【0067】
本発明は以下の事項にも関する。
・担体と;担体の表面上の混合金属酸化物とを含有する触媒前駆体組成物であって、混合金属酸化物がCoFe2O4、CoMoO4、CoxFeyMoO4、Fe2(MoO4)3およびその混合物からなる群より選択され、式中、xおよびyはそれぞれ対応する金属酸化物の原子比率を表し、xは約1.6〜6.5であり、yは約0〜10.5であり、又は、xが約2.44〜4.88であり、yが約1.75〜6.98である、触媒前駆体組成物。
・混合金属酸化物がCoFe2O4、CoMoO4、Co3.3Fe2.62MoO4およびその混合物からなる群より選択される、上記触媒前駆体組成物。
・混合金属酸化物がCoFe2O4、CoMoO4、Co3.3FeyMoO4およびその混合物からなる群より選択され、yが2.6〜6.3である、上記触媒前駆体組成物。
・担体がアルミナ、およびアルミン酸マグネシウムを含有する、上記触媒前駆体組成物。
・酸化マグネシウムが担体の表面上に存在する、上記触媒前駆体組成物。
・アルミナがガンマアルミナである、上記触媒前駆体組成物。
・アルミナおよびマグネシウム化合物を含有する担体と;担体の表面上の混合金属酸化物とを含有する触媒前駆体組成物であって、混合金属酸化物の金属成分がコバルト、モリブデン、および鉄からなる群より選択され、前記コバルトは前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.5〜約2.0重量パーセントの濃度であり、前記モリブデンは前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.3〜約2.0重量パーセントの濃度であり、前記鉄は前記触媒前駆体組成物の全金属の約0〜約3.0重量パーセントの濃度であり、前記マグネシウムは前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.5〜約3.3重量パーセントの濃度である、触媒前駆体組成物。
・アルミナがガンマアルミナである、上記触媒前駆体組成物。
・マグネシウム化合物がアルミン酸マグネシウムである、上記触媒前駆体組成物。
・酸化マグネシウムが担体の表面上に存在する、上記触媒前駆体組成物。
・触媒前駆体組成物が約20〜約500ミクロン、約20〜約250ミクロン、又は約20〜約150ミクロンの粒径を有する、上記触媒前駆体組成物。
・前記触媒前駆体組成物がFeAlO3およびCoAl2O4を実質的に含まない、上記触媒前駆体組成物。
・0.5重量パーセント未満のFeAlO3および0.5重量パーセント未満のCoAl2O4を有する、上記触媒前駆体組成物。
・前記コバルトが前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.75〜約1.5重量パーセントの濃度であり、前記モリブデンが前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.5〜約1.0重量パーセントの濃度であり、前記鉄が前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.5〜約2.0重量パーセントの濃度であり、前記マグネシウムが前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.5〜約1.0重量パーセントの濃度である、上記触媒前駆体組成物。
・ガンマアルミナおよびアルミン酸マグネシウムを含有する担体と;コバルト、モリブデン、および鉄を保持する前記担体の表面とを有する触媒組成物であって、前記コバルトが金属コバルトの形態で前記触媒組成物の約0.5〜約2.0重量パーセントであり、前記モリブデンが炭化モリブデンの形態で前記触媒組成物の約0.3〜約2.0重量パーセントであり、前記鉄が金属鉄および炭化鉄の形態で、全鉄成分が前記触媒組成物の約0〜約3.0重量パーセントの濃度である、触媒組成物。
・ガンマアルミナが前記触媒組成物の約91.0〜約97.6重量パーセントであり、マグネシウムが、MgOおよびMgAl2O4の形態で、前記触媒組成物の約0.5〜約3.3重量パーセントである、又は、ガンマアルミナが前記触媒組成物の約94.8〜約97.6重量パーセントであり、マグネシウムが前記触媒組成物の約0.5〜約1.0重量パーセントである、上記触媒組成物。
・前記コバルトが金属コバルトの形態で前記触媒組成物の約0.75〜約1.5重量パーセントであり、前記モリブデンが炭化モリブデンの形態で前記触媒組成物の約0.5〜約1.0重量パーセントの濃度であり、前記鉄が金属鉄および炭化鉄の形態で、全鉄成分が前記触媒組成物の約0.5〜約2.0重量パーセントの濃度である、触媒組成物。
・炭化モリブデンおよび炭化鉄が前記触媒組成物の0〜2.0重量パーセント未満を占める、上記触媒組成物。
・前記金属コバルトが、約1.5 nm〜約3.0 nm、又は約1.5 nm〜約2.2 nmのサイズを有する粒子として前記担体の表面上にある、上記触媒組成物。
・酸化マグネシウムが担体の表面上に存在する、上記触媒組成物。
・前記触媒組成物が約20〜約500ミクロン、約20〜約250ミクロン、又は約20〜約150ミクロンの粒径を有する、上記触媒組成物。
・複数の使用済み触媒粒子を含む物質の組成物であって、前記使用済み触媒粒子は触媒的に形成された炭素生成物を保持し、前記使用済み触媒粒子によって保持される炭素生成物の少なくとも70%、又は少なくとも98%が多層カーボンナノチューブであり、多層カーボンナノチューブの少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が、約3〜約8層を有する、物質の組成物。
・前記多層カーボンナノチューブの少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が3〜6層を有する、上記物質の組成物。
・前記多層カーボンナノチューブの少なくとも60%が約7 nm未満の外径を有する、上記物質の組成物。
・前記多層カーボンナノチューブの少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が約4 nm〜約7 nmの外径を有する、上記物質の組成物。
・化合物の金属部分がコバルト、鉄、モリブデン、マグネシウム、およびその混合物からなる群より選択される、2つ以上の金属化合物を含有する溶液を調製するステップと;金属化合物の溶液を水酸化アルミニウムと反応させ、反応した粒子を含有する生成物を得るステップと;粒子を乾燥させるステップと;粒子を流動ガス下でか焼するステップと;粒径を減少させるステップとを含む、触媒前駆体組成物を調製する方法。
・コバルト含有化合物が、酢酸コバルトおよび硝酸コバルトからなる群より選択され;鉄含有化合物が、酢酸鉄および硝酸鉄からなる群より選択され;モリブデン含有化合物が、ヘプタモリブデン酸アンモニウムおよび二モリブデン酸アンモニウムからなる群より選択され;マグネシウム含有化合物が硝酸マグネシウムである、上記方法。
・溶液が、酢酸コバルト、硝酸鉄、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、および硝酸マグネシウムを含有する、上記方法。
・金属化合物の溶液と水酸化アルミニウムとの反応が室温で約2〜4時間行われる、上記方法。
・反応した粒子の生成物がペースト状の粘稠度を有する、上記方法。
・乾燥させるステップの前に、反応した粒子を含有する前記生成物が約20〜約40重量%、又は約25〜約30重量%の水分含量を有する、上記方法。
・反応した粒子を約20分間〜約50分間混練することによって前記粒子を処理するステップを更に含む、上記方法。
・乾燥させるステップが約30℃〜約50℃の温度で行われる、上記方法。
・乾燥させるステップが約10〜約20重量%、又は15重量%未満の水分含量をもたらす、上記方法。
・か焼するステップが約400℃〜約600℃の温度で約3時間〜約5時間、約400℃〜約500℃の温度で約3.5時間〜約4.5時間、又は約440℃〜約460℃の温度で約3.5時間〜約4.5時間行われる、上記方法。
・粒径を減少させるステップが約20μm〜約500μm、約20μm〜約250μm、又は約20μm〜約150μmの粒子を生じる、上記方法。
・化合物の金属部分がコバルト、鉄、モリブデン、およびその混合物からなる群より選択される、2つ以上の金属化合物を含有する溶液を調製するステップと;水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムの混合物を調製するステップと;水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムの混合物を化合物の溶液と反応させ、反応した粒子を含有する生成物を得るステップと;粒子を乾燥させるステップと;粒子を流動ガス下でか焼するステップと;粒径を減少させるステップとを含む、触媒前駆体組成物を調製する方法。
・か焼ステップが約400℃〜約500℃の温度で約3時間〜約5時間、約425℃〜約475℃の温度で約3.5時間〜約4. 5時間、又は約440℃〜約460℃の温度で約3.5時間〜約4.5時間行われる、上記方法。
・約20ミクロン〜500ミクロンの粒径を有する触媒前駆体粒子を反応チャンバー内に置くステップであって、前記触媒前駆体組成物が、担体と;担体の表面上の混合金属酸化物相とを含有し、前記混合金属酸化物の金属が、コバルト、モリブデン、および鉄からなる群より選択されるステップと;触媒前駆体粒子を流動化させ、それによって流動床を形成するために十分な流速で、非反応性ガス流を反応チャンバーに流すステップと;前記流動床を約600℃〜約750℃の温度に加熱するステップと;前記流動床の温度を約600℃〜約750℃に維持しながら、反応性ガス混合物を反応チャンバーに流すステップであって、前記反応性ガス流が、前記触媒前駆体組成物の金属酸化物を還元し、触媒粒子を含有する組成物を生じるステップと;前記反応性ガス混合物を反応チャンバーに流し続け、それによって触媒粒子上に多層カーボンナノチューブを生成するステップとを含む、多層カーボンナノチューブを製造する方法。
・得られる多層カーボンナノチューブの約60%〜約95%が3〜7層を有する、上記方法。
・流動床をガスが通過する間、流動床の温度が650℃未満に維持される、上記方法。
・前記反応性ガス混合物が窒素およびエチレンを含有する、上記方法。
・前記反応性ガス混合物が約10〜50容量%、又は約20〜30容量%のエチレンを含有する、上記方法。
・前記ガスが触媒前駆体のkgあたり約70 リットル/分〜触媒前駆体のkgあたり約150 リットル/分、触媒前駆体のkgあたり約90 リットル/分〜触媒前駆体のkgあたり約120 リットル/分、又は触媒前駆体のkgあたり約100 リットル/分の速度で前記床を通過する、上記方法。
・前記金属酸化物の還元後、反応性ガス混合物が約15〜約30分間反応チャンバーに流される、上記方法。
・触媒反応の後、前記触媒粒子が、前記多層カーボンナノチューブを保持する使用済み触媒粒子であり、前記多層カーボンナノチューブを保持する使用済み触媒粒子を回収するステップを更に含む、上記方法。
・前記コバルトが前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.5〜約2.0重量パーセントの濃度であり、前記モリブデンが前記触媒前駆体組成物の全金属の約0.3〜約2.0重量パーセントの濃度であり、前記鉄が前記触媒前駆体組成物の全金属の約0〜約3.0重量パーセントの濃度である、上記方法。
・担体がアルミナおよびアルミン酸マグネシウムを含有する、上記方法。
・多層カーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブのバッチであって、前記多層カーボンナノチューブが前記バッチの約60%〜約100重量%を占め、多層カーボンナノチューブの少なくとも60%が約3〜約7層を有する、カーボンナノチューブのバッチ。
・多層カーボンナノチューブの少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が約3〜約7層を有する、上記カーボンナノチューブのバッチ。
・多層カーボンナノチューブの少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が、約4 nm〜約7 nmの外径を有する、上記カーボンナノチューブのバッチ。
・前記多層カーボンナノチューブが前記バッチの約80〜約98重量%を占める、上記カーボンナノチューブのバッチ。
・多層カーボンナノチューブの約60〜約90重量%が3〜7層を有する、前記多層カーボンナノチューブを含有する組成物。
・前記多層カーボンナノチューブの少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が約3〜約7層を有する、物質の組成物。
・前記多層カーボンナノチューブの少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%が約4 nm〜約7 nmの外径を有する、上記物質の組成物。
・バッチの約60%〜約100重量%のカーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであり、多層カーボンナノチューブの50%〜約90%が10 nm未満の外径を有する、カーボンナノチューブのバッチ。
・多層カーボンナノチューブの54%〜85%、又は60%〜75%が10 nm未満の外径を有する、上記カーボンナノチューブのバッチ。
・前記多層カーボンナノチューブが約6.5 nm〜約8.5 nm、又は約7 nm〜約8 nmのメディアン外径を有する、上記カーボンナノチューブのバッチ。
・前記多層カーボンナノチューブが約4 nm〜約7 nm、約4.5 nm〜約6.7 nm、又は約5.1 nm〜約6.2 nmのモード外径を有する、上記カーボンナノチューブのバッチ。
・前記多層カーボンナノチューブが前記バッチの少なくとも90重量%、又は少なくとも98重量%を占める、上記カーボンナノチューブのバッチ。
・多層カーボンナノチューブの50%〜90%、54%〜85%、又は60%〜75%が10 nm未満の外径を有する、多層カーボンナノチューブを含有する組成物。
・前記多層カーボンナノチューブが約6.5 nm〜約8.5 nmのメディアン外径を有する、上記組成物。
・前記多層カーボンナノチューブが約4 nm〜約7 nm、又は約5.1 nm〜約6.2 nmのモード外径を有する、上記組成物。
本発明の他の実施形態は、本明細書の検討または本明細書に開示された本発明の実施から、当業者にとって明白であろう。従って、上述の発明の詳細な説明は、単に本発明の例と考えられ、本発明の真の範囲および趣旨は、下記の特許請求の範囲によって定義される。