特許第5932018号(P5932018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5932018-排気測定用のデコンボリューション法 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932018
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】排気測定用のデコンボリューション法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   G01N33/00 C
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-502616(P2014-502616)
(86)(22)【出願日】2012年3月14日
(65)【公表番号】特表2014-516404(P2014-516404A)
(43)【公表日】2014年7月10日
(86)【国際出願番号】US2012029020
(87)【国際公開番号】WO2012134815
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月10日
(31)【優先権主張番号】61/468,112
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513243871
【氏名又は名称】エイヴィエル・テスト・システムズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ベルクホーフ
【審査官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/079377(WO,A1)
【文献】 米国特許第06271522(US,B1)
【文献】 特開2003−172698(JP,A)
【文献】 特開2010−107279(JP,A)
【文献】 特開2000−039396(JP,A)
【文献】 特開2001−004533(JP,A)
【文献】 特開2000−146828(JP,A)
【文献】 特開2003−280169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の応答を修正する方法であって、
参照排気サンプルに対する機器の応答の導関数に基づいて、時間領域における逆コンボリューション関数を決定するステップと、
排気サンプルに対する機器の応答を時間の関数として記録するステップと、
記録された応答を前記逆コンボリューション関数でコンボリューションするステップとを備え、結果がコンボリューション補正された機器応答である、方法。
【請求項2】
前記決定するステップが、時間領域における理想コンボリューション関数を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記理想コンボリューション関数が、前記参照排気サンプルに対する機器の応答の一次導関数である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
機器の応答を修正する方法であって、
理想コンボリューション関数に基づいて、時間領域における逆コンボリューション関数を決定するステップと、
排気サンプルに対する機器の応答を時間の関数として記録するステップと、
記録された応答を前記逆コンボリューション関数でコンボリューションするステップとを備え、結果がコンボリューション補正された機器応答であり、
前記理想コンボリューション関数が、ガウス関数をインパルス応答関数でコンボリューションすることによって計算される、方法。
方法。
【請求項5】
前記ガウス関数及び前記インパルス応答関数が、スケーリング因子に基づいていて、前記スケーリング因子が、正規化されたコンボリューション関数と、参照排気サンプルに対する機器の応答とに基づいて決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記正規化されたコンボリューション関数が、正規化されたガウス関数を正規化されたインパルス応答でコンボリューションすることによって計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記インパルス応答関数が、前記参照排気サンプルに対する機器の応答からの値に基づいている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記決定するステップが、前記理想コンボリューション関数を時間領域から周波数領域に変換することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記決定するステップが、変換された前記理想コンボリューション関数で正規化フィルタ関数を割ることを含み、結果が周波数領域における逆コンボリューション関数である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記決定するステップが、前記逆コンボリューション関数を周波数領域から時間領域に変換することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記正規化フィルタ関数が、変換された前記理想コンボリューション関数と、正の調節可能なフィルタパラメータとに基づいている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記正の調節可能なフィルタパラメータが、周波数に依存しない一定値である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記決定するステップが、前記正の調節可能なフィルタパラメータを調節して、前記逆コンボリューション関数のオーバーシュート、アンダーシュート、及び動的応答を調節することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機器が、前記排気サンプルのガス状成分の濃度を時間の関数として測定するように構成されたガス分析器である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
微分補正された機器応答を計算して、前記コンボリューション補正された機器応答のステップ変化におけるノイズを除去するステップを更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項16】
微分補正された機器応答が、
p(t)+β・(dp/dt)*k(t)=y(t)
を用いて、p(t)を求めることによって計算されて、
p(t)が微分補正された機器応答であり、βが定数であり、k(t)が逆コンボリューション関数であり、y(t)がコンボリューション補正された機器応答である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
逆コンボリューション関数を決定する方法であって、
時間領域における理想コンボリューション関数を決定するステップと、
前記理想コンボリューション関数を時間領域から周波数領域に変換するステップと、
変換された前記理想コンボリューション関数で正規化フィルタ関数を割るステップであって、結果が周波数領域における逆コンボリューション関数である、ステップと、
前記逆コンボリューション関数を周波数領域から時間領域に変換するステップとを備えた方法。
【請求項18】
前記理想コンボリューション関数が、ガウス関数をインパルス応答関数でコンボリューションすることによって計算される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記正規化フィルタ関数が、変換された前記理想コンボリューション関数と、正の調節可能なフィルタパラメータとに基づいていて、前記正の調節可能なフィルタパラメータが、周波数に依存しない一定値である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記正の調節可能なフィルタパラメータを調節して、前記逆コンボリューション関数のオーバーシュート、アンダーシュート、及び動的応答を調節するステップを更に備えた請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2011年3月28日出願の米国仮出願第61/468112号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
排気分析器又は測定機器は、例えば、時間の関数として、排気又はエアロゾルのサンプル内の特定のガス状成分を測定したり、排気サンプル内の粒子状物質(すす等)を測定するように構成されていたりする。しかしながら、その機器の応答は、伝達関数や、過渡応答、機器を表す他の信号との測定のコンボリューション(畳み込み)に対して補正されていないものとなり得る。デコンボリューション(逆畳み込み)は、コンボリューションの影響を戻したり、修正したりするのに用いられるプロセスである。
【0003】
既知の一方法では、機器の応答が、時間領域においてオンラインで記録される。記録された信号のデコンボリューションは、以下の(1)から(3)の後処理によってオフラインで実施される。(1)記録されたデータをフーリエ変換で周波数領域に分解し、(2)モデルを使って、コンボリューションの影響を取り除き、そして、(3)コンボリューション補正された信号を逆フーリエ変換で時間領域に戻して構成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
機器の応答を補正する方法が開示される。本方法は、逆コンボリューション関数を決定するステップを含み、その逆コンボリューション関数は時間領域におけるものである。本方法は、更に、排気サンプルに対する機器の応答を時間の関数として記録するステップと、記憶された応答を逆コンボリューション関数でコンボリューションするステップとを含み、その結果はコンボリューション補正された機器応答である。
【0005】
更に、逆コンボリューション関数を決定する方法が開示される。本方法は、理想コンボリューション関数を決定するステップを含み、その理想コンボリューション関数は時間領域におけるものである。理想コンボリューション関数は時間領域から周波数領域に変換され、正規化フィルタ関数が、変換された理想コンボリューション関数で割られる。その割り算の結果は、周波数領域における逆コンボリューション関数である。そして、逆コンボリューション関数が周波数領域から時間領域に変換される。
【0006】
本開示の上記特徴及び他の特徴は、添付図面及び詳細な説明からより良く理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】排気に応答するように構成された測定機器を含む例示的なシステムを示す。
図2】測定機器の応答を補正する例示的な方法を示す。
図3図2の第一のステップの詳細を表す。
図4図2の第二のステップの詳細を表す。
図5図2の第三のステップの詳細を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、エンジン12と、その下流の排気管14とを含む例示的なシステム10を示す。エンジン12は、例えば、車両のエンジンや、研究室のスタンドアローン型のエンジンであり得る。更に、エンジン12は、ディーゼルエンジン等の任意のタイプのエンジンであり得る。
【0009】
エンジン12から発生した排気20は、エンジン12の下流に流れ、22aにおいて分岐されて、排気20のサンプル24aが、サンプリングライン22bに向けられる。サンプル24aの一部24bが、測定機器26に向けられる一方で、他の部分24cは、測定機器26と並列のフィルタボックス28に向けられる。しかしながら、フィルタボックス28は必須ではない。
【0010】
この例では、測定機器26は、すすセンサであり、例えばAVL483Micro Soot Sensor(MSS)である。測定機器26からの応答(つまり信号)は、サンプル24aの部分24b内のすすの濃度を、時間の関数として表す。
【0011】
制御装置30は、任意のタイプの既知のコンピュータであり得て、測定機器26と通信して、その応答を記録する。当業者には理解されるように、制御装置30は、プロセッサ(又はCPU)、スクリーン、ハードデバイス、マウス、キーボード等を含み得る。更に、制御装置30は、以下で説明するステップにおける各計算を行うように構成されていて、また、システム10内の他の多様な構成要素と通信するようにも構成され得る。
【0012】
参照ガス源32は、調節可能バルブ34によってサンプリングライン22bと選択的に連通する。一例では、制御装置30が、バルブ34を調節するように構成されるが、バルブを手動で調節することもできる。この例では、参照ガスは既知のすす濃度を有するガスである。しかしながら、以下の説明から理解されるように、参照ガス源32は、適切な参照ガスを含むことができる。
【0013】
留意すべきなのは、すすセンサが示されているが、本開示が他のタイプの測定機器に拡張される点である。例えば、本開示は、排気のサンプル内の一種以上のガス状成分(例えば、CO、CO、NO、NO、NO、CH、HC、O、NH、NO等)の量(例えば濃度)を測定するように構成されたガス分析器に拡張される。更に、開示される方法を用いて、コンボリューション曲線を決定することができる任意の測定機器からのデータ(例えば、温度、圧力、流量、速度、トルク測定等)をデコンボリューションすることができる。システム10は非限定的なものであり、本開示は、路上又は研究室での使用のために取り付けられたもの等の他のシステム設定に拡張される。
【0014】
図2は、開示される方法の一例におけるステップの上位概略図を示す。図示されるように、ステップ入力信号変化に対するシステム10の応答(特に、測定機器26の応答)が、100において測定される。そして、200において理想コンボリューション関数が決定されて、300において逆コンボリューション関数が決定される。ステップ100、200、300を、エンジン動作中のデータ取得の前に、オフラインで行うことができる。
【0015】
ステップ100〜300からの結果を、第四のステップ400において用いて、エンジン動作中に測定機器によって所得されたデータをデコンボリューションする。一例では、このデータは、排気テスト中に取得される。デコンボリューションされたデータを、任意の第五のステップ500において更に洗練することができる。ステップ100〜500については、以下で詳細に説明する。
【0016】
当業者には直ちに理解されるように、時間領域における関数が、例えばn(t)と表される一方で、周波数領域における同じ関数がN(f)と表される。この表記は、本願全体にわたって用いられる。
【0017】
図3は、ステップ100の詳細を示す。102〜106において、既知の量の測定可能な排気成分を有する参照ガスのサンプルを、バルブ34を介して測定機器に接続して、補正されていない機器の応答x(t)を記録する。上述のように、測定機器26がすすセンサである例では、参照ガスは、既知のすす濃度を有する。同様に、想定機器がHCを測定するように構成されている場合には、既知のHC濃度を有する参照ガスが選択される。
【0018】
108において、時間T、T、及びTが決定される。一般的に、これらの時間は、記録された信号の振幅が、既知の信号に対して三つの異なるパーセンテージの値となる時間のことである。これは、測定機器及び他の測定設備によって生じる減衰を表す。例えば、T、T、Tに対してそれぞれ、10%、50%、90%が用いられる。
【0019】
図4は、ステップ200の詳細を表し、その結果として、理想コンボリューション関数h(t)が決定される。この関数は一般的に、インパルス応答関数でコンボリューションされたガウス関数を構成するモデルを用いて、実際のコンボリューション関数の近似を表す:
h(t)=g(t)*i(t)
ここで、g(t)はガウス関数であり、以下のように定義され:
【数1】
i(t)はインパルス応答関数であり、以下のように定義される:
【数2】
【0020】
ステップ202において、比τ/σが決定され、これは、ステップ204において正規化されたコンボリューション関数h(t)を計算するのに必要となる。一例では、比τ/σは、以下の式から決定される:
(T−T)/(T−T
【0021】
他の例では、ルックアップテーブルを用いて、この比を決定する。一例では、ルックアップテーブルに対する入力は、T、T、Tである。
【0022】
ステップ204において、正規化されたコンボリューション関数h(t)が計算される。正規化されたコンボリューション関数は以下のとおりであり:
(t)=g(t)*i(t)
ここで、g(t)は、μ=0、σ=1とした上記のガウス関数g(t)であり:
【数3】
(t)は、τがステップ202で決定した比τ/σに等しいとした上記のインパルス応答関数である:
【数4】
【0023】
スケーリング因子kがステップ206において決定されて、以下のように定義される:
k=(T−T)/(TC,n−TA,n
ここで、TA,nは、∫h(t)がその最大値のA%(この例では10%)に達する時間であり、TC,nは、∫h(t)がその最大値のC%(この例では90%)に達する時間である。
【0024】
208において、スケーリング因子kを用いて、以下の式に基づき、理想コンボリューション関数h(t)のパラメータσ、μ、τを決定することができる:
σ=k
μ=kTB,n
τ=kτ
ここで、TB,nは、∫h(t)がその最大値のB%(この例では50%)に達する時間である。これらのパラメータを求めて、上記g(t)及びi(t)を求めることによって、理想コンボリューション関数h(t)を決定することができる。
【0025】
ステップ200の代替例として、理想コンボリューション関数h(t)を、補正されていない機器応答x(t)の一次導関数として近似することができる。
【0026】
図5は、逆コンボリューション関数k(t)を決定するためのステップを一般的に示す。502において、理想コンボリューション関数h(t)が、フーリエ変換によって、以下のように周波数領域に変換される:
H(f)=F(h(t))
【0027】
次に、304において、正規化フィルタ関数R(f)が、以下の式から計算される:
R(f)=((HMAG(f)))/((HMAG(f))+α)
ここで、HMAG(f)は、H(f)の大きさ、つまり絶対値であり、αは、正の調節可能なフィルタパラメータである。一例では、αは定数であり、正の実数値である。他の例では、αは周波数の関数となるが、典型的には、一定値で十分である。後述のように、αが定数である例では、αを、コンボリューション補正された機器応答y(t)を調節するように、微調整することができる。
【0028】
306において、逆コンボリューション関数K(f)が以下のように計算される:
K(f)=R(f)/H(f)
【0029】
留意すべきなのは、R(f)及びH(f)が複素数を含み得る点であり、一例では、上記の割り算が、二つの複素数の割り算に対する規則に従い、R(f)の大きさ(例えばRMAG(f))をH(f)の大きさ(例えばHMAG(f))で割り、R(f)の位相角(例えばRPHA(f))からH(f)の位相角(例えばHPHA(f))を引くことによって、行われ得る。
【0030】
308では、逆コンボリューション関数K(f)が、逆フーリエ変換を用いて時間領域に変換されて、初期逆コンボリューション関数kinit(t)が決定される:
init(t)=F−1(K(f))
【0031】
正規化フィルタ関数R(f)は、正の調節可能なフィルタパラメータα(一定値であり得る)に依存し、周波数依存である必要はない。正の調節可能なフィルタパラメータαは、一般的に、信号対ノイズ比を表す。
【0032】
init(t)が決定されると、ステップ310において、ステップ100で記録された補正されていない機器応答x(t)が、kinit(t)でコンボリューションされて、以下のように、コンボリューション補正された機器応答y(t)が構築される:
y(t)=x(t)*kinit(t)
【0033】
そして、 ステップ312において、コンボリューション補正された機器応答y(t)が、ステップ100からの既知の参照ガス信号に対して評価される。一例では、この評価は、二つの信号のグラフを比較することによって行われるが、一次元最適化アルゴリズムを用いて、デコンボリューションされた応答と既知のデータを表す信号との間の偏差の二乗和を最少化することを用いても行うことができる。
【0034】
ステップ314〜318に示されるように、正の調節可能なフィルタパラメータαを更に調節又は“微調整”して、逆コンボリューション関数kinit(t)の精度を向上させて、ステップ100からの参照ガス信号に対するコンボリューション補正された機器応答y(t)の精度を向上させることができる。
【0035】
その微調整は、正の定数の調節可能なフィルタパラメータαを変更することに依存するものであり、kinit(t)がこれに依存する。y(t)の動的応答(つまり勾配)が314において評価されて、y(t)のオーバーシュート及びアンダーシュート(例えば振幅)が316において考慮される。一例として、αを増大させると、y(t)の勾配が減少するが(例えば、動的応答の悪い回復)、オーバーシュート及びアンダーシュートが低下する。所望のαが見つかると(例えば、勾配の誤差とオーバーシュート/アンダーシュートによる誤差との間の許容可能な妥協を表すαの値が決定されると)、対応する逆コンボリューション関数が、320においてk(t)として保存されて、ステップ400において後で使用される。
【0036】
ステップ400において、320で保存されたk(t)を用いて、補正されていない機器応答m(t)がデコンボリューションされる。ステップ400において、システム10は、図1に示されるように配置されて、例えば、バルブ34が、エンジン12から供給されるサンプル24aが機器26に向けられるように調節される。
【0037】
コンボリューション補正された機器応答y(t)を構築するため、補正されていない機器応答m(t)をk(t)でコンボリューションする:
y(t)=m(t)*k(t)
【0038】
一例では、制御装置30が、以下のリーマン和を用いて、m(t)をk(t)でコンボリューションする:
【数5】
ここで、yは、コンボリューション補正された機器応答ベクトルのi番目の値であり、mi−(j−1)は、測定された補正されていない機器応答ベクトルのi−(j−1)番目の値であり、k’は、時間領域において反転させた(flipped)逆コンボリューション関数であり(本願において、“反転させた”(flipped)とは、ベクトル中の値の順番を逆にしたことを意味する)、nは、逆コンボリューション関数ベクトルの値の数であり、jは、逆コンボリューション関数ベクトルの添え字であり、iは補正されていない機器応答ベクトルの添え字である。
【0039】
400において、コンボリューション補正された機器応答y(t)が、掛算及び総和を用いて、時間領域全体にわたって計算されるので、このステップ400における計算を、時間領域と周波数領域との間の変換を必要とする方法等の他の方法と比較して、高速で効率的に行うことができる。従って、本願で開示される方法を用いると、後処理が必要でなく、コンボリューション補正された機器応答y(t)を、エンジンの動作中にオンラインで決定することができる。上述のように、制御装置30を用いて、コンボリューション補正された機器応答y(t)を計算することができる。
【0040】
任意のステップ500において、コンボリューション補正された機器応答y(t)を更に洗練させて、ステップ変化において存在し得る偏差を除去することができる。一例では、この更なる洗練(微分補正された機器応答p(t)と呼ぶ)を、以下の式を用いてp(t)を求めることによって計算することができる:
p(t)+β・(dp/dt)*k(t)=y(t)
ここで、βは定数であり、k(t)は、320からの逆コンボリューション関数であり、y(t)は、400の結果のコンボリューション補正された機器応答である。一例では、p(t)に対する初期見積りとしてy(t)を用いて、p(t)がイタレイティブ(反復)計算によって求められる。第五のステップは任意であり、必須ではない。
【0041】
多様な例は、図示された特定の構成要素を有するものであるが、本発明の実施形態は、これらの特定の組み合わせに限定されるものではない。複数の例のうちの一つからの一部構成要素又は特徴を、他の一つの例からの特徴又は構成要素と組み合わせて用いることができる。
【0042】
当業者は、上述の実施形態が例示的なものであり限定的なものではないことを理解されたい。つまり、本開示に対する修正も特許請求の範囲内に入るものである。従って、添付の特許請求の範囲は、その真の範囲及び内容を定めるように解釈されるものである。
【符号の説明】
【0043】
10 システム
12 エンジン
14 排気管
20 排気
26 測定機器
28 フィルタボックス
30 制御装置
32 参照ガス源
34 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5