(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
通常、状態監視技術は、ケースに入れて装着された振動変換器(vibration transducer)、例えば加速度計を使用して測定される振動信号の測定と、その後に行われる分析とに基づいている。測定される振動は、振動源から変換器までの伝導路によって左右されるので、ケースに入れて装着された振動変換器を使用することに関連する主な問題は、それらの装着に関係する。幾つかの状況では、振動信号における微細な細部は伝導路によって減衰し、減損した機械状態のインジケータを見逃すことにつながり得る。更に、変換器の位置における小さな変化の結果、異なる振動信号が記録されることになり得るので、これらの伝導路の作用のために、ケースに入れて装着された振動変換器は、一般に構造に永久に固定される。劣悪な環境に機器が配置されている場合に、これらの変換器の性能は次第に劣化し得る。更に、ケースに入れて装着された振動変換器は、環境のノイズに特に敏感である。ケースに入れて装着された振動変換器は、機器の一部の正常な機能を一般に妨げないが、多くの場合に、それらを機器の一部に装着するために、特別な構成が要求される。例えば、振動源の近くの平面上に、多くの振動変換器を装着する必要がある。更に、これらの変換器は、一般に単方向性(unidirectional)であり、機器の一部の状態に関して確信のある決定をするのに十分な情報を取得するために、このような多数の変換器が必要である。
【0003】
通常、電気モータ、発電機、又はより一般的に、電気回転機械は、電気機械システムの重要な部分を形成している。近年、電気回転機械を動力源に接続している電力ケーブルから測定され得る電流の分析が、電気機械システムの状態を監視する成功法として示された。電気回転機械において引き起こされる電流は、動作状態と共に変化し、大きな交流(alternating current,AC)の電源電流(power supply current)の振幅と位相の変調をしばしばもたらすことが示された。破損した回転子バー又は回転子の偏心のような欠陥(defect)に関係付けられる動作状態における変化は、電源電流の振幅と周波数の変調に関係付けられ得る。モータ電流徴候分析(Motor current signature analysis,MCSA)では、進行している欠陥を診断し、傾向をとるために、測定された電流信号を周波数領域において分析することを必要とする。実施が比較的に安価であるので、MCSAは魅力的であり、電気回転機械は電気機械システムの一部分を形式しているので、この方法は非侵襲性(nonintrusive)であると考えられ得る。主として、MCSAは、電気モータの故障の診断に使用されてきたが、外部負荷における変化に対処することも示された。外部負荷は、例えば、ベアリング又はギヤのような機械コンポーネントにおいて生じた欠陥によって引き起こされる。
【0004】
通常は、測定された電流信号の周波数スペクトルは、AC電源電流によって特徴付けられている。電気機械システムを形成している電気モータと付属の機械システムは、AC電源電流を変調させ、その結果、周波数スペクトルに側波帯が現われる。従って、主要なAC電源電流が搬送波と見なされ得る。電源が理想的であることは稀であり、マシンの動作状態に無関係なAC電源電流の位相と振幅に変調が生じる可能性がある。これは、電気駆動システムに特にあてはまる。電気駆動システムでは、制御動作とパルス幅変調の結果、電源電流の搬送波が非定常波形(non−stationary waveform)になる。同様に、電気回転マシンに作用する負荷が過渡的であることは、よくある。電源電流の搬送波の非定常性の結果、電源に起因する成分が周波数範囲の全体にわたって分散しているように見える。これは、電気機械システムの動作状態を評価する際に難しさを増し得る。
【0005】
リネハン(Linehan)、他による米国特許番号54830201号から、データ収集システムの中に回路を組み込み、AC電源電流の搬送波の変化する周波数に合わせて、測定された電流信号のサンプリングレートを変化させることによって、上述で提示された問題に対処する既知の方法がある。従って、サンプリングされたデータのセットが静止した搬送波のみを含むことが達成される。更に、整数(whole number)の搬送波のみを考慮することによって、この方法は、周波数領域に変換されると、最初のサンプルと最後のサンプルとの不連続性に起因する成分を確実に減少させる。従って、欠陥に対応し得る周波数領域における成分の識別し易さが増す。
【0006】
グロスジャン(Grosjean)による米国特許番号US6993439B2号から、測定された電流波形を時間領域から空間領域に変換する既知の方法がある。測定された電流波形における特性を使用して、電気回転機械の回転子の角変位を識別する。例えば、DCモータの回転子の位置を推定するために、整流子のスイッチングから生じる振幅変調が使用され得る。次に、電流波形をこの角変位に正規化し、周波数領域において分析し、それによって、一定の角速度で回転しない電気回転機械を、周波数領域において分析することができる。
【0007】
上述の先行技術は、測定された電流信号の周波数スペクトルの変動を減少させる方法を与える。しかしながら、一定の角速度で動作し、理想的な電源によって供給され、静止した電源電流の搬送波をもたらす電気機械システムについて検討した場合であっても、電気機械システムの動作状態によって引き起こされる変調側波帯の振幅は、電源電流の搬送波及びその高調波に比べて小さい。電気機械(electric machine)が取り付けられている機械システムにおいて生じた故障について検討する際に、これは特にあてはまる。更に、電流信号を測定するために使用される変換器の不十分な分解能は、高調波ひずみに結びつく場合がある。その結果、電気機械システムの動作状態に起因する成分と、他のより多くの主要な成分、或いは変換器のノイズ、即ち電気回転機械の環境において生じる過渡的な振動からの又は一定でない源からのゴーストノイズに起因するノイズ信号と、を区別することが、困難になり得る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、電気機械圧縮機システムの動作状態を診断する本発明の装置と、本発明の例示的な応用が提示されている。三相非同期電気モータ1を使用して、二段階減速ギアボックス2を駆動する。ギアボックスの出力は、シャフト3を介して圧縮機4に接続されている。シャフト3上に角変位変換器5が装着されている。角変位変換器5を使用して、シャフトの角変位を測定することができる。角変位変換器5の代わりに、図面に示されていないが、シャフト3の速度又は加速度を測定できるセンサ群又はセンサを使用してもよい。例えば圧縮機における、角変位、速度、又は加速度を追跡することが重要な応用では、角度位置をアナログ又はディジタル電子信号に変換する変換器を、システムに備えるのが、通常である。三相非同期電気モータ1と、二段階減速ギアボックス2と、シャフト3と、圧縮機4と、存在するならば角変位変換器5とが、電気機械システム6を全体として構成している。角変位変換器5又はセンサが電気機械システム6の一部分を実際に形成している場合は、それが本発明の応用に利用される。しかしながら、このような変換器又はセンサ5が電気機械システム6の一部分を形成していない場合は、本発明を応用することも可能である。電源デバイス7は、電源ケーブル8を経由して、三相交流電流を非同期電気モータ1に与える。(存在するならば)角変位変換器5は、信号調整ユニット(signal conditioning unit)9への入力のうちの1つに接続されている。電流測定デバイス10及び/又は電圧測定デバイス11の1つ以上の出力が、信号調整ユニット9の他の入力に接続されている。電流測定デバイス10と電圧測定デバイス11は、電源デバイス7の位相a、b、cの各々と接続されている。信号調整ユニット9は、データ処理ユニット13及び通信モジュール14を有するコンピュータデバイス12に接続されている。データ処理ユニット13の中に、データ記憶モジュール15及び同期平均化モジュール16が実装されている。データを処理及び計算するために必要であって、図面に示されていない幾つかの他のモジュールが、プロセッサの中に更に実装されている。コンピュータデバイス12は、メモリのRAM及びROMを更に含んでいる。これらも図面に示されていない。コンピュータデバイス12は出力ユニット17に接続されている。出力ユニット17において、状態監視の結果がユーザに提示される。出力ユニット17は、モニタ、プリンタ、又は本発明の結果を提示するための何等かの便利なデバイスであり得る。
【0015】
本発明の方法は、
図8に示されている次のステップ20−32に従って実施される。
【0016】
ステップ20
図1に示されている電気機械ネットワークを参照すると、ステップ20では、三相非同期電気モータ1の位相のうちの少なくとも1つに対する固定子巻線に供給する交流電流のアナログ電流信号I
a、I
b、I
cを、電流測定デバイス10を使用して測定し、及び/又は、三相非同期電気モータ1に供給するアナログ電圧信号U
a、U
b、U
cの位相のうちの少なくとも1つを、電圧測定デバイス11を使用して測定する。測定されたアナログ電気信号I
a、I
b、I
c、U
a、U
b、U
cは、アナログ波形の形態をとっている。次に、測定されたアナログ電気信号I
a、I
b、I
c、U
a、U
b、U
cを、信号調整ユニット9に供給する。電気機械システム6において角変位変換器5が使用されている場合は、シャフト3の角変位信号θを測定し、信号調整ユニット9に供給する。
【0017】
ステップ21
次のステップ21では、測定されたアナログ電気信号I
a、I
b、I
c、U
a、U
b、U
cを、ディスクリートな電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDにそれぞれ変換する。更に、ステップ20において角変位信号θが測定された場合は、それを信号調整ユニット9に供給し、ディスクリートな角変位信号θ
Dに変換する。一般に、信号調整ユニット9は、アナログディジタルコンバータの形式をとっている。アナログ波形をディスクリートな信号に変換するプロセスを特徴付ける定数パラメータのセットP1を、信号調整ユニット9に与える。ディスクリートな信号は、具体的には、サンプリングレートF
Sと、変換される信号の長さT
Lである。サンプリングレートF
Sは、1秒当たりに得られるサンプル数を定めている。サンプリングレートF
Sは、任意の値をとり得るが、典型的な最小レートは1kHzである。これはデフォルト設定である。信号の長さT
Lは、アナログディジタル変換が適用された、測定されたアナログ電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDの長さを定めている。本発明の方法の実施形態では、信号の長さT
Lの最小値は1秒である。三相非同期電気モータ1の位相のディスクリートな電流信号について検討すると、I
aDは、第1のサンプルk=1からk=Lまでの範囲にわたる、k個の連続するサンプルの電流値i
akから成る。Lは、信号に含まれているサンプル数である。他のディスクリートな電気信号I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDも、類似のやり方で説明され得る。角変位信号θは、信号調整ユニット9に供給されると、ディスクリートな角変位信号θ
Dに変換される。ディスクリートな角変位信号θ
Dは、第1のサンプルk=1からk=Lまでの範囲にわたる、k個の連続するサンプルの角変位値θ
kから成る。変換プロセスは技術的に周知である。ディスクリートな電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDと、得られる場合はディスクリートな角変位信号θ
Dは、通信モジュール14を介してコンピュータデバイス12に自動的に送信され、データ処理ユニット13のデータ記憶モジュール15に記憶される。
【0018】
ステップ22
ステップ22では、コンピュータデバイス12は、定数パラメータのセットP2を供給され、定数パラメータのセットP2は、データ処理ユニット13のデータ記憶モジュール15に記憶される。定数パラメータのセットP2は、平均をとる望ましい回数M
inputと、電気機械システム6のシャフト3の完全な回転毎のサンプリング点の数Nと、警告閾値Xと、定数のスケーリング係数Zと、から成る。多くの場合に、定数のスケーリング係数Zは、2本の相互に接続されたシャフトの角変位間の関係を示している。例えば、例示的な実施形態の二段階減速ギアボックス2に関して、二段階減速ギアボックス2のレイシャフト(lay shaft)(
図1に示されていない)におけるかみ合ったギヤと、シャフト3に接続されたギヤと、の間におけるギア比(gear ratio)に等しい値に、定数のスケーリング係数Zを設定することによって、本発明の方法を使用して、レイシャフトに装着されたコンポーネントの動作状態を診断することができる。コンピュータデバイス12のデータ処理ユニット13では、ディスクリートな電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDを組み合わせて、電流空間フェーザ(phasor)、電圧空間フェーザ、三相非同期電気モータ1の生成された電磁トルク、又は三相非同期電気モータ1の生成された電磁フラックスのような、電気機械システムの量(quantity)の推定値を生成する。本発明の例示的な実施形態では、式(1)に従って、ディスクリートな電流信号I
aD、I
bD、I
cDのみを組み合わせて、ディスクリートな複合固定子電流空間フェーザ信号(discrete complex stator current space phasor signal)Ψ
Dを生成する。
【数2】
【0019】
ディスクリートな複合固定子電流空間フェーザ信号Ψ
Dの絶対値は、ディスクリートな固定子電流振幅信号W
Dになる。ディスクリートな固定子電流振幅信号W
Dは、式(2)のように与えられる。
【数3】
【0020】
図2は、時間領域における、ディスクリートな固定子電流振幅信号W
Dのプロットである。ディスクリートな電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDから生成される結果として、ディスクリートな電流振幅信号W
Dは、第1のサンプルk=1からk=Lの範囲にわたるk個の連続するサンプルの固定子電流振幅値W
kから成る。Lは、サンプルの長さである。記載されている実施形態において、W
Dは、アンペアの単位、即ち[A]を有する。ディスクリートな電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDを使用して推定され得る様々な電気機械システムの量があり、更に、請求項に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、後続するステップで使用されるディスクリートな固定子電流振幅信号W
Dが、電気機械システムの量の他の推定値によって置き換えられ得ると考えられることが、当業者に分かるであろう。ある特定の電気機械システムの量を推定する際に、三相非同期電気モータ1のパラメータが要求される場合に、それらは定数パラメータのセットP2の中に含まれている。定数パラメータのセットP2は、コンピュータデバイス12に供給され、データ処理ユニット13のデータ記憶モジュール15に記憶されている。例示的な実施形態に戻ると、ディスクリートな電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDと、得られる場合はディスクリートな角変位信号θ
Dとに加えて、ステップ22で計算されたディスクリートな電流振幅信号W
Dが、後続するステップで使用される。
【0021】
ステップ23
ステップ23では、データ処理ユニット13のデータ記憶モジュール15に送信されたデータ内において、ディスクリートな角変位信号θ
Dの存在をチェックする。全ての必要なデータ、即ち、ディスクリートな電流振幅信号W
Dとディスクリートな角変位信号θ
Dが、存在する場合は、ステップ25が実行される。データ処理ユニット13に送信されたデータの中に、ディスクリートな角変位信号θ
Dが存在しない場合は、ステップ24において、三相非同期電気モータ1の回転子の角変位の推定値θ
DEstを計算するプロセスが実行される。
【0022】
ステップ24
ステップ24では、データ処理ユニット13において、ディスクリートな電気信号I
aD、I
bD、I
cD、U
aD、U
bD、U
cDに基づいて、三相非同期電気モータ1の回転子の角変位の推定値θ
DEstを計算する。測定された電気信号から電気回転機械の回転子の角速度を推定する多くのやり方があることが、当業者に分かるであろう。電気機械の電気回転子の角度の一次時間導関数(first time derivative)を推定する様々な方法は、ピーターバス(Peter Vas)による「センサレスベクトル及び直接トルク制御」(オックスフォード大学出版局、UK、1998、SIBN978−0−19−856465−2)(“Sensorless vectr and direct torque control”(Oxford University Press,UK,1998,ISBN 978−0−19−856465−2)に説明されている。既知の方法を使用して、電気機械の電気回転子の角度の一次時間導関数を数値的に積分し、次に、結果として得られた信号を、三相非同期電気モータ1の極のペアの数で乗算することによって、電気回転機械の回転子の機械的角変位の推定値を取得する。必要であれば、電気回転機械の回転子の機械的角変位の推定値を、既知の方法を使用して再サンプリングし、角変位の結果として得られた推定値θ
DEstを、ディスクリートな電流振幅信号W
Dに同期させる。θ
DEstは、第1のサンプルk=1からk=Lまでの範囲にわたるk個の連続するサンプルから成る推定角変位値θ
kEstから成る。ステップ24が実行されると、後続するステップでは、角変位の推定値θ
DEstが使用される。このように推定されたデータは、同等に測定されたデータに非常に類似しているので、θ
D=θ
DEstであると仮定し、単純化のために、後続するステップについて説明する際に、θ
Dのシンボルのみを使用することが好都合である。この機能を使用する結果、この方法は非侵襲性の特質を維持する。
【0023】
ステップ25
ステップ25では、同期平均化モジュール16において、データ記憶モジュール15に記憶されている定数パラメータのセットP2から、定数のスケーリング係数Zを得る。ディスクリートな角変位信号θ
Dを定数のスケーリング係数Zによって乗算する。ディスクリートな角変位信号θ
Dを定数のスケーリング係数Zによって乗算した結果は、スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dである。Z・θ
Dは、第1のサンプルk=1からk=Lまでの範囲にわたるk個の連続するサンプルの推定角変位値Z・θ
kから成る。
図3では、時間領域において、元のディスクリートな角変位信号θ
Dを実線で示しており、一方で、スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dを点線で示している。定数のスケーリング係数Zは、ギアボックス2の出力対入力比を表す値を有する。
【0024】
ステップ26
スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dと、ディスクリートな固定子電流振幅信号W
Dとの両者は、同じ時間点でサンプリングされた値から構成されているので、ディスクリートな電流振幅信号W
Dを、スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dに同期させることができる。従って、
図4に示されているように、ラジアンにおける角変位θに対するディスクリートな電流振幅信号W
Dを示すことができる。ステップ26では、同期平均化モジュール16において、スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dに同期したディスクリートな電流振幅信号W
Dを、再サンプリングベクトルθ
Rで与えられた角度位置において再サンプリングする。再サンプリングベクトルθ
Rは、角変位値θ
R,pから成る。角変位値θ
R,pは、式(3)のように与えられる。
【数4】
【0025】
ここで、Mは、平均をとる回数であり、次の計算から取得される。
【数5】
【0026】
ここで、平均をとる回数Mと、電気機械システム6のシャフト3の完全な回転毎のサンプリング点の数Nは、データ記憶モジュール15に記憶されている定数のパラメータセットP2から得られる。このプロセスでは、ステップ22におけるユーザによる平均をとる望ましい回数M
inputは、スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dの完全な回転の合計数よりも少なくなければならないことに留意すべきである。スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dの完全な回転の合計数よりも大きい数を、ユーザが挿入した場合は、計算(4)によると、平均をとる回数Mは、スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dの完全な回転の合計数に制限される。再サンプリングベクトルθ
Rで与えられた角度位置におけるディスクリートな電流振幅信号W
Dの再サンプリングは、既知の技術を使用して行われる。結果として得られた再サンプリングされたディスクリートな電流振幅信号Y
Dは、第1のサンプルp=1からp=M・Nまでの範囲にわたるp個の連続するサンプルにおける再サンプリングされた固定子電流振幅信号y
pから成る。Mは、平均をとる回数であり、Nは、完全な回転毎のサンプリング点の数である。再サンプリングされたディスクリートな電流振幅信号Y
Dは、後続するステップで使用される。
図5では、再サンプリングされたディスクリートな電流振幅信号Y
Dは、スケーリングされたディスクリートな角変位信号Z・θ
Dのディスクリートな固定子電流振幅信号W
Dを線形区間(linear interval)で再サンプリングした結果である。
【0027】
ステップ27
ステップ27では、同期平均化モジュール16において、再サンプリングされたディスクリートな電流振幅信号Y
Dを、M個の連続する区間に分割する。各区間は、N個の連続するサンプルを含んでいるので、再サンプリングされた固定子電流振幅値y
pを、y
m,nと書くことができる。ここで、nは、n=1からn=Nまでの範囲にわたる連続するサンプルであり、mは、m=1からm=Mまでの範囲にわたる連続する区間である。
図6は、再サンプリングされたディスクリートな電流振幅信号Y
Dを、等しい長さNのM個の区間に分割するプロセスを詳述した追加の注釈(annotation)を有する、ラジアンにおける角変位に対する再サンプリングされたディスクリートな電流振幅信号Y
Dのプロットである。
【0028】
ステップ28
ステップ28では、同期平均化モジュール16において、電気信号の同期平均
【数6】
【0029】
を計算する。電気信号の同期平均
【数7】
【0030】
は、式(5)を使用して計算される、電気信号のn個の平均値
【数8】
【0032】
従って、電気信号の同期平均
【数10】
【0033】
は、式(6)のように計算され得る。
【数11】
【0035】
は、式(7)の計算に従うゼロ乃至2πの範囲における角変位の線形区間でサンプリングされる。
【数13】
【0036】
ここで、θ
nは、サンプリング点nにおけるディスクリートな角変位値である。
図7は、ラジアンにおける角変位に対する電気信号の同期平均
【数14】
【0038】
ステップ29
ステップ29では、同期平均化モジュール16において、式(8)に従って、電気信号の同期平均
【数15】
【0039】
の尖度(kurtosis)Sを計算する。
【数16】
【0041】
の尖度Sの値は、電気信号の同期平均
【数18】
【0042】
における大きな局部的な偏差の大きさの基準(measure)を与える。これは、局部的な欠陥によって生じ得る。局部的な欠陥は、例えば、ギアの歯におけるピッチング(pitting)又は歯の亀裂(cracking)である。本発明の範囲を著しく変更することなく、このステップ中で与えられる尖度演算に代わり得る、時間領域のメトリクス(metrics)、スペクトル分析、又は時間−周波数分析から、電気信号の同期平均
【数19】
【0043】
から情報を抽出するために利用可能な多くの異なる信号処理方法があることが、当業者に分かるであろう。
【0044】
ステップ30
ステップ30では、同期平均化モジュール16において、データ記憶モジュール15に記憶されている定数パラメータのセットP2から、閾値Xを得る。閾値に対する典型的な値はX=3.5である。電気信号の同期平均の尖度Sの値が、閾値Xよりも低い場合は、ステップ32において、電気信号の同期平均の尖度Sと、電気信号の同期平均
【数20】
【0045】
を、出力ユニット17を介してユーザに示す。電気信号の同期平均の尖度Sの値が、閾値Xよりも高い場合は、ステップ31において、電気信号の同期平均の尖度Sと、電気信号の同期平均
【数21】
【0046】
とに加えて、更に、警告を、出力ユニット17を介してユーザに示す。
【0047】
ステップ31
ステップ31では、既知の方法を使用して、ステップ30で得られた電気信号の同期平均
【数22】
【0048】
と、尖度Sと、警告とを、出力ユニット18を介してユーザに自動的に供給する。
【0049】
ステップ32
ステップ32では、既知の方法を使用して、電気信号の同期平均
【数23】
【0050】
と、尖度Sとを、出力ユニット18を介してユーザに自動的に供給する。更に、本発明の方法は、ステップ20で再開される。
【0051】
用語
文字 名前
a、b、c 電源デバイスの位相
I
a、I
b、I
c アナログ電流信号
U
a、U
b、U
c アナログ電圧信号
Θ 角変位信号
I
aD、I
bD、I
cD、
U
aD、U
bD、U
cD ディスクリートな電気信号
θ
D ディスクリートな角変位信号
P
1 アナログ波形をディスクリートな信号に変換するプロセスを特徴付ける定数パラメータ
F
s サンプリングレート
T
L 変換される信号の長さ
i
a,k サンプリング点kにおける電流値
L 信号に含まれているサンプル数
θ
k サンプリング点kにおける角変位値
P
2 コンピュータデバイス12に供給される定数パラメータのセット
Minput 平均をとる望ましい回数
N 電気機械システムのシャフト3の完全な回転毎のサンプリング点の数
X 警告閾値
Z 定数のスケーリング係数
Ψ
D ディスクリートな複合固定子電流空間フェーザ信号
W
D ディスクリートな固定子電流振幅信号
w
k サンプリング点kにおける固定子電流振幅値
A アンペア(W
Dの単位)
θ
DEst 三相非同期電気モータ1の回転子の角変位の推定値
θ
kEst サンプリング点kにおける推定角変位値
Z・θ
D スケーリングされたディスクリートな角変位信号
Z・θ
k サンプリング点kにおける推定角変位値
θ
R 再サンプリングベクトル
θ
R,p サンプリング点pにおける角変位値(再サンプリングベクトルθ
Rを含む)
M 平均をとる回数
Y
D 再サンプリングされたディスクリートな電流振幅信号
y
p サンプリング点pにおける再サンプリングされた固定子電流振幅値
y
m,n 区間mの中のサンプリング点nにおける再サンプリングされた固定子電流振幅値
【数24】
【0053】
サンプリング点nにおける電気信号の平均値
S 電気信号の同期信号
【数26】
【0054】
の尖度
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
電気機械システムの状態を監視する方法であって、
電気機械システムの複数の電流及び/又は電圧信号を測定するステップと、
前記電気機械システムの対象の回転シャフトの角度位置を測定するか、又は前記電気機械システムの対象の回転シャフトのディスクリートな角度位置の値を推定するステップと、
前記複数の電流及び/又は電圧信号を、前記回転シャフトのスケーリングされた角変位に同期させるステップと、
複数の同期電気信号を、前記回転シャフトの各完全な回転に対応する複数の区間に分割するステップと、
幾つかの区間の複数の同期電気信号の平均をとって、平均同期電気信号を取得するステップと、
前記平均同期電気信号の複数の値から、大きさの特性データを抽出するステップと、
前記大きさの抽出された特性データと、制限値として与えられた閾値とを比較するステップと、
前記制限値を超えている場合に、警報をユーザに示すステップと、
を含む、方法。
[C2]
次の式、
【数27】
から計算される、電気信号のM個の平均値
【数28】
から成る、前記電気信号の同期平均
【数29】
を取得するために、M回の完全な回転に対応する、M個の区間の複数の同期電気信号の平均をとり、
ここで、ym,nは、区間mの中のサンプリング点nにおける同期電気信号値であり、
Nは、前記電気機械システムの前記シャフトの完全な回転毎のサンプリング点の数であり、
Mは、平均をとる回数である、[C1]に記載の方法。
[C3]
前記電気信号の同期平均の尖度Sは、
前記平均同期電気信号の複数の値から前記大きさの特性データを表し、
次の式、
【数30】
に従って計算される、[C1]又は[C2]に記載の方法。
[C4]
[C1]乃至[C4]に記載の方法を実施する装置であって、
電気機械システムの複数の電流及び/又は電圧信号を測定する手段と、
前記電気機械システムの対象の回転シャフトの角度位置を測定する手段か、又は前記電気機械システムの対象の回転シャフトのディスクリートな角度位置の値を推定する手段と、
複数の電流及び/又は電圧信号を、前記回転シャフトのスケーリングされた角変位に同期させる手段と、
複数の同期電気信号を、前記回転シャフトの各完全な回転に対応する複数の区間に分割する手段と、
幾つかの区間の複数の同期電気信号の平均をとる手段と、
平均同期電気信号の複数の値から、大きさの特性データを抽出し、前記大きさの抽出された特性データと、制限値として与えられた閾値とを比較する手段と、
前記制限値を超えている場合に、警報をユーザに示す手段と、
を具備する、装置。
[C5]
複数の電流及び/又は電圧信号を、前記回転シャフトのスケーリングされた角変位に同期させる手段と、
複数の同期電気信号を、前記回転シャフトの各完全な回転に対応する複数の区間に分割する手段と、
幾つかの区間の複数の同期電気信号の平均をとる手段と、
平均同期電気信号の複数の値から、大きさの特性データを抽出し、前記大きさの抽出された特性データと、制限値として与えられた閾値とを比較する手段は、
コンピュータデバイス(12)の同期平均化モジュール(16)に実装されている、[C4]に記載の装置。
[C6]
複数の電気機械システムの状態を監視するコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、
コンピュータデバイス(12)のデータ処理ユニット(13)にロードすることができ、
コンピュータデバイス(12)のデータ処理ユニット(13)上で実行可能であり、
前記コンピュータデバイスの前記データ処理ユニットによって実行されたときに、前記コンピュータプログラムは、[C1]乃至[C4]に記載の方法を行なう、コンピュータプログラム。