(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932034
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】軸とホイールが同時に制動されるキャスター
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20160526BHJP
B62B 5/04 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
B60B33/00 U
B60B33/00 F
B60B33/00 503C
B62B5/04 A
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-523835(P2014-523835)
(86)(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公表番号】特表2014-521557(P2014-521557A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】KR2012005618
(87)【国際公開番号】WO2013019001
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年2月4日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0076547
(32)【優先日】2011年8月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514028178
【氏名又は名称】ヨ、シン ドン
【氏名又は名称原語表記】YEO, Shin Dong
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】ヨ、シン ドン
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−069981(JP,A)
【文献】
特開2002−264604(JP,A)
【文献】
特開2010−036783(JP,A)
【文献】
特開2010−201972(JP,A)
【文献】
特開2009−286370(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0175222(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
B62B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のホイール(15)が軸設される回転軸(14)と、
前記回転軸(14)の上部に結合され、台車(11)に固定される固定軸(13)と、
前記固定軸(13)に軸設され、一側に突出する制動ペダル(12)と、
前記制動ペダル(12)によって動作することで回転軸(14)を制動する回転軸制動部と、
前記制動ペダル(12)によって動作することでホイール(15)を制動するホイール制動部と、
前記固定軸(13)中に配置され、前記制動ペダル(12)によって前記回転軸(14)中へと進入する下降を行うことで回転軸(14)を制動する円筒形の移動体(92)とを含み、
固定軸(13)は、
下向き開放部(16)及び上部板(17)が形成された円筒形のボディー(18)と、
前記上部板(17)の中央に垂直に固定され、ボディー(18)の上下に突出する主軸(20)と、
前記ボディー(18)の内周面の下部に所定高さ及び所定ピッチで形成されるスプライン(24)と、
前記主軸(20)及びボディー(18)の内部に構成される回転軸制動部とを含み、
回転軸(14)は、
上向き開放部(47)が形成された円筒形のボディー(48)と、
このボディー(48)の内周面に形成されたスプライン(95)とを含み、
前記移動体(92)は、円筒形のボディーの外周面に形成されたスプライン(96)を含み、
前記移動体(92)の下降時に、前記移動体(92)のスプライン(96)が、固定軸(13)のスプライン(24)及び回転軸(14)のスプライン(95)に結合することで、これらを連結させて、回転軸(14)を制動し、
回転軸制動部は、
固定軸(13)の下向き開放部(16)の上部に形成され主軸(20)の外面に固定される固定体(25)と、
固定軸(13)の下向き開放部(16)の上部に設けられる複数の支持板(27)と、
これら支持板(27)と前記移動体(92)との間に配置されて前記移動体(92)に下方へのバネ力を加えるバネ(26)と、
ボディー(18)の上部の両側に水平に形成される一対の軸孔(28,29)と、
前記軸孔(28,29)に軸結合される制動ペダル(12)の軸部(30,31)と、
前記軸部(30,31)の内側にそれぞれ形成される結合穴(32,33)と、
前記結合穴(32,33)に結合部(35,36)がスプライン結合された後、ビス(37,38)で固定される一対の回動部材(39,40)と、
前記回動部材(39,40)の一側にそれぞれ突出する作動部(41,42)と、
前記作動部(41,42)により加圧される突出棒(107,108)を有する昇降体(97)と、
前記制動ペダル(12)の加圧部(43)の一側に延び、内側面に前記軸部(30,31)が形成される延長部(44,45)と、
前記延長部(44,45)の間に形成される開放部(46)とを含み、
回転軸(14)は、前記移動体(92)に上方へのバネ力を加えるバネ(56,57)を含み、
前記制動ペダル(12)が操作された際、前記作動部(41,42)が前記昇降体(97)を介して前記移動体(92)を下降させる、ホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項2】
一対のホイール(15)が軸設される回転軸(14)と、
前記回転軸(14)の上部に結合され、台車(11)に固定される固定軸(13)と、
前記固定軸(13)に軸設され、一側に突出する制動ペダル(12)と、
前記制動ペダル(12)によって動作することで回転軸(14)を制動する回転軸制動部と、
前記制動ペダル(12)によって動作することでホイール(15)を制動するホイール制動部と、
前記固定軸(13)中に配置され、前記制動ペダル(12)によって前記回転軸(14)中へと進入する下降を行うことで回転軸(14)を制動する円筒形の移動体(92)とを含み、
固定軸(13)は、
下向き開放部(16)及び上部板(17)が形成された円筒形のボディー(18)と、
前記上部板(17)の中央に垂直に固定され、ボディー(18)の上下に突出する主軸(20)と、
前記ボディー(18)の内周面の下部に所定高さ及び所定ピッチで形成されるスプライン(24)と、
前記主軸(20)及びボディー(18)の内部に構成される回転軸制動部とを含み、
回転軸(14)は、
上向き開放部(47)が形成された円筒形のボディー(48)と、
このボディー(48)の内周面に形成されたスプライン(95)とを含み、
前記移動体(92)は、円筒形のボディーの外周面に形成されたスプライン(96)を含み、
前記移動体(92)の下降時に、前記移動体(92)のスプライン(96)が、固定軸(13)のスプライン(24)及び回転軸(14)のスプライン(95)に結合することで、これらを連結させて、回転軸(14)を制動し、
回転軸(14)は、
上向き開放部(47)が形成された円筒形のボディー(48)と、
前記開放部(47)の下部に形成される底部(49)と、
前記底部(49)の中央に垂直に形成される軸管(50)と、
前記主軸(20)が軸結合されるように前記軸管(50)の中央に形成される軸孔(51)と、
前記底部(49)の前後に所定の高さで形成される突出棒(52,53)と、
前記突出棒(52,53)にそれぞれ結合され、前記移動体(92)に上方へのバネ力を加えるバネ(56,57)と、
前記一側の突出棒(52)の両側に形成されるバネ(56,57)の結合孔(58,59)と、
前記結合孔(58,59)に嵌合され、前記移動体(92)の下降時に下降するバネ(60,61)と、
前記ボディー(48)の下部に垂直に形成され、一側に偏るように形成される円筒形の軸部材(62)と、
前記軸部材(62)の中央に固定され、両側に突出する軸棒(63,64)と、
前記軸棒(63,64)にそれぞれ軸結合される一対のホイール(15)と、
前記ホイール(15)が床に当たらないように、軸部材(62)の下部が所定の高さで上昇形成される平面部(65)と、
前記ホイール(15)のリム(66)の内周面に形成される所定ピッチのスプライン(67)と、
前記軸部材(62)の中央に縦に形成される案内孔(73)に結合され、前記バネ(60,61)が下降した際に、これにより上昇する昇降部材(74)と、
昇降部材(74)の両側に形成され、昇降部材(74)が上昇した際に、前記ホイール(15)のスプライン(67)に結合される制動スプライン(75,76)と、
前記軸孔(51)に結合された主軸(20)が分離されないようにCリング(22)及びワッシャー(79)を結合できるようにすべく軸部材(62)の下部に形成される水平溝(80)とを含む、軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項3】
一対のホイール(15)が軸設される回転軸(14)と、
前記回転軸(14)の上部に結合され、台車(11)に固定される固定軸(13)と、
前記固定軸(13)に軸設され、一側に突出する制動ペダル(12)と、
前記制動ペダル(12)によって動作することで回転軸(14)を制動する回転軸制動部と、
前記制動ペダル(12)によって動作することでホイール(15)を制動するホイール制動部と、
前記固定軸(13)中に配置され、前記制動ペダル(12)によって前記回転軸(14)中へと進入する下降を行うことで回転軸(14)を制動する円筒形の移動体(92)とを含み、
固定軸(13)は、
下向き開放部(16)及び上部板(17)が形成された円筒形のボディー(18)と、
前記上部板(17)の中央に垂直に固定され、ボディー(18)の上下に突出する主軸(20)と、
前記ボディー(18)の内周面の下部に所定高さ及び所定ピッチで形成されるスプライン(24)と、
前記主軸(20)及びボディー(18)の内部に構成される回転軸制動部とを含み、
回転軸(14)は、
上向き開放部(47)が形成された円筒形のボディー(48)と、
このボディー(48)の内周面に形成されたスプライン(95)とを含み、
前記移動体(92)は、円筒形のボディーの外周面に形成されたスプライン(96)を含み、
前記移動体(92)の下降時に、前記移動体(92)のスプライン(96)が、固定軸(13)のスプライン(24)及び回転軸(14)のスプライン(95)に結合することで、これらを連結させて、回転軸(14)を制動し、
回転軸(14)は、
回転軸(14)の円筒形のボディー(48)の下部に、一側に偏るように形成され、前記主軸(20)の下部が組み付けられる軸部材(62)と、
軸部材(62)の中央に固定されて、両側に突出し、一対のホイール(15)がそれぞれ軸結合される軸棒(63,64)とを含み、
軸部材(62)は、軸棒(63,64)が固定される中央部と、円筒部と、中央部から円筒部へと垂直に延びる板体(68)とを含み、
ホイール制動部は、
板体(68)の中央部にリム(66)の一側方向に形成される案内孔(73)と、
前記案内孔(73)に両側の案内溝(131)が結合されて、制動ペダル(12)によって昇降する昇降部材(74)と、
前記昇降部材(74)の両側の上部面に形成され、ホイール(15)に形成されたスプライン(67)に分離・結合されてホイール(15)の制動、または制動状態の解除を行うスプライン(75,76)と、
前記板体(68)の両側に軸ピン(69,70)でもって軸設されて、シーソー運動をする左右一対の制動部材(77,78)と、
前記制動部材(77,78)の一側上部に延長形成される弾支部(71,72)と、
前記弾支部(71,72)の端部に上向き形成される結合部(72a)と、
前記移動体(92)の昇降とともに昇降を行う弾支具(81)と、
弾支具(81)における下方へと突き出す突出棒(82,83)と、
前記結合部(72a)、及び弾支具(81)の突出棒(82,83)に結合されて、前記弾支部(71,72)が軸ピン(69,70)を中心に下向き弾支されるようにするとともに、前記移動体(92)の昇降とともに昇降を行うバネ(60,61)と、
前記軸部材(62)の円筒部に形成されて内側へと突き出す突出棒(128)及び昇降部材(74)に形成された凹入溝(129)に結合され、非制動時に、昇降部材(74)のスプライン(75,76)がリム(66)のスプライン(67)に結合されないようにするバネ(130)とを含む、軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項4】
弾支具(81)は、
リング状のボディー(86)と、軸管(50)の外面に結合されて昇降運動できるようにボディー(86)の中央に形成される通孔(87)と、
前記ボディー(86)の上部に上向き突出して、前記移動体(92)の中央の孔に差し込まれる係止突起(88)と、
前記ボディー(86)の下部に突出し、バネ(56,57)の上部がそれぞれ結合される前後一対の突出棒(84,85)と、
また他のバネ(60,61)の上部がそれぞれ接する左右一対の突出棒(82,83)とを含む、請求項6に記載の軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項5】
固定軸(13)と回転軸(14)との間に形成される空隙(14a)と、
主軸(20)に結合されて、主軸(20)の補強部(120)の端部と回転軸(14)の軸管(50)の上端部との摩擦を抑制する上下一対のワッシャー(121,122)とをさらに含む、請求項3又は4に記載の軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項6】
ホイール制動部は、
前記移動体(92)の昇降にしたがって昇降する昇降部材(74)と、
前記昇降部材(74)の両側の上部面に形成され、ホイール(15)に形成されたスプライン(67)に分離・結合されてホイール(15)の制動、または制動状態の解除を行うスプライン(75,76)とを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項7】
回転軸(14)の制動部は、
主軸(20)の外面に固定される固定体(25)と、
前記主軸(20)の外面に昇降可能に結合され、制動ペダル(12)によって昇降する昇降体(97)と、
前記主軸(20)の外面に結合されて昇降できるように結合され、制動ペダル(12)によって昇降回転しながら、前記昇降体(97)または昇降体(97)と固定体(25)に係止されて制動されたり、または制動が解除される回転体(90)とを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項8】
固定体(25)は、
下端に形成される突出状のボディー(100)と、
前記ボディー(100)の下端部に交互に形成される傾斜部(101)及び垂直部(102)と、
前記傾斜部(101)と垂直部(102)が交差する部分に、主軸(20)の長手方向に形成される垂直溝(103)とを含み、
前記垂直溝(103)と、前記回転体(90)の垂直突部(104)とが、同一の間隔及び個数で形成されて結合及び分離されるようにしたことを特徴とする、請求項7に記載の軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項9】
昇降体(97)は、
円筒形のボディー(105)の内部に形成されて、主軸(20)が結合される通孔(106)と、
前記ボディー(105)の両側外面に、対称に形成され、制動ペダル(12)の回動部材(39,40)によって加圧される突出棒(107,108)と、
前記ボディー(105)の下部にそれぞれ形成され、対称の傾斜面(109,110)が出会う上部及び下部に、それぞれ形成される突出部(111)及び凹入溝(112)と、
前記通孔(106)の内周面に形成されて、主軸(20)との隔離距離を維持しつつ、固定体(25)の垂直溝(103)にそれぞれ結合されて昇降のみを許容する複数の垂直突部(113)とを含む、請求項7または8に記載の軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【請求項10】
回転体(90)は、
円筒形のボディー(115)の内部に形成され、主軸(20)が結合される通孔(116)と、
前記ボディー(115)の下端部に形成される外向きの突出つば(91)と、
前記通孔(116)の内周面に形成されて、主軸(20)との隔離距離を維持しながら、固定体(25)の垂直溝(103)にそれぞれ結合される場合に制動が解除される複数の垂直突部(104)と、
前記ボディー(115)の上端部に所定の間隔で形成される複数の平面部(117)と、
前記平面部(117)から上昇して突出する突出部と、
前記平面部(117)の上に上昇突出する垂直面(118)と、
前記垂直面(118)の一側に形成されて、昇降体(97)の凹入溝(112)に進入したり、または突出部(111)に係止される所定角度の傾斜面(119)とを含む、請求項7〜9のいずれかに記載の軸とホイールが同時に制動されるキャスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作が簡便であり、制動ペダルの簡便な操作により軸とホイールが同時に制動されるキャスター(Caster)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院用ベッドを含めたカート、手押し車、機械装置、家具、椅子、移動台車などの物体(以下、「台車」という)の下部(底部)には、少なくとも一つ以上のキャスター(Caster)が設置されて、人を含めた物(物体)を容易に移動させることができるように配慮している。
【0003】
前記キャスター、例えば、特許文献1でのキャスターは、支持軸を中心に360°平面回転及び/または旋回するホイール(Wheel)が設置されており、キャスターに設置される制動装置は、ホイールの表面を加圧して摩擦を大きく増大させる方法でもって、ホイールの転がり運動を阻止させて制動を行うものである。
【0004】
したがって、前記制動装置は、ホイールに沿って平面回転及び/または旋回する構造であるため、台車の移動方向によって台車の内側方向に隠れるという短所を有する。制動させようとする場合、または制動された状態を解除させようとする場合、台車の内側方向に隠れたキャスターを台車の外側方向に突出させて容易に操作するために、回転させたり、または台車を押さなければならないという不便さ及び面倒さがある。のみならず、ひどい場合、例えば、場所が狭い場合、またはキャスターの方向へと手や作業道具を入れることができない程度に空間が狭いか、または低い場合には、かなり難儀するという問題点があった。
【0005】
一方、直進走行のみが必要な固定型キャスターの場合、一つの制動装置でホイールを制動させることができる。しかし、360゜平面回転が可能な回転型キャスターの場合、キャスターの支持軸を制動する制動装置及びホイールを制動する制動装置がそれぞれ設置される構造なので、使用が不便であるなどの問題点があった。
【0006】
他方、制動装置の摩擦パッドがホイールの表面を加圧して摩擦を大きく増大させる方法でもって制動させる構造であるため、制動時に相当な力の制動圧力が与えられなければならない。制動力を解除する場合にも相当な力で制動圧を解除させなければならない等、使用に多くの不便が伴う。相当な力で作用する制動圧力のため、故障が頻繁に発生するなどの種々の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国実用新案登録第20-0396105号(2005.9.1.登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、操作が簡便なプッシュ型制動ペダルによって、軸とホイールの制動が同時になされるキャスターを提供することに目的がある。
【0009】
本発明の他の目的は、上部の固定軸に軸設される制動ペダルについて、キャスターが装着される台車の外側方向へと常に露出(突出)するように設置できて、いつでも簡便に操作できるようにすることを特徴とする。
【0010】
本発明の更に他の目的は、回転軸制動部及びホイール制動部がそれぞれのバネによって弾支及び緩衝されるようにすることによって、過度の外力から保護され、寿命が延びるようにすることを特徴とする。
【0011】
本発明の更に他の目的は、回転軸制動部及びホイール制動部が、それぞれのバネによって確実な制動がなされるようにすることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、軸とホイールが同時に制動されるキャスターに関するものであり、一対のホイールが軸設される回転軸と、前記回転軸の上部に結合され、台車に固定される固定軸と、前記固定軸に軸設され、一側に突出する制動ペダルと、前記制動ペダルによって動作がなされることで回転軸を制動する回転軸制動部と、前記制動ペダルによって動作がなされることでホイールを制動するホイール制動部とを含み、キャスターの回転軸及びホイールが同時に制動され、プッシュ型制動ペダルを用いて簡便に制動するか、または制動状態を解除させることができるように構成される。
【0013】
前記固定軸13は、下向き開放部16及び上部板17が形成された円筒形のボディー18と、前記上部板17の中央に垂直に固定され、ボディー18の上下に突出する主軸20と、前記ボディー18の上部に突出する主軸20のねじ部21と、前記ボディー18の下部に突出する主軸20と、前記主軸20の下端部に形成されるCリング22の凹入溝と、前記ボディー18の内部面の下部に所定高さ及び所定ピッチで形成されるスプライン24と、前記主軸20及びボディー18の内部に構成される回転軸制動部とを含んで構成される。
【0014】
前記回転軸制動部は、上部に形成される固定体25及び開放部16に結合されるバネ26の上部を支持する複数の支持板27と、ボディー18の両側に水平に形成される一対の軸孔28,29と、前記軸孔28,29に軸結合される制動ペダル12の軸部30,31と、前記軸部30,31の内側にそれぞれ形成される結合穴32,33と、前記結合穴32,33に結合部35,36がスプライン結合された後、ビス37,38で固定される一対の回動部材39,40と、前記回動部材39,40の一側にそれぞれ突出する作動部41,42と、前記制動ペダル12の加圧部43の一側に延び、内側面に前記軸部30,31が形成される延長部44,45と、前記延長部44,45の間に形成される開放部46とを含んで構成される。
【0015】
前記回転軸14は、上向き開放部47が形成された円筒形のボディー48と、前記開放部47の下部に形成される底部49と、前記底部49の中央に垂直に形成される軸管50と、前記主軸20が軸結合されるように前記軸管50の中央に形成される軸孔51と、前記底部49の前後に所定の高さで形成される突出棒52,53と、突出棒52,53にそれぞれ結合されるバネ56,57と、前記一側の突出棒52の両側に形成されるバネ56,57の結合孔58,59と、前記結合孔58,59に嵌合されるバネ60,61と、前記ボディー48の下部に垂直に形成され、一側に偏るように形成される円筒形の軸部材62と、前記軸部材62の中央に固定され、両側に突出する軸棒63,64と、前記軸棒63,64にそれぞれ軸結合される一対のホイール15と、前記ホイール15が床に当たらないように、軸部材62の下部が所定の高さで上昇形成される平面部65と、ホイール15のリム66の内周面に形成され、前記固定軸13のスプライン24が分離・結合される所定ピッチのスプライン67と、前記軸部材62の中央に縦に形成される案内孔73に結合され、制動ペダル12によって上昇することで、ホイール15の制動及び制動解除を行うホイール制動部と、前記軸孔51に結合された主軸20が分離されないようにCリング22及びワッシャー79を結合できるようにすべく軸部材62の下部に形成される水平溝80とを含んで構成される。
【0016】
固定軸13と回転軸14との間には空隙14aが形成され、主軸20には上下一対のワッシャー121,122が結合されて、主軸20の補強部120の端部と回転軸14の軸管50の上端部との摩擦を抑制して、寿命の短縮を防止するようになる。
【0017】
前記ホイール制動部は、板体68の中央部にリム66の一側方向に形成される案内孔73と、前記案内孔73に両側の案内溝131が結合されて、制動ペダル12によって昇降する昇降部材74と、前記昇降部材74の両側の上部面に形成され、ホイール15に形成されたスプライン67に分離/結合されてホイール15を制動したり、または制動状態を解除させるスプライン75,76と、前記板体68の両側に軸ピン69,70で軸設されて、シーソー運動をする左右一対の制動部材77,78と、前記制動部材77,78の一側上部に延長形成される弾支部71,72と、前記弾支部71,72の端部に上向き形成される結合部72aと、前記結合部72a及び弾支具81の突出棒82,83に結合されて、前記弾支部71,72が軸ピン69,70を中心に下向き弾支されるようにするバネ60,61と、前記リム66に形成された突出棒128及び昇降部材74に形成された凹入溝129に結合され、非制動時に、昇降部材74のスプライン75,76がリム66のスプライン67に結合されないようにするバネ130とを含んでなる。
【0018】
前記弾支具81は、リング状のボディー86と、軸管50の外面に結合されて昇降運動できるようにボディー86の中央に形成される通孔87と、前記ボディー86の上部に上向き突出する係止突起88と、前記ボディー86の下部に突出し、バネ56,57の上部がそれぞれ結合される前後一対の突出棒84,85と、また他のバネ60,61の上部がそれぞれ接する左右一対の突出棒82,83とを含んでなる。
【0019】
前記回転軸制動部は、主軸20の外面に固定される固定体25と、前記主軸20の外面に昇降可能に結合され、制動ペダル12によって昇降する昇降体97と、前記主軸20の外面に結合されて昇降できるように結合され、制動ペダル12によって昇降回転しながら、前記昇降体97または昇降体97と固定体25に係止されて制動されたり、または制動が解除される回転体90とを含んでなる。
【0020】
前記固定体25は、下端に形成される突出状のボディー100と、前記ボディー100の下端部に交互に形成される傾斜部101及び垂直部102と、前記傾斜部101と垂直部102とが交差する部分に、主軸20の長手方向に形成される垂直溝103とを含んで構成され、前記垂直溝103と、回転体90の垂直突部104は、同一の間隔及び個数で形成されて結合及び分離されるようにしたことを特徴とする。
【0021】
前記昇降体97は、円筒形のボディー105の内部に形成されて、主軸20が結合される通孔106と、前記ボディー105の両側外面に対称に形成され、制動ペダル12の回動部材39,40によって加圧される突出棒107,108と、前記ボディー105の下部にそれぞれ形成され、対称傾斜面109,110が出会う、上部及び下部にそれぞれ形成される突出部111及び凹入溝112と、前記通孔106の内周面に形成されて、主軸20との隔離距離を維持しつつ、固定体25の垂直溝103にそれぞれ結合されて昇降のみを許容する複数の垂直突部113とを含んで構成される。
【0022】
前記回転体90は、円筒形のボディー115の内部に形成され、主軸20が結合される通孔116と、前記ボディー115の下端部に形成される外向き突出つば91と、前記通孔116の内周面に形成されて、主軸20との隔離距離を維持しながら、固定体25の垂直溝103にそれぞれ結合される場合に制動が解除される複数の垂直突部104と、前記ボディー115の上端部に所定の間隔で形成される複数の平面部117と、前記平面部117を上昇して突出する突出部と、前記平面部117の上に上昇突出する垂直面118と、前記垂直面118の一側に形成されて、昇降体97の凹入溝112に進入したり、または突出部111に係止される所定角度の傾斜面119とを含んで構成される。
【0023】
前記制動ペダル12は、台車11のフレームの表面11aよりも一定距離L1だけ外部に露出(突出)するようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のキャスターは、プッシュ型制動ペダルによって、キャスターの回転軸及びホイールの制動が同時になされるので、より安全且つ便利に使用できるという効果がある。
【0025】
また、本発明のキャスターは、固定軸に設置される制動ペダルが、キャスターが装着された台車の外側に露出(突出)しているので、いつでも操作できるという効果がある。
【0026】
また、本発明のキャスターは、バネ緩衝構造によって、回転軸制動部及びホイール制動部の過度の外力から保護され、寿命が延びるという効果がある。
【0027】
また、本発明のキャスターは、バネ緩衝構造によって確実な制動がなされるなどの効果がある非常に有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本発明の一例として示す固定板を分離した状態の外観斜視図である。
【
図4】本発明の一例として固定軸の分解及び部分切断斜視図である。
【
図5】本発明の一例として示す制動状態の断面図である。
【
図6】本発明の一例として示す制動解除状態の断面図。
【
図8】本発明の一例として示す昇降体の部分平面図である。
【
図9】本発明の一例として示す回転体の部分平面図である。
【
図10】本発明の一例として示す固定軸の部分底面図である。
【
図11】本発明の一例として示すホイール制動部の制動解除状態の断面図である。
【
図12】本発明の一例として示すホイール制動部の制動状態の断面図である。
【
図13】本発明の一例として示す制動
解除状態の部分拡大断面図である。
【
図14】本発明の一例として示す制
動状態の部分拡大断面図である。
【
図15】本発明の一例として示す制動のために下降した状態の部分拡大断面図である。
【
図19】本発明の一例として示すホイール制動部の拡大断面図である。
【
図20】本発明の一例として示す回転軸制動部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の実施例を説明するにあたり、図面中、同一の構成要素には可能な限り同一の参照符号を付し、関連した公知の構成や機能についての具体的な説明は、本発明の要旨が曖昧になることを避けるために省略する。
【0030】
本発明のキャスター10は、病院用ベッドを含めたカートや手押し車、機械装置、家具や椅子などの台車11に、少なくとも一つ以上が装着されて使用される。固定軸13に備えられるプッシュ型制動ペダル12が、台車11の外側に常に露出(突出)するように設置できるので、使用者がいつでも操作できるように構成される。前記制動ペダル12によって、回転軸14とホイール15の制動及び制動解除が、同時に且つ簡便になされる。
【0031】
前記制動手段は、制動ペダル12によって作動されて、回転軸14の制動及び制動状態の解除を行う回転軸制動部と、ホイール15の制動及び制動状態の解除を行うホイール制動部とで構成される。前記の回転軸制動部とホイール制動部は、プッシュ型制動ペダル12によって同時に作動するので、回転軸14とホイール15の制動及び制動解除が同時に且つ簡便になされる。
【0032】
前記回転軸制動部及びホイール制動部は、バネで弾支される一対のスプライン結合構造であり、スプラインが結合されると、回転軸14及びホイール15の制動が達成され、結合されていたスプラインが分離されると、制動状態が解除される。
【0033】
また、前記回転軸制動部及びホイール制動部は、それぞれのバネによって弾支及び緩衝されるように構成することによって、スプラインが保護され、制動ペダル12は、結合軸を中心に30°前後に回転されても、スプラインの結合及び分離が達成されるので、制動及び制動解除が迅速且つ簡便になされる。
【0034】
本発明のキャスター10は、大まかには、一対のホイール15が軸設される回転軸14と、回転軸14の上部に結合され、台車11に固定される固定軸13と、固定軸13に軸設され、一側に突出する制動ペダル12と、制動ペダル12によって動作することで、回転軸14とホイール15を制動させて回転を防止する回転軸制動部及びホイール制動部とから構成される。
【0035】
回転軸14の上部に位置する固定軸13は、
図3、
図4に示すように、下向き開放部16及び上部板17が形成された円筒形のボディー18と、上部板17の中央に垂直に固定されて、ボディー18の上下に突出する主軸20と、ボディー18の上部に突出する主軸20のねじ部21と、回転軸14が結合可能なようにボディー18の下部に突出する主軸20と、Cリング22及びワッシャー70が結合可能なように主軸20の下端部に形成される凹入溝23と、ボディー18の内面の下部に所定高さ及び所定ピッチで形成されるスプライン24と、主軸20の上部に形成される固定体25と、開放部16に結合されるバネ26の上部を支持する複数の支持板27と、ボディー18の両側に水平に形成される一対の軸孔28,29と、軸孔28,29に軸結合される制動ペダル12の軸部30,31と、軸部30,31の内側にそれぞれ形成される結合穴32,33と、前記結合穴32,33に結合部35,36がスプライン結合された後、ビス37,38で固定される一対の回動部材39,40と、回動部材39,40の一側にそれぞれ突出する作動部41,42と、制動ペダル12の加圧部43の一側に延び、内側面に前記軸部30,31が形成される延長部44,45と、延長部44,45の間に形成される開放部46と、前記制動ペダル12によって動作しながら、回転軸14を制動させ、制動状態を解除させる回転軸制動部とから構成される。前記回転軸14は、主軸20の下部に結合されて、360°平面回転する構造である。
【0036】
前記回転軸14は、上向き開放部47が形成された円筒形のボディー48と、開放部47の下部に形成される底部49と、底部49の中央に垂直に形成される軸管50と、主軸20が軸結合されるように前記軸管50の中央に形成される軸孔51と、底部49の前後に所定の高さで形成される突出棒52,53と、突出棒52,53にそれぞれ結合されるバネ56,57と、一側の突出棒52の両側に形成されるバネ56,57の結合孔58,59と、前記結合孔58,59に嵌合されるバネ60,61と、ボディー48の下部に垂直に形成され、一側に偏るように形成される円筒形の軸部材62と、軸部材62の中央に固定され、両側に突出する軸棒63,64と、前記軸棒63,64にそれぞれ軸結合される一対のホイール15と、前記ホイール15が床に当たらないように、軸部材62の下部が所定の高さで上昇形成される平面部65と、ホイール15のリム66の内周面に形成され、前記固定軸13のスプライン24が分離/結合される所定ピッチのスプライン67と、軸部材62の中央に縦に形成される案内孔73に結合された後、制動ペダル12によって上昇または下降することで、ホイール15の制動及び制動の解除を行うホイール制動部と、軸孔51に結合された主軸20が分離されないように結合されるCリング22及びワッシャー79を結合できるように軸部材62の下部に形成される水平溝80とから構成される。
【0037】
前記固定軸13と回転軸14との間には離隔した空隙14aが形成されているので、荷重(または外力)が作用しても、上部の固定軸13と下部の回転軸14とが互いに接触しない。したがって、主軸20に軸結合された回転軸14が主軸20を中心に360°自由回転できるようになる。
【0038】
前記ホイール制動部は、板体68の中央部にリム66の一側方向に形成される案内孔73と、案内孔73に両側の案内溝131が結合されて、制動ペダル12によって昇降する昇降部材74と、昇降部材74の両側の上部面に形成され、ホイール15に形成されたスプライン67に分離/結合されてホイール15を制動したり、または制動状態を解除させるスプライン75,76と、板体68の両側に軸ピン69,70で軸設されて、シーソー運動をする左右一対の制動部材77,78と、制動部材77,78の一側上部に延長形成される弾支部71,72と、弾支部71,72の端部に上向き形成された結合部72aと、結合部72a及び弾支具81の突出棒82,83に結合されて、前記弾支部71,72が軸ピン69,70を中心に下向き弾支されるようにするバネ60,61と、前記リム66に形成された突出棒128及び昇降部材74に形成された凹入溝129に結合され、非制動時に、昇降部材74のスプライン75,76がリム66のスプライン67に結合されないようにするバネ130とで構成される。
【0039】
前記弾支具81は、リング状のボディー86と、軸管50の外面に結合されて昇降運動できるようにボディー86の中央に形成される通孔87と、ボディー86の上部に上向き突出する係止突起88と、ボディー86の下部に突出し、バネ56,57の上部がそれぞれ結合される前後一対の突出棒84,85と、また他のバネ60,61の上部がそれぞれ接する左右一対の突出棒82,83とで構成される。
【0040】
前記弾支具81のボディー86の上部には、回転体90に形成された突出つば91の底面が面接触する。突出つば91の上部には、バネ26で弾支され、昇降運動をしながら制動及び制動状態の解除を行う円筒形の移動体92が結合される。
【0041】
前記移動体92の中央に形成される通孔93は、突出つば91の上部面に面接触方式で結合され、上向き開放部94にはバネ26の下部が弾支される。ボディーの外周面には、固定軸13のスプライン24及び回転軸14のボディー48の内周面に形成されたスプライン95を連結させて、回転軸14及びホイール15を同時に制動したり、または回転軸14及びホイール15の制動状態を同時に解除させる円形のスプライン96が形成される。
【0042】
前記回転軸制動部は、大まかには、主軸20の外面に固定される固定体25と、主軸20の外面に昇降可能に結合され、制動ペダル12によって昇降する昇降体97と、前記主軸20の外面に結合されて昇降できるように結合され、制動ペダル12によって昇降回転しながら、前記昇降体97または昇降体97と固定体25に係止されて制動されたり、または制動が解除される回転体90と、から構成される。
【0043】
前記固定体25は、下端の周りに突出状のボディー100が形成され、前記ボディー100の下端部に傾斜部101と垂直部102が交互に形成され、傾斜部101と垂直部102とが交差する部分に主軸20の長手方向に垂直溝103が形成される。
【0044】
前記垂直溝103は、二つの傾斜部101ごとに一つずつ形成されて、回転体90の垂直突部104が結合されるように構成されており、前記垂直溝103と、前記回転体90の垂直突部104は、同一の間隔及び個数で形成されて、結合及び分離される。
【0045】
前記昇降体97には、円筒形のボディー105の内部に、主軸20が結合される通孔106が形成され、ボディー105の両側の外面には、制動ペダル12の回動部材39,40によって加圧される突出棒107,108が対称に形成される。ボディー105の下部には、対称の傾斜面109,110が出会う上部及び下部に、突出部111及び凹入溝112が、それぞれ形成される。通孔106の内周面には、主軸20との隔離距離を維持しながら、固定体25の垂直溝103にそれぞれ結合されて昇降のみが許容される複数の垂直突部113が、主軸20の長手方向に形成される。
【0046】
前記回転体90には、円筒形のボディー115の内部に、主軸20が結合される通孔116が形成され、ボディー115の下端部に外向き突出つば91が形成される。通孔116の内周面には、主軸20との隔離距離を維持しながら、固定体25の垂直溝103にそれぞれ結合される場合に制動が解除される複数の垂直突部104が主軸20の長手方向に形成される。ボディー115の上端部には、複数の平面部117が所定の間隔で形成される。前記突出部104は前記平面部117を越えて上昇して突出する。平面部117の上に上昇突出した垂直面118の一側には、昇降体97の凹入溝112に進入したり、または突出部111に係止される所定角度の傾斜面119が形成されて、制動または制動解除状態となる。
【0047】
上記において、回転軸14の回転によって、主軸20の上部の外周面の一部を補強する補強部120の端部と、回転軸14の軸管50の上端部とは互いに接触して摩擦及び摩耗する。そのため、主軸20に嵌め込まれる上下一対のワッシャー121,122によって前記補強部120と軸管50とが接触しないようにする。これにより、これら補強部120と軸管50の摩耗及び寿命の短縮が防止される。
【0048】
本発明のキャスター10は、主軸20とホイール15が同時に、そして、直ちに制動される構造であり、また、制動ペダル12は、一回踏むと制動及び上昇し、もう一回踏むと制動が解除されることで上昇する構造である。そのため、制動及び制動の解除が容易であるだけでなく、使用が簡便である。前記制動ペダル12は、バネ26によって上昇復帰するようになる。
【0049】
前記制動ペダル12は、
図5、
図6に示すように、台車11の外郭またはフレームの表面11aよりも一定距離L1だけ外部に常に露出(突出)しているので、いつでも容易且つ簡便に使用することができる。すなわち、従来のキャスターの場合、ホイールに沿って制動ペダル12がフレームの表面11aの内側に移動したり、隠れたりする現象が発生する。そのため、前述したように、種々の不便があったが、本発明のキャスター10は、フレームの表面11aの内側に移動したり隠れたりする現象がないので、台車11の移動位置や方向に関係なく、いつでも操作できるようになる。
【0050】
本発明のキャスター10は、通常時には、バネ56,57で弾支されている弾支具81の上昇作用によって、
図13でのように、移動体92が上昇して制動状態が解除される。前記バネ56,57の弾性力は、移動体92を下向き弾支する上部バネ26の弾性力よりも強いので、移動体92の上昇状態が維持される。
【0051】
固定軸13の軸孔28,29に軸結合された回動部材39,40は、制動ペダル12の両側に結合されているので、制動ペダル12を足で踏んで回転させると、軸孔28,29を中心に下降回転または上昇回転するようになる。
【0052】
前記回動部材39,40が下降回転する場合、作動部41,42によって両側の突出棒107,108が加圧されるので、昇降体97が下降するようになる。ここで、昇降体97の内部に突出した垂直突部113は固定体25の垂直溝103に結合されているので、昇降は許容され、回転は抑制される構造であるので、昇降体97が、
図14のように下降するようになる。
【0053】
したがって、
図13におけるように昇降体97の傾斜面110に面接触していた、回転体90の傾斜面119が、回転しつつ下降する。回転していた回転体90における、傾斜面119と垂直面118とが交差する上端部が、
図14のように、昇降体97の凹入溝112に進入することで、回転体90の回転が止まる。そして、前記回転体90の下降作用によって、突出つば91に係止されている移動体92が下降して、外周面のスプライン96の下部が回転軸14のスプライン95に結合されることで、制動がなされ、回転軸14の回転が止まる。
【0054】
前記回転軸14が制動されると同時に、弾支部71,72を弾支していたバネ60,61が弾支具81及び突出棒82,83の下降作用によって下降する。この際、案内孔73に組み付けられている昇降部材74が上昇し、昇降部材74の両側の制動スプライン75,76が、上昇してホイール15のスプライン67に結合される。そのため、ホイール15の回転が止まり、制動が達成される。
【0055】
本発明において、回転軸14を制動させる回転体90、及び、ホイール15を制動させる昇降部材74はそれぞれ、バネによってそれぞれ弾支される。そのため、制動ペダル12及び制動部品に過度の外圧が瞬間的に作用しても、弾支及び緩衝がなされるので、これらの破損や損壊が防止される。
【0056】
例えば、次のとおりである。制動ペダル12を足で踏んで回転体90が下降し、スプライン96が回転軸14のスプライン95に結合されながら回転軸14の制動がなされなければならない。にもかかわらず、
図20のように、回転軸14の回転によって、回転体90のスプライン96の底面96bが回転軸14のスプライン95の上部面95aに瞬間的または所定時間接触することで、下降結合(移動体スプラインの下降結合)が抑制されるというならば、回転軸14の制動がなされず、回転体90のスプライン96、及び、回転軸14のスプライン95が破損するということがありうる。ところが、前記回転体90は、上下のバネ26,56,57によって弾支されているだけでなく、制動時に加圧力と、上部バネ26によって下降しようとする力とが作用している。そのため、回転軸14が少しだけ回転しても、回転体90のスプライン96が回転軸14のスプライン95に結合されることで、制動がなされる。これにより、スプライン95,96の破損などが防止される。
【0057】
また、昇降部材74の場合、制動ペダル12を踏んで昇降体97、回転体90及び弾支具81が下降し、回転体90が回転して固定体25に係止されると、スプライン96が回転軸14のスプライン95に結合されることで回転軸14の制動がなされなければならない。にもかかわらず、
図19のように、ホイール15の回転によって、昇降部材74のスプライン75,76の上部面がリム66のスプライン67の上部面に瞬間的または所定時間接触することでスプライン結合が抑制されるというならば、ホイール15の制動がなされず、昇降部材74のスプライン75,76及びリム66のスプライン67が破損するということがありうる。ところが、前記昇降部材74は、バネ130,60,61によって弾性的に支持されているだけでなく、制動時に加圧力及び上部バネ130によって下降しようとする力が作用している。そのため、ホイール15が少しだけ回転しても、昇降部材74のスプライン75,76とリム66のスプライン67がスプライン結合されることで、ホイール15の制動がなされる。これにより、スプライン67,75,76の破損や損壊などが防止される。
【0058】
したがって、スプラインの結合がなされず、そのため、制動がなされなかったとしても、バネの弾支力及び緩衝力によって回転軸14が少し回転するか、ホイール15が少しだけ回転するならば、非結合状態のスプラインが結合されることとなり、回転軸14の制動及びホイール15の制動が迅速になされる。
【0059】
また、踏んでいた制動ペダル12から足を離すと、最大に下降していた昇降体97がバネ56,57の弾性力によって上昇し、回転体90の傾斜面119の作用によって反対方向に回転することとなる。そして、昇降体97は、傾斜面110の作用によって上昇することとなる。
【0060】
このとき、固定体25の垂直溝103から離脱していた回転体90の垂直突部104が、再び固定体25の垂直溝103に進入して、
図15のように回転が抑制され、このとき、回転体90の傾斜面119及び昇降体97の傾斜面110は少し重なっているので、制動ペダル12を踏むとき、再び下降して制動され得る構造である。
【0061】
前記バネ130の弾性力は、弾支部71,72を弾支しているバネ60,61の全体弾性力よりも大きいため、ホイール15が制動されない通常時には、
図6、
図11のようにスプライン75,76が下降している状態にある。制動ペダル12の動作によってホイール15が制動状態になると、昇降体97、回転体90及び弾支具81が下降する。回転体90が回転して固定体25に係止されると、下降して来た回転体90及び弾支具81の突出棒82,83によって、弾支部71,72が、
図5のように軸ピン69,70を中心に時計回り方向に回転する。制動部材77,78の上昇によってスプライン76が上昇することで、リム66のスプライン67に結合されてホイール15の制動がなされるようになり(
図12)。逆に、制動ペダル12をもう一回踏んで制動を解除すると、回転体90及び弾支具81の突出棒82,83が上昇復帰することとなる。弾支具バネ60,61よりも弾性力が強いバネ130の弾発力によって、
図6のように、弾支部71,72が軸ピン69,70を中心に反時計回り方向に回転することから、リム66のスプライン67に結合されていたスプライン75,76が下降することで分離される。そのため、ホイール15の制動状態が解除される。
【0062】
未説明符号125は、台車11に固定されるトッププレートであり、125aは締結部材の結合孔で、126はナットであり、127は締結部材であり、74a,74bは、制動部材77,78の垂れ下がりを防止する支持突部であり、24a,95a,96aはスプライン結合溝であり、15aはホイール結合孔であり、15bはホイールキャップである。
【0063】
以上のように説明した本発明は、本実施例及び添付の図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であり、これは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0064】
10…キャスター; 11…台車(物) ; 12…制動ペダル;
13…固定軸; 14…回転軸; 15…ホイール;
16,46,47,94…開放部; 17…上部板;
18,48,86,100,105,115…ボディー;
20…主軸; 21…ねじ部; 22…Cリング;
23,112,129…凹入溝;
24,67,75,76,95,96…スプライン;
26,56,57,60,61…バネ; 25…固定体; 27…支持板;
28,29,51…軸孔; 30,31…軸部; 32,33…結合穴;
35,36…結合部; 37,38…ビス; 39,40…回動部材;
41,42…作動部; 43…加圧部; 44,45…延長部;
49…底部; 50…軸管;
52,53,82,83,84,85,107,108…突出棒;
62…軸部材; 63,64…軸棒; 65…平面部;
66…ホイールのリム; 68…板体; 69,70…軸ピン;
71,72…弾支部; 73…案内孔; 74…昇降部材;
77,78…制動部材; 79,121,122…ワッシャー;
80…水平溝; 81…弾支具; 87,93,106,116…通孔;
88…係止突起; 90…回転体; 91…突出つば; 92…移動体;
97…昇降体; 101…傾斜部; 102…垂直部;
103…垂直溝; 104,113…垂直突部;
109,110,119…傾斜面; 111…突出部; 117…平面部;
118…垂直面; 120…補強部; 131…案内溝