特許第5932057号(P5932057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5932057セラミック放熱構造の回路保護用素子およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932057
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】セラミック放熱構造の回路保護用素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 1/028 20060101AFI20160526BHJP
   H01C 7/04 20060101ALI20160526BHJP
   H01C 7/10 20060101ALI20160526BHJP
   H01C 17/02 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   H01C1/028
   H01C7/04
   H01C7/10
   H01C17/02
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-553239(P2014-553239)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2015-509287(P2015-509287A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】KR2012000558
(87)【国際公開番号】WO2013108947
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2014年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】504474150
【氏名又は名称】スマート エレクトロニクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジョンイル
(72)【発明者】
【氏名】カン ドゥウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン ギュジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソングァン
(72)【発明者】
【氏名】ジン サンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンチャン
(72)【発明者】
【氏名】イ ギョンミ
(72)【発明者】
【氏名】イ グァンフン
(72)【発明者】
【氏名】アン サンミン
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−288483(JP,A)
【文献】 実開昭57−037202(JP,U)
【文献】 特開昭60−004832(JP,A)
【文献】 実開平06−031102(JP,U)
【文献】 実開昭63−106102(JP,U)
【文献】 実開昭61−059303(JP,U)
【文献】 特開昭61−187203(JP,A)
【文献】 特開平09−326327(JP,A)
【文献】 特開平08−148307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 1/028
H01C 7/04
H01C 7/10
H01C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク型の発熱体と、
前記発熱体から延長されたリードと、
前記発熱体を収容するための収容凹部、及び、前記リードの引き出しをガイドするガイド凹部が備えられたセラミックケースと、
前記発熱体が前記収容凹部に収容された状態で前記収容凹部に充填される充填材とを含み、
前記セラミックケースは、四角い皿状であり、平坦な底部と、この底部の縁から突出して前記収容凹部を画する4つの側とからなり
前記各側壁は、それぞれが、四隅の近傍を除き厚さが一定であり、
前記側壁のうちいずれか1つに前記ガイド凹部が備えられ、
前記ガイド凹部が備えられた側壁の厚さ(d2)が、他の側壁の厚さ(d1)より大きく、
前記発熱体は、ディスク形状のセラミック胴体と、このセラミック胴体に取り付けられたディスク形状の電極とを含み、
前記充填材はセメントを含み、
前記発熱体の電極は前記セメントに直接接触し、前記発熱体及び電極の熱が、前記セメントを通じて放熱されることを特徴とするセラミック放熱構造の回路保護用素子。
【請求項2】
ディスク型の発熱体と、前記発熱体から延長されたリードとを含む半製品状態の素子を用意し、
前記発熱体を収容するための収容凹部と、前記リードの引き出しをガイドするガイド凹部とが備えられたセラミックケースを用意し、
前記発熱体及び前記リードを前記収容凹部及び前記ガイド凹部にそれぞれ挿入し、
前記発熱体が前記収容凹部に収容された状態で前記収容凹部に充填材を充填する回路保護用素子の製造方法であって、
前記セラミックケースは、四角い皿状であり、平坦な底部と、この底部の縁から突出して前記収容凹部を画する4つの側とからなり
前記各側壁は、それぞれが、四隅の近傍を除き厚さが一定であり、
前記側壁のうちいずれか1つに前記ガイド凹部が備えられ、
前記ガイド凹部が備えられた側壁の厚さ(d2)が、他の側壁の厚さ(d1)より大きく、
前記発熱体は、ディスク形状のセラミック胴体と、このセラミック胴体に取り付けられたディスク形状の電極とを含み、
前記充填材はセメントを含み、
前記発熱体の電極は前記セメントに直接接触し、前記発熱体及び電極の熱が、前記セメントを通じて放熱されることを特徴とするセラミック放熱構造の回路保護用素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路保護用素子に関し、より詳しくは、セラミック放熱構造を有した回路保護用素子に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業の急激な発展は、半導体素子の小型化および高性能化のための超高集積化を加速している。このように超高集積化される半導体素子の動作電圧は次第に低くなる傾向にあるものの、サージ電圧のような過電圧が流れ込む場合には対処能力が顕著に低下することとなる。
【0003】
半導体素子を内蔵する装備は、過電圧の流入時に半導体素子を破壊させたり劣化させたりすることで寿命短縮や機能低下などを招いているため、半導体素子が内蔵される装備、特に電気回路には、サーミスタ(Thermistor)及びバリスタ(Varistor)といった回路保護用素子を取り付けることについての必要性が増大している。
【0004】
一方、上述の回路保護用素子のうち、サーミスタについて詳細に説明すれば次の通りである。
【0005】
サーミスタは、温度変化に対応して半導体の抵抗率が変化する性質を用いた素子である。このようなサーミスタには、温度が高くなれば抵抗値が増加するPTCサーミスタ(Positive temperature coefficient Thermistor;正温度係数サーミスタ)と、温度が高くなれば抵抗値が減少するNTCサーミスタ(Negative temperature coefficient Thermistor;負温度係数サーミスタ)などがある。
【0006】
特に、NTCサーミスタは、常温での抵抗値より上昇した温度においてさらに低い抵抗値特性を有するため、突入電流抑制用電源回路に結合された素子としてよく活用される。
【0007】
ここで、突入電流とは電気製品の電源をターンオンさせる瞬間に回路内で一時的に発生する大容量の電流値をいうものであり、大きい突入電流は電源装置に用いられるダイオードを含む半導体素子の電流限界値を超過するか、そのために発生するスパイク電圧によって半導体素子の損傷を引き起こす。
【0008】
突入電流を下げるのは抵抗値の大きいNTCサーミスタを用いるほど大きい効果を発揮し、このように抵抗値の大きいNTCサーミスタを用いれば、突入電流を下げるのに大きい効果を発揮するが、突入電流を下げた後には持続的に電力損失および熱損失が発生する。したがって、NTCサーミスタを介して突入電流を下げようとするときには、抵抗値の小さいNTCサーミスタを用いることが好ましい。
【0009】
前記NTCサーミスタは、突入電流を下げた後に電力および熱損失を発生させ、このような問題点を解決するためには、表面積の広いNTCサーミスタを用いて熱を放出させることが好ましい。
【0010】
例えば、NTCサーミスタはその形状に応じてチップ型、ビード型、ディスク型などに分けられ、ディスク型の場合、直径の大きいNTCサーミスタを用いる時に熱を放出させるのに容易である。
【0011】
しかし、NTCサーミスタは表面積、すなわち、ディスク型の場合、直径が大きいほど製造原価が幾何級数的に増加するという問題点がある。したがって、最近では、抵抗値が小さく且つ直径が小さく、熱を容易に放出でき、製造原価を減少させることができるNTCサーミスタの必要性が浮上している。
【0012】
また、上述した回路保護用素子のうち、バリスタ(Varistor)について詳細に説明するならば、次の通りである。
【0013】
バリスタは、サージ電圧に応じて抵抗が変わるため、サージ電圧および静電気から重要電子部品と電気回路を保護する回路保護用素子として広く用いられている。すなわち、通常、回路内に配置されたバリスタは電流が流れないが、特定の電圧以上の過電圧や落雷などによってバリスタの両端に過電圧がかかったならば、素子の抵抗が急激に減少してほぼ全ての電流がバリスタ素子に流れることとなり、他の素子には電流が流れなくなることから、電気回路を保護することとなる。
【0014】
また、上記のバリスタに電流が流れるようになると、負荷がかかって発熱される。このようなバリスタはディスク型が一般的であり、直径の大きいバリスタは、発熱された熱を放出させやすい。
【0015】
しかし、バリスタは直径が大きいほど製造原価が幾何級数的に増加するという問題点がある。したがって、最近では、直径が小さく且つ熱を容易に放出でき、製造原価を減少させることができるバリスタの必要性が浮上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2007-103687
【特許文献2】特開2008-288483
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明はこのような問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は小さい直径を有し、且つ、熱を容易に放熱できる回路保護用素子を提供することにある。
【0018】
本発明の目的は、突入電流の流入時、直径が小さくても熱を容易に放出できるディスク型NTCサーミスタを提供することにある。
【0019】
本発明の目的は、サージ電圧の発生時、直径が小さくても熱を容易に放出できるディスク型バリスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記目的を解決するためのセラミック放熱構造の回路保護用素子は、ディスク型の発熱体と、前記発熱体から延長されたリードと、前記発熱体を収容するための収容凹部、及び前記リードの引き出しをガイドするガイド凹部が備えられたセラミックケースと、前記発熱体が前記収容凹部に収容された状態で前記収容凹部に充填される充填材とを含む。
【0021】
前記充填材はセメントを含むことを特徴とする。
【0022】
前記セラミックケースは前記収容凹部を画する複数の壁を含み、
前記壁のうちいずれか1つに前記ガイド凹部が備えられ、
前記ガイド凹部が備えられた壁の厚さ(d2)が、他の壁の厚さ(d1)より大きいことを特徴とする。
【0023】
前記発熱体はNTCサーミスタ(THERMISTOR)であることを特徴とする。
【0024】
前記発熱体はバリスタ(VARISTOR)であることを特徴とする。
【0025】
また、前記目的を解決するためのセラミック放熱構造の回路保護用素子の製造方法は、ディスク型の発熱体と、前記発熱体から延長されたリードとを含む半製品状態の素子を用意し、前記発熱体を収容するための収容凹部と前記リードの引き出しをガイドするガイド凹部とが備えられたセラミックケースを用意し、前記発熱体及び前記リードを前記収容凹部及び前記ガイド凹部にそれぞれ挿入し、前記収容凹部に充填材を充填することを含む。
【0026】
前記セラミックケースは前記収容凹部を画する複数の壁を含み、
前記壁のうちいずれか1つに前記ガイド凹部が備えられ、
前記ガイド凹部が備えられた壁の厚さ(d2)が、他の壁の厚さ(d1)より大きいことを特徴とする。
【0027】
前記発熱体はNTCサーミスタ(THERMISTOR)であることを特徴とする。
【0028】
前記発熱体はバリスタ(VARISTOR)であることを特徴とする。
【0029】
前記充填材はセメントを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
前記説明のように本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子は、セラミックケースに半製品のNTCサーミスタまたはバリスタを収容させ、充填用セメントを材質とする充填材を充填させることにより、セラミックケースに、小さい直径を有するNTCサーミスタまたはバリスタの発熱体を収容させても、大きい直径を有する従来の発熱体と類似する放熱効果を備えることができる。
【0031】
また、本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子は、小さい直径を有する発熱体が、従来の大きい直径を有する発熱体に類似する放熱効果を備えるので原価を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子の半製品素子を示す斜視図である。
図2】本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子のセラミックケースを示す斜視図である。
図3a】本発明のセラミック放熱構造の半製品素子がセラミックケースに収容された様子を示す平面図である。
図3b】本発明のセラミック放熱構造の半製品素子がセラミックケースに収容された様子を示す側断面図である。
図4図3aおよび図3bに充填材が充填された様子を示す側断面図である。
図5】本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子を製造する過程を示す図である。
図6】本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子を印刷回路基板に取り付けた様子を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態によるセラミック放熱構造の回路保護用素子について詳細に説明する。
【0034】
本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子は、半製品状態の素子10と、この半製品状態の素子10が収容されるセラミックケース20と、セラミックケース20に充填される充填材30とを含む。
【0035】
まず、回路保護用素子は、図1に示すように、ディスク形状のセラミック胴体12と、このセラミック胴体12の両端に形成される電極13を含む発熱体11と、この発熱体11の両端から延長されるように、すなわち、電極13から延長されるように、はんだ付けされるリード15とを含む。
【0036】
前記発熱体11とリード15とを含む素子10は、その外面に、シリコンとエポキシ樹脂といった外装材がコーティングされておらず、製品番号がマーキングされていない半製品状態の素子である。ここで、本発明の一実施形態において、半製品状態の素子10は、突入電流を抑制する役割をするNTCサーミスタと、サージ電圧を遮断する役割をするバリスタであることができる。
【0037】
セラミックケース20には、図2図3aおよび図3bに示すように、半製品状態の素子10の発熱体11が収容される収容凹部21と、セラミックケース20の外部へと半製品状態の素子10のリード15の引き出すようにガイドするガイド凹部23とが形成される。
【0038】
収容凹部21は、セラミックケース20の上面が開放された状態で備えられ、上述したように、半製品状態の素子10の発熱体11が収容される。すなわち、セラミックケース20は、収容凹部21を画する複数の壁を含む。
【0039】
ガイド凹部23は、収容凹部21が形成されたセラミックケース20の一側壁に形成される。このようなガイド凹部23が形成されたセラミックケース20の一側壁の厚さ(D2)は、図示したように、他の側壁の厚さ(D1)より厚く形成される。
【0040】
充填材30は、図4に示すように、セラミックケース20の収容凹部21とガイド凹部23へと、半製品状態の素子10を収容させた後に充填される。このような充填材30は、セラミックケース20の放熱特性を増進できるように充填用セメント(Cement)を材質としてなるものであり得る。
【0041】
以下、図5を参照して、本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子の製造方法について説明する。
【0042】
図1及び図5に示すように、まず、半製品状態の素子10、すなわち、ディスク形状のNTCサーミスタまたはバリスタの素子を製造する。ここで、半製品状態の素子10は、セラミック胴体12の両端に電極13を形成して発熱体11を作り、この発熱体11の両端に、リード15を延長させるように、はんだ付けすることによって製造される(S120)。
【0043】
上記のように半製品状態の素子10を製造するとともに、図2及び図5に示すように、収容凹部21とガイド凹部23が形成されるセラミックケース20を製造する。このようなセラミックケース20の製造は、射出成形により収容凹部21とガイド凹部23とが形成されたセラミックケース20を作り、収容凹部21とガイド凹部23とが形成されたセラミックケース20に製品番号といったものをマーキングし、マーキングされた部分を乾燥させ、乾燥後にセラミックケースを整列させるという過程によってなされる(S110)。
【0044】
上記のように半製品状態の素子とセラミックケース20が完成された後には、図3a、図3b及び図5に示すように、セラミックケース20の収容凹部21とガイド凹部23に半製品状態の素子10を収容させる。すなわち、セラミックケース20の収容凹部21にディスク形状の発熱体11を収容させ、この発熱体11から延長されるリード15をセラミックケース20の外部に引き出すようにガイド凹部23を通してガイドする(S130)。
【0045】
次に、半製品状態の素子10をセラミックケース20に収容させた後、図4および図5に示すように充填用セメントを材質としてなる充填材30を充填させる。ここで、充填用セメントの材質の充填材30は、セラミックケース20の放熱特性を増進させることができる(S140)。
【0046】
その後、セラミックケース20に充填された充填材30を自然状態、すなわち、常温で乾燥させ、加熱装置(図示せず)を介して再び乾燥させる(S150)。
【0047】
そして、充填材30を乾燥させた後には、セラミックケース20の外部に引き出されたリード15を、必要な大きさに切断する(S160)。
【0048】
その後、セラミック放熱構造の回路保護用素子について、抵抗値検査、外観検査および信頼性と出荷検査といった品質検査を行う(S170)。
【0049】
一方、上記の製造方法によってセラミック放熱構造の回路保護用素子10が完成した後には、この完成された素子を図6に示すように印刷回路基板1に取り付ける。完成された素子を印刷回路基板1に取り付けることは、印刷回路基板1に形成される貫通孔に素子10のリードを貫通させて曲げた後、印刷回路基板1の裏面にて、はんだ付けするという過程により行われる。
【0050】
ここで、セラミックケース20のガイド凹部23が形成された一側壁の厚さ(D2)は、上述したように、他の側壁の厚さ(D1)よりも、ある程度だけ大きい厚さを有する。
【0051】
すなわち、本発明の一実施形態において、印刷回路基板1に完成された回路保護用素子のリードが、はんだ付けされるはんだ付けポイントは、セラミックケース20の内部に収容された発熱体11から、従来のものより一定距離だけ、さらに離隔される。したがって、本発明の一実施形態においては、印刷回路基板のはんだ付けポイントが、発熱体から従来のものより離隔されるので、放熱において効率的である。
【0052】
また、下記表1は、抵抗値が一定である場合に、発熱体11の直径の大きさに応じて、従来のNTCサーミスタと、本発明の一実施形態のNTCサーミスタ、すなわち、セラミックケース20に半製品の素子10を収容させた状態で充填材30を充填させたNTCサーミスタとについて、発熱体11と、はんだ付けポイントで測定される温度値を比較したデータである。
【0053】
【表1】
【0054】
前記表1に示すように、収容凹部21とガイド凹部23が形成されたセラミックケース20に半製品の素子10を収容させた状態で充填材30を充填させる本発明のセラミック放熱構造の回路保護用素子であると、9mmの直径であるときの温度が、従来の回路保護用素子の15mmの直径であるときと類似する温度値が測定される。
【0055】
すなわち、本発明の一実施形態においては、従来より放熱効果において効率的であることが分かる。
【0056】
したがって、本発明の一実施形態においては、セラミックケースに半製品のNTCサーミスタまたはバリスタを収容させ、充填用セメントを材質とする充填材を充填させることにより、セラミックケースに、小さい直径を有するNTCサーミスタまたはバリスタの発熱体を収容させても、大きい直径を有する従来の発熱体に類似する放熱効果を備えることができる。
【0057】
また、本発明の一実施形態においては、上述のように、小さい直径を有する発熱体が、従来の大きい直径を有する発熱体に類似する放熱効果を備えるので、原価を節減することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6