(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機により圧縮された圧縮空気と燃料を混合して燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記圧縮機と接続され、前記燃焼ガスにより回転動力を得るタービンと、前記圧縮機から抽気した圧縮空気を冷却空気としてタービンに供給する抽気配管と、を有するガスタービンと、
前記圧縮機とは異なる別置圧縮機と、前記別置圧縮機を回転させる原動機と、前記別置圧縮機と前記抽気配管とを接続し、前記抽気配管に前記別置圧縮機で圧縮された補助圧縮空気を供給する補助圧縮空気配管と、を有する補助圧縮空気供給装置と、を備え、
前記ガスタービンは、前記抽気配管に接続された冷却空気を冷却する冷却装置を備え、
前記補助圧縮空気配管は、前記抽気配管のうち前記冷却装置と前記圧縮機の間の抽気配管に接続されることを特徴とするガスタービンプラント。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
図1は、本発明にかかる第1実施形態によるガスタービンプラントの概略構成図である。
図2は、第1実施形態に係るガスタービンの一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、ガスタービンプラント100は、ガスタービン102と、発電機104と、補助圧縮空気供給装置106と、制御装置108と、を有する。制御装置108は、ガスタービンプラント100の各部の運転を制御する。ガスタービンプラント100は、図示しないガスタービン102から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置等、ガスタービンプラントが備えている各種構成を備えていてもよい。また、本実施形態のガスタービンプラント100は、ガスタービン102がタービン建屋110に配置され、発電機104がタービン建屋110に配置され、補助圧縮空気供給装置106が別置建屋112に配置されている。タービン建屋110と別置建屋112のそれぞれに配置されたガスタービンプラント100の各部は、圧縮空気が流れる配管で接続されている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、ガスタービン102は、圧縮機1と、車室2と、燃焼器3と、タービン4と、TCA(Turbine Cooling Air)ライン5と、タービン軸7と、TCAクーラ8と、TCAフィルタ9と、を有する。圧縮機1、燃焼器3及びタービン4は、タービン軸7の軸心CLに沿って、圧縮空気または燃焼ガスの流れ方向の上流側から下流側に向かって順に並設されている。ガスタービン102は、圧縮機1と、車室2と、燃焼器3と、タービン4と、TCAライン5の一部と、タービン軸7と、がタービン建屋110内に配置されている。また、ガスタービン102は、TCAライン5の一部と、TCAクーラ8と、TCAフィルタ9と、がタービン建屋110外に配置されている。
【0019】
圧縮機1は、空気を圧縮して圧縮空気とするものである。圧縮機1は、空気を取り込む空気取入口11を有した圧縮機ケーシング12内に配置され、複数段の圧縮機静翼13及び複数段の圧縮機動翼14が設けられている。各段の圧縮機静翼13は、圧縮機ケーシング12に取り付けられて周方向に複数環状に配置され、各段の圧縮機動翼14は、タービン軸7に取り付けられて周方向に複数環状に配置されている。これら複数段の圧縮機静翼13と複数段の圧縮機動翼14とは、軸方向に沿って交互に設けられている。
【0020】
車室2は、いわゆる燃兼圧車室であり、圧縮機1の最終段、つまり圧縮機1の最もタービン4側の部分と繋がっている。また、車室2は、TCAライン5と接続されている。車室2内において、圧縮機1から流入された圧縮空気が燃焼器3に供給され、一部の圧縮空気がTCAライン5に供給される。
【0021】
燃焼器3は、圧縮機1で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給することで、高温・高圧の燃焼ガスを生成するものである。燃焼器3は、例えば、圧縮空気と燃料を混合して燃焼させる内筒と、内筒から燃焼ガスをタービン4に導く尾筒と、内筒の外周を覆い、圧縮機1からの圧縮空気を内筒に導く外筒とを有している。燃焼器3は、車室2内に配置され、周方向に複数配置されている。
【0022】
タービン4は、燃焼器3で生成された燃焼ガスにより回転動力を生じるものである。タービン4には、タービンケーシング31内に配置され、複数段のタービン静翼32及び複数段のタービン動翼33が設けられている。各段のタービン静翼32は、タービンケーシング31に取り付けられて周方向に複数環状に配置され、各段のタービン動翼33は、タービン軸7の軸心CLを中心とした円盤状のディスクの外周に固定されて周方向に複数環状に配置されている。これら複数段のタービン静翼32と複数段のタービン動翼33とは、軸方向に沿って複数交互に設けられている。タービンケーシング31の軸方向の下流側には、タービン4に連続するディフューザ部を内部に有した排気室34が設けられている。
【0023】
TCAライン5は、車室2と接続し、他方の端部がタービン4のロータ(回転部)内に形成された空間と接続している。TCAライン5は、経路中にTCAクーラ8とTCAフィルタ9が設けられている。TCAライン5は、車室2とTCAクーラ8とを接続する抽気配管5aと、TCAクーラ8を通過した圧縮空気(冷却空気)をタービン4のロータに送る抽気配管5bと、を有する。
【0024】
TCAクーラ8は、TCAライン5に設けられた熱交換器である。TCAクーラ8は、抽気配管5aから供給される圧縮空気と冷媒とを熱交換させ、圧縮空気の温度を低下させ、熱交換後の圧縮空気(冷却空気)を抽気配管5bに排出する。TCAフィルタ9は、抽気配管5b、つまり圧縮空気の流れ方向において、TCAクーラ8の下流側に配置されている。TCAフィルタ9は、圧縮空気中に含まれる異物を捕集する。
【0025】
上述したように、TCAクーラ8とTCAフィルタ9は、タービン建屋110外に配置されている。このため、TCAライン5の抽気配管5a、5bは、一部がタービン建屋110の外に引き出されてTCAクーラ8に接続されている。
【0026】
発電機104は、駆動軸105を介してタービン軸7に接続されている。発電機104は、駆動軸105がタービン軸7とともに回転することで、タービン軸7の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0027】
補助圧縮空気供給装置106は、別置圧縮機50と、原動機52と、補助圧縮空気配管54と、制御弁56と、熱交換器58と、ブロー配管60と、ブロー制御弁62と、バイパス配管64と、バイパス制御弁66と、第1計測部68と、第2計測部69と、制御部70と、を有する。補助圧縮空気供給装置106の各部は、別置建屋112に配置されている。
【0028】
別置圧縮機50は、圧縮機1とは別に設けられた圧縮機である。別置圧縮機50は、例えば、多段遠心圧縮機を用いることができる。
【0029】
原動機52は、駆動軸72で別置圧縮機50と接続されている。原動機52は、駆動軸72を回転させることで、別置圧縮機50のロータを回転させ、別置圧縮機50を駆動させる。原動機52は、燃料を燃焼して別置圧縮機50を回転させる原動機を用いることが好ましい。原動機52は、例えば、ガスエンジン、ガソリンエンジン等の化石燃料を燃焼させる原動機を用いることができる。
【0030】
補助圧縮空気配管54は、一方の端部が別置圧縮機50と接続し、他方の端部がTCAライン5aと接続している。補助圧縮空気配管54は、別置建屋112の中にある補助圧縮空気配管54aと、別置建屋112の外にある補助圧縮空気配管54bと、を有する。補助圧縮空気配管54は、圧縮機50により圧縮された空気である補助圧縮空気をTCAライン5aに送出する。
【0031】
制御弁56は、補助圧縮空気配管54に設けられている。制御弁56は、開閉を切り換えることで、別置圧縮機50により圧縮された空気である補助圧縮空気をTCAライン5aに送出する状態と停止する状態とを切り換えることができる弁である。また、制御弁56は、開度を調整な流量調整弁でもよい。制御弁56に流量調整弁を用いることで、補助圧縮空気配管54を流れ、TCAライン5aに供給する圧縮空気の流量を調整することができる。また、補助圧縮空気供給装置106は、機能が異なる複数の制御弁56を複数設けてもよい。
【0032】
熱交換器58は、補助圧縮空気の流れ方向において、制御弁56よりも上流側の補助圧縮空気配管54に配置されている。熱交換器58は、原動機52から排出される排ガス供給流路74を有し、排ガス供給流路74を流れる排ガスを熱媒として、排ガスと補助圧縮空気との間で熱交換を行い、補助圧縮空気の温度を上昇させる。なお、熱交換器58は、補助圧縮空気の温度を上昇できればよく、排ガス以外の流体を熱媒として用いてもよい。
【0033】
ブロー配管60は、一方の端部が補助圧縮空気の流れ方向において、熱交換器58よりも下流側で制御弁56よりも上流側の部分の補助圧縮空気配管54と接続し、他方の端部が大気に開放されている。ブロー制御弁62は、ブロー配管60に配置されている。ブロー制御弁62は、開閉を切り換えることができる開閉弁である。補助圧縮空気供給装置106は、補助圧縮空気配管54にブロー配管60及びブロー制御弁62を設けることで、ブロー制御弁60の開閉を切り換えることで、補助圧縮空気配管54を流れる補助圧縮空気をブロー配管60から大気に排出する状態と、排出しない状態とを切り換えることができる。
【0034】
バイパス配管64は、一方の端部が補助圧縮空気の流れ方向において、熱交換器58よりも上流側の部分の補助圧縮空気配管54と接続し、他方の端部が補助圧縮空気の流れ方向において、熱交換器58よりも下流側でブロー配管60との接続部分よりも上流側の部分の補助圧縮空気配管54と接続している。つまり、バイパス制御弁66は、補助圧縮空気配管54を流れる補助圧縮空気が熱交換器58をバイパスする配管となる。バイパス制御弁66は、バイパス配管64に配置されている。バイパス制御弁66は、流量調整弁であり、開度を調整することで、熱交換器58を通過する圧縮空気と熱交換器58をバイパスする圧縮空気との割合を調整する。
【0035】
第1計測部68は、別置圧縮機50と熱交換器58との間の部分の補助圧縮空気配管54に配置されている。第1計測部68は、別置圧縮機50から排出された補助圧縮空気の状態を計測する。第2計測部69は、バイパス配管64との接続部と制御弁56との間の部分の補助圧縮空気配管54に配置されている。第2計測部69は、補助圧縮空気配管54を流れ、熱交換器58を通過した補助圧縮空気とバイパス配管64を通過した圧縮空気とが合流した後の補助圧縮空気の状態を計測する。第1計測部68と第2計測部69は、補助圧縮空気の状態として、温度及び圧力を計測する。
【0036】
制御部70は、制御装置108からの指令や第1計測部68、第2計測部69の計測結果に基づいて、補助圧縮空気供給装置106の各部、具体的には原動機52、制御弁56、ブロー制御弁62、バイパス制御弁66の各部の動作を制御する。
【0037】
次に、
図1及び
図2に加え、
図3A及び
図3Bを用いて、ガスタービンプラント100の運転について説明する。
図3A及び
図3Bは、それぞれ、第1実施形態に係るガスタービンプラントの動作の一例を説明する説明図である。
図3Aは、補助圧縮空気供給装置106の停止状態におけるガスタービンプラントの動作を示している。
図3Bは、補助圧縮空気供給装置106の稼動状態におけるガスタービンプラントの動作を示している。
【0038】
まず、
図3Aを用いて、補助圧縮空気供給装置106が停止状態である場合のガスタービンプラント100の動作について説明する。
図3Aに示すガスタービンプラント100は、制御弁56が閉じられている。ガスタービンプラント100は、タービン軸7を回転させると、圧縮機1の空気取入口11から空気が取り込まれる。圧縮機1に取り込まれた空気は、複数段の圧縮機静翼13と複数段の圧縮機動翼14を通過することにより圧縮されることで、高温・高圧の圧縮空気となる。圧縮機1で生成された圧縮空気130は、車室2に流入して、一部の圧縮空気132が燃焼器3に供給される。また、圧縮空気130の一部の圧縮空気134は、車室2から抽気配管5aに供給される。
【0039】
ガスタービンプラント100は、燃焼器3で圧縮空気132に燃料を混合させて、燃料を燃焼させることで燃焼ガスを生成する。ガスタービンプラント100は、燃焼ガスがタービン4の複数段のタービン静翼32と複数段のタービン動翼33とを通過することでタービン軸7が回転駆動する。ガスタービンプラント100は、タービン軸7が回転し、タービン軸7と一体で駆動軸105が回転することで、発電機104が発電を行う。また、タービン軸7を回転駆動した後の燃焼ガスは、排気室34から系外に排出される。
【0040】
また、圧縮機1で圧縮された圧縮空気130のうち、抽気配管5aに供給される圧縮空気134は、TCAクーラ8を通過して冷却され、TCAフィルタ9で異物が除去される。そして、圧縮空気134は、タービン4のロータ、つまり、タービン軸7やタービン動翼33に供給され、タービン軸7やタービン動翼33を冷却する。
【0041】
ここで、大気温度が上昇すると空気の密度が小さくなり、圧縮機1により取り込まれる空気の質量流量が減少するため、ガスタービン出力が低下する。本実施形態のガスタービンプラント100では、ガスタービン102が定格で運転しているときに、上記の理由により低下したガスタービン出力を増加させるために、補助圧縮空気供給装置106を起動させる。
【0042】
補助圧縮空気供給装置106が起動すると、制御部70は、原動機52を駆動させて、別置圧縮機50により圧縮空気を生成させる。このとき、制御部70は、制御弁56を閉とし、ブロー制御弁62を開とする。駆動時に別置圧縮機50から排出される補助圧縮空気は、所定の圧力よりも圧力が低く、温度も低い状態のため、ブロー配管60から外部に排出される。また、制御部70は、バイパス制御弁66の開度を調整し、熱交換器58を通過する補助圧縮空気の流量を調整する。
【0043】
制御部70は、第2計測部69で計測した補助圧縮空気の状態が所定の条件になると制御弁56を開く。この所定の条件としては、例えば、補助圧縮空気の圧力が車室2に流入されている圧縮空気132の圧力よりも高い値であり、補助圧縮空気の温度が車室2に流入されている圧縮空気130の温度に近い値である。制御弁56が開くことで、補助圧縮空気供給装置106からガスタービン102に補助圧縮空気の供給が開始する。
【0044】
ガスタービンプラント100は、制御弁56を開くことで、
図3Bに示すように、補助圧縮空気供給装置106から補助圧縮空気配管54aが接続された抽気配管5aに補助圧縮空気140を供給する。ガスタービンプラント100は、補助圧縮空気140が供給されることで、補助圧縮空気供給装置106の停止状態に比べて、圧縮機1で生成した圧縮空気130のうち、車室2から抽気配管5aに供給される圧縮空気134が減り、燃焼器3に供給される圧縮空気132aが増加する。これにより、ガスタービンプラント100は、圧縮機1で生成した圧縮空気130をより多く燃焼器3に供給することができ、燃焼器3で生成される燃料ガスの流量をより多くすることができる。したがって、ガスタービンプラント100は、ガスタービン出力を増加させることができ、発電量を増加させることができる。また、補助圧縮空気供給装置106から供給される補助圧縮空気140は冷却空気としてガスタービン102に供給されるので、ガスタービン102の各部を適切に冷却することができる。
【0045】
このように、本実施形態のガスタービンプラント100は、ガスタービン102に圧縮機1で生成された圧縮空気130とは別の圧縮空気である補助圧縮空気140を供給できる別置圧縮機50を有した補助圧縮空気供給装置106を備えている。このため、ガスタービンプラント100は、圧縮機1により圧縮された圧縮空気130と別置圧縮機50により圧縮された補助圧縮空気140の圧縮空気を用いて、ガスタービン出力を増加させることができる。
【0046】
また、本実施形態のガスタービンプラント100は、補助圧縮空気供給装置106から供給される補助圧縮空気140をタービン4のロータを冷却する冷却空気として用いることで、圧縮機1で生成した圧縮空気130のうち、タービン4のロータを冷却する冷却空気に用いる圧縮空気量を減少させる又は無くすことができる。これにより、圧縮機1で生成した圧縮空気130から燃焼器3に供給する圧縮空気の流量を増加させつつ、タービン4のロータの冷却用の冷却空気を確保することができる。
【0047】
ガスタービンプラント100は、別置圧縮機50により圧縮された補助圧縮空気140が流れる補助圧縮空気配管54をTCAライン5に接続している。具体的には、補助圧縮空気配管54が車室2から抽気された圧縮空気(冷却空気)をTCAクーラ8に送出する抽気配管5aに接続されている。すなわち、補助圧縮空気供給装置106から供給される補助圧縮空気140は、TCAクーラ8やTCAフィルタ9を有するTCAライン5を通って、ガスタービン102に供給され、タービン4のロータを冷却する冷却空気として利用される。
【0048】
これにより、例えば、従来技術のように補助圧縮空気を車室(燃兼圧車室)に供給する構造の場合に比べて、本実施形態のガスタービンプラント100は、燃焼器3に供給される圧縮空気の変化を抑制することができる。つまり、補助圧縮空気と圧縮空気が混合して燃焼器3に供給されることで、燃焼器3における燃焼状態にばらつきが生じることを抑制することができる。このため、補助圧縮空気と圧縮空気の温度差によって燃焼用空気密度の偏りが発生し、燃焼器毎に燃焼状態が異なることを抑制することができる。したがって、排気室34に流れる燃焼ガス温度の偏差が大きくなることで生じるインターロックによる運転制限や燃焼ガス温度の偏差によるタービン内部での燃焼ガス流れの不均一によるタービン部品への悪影響を抑制することができる。
【0049】
さらに、従来技術のように補助圧縮空気を車室に供給する場合では、マニホールド等を設けて補助圧縮空気を車室の周方向の複数の位置から供給する構造が考えられる。しかしながら、この構造では、車室周りに十分にスペースがないため、既存配管を避けるような構造になり複雑な形状のマニホールドを設ける必要がある。これに対して、本実施形態のガスタービンプラント100は、タービン建屋110外に配置された抽気配管5aに補助圧縮空気配管54bを接続する構造であるため、補助圧縮空気を供給する構造を簡素化することができる。
【0050】
また、本実施形態のガスタービンプラント100は、圧縮機1で生成した圧縮空気130と補助圧縮空供給装置106から供給される補助圧縮空気140の温度差を小さくすることで、抽気配管5aに熱応力が発生することを抑制することができる。また、本実施形態のガスタービンプラント100は、TCAクーラ8の上流側に補助圧縮空気140を供給する補助圧縮空気配管54bを接続する構造にすることで、圧縮空気134を冷却空気に用いた場合と補助圧縮空気140を冷却空気に用いた場合とで、タービン4のロータに供給される冷却空気の変化を少なくすることができる。このため、補助圧縮空気140をタービン4のロータの冷却空気として用いても、圧縮空気134を冷却空気とした場合と同様の冷却効果を得ることができる。
【0051】
本実施形態のガスタービンプラント100は、制御部70により、補助圧縮空気140が圧縮機1から車室2に供給される圧縮空気132の圧力よりも高くなると、補助圧縮空気140の供給を開始する。このため、圧縮空気134が流れる抽気配管5aに制御弁を設けなくても、供給される補助圧縮空気140は抽気配管5aに流入し、TCAクーラ8に向けて流れるようになる。また、予期せぬ現象で補助圧縮空気供給装置106から補助圧縮空気140の供給が停止した場合でも、圧縮機1で生成された圧縮空気134が抽気配管5aに流入するため、タービン4のロータの冷却を適切に維持することができる。
【0052】
ここで、上述の実施形態のガスタービンプラント100は、補助圧縮空気供給装置106を備えていない既設のガスタービンプラントに、補助圧縮空気供給装置106を設置する改良を行うことでも実現することができる。
【0053】
以下、
図4Aから
図4Cを用いて、改良方法の一例を説明する。
図4Aから
図4Cは、それぞれ既設ガスタービンプラントの改良方法の一例を示す概略構成図である。既設ガスタービンプラント200は、
図4Aに示すように、ガスタービン102と発電機104とを有する。ガスタービン102と発電機104は、上述したガスタービンプラント100と同様の各部を備えているが説明は省略する。また、ガスタービンプラント200は、制御装置等も備えている。既設ガスタービンプラント200の圧縮機1、タービン4、発電機104等は、タービン建屋110に設置されている。また、TCAクーラ8と、TCAフィルタ9とそれに接続するTCAライン5の一部は、タービン建屋110の外に設置されている。TCAクーラ8及びTCAフィルタ9がタービン建屋110の外に設置されており、圧縮機1とTCAクーラ8とを接続する抽気配管5aと、TCAクーラ8とタービン4とを接続する抽気配管5bとがタービン建屋110の中からタービン建屋110の外に延びている。
【0054】
既設ガスタービンプラント200を改良する場合、
図4Bに示す既設ガスタービンプラント200aのように、タービン建屋110の外に補助圧縮空気供給装置106の別置圧縮機50と、原動機52と、補助圧縮空気配管54aと、制御弁56と、熱交換器58とを設置する。さらに、ブロー配管60と、ブロー制御弁62と、バイパス配管64と、バイパス制御弁66と、第1計測部68と、第2計測部69と、制御部70と、をさらに設置してもよい。つまり、補助圧縮空気供給装置106の補助圧縮空気配管54b以外を設置する。また、本実施形態において、別置圧縮機50と、原動機52と、補助圧縮空気配管54aと、制御弁56と、熱交換器58とを別置建屋112内に設置する。
【0055】
既設ガスタービンプラント200aに示すように、別置圧縮機50と、原動機52と、補助圧縮空気配管54aと、制御弁56と、熱交換器58とを設置した後、ガスタービン102の運転が停止状態のきに、補助圧縮空気配管54bをタービン建屋110の外に配置された抽気配管5aに接続する。これにより、
図4Cに示す既設ガスタービンプラント200bのように、補助圧縮空気供給装置106がガスタービン102に接続することができ、既設ガスタービンプラント200に補助圧縮空気供給装置106が設ける改良を実現することができる。
【0056】
本実施形態の既設ガスタービンプラントの改良方法は、補助圧縮空気供給装置106をタービン建屋110の外に設けることで、既設ガスタービンプラントの運転中に、補助圧縮空気供給装置106の各部を設置することができる。また、既設ガスタービンプラントの改良方法は、補助圧縮空気配管54を抽気配管5bに接続する作業以外は、ガスタービンを停止させずに行うことができる。これにより、改良の作業中もガスタービンプラントの運転を継続することができる。また、ガスタービンを止めて行う作業を少なくできるため、ガスタービンプラントの定期点検の期間中に改良を行うことができ、ガスタービンプラントの操業に与える影響を少なくしつつ、改良を行うことができる。
【0057】
また、既設ガスタービンプラントの改良方法は、補助圧縮空気供給装置106から圧縮空気を供給する配管をTCAラインに設置するため、タービン建屋110の外に配置された部分に配管を設置することができる。このように、抽気配管5aは建屋外に存在するため、補助圧縮空気供給装置106の補助圧縮空気配管54を抽気配管5aに接続する際に、補助圧縮空気供給装置106の一部をタービン建屋110内へと持ち運んで作業する必要はない。これにより、作業者が補助圧縮空気供給装置106をタービン建屋110内へ運び込む手間が省け、作業の簡素化及び高効率化が可能となる。
【0058】
ここで、第1実施形態のガスタービンプラント100は、補助圧縮空気140を、タービン4を冷却するロータ冷却空気として用いることで、補助圧縮空気140をタービン4のロータの冷却空気として用いても、圧縮空気134を冷却空気とした場合と同様の冷却効果を得ることができるが、本発明はこれに限定されない。ガスタービンプラントは、補助圧縮空気を他の冷却空気として用いてもよい。
【0059】
図5は、第2実施形態に係るガスタービンプラントの一例を示す概略構成図である。
図6は、第2実施形態に係るガスタービンと補助圧縮空気供給装置の一例を示す概略構成図である。
図5に示すガスタービンプラント100aは、ガスタービン102aと、発電機104と、補助圧縮空気供給装置106aと、制御装置108と、を有する。発電機104と、制御装置108は、ガスタービンプラント100と同様の構造であるので、説明を省略する。
【0060】
ガスタービン102aは、ガスタービン102と同様の構造であり、圧縮機1と、車室2と、燃焼器3と、タービン4と、TCA(Turbine Cooling Air)ライン5と、タービン軸7と、TCAクーラ8と、TCAフィルタ9と、を有する。また、ガスタービン102aは、タービン翼冷却機構6をさらに備える。なお、ガスタービン102もタービン翼冷却機構6を備えていてもよい。
【0061】
タービン翼冷却機構6は、圧縮機1の途中段の圧縮空気を抽気し、抽気した圧縮空気をタービン4の翼環及び静翼に供給し、各部を冷却する。タービン翼冷却機構6は、圧縮機1の3つの途中段で圧縮空気を抽気し、それぞれの圧縮空気でタービン4の別々の段の静翼を冷却する。
【0062】
タービン冷却機構6は、抽気配管202a、202b、202cと、逆止弁204a、204b、204cと、を有する。抽気配管202a、202b、202cは、一方の端部が圧縮機1に接続され、他方の端部がタービン4に接続されている。抽気配管202aは、抽気配管202bよりも高圧の圧縮空気、燃焼ガスが流れる位置に接続されている。抽気配管202bは、抽気配管202cよりも高圧の圧縮空気、燃焼ガスが流れる位置に接続されている。逆止弁204aは、抽気配管202aに設けられている。逆止弁204bは、抽気配管202bに設けられている。逆止弁204cは、抽気配管202cに設けられている。逆止弁204a、204b、204cは、圧縮機1からタービン4に向けて圧縮空気が流れ、タービン4から圧縮機1に向けて圧縮空気が流れないように、圧縮空気の流れを一方向に制限する弁である。タービン冷却機構6は、圧縮機1から抽気した圧縮空気をタービン4に供給し、タービン4の静翼、翼環、ケーシング等を通過させることで、通過する領域の部品を冷却する。タービン冷却機構6からタービン4に供給された圧縮空気は、フィルム空気、シール空気として燃焼ガスが流れる流路に排出されたり、より低圧な領域の冷却空気として別の領域に供給されたりする。
【0063】
補助圧縮空気供給装置106aは、別置圧縮機50と、原動機52と、制御弁56と、供給配管220、222、224と、回収配管226、228、230と、制御弁231と、を有する。補助圧縮空気供給装置106aは、補助圧縮空気供給装置106と同様に、熱交換器58、ブロー配管60及びブロー制御弁62、バイパス配管64及びバイパス制御弁66と、計測部と、制御部等を備えていてもよい。別置圧縮機50と、原動機52と、制御弁56とは、補助圧縮空気供給装置106の各部同様の構造であるので、説明を省略する。
【0064】
補助圧縮空気供給装置106aは、別置圧縮機50で生成した圧縮空気が流れる配管として、供給配管220、222、224と、回収配管226、228、230を有する。供給配管220は、一方の端部が別置圧縮機50と接続し他方の端部が供給配管222及び供給配管224と接続している。供給配管222は、一方の端部が供給配管220と接続し、他方の端部が抽気配管202aと接続している。供給配管224は、一方の端部が供給配管220と接続し、他方の端部が抽気配管202bと接続している。回収配管226は、一方の端部がタービン4と接続し、他方の端部が回収配管230と接続している。回収配管228は、一方の端部がタービン4と接続し、他方の端部が回収配管230と接続している。回収配管230は、一方の端部が回収配管226及び回収配管228と接続し、他方の端部が車室2と接続している。制御弁231は、回収配管230に設けられている。制御弁231は、回収管230に流入した空気を車室2に供給するか否かを切り換える弁である。
【0065】
次に、
図6を用いて、補助圧縮空気が流れる経路について説明する。
図6に示すように、タービン4の複数段のタービン静翼32は、燃焼ガスの流れ方向FGの上流側から順に、第1タービン静翼32aと、第2タービン静翼32bと、第3タービン静翼32cと、第4タービン静翼32dとを含む。タービン静翼32は、外シュラウド51と、外シュラウド51から径方向内側に延びた翼形部53と、翼形部の径方向内側に設けられた内シュラウド(図示していない)とにより一体に形成されている。更に、タービン静翼32は、遮熱環、翼環を介して、タービンケーシング31から支持され、固定側となっている。
【0066】
複数段のタービン動翼33は、複数の分割環52に対向して、径方向の内側にそれぞれ配置されている。各段のタービン動翼33は、各分割環52に対して所定の隙間を空けて離間して設けられており、可動側となっている。複数段のタービン動翼33は、燃焼ガスの流れ方向FGの上流側から順に、第1タービン動翼33aと、第2タービン動翼33bと、第3タービン動翼33cと、第4タービン動翼33dとを含む。
【0067】
このため、複数段のタービン静翼32及び複数段のタービン動翼33は、燃焼ガスの流れ方向FGの上流側から順に、第1タービン静翼32a、第1タービン動翼33a、第2タービン静翼32b、第2タービン動翼33b、第3タービン静翼32c、第3タービン動翼33c、第4タービン静翼32d、第4タービン動翼33dとなるように配置され、それぞれ軸方向に対向するように設けられている。
【0068】
図2に示すように、タービンケーシング31は、その径方向内側に配置され、タービンケーシング31から支持された翼環45を有している。翼環45は、タービン軸7廻りに環状に形成され、周方向及び軸方向に複数に分割されて、タービンケーシング31から支持されている。翼環45の径方向内側には、遮熱環46が配設され、タービン静翼32は、遮熱環46を介して翼環45から支持されている。翼環45の内側には、複数のタービン静翼32と、複数の分割環52とが互いに軸方向に隣接して設けられている。
【0069】
供給配管222は、第1タービン静翼32aの外側シュラウド51a(51)及び第1タービン動翼33aと対面する翼環となる分割環52a(52)に形成された空間に接続している。また、タービン4は、外側シュラウド51a(51)の外側の翼環に形成された空間が、第1タービン静翼32aの外側シュラウド51a及び翼形部53に形成された冷却通路232と繋がっている。また、冷却通路232は、回収流路226と繋がっている。
【0070】
次に、供給配管224は、第2タービン静翼32bの外側シュラウド51b(51)及び第2タービン動翼33bと対面する翼環となる分割環52b(52)に形成された空間に接続している。また、タービン4は、外側シュラウド51b(51)の外側の翼環に形成された空間が、第1タービン静翼32aの外側シュラウド51a及び翼形部53に形成された冷却通路234と繋がっている。また、冷却通路234は、回収流路228と繋がっている。
【0071】
ガスタービンプラント100aは、補助圧縮空気供給装置106aが停止状態である場合、制御弁56及び制御弁231を閉じている。この場合、ガスタービンプラント100aは、タービン冷却機構6で圧縮機1から抽気した圧縮空気をタービン4に供給し、タービン4の各部が冷却する。
【0072】
補助圧縮空気供給装置106aは、補助圧縮空気供給装置106と同様にガスタービン出力を増加させるために稼働される。補助圧縮空気供給装置106aは、補助圧縮空気の状態が所定の条件になると制御弁56及び制御弁231を開く。所定の条件とは、例えば、補助圧縮空気供給装置106aの別置圧縮機50で生成される補助圧縮空気の圧力が供給可能な圧力、つまり、補助圧縮空気の圧力の値がタービン冷却機構6で供給する圧縮空気の圧力がよりも高い値となった場合、制御弁56及び制御弁231を開く。制御弁56及び制御弁231が開くことと、補助圧縮空気供給装置106aから供給配管220、222、224、抽気配管202a、202bを通過してタービン4に補助圧縮空気の供給が開始する。
【0073】
供給配管222から供給された補助圧縮空気は、外側シュラウド51a(51)の外側の翼環に形成された空間を通過した後、第1タービン静翼32aの冷却通路232を通過する。冷却通路232を通過した補助圧縮空気は、回収流路226、回収流路230を通過した後、車室2に流入する。また、供給配管224から供給された補助圧縮空気は、外側シュラウド51b(51)の外側の翼環に形成された空間を通過した後、第2タービン静翼32bの冷却通路234を通過する。冷却通路234を通過した補助圧縮空気は、回収流路228、回収流路230を通過した後、車室2に流入する。また、補助圧縮空気の一部は、圧縮空気と同様に、シール空気、フィルム空気として、燃焼ガスが流れる流路内に排出される。各部を流れ、冷却空気として使用され、回収流路230から車室2に供給された補助圧縮空気は、圧縮機1から排出される圧縮空気とともに燃焼器3に供給される。
【0074】
これにより、ガスタービンプラント100aは、圧縮機1で圧縮した圧縮空気のうち、冷却のために燃焼器3を経由せず、タービン4に供給する補助圧縮空気の流量を少なくすることができる。これにより、圧縮機1で圧縮した圧縮空気をより多く燃焼器に供給することができる。
【0075】
また、本実施形態のガスタービンプラント100aは、別置圧縮機50で必要圧力まで圧縮された補助圧縮空気をタービン4の翼環まで送り込み、補助圧縮空気でタービン翼環を冷却する。さらに、ガスタービンプラント100aは、タービン4の翼環冷却に用いた補助圧縮空気を、第1タービン静翼32a及び第2タービン静翼32bに送り込み、補助圧縮空気で各段のタービン静翼を冷却する。ガスタービンプラント100aは、各タービン静翼を冷却した補助圧縮空気を、各段のタービン静翼の冷却通路に繋がった回収配管232、234を通じて回収し、回収した圧縮空気を燃焼器3に供給し、ガスタービン用燃焼空気として用いる。ガスタービンプラント100aは、補助圧縮空気をタービン翼環及びタービン静翼の冷却に用いることで、圧縮機で圧縮され、タービン静翼に冷却空気として供給される圧縮空気の流量を低減することができ、タービン静翼の内部を通過後に燃焼ガスの流路に流出する圧縮空気の流量を削減できる。また、一部の補助圧縮空気を回収することで、タービン静翼等を流れる圧縮空気をより多くしても効率の低下を抑制することができる。
【0076】
また、ガスタービンプラント100aは、回収配管を流れる補助圧縮空気の圧力を上昇させる圧縮機をさらに別に設けてよい。
【課題】ガスタービンの負担の増大を抑制しつつ、タービン側へと流入するガス流量を増やしてガスタービンの出力を向上させることができるガスタービンプラント及び既設ガスタービンプラントの改良方法を提供する。
【解決手段】空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機が圧縮した圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器と、圧縮機とロータで接続され、燃焼器が生成した燃焼ガスにより回転動力を得るタービンと、圧縮機から抽気した圧縮空気を冷却空気としてタービンに供給する抽気配管と、を有するガスタービンと、圧縮機とは異なる別置圧縮機及び別置圧縮機を回転させる原動機を有する補助圧縮空気供給設備と、別置圧縮機と抽気配管とを接続し、抽気配管に別置圧縮機で圧縮された補助圧縮空気を供給する補助圧縮空気配管と、補助圧縮空気配管に設けられた制御弁と、を有する補助圧縮空気供給装置と、を備える。