(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932130
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】模擬衝撃型岩ハネ実験装置
(51)【国際特許分類】
G01N 3/08 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
G01N3/08
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-502051(P2015-502051)
(86)(22)【出願日】2012年3月31日
(65)【公表番号】特表2015-511711(P2015-511711A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】CN2012073440
(87)【国際公開番号】WO2013143152
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】514248617
【氏名又は名称】中国▲鉱▼▲業▼大学(北京)
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲満▼潮
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼ 雪娜
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 冬▲橋▼
【審査官】
渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−337014(JP,A)
【文献】
特開平10−206303(JP,A)
【文献】
特開2007−333671(JP,A)
【文献】
実開昭62−173035(JP,U)
【文献】
特開2002−195924(JP,A)
【文献】
実開平01−030432(JP,U)
【文献】
米国特許第04444058(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
供試体ケースアセンブリーと、
前記フレーム上に装着されたX軸方向ローディング機構、Y軸方向ローディング機構、及びZ軸方向ローディング機構と、
前記X軸方向ローディング機構、Y軸方向ローディング機構、Z軸方向ローディング機構をそれぞれ制御するための3セットの互いに独立した制御システムと、を備える模擬衝撃型岩ハネ実験装置であって、
前記X軸方向ローディング機構は、
矩形に配置された4本のX方向支柱と、
前記フレーム上に装着され、且つ、前記4本のX方向支柱の一端に固定された第1のX方向枠体と、
前記フレーム上に装着され、前記4本のX方向支柱の他端に固定され、且つ、前記第1のX方向枠体にアライメントされた第2のX方向枠体と、
前記第1のX方向枠体の中央部に固定・装着されたX方向ローディング液圧シリンダと、
前記第2のX方向枠体の中央部に装着され、その中心線と前記X方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線とが同一の直線上に位置し、且つ、その外端部にX方向調整用ハンドホイールが装着され、内端部にX方向センサが装着されたX方向親ねじとを備え、
前記Y軸方向ローディング機構は、
矩形に配置され、且つ、前記フレーム上に装着された4本のY方向支柱と、
前記4本のY方向支柱の一端に固定された第1のY方向枠体と、
前記4本のY方向支柱の他端に固定され、且つ、前記第1のY方向枠体にアライメントされた第2のY方向枠体と、
前記第1のY方向枠体の中央部に固定・装着されたY方向ローディング液圧シリンダと、
前記第2のY方向枠体の中央部に装着され、その中心線と前記Y方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線は同一の直線上に位置し、且つその外端部に操縦輪が装着され、内端部にY方向センサが装着されたY方向親ねじと、を備え、
前記Z軸方向ローディング機構は、
矩形に配置された4本のZ方向支柱と、
前記フレーム上に装着され、且つ、前記4本のZ方向支柱の一端に固定された第1のZ方向枠体と、
前記フレーム上に装着され、前記4本のZ方向支柱の他端に固定され、且つ、前記第1のZ方向枠体にアライメントされた第2のZ方向枠体と、
前記第1のZ方向枠体の中央部に固定・装着されたZ方向ローディング液圧シリンダと、
前記第2のZ方向枠体の中央部に装着され、その中心線と前記Z方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線は同一の直線上に位置し、且つ、その外端部にZ方向調整用ハンドホイールが装着され、内端部にZ方向センサが装着されたZ方向親ねじとを備え、
前記X方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線の延長線と、前記Y方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線の延長線と、前記Z方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線の延長線とは、同一の中心点で交差し、前記供試体ケースアセンブリーは、前記フレーム上に載置され、その中心と前記中心点とが重なり合っていて、
前記供試体ケースアセンブリーは、岩石被検試料を装着するための、12の角からなる直方体形または正方体形の枠体、および6つの圧力板を備え、ここで、
その中の6つの面において、前記6つの圧力板はそれぞれ枠体の6つの窓に対応し、各の圧力板は圧力板本体を備え、前記圧力板本体の前記枠体内部向けの平面がローディング面であり、前記ローディング面と反対側の他の面が当接面であり、前記圧力板のローディング面の寸法は、前記枠体の窓の寸法より小さく、前記各の圧力板の周辺の中点位置からそれぞれ一つの穴付き掛け柄が延伸されており、前記圧力板は、前記穴付き掛け柄および係止体を介して前記枠体上に掛けられることを特徴とする、模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項2】
前記フレーム上に2対のX方向ガイドレールが設けられ、前記第1のX方向枠体の下面に1対の第1のX方向脚部が設けられ、前記第1のX方向脚部の下面にそれぞれ一つの第1のX方向転輪が装着され、前記第2のX方向枠体の下面に1対の第2のX方向脚部が設けられ、前記第2のX方向脚部の下面にそれぞれ一つの第2のX方向転輪が装着され、前記2つの第1のX方向転輪、2つの第2のX方向転輪は、それぞれ前記2対のX方向ガイドレールに配合して動作することを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項3】
前記フレーム上に2対のZ方向ガイドレールが設けられ、前記第1のZ方向枠体の下面に1対の第1のZ方向脚部が設けられ、前記第1のZ方向脚部の下面にそれぞれ一つの第1のZ方向転輪が装着され、前記第2のZ方向枠体の下面に1対の第2のZ方向脚部が設けられ、前記第2のZ方向脚部の下面にそれぞれ一つの第2のZ方向転輪が装着され、前記2つの第1のZ方向転輪、2つの第2のZ方向転輪は、それぞれ前記2対のZ方向ガイドレールに配合して動作することを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項4】
前記フレームは、ベースと、コラムで前記ベース上に支持された水平の作業台とを備え、前記第1のX方向枠体、第2のX方向枠体、4本のY方向支柱、第1のZ方向枠体、第2のZ方向枠体は、いずれも前記作業台上に装着され、前記第2のY方向枠体は、前記作業台とベースとの間の空間内に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項5】
前記Y方向支柱は、垂直方向に沿って配置され、且つ、前記Y方向支柱の下端部は、前記フレームを通り抜け、前記各のY方向支柱の下部には、一つの雌螺が配合され、前記各のY方向支柱の下部には、一つの圧縮バネがスリーブ装着され、前記圧縮バネの上端が前記雌螺に当接し、その下端が前記フレームに当接することを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項6】
前記第2のY方向枠体の側面には、Y方向調整用ハンドホイールが装着され、当該Y方向調整用ハンドホイールと前記操縦輪との間に伝動用チェーンが配合されることを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項7】
前記制御システムは、複数の前記センサと、液圧源と、制御器と、を備え、
ここで、
前記複数のセンサは、岩石被検試料の受けた力、変位または変形量をそれぞれ収集するためのものであり、
前記液圧源は、ポンプ場およびサーボ弁を備え、前記ポンプ場は、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダへ液圧油を提供するためのものであり、前記サーボ弁は、少なくとも一つの調整弁および少なくとも一つの逆転弁を備え、
前記制御器は、前記複数のセンサの収集した信号を受信し、且つ、入力された外乱荷重信号値と比較して差値を得、当該差値により修正調整を行って前記調整弁の開度を制御し、さらに、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダそれぞれの給油量または出油量、および給油スピードまたは出油スピードを制御し、さらに、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダのそれぞれのピストンロッドの移動した変位距離、またはそれぞれ受けた力の大きさを制御し、同時に、前記制御器は、前記逆転弁の逆転を制御して、最終的に前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダのそれぞれのピストンロッドの伸縮した変位距離、またはそれぞれの受けた力の大きさと、前記入力した外乱荷重信号で表現した力、変位または変形量とを一致させることを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項8】
前記当接面の寸法は、前記枠体の窓の寸法より大きいか、または前記枠体の窓の寸法に等しく、前記圧力板本体の上且つ前記ローディング面の外周部に過渡的傾斜面が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項9】
前記供試体ケースアセンブリーは、前記各の圧力板と岩石被検試料との間に設置されるための6つの厚さ1〜2mmの減摩板をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項10】
前記6つの圧力板の一つは、中央貫通孔を備え、前記中央貫通孔が岩石被検試料上の半分孔のポートに対応することを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項11】
中央貫通孔を含む圧力板の当接面の中央部に装着部が設けられ、前記装着部は、透光槽を備え、前記透光槽内にマイクロカメラが装着され、当該マイクロカメラは前記圧力板の中央貫通孔に対向することを特徴とする、請求項9に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項12】
前記6つの圧力板において同一の方向に装着された1対の圧力板は、それぞれ一つの中央貫通孔を備え、前記2つの中央貫通孔は、それぞれ岩石被検試料上の貫通孔の2つのポートに対応することを特徴とする、請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項13】
中央貫通孔を含む1対の圧力板中の一つの圧力板の当接面の中央部に、装着部が設けられ、前記装着部は、透光槽を備え、
前記透光槽内にマイクロカメラが装着され、
中央貫通孔を含む1対の圧力板中の他の一つの圧力板の当接面の中央部に、第2の装着部が設けられ、前記第2の装着部は、第2の透光槽を備え、前記第2の透光槽内に合焦ライトが装着され、前記マイクロカメラおよび合焦ライトは、いずれも前記圧力板の中央貫通孔に対向していることを特徴とする、請求項12に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項14】
前記供試体ケースアセンブリーは、さらに供試体ケース車を備え、当該供試体ケース車は、平板と、当該平板の両側に装着された2対の車輪とを備え、2対の車輪は、前記4本のX方向支柱の下方の2本に配合して動作し、または前記4本のZ方向支柱の下方の2本に配合して動作することを特徴とする、請求項1、8〜13のいずれか1項に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項15】
前記供試体ケース車の平板の中央に、親ねじを垂直方向に透過させるための貫通孔を備えることを特徴とする、請求項14に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項16】
前記供試体ケース車の平板上の貫通孔は円形状になっており、且つ前記貫通孔の直径は、前記垂直方向親ねじの直径より1〜10mm大きいことを特徴とする、請求項15に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項17】
前記供試体ケース車の平板上の貫通孔は矩形状になっており、且つ前記貫通孔の1対の対辺の間の距離は、前記垂直方向親ねじの直径より1〜10mm大きいことを特徴とする、請求項15に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【請求項18】
前記供試体ケース車の平板上の貫通孔の内側縁に、係止枠が装着されており、前記係止枠の1対の対辺の間の距離が前記垂直方向親ねじの直径より1〜10mm大きいことを特徴とする、請求項15に記載の模擬衝撃型岩ハネ実験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深部鉱山工事の岩石力学及び岩盤工事の研究分野に関し、特に、模擬衝撃型岩ハネ実験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉱山、水利や水力発電、鉄道(道路)の交通トンネル等の岩盤工事が深部へ進展するに伴って、岩ハネは、深部坑井における非常に危険な災害現象として、より頻繁に発生してしまうようになってきた。岩ハネは、突発性、猛烈性を持っており、爆発によって打ち出された岩石のかけらは、大量のエネルギーを持っているため、設備及び人員に脅威をもたらすだけでなく、深刻な場合には生命を脅かすこともある。
【0003】
周知のように、爆破は、現在大規模な水利、トンネル、鉱山工事、原子力発電工事での岩盤掘削において不可欠な手段となっている。爆薬が岩盤中で爆発する際、瞬時に大量の爆発エネルギーを放出し、爆発の衝撃波及び応力波を生じ、動荷重の形で周辺の岩盤に作用して、周辺の岩盤に破砕や損傷を生じさせ、ひいては岩ハネを発生させる。現在、岩石被検試料の実験に用いられている実験装置は、剛性に乏しい場合が多く、実験の過程において、X、Y、Z方向に作用力の荷重を垂直にかけることを精密に確保することができないため、岩ハネ現象を誘導し難しくなり、且つ岩ハネのメカニズムの分析、研究に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101718660号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術に存在する上述した欠点を解決するためになされ、剛性が良好な模擬衝撃型岩ハネ実験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、以下の技術案により達成される。
【0007】
本発明に係る模擬衝撃型岩ハネ実験装置は、フレームと、供試体ケースアセンブリーと、前記フレーム上に装着されたX軸方向ローディング機構、Y軸方向ローディング機構およびZ軸方向ローディング機構と、前記のX軸方向ローディング機構、Y軸方向ローディング機構およびZ軸方向ローディング機構をそれぞれ制御するための3セットの制御システムとを備える。ここで、前記X軸方向ローディング機構は、4本のX方向支柱と、第1のX方向枠体と、第2のX方向枠体と、X方向ローディング液圧シリンダと、X方向親ねじと、を備える。4本のX方向支柱は矩形に配置される。第1のX方向枠体は前記フレーム上に装着され、且つ、前記4本のX方向支柱の一端に固定される。第2のX方向枠体は前記フレーム上に装着されると共に、前記4本のX方向支柱の他端に固定され、且つ、前記第1のX方向枠体にアライメントされている。前記X方向ローディング液圧シリンダは、前記第1のX方向枠体の中央部に固定・装着される。前記X方向親ねじは、前記第2のX方向枠体の中央部に装着され、その中心線と前記X方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線と同一の直線上に位置する。前記X方向親ねじの外端部にはX方向調整用ハンドホイールが装着され、内端部にはX方向センサが装着されている。
【0008】
前記Y軸方向ローディング機構は、4本のY方向支柱と、第1のY方向枠体、第2のY方向枠体と、Y方向ローディング液圧シリンダと、Y方向親ねじと、を備える。4本のY方向支柱は矩形に配置され、且つ、前記フレーム上に装着される。第1のY方向枠体は前記4本のY方向支柱の一端に固定される。第2のY方向枠体は前記4本のY方向支柱の他端に固定され、且つ、前記第1のY方向枠体にアライメントされている。前記Y方向ローディング液圧シリンダは前記第1のY方向枠体の中央部に固定・装着される。前記Y方向親ねじは前記第2のY方向枠体の中央部に装着され、その中心線と前記Y方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線とは同一の直線上に位置する。前記Y方向親ねじの外端部に操縦輪が装着され、内端部にY方向センサが装着されている。
【0009】
前記Z軸方向ローディング機構は、4本のZ方向支柱と、第1のZ方向枠体と、第2のZ方向枠体と、Z方向ローディング液圧シリンダと、Z方向親ねじとを備える。前記4本のZ方向支柱は矩形に配置される。前記第1のZ方向枠体は前記フレーム上に装着され、且つ、前記4本のZ方向支柱の一端に固定される。前記第2のZ方向枠体は前記フレーム上に装着され、且つ、前記4本のZ方向支柱の他端に固定されて、前記第1のZ方向枠体にアライメントされている。前記Z方向ローディング液圧シリンダは、前記第1のZ方向枠体の中央部に固定・装着される。また、前記Z方向親ねじは前記第2のZ方向枠体の中央部に装着され、その中心線と前記Z方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線とは同一の直線上に位置する。前記Z方向親ねじの外端部にはZ方向調整用ハンドホイールが装着され、内端部にはZ方向センサが装着される。
【0010】
前記X方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線の延長線と、前記Y方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線の延長線と、前記Z方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの中心線の延長線とは、同一の中心点で交差する。また、前記供試体ケースアセンブリーは、前記フレーム上に載置され、その中心と前記中心点とが重なり合っている。
【0011】
前記フレーム上には2対のX方向ガイドレールが設けられる。前記第1のX方向枠体の下面に1対の第1のX方向脚部が設けられ、前記の各第1のX方向脚部の下面にそれぞれ一つの第1のX方向転輪が装着される。また、前記第2のX方向枠体の下面に1対の第2のX方向脚部が設けられ、前記の各第2のX方向脚部の下面にそれぞれ一つの第2のX方向転輪が装着される。前記2つの第1のX方向転輪、2つの第2のX方向転輪は、それぞれ前記の2対のX方向ガイドレールに合わせて動作する。
【0012】
前記フレーム上には2対のZ方向ガイドレールが設けられる。前記第1のZ方向枠体の下面に1対の第1のZ方向脚部が設けられ、前記の各第1のZ方向脚部の下面にはそれぞれ一つの第1のZ方向転輪が装着される。また、前記第2のZ方向枠体の下面に1対の第2のZ方向脚部が設けられ、前記の各第2のZ方向脚部の下にそれぞれ一つの第2のZ方向転輪が装着される。前記2つの第1のZ方向転輪、2つの第2のZ方向転輪は、それぞれ前記2対のZ方向ガイドレールに合わせて動作する。
【0013】
前記フレームは、ベースと、コラムにより前記ベース上に支持された水平の作業台とを備え、前記第1のX方向枠体、第2のX方向枠体、4本のY方向支柱、第1のZ方向枠体、第2のZ方向枠体は、いずれも前記作業台上に装着され、前記第2のY方向枠体は、前記作業台と前記ベースとの間の空間内に設置される。
【0014】
前記Y方向支柱は垂直方向に沿って配置され、且つ、前記Y方向支柱の下端部は前記フレームを通り抜け、前記の各Y方向支柱の下部には、それぞれ一つのナット(雌螺)が配合される。また、前記の各Y方向支柱の下部には、一つの圧縮バネがスリーブ装着され、前記圧縮バネの上端が前記ナットに当接し、その下端が前記フレームに当接する。
【0015】
前記第2のY方向枠体の側面には、Y方向調整用ハンドホイールが装着され、当該Y方向調整用ハンドホイールと、前記操縦輪との間には、伝動用チェーンが配合されている。
【0016】
前記制御システムは、複数の前記センサと、液圧源と制御器と、を備え、ここで、複数の前記センサは、それぞれ岩石被検試料の受けた力、変位または変形量を収集するために用いられ、前記液圧源は、ポンプ場およびサーボ弁を備え;前記ポンプ場は、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダに液圧油を提供するために用いられ;前記サーボ弁は、少なくとも一つの調整弁および少なくとも一つの逆転弁を備え、前記制御器は、前記複数のセンサが収集した信号を受信し、且つ、入力した外乱荷重信号と比較して差値を得、当該差値により修正調整を行って、前記調整弁の開度を制御し、さらに、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダの給油量または出油量、および給油スピードまたは出油スピードをそれぞれ制御し、且つ、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダの各ピストンロッドの移動した変位距離、またはそれぞれ受けた力の大きさを制御し、同時に、前記制御器は、前記逆転弁の逆転を制御して、最終的に前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダの各ピストンロッドの伸縮した変位距離、またはそれぞれ受けた力の大きさを、前記入力した外乱荷重信号により表現された力、変位または変形量とに一致させる。
【0017】
前記供試体ケースアセンブリーは、岩石被検試料を装着するための、12の角からなる直方体形または正方体形の枠体、および6つの圧力板を備え、その中の6つの面において、前記6つの圧力板はそれぞれ枠体の6つの窓に対応する。各の圧力板は圧力板本体を備え、前記圧力板本体の前記枠体内部向けの平面がローディング面であり、前記圧力板本体の前記ローディング面と反対側の面が当接面である。また、前記圧力板のローディング面の寸法は、前記枠体の窓の寸法より小さく、前記各圧力板の周辺の中点位置からそれぞれ一つの穴付き掛け柄が延伸されており、前記圧力板は、穴付き掛け柄および係止体を介して前記枠体上に引掛け当接されている。
【0018】
前記当接面の寸法は、前記枠体の窓の寸法より大きくまたは等しくなっている。また、前記圧力板本体上、且つ前記ローディング面の外周部には、過渡的傾斜面が設けられている。
【0019】
前記供試体ケースアセンブリーは、さらに、前記各圧力板と岩石被検試料との間に設置されるための6つの厚さ1〜2mmの減摩板を備える。
【0020】
前記6つの圧力板の一つは、中央貫通孔を備え、前記中央貫通孔は、岩石被検試料上の半分孔のポートに対応する。
【0021】
その中で、中央貫通孔を有する圧力板の当接面の中央部に装着部が設けられ、前記装着部は透光槽を備え、前記透光槽内にマイクロカメラが装着されており、当該マイクロカメラは前記圧力板の中央貫通孔に対向する。
【0022】
前記6つの圧力板において、同一の方向に装着されている1対の圧力板は、それぞれ一つの中央貫通孔を備え、前記2つの中央貫通孔は、それぞれ岩石被検試料上の貫通孔の2つのポートに対応する。
【0023】
その中で、中央貫通孔を有する1対の圧力板における一つの圧力板の当接面の中央部に装着部が設けられ、前記装着部は透光槽を備え、前記透光槽内にマイクロカメラが装着されている。また、中央貫通孔を有する1対の圧力板中の一つの圧力板の当接面の中央部に、第2の装着部が設けられ、前記第2の装着部は第2の透光槽を備え、前記第2の透光槽内に合焦ライトが装着され、前記マイクロカメラおよび合焦ライトは、いずれも前記圧力板の中央貫通孔に対向している。
【0024】
前記供試体ケースアセンブリーは、さらに、供試体ケース車を備え、当該供試体ケース車は、平板と、当該平板の両側に装着された2対の車輪とを備え、2対の車輪は、前記4本のX方向支柱中の下の2本に合わせて動作し、または前記4本のZ方向支柱中の下の2本に合わせて動作する。
【0025】
前記供試体ケース車の平板の中央部に、親ねじが垂直方向において通り抜けるための貫通孔が設けられている。
【0026】
前記供試体ケース車の平板上の貫通孔は円形を呈し、且つ当該貫通孔の直径は、前記垂直方向の親ねじの直径より1〜10mm大きい。
【0027】
前記供試体ケース車の平板上の貫通孔は矩形を呈し、且つ当該貫通孔の1対の対辺の間の距離は、前記垂直方向親ねじの直径より1〜10mm大きい。
【0028】
前記供試体ケース車の平板上における貫通孔の内側縁には、係止枠が装着され、前記係止枠における1対の対辺の間の距離は、前記垂直方向親ねじの直径より1〜10mm大きい。
【発明の効果】
【0029】
上記の技術案から分かるように、本発明に係る模擬衝撃型岩ハネ実験装置の利点および有益な効果は、下記の通りである。
【0030】
本発明の主な構造は、X軸方向ローディング機構、Y軸方向ローディング機構およびZ軸方向ローディング機構を備え、3次元空間で互いに垂直した3つ方向において岩石被検試料へ静荷重応力および外乱荷重を印加することができ、従って、模擬衝撃型岩ハネ実験に用いられることができる。そして、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向における3セットのローディング機構の構成が大体同一であり、優れた対称性を有するため、岩石被検試料の前記3つの方向におけるローディング静荷重応力または外乱荷重の操作がより容易に制御でき、且つ、正確な制御を容易に実現することができる。特に、各ローディング機構は、それぞれ矩形に配置された4本の支柱を備えるため、設備の剛性を大幅に向上させ、3つ方向ローディングの精度をさらに向上させることができる。
【0031】
本発明の前記目的とその他の目的、特徴および利点は、添付図面を参照して説明する下記好ましい実施形態によってより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネ実験装置の構造を模式的に示す図である。
【
図2】
図1に示す模擬衝撃型岩ハネ実験装置の平面図である。
【
図3】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネ実験装置における制御システムの原理図である。
【
図4】本発明の供試体ケースアセンブリーの構造を模式的に示す図である。
【
図5】
図4に示す供試体ケースアセンブリーにおける圧力板の構造を模式的に示す図である。
【
図6】前記供試体ケースアセンブリーにおいて圧力板とフレームとの配合を模式的に示す立体構造図である。
【
図7】本発明の供試体ケースアセンブリーにおける供試体ケース車の構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。なお、本明細書に記載の実施例は、単に例示のためであり、本発明を限定するものではないことに留意すべきである。
【0034】
本発明に係る模擬衝撃型岩ハネ実験装置の実施例において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直して3次元空間を構成し、ここで、X軸方向、Z軸方向が水平方向であり、Y軸方向が垂直方向である。
【0035】
図1および
図2に示すように、本発明に係る模擬衝撃型岩ハネ実験装置は、フレーム100と、供試体ケースアセンブリーと、フレーム100上に装着されたX軸方向ローディング機構、Y軸方向ローディング機構およびZ軸方向ローディング機構と、X軸方向ローディング機構、Y軸方向ローディング機構およびZ軸方向ローディング機構を制御するための制御システムと、動力システムと、を備える。
【0036】
フレーム100は、ベース102と、作業台103とを備える。その中で、ベース102は地面に装着される。作業台103は水平状態になっており、それはコラムまたは支持板を介してベース102上に固定・装着されろ。作業台103とベース102との間には、一定の高さの空間を有する。フレーム100はこのような構成に限らず、従来の他の構成のフレームも本発明に用いられることができる。
【0037】
X軸方向ローディング機構は、4本のX方向支柱11と、第1のX方向枠体12と、第2のX方向枠体13と、X方向ローディング液圧シリンダ14と、X方向親ねじ15と、を備える。ここで、前記4本のX方向支柱11は、水平方向において互いに平行になっており、且つ、矩形に配置されている;前記第1のX方向枠体12は、フレーム100の作業台103上に装着され、且つ、4本のX方向支柱11の一端に固定される;前記第2のX方向枠体13は、フレーム100の作業台103上に装着されると同時に、4本のX方向支柱11の他端に固定され、且つ、前記第1のX方向枠体12にアライメントされている;前記X方向ローディング液圧シリンダ14は、前記第1のX方向枠体12の中央部に固定・装着され、当該X方向ローディング液圧シリンダ14のピストンロッドは、第2のX方向枠体13に向けている;前記X方向親ねじ15は、第2のX方向枠体13の中央部に装着され、その中心線と前記X方向ローディング液圧シリンダ14のピストンロッドの中心線とは同一の直線上に位置し、また、前記X方向親ねじ15の外端部には、X方向親ねじ15を駆動するためのX方向調整用ハンドホイール16が装着され、X方向親ねじ15の内端部には、X方向にローディングした応力(または変形)の値を検知するためのX方向センサ10が装着されている。
【0038】
Y軸方向ローディング機構は、4本のY方向支柱21と、第1のY方向枠体22と、第2のY方向枠体23と、Y方向ローディング液圧シリンダ24と、Y方向親ねじ25と、を備える。ここで、前記4本のY方向支柱21を矩形に配置され、且つ、前記フレーム100の作業台103上に装着される;前記第1のY方向枠体22は、前記4本のY方向支柱21の一端に固定される;前記第2のY方向枠体23は、前記4本のY方向支柱21の他端に固定され、且つ、第1のY方向枠体22にをアライメントされる;前記Y方向ローディング液圧シリンダ24は、前記第1のY方向枠体22の中央部に固定・装着され、当該Y方向ローディング液圧シリンダ24のピストンロッドは、第2のY方向枠体23に向ける;前記Y方向親ねじ25は、第2のY方向枠体23の中央部に装着され、その中心線と前記Y方向ローディング液圧シリンダ24のピストンロッドの中心線とは同一の直線上に位置し、且つ、Y方向親ねじ25の外端部には、Y方向親ねじ25を駆動するための操縦輪26が装着されているが、前記操縦輪26が第2のY方向枠体23の下面に装着されているため、調整がある程度不便になり、従って、第2のY方向枠体23の一側面にY方向調整用ハンドホイール27が装着され、当該Y方向調整用ハンドホイール27と操縦輪26との同士に伝動用チェーンが配合されて、Y方向調整用ハンドホイール27、伝動用チェーンおよび操縦輪26によりY方向親ねじ25を駆動することが非常に便利になる。また、Y方向親ねじ25の内端部には、Y方向においてローディングした応力(または変形)の値を検知するためのY方向センサ20が装着されている。
【0039】
本発明の好ましい実施例において、前記第2のY方向枠体23は、作業台103とベース102との間の空間内に装着され、これにより、設備全体の体積が小さくなるだけでなく、設備全体の重心を低くさせることに役立ち、さらに安定化させることができる。本実施例において、Y方向支柱21の下端部と、フレーム100の作業台103の同士は、半田付け等で固定・結合されてもよいが、両方の間の好ましい結合形態は、次の通りである:即ち、作業台103上に、各のY方向支柱21に応じて、各のY方向支柱21の下端部が通り抜けるための開口が設けられ、各のY方向支柱21の下部にねじ山が設けられ、且つ、一つの雌螺212が配合される。また、前記雌螺212が作業台103上方に位置し、各のY方向支柱21の下部に一つの圧縮バネ211がスリーブ装着されて、圧縮バネ211の上端が前記雌螺212に当接し、その下端がフレーム100に当接する。圧縮バネ211は、優れた衝撃緩衝・吸収効果を奏するだけでなく、雌螺212の調整により前記第1のY方向枠体22を水平状態に維持することもでき、従って、Y方向ローディング液圧シリンダ24が常に垂直の方向において岩石被検試料に荷重を印加することを確保する。
【0040】
Z軸方向ローディング機構は、4本のZ方向支柱31と、第1のZ方向枠体32と、第2のZ方向枠体33と、Z方向ローディング液圧シリンダ34と、Z方向親ねじ35とを備える。ここで、前記4本のZ方向支柱31は、矩形に配置される;前記第1のZ方向枠体32は、フレーム100の作業台103上に装着され、且つ、前記4本のZ方向支柱31の一端に固定される;前記第2のZ方向枠体33は、フレーム100上に装着されると共に、前記4本のZ方向支柱31の他端に固定され、且つ、前記第1のZ方向枠体32にアライメントされる;前記Z方向ローディング液圧シリンダ34は、前記第1のZ方向枠体32の中央部に固定・装着され、当該Z方向ローディング液圧シリンダ34のピストンロッドは、第2のZ方向枠体33に向けている;前記Z方向親ねじ35は、前記第2のZ方向枠体33の中央部に装着され、その中心線と前記Z方向ローディング液圧シリンダ34のピストンロッドの中心線とは同一の直線上に位置し、且つ、前記Z方向親ねじ35の外端部に、Z方向親ねじ35を駆動するためのZ方向調整用ハンドホイール36が装着され、Z方向親ねじ35の内端部には、Z方向においてローディングした応力(または変形)の値を検知するためのZ方向センサ30が装着されている。
【0041】
本発明において、X方向ローディング液圧シリンダ14のピストンロッドの中心線の延長線と、Y方向ローディング液圧シリンダ24のピストンロッドの中心線の延長線と、Z方向ローディング液圧シリンダ34のピストンロッドの中心線の延長線とは、同一の中心点で交差している。実験過程において、供試体ケースアセンブリーはフレーム100の作業台101上に載置され、当該供試体ケースアセンブリーの中心と前記中心点とが重なり合っている。
【0042】
本発明の好ましい実施例において、フレーム100の作業台103上に、X軸方向に沿って2対のX方向ガイドレール101が設けられ、第1のX方向枠体12の下面に1対の第1のX方向脚部121が設けられ、各の第1のX方向脚部121の下面にそれぞれ一つの第1のX方向転輪122が装着される。また、第2のX方向枠体13の下に1対の第2のX方向脚部131が設けられ、各の第2のX方向脚部131の下にそれぞれ一つの第2のX方向転輪132が装着され、1対の第1のX方向転輪122、1対の第2のX方向転輪132は、それぞれ2対のX方向ガイドレール101に配合して動作する。即ち、第1のX方向枠体12、第2のX方向枠体13は、ガイドレール転輪を介してフレームにサブ支持されており、従って、第1のX方向枠体12、第2のX方向枠体13、および4本のX方向支柱11が、X軸方向に沿って一定の距離を移動することができるため、より便利に、より円滑に、X方向ローディング液圧シリンダ14のピストンロッド中心線の延長線と、Y方向ローディング液圧シリンダ24のピストンロッド中心線の延長線と、Z方向ローディング液圧シリンダ34のピストンロッド中心線の延長線とを同一の中心点に交差させ、換言すれば、供試体ケースをより便利に、より円滑に中央部に装着・係止させることができる。
【0043】
さらに、本発明の好ましい実施例において、フレーム100上に2対のZ方向ガイドレール301が設けられ、第1のZ方向枠体32の下面に1対の第1のZ方向脚部321が設けられ、各の第1のZ方向脚部321の下面にそれぞれ一つの第1のZ方向転輪322が装着される。また、第2のZ方向枠体33の下面に1対の第2のZ方向脚部が設けられ、各の第2のZ方向脚部の下面にそれぞれ一つの第2のZ方向転輪が装着される。前記1対の第1のZ方向転輪322、1対の第2のZ方向転輪は、それぞれ2対のZ方向ガイドレール301に配合して動作する。即ち、前記第1のZ方向枠体32、第2のZ方向枠体33は、ガイドレール転輪を介してフレームにサブ支持されており、従って、第1のZ方向枠体32、第2のZ方向枠体33、および4本のZ方向支柱31は、Z軸方向に沿って一定の距離を移動することができる。このため、さらに供試体ケースが中央の位置に装着・係止される柔軟性を向上することができる。
【0044】
さらに、本発明は、それぞれ独立しつつ互いに協調している3セットの制御システムを備える。各の制御システムは、いずれも、力(応力)および作動器変位(変形)等の制御パラメータを有し、その中の1つを選択する場合、選択されたパラメータの制御回路を構成することができ、選択されていないパラメータ(求めたい試験結果)は、選択されたパラメータ(試験条件)の関数になる。制御システムは、すべてデジタル化されており、制御器により制御を行い、各の制御システムの組成および動作原理は同一である。
【0045】
図3に示すように、制御システムは、複数のセンサと、液圧源と制御器とを備え、ここで、前記複数のセンサは、それぞれ岩石被検試料の受けられた力、変位または変形量を収集するために用いられ;前記液圧源は、ポンプ場およびサーボ弁を備え、前記ポンプ場は、X方向ローディング液圧シリンダ14及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ24及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダ34へ液圧油を提供するためのものであり、前記サーボ弁は、少なくとも一つの調整弁および少なくとも一つの逆転弁を備える;前記制御器は、複数のセンサの収集した信号を受信し、且つ、入力した所定の外乱荷重信号値と比較して差値を得、当該差値により修正調整を行って調整弁の開度を制御し、さらに、X方向ローディング液圧シリンダ14及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ24及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダ34のそれぞれの給油量または戻り油量、および給油スピードまたは戻り油スピードを制御し、さらに、X方向ローディング液圧シリンダ14及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ24及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダ34のそれぞれのピストンロッドの移動した変位距離、またはそれぞれの受けた力の大きさを制御し、且つ前記制御器は、逆転弁の逆転を制御して、最終的にX方向ローディング液圧シリンダ14及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ24及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダ34のそれぞれのピストンロッドの移動・伸縮した距離、またはそれぞれ受けた力の大きさと、入力した外乱荷重信号により表現された力、変位または変形量とを一致させる。
【0046】
本発明における制御システムは、さらに、警報機能を有し、センサの測定した値が所定の制御限界値の範囲を越えた場合警報を出し、制御器はサーボ弁を制御して閉鎖させ、油路を遮断し、油圧を撤回して、岩石被検試料を意図しない破壊から保護するとともに、ポンプ場の稼動を停止させる。所与の外乱荷重信号値が所定の制御限界値の範囲を越えた場合にも、警報を出すことになっている。また、本発明の制御システムは、センサにより測定したデータに対しデータ処理を行い、すなわち、センサにより測定した信号値を取って、有用で意義のあるデータを導き出し、例えば、力−時間曲線、変位−時間曲線、応力−変形関係曲線等を生成する。
【0047】
本発明に係る制御システムにおいて、液圧源から輸出された多量の高圧油はサーボ弁に入り、操作者は試験目的に応じて制御パラメータ(または試験の印加力、または試料の変形、またはピストンストローク)および所与の外乱荷重信号を選択し、所与の外乱荷重信号を比較器に入力してセンサによる測定値と比較して差値を得、その差値基づき修正した後サーボ弁を駆動する。また、サーボ弁(既存の構造を用いてもよい)により電気量を油の流量に変換させて液圧シリンダのピストンを駆動し、岩石被検試料に力を印加する。また、センサにより非電気的物理量(力、変形および変位)を電気量に変換させ、増幅した後、比較器において所与の信号と比較して差値を出力し、制御器により偏差を調整・修正して、岩石被検試料に印加される非電気的物理量を、一定の精度で迅速かつ正確に所与の信号に追随させる。
【0048】
上記の制御システムは、主に岩石被検試料への外乱荷重の印加を制御するために用いられるが、これに限定されるものではなく、既存の構造におけるその他のタイプの外乱荷重制御システム、または静荷重応力ローディング制御システムも、本発明に好適に用いられる。
【0049】
図4、
図5、
図6および
図7に示すように、本発明における供試体ケースアセンブリーは、枠体4、および6つの圧力板5を備える。
【0050】
立方体形状の枠体4は、岩石被検試料60を装着するために用いられ、12の角からなり、6つの面を備える。また、前記6つの面ごとに、岩石被検試料60を露出するための窓が設けられている。本発明において、枠体4は、立方体形状に限らず、直方体などの他の形状であってもよい。
【0051】
6つの圧力板5は、それぞれ立方体形状の枠体4の6つの窓に対応している。各の圧力板5は、圧力板本体50を備え、前記圧力板本体50の、立方体形状の枠体4の内部に向かっている平面がローディング面51であり、ローディング面51と反対側の面が当接面52である。また、前記圧力板5のローディング面51の寸法は、立方体形状の枠体4の窓の寸法より小さく、これにより荷重を印加する場合、圧力板5のローディング面51が立方体形状の枠体4の窓を通って岩石被検試料60に貼り合って接触する。
【0052】
圧力板5と相応する窓との心合せを確保して、岩石被検試料60上に荷重を均一に印加することができるように、圧力板5の周辺の中点部位からそれぞれ1つの穴付き掛け柄54が延伸しており、また立方体形状の枠体4の角の中点部位に相応する位置決めボルト等の係止体55が装着されている。圧力板5は、前記穴付き掛け柄54および係止体55を介して立方体形状の枠体4上に掛けられる。前期位置決めボルト等の係止体55は、ローディング方向の垂直方向における圧力板5の移動または回転を限定する作用のみを果たし、岩石被検試料60に荷重を印加する過程において、圧力板5のローディング方向における移動を阻害してはならない。圧力板5と岩石被検試料との間の摩擦力を低減するために、本発明に係る供試体ケースは、各の圧力板5と岩石被検試料との間に設けられるための6つの厚さ1〜2mmの減摩板をさらに備える。前記減摩板は、F4−青銅合材から製作すれことができる。
【0053】
本発明に係る供試体ケースアセンブリーは、直方体形状または立方体形状の枠体4、および6つの圧力板5を備え、前記立方体形状の枠体4は底板を備え、したがって、当該供試体ケースアセンブリーによれば、3つ方向の静荷重応力および外乱荷重のローディングを行うことができ、岩石被検試料への多種の実験を行うことができる。
【0054】
本発明の好ましい実施例において、圧力板5の当接面52の寸法は、立方体形状の枠体4の窓の寸法により大きいか、又は立方体形状の枠体4の窓の寸法に等しく、また、圧力板5のローディング面51の寸法は、立方体形状の枠体4の窓の寸法より小さい。圧力板本体50上においてローディング面51の外周には、過渡的傾斜面53が設けられ、過渡的傾斜面53の傾斜角度は、圧力板5のローディング動作により十分な進入量が確保できる傾斜角度になっている。本発明に係るローディング動作に夜進入量は、2〜8mmであり、過渡的傾斜面53の厚さは、当該進入量(2〜8mm)に、ほぼ相等している。岩石被検試料のローディング過程において、本発明に係る過渡的傾斜面53は、圧力板5と立方体形状の枠体4の同士の相互障害を防止するために役立つと共に、ローディング応力が岩石被検試料の中心からはずれることを防止するために役立つ。
【0055】
模擬岩ハネ実験において、坑道の掘削の模擬する場合の岩石被検試料60上に、半分孔または貫通孔が設けられているため、孔の開口端に対応する圧力板5の上にも、相応する中央貫通孔56が設けられる。実験に用いられる岩石被検試料60が半分孔を有するものである場合、6つの圧力板5中の1つの圧力板5のみに中央貫通孔56が設けられる。実験に用いられる岩石被検試料60が貫通孔を有するものである場合、6つの圧力板5中の同一の方向(例えば、X軸方向)に装着された1対の圧力板5に中央貫通孔56が設けられる。
【0056】
本発明の好ましい実施例において、中央貫通孔56を有する圧力板5の当接面52の中央部に、一つの円柱形状の装着部57を固定してもよく、当該装着部57の中央に、一つの透光槽571を設け、透光槽571内にマイクロカメラ6が装着され、当該マイクロカメラ6は圧力板5の中央貫通孔56に対向している。装着部57と圧力板5とが一体化された構造であってもよい。当該構造の供試体ケースは、半分孔を有する岩石被検試料60に好適に用いられ、マイクロカメラ6は、半分孔を有する岩石被検試料60の岩ハネ過程において撮影または写真をとることができる。岩石被検試料60が貫通孔を有する場合は、その他の1つの中央貫通孔56を有する圧力板5の当接面52の中央部に円柱形の第2の装着部58を固定してもよく、当該第2の装着部58の中央に第2の透光槽581を設け、また、マイクロカメラ6に光照を提供するために、当該第2の透光槽581内には合焦ランプ7が装着され、マイクロカメラ6、合焦ランプ7は、いずれも、圧力板5の中央貫通孔56に直接対向しており、マイクロカメラ6は、貫通孔を有する岩石被検試料60の岩ハネ過程において撮影または写真をとることができる。
【0057】
本発明の好ましい実施例において、さらに供試体ケース車を備え、当該供試体ケース車は、平板61と、当該平板61の両側に装着された2対の車輪62とを含み、2対の車輪62は、4本のX方向支柱21中の下方の2本を配合して動作したり、4本のZ方向支柱21の下方の2本に配合して動作したりする。空間が十分である場合には、供試体ケース車を直接フレーム100の作業台103上に載置してもよい。測定する前に、供試体ケースを供試体ケース車に装着し、また当該供試体ケース車を全体設備に装着し、中央の位置まで押して、非常に省力化、かつ便利になる。
【0058】
また、本発明の好ましい実施例で、垂直方向においてもローディング実験を行う場合、平板61の中央部に、垂直方向の親ねじ(例えば、Y方向親ねじ25)を透過させるための貫通孔611を設け、当該貫通孔611は、円形状であってもよく、且つ、貫通孔611の直径は、Y方向親ねじ25の直径より1〜10mm大きく、これによりY方向親ねじ25の貫通孔611からの通り抜けを確保するとともに、Y方向親ねじ25に押し上げられた供試体ケースが、ほぼ中央部に位置するように確保することができ、即ち、垂直方向、例えば、Y方向への補助的位置決めの役割を果たす。本実施例では、供試体ケースがX方向に沿って設備内に押し込まれるため、主にX方向での位置が中央位置にあるか否かについて注目し、Z方向の寸法は、補助的位置決めへの役割が大きくないため、貫通孔611を矩形に設けてもよく、且つ、矩状の貫通孔611のX方向における1対の対辺の間の距離を、Y方向親ねじ25の直径よりも1〜10mm大きくすればよい。矩形の貫通孔611のZ方向における1対の対辺の間の距離は、Y方向親ねじ25を容易に透過させるために、少々大きくしてもよい。また、供試体ケース車の平板61上の貫通孔611を、比較的大きな供試体ケースに適応されるように設ける場合、例えば、供試体ケースが160×160×160mmである場合、平板61上の貫通孔611の寸法は、上記の構成原則に準拠してもよい。この場合、このような規格の供試体ケース車でも、小さい寸法、例えば、110×110×110mmの供試体ケースに適用できるように、平板61上の貫通孔611の内側縁に、一つの係止枠を取り外し可能に設けたり、固定接続したりしてもよく、且つ、係止枠のX方向における1対の対辺の間の距離を、Y方向親ねじ25の直径より1〜10mm大きくする。このような場合にも、岩石被検試料を補助的に中央位置に装着・係止させる役割を果たすことができる。次に、岩石被検試料の装着・係止を説明する。
【0059】
実験を準備する際に、岩石被検試料を装着・係止する必要があり、その具体的な操作については、以下の通りである。岩石被検試料を、供試体ケースに装入し、供試体ケースを、2本のX方向支柱21上に運搬させ、そして、供試体ケース車を中央位置までに押す。そしてまず、Y方向調整用ハンドホイール27を回転して、Y方向調整用ハンドホイール27、伝動用チェーン、および操縦輪26により、Y方向親ねじ25を上方へ移動させ、円形の貫通孔611を通して供試体ケースを押し上げて、供試体ケースを供試体ケース車から外させる。Y方向ローディング液圧シリンダ24のピストンヘッドがちょうど立方体形状の枠体4の上部の窓を通して岩石被検試料の上面に接触したが、岩石被検試料に対して力の作用を生じていない時に、Y方向親ねじ25の上昇運動を停止して、Y軸方向への調整を終了する。この過程において、供試体ケース車が中央位置に到達した時点に限って、Y方向親ねじ25が円形の貫通孔611を透過して供試体ケースを押し上げることが可能になり、然も無ければ、供試体ケースを押し上げることができないため、本発明に係る供試体ケース車は、供試体ケースの装着・係止に対して補助的位置決めの役割を果たす。その後、X軸方向に沿って第1のX方向枠体12を押し、X方向ローディング液圧シリンダのピストンロッドの端部のスクイズヘッド(圧力ヘッド)がちょうど立方体形状の枠体4の窓を通して岩石被検試料の前面に接触したが、岩石被検試料に対して力の作用を生じていない時に、X方向調整用ハンドホイール16を回転させて、X方向親ねじ15を岩石被検試料へ移動させ、X方向親ねじ15の端部のセンサのスクイズヘッドを、岩石被検試料の後面に接触させるが、同様に岩石被検試料に対して力の作用を生じない。これにより、X軸方向の調整が終了する。最後に、Z軸方向に沿って第1のZ方向枠体32を押し、Z方向ローディング液圧シリンダのピストンロッド端部のスクイズヘッドが、ちょうど立方体形状の枠体4の左面の窓を通して岩石被検試料の前面に接触したが、岩石被検試料に対して力の作用を生じていない時に、Z方向調整用ハンドホイール36を回転させて、Z方向親ねじ35を岩石被検試料へ移動させて、Z方向親ねじ35端部のセンサのスクイズヘッドを、岩石被検試料の右面に接触させるが、同様に岩石被検試料に力の作用を生じていない。これにより、Z軸方向への調整を終了する。上記の装着・係止の過程において、X軸方向およびZ軸方向の調整の順番を逆にしてもよい。以上は、手動で装着・係止するプロセスであり、手動による装着・係止が終了した後、さらに、制御システムを介して岩石被検試料とそれぞれのスクイズヘッドとの間の相互関係を精確に調整することができ、これにより、各々のスクイズヘッドが岩石被検試料のそれぞれの面に接触したが、相互作用力を発生しないように精確に確保する。
【0060】
本発明に係る模擬衝撃型岩ハネ実験装置は、従来の動力システムから動力を提供し、且つ、制御システムの自動または半自動の制御下でそれぞれの実験、例えば、模擬岩ハネ実験、一軸圧縮実験、引張実験、せん断実験、振動による石炭層ガス浸透実験、岩石低サイクル・ひずみ制御の疲労実験、静水圧実験、真三軸実験などを行うことができる。
【0061】
以上、いくらかの典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、それに用いられた用語は、説明および例示のために用いられ、限定的な用語ではないことと、理解すべきである。本発明の特許請求の範囲は、これらの実施形態により限定されるものではない。当業者にとって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内においてさまざまな変更及び改善を行い得る。かかる変更及び改善はすべて本発明の保護範囲に属することは、自明なことである。従って、本発明の特許請求の範囲は、添付する請求項を基準としなければならない。