特許第5932153号(P5932153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルカテル−ルーセントの特許一覧

<>
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000002
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000003
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000004
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000005
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000006
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000007
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000008
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000009
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000010
  • 特許5932153-大容量ネットワークノード 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932153
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】大容量ネットワークノード
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/931 20130101AFI20160526BHJP
【FI】
   H04L12/931
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-524682(P2015-524682)
(86)(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公表番号】特表2015-523827(P2015-523827A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】EP2013058579
(87)【国際公開番号】WO2014019721
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】12305931.3
(32)【優先日】2012年7月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャロニ,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ハウンシュタイン,ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ,ソフィ
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−029156(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0131118(US,A1)
【文献】 服部恭太、他5名,光L2スイッチネットワークの提案,電子情報通信学会技術研究報告 PN2012-3,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2012年 6月14日,第112巻 第67号,pp.13-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークのためのネットワークノードであって、
− 出力(FO)ラインインターフェース及び入力(FI)ラインインターフェースにおいてそれぞれ送信及び受信される出力波長多重化光信号及び入力波長多重化光信号のパケットタイムスロットに、及び該パケットタイムスロットから光パケット(P11−P1k、...P41−P4k)を選択的にアド及びドロップするために、前記出力(FO)ラインインターフェース及び前記入力(FI)ラインインターフェースを備える複数のパケット光アドドロップマルチプレクサ/POADM/(10)と、
− 前記POADM(10)にそれぞれ関連付けられ、アド又はドロップされることになるパケットを電気的に処理し、バッファリングするための複数のデュアルラインカードであって、前記デュアルラインカードは、ドロップされるパケットが前記デュアルラインカードのうちの任意の他のデュアルラインカードに関連付けられるラインインターフェースに転送されるラインインターフェース部分(31、41)と、パケットがクライアントインターフェースからアドされるか、又はクライアントインターフェースにおいてドロップされるクライアントインターフェース部分(32、42)とを有し、前記ラインインターフェース部分(31)は前記パケットが転送される内部インターフェースを有する、複数のデュアルラインカードと、
− 前記デュアルラインカードの前記内部インターフェースをパケットごとに構成可能に相互接続するための中央スイッチマトリックス(CS;100)とを備える、光ネットワークのためのネットワークノード。
【請求項2】
前記光パケット(P11−P1k、...P41−P4k)が、波長チャネル(λ−λ(k−1)*n)のグループを用いて並列に送信される多波長パケットフォーマットを有し、前記POADMが、光パケットごとに前記波長チャネルグループをアド及びドロップするように設計され、前記デュアルラインカードが、前記多波長パケットフォーマットを、処理及びバッファリングするための直列電気パケットフォーマットに変換するように設計される、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項3】
前記光パケット(P11−P1k、...P41−P4k)が、専用制御チャネル(λ)上で送信されるパケットヘッダを含み、前記POADM(10)が、前記制御チャネル(λ)を抽出し、リフレッシュされた制御チャネル(λ)を再挿入するように設計され、前記ネットワークノードが、前記制御チャネル(λ)を処理し、前記パケットヘッダ内に含まれるアドレス情報に従って前記POADM(10)を構成するためのコントローラ(20)を備える、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項4】
前記POADMが前記デュアルラインカード上に集積される、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項5】
前記POADMが、前記ネットワーク入力と前記ネットワーク出力との間にそれぞれ配置される光パススルーセクションを備え、前記パススルーセクションが、受信されたWDM信号を波長サブバンドに多重分離するWDMデマルチプレクサ(14)と、パススルー方向において個々の光パケット(P11−P1k、...P41−P4k)を選択的に遮断する光ゲート(15)とを備える、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項6】
前記デュアルラインカードが、前記中央スイッチマトリックス(CS;100)のための入力−出力待ち行列方式を与える、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項7】
前記中央スイッチマトリックス(CS;100)が光スイッチマトリックスであり、前記内部インターフェースが光インターフェースである、請求項1に記載のネットワークノード。
【請求項8】
前記中央スイッチマトリックス(CS;100)が波長の帯域を切り替えるように構成された全光WDM交換ファブリックである、請求項7に記載のネットワークノード。
【請求項9】
対応する光パケットが到来する前記デュアルラインカードのヘッダプロセッサ(35)から受信された光ヘッダ情報に従ってパケットスロットごとに前記中央スイッチマトリックス(CS;100)を構成するためのスケジューラ(110)を備える、請求項8に記載のネットワークノード。
【請求項10】
前記スケジューラ(110)が、ヘッダ情報を、光パケットが交換される前記デュアルラインカードにあるヘッダプロセッサ(45)に転送する、請求項9に記載のネットワークノード。
【請求項11】
前記スケジューラ(110)が、タイムスロットごとにラベルを受信し、タイムスロットごとに前記中央スイッチマトリックス(CS;100)を構成するように構成される、請求項9に記載のネットワークノード。
【請求項12】
前記スケジューラ(110)が、競合を識別し、衝突がない交換が可能になるまで前記パケットを格納するように、選択された前記デュアルラインカードを制御するように構成される、請求項9に記載のネットワークノード。
【請求項13】
前記デュアルラインカードが、前記光スイッチマトリックスを通して交換されることになる前記光パケット(P11−P1k、...P41−P4k)の伝送速度を加速ファクタによって内部で高めるように構成される、請求項1に記載のネットワークノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気通信の分野に関し、より詳細には、光ネットワークにおいて用いるための大容量ネットワークノードに関する。
【背景技術】
【0002】
交換光ネットワークでは、多数の入力ポートと出力ポートとの間で大量の高速データ信号を柔軟に交換することができるネットワークノードが必要とされる。現在、100Gbit/sまでの信号速度のための光インターフェースが市販されている。大きなネットワークノードが現在取り扱うことができる全トラフィック容量は、毎秒数テラビットまでの範囲に及ぶ。そのようなネットワークノードは高速電気信号交換に基づく。
【0003】
別の手法は光パケット交換技術に基づく。パケットOADMと呼ばれる、パケットトラフィック用の光アド/ドロップマルチプレクサが、D.Chiaroniらによる論文「Packet OADMs for the Next Generation of Ring Networks」(Bell Labs technical Journal 14(4)2010、頁265−284)において記述されており、その論文は引用により本明細書に組み込まれている。パケットOADMは、リングネットワークに適用するために設計される。
【0004】
回線速度より速い速度において駆動される中央空間スイッチを通して相互接続される複数のI/Oサブシステムを有する別の大容量交換システムが欧州特許出願公開第2337372号A1に記述される。このシステムの中央空間スイッチは、光WDMリングとすることができ、全てのI/Oサブシステムを相互接続し、異なるI/Oサブシステムが異なる波長において送信及び受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2337372号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】D.Chiaroniら「Packet OADMs for the Next Generation of Ring Networks」(Bell Labs technical Journal 14(4)2010、頁265−284)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、本発明の目的は、非常に大きな交換容量を可能にする、ネットワークノード用のスケーラブルアーキテクチャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的、及び以下に現れる他の目的は、複数のパケット光アドドロップマルチプレクサ/POADM/と、それぞれPOADMに関連付けられる複数のデュアルラインカードと、光又は電気スイッチマトリックスとを有するネットワークノードによって達成される。
【0009】
各POADMは、入力回線インターフェース及び出力回線インターフェースを有し、出力回線インターフェース及び入力回線インターフェースにおいてそれぞれ送信及び受信される出力波長多重化光信号及び入力波長多重化光信号のパケットタイムスロットに光パケットを選択的にアドし、パケットタイムスロットから光パケットを選択的にドロップする役割を果たす。デュアルラインカードは、アド及びドロップされることになるパケットを電気的に処理し、バッファリングする役割を果たす。デュアルラインカードは、ドロップされたパケットが任意の他のラインカードに関連付けられる回線インターフェース上に転送される回線インターフェース部分と、パケットがクライアントインターフェースからアドされるか、又はクライアントインターフェースにおいてドロップされるクライアントインターフェース部分とを有する。回線インターフェース部分は、パケットが転送される内部光インターフェースを有する。光又は電気スイッチマトリックスはこれらの内部光インターフェースをパケットごとに構成可能に相互接続する。
【0010】
ここで、本発明の好ましい実施形態が、添付の図面を参照しながら説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】POADMを回線インターフェースとして利用するネットワークノードの一実施形態の図である。
図2】同期多色光パケットフォーマットを示す図である。
図3図1のネットワークノード内で用いられるPOADMラインカードのブロック図である。
図4】2つのPOADMラインカードを備えるネットワークノードのブロック図である。
図5】受信方向におけるラインカードの機能要素を示す図である。
図6】送信方向におけるラインカードの機能要素を示す図である。
図7】光スイッチマトリックスの一実施形態を示す図である。
図8】光スイッチマトリックスの一実施形態を示す図である。
図9】多色光パケット用に構成された全光WDMスイッチを示す図である。
図10】ネットワークノードのネットワークアプリケーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態はメッシュトポロジ用の光パケットスイッチのノードアーキテクチャを提供する。このノードアーキテクチャは1ペタビットより大きな容量を取り扱うことができ、動的光バイパスを利用する。
【0013】
より詳細には、そのアーキテクチャは、多重接続性ノード構成において動的光バイパスのためにPOADM(パケット光アドドロップマルチプレクサ)技術を利用する。
【0014】
好ましい実施形態では、POADMはPIC(フォトニック集積回路)技術を用いて、又は任意の他の適切な集積技術を用いてラインカード上に集積される。
【0015】
ラインカードは中央交換ステージのための入力−出力待ち行列方式を提供し、中央交換ステージはWDM交換ファブリックを用いて実現することができる。代替的には、より小さなノードの場合、中央交換ステージは電気空間スイッチマトリックスを用いて実現することもでき、それにより、内部E/O/E変換を回避する。
【0016】
光伝送ネットワークのためのネットワークノードが図1において概略的に示される。この光ノードは複数のラインカードLC1−LC6を有する。各ラインカードLC1−LC6はファイバ入力FI及びファイバ出力FOのためのラインポートと、1つ又は複数のアド/ドロップポートADとを有し、中央スイッチマトリックスCSに接続される。
【0017】
各ラインカードは、WDMパケット光アドドロップマルチプレクサ(POADM)を備えており、そのラインポートにおいてWDM回線信号を受信及び送信する。それゆえ、ラインカードはトランスペアレントな光層を実現し、その光層はパケット粒度において動作する。これにより、処理される必要がない任意のトラフィックを光層においてバイパスできるようになる。
【0018】
各ラインカードLC1−LC6において、WDM POADMを通してトラフィックをドロップすることができ、トラフィックは、中央スイッチマトリックスSMを通して任意の他のラインカードに交差接続することができるか、又はアド/ドロップポートADのうちの1つにおいてドロップすることができる。逆に、各ラインカードにおいて、中央スイッチマトリックスCSを通して交差接続される任意の他のラインカードからのトラフィック、又はそのアド/ドロップポートADのいずれかからのトラフィックは、WDM回線信号にアドすることができる。
【0019】
一実施形態では、WDM回線信号は同期多波長パケットフォーマットを有する。これが図2に概略的に示される。WDM回線信号は、複数のkn個のデータ波長λ−λ、λn+1−λ2n、...、λknと、1つの制御波長λとを有する。データ波長はk個のグループにグループ分けされ、各グループはn個の波長を有する。全てのデータ波長λ−λkn及び制御波長λは、全ての波長にわたって同期している等距離のタイムスロットに構造化される。各データ波長グループは、タイムスロット当たり1つのパケットを搬送し、それゆえ、多色パケットと呼ばれる。制御波長の対応するタイムスロットは、k個全てのパケットのパケットヘッダを搬送する。詳細には、図2を参照すると、波長グループ1の波長λ−λは4つの連続したタイムスロットにおいてパケットP11、P21、P32、P41を搬送し、波長グループ2は、波長λn+1−λ2nにおいてパケットP12、P22、P32、P42を搬送するなど、波長グループkまで同様であり、波長グループkは波長λ(k−1)n+1−λknにおいてパケットP1k、P2k、P3k、P4kを搬送する。
【0020】
一実施形態では、各パケットは10波長のグループを用いる。したがって、80波長を伴う通常の波長スペクトルでは、それぞれ10波長からなる8つのグループが存在し、8個の多色パケットが同時に送信される。さらに、パケットヘッダを搬送する制御チャネルλは、タイムスロット当たり、8つの波長グループに対応する8つのパケットヘッダを有する。
【0021】
図3は、図1のネットワークノード内で用いられるラインカードLCのブロック図を示す。ラインカードは、ファイバ入力FI及びファイバ出力FOを備えるパケット光アド/ドロップマルチプレクサ(POADM)部分10と、デュアル受信機セクション30と、デュアル送信機セクション40と、コントローラ20とを含む。
【0022】
POADM部分10はWDM波長帯マルチプレクサ16に光学的に接続されるWDM波長帯デマルチプレクサ14と、WDM波長帯デマルチプレクサ14の波長帯出力とWDM波長帯マルチプレクサ16の波長帯入力との間に配置されるゲートアレイ15とを含む。WDM波長帯デマルチプレクサ14は、光パケットフォーマットの波長グループに対応する光波長サブバンドを分離する役割を果たす。WDM波長帯デマルチプレクサ14、ゲートアレイ15及びWDM波長帯マルチプレクサ16は、ファイバ入力FIとファイバ出力FOとの間に光パススルーセクションを形成し、光パススルーセクションは、ドロップされる必要がない光信号をトランスペアレントに通過させることができる。
【0023】
ファイバ入力FIからのWDM信号がWDM波長帯デマルチプレクサ14に入る前に、分岐12が受信されたWDM信号の一部を分離し、その部分をO/Eコンバータ21を介してコントローラ20に送り込む。WDM入力信号の残りは、恐らく200m長の光ファイバループを通して実現することができる遅延素子13を介して、WDM波長帯デマルチプレクサ14のWDM入力に送り込まれる。
【0024】
分岐12は、制御チャネルλを抽出する役割を果たし、制御チャネルをコントローラ20に送り込む。遅延素子13は、信号チャネルλ−λknを遅延させ、信号チャネルλ−λknがWDM波長帯デマルチプレクサ14に入る前に、コントローラが制御チャネルλを処理するのに十分な処理時間を可能にする。
【0025】
コントローラ20は、制御チャネルλを終端し、リフレッシュされ、更新された制御チャネル信号を生成し、その信号はE/Oコンバータ22及び結合器18を介して、ファイバ出力FOで送信されるパススルーWDM信号に送り込まれる。
【0026】
ゲートアレイ15は、パススルーWDM信号においてタイムスロット当たり個々の完全な波長サブバンドを選択的に遮断し、ドロップされることになる光パケットをこれらの波長サブバンドから除去するように、コントローラ20によって制御される。ゲートアレイは、多色パケットにおいて用いられる8つの波長グループに対応する8つの波長サブバンドのための8つのSOAS(半導体光増幅器)を用いて実現することができる。
【0027】
ゲートアレイの代替の実施態様は、高速可変光減衰器(VOA)に基づくことができる。その際、単一の広帯域EDFAによって、挿入損失を補償することができる。
【0028】
信号ギャップを回避するために、アイドルタイムスロットはダミーパケットで満たされる。これにより、光パケット信号は、信号ギャップがあると利得変動を示す可能性があった既存の増幅器インフラストラクチャ、すなわち、主にEDFAに適合するようになる。例えば、パケットがドロップされ、通過方向における対応するタイムスロットがアイドルのままである、すなわち、新たなパケットで満たされない場合には、元のパケットは遮断されるのではなく、通過方向において単にアイドルタイムスロットのままである可能性があり、そのタイムスロットは、対応する制御チャネル内でアイドルを宣言される。
【0029】
デマルチプレクサ14とゲートアレイ15との間では、各波長サブバンドが光スイッチ23に分岐され、光スイッチは、ドロップ方向において任意の波長グループの正確な波長を選択するように、コントローラ20によって構成することができる。光スイッチ23の出力はO/Eインターフェース28に送り込まれ、O/Eインターフェースは、電気信号を再生するために、O/E変換、クロックデータ再生及びデジタル信号処理を実行する。O/E変換は、コヒーレント光検出技術に基づくことが好ましい。O/E変換された電気信号はN×2電気スイッチ24に送り込まれ、電気スイッチは、個々のパケットがクライアントインターフェースにドロップされることになるか、ネットワークノードの別のラインカードを介して異なるファイバに転送されることになるかに応じて、デュアル受信機セクション30の2つの部分間で個々のパケットを交換する。また、電気スイッチ24は、後続のブロック33又は36にアクセスするときに競合を解決するために用いられる電子的バッファも含む場合もある。スイッチ24の出力は、入力タイムスロットWDM信号からドロップされることになる電気パケットである。
【0030】
光スイッチ23は、パケットごとに高速に交換するために設計することができ、パケットごとに、サブバンドのいずれかからパケットをドロップするように、コントローラ20によって構成することができる。この場合、光受信機28が、任意の波長においてパケットを柔軟に変換するように同調可能である。
【0031】
代替形態として、光スイッチ23は、トラフィックエンジニアリングのために用いることができ、例えば、物理リソースを新たなトラフィックプロファイルに半永久に適応させるために用いることができる。トラフィックエンジニアリングによって、ネットワーク内で波長を最適に割り当てることができるようになる。例えば、ノードがその容量を増やす必要がある場合には、事業者は、ノードごとに波長属性を最適化し直すことが必要となる可能性がある。その場合、新たな波長サブバンドを再選択するために、各ノードにおいて、ある程度の柔軟性が必要とされる。これはパケットレベルでは行われない。それはノードに対する波長の事前割り当てである。
【0032】
その実施形態では、光スイッチ23はトラフィックエンジニアリングのために用いられ、交換時間は、緊急を要さない。
【0033】
デュアル受信機セクション30の左側部分31は、他のファイバに転送されることになるパケットのためのネットワークインターフェース機能を実行する。スイッチ24から、転送されることになるパケットがパケットバッファブロック33に送り込まれ、パケットバッファブロックはバッファメモリを含み、バッファメモリは、一時的にパケットを記憶して中央スイッチマトリックスCS内の競合を解消する。これらのパケットに属する対応するヘッダはコントローラ20からヘッダ処理ブロック25に送信され、ヘッダ処理ブロックは中央スケジューラへの出力を有する。
【0034】
出力側において、パケットバッファブロック33は、パケットを内部光パケットフォーマットに変換し、これらのパケットを他のラインカードに相互接続するために中央WDMスイッチに送信する光インターフェースを含む。
【0035】
ラインカードと中央スイッチマトリックスとの間で用いられる内部パケットフォーマットは外部多色パケットフォーマットと同じである必要はないことに注目されたい。内部光パケットは、単一波長又は多波長いずれかのフォーマットを有することができる。
【0036】
クライアントインターフェースにおいてドロップされることになるパケットは、スイッチ24から、デュアル受信機セクション30の右側部分32に送り込まれる。パケットヘッダはヘッダ処理ブロック38において受信され、ヘッダ処理ブロックは有効なイーサネット(登録商標)出力ヘッダを生成するようにヘッダをフォーマットする。
【0037】
フォーマットされたヘッダ及び受信されたデータパケットは、イーサネットネットワークプロセッサのような出力パケットプロセッサ36に送り込まれ、そのプロセッサは、ヘッダ及びデータを一時的に格納し、接続されるクライアントへのイーサネットインターフェースにおいて出力するための有効なイーサネットフレームを生成する。
【0038】
同様に、デュアル送信機部セクション40は、クライアントインターフェース部分42と、ネットワークインターフェース部分41とを含む。
【0039】
クライアントインターフェース部分42はクライアントデータ信号のためのイーサネットインターフェースを有する。受信されたイーサネットフレームはバッファメモリ46に記憶され、その中でイーサネットフレームはサービスクラスごとに待ち行列内に配置される。マッパ回路47が、サービスクラスごとに、かつ宛先ごとにカプセル化されたイーサネットフレームを伴うタイムスロットを作成する。
【0040】
ヘッダプロセッサ48は、対応するイーサネットフレームヘッダを処理し、制御チャネルλ上で送信するためのラベルを作成する。バッファ47’は、マッパ47の出力に配置され、タイムスロットを格納し、個々のタイムスロットを送信する判断を待つ。バッファ48’は、制御チャネルを構築するために、タイムスロットに対応するラベルを格納する。コントローラ20は、パススルー方向においてバイパスされたトラフィックと同期して新たな光パケットを送信するトリガ及び判断信号を用いて、バッファ47’、48’を制御する。
【0041】
ネットワークインターフェース部分41は、中央スイッチマトリックスから光パケット信号を受信し、その信号はO/Eコンバータを介してバッファ43に送り込まれる。データタイムスロット処理ユニット44が、メモリ43からデータパケットを読み出し、データパケットを光ファイバのパススルー方向において送信するためのタイムスロットにフォーマットする。対応するパケットヘッダはヘッダプロセッサ45からもたらされ、ヘッダプロセッサはノードの中央スケジューラからアドレス及び他のヘッダ情報を受信する。再び、パススルー方向においてバイパスされたトラフィックと同期して新たな光パケットを送信するトリガ及び判断信号がコントローラ20からもたらされる。
【0042】
コントローラ20の制御下で、スイッチ26が、クライアントインターフェース部分42又はネットワークインターフェース部分41のいずれかのデータ出力を選択し、そのデータ出力を多波長光信号源25に送り込み、その信号源は、あらかじめフォーマットされた電気データを適切なキャリア波長上に変調して、多色光パケットを生成し、そのパケットは割り当てられたタイムスロット内で結合器17を介して出力光ファイバFOに送り込まれる。
【0043】
信号源25は、WDM信号の全波長セットに及ぶ単一波長cwレーザのアレイと、その後方に配置される光変調器のセットとを用いて実現することができ、光変調器は、並列化された電気信号を選択されたキャリア波長のセット上に変調し、光パケットを生成する。代替的には、信号源は、必要とされる波長スペクトルに及ぶ波長可変レーザを用いて実現することができる。
【0044】
対応するヘッダ信号は、パケットがクライアントインターフェース部分42のデータ出力から来るか、ネットワークインターフェース部分41のデータ出力から来るかに応じて、スイッチ27によってヘッダプロセッサ48’又は45のいずれかから選択され、コントローラ20に送り込まれ、コントローラはヘッダを制御チャネルλに挿入する。適切な制御チャネル波長の光信号を生成するE/Oコンバータ22を通して、制御チャネルは結合器18を介して、出力光WDM信号に結合される。
【0045】
図4は中央光スイッチマトリックス100を通して相互接続される2つのラインカードLC1、LC2を示す。スイッチマトリックス100はラインカードLC1、LC2の受信機セクション31から受信バースト信号を受信し、その出力側において、ラインカードLC1、LC2の送信機セクション41にそれぞれ接続される。スケジューラ110が、対応する光バーストが到来するそれぞれのラインカードLC1、LC2のヘッダ処理ブロック35から受信された光ヘッダ情報に従って、パケットスロットごとにスイッチマトリックスを構成する。また、スケジューラ110は、ヘッダ情報を、その光パケットが交換される対応するラインカードLC1、LC2の送信側ヘッダプロセッサ45に転送する。
【0046】
スケジューラ110は、それぞれのタイムスロットのラベルを受信し、タイムスロットごとにスイッチマトリックス100を構成する。また、スケジューラ110は、起こり得る競合を識別し、衝突を生じることなくタイムスロットを交換することが可能になるまで、バッファメモリ33においてタイムスロットを記憶するように対応する。
【0047】
スイッチマトリックス100はWDM交換ファブリックであり、波長の帯域を切り替え、数Tbit/sの交換容量を提供する。内部多色パケットフォーマットを有するWDMパケットを作成するために、タイムスロットはWDMドメインにおいて配列される。このWDMパケットは、光ドメインにおいて正しい出力ポートに交換され、送信側バッファブロック43に送信される。
【0048】
図5は、受信方向におけるラインカードの機能要素を示す。ファイバ50から到来するWDM信号はWDMデマルチプレクサ51に送り込まれ、デマルチプレクサは、1つの波長サブバンドから個々の波長チャネルを分離し、これらの波長チャネルを波長ごとに個々の光受信機52に送り込む。受信機52は、分散補償及びクロック/データ再生のために、O/E変換、サンプリング及びデジタル信号処理を実行する。受信機52のデジタル出力信号はシフトレジスタ53に進み、シフトレジスタは波長グループごとに並列−直列変換を実行する。直列化された出力信号は、その後、競合を解消し、かつパケットをスイッチマトリックス及び送信側において共通のパケットタイムスロット上に再同期させるために、バッファ54にバッファリングされる。ラインカードにおけるパケットタイムスロットのこの再同期によって、非同期ネットワークの概念において、光パケットを同期して交換できるようになる。
【0049】
図6は、送信方向におけるラインカードの機能要素を示す。送信されることになる信号パケットがバッファ64にバッファリングされる。パケットの送信が予定されると、パケットはバッファ64から読み出され、シフトレジスタ63に送り込まれ、シフトレジスタは直列−並列変換を実行する。並列化された信号は色波長光送信機62に進み、各送信機は異なる波長チャネルにおいて送信する。送信機62の光出力はWDMマルチプレクサ61に送り込まれ、マルチプレクサの出力は出力側ラインファイバ60に接続される。
【0050】
図7及び図8は光スイッチマトリックスCSの一実施形態を示す。上記のように、一実施形態におけるネットワークノードは、ファイバ当たり80個の信号波長をサポートし、それぞれ100Gbit/sにおいてデータをトランスポートする。サブバンドが100Gbit/sにおいて10個の波長を含む。それゆえ、ファイバ当たり10個の波長からなる8個のサブバンドが存在する。ネットワークノードは、各ファイバからのパススルー容量の50%までをドロップできることを更にサポートする。それゆえ、各ラインカード上で処理することができる波長の数は40であり、その数は10個の波長からなる4つのグループを表す。波長のグループごとに、ラインカードと中央スイッチとの間で専用の内部光インターコネクトが用いられる。
【0051】
図7において、ラインカードLCは、WDM POADMセクション71と、関連するバッファメモリを備える受信機/送信機セクション72とを有し、4つの光インターコネクトを介して、中央スイッチマトリックスCSに接続される。各インターコネクトは10個の波長を搬送し、それゆえ、ラインカードLCの任意のラインカード間で多色光パケットを交換できるようになる。
【0052】
スイッチマトリックスは3つの光交換ボード74を有する。WDM4×12スイッチモジュール73が、ラインカードLCへの、及びラインカードLCからの4つの光インターコネクトを光交換ボード74のいずれかに構成可能に接続する。各光交換ボードは、図8に示される3ステージ光Closネットワークを担う。Closネットワークは、3つのステージに配列される交換モジュール81、82、83を有する。各交換モジュールは全光WDMスイッチである。第1のステージは、それぞれ32個の入力が64個の出力に接続可能である(すなわち、32×84)16個のスイッチ81を有する。第2のステージは16×16の入力及び出力を有する64個のスイッチを有し、第3のステージは再び、64入力×32出力を有する16個のスイッチを有する。
【0053】
全光WDMスイッチの実施態様のための一例が、4×4スイッチの簡略化された場合に図9に示される。光スイッチモジュール90は4×4の入力及び出力を有する。各入力において、パッシブ1:4スプリッタ91が、入力信号を4つに分割し、それぞれ光ゲートとしての機能を果たす半導体光増幅器(SOA)92に進む。出力側において、パッシブ光結合器が、4つの各入力から1つずつの4つの信号線を各出力に結合する。それぞれのSOAを選択的にアクティブ化又は非アクティブ化することによって、各入力を任意の出力に接続することができる。代替的には、このために、光空間スイッチを用いることができる。関連する挿入損失に起因して、光増幅が必要とされる場合がある。
【0054】
スイッチマトリックスのClosネットワークは、モジュール式になるように設計し、配置することができる。その際、スイッチマトリックスは、設置されたラインカードの数に合わせて作ることができるので、そのアーキテクチャは完全にモジュール式である。
【0055】
ファイバごとに別の波長においてヘッダをトランスポートすることと、一定のWDMタイムスロットを採用することとによって、その概念は、ビット速度から独立になる。さらに、スケジューラ、WDM POADM及び光スイッチに対する変更が不要であるので、そのノードアーキテクチャは、10Gb、100Gb及び1Tbラインカードのような、種々の変調速度、変調方式などからなる信号に対してラインカードを使用できるようにする。
【0056】
ルーティング情報が別の波長においてトランスポートされるので、スケジューラは影響を受けない。より速いビット速度をサポートできるようにするのに、ラインカードしか取り替える必要がない。対象実施形態(subject embodiment)において、ネットワークノードは、完全な構成において125個までのWDM POADMをサポートする。
【0057】
図10は、上記のようなネットワークノードのネットワークアプリケーションを示す。そのネットワークにおいて、異なるネットワークノードNが、光ファイバFを通して物理的に相互接続される。光信号は、各ノードのPOADMステージをトランスペアレントに通り抜けることができるか、又は各ノードのネットワーク側インターフェース部分及び中央スイッチマトリックスを通って相互接続することができる。そのネットワークは、各交換ノードにおいて一定長のパケットタイムスロット及びパケット再同期を用いてパケット粒度で動作する。
【0058】
例えば、ノードN1からの光パケットは経路P1を介してネットワークノードN3にトランスペアレントに転送することができるか、又は経路P2を介してネットワークノードN4に「不透明に(opaque way)」交換され得る。
【0059】
この概念は、処理される必要がないトラフィックを可能ならバイパスするように、パケット粒度において動作する光トランスポート層を導入する。通過パケットに対してパケット粒度において光学的にトランスペアレントであることは、完全に電子的な手法(その占有率を課す幾つかのバッファを通り抜ける必要がある)に比べて、待ち時間に関して終端間性能を改善する。内部のパケット処理が減少することは、ノードの電力消費の著しい削減にもつながる。
【0060】
それゆえ、上記の実施形態の一態様は、WDM POADMである。そのWDM POADMは、波長当たりのビット速度から独立してWDMパケットを管理することができるアド/ドロップ構造である。
【0061】
上記の実施形態の第2の態様は、多色WDMパケットの使用である。1つのパケットのための波長をグループ化する利点は、パススルー方向における光学構成要素の数の削減である。WDMパケットの使用は、光学的にトランスペアレントのままであるトラフィックの場合に、中間ノードを横切るときのフィルタのカスケードをチャネルから除去する。この場合、中間ノードにおいて帯域通過フィルタ、及びエッジノードにおいて固有のフィルタのみが必要である。それゆえ、フィルタリング制約は大きく緩和され、チャネル間隔の管理を簡単にする。
【0062】
WDMパケットを用いる更なる利点は、信号容量である。例えば、波長ビット速度が10Gである場合には、そのパケットは10波長にわたって100Gbit/sの容量を有する。波長当たりのビット速度が100Gである場合には、そのパケットは1Tbit/sの容量を有する。
【0063】
上記の実施形態の第3の態様は中央交換ファブリックである。その交換ファブリックは電子的部分、すなわち、ラインカード上に物理的に配置されるO/E及びE/O変換ステージ並びにバッファリングと、中央光交換要素とを含む。
【0064】
交換ファブリックのためのClosネットワークアーキテクチャ自体によって、基本スイッチモジュールのサイズを妥当な値に保ちながら、莫大な交換容量を取り扱うことができるようになる。加速ファクタによって、物理的なスイッチサイズを全容量の何分の1かに制限できるようになる。
【0065】
好ましい実施形態では、加速ファクタは、ラインカードと中央交換ファブリックとの間の光信号に対して導入することができる。そのような信号はネットワークノード内にのみ存在し、長距離にわたって進む必要はないので、達成可能なデータ速度を制限する信号歪みは小さい。
【0066】
対象実施形態では、加速ファクタ3が用いられ、すなわち、受信された信号速度に比べて、内部信号が3倍だけ加速される。これは、交換プレーン(switching plane)当たりの負荷を軽減し、バッファサイズを小さくする。
【0067】
説明及び図面は、本発明の原理を例示するにすぎない。したがって、本明細書において明示的に説明又は図示されないが、本発明の原理を具現する種々の構成を当業者が考案できることは理解されよう。さらに、本明細書において記載される全ての例は、本発明の原理、及び当該技術分野を促進するために本発明者らによって貢献される概念を読者が理解するのを助ける教育的な目的だけを明確に意図しており、そのような具体的に列挙される例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様及び実施形態を記載する本明細書内の全ての言明、並びにその具体例は、その均等物を含むことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10