(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転掘削を行う掘削部材の中空ロッド内に、貫入試験機の縦筒状のハンマーケーシングと、該ハンマーケーシングを昇降自在に包囲する固定の昇降ガイド筒と、該ハンマーケーシングを不使用時に上方待機位置で保持し、使用時に下降自在とし、更に使用後に上方待機位置へ持ち上げるケーシング変位手段とを備え、
前記ハンマーケーシングは、下端にノッキングブロックが固着され、該ノッキングブロックから下向きに突き出す貫入軸を有すると共に、該ノッキングブロックを自由落下によって打撃するドライブハンマーと、落下後のドライブハンマーを吊り上げて所定高さで下放する吊上げ機構とを内蔵し、
前記掘削部材の下端中央部に、ハンマーケーシングの前記貫入軸を挿通させる開口部が形成され、
前記中空ロッド内に、前記貫入軸を取囲む形で昇降ガイド筒とハンマーケーシングの間の空間部を外部から遮断し、且つ伸縮してハンマーケーシングの昇降を許容するベローズ筒形の遮蔽部材が設けられてなり、
所要深さの掘孔に続いて、前記開口部より下方へ突出した前記貫入軸が孔底から所定深さまで貫入するのに要するドライブハンマーの打撃回数から孔底の支持強度を調べる貫入試験を実施可能とする杭孔掘削装置。
前記掘削部材がアースオーガーのスクリューロッドであり、その下端側の掘削刃を有する中空ロッド内に前記ハンマーケーシング及び昇降ガイド筒が装填され、前記遮蔽部材の一端部が該ハンマーケーシングの下端に止着されると共に、他端部が前記開口部の周囲部に止着されてなる請求項1に記載の杭孔掘削装置。
前記開口部を常時は閉鎖する方向に付勢された可動封板を備え、上方待機位置からのハンマーケーシングの降下によって前記貫入軸が該可動封板を押し開いて下方外部へ突出するように構成されてなる請求項2に記載の杭孔掘削装置。
前記中空ロッドの下部にグラウト放出口を備え、上部から供給されるグラウトを該出口に導く配管が該中空ロッドの内周と前記昇降ガイド筒の外周との間に配設されてなる請求項2又は3に記載の杭孔掘削装置。
前記掘削部材がアースドリルの軸堀りバケットであり、ケリーバに連結する該軸堀りバケットの中空ロッド内に前記ハンマーケーシング及び昇降ガイド筒が装填され、前記遮蔽部材の一端部が昇降ガイド筒の下端部に止着されると共に、他端部が前記貫入軸の中間部に止着され、バケットの底蓋の中心部に前記開口部が形成されてなる請求項1に記載の杭孔掘削装置。
前記ハンマーケーシングの上昇位置において前記貫入軸が先端まで昇降ガイド筒内に納まると共に、前記遮蔽部材が該ハンマーケーシングの上昇位置と下降位置とで表裏反転するように構成されてなる請求項5又は6に記載の杭孔掘削装置。
前記中空ロッド内に、前記ドライブハンマーを上限位置及び下限位置で検出するセンサーと、ハンマーケーシングの沈下量を計測するエンコーダーとを備えてなる請求項1〜7のいずれかに記載の杭孔掘削装置。
前記請求項1〜8のいずれかに記載の杭孔掘削装置の掘削部材により、地盤に所定の杭孔を形成後、該掘削部材を僅かに持ち上げて孔底から離底させ、この離底状態でハンマーケーシングを上方待機位置から下降させることにより、前記開口部を挿通して下方突出する前記貫入軸の先端を孔底に着底させたのち、該貫入軸が所定深さまで地盤に貫入するのに要するドライブハンマーの打撃回数から孔底地盤の支持強度を判定し、該支持強度が所定値以上である場合に該杭孔に杭を建て込むことを特徴とする杭施工管理方法。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレボーリング工法による既製杭の施工では、例えば
図16で工程順に示すように、(a)三点式杭打機等のリーダ(図示省略)に沿って昇降するオーガーマシンAに取り付けたスクリューロッドRsを回転駆動しつつ下降させることにより、地盤G(軟弱層Gs)を掘削し、(b)想定される地下深部の支持層Ghに達する深さの杭孔Hを形成したのち、スクリューロッドRsを引き上げつつ、(c)ソイルセメント等の根固め液Lsを注入し、続いて(d)孔周固定液Lfを杭孔Hの上部まで注入し、該スクリューロッドRsを抜出したのち、(e)オーガーマシンAに連結用ロッドRjを介してPHC杭やRC杭の如き既製杭P1を連結し、この既製杭P1を杭孔Hに挿入し、(f)該既製杭P1を杭孔H内に埋入して杭施工を完了する。
【0003】
一方、場所打ち杭の施工にはケリーバ式アースドリル工法が汎用されている。この工法では、例えば
図17で工程順に示すように、(a)アースドリル機のケリーバKに連結した軸掘バケットB1によって地盤Gを掘削・排土し、(b)その掘削孔HaにスタントパイプPsを圧入し、(c)孔内にベントナイト液等の安定液Lsを注入しつつ、交換した径小の軸掘バケットB2にて掘削・排土し、(d)想定される地下深部の支持層Ghに達する深さの杭孔Hを形成する。そして、この杭孔Hに、(e)鉄筋籠Fcの挿入、(f)トレミー管Tpの挿入、(g)エアーA導入によるスライムSの排出、(h)生コンCの打設、(i)トレミー管Tpの抜出、(j)スタントパイプPsの引抜き、という手順で場所打ち杭P2を建て込む。図中、Gsは地盤Gの上部側の土や砂等よりなる軟弱層を示す。なお、拡底杭施工として、(d)の杭孔Hの形成後、該杭孔Hの底部を拡底バケットで拡大した上で、場所打ち杭P2を建て込むことも多い。
【0004】
これらプレボーリング工法やアースドリル工法において、建て込み完了後の杭の支持強度が充分であるか否かは一般的に載荷試験によって判定できるが、これによって支持強度不足が判明した場合は杭施工のやり直しに多大な労力と時間及びコストを費やすことになるため、掘削形成した杭孔について杭先端の支持力が充分であるか否かを杭建て込み前に判定できれば理想的である。従来、このような観点から、掘削部材の回転駆動用モータの電流値から掘削負荷の変化を捉え、この掘削負荷の増大によって杭孔が地盤深部の硬い支持層に達したことを確認する方法が提案されている(特許文献1〜3)。
【0005】
しかしながら、回転駆動用モータの電流値から掘削負荷の変化を捉える方法では、掘孔が深くなるに伴い、掘削部材と孔壁との摩擦抵抗が大きくなることで、支持層に達していなくとも掘削負荷が著しく増大したり、掘削部位で滑りが発生することで、逆に支持層に達していても掘削負荷が減少したり、更には作業者の掘削作業の巧拙によっても掘削負荷は大きく変動するから、支持層への到達を確認する指標として信頼性に乏しい。従って、一般的には、専ら施工予定地での試験ボーリングにて得られた地質試料のデータに基づき、所定の深度まで掘孔することで支持層に届いたものとみなすのが普通であるが、施工予定地全体の地下深部が一様な層序で均質であるとは限らず、地歴によっては局所的に支持層の深さが異なったり、支持層自体の硬さの違いが大きかったりすることも多々あるため、個々の杭孔の底部が実際に充分な杭先端の支持力を有するとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて、アースドリル工法やプレボーリング工法において、地盤に杭孔を形成して直ちに杭先端の支持力が充分であるか否かを確実に判定し、もって支持強度不足による杭建て込み施工のやり直しの手間を省くことを可能にする杭孔掘削装置と、この杭孔掘削装置を用いた杭施工管理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係る杭孔掘削装置は、回転掘削を行う掘削部材(スクリューロッドRs、軸堀りバケットB2、拡底バケットB3)の中空ロッド50,70,80内に、貫入試験機1の縦筒状のハンマーケーシング10と、該ハンマーケーシング10を昇降自在に包囲する固定の昇降ガイド筒11と、該ハンマーケーシング10を不使用時に上方待機位置で保持し、使用時に下降自在とし、更に使用後に上方待機位置へ持ち上げるケーシング変位手段2A,2Bとを備え、ハンマーケーシング10は、下端にノッキングブロック12が固着され、該ノッキングブロック12から下向きに突き出す貫入軸13を有すると共に、該ノッキングブロック12を自由落下によって打撃するドライブハンマー14と、落下後のドライブハンマー14を吊り上げて所定高さで下放する吊上げ機構3とを内蔵し、掘削部材の下端中央部に、ハンマーケーシング10の貫入軸13を挿通させる開口部53,76,85が形成され、中空ロッド内に、貫入軸13を取囲む形で昇降ガイド筒11とハンマーケーシング10の間の空間部15を外部から遮断し、且つ伸縮してハンマーケーシング10の昇降を許容するベローズ筒形の遮蔽部材4A,4Bが設けられてなり、所要深さの掘孔に続いて、開口部53,76,85より下方へ突出した貫入軸13が孔底Hbから所定深さまで貫入するのに要するドライブハンマー14の打撃回数から孔底Hbの支持強度を調べる貫入試験を実施可能とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、上記請求項1の杭孔掘削装置において、掘削部材がアースオーガのスクリューロッドRsであり、その下端側の掘削刃51を有する中空ロッド50内にハンマーケーシング10及び昇降ガイド筒11が装填され、遮蔽部材4Aの一端部41が該ハンマーケーシング10の下端に止着されると共に、他端部42が開口部53の周囲部に止着されてなるものとしている。
【0010】
請求項3の発明は、上記請求項2の杭孔掘削装置において、開口部53を常時は閉鎖する方向に付勢された可動封板54を備え、上方待機位置からのハンマーケーシング10の下降によって貫入軸13が該可動封板54を押し開いて下方外部へ突出するように構成されてなるものとしている。
【0011】
請求項4の発明は、上記請求項3の杭孔掘削装置において、中空ロッド50の下部にグラウト放出口56を備え、上部から供給されるグラウトを該放出口56に導く配管57が該中空ロッド50の内周と昇降ガイド筒11の外周との間に配設されてなるものとしている。
【0012】
請求項5の発明は、上記請求項1の杭孔掘削装置において、掘削部材がアースドリルの軸堀りバケットB2であり、ケリーバKに連結する該軸堀りバケットB2の中空ロッド70内にハンマーケーシング10及び昇降ガイド筒11が装填され、遮蔽部材4Bの一端部43が昇降ガイド筒11の下端部に止着されると共に、他端部44が貫入軸13の中間部に止着され、バケットB2の底蓋73の中心部に開口部76が形成されてなるものとしている。
【0013】
請求項6の発明は、上記請求項1の杭孔掘削装置において、掘削部材がアースドリルの拡底バケットB3であり、該拡底バケットB3は、周囲に複数枚の拡底翼を枢着したバケットボディ81の中心部に、ケリーバKに連結する中空ロッド80を備え、該中空ロッド80内にハンマーケーシング10及び昇降ガイド筒11が装填され、遮蔽部材4Bの一端部43が昇降ガイド筒11の下端部に止着されると共に、他端部44が貫入軸13の中間部に止着され、バケットボディ81の底板84の中心部に開口部85が形成されてなるものとしている。
【0014】
請求項7の発明は、上記請求項5又は6の杭孔掘削装置において、ハンマーケーシング10の上昇位置で貫入軸13が先端まで昇降ガイド筒11内に納まると共に、遮蔽部材4Bが該ハンマーケーシング10の上昇位置と下降位置とで表裏反転するように構成されてなるものとしている。
【0015】
請求項8の発明は、上記請求項1〜7のいずれかの杭孔掘削装置において、中空ロッド50,70,80内に、ドライブハンマー14を上限位置及び下限位置で検出するセンサー16A,16Bと、ハンマーケーシング10の沈下量を計測するエンコーダー17とを備えてなるものとしている。
【0016】
請求項9の発明に係る杭施工管理方法は、上記請求項1〜8のいずれかに記載の杭孔掘削装置の掘削部材(スクリューロッドRs、軸堀りバケットB2、拡底バケットB3)により、地盤Gに所定の杭孔Hを形成後、該掘削部材を僅かに持ち上げて孔底Hbから離底させ、この離底状態でハンマーケーシング10を上方待機位置から下降させることにより、開口部53,76,85を挿通して下方突出した貫入軸13の先端を孔底Hbに着底させたのち、該貫入軸13が所定深さまで地盤Gに貫入するのに要するドライブハンマー14の打撃回数から孔底地盤の支持強度を判定し、該支持強度が所定値以上である場合に該杭孔に杭(場所打ち杭P1,既製杭P2)を建て込むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係る杭孔掘削装置によれば、その掘削部材(スクリューロッドRs、軸堀りバケットB2、拡底バケットB3)の回転掘削によって地盤Gに所要深さの杭孔Hを穿設後、該掘削部材を杭孔Hから抜出する前に、中空ロッド50,70,80に内蔵する貫入試験機1のハンマーケーシング10を上方待機位置から下降させ、もって開口部53,76,85を挿通して下方突出した貫入軸13を杭底Hbに着底させたのち、貫入試験機1の稼働によって該貫入軸13が所定深さまで地盤Gに貫入するのに要するドライブハンマー14の打撃回数から、孔底地盤の支持強度を実測値(N値)として極めて簡易に且つ確実に測定できる。
【0018】
また、この杭孔掘削装置では、中空ロッド50,70,80内に、貫入軸13を取囲む形で昇降ガイド筒11とハンマーケーシング10の間の空間部15を外部から遮断し、且つ伸縮してハンマーケーシング10の昇降を許容するベローズ筒形の遮蔽部材4A,4Bが設けられているから、掘削で生じた泥砂、砂礫、泥水等が該空間部15に入り込んでハンマーケーシング10の昇降動作を阻害するのを確実に防止でき、もって測定値の信頼性を確保できると共に、貫入試験機の耐久性低下を防止できる。更に、ケーシング変位手段12A,12Bによって不使用時のハンマーケーシング10を上方待機位置で保持することで、貫入軸13を中空ロッド50,70,80内に退入させた状態に維持できるから、掘削過程で該貫入軸13が地盤や破砕物に触れて損傷する懸念がない。更に、貫入試験機1として従来より地盤のN値を求めるのに汎用されている標準貫入試験装置の主要部を利用できるから、この杭施工管理方法を実施する上で格別な新規設備を必要とせず、それだけ施工コストを抑えられると共に、国際標準のN値での管理を行えるので測定値の高い信頼評価が得られるという利点もある。
【0019】
請求項2の発明によれば、アースオーガーのスクリューロッドRsにおいて、その下端側の掘削刃51を有する中空ロッド50内にハンマーケーシング10及び昇降ガイド筒11が装填され、遮蔽部材4Aの一端部41が該ハンマーケーシング10の下端に止着され、他端部42が開口部53の周囲部に止着されているから、スクリューロッドRsによる掘削時に掘削で生じた泥砂、砂礫、泥水等が該空間部16に入り込むのを防止できる。
【0020】
請求項3の発明によれば、上記スクリューロッドRsにおいて、下端の開口部53が常時は可動封板54で閉鎖され、貫入試験に際して上方待機位置から下降するハンマーケーシング10の貫入軸13が該可動封板54を押し開いて下方外部へ突出するように構成されているから、掘削中には破砕物が該開口部53から中空ロッド50内へ入り込まず、もって該破砕物による貫入軸13及び遮蔽部材4Aの損傷を回避できる。
【0021】
請求項4の発明によれば、上記スクリューロッドRsにおいて、掘孔後に該スクリューロッドRsを引き上げる際、上部から供給される根固め液Lsや孔周固定液Lf等のグラウトを、配管57を通して中空ロッド50の下部のグラウト放出口56から杭孔H内に放出できるから、既製杭P1を建て込むまで杭孔Hの崩壊を防止できる。
【0022】
請求項5の発明によれば、アースドリルの軸堀りバケットB2において、その中空ロッド70内にハンマーケーシング10及び昇降ガイド筒11が装填され、遮蔽部材4Bの一端部43が昇降ガイド筒11の下端部に止着され、他端部44が貫入軸14の中間部に止着されているから、ケリーバKを介した該バケットB2の回転掘削と排土の反復によって杭孔Hを形成する際に、ケーシング変位手段2A,2Bによってハンマーケーシング10を上方待機位置で保持することにより、貫入軸13の損傷を防止できると共に、遮蔽部材4Aによって掘削で生じた泥砂、砂礫、泥水等が空間部15に入り込むのを防止できる。
【0023】
請求項6の発明によれば、アースドリルの拡底バケットB3において、バケットボディ81の中心部にケリーバKに連結する中空ロッド80を備え、該中空ロッド80内にハンマーケーシング10及び昇降ガイド筒11が装填されているから、バケットボディ81に枢着した拡底翼82を開いて回転掘削することによって杭孔Hの底部側を拡大したのち、貫入試験機1を稼働して孔底Hbの支持強度を測定できる。そして、遮蔽部材4Bの一端部43が昇降ガイド筒11の下端部に止着され、他端部44が貫入軸13の中間部に止着されているから、拡底掘削過程でケーシング変位手段2A,2Bによってハンマーケーシング10を上方待機位置で保持することで、貫入軸13の損傷を防止できると共に、遮蔽部材4Bによって掘削で生じた泥砂、砂礫、泥水等が該空間部16に入り込むのを防止できる。
【0024】
請求項7の発明によれば、貫入試験機1を内蔵する上記アースドリルの軸堀りバケットB2ならびに拡底バケットB3の中空ロッド70,80において、ハンマーケーシング10の上昇位置で貫入軸13が先端まで昇降ガイド筒11内に納まると共に、遮蔽部材4Bが該ハンマーケーシング10の上昇位置と下降位置とで表裏反転するように構成されているから、排土のためにバケット部(バケット本体71,バケットボディ81)内に入り込む破砕物から貫入軸13を保護でき、また遮蔽部材4Bも昇降ガイド筒11内に納まることで破損及び傷損を回避できる。
【0025】
請求項8の発明によれば、中空ロッド内に、ドライブハンマー14を上限位置及び下限位置で検出するセンサー16A,16Bと、ハンマーケーシング10の沈下量を計測するエンコーダー17とを備えるから、センサー16からの出力信号によって ドライブハンマー14による打撃回数を確実に捉えることができると共に、エンコーダー17によって貫入軸13の孔底地盤への貫入量を正確に捉えることができる。
【0026】
請求項9の発明に係る杭施工管理方法によれば、上記請求項1〜8のいずれかの杭孔掘削装置の掘削部材(スクリューロッドRs、軸堀りバケットB2、拡底バケットB3)によって地盤Gに所定の杭孔Hを形成後、該杭孔Hに杭(既製杭p1,場所打ち杭P2)を建て込む前に、これら掘削部材を杭孔Hから抜出することなく、その中空ロッド50,70,80に内蔵する貫入試験機1によって孔底Hbの支持強度を実測値(N値)として極めて簡易に且つ確実に測定できるから、該支持強度が所定値以上である場合に建て込み可能と判定し、該杭孔Hに杭を建て込んで杭施工を効率よく完了させることができる。一方、該支持強度が所定値未満の場合には、建て込み不可となるから、更に深く掘削するか、もしくは当該杭孔Hを埋め戻して異なる位置で新たに掘孔して、同様に支持強度の判定を行うようにすればよい。従って、従来において杭施工完了後の載荷試験にて支持強度不足が判明した場合のように、杭建て込み施工をやり直すために多大な労力と時間及びコストを費やす事態を回避できる。また、貫入試験機10として従来より地盤のN値を求めるのに汎用されている標準貫入試験装置を利用できるから、この杭施工管理方法を実施する上で格別な新規設備を必要とせず、それだけ施工コストを抑えられると共に、国際標準のN値での管理を行えるので測定値の高い信頼評価が得られるという利点もある。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る杭孔掘削装置及び杭施工管理方法の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜
図8は第1実施形態の杭孔掘削装置、
図9〜
図12は第2及び第3実施形態の杭孔掘削装置をそれぞれ示す。なお、これら第1〜第3実施形態で共通する構成部分については同一符号を付している。
【0029】
図1で示す第1実施形態の杭孔掘削装置は、プレボーリング工法に用いるアースオーガーであり、3点支持式杭打ち機M1の垂直に保持されたリーダLにオーガーマシンAが昇降可能に装着され、該オーガーマシンAにスクリューロッドRsが上端部で保持されている。このスクリューロッドRsは、直線状のロッドRの周囲に略全長にわたって螺旋羽根Scが形成されたもので、その先端側が下端部に掘削刃51を備える独立の短い先端ロッド部材5Aより構成され、該先端ロッド部材5Aが長い上部側ロッド部材5Bの下端に同軸状に着脱可能に連結されている。
【0030】
先端ロッド部材5Aは、
図2(a)〜(d)に示すように、円筒状の中空ロッド50内に貫入試験機1を内蔵しており、該中空ロッド50の上端に連結用凸型ブロック6Aが嵌合固着される一方、下端板52の中央に丸孔状の開口部53が形成されると共に、常時は該開口部53を図示省略したばねの付勢によって下方側から閉鎖する可動封板54が取り付けられている。なお、掘削刃51は、下端板52の下面に突設された複数の内側刃体51aと、中空ロッド50の外周に張設した一対の螺旋方向に沿う羽根板55の下縁に形成された複数の外側刃体51bとからなる。
【0031】
貫入試験機1は、従来より地盤のN値を求めるのに汎用されている標準貫入試験装置を応用したものであり、中空ロッド50内に同心状に配設固定された円筒状の昇降ガイド筒11内に、円筒状のハンマーケーシング10が昇降自在に装填されると共に、該ハンマーケーシング10の下端にノッキングブロック12が固着され、該ノッキングブロック12の下面に貫入軸13が上端の円板部13aで固着して垂下している。この貫入軸13は、地質試料を採取できるように先端が開口した筒軸状をなし、図示を省略しているが、先端側のシューと、中間の二つ割り可能なスプリットバーレルと、基端側のボールバルブ入りのコネクターヘッドとを同軸状に螺着して一体化したものである。そして、昇降ガイド筒11内の上部側には、ケーシング変位手段2Aとして下向きの伸縮ロッド21aを備える油圧シリンダー21が垂設され、該伸縮ロッド21aの先端がハンマーケーシング10の上端に止着されている。また、ハンマーケーシング10内には、上部側に吊上げ機構3として下向きの伸縮ロッド31aを備える油圧シリンダー31が垂設されると共に、下方にドライブハンマー14が昇降自在に装填されている。
【0032】
しかして、
図2(a)に示すように、ハンマーケーシング10の下端と中空ロッド50の下端の開口部53との間には、ゴムや半硬質合成樹脂等の可撓性材料からなる全体的に同径で伸縮可能なベローズ筒形の遮蔽部材4Aが装着されている。この遮蔽部材4Aは、一端部41を該ハンマーケーシング10の下端に止着し、他端部42を開口部53の周囲部に止着することにより、貫入軸13を取囲む形で昇降ガイド筒11とハンマーケーシング10の間の空間部15を外部から遮断している。
【0033】
昇降ガイド筒11の内周には上下方向に沿う2条のガイドレール11a,11aが径方向に対設されており、ハンマーケーシング10の外周の上下部に突設した各1対の横断面コ字状の嵌合キー10aが両ガイドレール11a,11aに摺動自在に嵌合している。また、ハンマーケーシング10の内周にも上下方向に沿う2条のガイド溝10b,10bが径方向に対設されており、ドライブハンマー14の外周に突設したリブ状の嵌合キー14cが両ガイド溝10b,10bに摺動自在に嵌合している。更に、ハンマーケーシング10の外周には、ドライブハンマー14を上限位置及び下限位置で検出する近接センサー16A,16Bが設けられると共に、昇降ガイド筒11内の上部にはハンマーケーシング10の沈下量を計測するエンコーダー17が設置され、該エンコーダー17から延出する計測コード17aがハンマーケーシング10の上端に止着されている。
【0034】
図2(a)に示すように、中空ロッド50の下部には側方外部に開くグラウト放出口56が形成され、上端の連結用凸型ブロック6Aの中心にはグラウト導入路60が上下方向に貫設されている。そして、該グラウト導入路60Aとグラウト放出口56とを結ぶ配管57Aが、中空ロッド50の内周と昇降ガイド筒11の外周との間に配設されている。また、中空ロッド50内の昇降ガイド筒11より上部側の空間には、両油圧シリンダー21,31の作動を切換制御する電磁バルブEVが設置されている。
【0035】
ケーシング変位手段2Aの油圧シリンダー21は、貫入試験機1の不使用時には、ピストンロッド21aが
図2(a)の如く退入状態でハンマーケーシング10を上方待機位置で保持するが、該貫入試験機1の使用時には、ピストンロッド21aが伸長フリーに切り換えられることで、ハンマーケーシング10を自重下降可能とし、更に試験終了後にはピストンロッド21aの短縮作動によってハンマーケーシング10を上方待機位置まで持ち上げるように駆動制御されている。そして、ハンマーケーシング10が上方待機位置にあるとき、
図2(a)で示すように、貫入軸13は全体が中空ロッド50内に収まり、その下端が下動封板54より上位に配置するように設定されている。なお、
図2(a)(b)に示すように、ケーシング変位手段2Aの油圧シリンダー21及び吊上げ機構3の油圧シリンダー31は、各々の下部が十字状の保持枠21b,31bを介してガイド筒11及びハンマーケーシング10にそれぞれ同心状に固定されている。
【0036】
貫入試験機1の吊上げ機構3は、
図3(a)〜(c)に示すように、油圧シリンダー31の伸縮ロッド31aの先端部に固着した下向き二股状の枢支枠32に、一対のクランプアーム33,33が各々ボルトからなる枢支ピン32aを介して垂直面内で揺動自在に枢着されると共に、該油圧シリンダー31の下端外周部に、下向きに開口して内周下部を下方へ拡大する環状テーパー面34aとする短円筒状の把持解除筒34が固着されている。そして、各クランプアーム33は、各下端に内向き凹の水平円弧状をなす係止部33aが一体形成されており、各係止部33aの内周下部が下向きに拡大するテーパ面33bになり、内周上部側が湾曲爪部33cを形成し、更に上端部の外面側が上方斜めの傾斜面33dになっている。そして、両クランプアーム33,33は、相互の対向する上端部間に介在するコイルスプリング35により、互いの係止部33a,33aが接近する閉方向に付勢されている。一方、
図2(a)及び
図4(a)(b)で示すように、ドライブハンマー14の上面中央には、頂部を径大の裁頭円錐部14bとする係止軸14aが植設されている。
【0037】
この吊上げ機構3では、ハンマーケーシング10内でドライブハンマー14が落下位置にあるとき、油圧シリンダー31のピストンロッド31aを伸長させることにより、
図2(a)及び
図4(a)で示すように、両クランプアーム33,33の係止部33a,33aのテーパ面33b,33bがドライブハンマー14の係止軸14aの裁頭円錐部14bに接触し、傾斜誘導作用によって両クランプアーム33,33がコイルスプリング35の付勢に抗して開くことで、両湾曲爪部33c,33cが裁頭円錐部14bの下側に係合する。そして、この係合状態でピストンロッド31aを収縮作動させることで、ドライブハンマー2を把持して吊り上げるが、ピストンロッド31aが上限位置まで来た際に、
図4(b)に示すように、両クランプアーム33,33の上端部の傾斜面33d,33dが把持解除筒34のテーパ面33bに接触し、傾斜誘導作用によって両クランプアーム33,33がコイルスプリング35の付勢に抗して強制的に開くため、把持解除されたドライブハンマー14が自由落下してハンマーケーシング10の底端のノッキングブロック12を打撃し、この打撃力によってハンマーケーシング10が下動し、その下動分だけ貫入軸13も下がると共に、ベローズ筒形の遮蔽部材4Aも縮むことになる。
【0038】
先端ロッド部材5Aの上端の連結用凸型ブロック6Aは、
図5(a)(b)に示すように、径小の下半部を該中空ロッド50に嵌合固着したベース部61上に、六角軸状の嵌入軸部62が一体に突設されており、該嵌入軸部62の径方向に対向する2つの側面部62a,62aに、それぞれ横方向に沿う断面半円形の係止溝63Aが形成されている。また、ベース部61の上面には、油圧ジョイントのプラグJpの2個が嵌入軸部62を挟む径方向の両側位置に植設されると共に、両プラグJp,Jpと90度の位相差の位置に設けた凹所61aより、電気配線用ケーブルCAの防水マルチコネクタのプラグEpを設けた先端が導出し、且つ凹所64を外す形で周辺に沿ってOリングO1が嵌装されている。
【0039】
しかして、
図5(b)に示すように、ベース部61には、その下面から凹所61a内に至る配線孔61bが穿設されており、該配線孔61bにプラグEp付きの電気配線用ケーブルCAを挿通させている。この電気配線用ケーブルCAは、近接センサー16A,16B、エンコーダー17、電磁バルブEV等の内蔵電気機器に対応する複数本の電線を集合したものであり、そのケーブル端から
図5(b)の如く複数本のコネクタ付き電線wが導出している。また、配線孔61bに繋がる凹所61aは、ベース部61の周面側にも開放しており、その開放側に凹所61aよりも左右幅及び上下長さの大きいカバー取付用凹面部61cが形成されている。更に、ベース部61には、
図6(a)に示すように、その下面から上面に至る2本の通油孔61dが穿設されており、各通油孔61dの上端側には油圧ジョイントのプラグJpが螺挿固着され、同下端側には電磁バルブEV〔
図2(a)参照〕に繋がる油圧ホース58がアダプタ58aを介して接続されている。
【0040】
一方、
図6(a)に示すように、先端ロッド部材5Aを連結する上部側ロッド部材5Bは、中空ロッド50の下端に連結用凹型ブロック6Bが嵌合固着されている。この連結用凹型ブロック6Bは、その中央に先端ロッド部材5A側の連結用凸型ブロック6Aの嵌入軸部62に対応する六角形の嵌合穴65を備え、周面部に平行に貫設された2本のピン挿入孔63,63が各々嵌合穴65の対向する内側面で断面半円形の係止溝63Bを形成しており、該嵌合穴65に先端ロッド部材5Aの嵌入軸部62を挿嵌した状態で、該係止溝63Bと嵌入軸部62側の係止溝63Aとが合わさってピン挿入孔63に連続する断面円形の孔を構成する。従って、
図6(b)(c)に示すように、先端ロッド部材5Aの連結用凸型ブロック6Aと上部側ロッド部材5Bの連結用凹型ブロック6Bとを嵌合し、両ピン挿入孔63,63に各々係止ピン68を挿入することにより、両ロッド部材5A,5Bが同軸状で相対回転不能に堅固に連結される。なお、各ピン挿入孔63は、一端側が係止ピン68の頭部68aを納めるために径大になっている。
【0041】
また、上部側ロッド部材5Bは、連結用凹型ブロック6Bの嵌合穴65の奥端中央に軸方向に沿って貫設されたグラウト導入路60Bを有し、該グラウト導入路60Bの上端には中空ロッド50内に配設されたグラウト供給用の配管57Bが接続されており、先端ロッド部材5Aの連結用凸型ブロック6Aとの嵌合状態で両者のグラウト導入路60A,60Bが連通するようになっている。
【0042】
更に、
図6(a)に示すように、連結用凹型ブロック6Bには、先端ロッド部材5A側の連結用凸型ブロック6Aと同様の凹所61a、配線孔61b、カバー取付用凹面部61c、通油路61dが設けてあり、電気配線用ケーブルCAの防水マルチコネクタのソケットEsを設けた先端が導出している。また、各通油路61dは、下端側が嵌合穴65の側面から凹入して下方に開放する凹部65aに連通しており、該下端側に油圧ジョイントのソケットJsが螺着されると共に、上端側には中空ロッド50内に通した油圧ホース58がアダプタ58aを介して接続されている。そして、該連結用凹型ブロック6Bを先端ロッド部材5Aの連結用凸型ブロック6Aに嵌合した際、両ブロック6A,6Bの油圧ジョイントのプラグJpとソケットJsとが自動的に連結して油路接続されると共に、両6A,6Bの凹所61a,61a同士が対向するように設定されており、両凹所61a,61aから導出する電気配線用ケーブルCAの防水マルチコネクタのプラグEpとソケットEsを嵌合して電気回路を繋ぐことができる。
【0043】
しかして、防水マルチコネクタのプラグEpとソケットEsを接続後、
図6(b)に示すように、側方に開放した両凹所61a,61aは、連結用凸型ブロック6A,6Bのカバー取付用凹面部61c,61cにわたって適嵌する形状及びサイズの蓋板64によって塞がれる。この蓋板64は、
図5(a)(b)に示すように、内面側にゴム層64aを備えており、OリングO2を介して外側から貫通させた上下2本のボルトbを各カバー取付用凹面部61cのねじ孔nに螺挿することにより、両凹所61a,61aを外部に対して気密・液密に封止する。
【0044】
上記構成のアースオーガーを用いたプレボーリング工法による杭施工では、スクリューロッドRsの回転掘削により、
図16(a)(b)で示すように地盤Gに想定される硬質地盤Ghに達する所定深度の杭孔Hを形成したのち、該スクリューロッドRsを引き上げることなく、先端ロッド部材5Aに内蔵する貫入試験機1によって杭底地盤の支持強度を測定する。この測定試験では、
図7(a)に示すように、スクリューロッドRsを僅かに持ち上げて掘削刃51を杭底Hbから離底させ、この離底状態において、上方待機位置に保持していたハンマーケーシング10を、ケーシング変位手段2Aの油圧シリンダー21を下降フリーに切り換えることで自重下降させるか、もしくは該油圧シリンダー21の伸長作動によって下降させる。このハンマーケーシング10の下降に伴い、中空ロッド50の下端の開口部53を封鎖していた可動封板54が貫入軸13の先端の圧接によって押し開かれ、該貫入軸13が開口部53を通して下方外部へ突出し、該貫入軸13の先端が杭底Hbに着底することで、該ハンマーケーシング10の下降が停止して測定試験を開始できる状態となる。なお、ハンマーケーシング10を油圧シリンダー21の伸長作動によって下降させた場合は、貫入軸13の着底後に該油圧シリンダー21を下降フリーに切り換える。
【0045】
測定試験では、
図7(a)の如くハンマーケーシング10内で下端のノッキングブロック12上に載っていたドライブハンマー14を吊上げ機構3の両クランプアーム33,33で把持して吊り上げ、
図7(b)の如く上限位置で把持解除筒34によって両クランプアーム33,33を強制的に開くことで、把持解除された該ドライブハンマー14が自由落下して底端のノッキングブロック12を打撃する。その打撃力により、
図8(a)に示すように、ハンマーケーシング10の下動を伴って貫入軸13が杭底Hbの地盤に貫入するから、以降同様に打撃操作を繰り返すことにより、貫入軸13が孔底Hbから所定深さまで貫入するのに要する打撃回数を計測し、その打撃回数に基づいて杭底Hbの地盤の支持強度が所定値以上であるか否かを判定する。なお、
図7(b)で示すように、地盤Gに対する貫入軸13の貫入が深まるに伴い、ベローズ筒形の遮蔽部材4Aが縮んでゆくことになる。
【0046】
ドライブハンマー14の打撃回数は上下の近接センサー16A,16Bによる検出信号に基づいてカウントされ、また孔底地盤への貫入軸13の貫入量はハンマーケーシング10の下降量としてエンコーダー17で計測される。しかして、両センサー16A,16Bの検出信号とエンコーダー17による計測信号は、電気配線を通して地上の自動計測装置(図示省略)に送られて、打撃回数(N値)がカウントされて記録・表示されると共に、1打撃当たりの沈下量つまり貫入軸13の地盤に対する貫入量及び累計貫入量が記録・表示される。なお、JIS A 1219で規定される標準貫入試験では、質量63.5±0.5kgのドライブハンマー14を76±1cm自由落下させてノッキングブロック12を打撃し、外径51±1mm,内径35±1mmの貫入軸13が地盤に30cm貫入するのに要する打撃回数をN値として表すから、ここで用いる貫入試験機1でも、上記標準貫入試験に準拠して支持強度をN値として掌握すればよい。
【0047】
かくして、測定した杭底地盤の支持強度が所定値以上であれば、杭の建て込みが可能と判定し、以降は既述した
図16(c)〜(f)の工程で、つまりスクリューロッドRsを引き上げつつ(c)ソイルセメント等の根固め液Lsを注入し、続いて(d)孔周固定液Lfを杭孔Hの上部まで注入し、該スクリューロッドRsを抜出したのち、(e)オーガーマシンAに連結用ロッドRjを介してPHC杭やRC杭の如き既製杭P1を連結し、この既製杭P1を杭孔Hに挿入し、(f)該既製杭P1を杭孔H内に埋入して、杭施工を完了すればよい。一方、該支持強度が所定値未満の場合には、建て込み不可となるから、更に深く掘削するか、もしくは当該杭孔Hを埋め戻して異なる位置で新たに掘孔して、同様に支持強度の判定を行うようにすればよい。従って、従来において杭施工完了後の載荷試験にて支持強度不足が判明した場合のように、杭建て込み施工をやり直すために多大な労力と時間及びコストを費やす事態を回避できる。
【0048】
また、このスクリューロッドRsでは、ベローズ筒形の遮蔽部材4Aにより、昇降ガイド筒11とハンマーケーシング10の間の空間部15を外部から遮断しているから、掘削で生じた泥砂、砂礫、泥水等が該空間部15に入り込んでハンマーケーシング10の昇降動作を阻害するのを確実に防止でき、もって測定値の信頼性を確保できると共に、貫入試験機1の耐久性低下を防止できる。更に、不使用時のハンマーケーシング10はケーシング変位手段12Aによって上方待機位置で保持され、貫入軸13が中空ロッド50内に退入させた状態で維持されるから、掘削過程で該貫入軸13が地盤や破砕物に触れて損傷する懸念がないことに加え、下端の開口部53が常時は可動封板54で閉鎖されるから、掘削中には破砕物が該開口部53から中空ロッド50内へ入り込まず、該破砕物による貫入軸13及び遮蔽部材4Aの損傷も回避される。更に、貫入試験機1として従来より地盤のN値を求めるのに汎用されている標準貫入試験装置の主要部を利用でき、それだけ設備コストを抑えられると共に、国際標準のN値での管理を行えるので測定値の高い信頼評価が得られる。一方、掘孔後にスクリューロッドRsを引き上げる際、上部から供給される根固め液Lsや孔周固定液Lf等のグラウトを、配管57を通して中空ロッド50の下部のグラウト放出口56から杭孔H内に放出できるから、既製杭P1を建て込むまで杭孔Hの崩壊を防止できるという利点もある。
【0049】
図9の実線で示す第2実施形態の杭孔掘削装置は、ケリーバ式アースドリル機であり、ブームBoを備えた走行式クレーンM2より斜め前方へ張出するフロントフレームFの先端にケリードライブ装置KDが保持され、ブームBoによって巻上げロープRoを介して吊持されたケリーバKが該ケリードライブ装置KDに上下動可能に挿通し、該ケリーバKの下端に軸堀りバケットB2の取付部を構成する中空ロッド70が連結されている。また、ケリードライブ装置KDの下位には、一対のホースリールHrを設置したロータリーテーブルTrが取り付けられている。このロータリーテーブルTrには油圧用及び電気配線用のロータリーカップリング(図示省略)が設けてある。
【0050】
軸堀りバケットB2は、
図10(a)(b)に示すように、中空ロッド70の下端部に、平面視十字状に配置する取付フレーム72を介して、バケット本体71が開放した上端部で固着されている。そのバケット本体71は、短円筒状の周壁部71aの下端に蓋板73がヒンジ74を介して開閉可能に取り付けられ、該蓋板73には一径方向に沿って一対の土砂取込口(図示省略)とその縁部に配列する複数の掘削刃75が設けられた一般的な形態であるが、該蓋板73の中央に丸孔状の開口部76が形成されている。そして、中空ロッド70には、貫入試験機1が内蔵されている。
【0051】
この貫入試験機1は、第1実施形態のアースオーガーにおけるスクリューロッドRsの先端ロッド部材5Aに内蔵されたものと同様であり、中空ロッド70内に同心状に配設固定された昇降ガイド筒11内に、下端にノッキングブロック12及び貫入軸13を固着したハンマーケーシング10が昇降自在に装填され、昇降ガイド筒11内の上部側にケーシング変位手段2Aの油圧シリンダー21が垂設され、その伸縮ロッド21aの先端がハンマーケーシング10の上端に止着されている。そして、ハンマーケーシング10内には、上部側に既述同様の吊上げ機構3が設けられると共に、下方にドライブハンマー14が昇降自在に装填されている。なお、吊上げ機構3の油圧シリンダー31、枢支枠32、クランプアーム33、把持解除筒34、ドライブハンマー14の係止軸14a、近接センサー〔図示省略、
図2(A)の符号16A,16B参照〕、エンコーダー17、ハンマーケーシング10及びドライブハンマー14の摺動ガイド等の細部構造も第1実施形態の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0052】
しかして、昇降ガイド筒11の下端部11bはバケット本体71の内側上部に突入配置しており、この下端部11bと貫入軸13の中間部との間にベローズ筒形の遮蔽部材4Bが装着されている。この遮蔽部材4Bは、第1実施形態における遮蔽部材4Aと同様の可撓性材料からなるが、両端で径差のある略ラッパ状をなし、その径大側の一端部43が昇降ガイド筒11の下端部11bの内周縁に止着すると共に、径小側の他端部44が貫入軸13の中間に固着した取付リング13bに止着されている。
【0053】
中空ロッド70の上端にはケリーバ接続用のピン孔付き角軸部77が中央に突設されると共に、周辺部には油圧ホースアダプタ78が突設されており、ピン孔付き角軸部77をケリーバKの下端に嵌合してピン止めすることで、
図11に示すように、軸堀りバケットB2を該ケリーバKに一体に連結すると共に、ロータリーテーブルTr(
図9参照)から垂下する油圧ホースhを油圧ホースアダプタ78に接続し、油圧シリンダー21,31の作動制御を行うようになっている。なお、図示を省略しているが、内蔵電気機器に接続する電気ケーブルも油圧ホースHに沿わせて一緒にロータリーテーブルTrを介して配線される。
【0054】
中空ロッド70に内蔵した貫入試験機1は、その不使用時つまり杭孔Hの形成のために軸堀りバケットB2での掘削・排土を行っている間は、
図10(a)に示すように、ケーシング変位手段2Aの油圧シリンダー21のピストンロッド21aが退入状態でハンマーケーシング10を上方待機位置で保持している。そして、このハンマーケーシング10の上方待機位置では、図示の如く、貫入軸13の全体がガイド筒11内に収まり、遮蔽部材4Bもガイド筒11内に引き込まれた状態にある。一方、貫入試験機1の使用時には、前述の第1実施形態と同様に、ハンマーケーシング10を、油圧シリンダー21を伸長フリーに切り換えて自重で下降させるか、もしくは該油圧シリンダー21の伸長作動で下降させる。この下降に伴い、
図10(b)に示すように、バケット本体71内に垂下した貫入軸13の先端側が下端の開口部76を通って下方外部へ突出すると共に、遮蔽部材4Bがガイド筒11内に引き込まれた状態から反転してバケット本体71内に入る。
【0055】
第3実施形態の杭孔掘削装置は、第2実施形態同様のケリーバ式アースドリル機であるが、
図9の仮想線で示すように、ブームBoに吊持されてケリードライブ装置KDに挿通したケリーバKの下端に、拡径バケットB3が連結されている。この拡径バケットB3は、
図12で示すように、略円筒状のバケットボディ81に、複数枚(図示は2枚)の拡大翼82がヒンジ83を介して開閉可能に枢着すると共に、該バケットボディ81の下端に径大の底板84が取り付けられている。この底板84の内面は中心側に低く緩傾斜しており、その中心位置に円形の開口部85が形成されている。そして、バケットボディ81内の中央部には、円筒形の中空ロッド80が上下位置で平面視十字状に配置する取付フレーム86(上位側は図示省略)を介して固設され、この中空ロッド80内に貫入試験機1が内蔵されている。
【0056】
この貫入試験機1は、既述した第2実施形態の軸掘りバケットB2における中空ロッド70に内蔵するものと全く同様のものであるため、その構造等の説明は省略する。しかして、昇降ガイド筒11の下端部11bは図示の如く底板84から上方に離れた位置にあり、その下端部11bと貫入軸13の中間部との間に第2実施形態と同様のベローズ筒形の遮蔽部材4Bが装着されている。
【0057】
中空ロッド80に内蔵した貫入試験機1は、第2実施形態の場合と同様に、その不使用時には図示実線の如くハンマーケーシング10が上方待機位置で保持され、貫入軸13及び遮蔽部材4Bがガイド筒11内に引き込まれているが、使用時にはハンマーケーシング10が自重下降することで、
図12の仮想線の如く、貫入軸13が底板84の開口部85を通って下方外部へ突出すると共に、遮蔽部材4Bが反転してガイド筒11から出るようになっている。
【0058】
拡大翼82は、下部ほど広幅で、側縁に沿って多数の掘削刃82aが固着されており、開閉機構9により、不使用時のバケットボディ81の外面側に重なって閉じた状態と、使用時の図示の如く外側へ開いた状態とに転換するようになっている。この開閉機構9は、中空ロッド80に昇降自在に外嵌する環状の昇降枠91、該昇降枠91を昇降変位させる油圧シリンダ92、両端を昇降枠81と拡大翼82に枢着した開閉ロッド93より構成されており、不使用時の拡大翼82が閉じた状態から油圧シリンダ92の伸長作動で昇降枠91を下動させることにより、開閉ロッド93が拡大翼82を押し開き、逆に油圧シリンダ92の短縮作動で拡大翼82を使用時の開いた状態から引き閉じる。なお、バケットボディ81の周面には拡大翼82が開くことで外部へ開放する大きな側方開口部87を有し、拡底中に発生する地盤破砕物をバケットボディ81内に取り込んで地上へ排土するようになっている。また、中空ロッド80の上端には、第2実施形態における中空ロッド70と同様に、ケリーバ接続用のピン孔付き角軸部88が中央に突設されると共に、周辺部には油圧ホースアダプタ89が突設されている。
【0059】
第2実施形態のケリーバ式アースドリル機を用いたアースドリル工法による杭施工では、軸堀りバケットB2の回転掘削と排土の反復により、
図17(d)で示すように地盤Gに想定される硬質地盤Ghに達する所定深度の杭孔Hを形成したのち、該杭孔Hに挿入している軸堀りバケットB2に内蔵する貫入試験機1によって杭底地盤の支持強度を測定する。この測定試験は、バケット本体61の底端を杭底Hsから僅かに離底させた状態で、第1実施形態の場合と同様にケーシング変位手段2Aの油圧シリンダー21を下降フリーに切り換えるか、もしくは該油圧シリンダー21を伸長作動させることにより、上方待機位置にあったハンマーケーシング10を下降させ、もってバケット本体71の底端の開口部76に挿通した貫入軸13の先端を杭底Hbに着底させ、第1実施形態の場合と同様にドライブハンマー14の自由落下でノッキングブロック12を打撃し、貫入軸13が孔底Hbから所定深さまで貫入するのに要する打撃回数を計測し、その打撃回数に基づいて杭底Hbの地盤の支持強度が所定値以上であるか否かを判定する。
【0060】
かくして測定した杭底地盤の支持強度が所定値以上であれば、杭の建て込みが可能と判定し、以降は既述した
図17(e)〜(j)の工程により、鉄筋籠Fcを挿入して生コンCを打設し、場所打ち杭P2を建て込めばよい。また、拡底杭施工を行う場合は、上記測定試験後の軸堀りバケットB2に代えて拡底バケットをケリーバKに連結し、該拡底バケットによる回転切削及び排土で杭孔Hの底部を拡大したのち、以降同様にして場所打ち杭P2を建て込むことになる。
【0061】
一方、第3実施形態のケリーバ式アースドリル機を用いたアースドリル工法による杭施工では、貫入試験機1を内蔵しない通常の軸堀りバケットB2を用い、その回転掘削と排土の反復により、
図17(d)で示すように地盤Gに想定される硬質地盤Ghに達する所定深度の杭孔Hを形成したのち、該杭孔Hから引き上げた軸堀りバケットB2に代えて、貫入試験機1を内蔵する拡底バケットB3をケリーバKに連結し、該拡底バケットB3を杭孔Hの底部まで挿入し、その回転切削及び排土で杭孔Hの底部を拡大するが、その拡底作業前又は拡底作業後に内蔵する貫入試験機1によって杭底地盤の支持強度を測定する。この測定試験は、第2実施形態の場合と同様に、拡底バケットB3の底端を杭底Hsから僅かに離底させた状態で、上方待機位置にあったハンマーケーシング10を下降させ、底端の開口部85に挿通した貫入軸13の先端を杭底Hbに着底させ、第1及び第2実施形態の場合と同様にドライブハンマー14の自由落下でノッキングブロック12を打撃し、貫入軸13が孔底Hbから所定深さまで貫入するのに要する打撃回数を計測し、その打撃回数に基づいて杭底Hbの地盤の支持強度が所定値以上であるか否かを判定する。そして、測定した杭底地盤の支持強度が所定値以上であれば、杭の建て込みが可能と判定し、以降は第2実施形態と同様に
図17(e)〜(j)の工程により、鉄筋籠Fcを挿入して生コンCを打設し、場所打ち杭P2を建て込めばよい。
【0062】
これら第2及び第3実施形態における貫入試験機1による測定で杭底地盤の支持強度が所定値未満の場合には、建て込み不可となるから、更に深く掘削するか、もしくは当該杭孔Hを埋め戻して異なる位置で新たに掘孔して、同様に支持強度の判定を行うようにすればよい。従って、従来において杭施工完了後の載荷試験にて支持強度不足が判明した場合のように、杭建て込み施工をやり直すために多大な労力と時間及びコストを費やす事態を回避できる。
【0063】
そして、これら第2及び第3実施形態のケリーバ式アースドリル機の軸堀りバケットB2及び拡底バケットB3では、ベローズ筒形の遮蔽部材4Bにより、昇降ガイド筒11とハンマーケーシング10の間の空間部15を外部から遮断しているから、掘削で生じた泥砂、砂礫、泥水等が該空間部15に入り込んでハンマーケーシング10の昇降動作を阻害するのを確実に防止でき、もって測定値の信頼性を確保できると共に、貫入試験機1の耐久性低下を防止できる。更に、掘削・排土中に使用しない貫入試験機1のハンマーケーシング10がケーシング変位手段2Bによって上方待機位置で保持され、この上方待機位置では貫入軸13及び遮蔽部材4Bが中空ロッド70,80内に納まるから、掘削過程で該貫入軸13及び遮蔽部材4Bが地盤や破砕物に触れて損傷したり破損する懸念がないことに加え、排土のためにバケット部内に入り込む破砕物からも貫入軸13及び遮蔽部材4Bが保護される。また、これら第2及び第3実施形態のケリーバ式アースドリル機においても、第1実施形態の場合と同様に、貫入試験機1として従来より地盤のN値を求めるのに汎用されている標準貫入試験装置の主要部を利用でき、それだけ設備コストを抑えられると共に、国際標準のN値での管理を行えるので測定値の高い信頼評価が得られる。
【0064】
上述の第1〜第3実施形態では、貫入試験機1のケーシング変位手段2Aとして、先端が該ハンマーケーシング10に止着したピストンロッド21aを貫入試験機1の使用時に伸長フリーに切り換え可能な油圧シリンダー21を例示したが、本発明の杭孔掘削装置における該ケーシング変位手段は、ハンマーケーシング10を不使用時に上方待機位置で保持し、使用時に下降自在とし、更に使用後に上方待機位置へ持ち上げる機能を有すればよく、例示以外の種々の機構を採用できる。
【0065】
例えば、
図13(a)〜(c)に示すケーシング変位手段2Bは、油圧シリンダー22の下向きのピストンロッド22aの先端に、下端側を径大で逆円錐状に尖った係止頭部23aとする係止軸23が固着される一方、ハンマーケーシング10の上端に周方向に等配配置した複数本(図示は4本)のクランプアーム25が設けられている。そして、係止軸23の係止頭部23aよりも上位側には、クランプアーム25に対する位置を確認するためのセンサーリング24が昇降自在に嵌装されている。また、各クランプアーム25は、上端に内向きの係止爪25aを有すると共に、中間部の内側に略半円状に膨出した開閉ガイド部25bを有しており、ハンマーケーシング10の上端に固着した円盤状の取付台板26の各二股状のブラケット部26aに、枢支ピン27を介して内外方向に傾動自在に枢着されている。また、クランプアーム25同士は、各クランプアーム25の中間部に挿通して両端を繋ぎ留めて環状にしたコイルスプリング28により、一体に起立方向に付勢されている。更に、取付台板26の中央には円錐状の凹部26bが形成されている。
【0066】
このケーシング変位手段2Bでは、
図14(a)〜(c)で順次に示すように、昇降ガイド筒11内の下方に位置するハンマーケーシング10に対し、油圧シリンダー21のピストンロッド22aを下方へ伸長させ、その先端の係止軸23の係止頭部23aを直立している複数本のクランプアーム25の内側に割り込ませ、全部のクランプアーム25をコイルスプリング28の付勢に抗して外側へ傾動させ、更に該ピストンロッド22aを係止軸23の係止頭部23aが各クランプアーム25の係止爪25aより下位になるまで下動させることにより、コイルスプリング28の蓄力で各クランプアーム25が係止爪25aを係止頭部23aの上端に係止する形で直立状態に復帰する。従って、次に該係止状態つまり
図14(c)の状態で油圧シリンダー21を短縮作動させることにより、ハンマーケーシング10を上方待機位置まで持ち上げて保持することができる。
【0067】
一方、貫入試験機1による測定を行う場合は、
図15(a)〜(e)で順次に示すように、上方待機位置で保持していたハンマーケーシング10に対し、まず油圧シリンダー21のピストンロッド22aを係止軸23の係止頭部23aの先端が取付台板26の凹部26bに突き当たるまで伸長させ、もって該係止頭部23aを各クランプアーム25の開閉ガイド部25bに押接させることにより、各クランプアーム25をコイルスプリング28の付勢に抗して外側へ大きく傾動させ、次いで急速にピストンロッド22aを上動させることにより、係止頭部23aをクランプアーム25から上方へ離脱させる。これにより、係止解除されたハンマーケーシング10は、貫入軸13の先端が杭孔Hに着底するまで自重で落下することになる。なお、貫入軸13の着底を確認できない場合は、油圧シリンダー21の伸長作動により、係止軸23の係止頭部23aの先端を取付台板26の凹部26bに押接し、更にピストンロッド22aを下動させることにより、強制的に貫入軸13を着底させることができる。
【0068】
このように、ケーシング変位手段2A,2Bでは、ハンマーケーシング10を油圧で強制的に下降させることができるから、例えば該孔底Hbに堆積した地盤破砕物が障害となり、該ハンマーケーシング10の自重のみでは、貫入軸13の先端が孔底地盤に着底しにくい場合や、貫入試験機1内蔵の軸堀りバケットB2及び拡底バケットB3において、底端の開口部76,85が内側へ入り込んだ地盤破砕物で詰まって貫入軸13を挿通できない場合に、ピストンロッド21a,22aの下動により貫入軸13の孔底地盤への着底あるいは開口部76,85への挿通を可能にできる。
【0069】
また、第1〜第3実施形態では貫入試験機1における昇降ガイド筒10のガイドレール11a,11aに対してハンマーケーシング10が嵌合キー10aを介して摺接する構造を例示したが、その摺接抵抗による計測誤差を排除するために、該嵌合キー10aに代えてガイドローラーをハンマーケーシング10の外周に取り付け、このガイドローラーを昇降ガイド筒10側のガイドレール部に転接させる構造としてもよい。
【0070】
本発明は、第1〜第3実施形態で例示したスクリューロッドRsの先端ロッド部材5A、軸堀りバケットB2、拡底バケット3Bに限らず、回転掘削を行う掘削部材を備える杭孔掘削装置全般に適用できる。また、掘削部材がスクリューロッドRsの先端ロッド部材5A、軸堀りバケットB2、拡底バケット3Bの場合であっても、内蔵する貫入試験機を除く各部の構造及び形状、上部側ロッド部材5BやケリーバKとの連結構造、油圧用の作動油ならびに電気配線の接続形態、拡底バケットB3における拡大翼42の開閉機構等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。
【解決手段】回転掘削を行う下端ロッド部材5Aの中空ロッド50内に、貫入試験機1のハンマーケーシング10、固定の昇降ガイド筒11、ケーシング変位手段2A、ハンマーケーシング10の下端に固着されたノッキングブロック12及び貫入軸13、ノッキングブロック12を自由落下によって打撃するドライブハンマー14、落下後のドライブハンマー14を吊り上げて所定高さで下放する吊上げ機構3を内蔵する。中空ロッド50の下端中央部に開口部53が形成され、貫入軸13を取囲む形で昇降ガイド筒11とハンマーケーシング10の間の空間部15を外部から遮断し、且つ伸縮してハンマーケーシング10の昇降を許容するベローズ筒形の遮蔽部材4Aが設けられ、所要の杭孔Hを形成後、開口部53より突出した貫入軸13が孔底Hbから所定深さ貫入するのに要するドライブハンマー14の打撃回数から孔底Hbの支持強度を調べる貫入試験を実施可能とする。