(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
腫瘍を有する被験体を処置するための組成物であって、該組成物は、GITR結合抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、該組成物は治療と組み合わせて投与されることを特徴とし、
該GITR結合抗体または該抗原結合フラグメントは、エフェクターT細胞アゴニスト活性を有し、該治療は該組成物の投与の前に少なくとも1回投与されることを特徴とし、
該治療は、該被験体における癌細胞死を生じさせるかまたは該被験体における癌細胞に対して抗増殖作用を及ぼし、該治療は化学療法剤を含み、そして、該組成物は、該治療と相乗的に作用する、組成物。
前記代謝拮抗薬が、アミノプテリン、メトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン、カペシタビン、シタラビン、フルオロウラシル、フロクスウリジンおよびゲムシタビンからなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。
前記微小管形成に影響を及ぼす作用物質が、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、タキソテール、エトポシドおよびテニポシドからなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。
前記ヒト化抗体または前記ヒト化抗原結合フラグメントが、配列番号1、2、4、5、6および7に示すかまたは配列番号1、3、4、5、6および7に示すCDRを含む、請求項15に記載の組成物。
前記ヒト化抗体または前記ヒト化抗原結合フラグメントが、配列番号1、2、4、5、6および7に示すかまたは配列番号1、3、4、5、6および7に示すCDRを含む、請求項23に記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、一部には、癌の
処置のための方法およびキットを提供する。より詳細には、GITR結合分子、たとえば抗GITR抗体、およびGITR結合分子ではない少なくとも1つの付加的な作用物質(たとえば化学療法剤)を使用する併用療法が、いずれの作用物質単独よりも特定腫瘍の大きさを縮小するうえで有効であることが示された。
【0029】
TNF受容体スーパーファミリー
メンバー18(TNFRSF 18)としても知られる、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリー関連遺伝子(GITR)は、TNF受容体ファミリー
メンバーに相同性を有するI型膜貫通タンパク質である(Nocentini Gら(1997)Proc Natl Acad Sci USA 94:6216−21;Gurney ALら(1999)Curr Biol 9:215−8)。GITRは、休止期のCD4+およびCD8+ T細胞上で低レベルに発現され、T細胞の活性化後に上方調節される。GITRの連結は、CD4+およびCD8+ T細胞の増殖とエフェクター機能の両方を増強する共刺激シグナルを与える(Kohm APら(2004)J Immunol 172:4686−90;Kanamaru Fら(2004)J Immunol 172:7306−14;Ronchetti Sら(2004)Eur J Immunol 34:613−22;Tone Mら(2003)Proc Natl Acad Sci USA 100:15059−64;Stephens GLら(2004)J Immunol 2004;173:5008−20)。加えて、GITRは制御性T細胞上で構成的に高レベルで発現される。GITRは特定タンパク質抗原に対する免疫応答を高めることが以前に示されているが、癌に対抗するために使用される作用物質の抗腫瘍作用を増強することはこれまで示されていなかった。
【0030】
本発明がより容易に理解されるように、最初にいくつかの用語を定義する。
【0031】
I.定義
便宜上、本発明のさらなる説明の前に、本明細書、実施例および付属の特許請求の範囲において使用されるいくつかの用語をここで定義する。
【0032】
単数形態「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に異なる指示が為されない限り、複数の言及を包含する。
【0033】
「投与すること」という用語は、被験体の系へのまたは被験体の体内もしくは体上の特定領域への医薬組成物または治療薬の送達の任意の方法を包含する。本明細書で使用される「全身投与」、「全身的に投与される」、「末梢投与」および「末梢的に投与される」という語句は、化合物、薬剤または他の物質が被験体の系に入るように、そしてそれゆえ代謝および他の同様のプロセスを受けるように、中枢神経系への直接投与以外の化合物、薬剤または他の物質の投与、たとえば皮下投与を意味する。「非経口投与」および「非経口的に投与される」は、通常は注射による、経腸的投与および局所投与以外の投与の方法を意味し、限定されることなく、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内および胸骨内注射および注入を包含する。
【0034】
本明細書で使用される、TNF受容体スーパーファミリー18(TNFRSF18)、TEASRおよび312C2としても知られる、「グルココルチコイド誘導性TNF受容体」(本明細書では「GITR」と略す)という用語は、腫瘍壊死因子/神経成長因子受容体ファミリーの
メンバーを指す。GITRは、細胞外ドメイン内の3つのシステインシュードリピートによって特徴づけられる241アミノ酸のI型膜貫通タンパク質であり、T細胞受容体誘導性のアポトーシスを特異的に保護するが、Fasトリガリング、デキサメタゾン処理またはUV照射を含む他のアポトーシスシグナルからは細胞を保護しない(Nocentini,Gら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA 94:6216−622)。3つのスプライス変異体が存在する、ヒトGITR(hGITR)の核酸およびアミノ酸配列は公知であり、たとえばGenBankアクセッション番号gi:40354198、gi:23238190、gi:23238193およびgi:23238196に見出すことができる。
【0035】
本明細書で使用される「結合分子」という用語は、その標的に特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を含む分子を包含する。たとえば、1つの実施形態では、本発明の方法における使用のための結合分子は、免疫グロブリン抗原結合部位または受容体結合に関与するリガンド分子の部分を含む。
【0036】
1つの実施形態では、結合分子は少なくとも2つの結合部位を含む。1つの実施形態では、結合分子は2つの結合部位を含む。1つの実施形態では、結合分子は3つの結合部位を含む。もう1つの実施形態では、結合分子は4つの結合部位を含む。
【0037】
「GITR結合分子」という用語は、少なくとも1つのGITR結合部位を含む分子を指す。本発明の方法およびキットにおける使用に適するGITR結合分子の例は、たとえば、その各々が全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公報第US20070098719号、同第US20050014224号もしくは国際公開公報第WO05007190号に記載されている結合分子、または米国特許公報第US20070098719号、同第US20050014224号もしくは国際公開公報第WO05007190号の1つに示されているCDRを含む結合分子を包含するが、これらに限定されない。もう1つの実施形態では、GITR結合分子は、配列番号1、2または3、4、5、6または7に示すCDRの1またはそれ
より多くを含み得る。[配列番号1(GFSLSTSGMGVG(重鎖CDR1))、配列番号2(HIWWDDDKYYNPSLKS(重鎖CDR2N))、配列番号4(TRRYFPFAY(重鎖CDR3))、配列番号5(KASQNVGTNVA(軽鎖CDR1))、配列番号6(SASYRYS(軽鎖CDR2))、配列番号7(QQYNTDPLT(軽鎖CDR3))、および配列番号3(HIWWDDDKYYQPSLKS(
HC CDR2Q))]。1つの実施形態では、結合分子は1つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、結合分子は2つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、結合分子は3つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、結合分子は4つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、結合分子は5つのCDRを含む。さらにもう1つの実施形態では、結合分子は6つのCDR全部を含む。本発明の方法における使用に適する例示的なGITR結合分子はまた、R&D Systemsより入手可能なMAB689などの、市販のGITR結合分子を包含する。
【0038】
「特異的に結合する」とは、結合分子が基本的に非GITR分子に対してバックグラウンド結合を示すことを意味する。GITRに特異的に結合する単離結合分子は、しかし、他の種からのGITR分子に対して交差反応性を有してもよい。
【0039】
本明細書で使用される、結合分子という用語は、抗体(完全長抗体を含む)、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特性抗体(たとえば二重特異性抗体)、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、抗体フラグメント、たとえばFabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって作製されるフラグメント、前記のいずれかのエピトープ結合フラグメント、および、それらが所望活性、たとえばGITRへの結合を示す限り、操作された形態の抗体(すなわち抗体分子に由来する結合部位を含む分子)、たとえばscFv分子またはscFv分子を含む分子を包含する。1つの実施形態では、本発明の併用療法における使用のためのGITR結合分子は、T細胞および樹状細胞上のGITRに結合する。1つの実施形態では、本発明の併用療法における使用のためのGITR結合分子は、高い親和性でhGITRに結合すること、GITR活性を作動させること(たとえば、刺激物質、たとえばCD3の存在下で)、ならびに体液性および/またはT細胞エフェクター応答を高めることの1またはそれ
より多くによって特徴づけられる。
【0040】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は、「抗体」または「免疫グロブリン」分子、たとえば天然に生じる抗体もしくは免疫グロブリン分子、または抗体分子と同様に抗原に結合する遺伝子操作された抗体分子である。本明細書で使用される、「免疫グロブリン」という用語は、何らかの関連する特異的免疫反応性を備えるか否かにかかわらず、2本の重鎖と2本の軽鎖の組合せを有するポリペプチドを包含する。「抗体」は、抗原に対する重要な公知の特異的免疫反応活性を有する構築物(assembly)を指す。抗体および免疫グロブリンは、軽鎖と重鎖を含み、それらの間に鎖間共有結合を有するかまたは有さない。脊椎動物系における基本的な免疫グロブリン構造は比較的よく理解されている。
【0041】
「免疫グロブリン」という総称は、生化学的に区別することができる5つの異なるクラスの抗体を含む。5つのクラス全部の抗体が明確に本発明の範囲内である。IgGに関して、免疫グロブリンは、分子量約23,000ダルトンの2本の同一のポリペプチド軽鎖と分子量53,000〜70,000の2本の同一の重鎖を含む。4本の鎖はジスルフィド結合によって「Y」字形状に連結されており、軽鎖は、「Y」の口の部分から始まって可変領域へと続く重鎖を囲んでいる。
【0042】
軽鎖と重鎖の両方が、構造的および機能的に相同な領域に分けられる。「定常」および「可変」という用語は機能的に使用される。これに関して、軽鎖部分の可変ドメイン(VL)および重鎖部分の可変ドメイン(VH)が抗原の認識と特異性を決定することは理解される。逆に言えば、軽鎖の定常ドメイン(CL)および重鎖の定常ドメイン(CH1、CH2またはCH3)は、分泌、経胎盤移動度、Fc受容体結合、補体結合等のような重要な生物学的性質を付与する。慣例により、定常領域ドメインの番号は、抗体の抗原結合部位またはアミノ末端からより遠位になるに従って増加する。N末端は可変領域であり、C末端には定常領域が存在する;CH3ドメインとCLドメインは、実際にはそれぞれ重鎖と軽鎖のカルボキシ末端を含む。
【0043】
軽鎖はカッパまたはラムダ(κ、λ)のいずれかとして分類される。各々の重鎖クラスは、κ軽鎖またはλ軽鎖のいずれかと結合し得る。一般に、軽鎖と重鎖は互いに共有結合されており、免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞または遺伝子操作された宿主細胞のいずれかによって作製されるとき、2本の重鎖の「尾」部分は共有ジスルフィド結合または非共有結合によって互いに結合される。重鎖では、アミノ酸配列は、Y字形状の分岐端のN末端から各々の鎖の基部のC末端まで続く。当業者は、重鎖がガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン(γ、μ、α、δまたはε)と分類され、その中にいくつかのサブクラス(たとえばγ1〜γ4)があることを認識する。抗体の「クラス」をそれぞれIgG、IgM、IgA、IgGまたはIgEとして決定するのはこの鎖の性質である。免疫グロブリンサブクラス(アイソタイプ)、たとえばIgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1等は広く特徴づけられており、機能的特殊性を与えることが知られている。これらのクラスおよびアイソタイプの各々の修飾型は、本開示を考慮して当業者に容易に認識可能であり、従って本発明の範囲内である。
【0044】
可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、特異的に結合することを可能にする。すなわち、抗体のV
LドメインとV
Hドメインが組み合わさって、三次元の抗原結合部位を規定する可変領域を形成する。この四次抗体構造は、Y字の各々のアームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。より詳細には、抗原結合部位は、V
HおよびV
L鎖の各々の3つの相補性決定領域(CDR)によって規定される。
【0045】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、たとえば任意のアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgE等)の全長抗体を含み、その抗原結合フラグメントを包含する。例示的な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体および多価抗体を含む。抗体は、従来の手法を用いて断片化され得る。それゆえ、抗体という用語は、特定抗原に能動的に結合することができる、抗体分子のタンパク質分解によって切断された部分または組換えによって作製された部分のセグメントを包含する。タンパク質分解および/または組換えによる抗原結合フラグメントの非限定的な例は、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv、ならびにペプチドリンカーによって連結されたV[L]および/またはV[H]ドメインを含む一本鎖抗体(sFv)を含む。
【0046】
本発明の結合分子は、免疫グロブリン分子の任意のアイソタイプ(たとえばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン重鎖を含み得る。結合分子は重鎖および軽鎖の両方を有し得る。
【0047】
「抗原」は、結合分子が特異的に結合する実体(たとえばタンパク質性の実体またはペプチド)である。
【0048】
「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、結合分子が特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、連続するアミノ酸またはタンパク質の三次元折りたたみによって並列された非連続アミノ酸の両方から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には変性溶媒への暴露後も保持されるが、三次元折りたたみによって形成されるエピトープは、典型的には変性溶媒による処理後に失われる。エピトープは、典型的には、独特の空間コンホメーションで少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個のアミノ酸を含む。エピトープの空間コンホメーションを決定する方法は、たとえばX線結晶解析および二次元核磁気共鳴を含む。たとえば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris編集(1996)参照。
【0049】
同じエピトープを認識する結合分子は、ある抗体が、標的抗原へのもう1つ別の抗体の結合をブロックする能力を示す簡単な免疫検定法、すなわち競合結合アッセイにおいて同定することができる。競合結合は、試験される結合分子が、GITRなどの共通抗原への標準結合分子の特異的結合を阻害するアッセイにおいて測定される。数多くの種類の競合結合アッセイ、たとえば:固相直接または間接放射免疫検定法(RIA);固相直接または間接酵素免疫検定法(EIA);サンドイッチ競合アッセイ(Stahliら、Methods in Enzymology 9:242(1983)参照);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Kirklandら、J.Immunol.137:3614(1986)参照);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(HarlowとLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988)参照);I−125標識を使用する固相直接標識RIA(Morelら、Mol.Immunol.25(1):7(1988)参照);固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheungら、Virology 176:546(1990));および直接標識RIA(Moldenhauerら、Scand.J.Immunol.32:77(1990))が公知である。典型的には、そのようなアッセイは、固相表面またはこれらのいずれかを担持する細胞に結合された精製抗原、非標識試験結合分子および標識標準結合分子の使用を含む。競合阻害は、試験結合分子の存在下で固相表面または細胞に結合した標識の量を決定することによって測定される。通常、試験結合分子は過剰に存在する。通常、競合結合分子が過剰に存在するとき、競合結合分子は、共通抗原への標準結合分子の特異的結合を少なくとも50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%またはそれ
を超えて阻害する。
【0050】
エピトープはまた、免疫細胞、たとえばB細胞および/またはT細胞によっても認識される。エピトープの細胞認識は、
3H−チミジンの取り込みによって、サイトカイン分泌によって、抗体分泌によって、または抗原依存性死滅(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ)によって決定される、抗原依存性増殖を測定するインビトロアッセイによって判定することができる。
【0051】
本明細書で使用される「モノクローナル結合分子」という用語は、実質的に均一な結合分子の集団から得られる結合分子を指す。モノクローナル結合分子は高度に特異的であり、1つの抗原部位だけを対象とする。さらに、典型的には種々の抗原決定基(エピトープ)に対する種々の結合分子を含むポリクローナル結合分子製剤と異なり、各々のモノクローナル結合分子は抗原上の単一決定基を対象とする。「モノクローナル」という修飾語は、結合分子の実質的に均一な集団から得られたものであるという結合分子の性質を指示し、何らかの特定方法による結合分子の作製を必要とすると解釈されるべきではない。たとえば、本発明に従って使用されるモノクローナル結合分子は、Kohlerら、Nature 256:495(1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(たとえば米国特許第4,816,567号参照)によって作製され得る。「モノクローナル結合分子」はまた、たとえばClacksonら、Nature 352:624−628(1991)およびMarksら、J.Mol Biol.222:581−597(1991)に述べられている手法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0052】
「キメラ結合分子」という用語は、異なる種に由来するアミノ酸配列を含む結合分子を指す。キメラ結合分子は、異なる種に属する結合分子の遺伝子セグメントから、たとえば遺伝子操作によって、構築することができる。
【0053】
本明細書におけるモノクローナル結合分子は、特に、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する結合分子内の対応配列と同一または相同であるが、鎖の残りの部分は、もう1つ別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する結合分子内の対応配列と同一または相同である「キメラ」結合分子、ならびに、それらが所望生物活性(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855(1984))、たとえば、GITR、たとえばヒトGITR(hGITR)への結合ならびにTエフェクター応答および/または体液性応答を高めることを示す限り、そのような結合分子のフラグメントを包含する。
【0054】
非ヒト(たとえばマウス)結合分子の「ヒト化」形態は、非ヒト結合分子に由来する最小配列を含む抗体である。ほとんどの場合、ヒト化結合分子は、超可変領域からのCDR残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー結合分子)の超可変領域からのCDR残基によって置き換えられているヒト結合分子(アクセプター/レシピエント結合分子)である。一部の場合には、ヒト結合分子のFvフレームワーク領域(FR)の残基が変化している、たとえば非ドナー残基(たとえば生殖細胞系残基)によって置き換えられているもしくは置換されているか、または対応するドナーヒト残基に復
帰変異している。さらに、ヒト化結合分子は、レシピエント結合分子またはドナー結合分子では認められない残基を含んでもよい。これらの修飾は、一般に結合分子の能力をさらに改良するために行われる。一般に、ヒト化結合分子は、超可変ループの全部または実質的に全部が非ヒト結合分子のものに対応し、且つFR領域の全部または実質的に全部がヒト結合分子配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含む。ヒト化結合分子はまた、場合により、少なくとも結合分子の定常領域(Fc)の一部、典型的にはヒト結合分子の定常領域の一部を含む。さらなる詳細については、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)参照。
【0055】
「多重特異性」という用語は、2以上の標的抗原に対して特異性を有する結合分子を包含する。そのような分子は、各々の結合部位が異なる標的分子または同じ標的上の異なる抗原部位に特異的に結合する(たとえば免疫反応する)、2以上の結合部位を有する。
【0056】
1つの実施形態では、本発明の多重特異性結合分子は、少なくとも2つの標的、たとえば2以上の標的分子または同じ標的分子上の2以上のエピトープに対して結合特異性を有する二重特異性分子(たとえば抗体、ミニボディ、ドメイン欠失抗体または融合タンパク質)である。
【0057】
1つの実施形態では、抗体の修飾形態は、当技術分野で公知の手法を用いて全長前駆体または親抗体から作製することができる。例示的な手法を以下でさらに詳細に論じる。特に好ましい実施形態では、本発明のポリペプチドの可変領域と定常領域の両方がヒトである。1つの実施形態では、完全ヒト抗体を、当技術分野で公知の手法を用いて作製することができる。たとえば、特
定の抗原に対する完全ヒト抗体は、抗原投与に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが、その内在性遺伝子座は無効にされたトランスジェニック動物に抗原を投与することによって作製できる。抗体を作製するために使用できる例示的な手法は、米国特許第6,150,584号、同第6,458,592号、同第6,420,140号に述べられている。ライブラリーの使用などの他の手法も当技術分野において公知である。
【0058】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は、抗体分子、たとえば無傷抗体分子または抗体分子のフラグメントを含む。もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、修飾された抗体分子または合成抗体分子である。1つの実施形態では、本発明の結合分子は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、または組換えによって作製された抗体の全部または一部(たとえば抗体からの少なくとも1つの抗原結合部位、少なくとも1つのCDR)を含む。
【0059】
結合分子が抗体または修飾抗体である実施形態では、抗原結合部位と重鎖部分が同じ免疫グロブリン分子に由来する必要はない。これに関して、可変領域は、体液性応答を開始させ、所望抗原に対する免疫グロブリンを生成するように誘導され得るいかなる種類の動物に由来してもよい。ポリペプチドの可変領域は、それ自体、たとえば哺乳動物起源であり得る、たとえばヒト、マウス、ラット、非ヒト霊長類(カニクイザル、マカク等など)、オオカミ、ラクダ科の動物(たとえばラクダ、ラマおよび関連種から)であり得る。もう1つの実施形態では、可変領域は軟骨魚類起源(たとえばサメから)であり得る。
【0060】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は修飾抗体である。本明細書で使用される、「操作された」または「修飾抗体」という用語は、天然では生じないように変化している合成形態の抗体、たとえば完全な重鎖を含まない抗体(ドメイン欠失抗体またはミニボディなど);2またはそれ
より多い異なる抗原または単一抗原上の複数の異なるエピトープに結合するように変化した多重特異性形態の抗体(たとえば二重特異性、三重特異性等);scFv分子に連結された重鎖分子等を包含する。scFv分子は当技術分野において公知であり、たとえば米国特許第5,892,019号に述べられている。加えて、「操作された」または「修飾抗体」という用語は、多価形態の抗体(たとえば同じ抗原の3もしくはそれ以上のコピーまたは複数の異なる抗原または同じ抗原上の複数の異なるエピトープに結合する三価、四価等の抗体)を包含する。
【0061】
1つの実施形態では、本発明に従った「修飾抗体」という用語は、少なくとも定常領域ドメインの1またはそれ
より多い部分が欠失しているまたは、非共有結合的に二量体化する能力、腫瘍の部位に局在化する高い能力、またはほぼ同じ免疫原性の変化していない全長抗体と比較して変化した血清半減期などの所望生化学特性を与えるように変化している(たとえ
ば変異している)、免疫グロブリン、抗体、またはその免疫反応性フラグメントもしくは組換え形態を包含する。
【0062】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は、当技術分野で認められている手法を用いてそれらの免疫原性を低下させるように修飾し得る。たとえば、本発明の抗体またはポリペプチドをヒト化する、脱免疫化する、またはキメラ抗体を作製することができる。これらの種類の抗体は、親抗体の抗原結合特性を保持するまたは実質的に保持するが、ヒトにおける免疫原性がより低い非ヒト抗体、典型的にはマウス抗体に由来する。これは、(a)非ヒト可変ドメイン全体をヒト定常領域に移植してキメラ抗体を作製すること;(b)非ヒト相補性決定領域(CDR)の1またはそれ
より多い少なくとも一部を、重要なフレームワーク残基を保持しつつまたは保持せずに、ヒトフレームワークおよび定常領域に移植すること;または(c)非ヒト可変ドメイン全体を移植するが、表面残基の置換によってヒト様部分でそれらを「覆う(cloaking)」ことを含む、様々な方法によって達成され得る。そのような方法は、そのすべてが全体として参照により本明細書に組み込まれる、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.81:6851−5(1984);Morrisonら、Adv.Immunol.44:65−92(1988);Verhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988);Padlan,Molec.Immun.28:489−498(1991);Padlan,Molec.Immun.31:169−217(1994)、ならびに米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号および同第5,693,762号に開示されている。
【0063】
本明細書では「化学療法薬」および「抗腫瘍薬」と交換可能に使用される、「化学療法剤」という用語は、細胞の生存能および/または機能を阻害するまたは妨げる、および/または細胞の破壊(細胞死)を生じさせる、および/または抗腫瘍/抗増殖作用を及ぼす、たとえば新生物腫瘍細胞の成長、成熟または広がりを直接または間接的に妨げる物質を指す。この用語はまた、細胞増殖抑制作用だけを生じさせ、単なる細胞傷害作用は生じさせない作用物質を包含する。本明細書で使用される化学療法剤という用語は、抗血管新生薬、チロシンキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼA阻害剤、サイトカインファミリーの
メンバー、および放射性同位体を包含する。
【0064】
本発明に従った適切な化学療法剤は、好ましくは天然または合成化学化合物である。本発明の併用療法において使用し得る、商業用途、臨床評価および前臨床開発において使用可能な数多くの抗腫瘍性化学物質が存在する(以下で論じる)。
【0065】
「生物学的製剤」または「生物学的作用物質」という用語は、治療薬としての使用を意図されている、生体および/またはそれらの生成物から作られる任意の医薬的に活性な物質、たとえば、細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素のような毒素を指す。本発明の1つの実施形態では、GITR結合分子と組み合わせて使用できる生物学的作用物質は、たとえば抗体、核酸分子、たとえばアンチセンス核酸分子、ポリペプチドまたはタンパク質を含むが、これらに限定されない。そのような生物学的製剤は、たとえばGITR結合分子の投与の前に、GITR結合分子と同時に、またはGITR結合分子のあとに生物学的製剤を投与することにより、GITR結合分子と組み合わせて投与することができる。
【0066】
本明細書で使用される「併用療法」という用語は、たとえばGITR結合分子と少なくとも1つの付加的な非GITR結合分子、たとえば化学療法剤を含む治療レジメンを指す。GITR結合分子と少なくとも1つの付加的な作用物質は、別々の投与用に製剤されてもよく、または一緒に投与するように製剤されてもよい。1つの実施形態では、少なくとも1つの付加的な作用物質は、それに対する免疫応答を所望する分子ではない、たとえばワクチンではない。
【0067】
「癌」または「新生物」という用語は、一般に悪性新生物または細胞の自発的成長もしくは増殖を指す。癌細胞はしばしば腫瘍の形態であるが、そのような細胞は、被験体内に単独で存在し得るか、または白血病細胞のような非腫瘍形成性癌細胞であり得る。本明細書で使用される、「癌」という用語は、前悪性ならびに悪性癌を包含する。
【0068】
「癌」を有する被験体は、たとえば、白血病、リンパ腫、または血液細胞の他の悪性疾患を有し得る。1つの実施形態では、癌は、膵癌、黒色腫および他の形態の皮膚癌(たとえば扁平上皮癌)、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、脳または中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頸癌、子宮または子宮内膜癌、頭部および頸部の癌(口腔または鼻咽頭の癌を含む)、肝臓および胆道癌、膀胱癌を含む腎臓および腎集合管系の癌、精巣癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、肉腫(骨肉腫および軟骨肉腫を含む)、ならびに血液
学的な組織の癌から成る群より選択される。
【0069】
ある実施形態では、本発明の方法は固形腫瘍を
処置するために使用される。例示的な固形腫瘍は、小細胞肺癌および非小細胞肺癌(NSCLC)、精巣癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、膵癌、結腸直腸癌(CRC)、乳癌、ならびに前立腺癌、胃癌、皮膚癌、胃癌、食道癌および膀胱癌を含むが、これらに限定されない。
【0070】
1つの実施形態では、固形腫瘍は、腺癌、たとえば結腸の腺癌である。本発明の1つの実施形態では、固形腫瘍は結腸腫瘍である。本発明のもう1つの実施形態では、固形腫瘍は、結腸腫瘍、肺腫瘍、乳房腫瘍、胃腫瘍、前立腺腫瘍、子宮頸腫瘍、膣腫瘍および膵腫瘍から成る群より選択される。
【0071】
本発明の1つの実施形態では、
処置される癌は黒色腫である。
【0072】
本発明のある実施形態では、本発明の方法は、腫瘍細胞の増殖を低減するおよび/または予防するために使用される。本発明のある実施形態では、本発明の方法は、腫瘍の転移を低減するおよび/または予防するために使用される。もう1つの実施形態では、本発明の方法は、腫瘍、たとえば樹立腫瘍および/または二次腫瘍、たとえば転移の大きさを縮小するために使用される。本明細書で使用される、「樹立腫瘍」は、栄養素、すなわち酸素が、もはや浸透現象によって被験体の血管系から腫瘍の中心部に浸透することができず、それゆえ、腫瘍が栄養素を受け取るためにそれ自体の血管供給を必要とするような十分な大きさの固形腫瘍である。
【0073】
1つの実施形態では、本発明の方法は、血管化された腫瘍を
処置するために使用される。「血管化された腫瘍」という用語は、樹立された血管系の特徴を有する腫瘍を包含する。そのような腫瘍は、それらの大きさおよび/または血管もしくは血管新生に関連するマーカーの存在によって同定される。1つの実施形態では、腫瘍は少なくとも約0.5mm×0.5mmである。もう1つの実施形態では、腫瘍は少なくとも約1mm×1mmである。さらにもう1つの実施形態では、腫瘍は少なくとも約100mm
3の体積を有する。もう1つの実施形態では、腫瘍は少なくとも約200mm
3の体積を有する。もう1つの実施形態では、腫瘍は少なくとも約300mm
3の体積を有する。もう1つの実施形態では、腫瘍は少なくとも約400mm
3の体積を有する。もう1つの実施形態では、腫瘍は少なくとも約500mm
3の体積を有する。1つの実施形態では、腫瘍は、触診によってまたは当技術分野で認められている画像化手法を使用することによって発見されるのに十分な大きさである。
【0074】
もう1つの実施形態では、本発明の方法は、休止期ではなく、活発に対数増殖を受けている固形腫瘍を
処置するために使用される。もう1つの実施形態では、本発明の方法は、微小転移のような小さな腫瘍、たとえば組織学的検査によってのみ検出可能であるが他の手法では検出できない腫瘍を
処置するために使用される。
【0075】
「有効量」という用語は、たとえば、インビトロまたはインビボのいずれかで固形腫瘍の腫瘍
の大きさを縮小することおよび/または腫瘍体積を低減することを含むが、これらに限定されない、癌細胞または腫瘍への所望結果を生じさせるのに十分な併用療法の量を指す。本発明の1つの実施形態では、併用療法の有効量は、約10%
超、約20%
超、約30%
超、約35%
超、約42%
超、約43%
超、約44%
超、約45%
超、約46%
超、約47%
超、約48%
超、約49%
超、約50%
超、約51%
超、約52%
超、約53%
超、約54%
超、約55%
超、約56%
超、約57%
超、約58%
超、約59%
超、約60%
超、約65%
超、約70%
超、約75%
超、約80%
超、約85%
超、約90%
超、約95%
超または約100%
超の腫瘍
の大きさの抑制を生じさせる量である。
【0076】
この用語はまた、たとえば、患者において再発を予防すること、疾患を改善すること、患者を安定化すること、転移の発現を予防するもしくは遅延させること、または癌の進行を予防するもしくは緩慢化することを含むが、これらに限定されない、所望臨床結果を達成するのに十分な併用療法の量を包含する。併用療法の有効量は、併用療法の作用物質の各々の単回投与または作用物質の少なくとも1つの反復投与に基づいて決定することができる。インジケーターの検出および測定の方法は当業者に公知である。そのような方法は、腫瘍量(tumor burden)の減少、腫瘍
の大きさの縮小、腫瘍体積の減少、二次腫瘍の増殖の低減、固形腫瘍の血管化の減少、腫瘍組織または隣接組織における遺伝子の発現の変化、バイオマーカーの存在または不在、リンパ節関与、組織学的グレードを測定すること、腫瘍の再発がないこと、腫瘍成長の速度低下、腫瘍細胞の代謝低下および/または核グレードを検出することを含むが、これらに限定されない。
【0077】
本発明の1つの実施形態では、腫瘍量を測定する。「腫瘍負荷(tumor load)」とも称される「腫瘍量」は、身体全体にわたって分布する腫瘍物質の総量を指す。腫瘍量は、リンパ節および骨髄を含む、身体全体にわたる癌細胞の総数または腫瘍サイズの総計を指す。腫瘍量は、たとえば、被験体から切除した後の腫瘍の寸法を、たとえばカリパスを使用して測定すること、または体内で画像化手法を使用する、たとえば超音波、骨スキャン、コンピュータ連動断層撮影(CT)もしくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを使用することなどの、当技術分野で公知の様々な方法によって決定することができる。
【0078】
本発明の1つの実施形態では、腫瘍
の大きさを測定する。「腫瘍
の大きさ」という用語は、腫瘍の長さおよび幅として測定できる腫瘍の全体サイズを指す。腫瘍
の大きさは、たとえば、被験体から切除した後の腫瘍の寸法を、たとえばカリパスを使用して測定すること、または体内で画像化手法を使用する、たとえば骨スキャン、超音波、CTもしくはMRIスキャンを使用することなどの、当技術分野で公知の様々な方法によって決定し得る。
【0079】
本発明の1つの実施形態では、腫瘍
の大きさは、腫瘍重量を測定することによって決定される。1つの実施形態では、腫瘍重量は、腫瘍の長さを測定し、それに腫瘍の幅の二乗を掛けて、その合計を2で割ることによって決定される。
【0080】
本発明の1つの実施形態では、腫瘍
の大きさは、腫瘍体積を測定することによって決定される。「腫瘍体積」という用語は、腫瘍自体に加えて、該当する場合は罹患リンパ節を含む、腫瘍の全体サイズを指す。腫瘍体積は、たとえば、被験体から切除した後の腫瘍の寸法を、たとえばカリパスを使用して測定すること、または体内で画像化手法を使用する、たとえば超音波、CTもしくはMRIスキャンを使用すること、そして、たとえばz軸の直径に基づく、または球体、楕円体もしくは立方体などの標準形状に基づく方程式を用いて体積を算定することなどの、当技術分野で公知の様々な方法によって決定し得る。1つの実施形態では、腫瘍体積(mm
3)は、二次元腫瘍測定から長楕円体に関して算定される:腫瘍体積(mm
3)=(長さ×幅
2[L×W
2])÷2。単位密度を仮定して、腫瘍体積を腫瘍重量に変換する(すなわち1mm
3=1mg)。
【0081】
「固形腫瘍の血管化」という用語は、固形腫瘍における血管の形成を指す。腫瘍の血管化は、たとえば、生検標本の免疫組織化学的分析、または腫瘍の超音波検査、血管造影法、CTもしくは磁気MRIスキャンのような画像化手法などの、当技術分野で公知の様々な方法によって決定し得る。
【0082】
「%T/C」という用語は、
処置群(T)の平均腫瘍重量を対照群(C)の平均腫瘍重量で割って100を掛けたパーセンテージである。42%またはそれ以下の%T/Cは、国立癌研究所(米国)によって有意の活性の指標とみなされている。
【0083】
T/Cに関する「%阻害」という用語は、100から%T/Cを差し引くことによって算定される。
【0084】
「統計的に有意」または「統計的有意性」という用語は、独立変数は影響を及ぼさない、または推定帰無仮説は正しいと考えて、結果が偶然によって起こった尤度を指す。統計的有意性は、確率値を表す「P値」(P)を得ることによって決定できる。p値は、実験によって得られた結果が偶然だけによるものである可能性がどの程度であるかを指示する。本発明の1つの実施形態では、統計的有意性は、両側1標本T検定のp値を得ることによって決定できる。0.05未満のp値は統計的に有意、すなわち偶然だけによるものではない可能性が高いとみなされる。あるいは、統計的に有意のp値は、約0.05〜約0.04、約0.04〜約0.03、約0.03〜約0.02、約0.02〜約0.01であり得る。前記に列挙した値の中間の範囲も、たとえば、本発明の一部であることが意図されている。一部の場合、p値は0.01未満であり得る。p値は、併用療法を使用して腫瘍を有する被験体を
処置したとき、腫瘍
の大きさの統計的に有意の縮小および/または生存
における統計的に有意の上昇が存在するか否かを決定するために使用し得る。
【0085】
「癌を
処置すること」または「癌を有する被験体を
処置すること」は、癌細胞の複製の阻害、癌の広がりの阻害、腫瘍
の大きさの縮小、体内の癌細胞の数の減少もしくは低下、および/または癌の症状の改善もしくは緩和を包含する。
処置は、死亡率および/または罹病率の低下が存在する場合に治療的とみなされ、予防的または治療的に実施され得る。
【0086】
「患者」または「被験体」または「宿主」は、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを指す。
【0087】
本発明の様々な態様を以下の項においてさらに詳細に説明する。
【0088】
II.GITR結合分子
本発明の方法における使用のためのGITR結合分子は、たとえば米国特許公報第US20070098719号、同第US20050014224号および国際公開公報第WO05007190号に述べられている結合分子のような、GITRに特異的に結合し、GITRアゴニストとして働く(たとえばエフェクターT細胞応答の上昇および/または体液性免疫の上昇によって明らかにされる)結合分子を包含する。
【0089】
1つの実施形態では、GITR結合分子は抗GITR抗体である。標準的な組換えDNA手法を使用して(WinterとMilstein,Nature,349,pp.293−99(1991))、様々な形態の抗GITR抗体を作製することができる。
【0090】
ある実施形態では、GITR結合分子はポリクローナル抗体であり得る。たとえば、関連抗原とアジュバントの多回皮下注射または腹腔内注射により、哺乳動物において抗体を惹起し得る。この免疫は、典型的には、活性化脾細胞またはリンパ球からの抗原反応性抗体の産生を含む免疫応答を惹起する。生じた抗体を動物の血清から採取してポリクローナル製剤を提供し得る。
【0091】
GITRに特異的なキメラおよび/またはヒト化結合分子(すなわちキメラおよび/またはヒト化免疫グロブリン)も、本発明の方法における使用に適する。キメラおよび/またはヒト化結合分子は、キメラまたはヒト化結合分子の構築のための出発物質を提供するマウスまたは他の非ヒト結合分子と同じかまたは類似の結合特異性および親和性を有する。
【0092】
キメラ結合分子は、その軽鎖および重鎖遺伝子が異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから、典型的には遺伝子操作によって、構築されたものである。たとえば、マウスモノクローナル結合分子からの遺伝子の可変(V)セグメントを、IgG1またはIgG4などのヒト定常(C)セグメントに連結し得る。ヒトIgG1アイソタイプが好ましい。例示的なキメラ結合分子は、それゆえ、マウス結合分子からのVまたは抗原結合ドメインとヒト結合分子からのCまたはエフェクタードメインから成るハイブリッドタンパク質である。
【0093】
1つの実施形態では、本発明の方法における使用に適する結合分子は、6C8結合分子のヒト化可変領域を含む。1つの実施形態では、本発明の結合分子は、少なくとも1つのヒト化6C8結合分子可変領域、たとえば軽鎖または重鎖可変領域を含む。
【0094】
前記に示すように、「ヒト化結合分子」という用語は、ヒト結合分子の鎖(アクセプター抗体または結合分子と称される)に由来する可変領域フレームワーク残基を含む少なくとも1本の鎖およびマウス結合分子(ドナー抗体または結合分子と称される)に由来する少なくとも1つの相補性決定領域を含む結合分子を指す。ヒト化結合分子は組換えDNA技術を用いて作製することができる。たとえば、Hwang,W.Y.K.ら(2005)Methods 36:35;Queenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86:10029−10033;Jonesら、Nature(1986)321:522−25;Riechmannら、Nature(1988)332:323−27;Verhoeyenら、Science(1988)239:1534−36;Orlandiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1989)86:3833−37;米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第6,180,370号、Selickら、国際公開公報第WO90/07861号、およびWinter、米国特許第5,225,539号(すべての目的に関してそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)参照。定常領域も、存在する場合は、好ましくはヒト免疫グロブリンに由来する。
【0095】
ある実施形態では、ヒト化抗体は、そのヌクレオチドおよびアミノ酸配列を含めて、米国特許公報第US20070098719号に記載されている、ヒト化6C8またはその抗体フラグメントである。1つの実施形態では、ヒト化抗体は、配列番号1、2または3、4、5、6または7に示すCDRの1またはそれ
より多くを含む。1つの実施形態では、ヒト化抗体は、CDR、1、2または3、4、5、6および7を含む。
【0096】
ヒト化結合分子は、好ましくは少なくとも10
7、10
8、10
9、10
10、10
11または10
12M
−1の抗原に対する特異的結合親和性を示す。通常、抗原に対するヒト化結合分子の結合親和性の上限は、ドナー免疫グロブリンの結合親和性の3倍、4倍または5倍以内である。しばしば結合親和性の下限も、ドナー免疫グロブリンの結合親和性の3倍、4倍または5倍以内である。あるいは、結合親和性は、置換を有さないヒト化結合分子(たとえばドナーCDRとアクセプターFRを有するが、FR置換を有さない結合分子)の結合親和性と比較することができる。そのような場合、最適化結合分子(置換を有する)の結合は、好ましくは非置換結合分子の結合より少なくとも2倍から3倍大きい、または3倍から4倍大きい。比較を行うために、様々な結合分子の活性を、たとえばBIACORE(すなわち非標識試薬を使用した表面プラズモン共鳴)または競合結合アッセイによって測定することができる。
【0097】
ある実施形態では、GITR結合分子はキメラ抗体である。1つの実施形態では、本発明のキメラ抗体は、その内容が参照により明白に本明細書に組み込まれる、米国特許公報第US20070098719号に記載されているキメラ6C8抗体であり得る。
【0098】
ある実施形態では、GITR結合分子はモノクローナル抗体である。1つの実施形態では、本発明のモノクローナル抗体は、同じく米国特許公報第US20070098719号に記載されているヒト化6C8抗体であり得る。
【0099】
もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、マウス
ヒトGITR結合分子、たとえば6C8結合分子に由来する少なくとも1つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、ラットGITR結合分子、たとえば2F8結合分子に由来する少なくとも1つのCDR(たとえば1、2、3、4、5または6のCDR)を含む。本明細書で使用される、指定タンパク質「に由来する」という用語は、ポリペプチドの起源を指す。1つの実施形態では、特定出発ポリペプチドに由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、CDR配列またはそれに関連する配列である。もう1つの実施形態では、特定出発ポリペプチドに由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、フレームワーク(FR)配列またはそれに関連する配列である。1つの実施形態では、特定出発ポリペプチドに由来するアミノ酸配列は連続していない。
【0100】
たとえば、1つの実施形態では、1、2、3、4、5または6のCDRがマウス6C8抗体に由来する。1つの実施形態では、本発明の結合分子は、マウス6C8抗体の少なくとも1つの重鎖または軽鎖CDRを含む。もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、マウス6C8抗体からの少なくとも2つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、マウス6C8抗体からの少なくとも3つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、マウス6C8抗体からの少なくとも4つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、マウス6C8抗体からの少なくとも5つのCDRを含む。もう1つの実施形態では、本発明の結合分子は、マウス6C8抗体からの少なくとも6つのCDRを含む。
【0101】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は、6C8抗体またはその部分、たとえばCDRのポリペプチドまたはアミノ酸配列と基本的に同一のポリペプチドまたはアミノ酸配列を含み、前記部分は、少なくとも3〜5アミノ酸、少なくとも5〜10アミノ酸、少なくとも10〜20アミノ酸、少なくとも20〜30アミノ酸、もしくは少なくとも30〜50アミノ酸から成るか、またはさもなければ、出発配列内にその起源を有することが当業者に同定可能である。
【0102】
もう1つの実施形態では、特定出発ポリペプチドまたはアミノ酸配列に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列は、6C8抗体またはその部分(たとえばCDR)と約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%のアミノ酸配列同一性を共有するか、またはさもなければ、出発配列内にその起源を有することが当業者に同定可能である。
【0103】
また、本発明の方法における使用のための抗GITR結合分子が、それが由来する分子とアミノ酸配列において異なるように修飾され得ることは当業者に了解される。たとえば、保存的置換または「非必須」アミノ酸残基における変化を導くヌクレオチドまたはアミノ酸置換を実施して(たとえばCDRおよび/またはフレームワーク残基において)、GITR、たとえばヒトGITRに結合する能力を維持し得る、高め得るまたは低下させ得る。
【0104】
ポリペプチドの非天然変異体をコードする単離核酸分子は、1またはそれ
より多いアミノ酸置換、付加または欠失がコードされるタンパク質に導入されるように、1またはそれ
より多いヌクレオチド置換、付加または欠失を結合分子のヌクレオチド配列に導入することによって創製できる
。変異は、部位
特異的変異誘発およびPCRを介し
た変異誘発などの標準的手法によって導入し得る。1つの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、1またはそれ
より多い非必須アミノ酸残基において行われる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。類似側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野において定義されており、塩基性側鎖を有するアミノ酸(たとえばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(たとえばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(たとえばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(たとえばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖を有するアミノ酸(たとえばトレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸(たとえばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。それゆえ、結合分子ポリペプチド内の非必須アミノ酸残基を同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置き換え得る。もう1つの実施形態では、一続きのアミノ酸を、側鎖ファミリー
メンバーの順序および/または組
成において異なる構造的に類似の一続きのアミノ酸で置き換えることができる。
【0105】
あるいは、もう1つの実施形態では
、変異を結合分子コード配列の全部または一部に沿ってランダムに導入し得る。
【0106】
本発明の方法における使用のための好ましい結合分子は、ヒトアミノ酸配列に由来するフレームワーク領域および定常領域のアミノ酸配列を含む。しかし、結合分子は、別の哺乳動物種に由来するフレームワーク領域および/または定常領域の配列を含み得る。たとえば、霊長類のフレームワーク領域(たとえば非ヒト霊長類)、重鎖部分および/またはヒンジ部分を対象結合分子に含め得る。1つの実施形態では、1またはそれ
より多いマウスアミノ酸が結合ポリペプチドのフレームワーク領域内に存在し得る、たとえば、ヒトまたは非ヒト霊長類フレームワークアミノ酸配列が、対応するマウスアミノ酸残基が存在する1またはそれ
より多いアミノ酸置換および/または復
帰変異を含み得る。本発明の好ましい結合分子は、出発6C8マウス抗体よりも免疫原性が低い。
【0107】
モノクローナル抗体の作製は周知の工程であり(Kohlerら、Nature,256:495(1975))、抗原を注射した哺乳動物からの比較的短命または致死的なリンパ球を不死腫瘍細胞系(たとえば骨髄腫細胞系)と融合させ、それにより、不死であり且つB細胞の遺伝的にコードされた抗体を産生することができるハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」を生成する。生じたハイブリッド細胞を選択、希釈および再増殖によって単一の遺伝子株に分離し、各々の個別株は、単一抗体の形成のための特
異的な遺伝子を含む。それらは所望抗原に対する均一な抗体を産生し、それらの純粋な遺伝的起源に基づき、「モノクローナル」と称される。
【0108】
このようにして作製されたハイブリドーマ
細胞を、好ましくは融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1またはそれ
より多い物質を含有する適切な培地に接種して増殖させる。当業者は、ハイブリドーマの形成、選択および成長のための試薬、細胞系および培地が数多くの供給元から市販されており、標準化されたプロトコールが広く確立されていることを認識する。一般に、ハイブリドーマ細胞が増殖している培地を、所望抗原に対するモノクローナル抗体の産生に関して検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降法によってまたは放射免疫検定法(RIA)もしく
は酵素免疫検定法(ELISA)などのインビトロアッセイによって決定する。所望の特異性、親和性および/または活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、クローンを限界希釈法によってサブクローニングし、標準的な方法によって増殖させ得る(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp 59−103(Academic Press,1986))。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体を、たとえばプロテインA、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析または親和性などの従来の精製手順によって培地、腹水液または血清から分離し得ることがさらに認識される。
【0109】
もう1つの実施形態では、所望モノクローナル抗体をコードするDNAを、従来の手順を用いて(たとえばマウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離し、配列決定し得る。単離され、サブクローニングされたハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として役立つ。ひとたび単離されれば、DNAを発現ベクターに組み込み、次にそれを、さもなければ免疫グロブリンを産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞などの原核または真核宿主細胞にトランスフェクトする。より詳細には、単離したDNA(本明細書で述べるように修飾されていてもよい)を、参照により本明細書に組み込まれる、1995年1月25日出願の、Newmanら、米国特許第5,658,570号に記載されているように抗体の製造のための定常領域および可変領域配列をクローニングするために使用し得る。基本的に、これは、選択細胞からのRNAの抽出、cDNAへの変換、およびIg特異的プライマーを使用したPCRによる増幅を必要とする。このための適切なプライマーも、同じく米国特許第5,658,570号に述べられている。以下でさらに詳細に論じるように、免疫グロブリンの臨床および商業的供給を提供するために所望抗体を発現する形質転換細胞を比較的大量に増殖させ得る。
【0110】
当業者はまた、抗体または抗体フラグメントをコードするDNAが、たとえばpdファージまたはFdファージミド技術を使用して、抗体ファージライブラリーからも誘導され得ることを認識する。例示的な方法は、たとえば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、欧州特許第EP368 684 B1号;米国特許第5,969,108号、Hoogenboom,H.R.とChames.2000.Immunol.Today 21:371;Nagyら、2002.Nat.Med.8:801;Huieら、2001.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:2682;Luiら、2002.J.Mol.Biol.315:1063に記載されている。いくつかの公表文献(たとえばMarksら、Bio/Technology 10:779−783(1992))は、鎖シャフリングによる高親和性ヒト抗体の生産、ならびに大きなファージライブラリーを構築するための方策としてコンビナトリアル感染およびインビボでの組換えを述べている。もう1つの実施形態では、リボソームディスプレイが、ディスプレイプラットフォームとしてバクテリオファージを置き換えるために使用できる(たとえばHanesら、2000.Nat.Biotechnol.18:1287;Wilsonら、2001.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:3750;またはIrvingら、2001 J.Immunol.Methods 248:31参照)。さらにもう1つの実施形態では、細胞表面ライブラリーを抗体に関してスクリーニングすることができる(Boderら、2000.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:10701;Daughertyら、2000 J.Immunol.Methods 243:211)。そのような手順は、モノクローナル抗体の単離とその後のクローニングのための伝統的なハイブリドーマ手法の代替法を提供する。
【0111】
本発明のさらなる他の実施形態は、1またはそれ
より多いヒト免疫グロブリン導入遺伝子を保持するトランスジェニック動物などの、非ヒト動物におけるヒト抗体または実質的ヒト抗体の生成を含む。そのような動物は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,569,825号、国際公開公報第WO00076310号、同第WO00058499号および同第WO00037504号に記載されているように、ハイブリドーマを生産するための脾細胞の供給源として使用し得る。
【0112】
組換え抗体を作製するためのさらにもう1つの極めて効率的な手段は、Newman,Biotechnology,10:1455−1460(1992)によって開示される。詳細には、この手法は、サル可変ドメインとヒト定常配列を含む霊長類化抗体の生成をもたらす。この参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、この手法はまた、各々が参照により本明細書に組み込まれる、同一出願人による米国特許第5,658,570号、同第5,693,780号および同第5,756,096号にも記載されている。
【0113】
もう1つの実施形態では、リンパ球を顕微操作によって選択し、可変遺伝子を単離することができる。たとえば、免疫した哺乳動物から末梢血単核細胞を単離し、インビトロで約7日間培養することができる。培養物を、スクリーニング判定基準を満たす特異的IgGに関してスクリーニングすることができる。陽性ウエルからの細胞を単離することができる。個々のIg産生B細胞は、FACSによってまたは補体媒介性溶血プラークアッセイにおいてそれらを同定することによって単離できる。Ig産生B細胞を顕微操作によって管に入れ、たとえばRT−PCRを使用して、VhおよびVl遺伝子を増幅することができる。VHおよびVL遺伝子を抗体発現ベクターにクローニングし、発現のために細胞(たとえば真核または原核細胞)にトランスフェクトすることができる。
【0114】
あるいは、抗体産生細胞系は、当業者に周知の手法を使用して選択し、培養し得る。そのような手法は、様々な実験室マニュアルおよび主要出版物(primary publications)において記述されている。これに関して、以下で述べるような本発明における使用に適する手法は、補遺を含めてその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Current Protocols in Immunology,Coliganら編集、Green Publishing Associates and Wiley−Interscience,John Wiley and Sons,New York(1991)に記載されている。
【0115】
可変および定常領域ドメインは、既存の供給源から(たとえば本明細書で述べる抗GITR抗体の1またはそれ
より多くから)入手して、本発明の修飾結合分子に組み込むことができる。たとえば、抗体をクローニングするために、mRNAをハイブリドーマ
細胞、脾
細胞またはリンパ細胞から単離し、DNAに逆転写して、抗体遺伝子をPCRによって増幅することができる。PCRは、コンセンサス定常領域プライマーによってまたは公表されている重鎖および軽鎖DNAおよびアミノ酸配列に基づくより特異的なプライマーによって開始させ得る。PCRはまた、抗体軽鎖および重鎖をコードするDNAクローンを単離するためにも使用し得る。この場合、ライブラリーをコンセンサスプライマーまたはマウス定常領域プローブなどのより大きな相同プローブによってスクリーニングし得る。抗体遺伝子の増幅に適する数多くのプライマーセットが当技術分野において公知である(たとえば、精製抗体のN末端配列に基づく5’プライマー(BenharとPastan.1994.Protein Engineering 7:1509);cDNA末端の迅速増幅(Ruberti,F.ら、1994.J.Immunol.Methods 173:33);抗体リーダー配列(Larrickら、1989 Biochem.Biophys.Res.Commun.160:1250);またはKabatからの公知の可変領域フレームワークアミノ酸配列(Kabatら、1991.Sequences of Proteins of Immunological Interest.Bethesda,MD:JS Dep.Health Hum.Serv.第5版)もしくはV塩基データベース(たとえばOrlandiら、1989.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:3833;Sblatteroら、1998.Immunotechnology 3:271;もしくはKrebberら、1997.J.Immunol.Methods 201:35)に基づく)。特定エフェクター機能を有する(もしくは特定エフェクター機能を欠く)または免疫原性を低下させる特定修飾を含む定常領域ドメインを選択することができる。可変および定常ドメインは、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応および対象ドメインを増幅するように選択されるプライマーを使用して、クローニングすることができる。PCR増幅法は、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、および、たとえば“PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications”Innisら編集、Academic Press,San Diego,CA(1990);Hoら、1989.Gene 77:51;Hortonら、1993.Methods Enzymol.217:270)において詳細に説明されている。
【0116】
あるいは、Vドメインは、選択動物からのV遺伝子配列のライブラリーから得ることができる。ドメインのランダムな組合せ、たとえばVHドメインとVLドメインを発現するライブラリーを、所望結合特性を有するエレメントを同定するために所望抗原でスクリーニングすることができる。そのようなスクリーニングの方法は当技術分野において周知である。たとえば、抗体遺伝子レパートリーをλバクテリオファージ発現ベクターにクローニングすることができる(Huse,WDら、1989.Science 2476:1275)。加えて、その表面に抗体を発現する細胞(BoderとWittrup.1997.Nat.Biotechnol.15:553;Daugtherty,P.ら、2000.J.Immunol.Methods.243:211;Franciscoら、1994.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10444;Georgiouら、1997.Nature Biotechnology 15:29)またはウイルス(たとえばHoogenboom,HR.1998 Immunotechnology 4:1;Winterら、1994.Annu.Rev.Immunol.12:433;Griffiths,AD.1998.Curr.Opin.Biotechnol.9:102)をスクリーニングすることができる。リボソームディスプレイも抗体ライブラリーをスクリーニングするために使用できる(Hanes J.ら、1998.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:14130;Hanes,J.とPluckthun.1999.Curr.Top.Microbiol.Immunol.243:107;He,M.とTaussig.1997.Nucleic Acids Research 25:5132)。
【0117】
スクリーニングのための好ましいライブラリーはヒトV遺伝子ライブラリーである。非ヒト供給源からのVLおよびVHドメインも使用し得る。1つの実施形態では、そのような非ヒトVドメインを、当技術分野で認められている手法を用いてそれらの免疫原性を低減するように変化させることができる。
【0118】
ライブラリーは、ナイーブ、免疫被験体から、または半合成であり得る(Hoogenboom,H.R.とWinter.1992.J.Mol.Biol.227:381;Griffiths,ADら、EMBO J.13:3245;de Kruif,J.ら、1995.J.Mol.Biol.248:97;Barbas,C.F.ら、1992.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4457)。
【0119】
加えて、多くの抗体VおよびCドメインの配列が公知であり、そのようなドメインは当技術分野で周知の方法を用いて合成できる。1つの実施形態では、より大きな不均一性を有する核酸分子のライブラリーを創製するために免疫グロブリンドメイン
に変異を導入することができる(Thompson,J.ら、1996.J.Mol.Biol.256:77;Lamminmaki,U.ら、1999.J.Mol.Biol.291:589;Caldwell,R.C.とJoyce GF.1992.PCR Methods Appl.2:28;Caldwell RCとJoyce GF.1994.PCR Methods Appl.3:S136)。標準的なスクリーニング手順を使用して高親和性変異体を選択することができる。もう1つの実施形態では、たとえば、当技術分野で公知の手法を用いて結晶構造から得られる情報を利用して、抗体アビディティーを高めるまたは低下させるためにVHおよびVL配列に変化を生じさせることができる。
【0120】
抗原認識部位または可変領域全体が1またはそれ
より多い親抗体に由来し得る。親抗体は、天然に生じる抗体または抗体フラグメント、天然に生じる抗体から適合させた抗体または抗体フラグメント、GITRに特異的であることが公知の抗体または抗体フラグメントの配列を利用して新たに構築された抗体を包含し得る。親抗体に由来し得る配列は、重鎖および/または軽鎖可変領域および/またはそのCDR、フレームワーク領域もしくは他の部分を包含する。
【0121】
1つの実施形態では、GITR結合分子はヒト化抗体である。ヒト化抗体を作製するため、動物を所望抗原で免疫し、対応する抗体を単離して、特異的抗原結合に関与する可変領域配列の部分を除去する。動物由来の抗原結合領域を、次に、抗原結合領域が欠失しているヒト抗体遺伝子の適切な位置にクローニングする。たとえばJones,P.ら(1986)Nature 321,522−525またはTempestら(1991)Biotechnology 9,266−273参照。また、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動物も、ヒト化抗体を発現するために使用し得る。そのようなヒト化は部分的または完全であり得る。ヒト化抗体は、ヒト抗体における異種(種間)配列の使用を最小限に抑え、
処置される被験体において免疫応答を惹起する可能性がより低い。
【0122】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は、抗体の抗原結合フラグメントを含むまたは抗体の抗原結合フラグメントから成る。「抗原結合フラグメント」という用語は、抗原に結合するまたは抗原結合(すなわち特異的結合)に関して無傷抗体(すなわちそれらが由来する無傷抗体)と競合する免疫グロブリンまたは抗体のポリペプチドフラグメントを指す。本明細書で使用される、抗体分子の「フラグメント」という用語は、抗体の抗原結合フラグメント、たとえば抗体軽鎖(VL)、抗体重鎖(VH)、一本鎖抗体(scFv)、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、および単一ドメイン抗体フラグメント(DAb)を包含する。フラグメントは、たとえば、無傷もしくは完全抗体または抗体鎖の化学的もしくは酵素的処理を介してまたは組換え手段によって得ることができる。
【0123】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は、操作されたまたは修飾された抗体である。操作された形態の抗体は、たとえばミニボディ、ダイアボディ、CH3分子に融合したダイアボディ、四価抗体、イントラダイアボディ(たとえばJendreykoら、2003.J.Biol.Chem.278:47813)、二重特異性抗体、融合タンパク質(たとえば抗体サイトカイン融合タンパク質)、または二重特異性抗体を含む。他の免疫グロブリン(Ig)およびその特定変異体は、たとえば米国特許第4,745,055号;欧州特許第EP256,654号;Faulknerら、Nature 298:286(1982);欧州特許第EP120,694号;欧州特許第EP125,023号;Morrison,J.Immun.123:793(1979);Kohlerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980);Rasoら、Cancer Res.41:2073(1981);Morrisonら、Ann.Rev.Immunol.2:239(1984);Morrison,Science 229:1202(1985);Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851(1984);欧州特許第EP255,694号;欧州特許第EP266,663号;および国際公開公報第WO88/03559号に記載されている。再集合された(reassorted)免疫グロブリン鎖も公知である。たとえば米国特許第4,444,878号;国際公開公報第WO88/03565号;および欧州特許第EP68,763号ならびにそれらの中で引用されている参考文献参照。
【0124】
1つの実施形態では、本発明の修飾抗体はミニボディである。ミニボディは、各々がScFv分子(1またはそれ
より多い抗原結合部位、たとえば連結ペプチドを介してCH3ドメインに融合されたVHドメインに、柔軟なリンカーによって連結されたVLドメインを含む単一ポリペプチド)を含有する、2本のポリペプチド鎖で作られた二量体分子である。
【0125】
ScFv分子は、VH−リンカー−VL方向またはVL−リンカー−VH方向で構築することができる。
【0126】
抗原結合部位を構成するVLドメインとVHドメインを連結する柔軟なヒンジは、好ましくは約10〜約50アミノ酸残基を含む。このための例示的な連結ペプチドは(Gly4Ser)3である(Hustonら、1988.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879)。他の連結ペプチドは当技術分野において公知である。
【0127】
一本鎖抗体を作製する方法は当技術分野において周知であり、たとえば、Hoら、1989.Gene 77:51;Birdら、1988 Science 242:423;Pantolianoら、1991.Biochemistry 30:10117;Milenicら、1991.Cancer Research 51:6363;Takkinenら、1991.Protein Engineering 4:837に記載されている。
【0128】
ミニボディは、ScFv成分を構築し、当技術分野で記述されている方法(たとえば米国特許第5,837,821号または国際公開公報第WO94/09817A1号参照)を使用してペプチド−CH3成分を結合することによって作製できる。これらの成分を別々のプラスミドから制限フラグメントとして単離し、その後適切なベクターに連結して再クローニングすることができる。適切な構築は、制限消化とDN
A配列分析によって確認できる。
【0129】
ダイアボディはscFv分子に類似するが、通常、同じポリペプチド鎖上のVLドメインとVHドメインが相互作用することができないように、両方のVドメインを連結する短い(10未満、好ましくは1〜5)アミノ酸残基のリンカーを有する。その代わりに、一方のポリペプチド鎖のVLドメインおよびVHドメインは、2番目のポリペプチド鎖上のVHドメインおよびVLドメインと
(それぞれ)相互作用する(国際公開公報第WO02/02781号)。1つの実施形態では、本発明の結合分子は、少なくとも1つの重鎖部分に融合したダイアボディである。好ましい実施形態では、本発明の結合分子は、CH3ドメインに融合したダイアボディである。
【0130】
他の形態の修飾抗体も本発明の範囲内である(たとえば国際公開公報第WO02/02781 A1号;第5,959,083号;第6,476,198 B1号;米国特許公報第2002/0103345 A1号;国際公開公報第WO00/06605号;Byrnら、1990.Nature.344:667−70;ChamowとAshkenazi.1996.Trends Biotechnol.14:52)。
【0131】
1つの実施形態では、本発明のGITR結合分子は、1もしくはそれ以上のグリコシル化部位を変化させるように修飾されるか、または1もしくはそれ以上のグリコシル化部位を変化させない1もしくはそれ以上の他のアミノ酸置換によって修飾される。たとえば、アミノ酸配列Asn−X−(Ser/Thr)は結合分子の生成に影響を及ぼし得るグリコシル化部位についての推定上のコンセンサス配列であるので、グルタミン(Gln)によるアスパラギン(Asn)の保存的置換を行い得る。
【0132】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は免疫グロブリン定常領域を含有する。定常領域がいくつかのエフェクター機能を媒介することは当技術分野において公知である。たとえば、結合分子への補体のC1成分の結合は補体系を活性化する。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解において重要である。補体の活性化はまた、炎症応答を刺激し、自己免疫性過敏症にも関与し得る。さらに、結合分子はFc領域を介して細胞に結合し、結合分子のFc領域上のFc受容体部位が細胞上のFc受容体(FcR)に結合する。IgG(γ受容体)、IgE(ε受容体)IgA(α受容体)およびIgM(μ受容体)を含む、種々のクラスの結合分子に特異的な多くのFc受容体が存在する。細胞表面上のFc受容体への結合分子の結合は、結合分子で被覆された粒子の貪食と破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による結合分子で被覆された標的細胞の溶解(抗体依存性細胞傷害またはADCCと呼ばれる)、炎症メディエイターの放出、胎盤通過および免疫グロブリン産生の制御を含む、多くの重要且つ多様な生物学的応答の引き金を引く。
【0133】
1つの実施形態では、エフェクター機能を、たとえば、標的細胞を減少させることができないと思われるIgG4結合分子の定常領域を使用することによって、またはエフェクター機能にとって重要なFc領域内の残基が当技術分野で公知の手法、たとえば米国特許第5,585,097号の手法を用い
て変異されているFc変異体を作製することによって、排除または低減し得る。たとえば、定常領域ドメインの欠失または不活性化(
点変異または他の手段を介した)は血中の修飾結合分子のFc受容体結合を低下させ、それによって腫瘍の局在化を高め得る。加えて、Fc上の潜在的グリコシル化部位を除去するアミノ酸置換は、Fc受容体結合を低下させ得る(たとえばShieldsら(2001)J Biol Chem 276:6591参照)。1つの実施形態では、N297A置換を行う。もう1つの実施形態では、L235A置換およびL237A置換を行う。さらにもう1つの実施形態では、L234A置換およびL235A置換を行う。もう1つの実施形態では、E233P置換を行う。もう1つの実施形態では、L234V置換を行う。もう1つの実施形態では、L235A置換を行う。もう1つの実施形態では、C236を欠失させる。もう1つの実施形態では、P238A置換を行う。もう1つの実施形態では、D265A置換を行う。もう1つの実施形態では、N297A置換を行う。もう1つの実施形態では、A327Q置換を行う。もう1つの実施形態では、P329A置換を行う。前記で列挙したアミノ酸位置は、EUナンバリングシステム(たとえばKabatら(1991)Sequence of Proteins of Immunological Interest、第5版、United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda)に基づく。
【0134】
別の場合には、本発明と一致する定常領域修飾は、補体結合を抑えるおよび/または血清半減期を短縮することがあり得る。定常領域のさらなる他の修飾は、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を修飾して、抗原特異性の上昇または結合分子の柔軟性上昇による局在化増強を可能にするために使用し得る。より一般的には、当業者は、本明細書で述べるように修飾された結合分子が、容易に認識され得るまたは認識され得ない多くの微妙な作用を及ぼし得ることを理解する。しかし、腫瘍の局在化、生体分布および血清半減期などの、修飾の結果として生じる生理的プロフィール、バイオアベイラビリティーおよび他の生化学的作用は、過度の実験を必要とせずに周知の免疫学的手法を用いて容易に測定し、定量化し得る。
【0135】
1つの実施形態では、本発明の結合分子は、誘導体化するまたは別の機能的分子(たとえば別のペプチドもしくはタンパク質)に連結することができる。従って、本発明の結合分子は、免疫接着分子を含む、本明細書で述べる誘導体化形態および
その他の方法で修飾
された形態のGITR結合分子を包含する。たとえば、本発明の結合分子は、別の結合分子(たとえばscFv抗体、二重特異性抗体またはダイアボディ)、検出可能物質、化学療法剤(たとえば本明細書で述べるような)、薬剤、および/または結合分子と別の分子の会合を媒介することができるタンパク質またはペプチド(ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグなど)などの、1またはそれ
より多い他の分子実体に機能的に連結することができる(化学結合、遺伝子融合、非共有結合その他によって)。
【0136】
1つの実施形態では、本発明の結合分子はポリエチレングリコールで修飾される。「PEG化」は、インビボでの滞留時間を高め、免疫原性を低下させる。たとえば、Knaufら、J.Biol.Chem.,263:15064−15070(1988)は、インターロイキン2の様々なポリオキシル化グリセロールおよびポリエチレングリコール修飾種のラットにおける薬力学的挙動の試験を報告した。Delgadoら、Br.J.Cancer,73:175−182(1996)、Kitamuraら、Cancer Res.,51:4310−4315(1991)、Kitamuraら、Biochem.Biophys.Res.Comm.,171:1387−1394(1990)、およびPedleyら、Br.J.Cancer,70:1126−1130(1994)は、低分子量(5kD)PEGで誘導体化された特定の抗腫瘍抗原抗体または抗体フラグメントの血液クリアランスおよび組織取り込みを特徴づける試験を報告した。Zapataら、FASEB J.9:A1479(1995)は、Fab’フラグメントのヒンジ領域内のスルフヒドリル基に結合された低分子量(5または10kD)PEGが、親Fab’分子と比較してクリアランスを低下させることを報告した。
【0137】
1つのタイプの誘導体化結合分子は、2またはそれ
より多い結合分子(同じ種類の、または、たとえば二重特異性抗体を作製するための、異なる種類の)を架橋することによって生成される。適切な架橋剤は、適切なスペーサー(たとえばm−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)によって分離された2つの異なる反応性基を有するヘテロ二官能性架橋剤またはホモ二官能性架橋剤(たとえばスベリン酸ジスクシンイミジル)を包含する。そのような架橋剤はPierce Chemical Company,Rockford,ILより入手可能である。
【0138】
本発明の結合分子は、宿主細胞における免疫グロブリン軽鎖および重鎖遺伝子の組換え発現によって作製できる。結合分子を組換え発現するために、免疫グロブリン軽鎖および重鎖が宿主細胞において発現され、好ましくは宿主細胞が培養される培地中に分泌され、その培地から結合分子を回収することができるように、結合分子の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNAフラグメントを担持する1またはそれ
より多い組換え発現ベクターで宿主細胞をトランスフェクトする。抗体重鎖および軽鎖遺伝子を入手して、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組み込み、ベクターを宿主細胞に導入するために、Sambrook,FritschおよびManiatis(編集)、Molecular Cloning;A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)、Ausubel,F.M.ら(編集)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1989)およびBossらによる米国特許第4,816,397号に述べられているような、標準的組換えDNA法を使用する。
【0139】
本発明の結合分子を発現するため、部分または完全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを、当技術分野で周知の方法を使用して遺伝子が転写および翻訳制御配列に作動可能に連結されるように発現ベクター(単数または複数)に挿入し得る。これに関して、「作動可能に連結される」という用語は、結合分子遺伝子が、ベクター内の転写および翻訳制御配列が結合分子遺伝子の転写および翻訳を調節するというそれらの意図された機能を果たすようにベクターに連結されることを意味する。1つの実施形態では、発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合性であるように選択される。結合分子軽鎖遺伝子と結合分子重鎖遺伝子は別々のベクターに挿入され得るか、またはより典型的には、両方の遺伝子が同じ発現ベクターに挿入される。結合分子遺伝子は、標準的な方法(たとえば結合分子遺伝子フラグメント
およびベクター上の相補的制限部
位の連結、または制限部位が存在しない場合は平滑末端連結)によって発現ベクターに挿入され得る。結合分子軽鎖または重鎖配列の挿入以前に、発現ベクターが既に結合分子定常領域配列を担持していることがある。たとえば、VHおよびVL配列を完全長結合分子遺伝子に変換するための1つのアプローチは、VHセグメントがベクター内のCHセグメントに作動可能に連結され、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動可能に連結されるように、それぞれ重鎖定常領域および軽鎖定常領域を既にコードする発現ベクターにそれらを挿入することである。加えてまたはあるいは、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの結合分子鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。結合分子鎖遺伝子を、シグナルペプチドが結合分子鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるようにベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であり得る。
【0140】
結合分子鎖遺伝子に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における結合分子鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を担持する。「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサーおよび結合分子鎖遺伝子の転写または翻訳を制御する他の発現制御
エレメント(たとえばポリアデニル化シグナル)を包含する。そのような調節配列は、たとえばGoeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望するタンパク質の発現のレベル等に依存し得ることは当業者に認識される。哺乳動物宿主細胞発現のための好ましい調節配列は、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(たとえばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))およびポリオーマウイルスに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を指令するウイルスエレメントを含む。ウイルス調節エレメントおよびその配列の詳細な説明については、たとえばStinskiによる米国特許第5,168,062号、Bellらによる米国特許第4,510,245号およびSchaffnerらによる米国特許第4,968,615号参照。
【0141】
結合分子鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(たとえば複製起点)および選択マーカー遺伝子などの付加的な配列を担持し得る。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(たとえば、すべてAxelらによる米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号および同第5,179,017号参照)。たとえば、典型的には選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を伴うdhfr−宿主細胞での使用のため)およびneo遺伝子(G418選択のため)を含む。
【0142】
軽鎖および重鎖の発現のため、結合分子重鎖および軽鎖をコードする発現ベクター(単数または複数)を標準的手法によって宿主細胞にトランスフェクトする。「トランスフェクション」という用語の様々な形態は、外来性DNAを原核または真核宿主細胞に導入するために一般的に使用される多種多様な手法、たとえば電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクション等を包含することが意図されている。原核または真核宿主細胞のいずれかにおいて本発明の結合分子を発現することが可能であり、真核細胞、特に哺乳動物細胞は、適切に折りたたまれた免疫学的に活性な結合分子を構築し、分泌する可能性が原核細胞よりも高いので、真核細胞、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞における結合分子の発現が最も好ましい。
【0143】
一般に、発現ベクターは、所望DNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にする選択マーカー(たとえばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性またはネオマイシン耐性)を含有する(たとえばItakuraら、米国特許第4,704,362号)。
【0144】
大腸菌は本発明のポリヌクレオチド(たとえばDNA配列)をクローニングするために特に有用な原核生物宿主の1つである。使用に適する他の微生物宿主は、Bacillus subtilusなどのバチルス属菌、およびSalmonella、Serratiaなどの他の腸内細菌、および様々なPseudomonas種を含む。これらの原核生物宿主において、典型的には宿主細胞と適合性の発現制御配列(たとえば複製起点)を含む、発現ベクターを作製することもできる。加えて、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系、またはλファージからのプロモーター系などの、多くの多様な周知のプロモーターが存在する。プロモーターは、典型的には、場合によりオペレーター配列と共に、発現を制御し、転写および翻訳を開始させ、完了させるためのリボソーム結合部位配列等を有する。
【0145】
酵母などの他の微生物も発現のために有用である。Saccharomycesは好ましい酵母宿主であり、適切なベクターは、所望に応じて発現制御配列(たとえばプロモーター)、複製起点、終結配列等を有する。典型的なプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖系酵素を含む。誘導的酵母プロモーターは、中でも特に、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素からのプロモーターを含む。
【0146】
微生物に加えて、哺乳動物組織細胞培養物も本発明のポリペプチド(たとえば結合分子をコードするポリヌクレオチド)を発現し、生産するために使用し得る。Winnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。真核細胞は、異種タンパク質(たとえば無傷結合分子)を分泌することができる多くの適切な宿主細胞系が当技術分野において開発されているので、実際上好ましく、それらは、CHO細胞系、様々なCos細胞系;HeLa細胞、骨髄腫細胞系、または形質転換されたB細胞もしくはハイブリドーマを含む。好ましくは、細胞は非ヒトである。これらの細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーターおよびエンハンサーなどの発現制御配列(Queenら、Immunol.Rev.89:49(1986))、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列などの必要なプロセシング情報部位を含有し得る。好ましい発現制御配列は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルス等に由来するプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)参照。
【0147】
あるいは、結合分子をコードする配列を、トランスジェニック動物のゲノムに導入し、その後トランスジェニック動物の乳において発現させるために導入遺伝子に組み込むことができる(たとえばDeboerら、米国特許第5,741,957号、Rosen、米国特許第5,304,489号、およびMeadeら、米国特許第5,849,992号参照)。適切な導入遺伝子は、カゼインまたはβラクトグロブリンなどの乳腺特異的遺伝子からのプロモーターおよびエンハンサーと作動可能に連結された、軽鎖および/または重鎖についてのコード配列を含む。
【0148】
本発明の組換え結合分子を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(たとえばR.J.KaufmanとP.A.Sharp(1982)Mol.Biol.159:601−621に記載されているような、DHFR選択マーカーと共に使用される、UrlaubとChasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−4220に記載されているdhfr−CHO細胞を含む)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞を含む。結合分子遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入したとき、宿主細胞における結合分子の発現、より好ましくはその中で宿主細胞を増殖させる培地への結合分子の分泌を可能にするのに十分な期間宿主細胞を培養することによって結合分子が生産される。標準的なタンパク質精製方法を使用して結合分子を培地から回収することができる。
【0149】
対象とするポリヌクレオチド配列(たとえば結合分子重鎖および軽鎖をコードする配列ならびに発現制御配列)を含有するベクターを周知の方法によって宿主細胞に導入することができ、その方法は細胞宿主の種類に依存して異なる。たとえば、塩化カルシウムトランスフェクションは一般に原核細胞のために利用され、リン酸カルシウム処理、電気穿孔、リポフェクション、遺伝子銃またはウイルスに基づくトランスフェクションは他の細胞宿主のために使用され得る。(一般にSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press,第2版、1989)参照(すべての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる))。哺乳動物細胞を形質転換するために使用される他の方法は、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、電気穿孔および微量注入の使用を含む(一般に、Sambrookら、前記参照)。トランスジェニック動物の作製のためには、導入遺伝子を受精卵母細胞に微量注入し得るか、または胚幹細胞のゲノムに組み込んで、そのような細胞の核を摘出卵母細胞に導入することができる。
【0150】
重鎖および軽鎖を別々の発現ベクターでクローニングするときは、無傷免疫グロブリンの発現と構築を得るためにベクターを共トランスフェクトする。ひとたび発現されれば、全結合分子、それらの二量体、個々の軽鎖および重鎖、または本発明の他の免疫グロブリン形態を、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動等を含む当技術分野の標準的な手順に従って精製することができる(一般にScopes,Protein Purification(Springer−Verlag,N.Y.(1982)参照)。医薬用途のためには、少なくとも約90〜95%の均一性を有する実質的に純粋な結合分子が好ましく、98〜99%またはそれ
を超える均一性が最も好ましい。
【0151】
宿主細胞はまた、FabフラグメントまたはscFv分子などの、無傷結合分子の部分を生産するために使用できる。前記手順の変法が本発明の範囲内であることは了解される。たとえば、本発明の結合分子の軽鎖または重鎖のいずれか(しかし両方ではない)をコードするDNAで宿主細胞をトランスフェクトすることが望ましい場合がある。組換えDNA技術はまた、GITRへの結合のために必要でない軽鎖および重鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAの一部または全部を除去するために使用し得る。そのようなトランケートされたDNA分子から発現される分子も本発明の結合分子に包含される。加えて、一方の重鎖と一方の軽鎖が本発明の結合分子であり、他方の重鎖と軽鎖がGITR以外の抗原に特異的である二官能性結合分子を、標準的な化学的架橋法によって本発明の結合分子を2番目の結合分子に架橋することによって生産し得る。
【0152】
III.付加的な作用物質
1つの実施形態では、本発明の併用療法における使用のための付加的な作用物質は化学療法剤である。
【0153】
化学療法剤は、一般に、たとえば以下を含む様々なクラスに属する:
1.トポイソメラーゼII阻害剤(細胞障害性抗生物質)、たとえばアントラサイクリン類/アントラセンジオン類、たとえばドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン、アントラキノン類、たとえばミトキサントロンおよびロソキサントロン、ならびにポドフィロトキシン類、たとえばエトポシドおよびテニポシド;
2.微小管形成に影響を及ぼす作用物質(有糸分裂阻害剤)、たとえば植物アルカロイド類(たとえば、生物学的に活性で細胞傷害性である、植物に由来するアルカリ性含窒素分子のファミリーに属する化合物)、たとえばタキサン、たとえばパクリタキセルおよびドセタキセル、ならびにビンカアルカロイド類、たとえばビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン、ならびにポドフィロトキシンの誘導体;
3.アルキル化剤、たとえばナイトロジェンマスタード、エチレンイミン化合物、アルキルスルホン酸塩類、ならびにニトロソ尿素類、
ダカルバジン、シクロホスファミド、イホスファミドおよびメルファランなどのアルキル化作用を有する他の化合物;
4.代謝拮抗薬(ヌクレオシド阻害剤)、たとえば葉酸塩類、たとえば葉酸、フルオロピリミジン類、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メトトレキサートおよびエダトレキサートなどのプリンまたはピリミジン類似体;
5.トポイソメラーゼI阻害剤、たとえばトポテカン、イリノテカンおよび9−ニトロカンプトテシン、ならびにカンプトテシン誘導体;および
6.白金化合物/複合体、たとえばシスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン。
【0154】
本発明の方法における使用のための例示的な化学療法剤は、アミフォスチン(エチオール)、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ドキソルビシンリポ(ドキシル)、ゲムシタビン(ゲムザール)、ダウノルビシン、ダウノルビシンリポ(ダウノキソーム)、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキサート、5−フルオロウラシル(5−FU)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、アルデスロイキン、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT−11、10−ヒドロキシ−7−エチル−カンプトテシン(SN38)、ダカルバジン、S−Iカペシタビン、フトラフール、5’デオキシフルオロウリジン、UFT、エニルウラシル、デオキシシチジン、5−アザシトシン、5−アザデオキシシトシン、アロプリノール、2−クロロアデノシン、トリメトレキサート、アミノプテリン、メチレン−10−デアザアミノプテリン(MDAM)、オキサプラチン、ピコプラチン、テトラプラチン、サトラプラチン、白金−DACH、オルマプラチン、CI−973、JM−216、およびその類似体、エピルビシン、リン酸エトポシド、9−アミノカンプトテシン、10,11−メチレンジオキシカンプトテシン、カレニテシン、9−ニトロカンプトテシン、TAS 103、ビンデシン、L−フェニルアラニンマスタード、イホスファミドメホスファミド、ペルホスファミド、トロホスファミド、カルムスチン、セムスチン、エポチロンA〜E、トムデックス、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アムサクリン、リン酸エトポシド、カレニテシン、アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、アマンタジン、リマンタジン、ラミブジン、ジドブジン、ベバシズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ペントスタチン、トリメトレキサート、クラドリビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシル、シスプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセル(タキソール)およびブレオマイシン、ならびに特定腫瘍または癌のための医療の適切な基準に基づき当業者に容易に明白であるそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0155】
1つの実施形態では、本発明の併用療法における使用のための化学療法剤は、ゲムザール、5−FU、ビンクリスチン、ビンブラスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、タキソール、サリドマイド、ベルケード(Velcade)、メトトレキサート、シタラビン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、ダウノルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、チオテパ、ブレオマイシン、ダカルバジン、L−アスパラギナーゼおよびプロカルバジンから成る群より選択される。
【0156】
1つの実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼII阻害剤である。もう1つの実施形態では、化学療法剤は、微小管形成に影響を及ぼす作用物質である。もう1つの実施形態では、化学療法剤はアルキル化剤である。もう1つの実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼI阻害剤である。もう1つの実施形態では、化学療法剤は白金化合物/複合体である。もう1つの実施形態では、化学療法剤は、ホルモン、ホルモン類似体および/またはホルモン複合体である。もう1つの実施形態では、化学療法剤は、酵素、タンパク質、ペプチド、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体である。1つの実施形態では、本発明の方法における使用のための化学療法剤は代謝拮抗薬である。
【0157】
「代謝拮抗薬」という用語は、DNAまたはRNA合成を導く生化学的経路において重要な天然中間体(代謝産物)に構造的に類似し、その経路で宿主によって利用されるが、その経路の完了(すなわちDNAまたはRNAの合成)を阻害するように働く物質を指す。より詳細には、代謝拮抗薬は、典型的には(1)DNAまたはRNA合成において鍵となる酵素の触媒または調節部位に関して代謝産物と競合すること、または(2)通常DNAもしくはRNAに組み込まれる代謝産物と置き換わり、それによって複製を支持することができないDNAもしくはRNAを生産すること、によって機能する。代謝拮抗薬の主要なカテゴリーは、(1)ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の阻害剤である、葉酸類似体;(2)天然のプリン類(アデニンまたはグアニン)を模倣するが、構造的に異なるので、DNAまたはRNAの核プロセシングを競合的または不可逆的に阻害する、プリン類似体;および(3)天然ピリミジン類(シトシン、チミジンおよびウラシル)を模倣するが、構造的に異なるので、DNAまたはRNAの核プロセシングを競合的または不可逆的に阻害する、ピリミジン類似体を含む。本発明の代謝拮抗薬の非限定的な例は、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ゲムシタビン、カペシタビン、ペントスタチン、トリメトレキサートおよびクラドリビンである。
【0158】
1つの実施形態では、代謝拮抗薬は、ヌクレオシド類似体、ゲムシタビンである。もう1つの実施形態では、代謝拮抗薬は、ヌクレオシド類似体、フルオロウラシルである。
【0159】
本明細書で使用される、「微小管形成に影響を及ぼす作用物質」または「有糸分裂阻害剤」は、微小管重合を乱す作用物質である。有糸分裂阻害剤は、有糸分裂を妨げ、中断させる(通常は細胞周期のM期の間に)ことによって働くので、細胞はもはや分裂しない。1つの実施形態では、微小管形成に影響を及ぼす作用物はパクリタキセル(タキソール(Taxol(登録商標))である。
【0160】
本明細書で使用される、「アルキル化剤」は、DNA内のグアニンヌクレオ塩基
を架橋して、鎖がほどけて分離することができないようにする作用物質である。これはDNA複製において必要であるので、細胞はもはや分裂することができない。1つの実施形態では、アルキル化剤は、シトホスファンとしても知られる、シクロホスファミドである。シクロホスファミドはプロドラッグである。
【0161】
もう1つの実施形態では、本発明の併用療法における使用のための付加的な作用物質は生物学的作用物質である。
【0162】
生物学的作用物質(生物学的製剤とも呼ばれる)は、生物系、たとえば生物、細胞または組換え系の生成物である。そのような生物学的作用物質の例は、核酸分子(たとえばアンチセンス核酸分子)、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、抗体、たとえばモノクローナル抗体、抗血管新生薬およびサイトカインを含む。例示的な生物学的作用物質を以下でさらに詳細に論じるが、それらは一般に、たとえば以下を含む様々なクラスに属する:
1.ホルモン、ホルモン類似体およびホルモン複合体、たとえばエストロゲンおよびエストロゲン類似体、プロゲステロン、プロゲステロン類似体およびプロゲスチン、アンドロゲン、副腎皮質ステロイド、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、抗テストステロン、副腎ステロイド阻害剤、および抗黄体形成ホルモン;ならびに
2.インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子等のような、酵素、タンパク質、ペプチド、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体。
【0163】
1つの実施形態では、生物学的製剤はインターフェロンである。インターフェロン(IFN)は、体内で天然に生じる生物学的作用物質の一種である。インターフェロンは実験室においても生産され、生物学的治療において癌患者に投与される。それらは、癌患者の免疫系が癌細胞に対して作用する様式を改善することが示されている。インターフェロンは、癌細胞に直接作用してそれらの成長を緩慢化し得るか、または癌細胞をより正常な挙動を有する細胞へと変化させ得る。一部のインターフェロンはまた、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞およびマクロファージ−癌細胞に対抗するのを助ける血流中の白血球の種類−を刺激し得る。
【0164】
1つの実施形態では、生物学的製剤はインターロイキンである。インターロイキン(IL)は多くの免疫細胞の増殖と活性を刺激する。インターロイキンは体内で天然に生じるタンパク質(サイトカインおよびケモカイン)であるが、実験室においても作製することができる。一部のインターロイキンは、癌細胞を破壊するように働く、リンパ球などの免疫細胞の増殖と活性を刺激する。
【0165】
もう1つの実施形態では、生物学的製剤はコロニー刺激因子である。コロニー刺激因子(CSF)は、骨髄内の幹細胞がより多くの血液細胞を産生することを促進するために患者に投与されるタンパク質である。身体は、特に癌が存在するとき、絶えず新しい白血球、赤血球および血小板を必要とする。CSFは、化学療法と共に、免疫系を増強するのを助けるために投与される。癌患者が化学療法を受けるとき、新しい血液細胞を産生する骨髄の能力は抑制され、患者はより感染を起こしやすくなる。免疫系の
一部は血液細胞なしでは機能することができず、それゆえコロニー刺激因子は骨髄の幹細胞が白血球、血小板および赤血球を産生することを促進する。適切な細胞産生により、他の癌治療が継続でき、患者が安全により高用量の化学療法を受けることが可能となる。
【0166】
もう1つの実施形態では、生物学的製剤は抗体である。抗体、たとえばモノクローナル抗体は、癌細胞に結合する、実験室において生産される作用物質である。癌破壊性作用物質が体内に導入されたとき、それらは抗体を探し出し、癌細胞を死滅させる。モノクローナル抗体作用物質は健常細胞を破壊しない。モノクローナル抗体は様々な機構を介してそれらの治療作用を達成する。モノクローナル抗体は、アポトーシスまたはプログラムされた細胞死を生じさせることに直接作用を及ぼし得る。それらは増殖因子受容体をブロックして、腫瘍細胞の増殖を効率よく停止させることができる。モノクローナル抗体を発現する細胞において、それらは抗イディオタイプ抗体の形成を生じさせることができる。
【0167】
本発明の併用
処置において使用し得る抗体の例は、セツキシマブ、トシツモマブ、リツキシマブおよびイブリツモマブなどの、しかしこれらに限定されない、抗CD20抗体を含む。抗HER2抗体も、癌の
処置のために抗GITR抗体と組み合わせて使用し得る。1つの実施形態では、抗HER2抗体はトラスツズマブ(ハーセプチン(Herceptin))である。癌の
処置のために抗GITR抗体と組み合わせて使用し得る抗体の他の例は、抗CD52抗体(たとえばアレムツズマブ)、抗CD22抗体(たとえばエプラツズマブ)および抗CD33抗体(たとえばゲムツズマブ・オゾガマイシン)を含む。抗VEGF抗体も、癌の
処置のために抗GITR抗体と組み合わせて使用し得る。1つの実施形態では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。他の実施形態では、生物学的作用物質は、抗EGFR抗体である抗体、たとえばセツキシマブである。もう1つの例は、抗糖タンパク質17−1A抗体、エドレコロマブである。
【0168】
もう1つの実施形態では、生物学的製剤はサイトカインである。サイトカイン療法は、被験体の免疫系が癌性の細胞を認識し、それらを破壊するのを助けるタンパク質(サイトカイン)を使用する。サイトカインは免疫系によって体内で天然に産生されるが、実験室においても生産することができる。この療法は、進行した黒色腫に関して、補助療法(一次癌
処置の後にまたは一次癌
処置に加えて行われる治療)と共に使用される。サイトカイン療法は、身体のすべての
部分に到達し癌細胞を死滅させ、癌が増殖するのを予防
する。
【0169】
もう1つの実施形態では、生物学的製剤は融合タンパク質である。融合タンパク質も使用し得る。たとえば、組換えヒトApo2L/TRAIL(Genentech)を併用療法において使用
する。Apo2/TRAILは、アポトーシス(プログラムされた細胞死)の調節に関与する、プロアポトーシス受容体DR4およびDR5の両方を活性化するように設計された最初の二
重プロアポトーシス受容体アゴニストである。
【0170】
1つの実施形態では、生物学的製剤はアンチセンス核酸分子である。アンチセンス核酸分子も本発明の方法において使用し得る。本明細書で使用される、「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的である、たとえば二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的である、mRNA配列に相補的である、または遺伝子のコード鎖に相補的であるヌクレオチド配列を含む。従って、アンチセンス核酸はセンス核酸に水素結合することができる。
【0171】
1つの実施形態では、生物学的作用物質はsiRNA分子、たとえば血管新生を増強する分子、たとえばbFGF、VEGFおよびEGFRのsiRNA分子である。1つの実施形態では、血管新生を阻害する生物学的作用物質はRNAiを媒介する。RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNA(dsRNA)を使用してdsRNAと同じ配列を含むメッセンジャーRNA(mRNA)を分解する、転写後標的遺伝子サイレンシング手法である(Sharp,P.A.とZamore,P.D.287,2431−2432(2000);Zamore,P.D.ら、Cell 101,25−33(2000);Tuschl,T.ら、Genes Dev.13,3191−3197(1999);Cottrell TRとDoering TL.2003.Trends Microbiol.11:37−43;Bushman F.2003.Mol Therapy.7:9−10;McManus MTとSharp PA.2002.Nat Rev Genet.3:737−47)。このプロセスは、内在性リボヌクレアーゼが長いdsRNAを、低分子干渉RNAまたはsiRNAと称される、より短い、たとえば21または22ヌクレオチド長のRNAに切断するときに起こる。より小さなRNAセグメントは、次に、標的mRNAの分解を媒介する。RNAiの合成のためのキットは、たとえばNew England BiolabsまたはAmbionより市販されている。1つの実施形態では、アンチセンスRNAにおける使用に関して本明細書で述べる化学の1またはそれ
より多くが、RNAiを媒介する分子において使用できる。
【0172】
細胞における特定タンパク質の発現を下方調節するアンチセンス核酸の使用は当技術分野において周知である(たとえばWeintraub,H.ら、Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis,Reviews−Trends in Genetics,第1巻(1)1986;Askari,F.K.とMcDonnell,W.M.(1996)N.Eng.J.Med.334:316−318;Bennett,M.R.とSchwartz,S.M.(1995)Circulation 92:1981−1993;Mercola,D.とCohen,J.S.(1995)Cancer Gene Ther.2:47−59;Rossi,J.J.(1995)Br.Med.Bull.51:217−225;Wagner,R.W.(1994)Nature 372:333−335参照)。アンチセンス核酸分子は、別の核酸分子のコード鎖に相補的なヌクレオチド配列(たとえばmRNA配列)を含み、従って他方の核酸分子のコード鎖に水素結合することができる。mRNAの配列に相補的なアンチセンス配列は、mRNAのコード領域、mRNAの5’または3’非翻訳領域、またはコード領域と非翻訳領域
とにまたがる領域(たとえば5’非翻訳領域とコード領域の接合部)において認められる配列に相補的であり得る。さらに、アンチセンス核酸は、mRNAをコードする遺伝子の調節領域、たとえば転写開始配列または調節エレメントに配列が相補的であり得る。好ましくは、アンチセンス核酸は、mRNAのコード鎖上
の開始コドンに先行するかまたは
mRNAの3’非翻訳領域
内にまたがる領域に相補的であるように設計される。
【0173】
血管新生を増強する分子のコード鎖配列を考慮して、ワトソン‐クリック塩基対合の規則に従って本発明のアンチセンス核酸を設計することができる。アンチセンス核酸分子は、mRNAのコード領域全体に相補的であり得るが、より好ましくは、mRNAのコード領域または非コード領域の一部に対してのみアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。たとえば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAの翻訳開始部位付近の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、たとえば約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当技術分野で公知の手順を用いた化学合成および酵素連結反応を使用して構築することができる。たとえば、アンチセンス核酸(たとえばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に生じるヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を高めるようにもしくはアンチセンス核酸とセンス核酸の間で形成される二本鎖の物理的安定性を高めるように設計された、様々に修飾されたヌクレオチドを使用して化学合成することができ、たとえばホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用できる。アンチセンス核酸を作製するために使用できる修飾ヌクレオチドの例は、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンを含む。細胞における発現を阻害するために、1またはそれ
より多いアンチセンスオリゴヌクレオチドが使用できる。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされた発現ベクターを使用して(すなわち、挿入された核酸から転写されるRNAは、以下の項でさらに説明する、対象とする標的核酸に対してアンチセンス方向である)生物学的に生産することができる。
【0174】
さらにもう1つの実施形態では、本発明のアンチセンス核酸分子はαアノマー核酸分子である。αアノマー核酸分子は、通常のβ単位と異なり、鎖が相互に平行に走る相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultierら(1987)Nucleic Acids.Res.15:6625−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)またはキメラRNA−DNA類似体(Inoueら(1987)FEBS Lett.215:327−330)を含み得る。
【0175】
もう1つの実施形態では、本発明のアンチセンス核酸はRNAiを媒介する化合物である。RNA干渉物質は、標的遺伝子またはゲノム配列に相同なRNA分子を含む核酸分子、「短い干渉RNA」(siRNA)、「短いヘアピン」または「低分子ヘアピンRNA」(shRNA)、およびRNA干渉(RNAi)によって標的遺伝子の発現に干渉するまたは発現を阻害する低分子を包含するが、これらに限定されない。RNA干渉は、二本鎖RNA(dsRNA)を使用してdsRNAと同じ配列を含むメッセンジャーRNA(mRNA)を分解する、転写後標的遺伝子サイレンシング手法である(Sharp,P.A.とZamore,P.D.287,2431−2432(2000);Zamore,P.D.ら、Cell 101,25−33(2000);Tuschl,T.ら、Genes Dev.13,3191−3197(1999))。このプロセスは、内在性リボヌクレアーゼが長いdsRNAを、低分子干渉RNAまたはsiRNAと称される、より短い、21または22ヌクレオチド長のRNAに切断するときに起こる。より小さなRNAセグメントが、次に、標的mRNAの分解を媒介する。RNAiの合成のためのキットは、たとえばNew England BiolabsおよびAmbionより市販されている。1つの実施形態では、アンチセンスRNAにおける使用に関して前述した化学の1またはそれ
より多くが使用できる。
【0176】
たとえば血管新生を阻害する分子をコードする核酸分子を、コードされるタンパク質の被験体の細胞における発現に適した形態で被験体に導入することができ、また本発明の方法においても使用し得る。血管新生を阻害する例示的な分子は、TSP−1、TSP−2、IFN−α、IFN−γ、アンギオスタチン、エンドスタチン、タムスタチン、カンスタチン、VEGI、PEDF、バソヒビン、およびプロラクチン2−メトキシエストラジオールの16kDaフラグメントを含むが、これらに限定されない(総説については、Kerbel(2004)J.Clin Invest 114:884参照)。
【0177】
たとえば、完全長または部分cDNA配列を組換え発現ベクターにクローニングし、標準的な分子生物学手法を使用してベクターを細胞にトランスフェクトする。たとえばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた増幅によってまたは適切なcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、cDNAを得ることができる。cDNAのヌクレオチド配列は、標準的なPCR法によるcDNAの増幅を可能にするPCRプライマーの設計のため、または標準的なハイブリダイゼーション法を用いてcDNAライブラリーをスクリーニングするのに使用できるハイブリダイゼーションプローブの設計のために使用できる。cDNAの単離または増幅後、DNAフラグメントを適切な発現ベクターに導入する。
【0178】
本発明の方法における使用のための例示的な生物学的作用物質は、ゲフィニチブ(イレッサ(Iressa))、アナストラゾール、ジエチルスチルベストロール、エストラジオール、プレマリン、ラロキシフェン、プロゲステロン、ノルエチノドレル、エチステロン、ジメチステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ノルエチステロン、メチルテストステロン、テストステロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、コルチゾール、ソルメドロール(Solumedrol)、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、アミノグルテチミド、テストラクトン、ドロロキシフェン、アナストロゾール、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ゴセレリン、フルタミド、ロイプロリド、トリプトレリン、アミノグルテチミド、ミトタン、ゴセレリン、セツキシマブ、エルロチニブ、イマチニブ、トシツモマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブチウキセタン、ベバシズマブ、デニロイキンディフティトックス、ダクリズマブ、インターフェロンα、インターフェロンβ、抗4−1BB、抗4−1BBL、抗CD40、抗CD154、抗OX40、抗OX40L、抗CD28、抗CD80、抗CD86、抗CD70、抗CD27、抗HVEM、抗LIGHT、抗GITRL、抗CTLA−4、可溶性OX40L、可溶性4−1BBL、可溶性CD154、可溶性GITRL、可溶性LIGHT、可溶性CD70、可溶性CD80、可溶性CD86、可溶性CTLA4−Ig、GVAX(登録商標)、および特定腫瘍または癌のための医療の適切な基準に基づき当業者に容易に明白であるそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。可溶性形態の作用物質は、たとえばIg−Fc領域と作用物質を作動可能に連結することにより、たとえば融合タンパク質として作製し得る。
【0179】
2以上の付加的な作用物質、たとえば1、2、3、4、5の作用物質をGITR結合分子と組み合わせて投与し得ることに留意すべきである。たとえば、1つの実施形態では、2つの化学療法剤をGITR結合分子と組み合わせて投与し得る。もう1つの実施形態では、化学療法剤、生物学的作用物質およびGITR結合分子を投与し得る。
【0180】
様々な形態の生物学的作用物質を使用し得る。これらは、限定されることなく、腫瘍に移植、注入または
その他の方法で挿入されたとき生物学的に活性化される、プロ形態分子、非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド等のような形態を包含する。
【0181】
IV.治療方法
本発明はさらに、本発明の併用療法を被験体に投与する方法を提供する。
【0182】
前述したように、本発明の方法、すなわち癌を
処置するうえで有用な2番目の作用物質と組み合わせたGITR結合分子の使用は、被験体において悪性疾患または癌を
処置するために使用し得る。例示的な癌は、膵癌、黒色腫、乳癌、肺癌、気管支癌、結腸直腸癌、前立腺癌、胃癌、卵巣癌、膀胱癌、脳または中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、食道癌、子宮頸癌、子宮または子宮内膜癌、口腔または咽頭の癌、肝癌、腎癌、精巣癌、胆道癌、小腸または虫垂癌、唾液腺癌、甲状腺癌、副腎癌、骨肉腫、軟骨肉腫、および血液
学的な組織の癌を含む。
【0183】
1つの実施形態では、本発明の方法は黒色腫を
処置するために使用し得る。もう1つの実施形態では、本発明の方法は、固形腫瘍、たとえば癌腫を
処置するために使用し得る。本発明の化合物によって
処置できる固形腫瘍の例は、乳癌、精巣癌、肺癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、膵癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸癌、ならびに前立腺癌、胃癌、皮膚癌、胃癌、食道癌および膀胱癌を含むが、これらに限定されない。1つの実施形態では、固形腫瘍は腺癌、たとえば結腸の腺癌である。本発明の1つの実施形態では、固形腫瘍は結腸腫瘍である。本発明のもう1つの実施形態では、固形腫瘍は、結腸腫瘍、肺腫瘍、乳房腫瘍、胃腫瘍、前立腺腫瘍、子宮頸腫瘍、膣腫瘍および膵腫瘍から成る群より選択される。
【0184】
もう1つの実施形態では、腫瘍は、第I期、第II期、第III期および第IV期腫瘍から成る群より選択される。腫瘍の病期は、腫瘍
の大きさ、腫瘍が転移したリンパ節または他の組織の数、顕微鏡分析、組織学的分析等のような、当技術分野で認められている病期分類の方法を使用して、当業者によって容易に決定される。
【0185】
本発明の1つの実施形態では、本発明の併用療法は、樹立腫瘍、たとえば、栄養素がもはや浸透現象によって被験体の血管系から腫瘍の中心部に浸透することができず、それゆえ腫瘍が栄養素を受け取るためにそれ自体の血管供給を必要とするような十分な大きさの腫瘍、すなわち血管化腫瘍を
処置するために使用される。もう1つの実施形態では、本発明の併用療法は、二次腫瘍、たとえば転移の樹立を
処置する、たとえば阻害するため、および/または腫瘍、たとえば樹立腫瘍および/もしくは二次腫瘍、たとえば転移の大きさを縮小するために使用される。さらにもう1つの実施形態では、本発明の併用療法は、二次腫瘍、たとえば転移の樹立を予防するために使用される。
【0186】
1つの実施形態では、併用療法は、少なくとも約1mm×1mmの寸法を有する腫瘍を
処置するために使用される。本発明のもう1つの実施形態では、併用療法は、少なくとも約0.5mm×0.5mmである腫瘍を
処置するために使用される。本発明の他の実施形態では、腫瘍は少なくとも約100mm
3の体積を有する。1つの実施形態では、本発明の併用療法は、触診によってまたはMRI、超音波もしくはCATスキャンなどの当技術分野で周知の画像化法によって発見されるのに十分な大きさである腫瘍を
処置するために使用される。
【0187】
本発明のある実施形態では、本発明の方法は、約10%
超、約20%
超、約30%
超、約35%
超、約42%
超、約43%
超、約44%
超、約45%
超、約46%
超、約47%
超、約48%
超、約49%
超、約50%
超、約51%
超、約52%
超、約53%
超、約54%
超、約55%
超、約56%
超、約57%
超、約58%
超、約59%
超、約60%
超、約65%
超、約70%
超、約75%
超、約80%
超、約85%
超、約90%
超、約95%
超または約100%
超の腫瘍
の大きさの抑制を生じさせる。1つの実施形態では、GITR結合分子またはその抗原結合フラグメント、および少なくとも1つの化学療法剤の投与は、約42%またはそれ
を超える%T/Cを生じさせる。
【0188】
1つの実施形態では、本発明の併用療法は相乗作用を有する。2つの化合物の「相乗作用」は、2つの作用物質の組合せの作用がそれらの個々の作用の和よりも大きく、対照および単一薬剤と統計的に異なるものである。もう1つの実施形態では、本発明の併用療法は相加作用を有する。2つの化合物の「相加作用」は、2つの作用物質の組合せの作用がそれらの個々の作用の和であり、対照および/または単一薬剤のいずれかと統計的に異なるものである。
【0189】
GITR結合分子は、注射(皮下、静脈内等)、経口投与、吸入、経皮適用または直腸投与などの
便利な方法で投与することができる。投与経路に依存して、活性化合物を、化合物を不活性化し得る酵素、酸および他の自然条件の作用から化合物を保護するための材料で被覆することができる。たとえば、非経口投与以外によって作用物質を投与するために、作用物質をその不活性化を防ぐ物質で被覆するまたは不活性化を防ぐ物質と同時投与することが望ましいと考えられる。
【0190】
一般に、GITR結合分子と組み合わせて投与される少なくとも1つの付加的な作用物質は、単独で使用されるときに常套的に投与される経路によって投与される。GITR結合分子と少なくとも1つの付加的な作用物質が同じ経路によって投与される必要がないことは了解される。
【0191】
本発明の併用療法は、当技術分野で公知の様々な方法によって投与することができるが、多くの治療適用に関して、好ましい投与経路/投与方法は、静脈内注射または注入である。当業者に認識されるように、投与の経路および/または方法は所望結果に依存して異なる。ある実施形態では、活性化合物は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化送達システムを含む、制御放出製剤などの、迅速な放出から化合物を保護する担体と共に調製され得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの、生分解性の生体適合性ポリマーが使用できる。そのような製剤の調製のための多くの方法が特許を受けているかまたは一般に当業者に公知である。たとえばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinsonら、Marcel Dekker,Inc.,New York,1978参照。
【0192】
ある実施形態では、本発明の結合分子は、たとえば不活性希釈剤または同化可能な可食担体と共に経口投与し得る。化合物(および所望する場合は他の成分)はまた、硬または軟ゼラチンカプセルに封入し得る、錠剤に圧縮し得る、または被験体の食事に直接組み込み得る。治療的経口投与のために、化合物を賦形剤と共に組み込み、経口摂取用錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤等の形態で使用し得る。非経口投与以外によって本発明の化合物を投与するために、化合物をその不活性化を防ぐ物質で被覆するまたは不活性化を防ぐ物質と同時投与することが必要であり得る。
【0193】
ある実施形態では、本発明の方法は、有効量のGITR結合分子と2番目の作用物質を被験体に非経口的に投与することを含む。1つの実施形態では、本発明の方法は、GITR結合分子と少なくとも1つの化学療法剤を被験体に動脈内投与することを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、有効量のGITR結合分子と少なくとも1つの化学療法剤を被験体における腫瘍の
動脈性の血液供
給に直接投与することを含む。1つの実施形態では、本発明の方法は、有効量のGITR結合分子と少なくとも1つの化学療法剤を、カテーテルを使用して癌性腫瘍の
動脈性の血液供
給に直接投与することを含む。GITR結合分子と少なくとも1つの化学療法剤を投与するためにカテーテルを使用する実施形態では、カテーテルの挿入は、透視検査によってまたはカテーテル挿入を観察し得るおよび/もしくは誘導し得る当技術分野で公知の他の方法によって誘導または観察し得る。もう1つの実施形態では、本発明の方法は化学塞栓療法を含む。たとえば、化学塞栓療法は、癌性腫瘍に栄養供給する血管を、油性基剤(たとえばエチオドール中のポリビニルアルコール)と混合した樹脂様物質および1またはそれ
より多い化学療法剤からなる組成物で閉塞させることを含み得る。さらに他の実施形態では、本発明の方法は、GITR結合分子と少なくとも1つの化学療法剤の被験体への全身投与を含む。
【0194】
一般に、本発明の医薬組成物を使用する化学塞栓療法または直接
的な動脈内もしくは静脈内注入療法は、典型的には部位にかかわらず同様の方法で実施される。簡単に述べると、塞栓を生じさせる領域の血管造影(血管のロードマップ)、またはより詳細には、ある実施形態では動脈造影を、X線撮影を行うときに動脈または静脈(閉塞させるまたは注入する部位に依存して)に挿入されるカテーテルを通してX線不透過性造影剤を注入することによって最初に実施し得る。カテーテルは経皮的にまたは手術によって挿入し得る。次に、流れが停止したことが認められるまでカテーテルを通して本発明の医薬組成物を還流することによって血管を閉塞させ得る。閉塞は、血管造影を反復することによって確認し得る。直接注入を使用する実施形態では、その後、血管に本発明の医薬組成物を所望用量で注入する。
【0195】
塞栓形成療法は、一般に、
処置する腫瘍または血管塊の間隙全体にわたって阻害剤を含有する組成物の分布を生じさせる。動脈管腔を詰まらせる塞栓粒子の物理的なかさが血管供給の閉塞をもたらす。この作用に加えて、抗血管新生因子(単数または複数)の存在が腫瘍または血管塊に供給する新しい血管の形成を予防し、血管供給を断つ失活作用を増強する。直接
的な動脈内または静脈内注入投与は、一般に、同じく
処置する腫瘍または血管塊の間隙全体にわたる阻害剤含有組成物の分布を生じさせる。しかし、血管供給がこの方法で閉塞されることは一般には期待されない。
【0196】
本発明の1つの態様では、塞栓形成または直接
的な動脈内もしくは静脈内注入療法を利用して一次および二次腫瘍を
処置し得る。簡単に述べると、大腿動脈または上腕動脈を介してカテーテルを挿入し、透視下で動脈系を通して誘導することにより、たとえば肝動脈へと進行させる。正常構造に供給する動脈枝はできるだけ多く温存しながら、腫瘍に供給する血管を完全に閉塞させるためにカテーテルを必要なだけ遠くまで肝動脈樹内を進ませる。理想的には、これは肝動脈の区域枝であるが、腫瘍およびその個々の血液供給の程度に依存して胃十二指腸動脈の起始部より遠位の肝動脈全体、またはさらには複数の別々の動脈を閉塞することが必要な場合があり得る。ひとたび所望カテーテル位置が達成されれば、閉塞すべき動脈内の流れが停止するまで、好ましくはさらに5分間の観察後まで、動脈カテーテルを通して組成物(前述したような)を注入することによって動脈を閉塞させる。動脈の閉塞は、カテーテルを通してX線不透過性造影剤を注入し、以前は造影剤で満たされていた血管がもはや造影剤で満たされていないことを透視検査またはX線フィルムで明らかにすることによって確認し得る。直接注入を使用する実施形態では、動脈カテーテルを通して組成物(前述したような)を所望用量で注入することによって動脈に注入し得る。同じ手順を閉塞すべき各々の栄養供給動脈に関して反復し得る。
【0197】
投薬に関して、用量、投与サイクルの数および投与の順序は、緩和しようとする状態の重症度によって異なり得ることに留意すべきである。任意の特定被験体に関して、特定用量レジメンは、個々の必要性および組成物を投与するまたは組成物の投与を監督する人物の専門的判断に従って経時的に調整され得ることがさらに了解されるべきである。典型的には、投
薬は当業者に公知の手法を用いて決定される。選択される用量レベルは、作用物質またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与の時間、使用される特定化合物の排出または代謝の速度、
処置の期間、使用される特定化合物と組み合わせて用いられる他の薬剤、化合物および/または物質、年齢、性別、体重、状態、全般的健康、疾患状態、個体において所望応答を惹起する結合分子の能力、および
処置される患者の過去の病歴、ならびに医学技術分野において周知の同様の因子を含む、様々な因子に依存する。
【0198】
用量レジメンは、最適所望応答を与えるように調整し得る。たとえば、単回ボーラスを投与し得るか、いくつかの分割用量を時間をかけて投与し得るか、または治療状況の緊急性によって指示されるのに比例して用量を低減または増加し得る。1つの実施形態では、投与される作用物質の1またはそれ
より多くを、投与の容易さと用量の均一性のために単位投与形態の非経口組成物として製剤し得る。本明細書で使用される単位投与形態は、
処置される哺乳動物被験体のための単位剤型として適する物理的に分離した単位を指す;各々の単位は、必要な医薬担体と共同して所望治療効果を生じさせるように算定された、あらかじめ定められた量の活性化合物を含有する。本発明の単位投与形態についての規格は、(a)活性化合物の独自の特徴および達成すべき特定治療または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の
処置のためにそのような活性化合物を配合する技術分野に固有の制限によって決定され、直接それらに依存する。
【0199】
当技術分野における通常技術を有する医師または獣医は、本発明の併用療法の作用物質の各々の有効量を容易に決定し、処方することができる。たとえば、医師または獣医は、少なくとも1つの付加的な作用物質を、それが単独でまたはGITR結合分子を使用しない併用療法の一部として投与される場合に被験体に与えられる用量で投与することができる。そのような当技術分野で認められている投薬プロトコールは、過度の実験を必要とせずに当業者によって決定され得る。
【0200】
本明細書で述べるGITR結合分子と少なくとも1つの化学療法剤の併用は、任意の個別作用物質についての必要用量を低減し得る。従って、1つの実施形態では、少なくとも1つの付加的な作用物質の用量は、作用物質が単独で投与される場合に所望治療効果を達成するために必要とされる用量よりも低い用量であり得る。
【0201】
GITR結合分子に関して、当業者はまた、最適用量を容易に決定することができる。たとえば、抗GITR抗体は、約50mg/kg〜約0.05mg/kgの用量で投与することができる。1つの実施形態では、抗GITR抗体は、約40mg/kg〜約0.1mg/kgの用量で投与できる。もう1つの実施形態では、抗GITR抗体は、約30mg/kg〜約0.5mg/kgの用量で投与できる。さらにもう1つの実施形態では、抗GITR抗体は、約20mg/kg〜約1mg/kgの用量で投与できる。前記に列挙した値の中間の範囲も本発明の一部であることが意図されている。さらにもう1つの実施形態では、抗GITR抗体は、約10mg/kg〜約5mg/kgの用量で投与することができる。たとえば、例示的な用量は、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約10、約20、約30または約40mg/kgを含む。本明細書で示す用量および用量範囲は単なる例示であり、特許請求する組成物の範囲または実施を限定することを意図しないことに留意されたい。
【0202】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、たとえばマウスにおいて有害作用が起こらない用量を測定し、ヒト等価用量を決定することにより、ヒトにおける使用のための用量の範囲を策定するときに使用し得る(たとえば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、www.fda.gov/cber/gdlns/dose.htm参照)。任意の補助物質、あるいはその任意の成分の用量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性を伴わないED50(半有効量)を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、使用される投与形態および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。本発明の作用物質に関して、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定され得る。用量は、細胞培養において決定されるIC50(すなわち症状の
最大の半分の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて策定され得る。そのような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用し得る。血漿中のレベルは、たとえば高速液体クロマトグラフィーによって測定し得る。
【0203】
あるいは、本発明の用量は、組成物の血漿中濃度を参考にして決定し得る。たとえば、最大血漿中濃度(Cmax)および0時間目から無限大までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC(0〜4))を使用し得る。本発明のための用量は、CmaxおよびAUC(0〜4)に関して前記の値を生じさせる用量およびそれらのパラメーターに関してより大きなまたはより小さな値を生じさせる他の用量を含む。
【0204】
所与の患者において最も有効な
処置を生じさせる任意の特定化合物の投与の正確な時間および量は、特定化合物の活性、薬物動態およびバイオアベイラビリティー、患者の生理的状態(年齢、性別、疾患の種類および病期、全般的健康状態、薬剤の所与の用量および種類に対する応答性を含む)、投与の経路等に依存する。本明細書で提示する指針は、
処置を最適化する、たとえば投与の最適の時間および/または量を決定するために使用でき、これは、被験体を
モニタリングすることならびに用量および/または時期を調整することから成る常套的な実験しか必要としない。
【0205】
1つの実施形態では、併用療法の少なくとも1つの非GITR結合物質は、GITR結合分子の投与の前に被験体に投与される。非GITR結合分子は1回または2回以上患者に投与され得る。反復投与の場合、非GITR結合分子は、毎日、1日おき、週に1回、月に1回、または別のスケジュールに従って投与され得る。例示的な
処置は、長期間、たとえば少なくとも6ヶ月間にわたる多回投与量での投与を必要とする。
【0206】
同様に、本発明のGITR結合分子は1回または2回以上患者に投与され得る。反復投与の場合、GITR結合分子は、毎日、1日おき、週に1回、月に1回、または別のスケジュールに従って投与され得る。例示的な
処置は、長期間、たとえば少なくとも6ヶ月間にわたる多回投与量での投与を必要とする。
【0207】
非GITR結合分子をGITR結合分子の投与の前または投与後に投与する場合、作用物質の投与の間の間隔は、数分間、数時間、数日間、数週間または数カ月間であり得る。
【0208】
GITR結合分子と少なくとも1つの付加的な作用物質を含む本発明の併用療法は、場合により、癌を
処置するうえで有効である付加的な作用物質の投与または
処置レジメン、たとえば手術、放射線療法を含み得る。好ましい付加的な作用物質は、当技術分野で認められており、特定疾患を
処置するために常套的に投与されるものである。
【0209】
被験体が
処置されている間、関連する指標の1またはそれ
より多くをあらかじめ定められた時点で、たとえば24時間にわたって測定することによって患者の健康状態を
モニタリングし得る。そのような
モニタリングの結果に従って、投与および製剤の補助物質、量、時間を含めて、
処置を最適化し得る。同じパラメーターを測定することによって改善の程度を決定するために患者を定期的に再評価してもよく、最初のそのような再評価は、典型的には治療の開始から4週間後に行われ、その後の再評価は、治療
の間は4〜8週間ごとに、その後は3カ月ごとに行われる。治療は数ヶ月間、さらには数年間継続してもよく、
最短1ヶ月間がヒトのための典型的な治療期間である。投与される作用物質の量および場合によっては投与の時間に対する調整は、これらの再評価に基づいて行われ得る。
【0210】
1つの実施形態では、GITR結合分子と2番目の作用物質は、当技術分野で公知の方法を用いて複合される。
【0211】
V.本発明のキット
本発明は、本発明の方法の使用のためのキットおよび製品を提供する。本発明はまた、癌の
処置のために本発明において使用されるGITR結合分子および2番目の作用物質を投与するための包装された医薬組成物またはキットに関する。本発明の1つの実施形態では、キットまたは製品は、GITR結合分子、および少なくとも1つの付加的な作用物質、たとえば化学療法剤と組み合わせて癌の
処置のために投与するための指示書を含む。もう1つの実施形態では、キットは、GITR結合分子との併用療法における使用のための少なくとも1つの付加的な作用物質を含有する2番目の容器を含む。指示書は、種々の用量のGITR結合分子および少なくとも1つの化学療法剤を、どのようにして、たとえば静脈内
に、およびいつ、たとえば0週目と2週目に、
処置のために被験体に投与すべきかを説明し得る。
【0212】
包装またはキットは、あるいは、GITR結合分子を含むことができ、本明細書で述べる用途または疾患の
処置のために、包装中でまたは添付の情報を通して、使用を奨励(promoted)され得る。包装された医薬品またはキットは、1番目の作用物質、たとえばGITR結合分子と共に2番目の作用物質、たとえば化学療法剤を使用するための指示書と共に包装されるまたは指示書により同時奨励される、化学療法剤(本明細書で述べるような)をさらに含み得る。
【0213】
たとえば、キットは、包装材料、1またはそれ
より多いGITR結合分子および前述した少なくとも1つの化学療法剤および場合によりラベルまたは添付文書を含み得る。さらに他の実施形態では、本発明は、1またはそれ
より多いGITR結合分子および少なくとも1つの化学療法剤およびそのような組成物の投与を達成するための1またはそれ
より多い装置を含むキットを提供する。たとえば、キットは、GITR結合分子を含有する医薬組成物および固形腫瘍への組成物の直接
的な動脈内注入を達成するためのカテーテルを含み得る。キットは、場合により、医薬的に許容される緩衝液を含む2番目の容器および組成物を使用するための指示書などの付属成分を含む。
【0214】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、それらは限定と解釈されるべきではない。本明細書全体を通じて引用されるすべての参考文献、特許および公開特許出願の内容、ならびに図面は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0215】
(実施例1)
GITR結合分子とヌクレオシド類似体の組合せは結腸癌の動物モデルにおいて腫瘍量を減少させ、生存時間を延長させる。
【0216】
マウスの側腹部に1×10
5のCT26細胞を注射し、マウスを群に分けた。対照マウスの1つの群は未処置とした。ゲムザールを
受容するマウスの群は、15日目にゲムザール80mg/kgで処置した。1つの群のマウスは、15、16および17日目に0.4mgの用量の抗GITR抗体(2F8)単独(I.P.)を
受容した。ゲムザール+2F8を
受容するマウスの群には、15日目にゲムザール80mg/kgおよび16日目に2F8 0.4mg(I.P.)を投与した。
【0217】
腫瘍
の大きさおよびマウスの生存を
モニタリングした。GraphPad Prism 4ソフトウエアを使用してカプラン−マイヤー生存曲線を作成し、群についての生存時間中央値を確認した。カリパスを使用して腫瘍を測定し、式(L×W
2)/2を用いて腫瘍
の大きさを算定した。
【0218】
ゲムザールと2F8の組合せで処置したマウスにおける腫瘍量は、ビヒクル、ゲムザール単独または2F8単独で処置したマウスの腫瘍量に比べて低かった(
図1)。
【0219】
加えて、
図2に示すように、IgG2a対照マウスおよびGITR結合分子単独で処置したマウスについての生存時間中央値は24日間であった。ゲムザール単独で処置したマウスについては、生存時間中央値は31日間であった。ゲムザール+2F8で処置したすべてのマウスが31日目にまだ生存しており、腫瘍は中等度の大きさであった。
【0220】
2番目の試験では、マウスの尾静脈に1×10
5のCT26細胞を注射し、腫瘍を肺において10日間樹立させた。その後動物を群に分けた。対照マウスの1つの群は未処置とした。ゲムザールを
受容するマウスの群は、15日目にゲムザール80mg/kgで処置した。1つの群のマウスは、15、16および17日目に0.4mgの用量の抗GITR抗体(2F8)単独(I.P.)を
受容した。ゲムザール+2F8を
受容するマウスの群には、15日目にゲムザール80mg/kgおよび16日目に2F8 0.4mg(I.P.)を投与した。腫瘍の数を22日目に評価した。
【0221】
図3に示すように、ゲムザールと2F8の組合せで処置したマウスにおける腫瘍の数は、ビヒクル、ゲムザール単独または2F8単独で処置したマウスにおける腫瘍の数に比べて低かった。
【0222】
(実施例2)
GITR結合分子と微小管形成に影響を及ぼす作用物質の組合せは黒色腫の動物モデルにおいて腫瘍量を減少させる。
【0223】
マウスの側腹部に12×10
3のB16黒色腫細胞を注射し、マウスを群に分けた。対照マウスの1つの群は未処置とした。タキソール(Taxol(登録商標))を
受容するマウスの群は、腫瘍が約100mm
3であった20日目にタキソール(登録商標)10mg/kgで処置した。1つの群のマウスは、21日目に0.4mgの用量の抗GITR抗体(2F8)単独(I.P.)を
受容した。タキソール
(登録商標)+2F8を
受容するマウスの群には、20日目にタキソール(登録商標)10mg/kgおよび21日目に2F8 0.4mg(I.P.)を投与した。
【0224】
腫瘍
の大きさおよびマウスの生存を
モニタリングした。カリパスを使用して腫瘍を測定し、式(L×W
2)/2を用いて腫瘍
の大きさを算定した。
【0225】
図4に示すように、タキソール(登録商標)と2F8の組合せで処置したマウスにおける腫瘍量は、ビヒクル、タキソール(登録商標)単独または2F8単独で処置したマウスの腫瘍量に比べて低かった。
【0226】
(実施例3)
GITR結合分子とアルキル化剤の組合せは結腸癌の動物モデルにおいて腫瘍量を減少させる。
【0227】
マウスに1×10
5のCT26細胞を皮下注射し、マウスを群に分けた。対照マウスの1つの群は未処置とした。シトキサンを
受容するマウスの群は、13日目にシトキサン150mg/kgで処置した。1つの群のマウスは、14日目に0.4mgの用量の抗GITR抗体(2F8)単独(I.P.)を
受容した。シトキサン+2F8を
受容するマウスの群には、13日目にシトキサン(Cytoxan(登録商標))150mg/kgおよび14日目に2F8 0.4mg(I.P.)を投与した。
【0228】
腫瘍
の大きさおよびマウスの生存を
モニタリングした。カリパスを使用して腫瘍を測定し、式(L×W
2)/2を用いて腫瘍
の大きさを算定した。
【0229】
図5に示すように、シトキサンと2F8の組合せで処置したマウスにおける腫瘍量は、ビヒクルまたはシトキサン単独で処置したマウスの腫瘍量に比べて低かった。
【0230】
(実施例4)
GITR結合分子とアルキル化剤またはヌクレオシド類似体の組合せで処置した結腸癌の動物モデルは、CT26細胞に対する強固な記憶応答を発現する。
【0231】
腫瘍の完全な寛解を有する、実施例1および4において前記のように処置したマウスを試験において使用し、この試験では、マウスに3×10
5のCT26細胞をIV注射するか(4匹のマウス)、またはマウスの左側腹部に10
6のCT26細胞および右側腹部に10
6のRENCA細胞を注射した(4匹のマウス)。CT26に対してナイーブなマウスを対照として使用した。組合せで処置した4匹のマウスすべてがCT26細胞の攻撃誘発を拒絶し、2/4はRENCA細胞を完全に拒絶した。IV試験では、細胞の注射後14日目に肺を切除し、インディアインクで染色して、フェケト(Fekete)溶液で固定し、腫瘍の存在に関して分析した;4匹の動物すべての肺の分析が腫瘍の目に見える徴候を示さなかった。
【0232】
(実施例5)
GITR結合分子と代謝拮抗薬の組合せは結腸癌の動物モデルにおいて腫瘍量を減少させる。
【0233】
マウスに1×10
5のCT26細胞を皮下注射し、マウスを群に分けた。対照マウスの1つの群は未処置とした。フルオロウラシル(5−FU)を
受容するマウスの群は、10日目に5−FU 75mg/kgで処置した。5−FU+2F8を
受容するマウスの群には、10日目に5−FU 75mg/kgおよび11日目に2F8 0.4mg(I.P.)を投与した。
【0234】
腫瘍
の大きさおよびマウスの生存を
モニタリングした。カリパスを使用して腫瘍を測定し、式(L×W
2)/2を用いて腫瘍
の大きさを算定した。
【0235】
図6に示すように、5−FUと2F8の組合せで処置したマウスにおける腫瘍量は、ビヒクルまたは5−FU単独で処置したマウスの腫瘍量に比べて低かった。
【0236】
(実施例6)
GITR結合分子と細胞障害性抗生物質の組合せは結腸癌の動物モデルにおいて腫瘍量を減少させる。
【0237】
マウスに1×10
5のCT26細胞を皮下注射し、マウスを群に分けた。対照マウスの1つの群は未処置とした。ドキソルビシン(アドリアマイシン)を
受容するマウスの群は、10日目にドキソルビシン5mg/kgで処置した。ドキソルビシン+2F8を
受容するマウスの群には、10日目にドキソルビシン5mg/kgおよび11日目に2F8 0.4mg(I.P.)を投与した。
【0238】
腫瘍
の大きさおよびマウスの生存を
モニタリングした。カリパスを使用して腫瘍を測定し、式(L×W
2)/2を用いて腫瘍
の大きさを算定した。
【0239】
図7に示すように、ドキソルビシンと2F8の組合せで処置したマウスにおける腫瘍量は、ビヒクルまたはドキソルビシン単独で処置したマウスの腫瘍量に比べて低かった。
【0240】
(実施例7)
GITR結合分子とアルキル化剤の組合せは黒色腫の動物モデルにおいて腫瘍量を減少させる。
【0241】
マウスに1×10
4のB16黒色腫細胞を皮下注射し、マウスを群に分けた。対照マウスの1つの群は未処置とした。シトキサンを
受容するマウスの群は、13日目にシトキサン150mg/kgで処置した。1つの群のマウスは、14日目に0.4mgの用量の抗GITR抗体(2F8)単独(I.P.)を
受容した。シトキサン+2F8を
受容するマウスの群には、13日目にシトキサン(登録商標)150mg/kgおよび14日目に2F8 0.4mg(I.P.)を投与した。
【0242】
腫瘍
の大きさおよびマウスの生存を観測した。カリパスを使用して腫瘍を測定し、式(L×W
2)/2を用いて腫瘍
の大きさを算定した。
【0243】
図8に示すように、シトキサンと2F8の組合せで処置したマウスにおける腫瘍量は、ビヒクルまたはシトキサン単独で処置したマウスの腫瘍量に比べて低かった。
【0244】
等価物
当業者は、本明細書で述べる本発明の特定実施形態に対する多くの等価物を認識する、または常套的な実験だけを使用して確認することができる。そのような等価物は以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0245】
以下で列挙する項目を含む、本明細書で言及するすべての公表文献および特許は、各々個々の公表文献または特許が、参照によって組み込まれることを具体的におよび個別に指示されているかのごとくに、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。