(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図7および
図8において、1は収納棚等の収納装置で、この収納装置1は、被収納物(図示せず)が前面の開口部2を介して出し入れ可能に収納される収納空間部3を内部に有する箱状の固定部材である収納本体4を備えている。
【0013】
また、収納装置1は、収納本体4に回動可能に設けられこの収納本体4の開口部2を開閉する板状の可動部材である開閉部材5を備えている。
【0014】
さらに、収納装置1は、通常時(定常状態時)には解錠状態となって開閉部材5の収納本体4に対する開閉動作である回動を許容するが、例えば地震時等の震動時には施錠状態となって開閉部材(可動部材)5の収納本体(固定部材)4に対する開方向への回動(動き)を規制する耐震ラッチ等の施錠装置6を備えている。
【0015】
収納本体4は、上下に互いに離間対向する上板11および下板(図示せず)を備え、これら上板11および下板の3辺の端部同士が左側板12、右側板13および後板14にて連結されている。右側板13の前端部には、開閉部材5の基端部が上下方向の軸を中心として水平方向に回動可能に取り付けられている。
【0016】
そして、開閉部材5は、収納本体4に対する一方向である開方向への回動により開状態となって開口部2を開口させ、収納本体4に対する他方向である閉方向への回動により閉状態となって開口部2を閉鎖する。
【0017】
施錠装置6は、
図1ないし
図8等に示されるように、収納本体4の上板11の前端部下面にねじ等の取付具にて固定的に取り付けられた装置本体ユニット21と、開閉部材5の先端部における上端部裏面にねじ等の取付具22にて固定的に取り付けられた係合体23とにて構成されている。
【0018】
装置本体ユニット21は、収納本体4の上板11の前端部下面に取付具にて固定的に取り付けられた箱状のケース体である本体25を備えている。
【0019】
また、装置本体ユニット21は、本体25に水平方向である左右方向の回動中心軸線X1を中心として上下方向に回動可能に設けられ震動時に係合体23との係合により開閉部材5の収納本体4に対する開方向への回動を規制する規制体26と、本体25に水平方向である左右方向の回動中心軸線X2を中心として上下方向に回動可能に設けられ規制体26とは係合せず規制体26の両方向への回動を許容する許容状態および規制体26との係合により規制体26の一方向(
図1では、反時計周りの方向)への回動を規制する規制状態になる可動体27とを備えている。
【0020】
つまり、可動体27は、本体25に対して回動可能なもので、本体25に対する一方向(
図1では、反時計周りの方向)への回動により許容状態となり、本体25に対する他方向への回動により規制状態となる。そして、この可動体27の規制状態時において、可動体27と規制体26との係合により開閉部材5の収納本体4に対する開方向への回動が規制される。
【0021】
さらに、装置本体ユニット21は、本体25に直立姿勢から傾き姿勢へと姿勢変化可能に設けられ震動時に直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化して可動体27を回動させて許容状態から規制状態にする第1感震体である第1感震錘体31と、本体25に直立姿勢から傾き姿勢へと姿勢変化可能に設けられ震動時に直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化して既に第1感震錘体31の姿勢変化により規制状態になった可動体27をその規制状態に保持する第2感震体である第2感震錘体32とを備えている。
【0022】
第1感震錘体31は、震動時に傾き姿勢への姿勢変化(傾動)によって、可動体27を本体25に対して回動させて規制状態にするためのものであり、その一方、第2感震錘体32は、震動時に第1感震錘体31の姿勢変化後における傾き姿勢への姿勢変化(傾動)によって、第1感震錘体31の姿勢変化に基づいて既に規制状態となっている可動体27をその規制状態に保持するためのものである。
【0023】
つまり、両感震錘体31,32は、それぞれ役割が異なるものであって、その質量および形状も異なっており、震動に基づく傾動周期(揺動周期)も互いに異なる。
【0024】
このため、例えば地震等により震動が発生した際に、第1感震錘体31が直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化(感震動作)した後、第2感震錘体32が感震動作、つまり直立姿勢から傾き姿勢への姿勢変化を開始するようになっている。換言すると、震動が発生した場合に、第2感震錘体32の感震動作に先行して、第1感震錘体31が感震動作するようになっている。なお、第1感震錘体31、第2感震錘体32および可動体27の各々はその全体が本体25内に配設されているが、規制体26は、その一部が本体25内から突出している。
【0025】
ここで、本体25は、収納空間部33、この収納空間部33の前面の一部を前方に向けて開口させる前面開口部34、収納空間部33の下面の一部を下方に向けて開口させる下面開口部35および収納空間部33の上面全体を上方に向けて開口させる上面開口部36を有する箱状のケース本体部材41と、このケース本体部材41に取り付けられ上面開口部36を閉鎖する板状の蓋部材42とにて構成されている。
【0026】
そして、ケース本体部材41の収納空間部33の後側における下部左側には第1感震錘体31が収納され、収納空間部33の後側における下部右側には第2感震錘体32が収納され、これら両感震錘体31,32がケース本体部材41内で左右方向に並んでいる。また、収納空間部33の上側には可動体27が収納され、収納空間部33の前側には規制体26の一部が収納され、規制体26の残部が前面開口部34および下面開口部35を通ってケース本体部材41外に突出している。
【0027】
ケース本体部材41は、取付用孔43が形成された左右1対の取付板部44を有し、この両取付板部44が取付具によって収納本体4の上板11の前端部下面に固定的に取り付けられている。
【0028】
ケース本体部材41は、収納空間部33の下面に沿って位置する水平状の底板部45を有し、この底板部45には、第1感震錘体31を傾動可能に支持する上下方向の円筒状の第1支持筒部46および第2感震錘体32を傾動可能に支持する上下方向の円筒状の第2支持筒部47が形成されている。
【0029】
そして、底板部45の前端部には立設板部48が立設され、この立設板部48の前面の一部が規制体26の係合板部63と係合してこの規制体26の一方向とは反対の他方向(
図1では、時計周りの方向)への回動を規制する係合受部49となっている。また、底板部45のうち第2支持筒部47に隣接した部分から立上板部50が上方に向かって立ち上がっており、この立上板部50は、第2感震錘体32との当接によりこの第2感震錘体32が第1感震錘体31側に倒れるのを防止する(
図6参照)。
【0030】
ケース本体部材41は、規制体26の軸部65を下方から回動可能に支持する円弧面状の左右1対の規制体支持部51と、可動体27の軸部75を下方から回動可能に支持する円弧面状の左右1対の可動体支持部52とを有している。また、蓋部材42は、規制体26の軸部65を上方から回動可能に支持する平面状の左右1対の規制体支持部53と、可動体27の軸部75を上方から回動可能に支持する円弧面状の左右1対の可動体支持部54とを有している。つまり、規制体26の軸部65は上下の規制体支持部51,53にて回動可能に挟持され、可動体27の軸部75は上下の可動体支持部52,54にて回動可能に挟持されている。
【0031】
ケース本体部材41は、前面開口部34の近傍に位置する上下方向の軸状の弾性体保持部56を有し、この弾性体保持部56にて弾性変形可能なゴム製の弾性体57が保持されている。この弾性体57は、規制体26をこの規制体26が係合体23と係合しない非係合位置に一時的に位置決め保持するためのものである。なお、この弾性体57による規制体26の非係合位置への位置決め保持は、係合体23が規制体26の係合板部63に当接することによって弾性体が弾性変形することで解除される。
【0032】
規制体26は、本体25に回動中心軸線X1を中心として回動可能に取り付けられた本体部61と、この本体部61の前側に下方に向かって突設され震動時に係合体23との係合により開閉部材5の収納本体4に対する開方向への回動を規制する規制部62と、本体部61の後側に下方に向かって突設され通常時(非震動時)に本体25の係合受部49と当接係合する係合板部63とを有している。
【0033】
本体部61の左右両側には左右方向の軸部65が形成され、この軸部65が本体25の規制体支持部51,53にて回動可能に支持されている。
【0034】
本体部61の上側には、断面三角形状(略三角形状を含む)で左右方向長手状をなす上方突出状の係合部である係合凸部66が形成されている。この係合凸部66は、震動時に規制状態の可動体27の係合受部73と当接係合し、この当接係合によって規制体26の一方向への回動が規制される。
【0035】
規制部62には、係合体23と係合してこの係合体23の回動を規制する平面状の係合受部69が形成されている。なお、規制体26は、本体部材67と、この本体部材67に脱着可能に取り付けられ係合受部69を有する脱着部材68とにて構成されている(
図2参照)。
【0036】
可動体27は、本体25に回動中心軸線X2を中心として回動可能に取り付けられた矩形板状の回動本体部70と、この回動本体部70の後端部に設けられこの後端部下面からそれぞれ下方に向かって突出する軸状の第1突出部71および第2突出部72と、回動本体部70の前端部に設けられ可動体27の規制状態時に規制体26の係合凸部66と当接係合してこの規制体26の一方向への回動を規制する下方突出状の係合受部73とを有している。
【0037】
回動本体部70の左右両側には左右方向の軸部75が形成され、この軸部75が本体25の可動体支持部52,54にて回動可能に支持されている。なお、可動体27の重心は、軸部75の軸芯を通る水平な回動中心軸線X2よりも後方側(突出部71,72側)に位置するため、通常時においては、両突出部71,72の少なくとも1つ、すなわち例えば両突出部71,72の下端部が直立姿勢の感震錘体31,32の上面に当接してその上面にて支持され、可動体27が許容状態に保持されている。
【0038】
なお図示しないが、可動体27の許容状態時に第1突出部71の下端部が第1感震錘体31の上面に当接しかつ第2突出部72の下端部が第2感震錘体32の上面から上方に離れて位置する構成や、可動体27の許容状態時に第1突出部71の下端部が第1感震錘体31の上面から上方に離れて位置しかつ第2突出部72の下端部が第2感震錘体32の上面に当接する構成でもよい。
【0039】
第1突出部71の少なくとも下部は、例えば下方に向かって徐々に縮径する逆円錐状(略逆円錐状を含む)に形成されており、この第1突出部71の下端が先細状の下頂点部71aとなっている。また、第2突出部72の少なくとも下部は、例えば下端に頂点を有する断面三角形状(略三角形状を含む)に形成されており、この第2突出部72の下端が左右方向長手状の下辺部72aとなっている。
【0040】
なお、第1突出部71の下頂点部71aと第2突出部72の下辺部72aとは、可動体27の許容状態時には同じ高さ(略同じ高さでもよい)に位置するようになっている。なお図示しないが、下頂点部71aと下辺部72aとが、可動体27の許容状態時に異なる高さに位置するような構成でもよい。
【0041】
第1感震錘体31は、下方に向かって徐々に縮径する逆截頭円錐状(略逆截頭円錐状を含む)の錘本体部81と、この錘本体部81の下面の中央部に下方に向かって突設された挿入軸部82とにて構成されている。なお、錘本体部81の下面のうち挿入軸部82の周囲に位置する部分が、円環状の載置面部83となっている。
【0042】
そして、第1感震錘体31は、下端部の挿入軸部82が第1支持筒部46内に遊嵌状態に挿入されかつ下面の載置面部83が第1支持筒部46の上面に載置された状態となって、本体25の第1支持筒部46にて直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化可能(傾動可能)に支持されている。つまり、第1感震錘体31は、本体25内において、第1支持筒部46を支点として、全水平方向に向かって直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化可能となっている。
【0043】
なお、第1感震錘体31の直立姿勢とは挿入軸部82の軸方向が上下方向に沿った姿勢であり、第1感震錘体31の傾き姿勢とは挿入軸部82の軸方向が上下方向に対して傾斜した方向に沿った姿勢である。
【0044】
また、第1感震錘体31の錘本体部81は、可動体27の第1突出部71の下端部が摺動可能に当接する凹状面部84を上面に有している。この凹状面部84は、下方に向かって徐々に縮径する逆円錐面状(略逆円錐面状を含む)であるすり鉢状の逆円錐面85のみにて構成されている。
【0045】
第2感震錘体32は、一定の厚さ寸法を持つ板状の錘本体部91と、この錘本体部91の下面の中央部に下方に向かって突設された挿入軸部92とにて構成されている。なお、錘本体部91の下面のうち挿入軸部92の周囲に位置する部分が、円環状の載置面部93となっている。
【0046】
そして、第2感震錘体32は、下端部の挿入軸部92が第2支持筒部47内に遊嵌状態に挿入されかつ下面の載置面部93が第2支持筒部47の上面に載置された状態となって、本体25の第2支持筒部47にて直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化可能(傾動可能)に支持されている。つまり、第2感震錘体32は、本体25内において、第2支持筒部47を支点として、前後方向(平面視で回転中心軸線X2と直交する方向)のみに向かって直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化可能となっている。この姿勢変化である傾動の際に、第2感震錘体32は、本体25の立上板部50にてガイドされる。なお、錘本体部91の厚さ方向が左右方向に一致しており、錘本体部91が厚さ方向と直交する方向である前後方向に傾動可能である。
【0047】
なお、第2感震錘体32の直立姿勢とは挿入軸部92の軸方向が上下方向に沿った姿勢であり、第2感震錘体32の傾き姿勢とは挿入軸部92の軸方向が上下方向に対して傾斜した方向に沿った姿勢である。また、第2感震錘体32の重心は、第1感震錘体31の重心よりも低い位置に位置するため、この第2感震錘体32は第1感震錘体31よりも姿勢変化しにくくなっている。
【0048】
また、第2感震錘体32の錘本体部91は、可動体27の第2突出部72の下端部が摺動可能に当接する凹状面部94を上面に有している。この凹状面部94は、上方に向かって開口し隙間が下方に向かって徐々に減少する断面V字状(略断面V字状を含む)で左右方向長手状の凹溝面95と、互いに離間対向するように配設され凹溝面95に向かって徐々に下り傾斜する矩形状の1対の傾斜面96とにて構成されている。なお、溝方向が左右方向に延びる略V字状の凹溝面95は、例えば第2突出部72の下端部が嵌脱可能に嵌合する形状に形成されている。
【0049】
さらに、
図5から明らかなように、断面V字状の凹溝面95を構成する各傾斜面部分95aの水平方向に対する傾斜角度θ1は、各傾斜面96の水平方向に対する傾斜角度θ2よりも大きい。凹溝面95の傾斜面部分95aの傾斜角度θ1は、例えば45度以上が好ましく、例えば70度が最適である。傾斜面96の傾斜角度θ2は、例えば45度未満が好ましく、例えば32度が最適である。凹溝面95の傾斜面部分95aの上端と傾斜面96の下端とが湾曲面97を介して滑らかに連続している。なお、第1感震錘体31および第2感震錘体32は、いずれも例えば全体が金属材料にて形成されている。
【0050】
一方、開閉部材5側の係合体23は、取付用孔101が形成された取付板部102を有し、この取付板部102が取付具22によって開閉部材5の先端部における上端部裏面に固定的に取り付けられている。
【0051】
また、係合体23は、取付板部102の左右方向両端部から後方に向かって突出する左右1対の突出板部103を有し、この両突出板部103の先端部同士が左右方向長手状の係合部である係合連結部104にて一体に連結されている。そして、この係合連結部104は、震動時には規制状態の可動体27との当接係合により係合位置に位置決めされた規制体26の規制部62の係合受部69と当接係合し、この係合連結部104と係合受部69との当接係合によって開閉部材5の収納本体4に対する開方向への回動が規制される。
【0052】
次に、施錠装置の作用等を図面を参照して説明する。
【0053】
図9に示す通常時(定常状態時)においては、第1感震錘体31および第2感震錘体32は、いずれも直立姿勢(立ち姿勢)となっている。このため、可動体27は、規制体26とは係合せずこの規制体26の両方向への回動を許容する許容状態となっている。
【0054】
その結果、規制体26は、本体25に対して回動中心軸線X1を中心として回動可能であるため、規制体26にて係合体23の回動が規制されず、開閉部材5の収納本体4に対する開閉方向の回動が許容される。
【0055】
よって、操作者は、開閉部材5を収納本体4に対して開閉方向の回動でき、収納本体4の開口部2を自由に開閉できる。
【0056】
なお、この
図9に示す通常時(可動体27の許容状態時)には、可動体27の第1突出部71の下端部が第1感震錘体31の逆円錐面85内に位置してこの逆円錐面85の中央部(下端部)に摺動可能に当接し、かつ可動体27の第2突出部72の下端部が第2感震錘体32の凹溝面95内に嵌合状態に位置してこの凹溝面95の中央部と当接している。
【0057】
そして、第2突出部72の下端部が凹溝面95内に位置しているため、この第2突出部72の下端部と凹溝面95の傾斜面部分95aとの当接が、第2感震錘体32の直立姿勢から傾き姿勢への姿勢変化(傾動)の大きな抵抗となっている。つまり、第2突出部72の下端部と凹溝面95の傾斜面部分95aとの当接に基づく第2感震錘体32の姿勢変化(傾動)に対する抵抗力は、第1突出部71の下端部と逆円錐面85との当接に基づく第1感震錘体31の姿勢変化(傾動)に対する抵抗力に比べて大きくなっている。
【0058】
そして、
図10に示すように、例えば地震等により震動が発生すると、まず、第2感震錘体32の姿勢変化に先立って、第1感震錘体31が本体25に対して傾動(揺動)することにより直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化する。
【0059】
第1感震錘体31が姿勢変化すると、可動体27は、その第1突出部71が第1感震錘体31の凹状面部84の逆円錐面85に沿って摺動しながらこの逆円錐面85にて上方側へ押し上げられる形で、本体25に対して回動中心軸線X2を中心として回動して許容状態から規制状態となり、その結果、第2突出部72の下端部が凹溝面95内から上方へ抜け出すとともに、係合受部73が規制体26の係合凸部66の後方位置まで移動してこの係合凸部66と係合可能な状態(施錠装置6の施錠状態)となる。
【0060】
なおここで、地震等で震動が発生した場合には、第1感震錘体31の姿勢変化に基づいてその上面の逆円錐面85が第1突出部71を押し上げ、この押し上げにより可動体27がその係合受部73が下方に向かう方向へ回動して許容状態から規制状態になり、この可動体27の回動により第2突出部72の下端部が第2感震錘体32の凹状面部94の凹溝面95内から上方に抜け出す。これにより、直立姿勢の第2感震錘体32は、第2突出部72の下端部と凹溝面95との当接に基づく大きな抵抗力を受けないフリーな状態となる。
【0061】
そして、可動体27が許容状態から規制状態となってその係合受部73と規制体26の係合凸部66とが互いに係合可能な状態となったため、開閉部材5が震動に基づいて開方向に回動しようとしても、可動体27の係合受部73と規制体26の係合凸部66とが互いに係合するため、開閉部材5側の係合体23は、係合位置に位置決め固定された規制体26との係合によって回動できず、規制体26にて開閉部材5の収納本体4に対する開方向への回動が規制される。
【0062】
よって、地震等に基づく震動によって開閉部材5が開方向へ回動することがなく、開閉部材5の閉状態が維持され、被収納物が収納本体4内から飛び出すことが防止される。
【0063】
また、
図11に示すように、地震等による震動中において、第1感震錘体31が姿勢変化した後、第2感震錘体32も本体25に対して傾動(揺動)することにより直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化する。
【0064】
第2感震錘体32も姿勢変化すると、可動体27の第2突出部72は、凹状面部94の傾斜面96と当接し、この傾斜面96にて下方から支持された状態となる。このとき、
図11に示されるように、可動体27の第1突出部71は、第1感震錘体31の凹状面部94の逆円錐面85から上方に離れ、その逆円錐面85と非当接状態となる。
【0065】
なお、この震動中において、可動体27の第1突出部71と第1感震錘体31の逆円錐面85との非当接状態が維持されるのではなく、震動に基づく第1感震錘体31の姿勢変化(繰り返し傾動)により、第1突出部71と逆円錐面85とが当接したり、当接しなかったりする。
【0066】
そして、
図12に示すように、地震等による震動中において、例えば、第1感震錘体31が直立姿勢に復帰したとしても、第2感震錘体32は、傾動した傾き姿勢でその上面の傾斜面96にて第2突出部72の下端部を支持して、この第2突出部72が傾斜面96に当接するため、第2突出部72の下端部が第2感震錘体32の凹溝面95内に入り込まず、可動体27がその自重で許容状態に復帰することはなく、第2感震錘体32にて可動体27が規制状態に保持される。つまり、可動体27の規制状態が維持されることにより、可動体27の係合受部73と規制体26の係合凸部66とが互いに係合可能な状態が維持され、開閉部材5の収納本体4に対する開方向への回動が規制される。
【0067】
なお、震動が停止すると、両感震錘体31,32はいずれもその自重により立ち動作をして直立姿勢に復帰し、可動体27はその自重により回動して許容状態に戻る。
【0068】
そして、このような施錠装置6によれば、震動時に姿勢変化して可動体27を許容状態から規制状態にする第1感震錘体31と、震動時に第1感震錘体31の姿勢変化により規制状態になった可動体27をその規制状態に保持する第2感震錘体32とを備えるため、例えば感震体を1個のみ備えた構成等に比べて、震動時に可動体27が不本意に許容状態に戻ってしまうようなことを防止でき、開閉部材5の収納本体4に対する動きを適切に規制でき、よって、例えば地震時等に被収納物が収納本体4内から飛び出すことを適切に防止できる。
【0069】
また、可動体27は、本体25に回動可能に取り付けられた回動本体部70と、この回動本体部70の一方側に設けられそれぞれ下方に向かって突出する第1突出部71および第2突出部72と、回動本体部70の他方側に設けられ規制体26と係合してこの規制体26の動きを規制する係合受部73とを有し、第1感震錘体31は可動体27の第1突出部71が当接する凹状面部84を上面に有し、第2感震錘体32は可動体27の第2突出部72が当接する凹状面部94を上面に有するため、震動時に開閉部材5の収納本体4に対する動きをより一層適切に規制できる。
【0070】
なお、第2感震体は、震動時に直立姿勢から傾き姿勢に姿勢変化、つまり傾動や揺動等の感震動作をする第2感震錘体32には限定されず、例えば
図13および
図14に示す移動体である球体111でもよい。球体111は、本体25の位置決め凹部112に下部が嵌合して通常位置(待機位置)に位置決めされるようになっている。
【0071】
そして、地震時等の震動時には、球体111は、転がって位置決め凹部112から抜け出し、既に第1感震体の姿勢変化により規制状態となった可動体27をその規制状態に保持する。震動が停止すると、球体111は、その自重により転がって通常位置に戻り、可動体27も規制体26の回動を許容するもとの許容状態に戻る。
【0072】
また、第2感震体は、例えば震動時にスライド移動して可動体27をその規制状態に保持するスライド体等でもよい。
【0073】
さらに、施錠装置6は、少なくとも2つの第1感震体および第2感震体を備えた構成であればよく、例えば3つ以上の感震体を備えた構成等でもよい。
【0074】
また、施錠装置6は、震動時に開閉部材(可動部材)5の収納本体(固定部材)4に対する回動を規制するものには限定されず、例えば可動部材の固定部材に対する移動や回転等を規制するもの等でもよい。
【0075】
さらに、施錠装置6は、可動体27の許容状態時において、第1突出部71の下端部が直立姿勢の第1感震錘体31の上面に当接しかつ第2突出部72の下端部が直立姿勢の第2感震錘体32の上面に当接する構成には限定されず、例えば
図15および
図16に示す構成であっても、同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
図15および
図16に示す施錠装置6では、震動が発生していない通常時、つまり可動体27の許容状態時において、第1突出部71の下端部(下頂点部71a)が直立姿勢の第1感震錘体31の上面、例えば逆円錐面状の逆円錐面85の中央部上面から上方に少しだけ離れてその逆円錐面85内に位置しかつ第2突出部72の下端部(下辺部72a)が直立姿勢の第2感震錘体32の上面、例えば断面V字状の凹溝面95の中央部上面から上方に少しだけ離れてその凹溝面95内に位置する構成となっている。
【0077】
また、この構成では、可動体27は回動本体部70の前側上面に当接部121を有し、この当接部121が可動体27の許容状態時に本体25の蓋部材42の下面における当接受部122に当接する。つまり、可動体27の当接部121と本体25の当接受部122との当接により、可動体27の自重に基づくこの可動体27の本体25に対する一方向(突出部71,72が下方に向かう方向)の回動が規制され、この回動規制によって可動体27が許容状態に保持される。そして、この構成の場合には、通常時に可動体27の両突出部71,72が両感震錘体31,32の上面から離れているため、震動が発生した際の初期反応が良好であり、開閉部材5の収納本体4に対する動きをより適切に規制できる。