(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の特許文献1で提案されている技術では、1枚目の印刷用紙が重送であったか否かの判断が、同じ給紙トレイからの2枚目の印刷用紙の給紙があって初めてなされることとなるため、1枚目の印刷用紙が給紙されてから同じ給紙トレイから2枚目の印刷用紙が給紙されるまでの間に別の給紙トレイの印刷用紙に対する印刷が続いたりすると、1枚目の印刷用紙の搬送に重送が生じたとしても、それを検知するまでにタイムラグが生じ、紙詰まりの発生や印刷物への白紙の混入を抑制するための処置を適時に取ることができず、重送の検知に実効性がなくなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、2以上の異なる給紙トレイから給紙された複数枚の印刷用紙に印刷を行う場合であっても、1枚目の印刷用紙の搬送から重送を即座に検知することができる印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷装置は、印刷用紙を収納する複数の給紙トレイと、複数の給紙トレイから印刷用紙を給紙する給紙部と、給紙部により給紙された印刷用紙に印刷を行う印刷部と、試し印刷及び本印刷の指示を受け付ける指示受付手段とを有する印刷装置において、給紙部により印刷用紙が給紙される度に用紙厚を測定する用紙厚さ測定部と、指示受付手段への試し印刷指示による試し印刷時に、用紙厚さ測定部が測定した用紙厚をそれぞれの印刷用紙が収納されていた給紙トレイに対応づけて記憶する記憶部と、指示受付手段への本印刷指示による本印刷時に、給紙部により給紙トレイから印刷用紙が給紙される度に、用紙厚さ測定部により測定された用紙厚と、記憶部に記憶されている給紙トレイに対応した用紙厚とを比較することにより、重送を検知する重送検知部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、「用紙厚を測定する」というのは、印刷用紙の厚さそのものを測定することに限らず、光の透過率等、その値の大小から印刷用紙の厚さの大小を導き出すことができる印刷用紙の特性を測定することが含まれる。また、その測定精度は、重送であるか否かを判断可能な程度であれば足りる。
【0010】
また、上記本発明の印刷装置は、印刷ジョブが同じサイズの複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、複数の給紙トレイの中に同じサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上ある場合、試し印刷時に、試し印刷に必要な枚数を限度に、同じサイズの印刷用紙を収納する2以上の給紙トレイのそれぞれから少なくとも1枚ずつの印刷用紙が給紙されるように、給紙部による印刷用紙の給紙を制御する給紙制御部を備えたものであってもよい。
【0011】
また、上記本発明の印刷装置において、重送検知部は、給紙トレイ内に印刷用紙がなくなる毎に、および/または給紙トレイが開けられる毎に、その給紙トレイに対応付けて記憶しておいた用紙厚を消去するものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、印刷装置に複数の印刷物セットを連続して印刷させようとする場合に、印刷の仕上がり状態(インク濃度、印刷位置、印刷内容等)が所望の状態であることを事前に確認した上で本印刷を開始させるため、本印刷の前に少なくとも1回の試し印刷を行うことが広く行われているという実情に着目してなされたものであり、その試し印刷のついでに、本印刷時の重送検知に使用するためのデータを取得し、その後にそのまま本印刷を行うことを指示するユーザによる入力を受け付けることによってその取得したデータの有効性を確認している。
【0013】
本発明の印刷装置によれば、印刷用紙を収納する複数の給紙トレイと、複数の給紙トレイから印刷用紙を給紙する給紙部と、給紙部により給紙された印刷用紙に印刷を行う印刷部と、試し印刷及び本印刷の指示を受け付ける指示受付手段と、を有する印刷装置において、給紙部により印刷用紙が給紙される度に用紙厚を測定する用紙厚さ測定部と、指示受付手段への試し印刷指示による試し印刷時に、用紙厚さ測定部が測定した用紙厚をそれぞれの印刷用紙が収納されていた給紙トレイに対応づけて記憶する記憶部と、指示受付手段への本印刷指示による本印刷時に、給紙部により給紙トレイから印刷用紙が給紙される度に、用紙厚さ測定部により測定された用紙厚と、記憶部に記憶されている給紙トレイに対応した用紙厚とを比較することにより、重送を検知する重送検知部とを備えているので、試し印刷後の本印刷における1枚目の印刷用紙の搬送から重送を即座に検知することができる。
【0014】
また、上記本発明の印刷装置が、印刷ジョブが同じサイズの複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、複数の給紙トレイの中に同じサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上ある場合、試し印刷時に、試し印刷に必要な枚数を限度に、同じサイズの印刷用紙を収納する2以上の給紙トレイのそれぞれから少なくとも1枚ずつの印刷用紙が給紙されるように、給紙部による印刷用紙の給紙を制御する給紙制御部を備えたものである場合には、本印刷を行っている途中で、用紙切れ等を原因として、同じサイズの印刷用紙が収納されている他の給紙トレイからも給紙を行うこととなった場合に、再度試し印刷行って重送検知用のデータを取得するといった処理を行うことなく、試し印刷時にその給紙トレイに対応付けて記憶しておいた厚さを用いて、その給紙トレイからの1枚目の印刷用紙の搬送から重送を即座に検知することができる。
【0015】
たとえば、2枚の同じサイズの印刷用紙に印刷を行うことによって作成される印刷ジョブの本印刷が、同じサイズの印刷用紙を収納する2つの給紙トレイのうち一方の給紙トレイのみを給紙源として行われるように初期設定されている場合であっても、試し印刷時には、それらの給紙トレイのそれぞれから1枚ずつ給紙を行い、印刷用紙が給紙される度に用紙厚を測定し、測定された用紙厚をそれぞれの印刷用紙が収納されていた給紙トレイに対応づけて記憶しているので、本印刷を行っている途中で、用紙切れ等を原因として、同じサイズの印刷用紙が収納されている他方の給紙トレイからも給紙を行うこととなった場合に、再度試し印刷行って重送検知用のデータを取得するといった処理を行うことなく、試し印刷時にその給紙トレイに対応付けて記憶しておいた用紙厚を用いて、その給紙トレイからの1枚目の印刷用紙の搬送から重送を即座に検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の印刷装置の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態となる封書作成システム1の概略構成図である。封書作成システム1では、パーソナルコンピュータ等の外部の情報端末機から封書作成の印刷ジョブを受け付け、封筒となる印刷用紙と封筒の中に入れられるレター、パンフレット、返信用封筒、返信用ハガキ等の中身となる印刷用紙(1枚以上)に順次印刷を行い、印刷済みの各印刷用紙を排出する印刷装置100と、印刷装置100から排出された印刷済みの各印刷用紙を受けいれて、それぞれを搬送経路で搬送しながら必要な折りを加えて封筒、中身とし、封筒に中身を封入し、かつ、封緘することにより封書を作成し、排出する封入封緘装置200から構成されている。
【0018】
印刷装置100は、給紙部10、搬送部20、印刷部30、用紙厚さ測定部50および制御部60を備えている。給紙部10は、未印刷の印刷用紙を給紙するものであり、印刷装置1の一側面に設けられたサイド給紙トレイ11aに収納されている印刷用紙を給紙経路R1へ導く給紙ローラ13aと、印刷装置1の内部下方に設けられた3つの内部給紙トレイ11b、11c、11dに収納されている印刷用紙をそれぞれ給紙経路R1へ導く給紙ローラ13b、13c、13dを有している。
【0019】
なお、1つの給紙トレイには同じサイズ・厚さ・種類の印刷用紙が収納されている。本実施の形態では、サイド給紙トレイ11aには折り畳むと封筒になる印刷用紙Paが収納されているものとし、内部給紙トレイ11bにはA4サイズの印刷用紙Pbが、内部給紙トレイ11cにもA4サイズの印刷用紙Pcが、内部給紙トレイ11dにはA3サイズの印刷用紙Pdがそれぞれ収納されているものとする。
【0020】
搬送部20は、給紙経路R1、通常経路R2、反転経路R3および排紙経路R4上に配置された複数の搬送ローラ等を有しており、複数の搬送ローラを所定のタイミングで回転させることにより、給紙部10により給紙された印刷用紙を上記各経路上に沿って搬送させる。また、搬送部20は、反転経路R3と排紙経路R4の分枝点に配置され、搬送されてきた印刷用紙を反転経路R3へ導くか又は排紙経路R4へ導くかを切り替える切り替え機構23と、反転経路R3上に配置され、搬送されてきた印刷用紙Pを反転して送り出す反転機構24とを有している。
【0021】
印刷部30は、搬送部20により搬入された印刷用紙Pにインクを吐出して印刷を行い、搬出するものであり、インクを吐出するヘッドユニット31、ヘッドユニット31の下方で印刷用紙Pを搬送するプラテンユニット32を有している。印刷済みの印刷用紙は、排紙経路R4上を搬送され、封入封緘装置200へ排出される。
【0022】
用紙厚さ測定部50は、給紙部10により印刷用紙が給紙される度に印刷用紙の厚さを測定するものである。用紙厚さ測定部50は、給紙経路R1の下流端に、その給紙経路R1を挟んで対向するように配置された発光素子51と受光素子52を有し、給紙部10により印刷用紙が給紙される度に、発光素子51に光を出射させ、印刷用紙を透過した光を受光素子31に受光させることによって、両者の間を通る印刷用紙の光の透過率(用紙厚)を測定する。印刷用紙の厚さが厚くなるほどこの透過率の測定値は小さくなる。
【0023】
また、上述した各部は、CPU、メモリ等から構成される制御部60に接続されており、制御部60が各部の制御を行なう。制御部60は、
図2に示すように、印刷ジョブ受付部61、印刷制御部62、指示受付部63(指示受付手段)、給紙制御部64、記憶部65、重送検知部66等を有している。なお、これらの各部の機能は、メモリに記憶されている所定のプログラムをCPUにより実行することで実現される。
【0024】
印刷ジョブ受付部61は、印刷装置1に接続されている外部の情報端末機(パーソナルコンピュータ等)から出力された印刷ジョブを受け付けるものである。この情報端末機には、プリンタドライバがインストールされており、プリンタドライバによって印刷データとその印刷データに関連付けられている印刷条件とを有する印刷ジョブが生成され、印刷装置1に出力される。
【0025】
印刷ジョブ受付部61は、2以上の異なる給紙トレイから給紙された複数枚の印刷用紙に順次印刷を行うことによって作成される印刷物セットを複数作成することを指示する印刷ジョブを受け付けることができる。たとえば、
図3に示すような、封筒、中身1及び中身2からなる封書セットを複数作成することを指示する印刷ジョブを受け付けたりする。なお、印刷ジョブには、その印刷にどの給紙トレイを給紙源として用いるかの設定が印刷条件として付帯されているものとする。
【0026】
指示受付部63は、試し印刷及び本印刷の指示を含むユーザによる種々の指示を受け付けるものである。指示受付部63は、印刷ジョブ受付部61において印刷ジョブが受け付けられたことを試し印刷の指示として受け付け、試し印刷が行われた後に、そのまま本印刷を行うか否かを選択させる選択画面、たとえば「OK」か「NG」かを選択させるためのボタン表示を印刷装置100に設けられている操作パネル63aの表示画面に表示させ、その表示に対して「OK」ボタンを選択するユーザによる入力操作を本印刷の指示として受け付ける。
【0027】
印刷制御部62は、指示受付部63において試し印刷または本印刷の指示を受け付けたことに応じて、ヘッドユニット31等の印刷部30各部の制御を行い、試し印刷または本印刷の印刷処理を実行させるものである。このとき、試し印刷で作成された印刷物セットは印刷指示に対する成果物としてカウントされない。印刷ジョブが印刷物セットを100部作成するものである場合には、試し印刷で作成された印刷物セットの部数に関わらず、本印刷においては、100部の印刷物セットを作成する処理が行われる。
【0028】
給紙制御部64は、給紙ローラ13a、13b、13c、13dを回転させるタイミングをそれぞれ独立に制御することにより、給紙部10による印刷用紙の給紙を制御し、複数の給紙トレイから印刷用紙を選択的に給紙させるものである。印刷ジョブには、その印刷にどの給紙トレイを給紙源として用いるかの設定が印刷条件として付帯されているので、本印刷時には、その設定に従って給紙部10を制御する。たとえば、
図3に示す印刷ジョブに、封筒の印刷についてはサイド給紙トレイ11aが、中身1と中身2の印刷については内部給紙トレイ11bが、それぞれ給紙源として設定されている場合、給紙制御部64は、給紙ローラ13a、13bを、13a→13b→13b→13a→13b→13b→・・・の順に動作させる制御を行い、サイド給紙トレイ11aから1枚、内部給紙トレイ11bから2枚の印刷用紙が交互に給紙されるようにする。
【0029】
一方、試し印刷時には、「印刷ジョブに係る印刷物セットが、2枚以上の同じサイズの印刷用紙を含む複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、給紙トレイの中に、そのサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上あるか否か」を先に判断し、その判断結果に応じて給紙の方法を決定する。具体的には、印刷物セットが2枚以上の同じサイズの印刷用紙を含む複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、そのサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上ある場合(判断の結果がYESである場合)には、試し印刷に必要な枚数を限度に、そのサイズの印刷用紙を収納する2以上の給紙トレイのそれぞれから少なくとも1枚ずつの印刷用紙が給紙されるように、給紙部10による印刷用紙の給紙を制御し(第1の制御モード)、判断の結果がNOである場合には、上述した本印刷時と同様な給紙が行われるように、すなわち、印刷ジョブに印刷条件として付帯されている設定に従って給紙部10による印刷用紙の給紙を制御する(第2の制御モード)。
【0030】
たとえば、
図3の印刷ジョブにおける封書セットの試し印刷を行う際には、封書セットの中身1と中身2がいずれもA4サイズの印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、内部給紙トレイ13b、13cがいずれもA4サイズの印刷用紙を収納する給紙トレイであることから、上記判断の結果はYESとなるので、給紙制御部64は、給紙ローラ13a、13b、13cを、13a→13b→13cの順に、或いは13a→13c→13bの順に動作させる制御を行い、サイド給紙トレイ11a、内部給紙トレイ11b及び内部給紙トレイ11cから印刷用紙が1枚ずつ給紙されるようにする。
【0031】
記憶部65は、試し印刷時に、用紙厚さ測定部50が測定した用紙厚をその印刷用紙が収納されていた給紙トレイに対応づけて記憶するものである。たとえば、上述した
図3の印刷ジョブにおける封書セットの試し印刷を行う際には、サイド給紙トレイ11a、内部給紙トレイ11b及び内部給紙トレイ11cから印刷用紙が1枚ずつ給紙されるので、用紙厚さ測定部50により測定した、サイド給紙トレイ11aから給紙された印刷用紙の厚さDa、内部給紙トレイ11bから給紙された印刷用紙の厚さDb、および内部給紙トレイ11dから給紙された印刷用紙の厚さDcをそれぞれ取得し、例えば、「トレイ11a−Da」、「トレイ11b−Db」、「トレイ11c−Dc」のようにその印刷用紙の厚さがどの給紙トレイに対応するものであるかが分かるように記憶しておく。
【0032】
重送検知部66は、本印刷時に、給紙部10により給紙トレイから印刷用紙が給紙される度に、用紙厚さ測定部50により測定された用紙厚と、その給紙トレイに対応づけて記憶部65に記憶されている用紙厚とを比較することにより、重送を検知するものである。たとえば、上述した
図3の印刷ジョブの本印刷を行う際には、サイド給紙トレイ11aから1枚、内部給紙トレイ11bから2枚の印刷用紙が交互に給紙されるので、サイド給紙トレイ11aから給紙が行われているときには、印刷用紙が給紙される度にその給紙された印刷用紙の厚さdaを用紙厚さ測定部50により測定した測定値を取得し、その値をサイド給紙トレイ11aに対応付けて記憶部65に記憶されている厚さDaと比較することにより、重送を検知し、内部給紙トレイ11bから給紙が行われているときには、印刷用紙が給紙される度にその給紙された印刷用紙の厚さdbを用紙厚さ測定部50により測定した測定値を取得し、その値を内部給紙トレイ11bに対応付けて記憶部65に記憶されている厚さDbと比較することにより、重送を検知する。
【0033】
このとき、サイド給紙トレイ11aから給紙が行われているときには、daの値とDaの値を所定の係数α(たとえば1.5)倍した値を比較し、daのほうが大きければ重送であると検知し、内部給紙トレイ11bから給紙が行われているときには、dbの値とDbの値を所定の係数α(たとえば1.5)倍した値を比較し、dbのほうが大きければ重送であると検知することができる。なお、重送検知部66は、重送を検知したら、制御部60に重送信号を出力し、操作パネルの表示画面に重送が検知された旨を表示させるとともに、印刷装置100の動作を停止させる制御が行なわれるようにする。
【0034】
また、重送検知部66は、給紙トレイ内に印刷用紙がなくなる毎に、および/または給紙トレイが開けられる毎に、その給紙トレイに対応付けて記憶しておいた厚さを消去する機能を有している。その後、その対応付けて記憶しておいた厚さが消去された給紙トレイからの給紙を開始する場合には、本印刷を開始する前に再度試し印刷行って重送検知用のデータを取得することが好ましい。
【0035】
以下、印刷装置100による処理の流れについて、
図4に示すフローチャートを用いて簡単に説明する。まず、印刷ジョブ受付部61が、印刷装置1に接続されている外部の情報端末機から出力された印刷ジョブを受け付けると、指示受付部63が、その印刷ジョブの受付を試し印刷の指示として受け付ける(ステップST1)。引き続き給紙制御部64が、「印刷ジョブが同じサイズの複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、給紙トレイの中にそのサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上設けられているか否か」を判断する(ステップST2)。
【0036】
ステップST2が肯定されると(YESの場合)、給紙制御部64が、試し印刷に必要な枚数を限度に、そのサイズの印刷用紙を収納する2以上の給紙トレイのそれぞれから少なくとも1枚ずつの印刷用紙が給紙されるように給紙部10の動作を制御し、その制御(第1の制御モードによる給紙制御)下で、印刷制御部62が、印刷部30に試し印刷を実行させる。このとき、用紙厚さ測定部50が、給紙部10により印刷用紙が給紙される度に、発光素子51と受光素子31を制御して用紙厚を測定し、記憶部65が、用紙厚さ測定部50により測定された用紙厚をその印刷用紙が収納されていた給紙トレイに対応づけて記憶しておく(ステップST3)。
【0037】
一方、ステップST2が否定されると(NOの場合)、給紙制御部64が、印刷ジョブに印刷条件として付帯されている、その印刷にどの給紙トレイを給紙源として用いるかの設定に従って給紙部10の動作を制御し、その制御(第2の制御モードによる給紙制御)下で、印刷制御部62が、印刷部30に試し印刷を実行させる。このとき、用紙厚さ測定部50が、給紙部10により印刷用紙が給紙される度に、発光素子51と受光素子31を制御して用紙厚を測定し、記憶部65が、用紙厚さ測定部50により測定された用紙厚をその印刷用紙が収納されていた給紙トレイに対応づけて記憶しておく(ステップST4)。
【0038】
その後、指示受付部63が、そのまま複数の印刷物セットを作成する本印刷を行うか否かを選択させる選択画面として、「OK」か「NG」かを選択させるためのボタン表示を操作パネル63aの表示画面に表示させ、ユーザに「OK」または「NG」のボタンを選択させる(ステップST5)。その表示に対して「OK」ボタンが選択されると、指示受付部63が、その選択を本印刷の指示として受け付け(YESの場合)、印刷制御部62が印刷部30に本印刷を実行させる。このとき、用紙厚さ測定部50が、給紙部10により印刷用紙が給紙される度に、その給紙された印刷用紙の厚さを測定し、重送検知部66が、用紙厚さ測定部50により測定された用紙厚と、その給紙トレイに対応づけて記憶部65に記憶されている用紙厚とを比較することにより、重送を検知する(ステップST6)。一方、ステップST5において、「NG」ボタンが選択されると(NOの場合)、ステップST1に戻る。
【0039】
上記実施形態の印刷装置100によれば、印刷用紙を収納する複数の給紙トレイ11a〜11dと、複数の給紙トレイから印刷用紙を給紙する給紙部10と、給紙部10により給紙された印刷用紙に印刷を行う印刷部30と、試し印刷及び本印刷の指示を受け付ける指示受付手段63とを有する印刷装置において、給紙部10により印刷用紙が給紙される度に用紙厚を測定する用紙厚さ測定部50と、指示受付手段63への試し印刷指示による試し印刷時に、用紙厚さ測定部50が測定した用紙厚をそれぞれの印刷用紙が収納されていた給紙トレイに対応づけて記憶する記憶部65と、指示受付手段63への本印刷指示による本印刷時に、給紙部10により給紙トレイから印刷用紙が給紙される度に、用紙厚さ測定部50により測定された用紙厚と、記憶部65により記憶されている給紙トレイに対応した用紙厚とを比較することにより、重送を検知する重送検知部66とを備えているので、本印刷における1枚目の印刷用紙の搬送から重送を即座に検知することができる。
【0040】
また、上記実施形態の印刷装置100は、印刷ジョブが同じサイズの複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、複数の給紙トレイの中に同じサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上ある場合、試し印刷時に、該試し印刷に必要な枚数を限度に、同じサイズの印刷用紙を収納する2以上の給紙トレイのそれぞれから少なくとも1枚ずつの印刷用紙が給紙されるように、給紙部による印刷用紙の給紙を制御する給紙制御部64を備えている。そのため、本印刷を行っている途中で用紙切れ等を原因として同じサイズの印刷用紙が収納されている他方の給紙トレイからも給紙を行うこととなった場合や、一方の給紙トレイに係る経路内でジャム等を原因として給紙することが不可能であっても他方からの給紙が可能である場合に、再度試し印刷行って重送検知用のデータを取得するといった処理を行うことなく、試し印刷時にその給紙トレイに対応付けて記憶しておいた厚さを用いて、その給紙トレイからの1枚目の印刷用紙の搬送から重送を即座に検知することができる。
【0041】
なお、上記実施の形態では、給紙制御部64が、試し印刷時における給紙の方法を、「印刷ジョブが同じサイズの複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、給紙トレイの中にそのサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上あるか否か」の判断結果に応じて切り替えるものである場合について説明したが、判断を行う構成を省略し、常に第2の制御モードにより、すなわち印刷ジョブに印刷条件として付帯されている設定に従って給紙部10による印刷用紙の給紙を制御するようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、給紙制御部64が、試し印刷時における給紙の方法を、「印刷ジョブが同じサイズの複数枚の印刷用紙に印刷を行うことによって作成されるものであり、給紙トレイの中にそのサイズの印刷用紙を収納する給紙トレイが2以上あるか否か」(
図4のST2)の判断結果に応じて切り替えるものである場合について説明したが、このステップの前(
図4のST1とST2の間)に「印刷ジョブに係る内容物総印刷枚数が、1つの給紙トレイ(例えば給紙トレイ11b)内に収納されている印刷用紙枚数以下であるか否か」を判断するステップを入れても良い。この判断が肯定(Yes)されればST4へ、否定(No)されればST2へ進むことになる。
【0043】
また、上記実施の形態では、指示受付部63が、印刷ジョブ受付部61において印刷ジョブが受け付けられたことを試し印刷の指示として受け付けるものである場合について説明したが、指示受付部63は、印刷ジョブ受付部61において印刷ジョブが受け付けられた後に、操作パネル63aにおけるユーザによる特定の入力操作(試し印刷を指示する操作)を検知することにより、ユーザによる試し印刷の指示を受け付けるものであってもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、印刷装置100が、封書作成の指示を受け付け、封筒となる印刷用紙と封筒の中に入れられる中身となる印刷用紙に順次印刷を行い、印刷済みの各印刷用紙を封入封緘装置200に排出するものである場合について説明したが、本発明の印刷装置は、封書作成に限らず、2以上の異なる前記給紙トレイから給紙された複数枚の印刷用紙に順次印刷を行うことによって作成される種々の印刷物セットを複数作成するものに広く適用可能であり、封入封緘装置200の構成も必ずしも必要ではなく、必要に応じて設置すればよい。