特許第5932407号(P5932407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932407
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】処置具用起上台を備える内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160526BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   A61B1/00 334C
   A61B1/00 300F
   G02B23/24 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-52591(P2012-52591)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-183964(P2013-183964A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】若曽根 淳
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−034239(JP,A)
【文献】 特開平08−056900(JP,A)
【文献】 特開2002−034905(JP,A)
【文献】 特開平06−014873(JP,A)
【文献】 特開平10−099266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部から延びる挿入部の先端近傍部の表面に凹設した凹部と、
先端開口が上記凹部と連通するように上記挿入部内に形成した、可撓性を有する処置具を挿通可能な処置具挿通用管路と、
上記凹部に収納した、上記挿入部の幅方向に延びる回転軸回りに回転可能な起上台と、
該起上台の上記凹部の底面と反対側面に形成した、上記挿入部の軸線に直交する断面がV字形をなしかつ上記反対側面側が開放した、上記処置具が係合可能な処置具支持溝と、
上記凹部の一方の側面と上記起上台の対向する側面との間に形成された、上記処置具挿通用管路に対して側方にオフセットする側方隙間と、
先端が上記起上台に接続しかつ先端近傍部が上記側方隙間に位置する、上記操作部に設けた操作手段の操作に応じて進退することにより上記起上台を回転させる操作ワイヤと、
を備え、
上記起上台の一方の側部に、上記操作ワイヤを挟んで上記凹部の底面と反対側に位置し、かつ、上記凹部の底面と反対側に位置する面に上記処置具支持溝の側部が形成された側方支持部を設けたことを特徴とする処置具用起上台を備える内視鏡。
【請求項2】
請求項1記載の処置具用起上台を備える内視鏡において、
上記側方支持部が、上記起上台の他方の側部に比べて上記凹部の底面と反対側に位置する処置具用起上台を備える内視鏡。
【請求項3】
請求項1または2記載の処置具用起上台を備える内視鏡において、
上記起上台がいずれの位置に位置するときも、上記処置具支持溝が上記凹部内に位置する処置具用起上台を備える内視鏡。
【請求項4】
請求項2記載の処置具用起上台を備える内視鏡において、
上記起上台の上記他方の側部の側面と、上記凹部の他方の側面との間の隙間寸法が、上記処置具の幅寸法より短い処置具用起上台を備える内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置具用起上台を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡や側視型内視鏡において、挿入部の先端近傍部に回転可能な処置具用起上台を備えるものが従来から知られている。
特許文献1の内視鏡はその一例であり、操作部から延びる挿入部の先端近傍部の表面に凹設した凹部と、先端開口が上記凹部と連通するように挿入部内に形成した処置具挿通用管路と、上記凹部に収納した、挿入部の幅方向に延びる回転軸回りに回転可能な起上台と、を備えている。起上台は、操作部に設けた操作手段の操作に応じて回転するものである。さらに起上台には、処置具挿通用管路の先端開口と略同軸をなし、かつ、起上台を貫通する断面円形(又はC字形状)の挿通孔が形成してある。
この内視鏡の処置具挿通用管路に可撓性を有する処置具を挿入し、さらに該処置具の先端部を起上台の挿通孔に挿通すれば、処置具の先端部を起上台の前方に突出させることができる。そして、この突出状態において操作手段を操作すれば、処置具の先端近傍部を湾曲させることにより処置具の先端の向きを調整できる。
しかし特許文献1の内視鏡の起上台は、挿通孔の上部(凹部の底面と反対側の端部)が閉塞している。そのため、処置具を処置具挿通用管路の先端開口から起上台の挿通孔に挿入しようとするときに、処置具の先端部が挿通孔の入口端部の上部に接触することがある。そのため、処置具を挿通孔に円滑に挿入できなかったり、起上台(の挿通孔)の入口端部の上部を破損させてしまうおそれがある。
【0003】
これに対して図12図14に記載した内視鏡(特許文献2の内視鏡が類似構造)には、このような欠点は存在しない。
この内視鏡の起上台の上面(凹部の底面と反対側面)には、挿入部の軸線に対して直交する断面がV字形をなし、上面が開放した処置具支持溝が形成してある。図示するように、平面視において処置具挿通用管路と処置具支持溝は同一直線上に位置している。当該内視鏡の凹部の一方の側面と起上台の一方の側面との間には側方隙間が形成してある。さらに挿入部の内部には、後端部が操作部に設けた操作手段と連係する操作ワイヤが進退可能に配設してあり、操作ワイヤの前端部は上記側方隙間を通り抜けて起上台に接続している。
そのため、処置具を処置具挿通用管路の先端開口から起上台の処置具支持溝へ移動させるときに、処置具の先端部を処置具支持溝側へ円滑に移動させることが可能である。そして、処置具の先端近傍部を処置具支持溝に載せた状態で操作手段を操作して起上台を回転させれば、処置具の向きを調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−122067号公報
【特許文献2】特開平8−191793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
処置具の断面径が処置具挿通用管路の内径に比べて大幅に小さい場合には、処置具挿通用管路へ挿入した処置具の軸線が処置具挿通用管路の軸線に対して傾斜し易い。
そして図12図14の内視鏡では、起上台に形成した処置具支持溝の上面が開放しているので、処置具の軸線が処置具挿通用管路の軸線に対して傾斜した場合に、処置具支持溝に載った処置具が側方隙間側に脱落するおそれがある(図14参照)。
【0006】
本発明は、凹部の底面と反対側の面が開放された処置具支持溝を有する起上台を具備する構造でありながら、処置具の軸線が処置具挿通用管路の軸線に対して傾斜した場合においても処置具支持溝に載った処置具が側方に脱落するのを抑制できる処置具用起上台を備える内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の処置具起上台を備える内視鏡は、操作部から延びる挿入部の先端近傍部の表面に凹設した凹部と、先端開口が上記凹部と連通するように上記挿入部内に形成した、可撓性を有する処置具を挿通可能な処置具挿通用管路と、上記凹部に収納した、上記挿入部の幅方向に延びる回転軸回りに回転可能な起上台と、該起上台の上記凹部の底面と反対側面に形成した、上記挿入部の軸線に直交する断面がV字形をなしかつ上記反対側面側が開放した、上記処置具が係合可能な処置具支持溝と、上記凹部の一方の側面と上記起上台の対向する側面との間に形成された、上記処置具挿通用管路に対して側方にオフセットする側方隙間と、先端が上記起上台に接続しかつ先端近傍部が上記側方隙間に位置する、上記操作部に設けた操作手段の操作に応じて進退することにより上記起上台を回転させる操作ワイヤと、を備え、上記起上台の一方の側部に、上記操作ワイヤを挟んで上記凹部の底面と反対側に位置し、かつ、上記凹部の底面と反対側に位置する面に上記処置具支持溝の側部が形成された側方支持部を設けたことを特徴としている。
【0008】
上記側方支持部が、上記起上台の他方の側部に比べて上記凹部の底面と反対側に位置してもよい。
【0009】
上記起上台がいずれの位置に位置するときも、上記処置具支持溝が上記凹部内に位置するようにしてもよい。
【0010】
上記起上台の上記他方の側部の側面と、上記凹部の他方の側面との間の隙間寸法が、上記処置具の幅寸法より短くてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内視鏡は、起上台を収納する凹部の一方の側面と起上台の対向する側面との間に、処置具挿通用管路に対して側方にオフセットする側方隙間が形成されており、起上台に形成した処置具支持溝は、上記凹部の底面と反対側が開放している。
しかし、起上台の一方の側部に、側方隙間に配設した操作ワイヤを挟んで凹部の底面と反対側に位置し、かつ処置具支持溝の側部が形成された側方支持部を設けている。そのため、処置具が処置具挿通用管路の軸線に対して傾斜しながら処置具支持溝に載った場合に、処置具が側方隙間側に移動しようとすると、側方支持部(処置具支持溝)が処置具の側方隙間側への脱落を効果的に抑制し、かつ、側方支持部(処置具支持溝)が処置具を処置具支持溝の中央部に戻す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を適用した超音波内視鏡の一実施形態を示す外観図である。
図2】起上台が非起立位置に位置するときの挿入部の先端(近傍)部の拡大平面図である。
図3】起上台の後方から見た斜視図である。
図4図3のIV矢線方向に見た起上台を表す図である。
図5図3のV矢線方向に見た起上台を表す図である。
図6図3のVI矢線方向に見た起上台を表す図である。
図7図3のVII矢線方向に見た起上台を表す図である。
図8図2のVIII-VIII矢線に沿う断面図である。
図9】起上台が最大起立位置に位置するときの図8と同様の断面図である。
図10】処置具を起上台によって支持したときの図2と同様の拡大平面図である。
図11】変形例の図2と同様の拡大平面図である。
図12】従来例の図2と同様の拡大平面図である。
図13】従来例の起上台の背面図である。
図14】従来例の処置具を起上台によって支持したときの図2と同様の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1から図10を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。以下の説明中の前後方向(超音波内視鏡10の挿入部12の先端側を「前方」、ユニバーサルチューブ13の先端側を「後方」と定義している)、上下方向、及び、左右方向は図中の矢印方向を基準としている。
図1に示す超音波内視鏡10は、操作部11と、操作部11から前方に延びる挿入部12と、共に操作部11から挿入部12と反対側に延びるユニバーサルチューブ13及び超音波画像伝送用チューブ14と、を備えている。超音波画像伝送用チューブ14は超音波診断装置(図示略)に接続するものであり、ユニバーサルチューブ13はプロセッサ(画像処理装置兼光源装置。図示略)に接続するものであり、超音波診断装置及びプロセッサは共にCRTモニタ(図示略)に接続している。
挿入部12には、操作部11に設けた湾曲操作レバー15の回転操作に応じて上下及び左右方向に湾曲する湾曲部17が形成してあり、湾曲部17より基端側の部分は自重や術者の直接的な操作によって湾曲する可撓管部18となっている。
図1及び図8に示すように、挿入部12における湾曲部17より先端側の部分は硬質樹脂製の先端硬質部19となっている。先端硬質部19の後半部には傾斜面20が形成してあり、この傾斜面20には対物レンズ21、照明レンズ22等が設けてある。先端硬質部19の前半部には傾斜面20の直前に位置する超音波プローブ23が形成してある。また、先端硬質部19の傾斜面20と超音波プローブ23の間に位置する部分には全周にわたって環状溝24が形成してある。
この超音波内視鏡10は、その先端硬質部19の前半部(超音波プローブ23を形成した部分)に弾性材料製(例えばシリコンゴム製)のバルーン(図示略)を被せて使用する。具体的には、バルーンの開口部の周縁部に形成した口巻部(周縁部を巻き上げて形成した他の部分よりも肉厚の環状部)を環状溝24に弾性的に嵌合し(密着させ)、先端硬質部19の前半部とバルーンの間に出来た空間に水を充填させて使用する。
【0014】
図1に示すように操作部11の前端部には、可撓性を有する穿刺針A(処置具)を挿入するための処置具挿入口突起11aが突設してあり、挿入部12の内部には処置具挿入口突起11aから先端硬質部19側に向かって延びる処置具挿通用チューブ26(処置具挿通用管路)が配設してある。処置具挿通用チューブ26の先端は、先端硬質部19の上面に(下向きに)凹設した凹部28に接続しており、処置具挿入口突起11aから挿入した穿刺針Aを処置具挿通用チューブ26の先端開口から凹部28内へ突出可能としている。
凹部28の平面形状は前後方向に長い矩形であり(図2図10参照)、凹部28の前部は傾斜面20に形成してある。
【0015】
凹部28には、金属製の起上台30が収納してある。
起上台30の後端部は、その他の部分に比べて左右幅が狭い被支持部31となっており、被支持部31には軸支持孔32が左右方向に延びる貫通孔として形成してある。軸支持孔32には左右方向に延びる回転軸25が相対回転可能に挿入してあり、回転軸25の左右両端部が凹部28の左右の内側面にそれぞれ固定してある。そのため起上台30は、先端硬質部19(凹部28)に対して図8に示す非起立位置と、図9に示す最大起立位置との間を回転可能である。
起上台30の被支持部31より前方に位置する部分の上面(非起立位置に位置するときに凹部28の底面(下面)と反対側に位置する面)は載置面33を構成しており、載置面33には挿入部12(先端硬質部19)の軸線に対して直交する断面形状が(略)V字形をなす処置具支持溝34が凹設してある。図示するように処置具支持溝34の上面は開放されている。さらに、処置具支持溝34の底部34aは前後方向に延びる直線形状であり、この底部34aと処置具挿通用チューブ26の前端部の中心軸線は、平面視において略同一直線上に位置している。
図示するように起上台30は左右非対称形状である。即ち、起上台30の被支持部31より前方に位置する前方部分は、右側面全体が左右方向に対して直交する右側平面35となっている。一方、該前方部分の左側面の下半部は左右方向に対して直交する左側平面36となっており、該前方部分の左側の上半部は左側平面36より左側に突出する側方支持部37となっている。図示するように起上台30の側方支持部37は起上台30の右側部よりも上方に突出しており(図5図7参照)、側方支持部37の上面には処置具支持溝34(の左側部が)形成してある。
さらに起上台30の上記前方部分の下半部には、当該下半部を左右方向に貫通するワイヤ固定孔38が貫通孔として形成してある。
【0016】
図2図10に示すように、凹部28の右側面と起上台30の右側平面35の間の隙間寸法は微小であり、その寸法は穿刺針Aの左右幅寸法(断面径)に比べてかなり小さい。一方、凹部28の左側面と起上台30の左側平面36の間には、処置具挿通用チューブ26の前端部に対して左側にオフセットし、かつ、穿刺針Aの左右幅よりも大きい寸法の側方隙間29が形成してある。
操作部11及び挿入部12の内部には、前後方向に延びる金属製の操作ワイヤ40が前後方向に進退可能に配設してある。操作ワイヤ40の後端部は、操作部11に設けた起上台操作レバー(操作手段。図示略)に接続している。一方、操作ワイヤ40の前端近傍部は凹部28の側方隙間29内に位置しており、操作ワイヤ40の前端部は右側に向けて折り曲げられた状態で起上台30のワイヤ固定孔38に嵌合固定してある。図2図8図10等から明らかなように、起上台30の側方支持部37は操作ワイヤ40の直上に位置している(操作ワイヤ40を挟んで凹部28の底面と反対側に位置する)。
起上台操作レバーが非操作位置に位置するとき起上台30は非起立位置に位置し、起上台操作レバーを操作位置側に回転操作することによって操作ワイヤ40が後方に引かれると、起上台30は最大起立位置側へ徐々に回転し、起上台操作レバーを操作位置まで回転させたときに起上台30は最大起立位置に移動する。また、起上台30が最大起立位置側へ移動した後に起上台操作レバーを非操作位置側へ戻すと、操作ワイヤ40が前方にスライドすることによって起上台30が非起立位置側へ移動する。
図8及び図9に示すように、起上台30が非起立位置と起立位置の間のいずれの位置に位置するときも処置具支持溝34(及び起上台30全体)は凹部28内に位置する。
【0017】
続いて、超音波内視鏡10を利用した穿刺針Aの使用要領について説明する。
起上台操作レバーが非操作位置に位置する(起上台30が非起立位置に位置する)超音波内視鏡10の処置具挿入口突起11aからキャップ11bを取り外した後に、処置具挿入口突起11aの開口部から穿刺針Aの先端部を処置具挿通用チューブ26内に挿入し、穿刺針Aの先端部を処置具挿通用チューブ26の先端開口から前方に突出させる。すると、図8図10に示すように穿刺針Aの先端近傍部が起上台30の処置具支持溝34によって支持され、穿刺針Aの先端部が起上台30の前方に突出する。この状態で超音波プローブ23から超音波を発信すると、穿刺針Aによって反射された超音波が超音波プローブ23によって受信され、穿刺針Aの先端部が上記CRTモニタに超音波画像として表示される。
術者がCRTモニタを見ながら起上台操作レバーを非操作位置から操作位置側に回転操作すると、非起立位置に位置していた起上台30が最大起立位置側へ回転する。すると、図9に示すように穿刺針Aの先端近傍部が処置具支持溝34(起上台30)によって屈曲させられ、穿刺針Aの先端部の向きが変わる。
【0018】
図示するように穿刺針Aの断面径は処置具挿通用チューブ26の内径に比べてかなり小さいので、穿刺針Aを処置具挿通用チューブ26に挿入したときに穿刺針Aの軸線が処置具挿通用チューブ26の軸線に対して傾斜することがある。そして、この状態のまま穿刺針Aを処置具挿通用チューブ26の先端開口から前方に突出させると、図10に示すように穿刺針Aの先端近傍部が起上台30に対して傾斜する(図10の符号A1を参照)。
しかし図10に示すように、このとき穿刺針Aの前端近傍部は側方隙間29(操作ワイヤ40)の直上に位置する側方支持部37(処置具支持溝34の左側部)によって支持されるので、穿刺針Aが起上台30(処置具支持溝34)から左側(側方隙間29)に脱落するおそれは小さい。特に本実施形態では、起上台30の側方支持部37が起上台30の右側部よりも上方に突出しているので(図5図7参照)、穿刺針Aの起上台30(処置具支持溝34)から左側(側方隙間29)への脱落を効果的に抑制できる。さらに上述のように処置具支持溝34が凹部28内に位置するので、仮に穿刺針Aが起上台30(処置具支持溝34)の左側部(側方支持部37)から左側に移動しても、穿刺針Aは凹部28の左側面に衝突することになるので、再び処置具支持溝34(側方支持部37)側へ押し戻される。さらに、側方支持部37(処置具支持溝34)に当接した穿刺針Aは処置具支持溝34の傾斜面に沿って底部34a側に押し戻される(図10の符号A2を参照)。そのため、穿刺針Aが起上台30に対して傾斜しても、起上台30によって穿刺針Aを安定した状態で支持し、かつ、穿刺針Aの先端を任意の方向に向けることが可能である。
【0019】
一方、穿刺針Aの先端近傍部が図10のA1と反対側(右側)に傾斜した場合は、穿刺針Aの先端近傍部は処置具支持溝34の右側部を乗り越えて右側に移動しようとすることがある。しかしこの場合は、穿刺針Aが凹部28の右側面に衝突し処置具支持溝34側に押し戻され、処置具支持溝34の右側部の傾斜面に沿って底部34a側に移動させられる。
【0020】
以上、上記実施形態を利用して本発明を説明したが、本発明は様々な変形を施しながら実施可能である。
例えば、図11に示す超音波内視鏡45のように凹部46の左右寸法を凹部28より大きくした上で、左右両側に側方支持部37を備える左右対称な起上台50を先端硬質部19(凹部46)に取り付けても良い。この場合は、図11に示すように、凹部46の右側面と起上台50の右側平面35の間、及び、凹部46の左側面と起上台50の左側平面36の間に側方隙間29が形成される。しかし起上台50の左右両側に側方支持部37が形成してあるので、穿刺針Aの軸線が処置具挿通用チューブ26の軸線に対して左右のいずれに傾斜した場合であっても、穿刺針Aが起上台50の処置具支持溝34から脱落するのを効果的に抑制できる。
【0021】
また上記実施形態及び変形例は超音波内視鏡10、45に本発明を適用したものであるが、側視型内視鏡に本発明を適用してもよい。
また、処置具挿通用チューブ26に挿入しかつ起上台30、50によって支持する(可撓性を有する)処置具として、穿刺針A以外のもの(例えば、造影チューブやベビースコープなど)を利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
10 超音波内視鏡(内視鏡)
11 操作部
11a 処置具挿入口突起
11b キャップ
12 挿入部
13 ユニバーサルチューブ
14 超音波画像伝送用チューブ
15 湾曲操作レバー
17 湾曲部
18 可撓管部
19 先端硬質部
20 傾斜面
21 対物レンズ
22 照明レンズ
23 超音波プローブ
24 環状溝
25 回転軸
26 処置具挿通用チューブ(処置具挿通用管路)
28 凹部
29 側方隙間
30 起上台
31 被支持部
32 軸支持孔
33 載置面
34 処置具支持溝
34a 底部
35 右側平面
36 左側平面
37 側方支持部
38 ワイヤ固定孔
40 操作ワイヤ
45 超音波内視鏡(内視鏡)
46 凹部
50 起上台
A 穿刺針(処置具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14