特許第5932435号(P5932435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5932435カラーフィルター用青色顔料分散組成物及びそれを含有するカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932435
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】カラーフィルター用青色顔料分散組成物及びそれを含有するカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20160526BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   C09D17/00
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-77721(P2012-77721)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-205785(P2013-205785A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150681
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 荘助
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100105061
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 喜博
(72)【発明者】
【氏名】矢井 健二朗
(72)【発明者】
【氏名】林 明
(72)【発明者】
【氏名】平井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】杉江 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】平光 さち
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/158748(WO,A1)
【文献】 特表平11−504128(JP,A)
【文献】 特開昭62−264051(JP,A)
【文献】 特開2010−102343(JP,A)
【文献】 特開2013−053292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.ピグメントブルー15:6と、C.I.ソルベントブルー45と、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体と、塩基性基を有する高分子顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、有機溶剤とを含有するカラーフィルター用青色顔料分散組成物であって、前記C.I.ソルベントブルー45の含有量は、前記C.I.ピグメントブルー15:6の100質量に対して1〜50質量であることを特徴とするカラーフィルター用青色顔料分散組成物。
【請求項2】
上記塩基性基を有する高分子顔料分散剤が塩基性基を有するアクリル系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルター用青色顔料分散組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を含有することを特徴とするカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントラスト及び輝度が高く、且つ耐熱性に優れるカラーフィルターの提供が可能なカラーフィルター用青色顔料分散組成物及びそれを含有するカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ、コンピュータ、モバイル等の用途で液晶表示装置が普及してきている。液晶表示装置に用いられるカラーフィルターは、一般的に、透明基板と、透明基板上に形成され、赤色画素部、緑色画素部、青色画素部の三原色の着色パターンからなる着色層と、各着色パターンを区画するように透明基板上に形成された遮光部(ブラックマトリックス)とを有している。これらの赤色画素部、緑色画素部、青色画素部は、耐熱性、耐光性が良好である有機顔料が分散している合成樹脂の皮膜が基板上に設けられた構造であり、有機顔料としては、赤、緑及び青の各色の有機顔料が用いられている。
これら画素部のうち、青色画素部を形成するための青色顔料としては、一般にε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられている。
カラーフィルターを作成する際には、液晶表示装置の表示画面がより明るくなる様にする(高輝度化)、及び液晶表示装置の表示画面がよりはっきり見える様にする(高コントラスト化)等の特性が要求される。
従来は、高コントラスト化の要求に対しては、顔料の微粒子化を行うことによってコントラストの向上が行われてきた。しかし、顔料の微粒子化を行うことにより、分散剤、フタロシアニンスルホン酸誘導体等の分散助剤の添加量の使用量が増加し、分散液中の固形分が過度に増加したり、輝度が低下する等の問題が生じる。
これらの問題を解決する方法として、染料を併用して輝度を低下させることなく、容易にコントラストを図る技術が提案されている。
例えば、トリアリールメタル染料と青色有機顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)とを含有するカラーフィルター用青色顔料組成物(例えば、特許文献1)が、分子内に少なくとも1つ以上の重合可能な官能基を有する染料(例えば、アントラキノン系染料)と青色有機顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)とを含有する着色組成物(例えば、特許文献2、特許文献3)が例示できる。
しかし、これらの技術は、耐熱性、輝度、コントラストのバランスが悪く、近年要求されている耐熱性、高輝度化、高コントラスト化としては、まだ十分でない問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−268486号公報
【特許文献2】特開2000−044822号公報
【特許文献3】特開2011−022237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、高いコントラストと高い輝度を有し、且つ耐熱性に優れるカラーフィルター用青色顔料分散組成物及びそれを含有するカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6を使用し、染料としてC.I.ソルベントブルー45を使用し、顔料誘導体としてスルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体を使用し、顔料分散剤として塩基性基を有する高分子顔料分散剤を使用し、アルカリ可溶性樹脂を使用するという特定の成分を組み合わせることにより、コントラスト及び輝度が高く、且つ耐熱性に優れるカラーフィルターの提供が可能なカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物及びそれを含有するカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、(1)C.I.ピグメントブルー15:6と、C.I.ソルベントブルー45と、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体と、塩基性基を有する高分子顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、有機溶剤とを含有するカラーフィルター用青色顔料分散組成物であって、前記C.I.ソルベントブルー45の含有量は、前記C.I.ピグメントブルー15:6の100質量に対して1〜50質量であることを特徴とするカラーフィルター用青色顔料分散組成物に関する。
また、本発明は、(2)上記塩基性基を有する高分子顔料分散剤が塩基性基を有するアクリル系ブロック共重合体であることを特徴とする上記(1)項に記載のカラーフィルター用青色顔料分散組成物に関する。
また、本発明は、上記(1)項又は(2)項に記載のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を含有することを特徴とするカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物により形成された被膜は、高いコントラストと高い輝度を有し、且つ耐熱性に優れるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物及びそれを含有するカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物について、その成分毎に具体的に説明する。
[本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物]
(青色顔料)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用する青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6である。本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物中のC.I.ピグメントブルー15:6の含有量は、カラーフィルター用青色顔料分散組成物の全固形分に対して質量分率で、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは15〜50質量%の範囲である。
なお、C.I.ピグメントブルー15:6による発色、耐熱性の向上を阻害しない程度に、ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4等の他の青色顔料、さらにその他の着色顔料を併用することが可能である。
【0009】
(染料)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用する染料としては、C.I.ソルベントブルー45である。本発明のC.I.ソルベントブルー45の使用量は、C.I.ピグメントブルー15:6に対して質量分率で1〜50質量%、好ましくは、5〜30質量%である。C.I.ソルベントブルー45の使用量が1質量%より少ないとコントラスト、輝度の向上の効果が得られず、一方50質量%を超えると耐熱性が低下するので好ましくない。
染料に関しても、C.I.ソルベントブルー45による発色、コントラストや輝度等の効果を阻害しない範囲にて、例えばC.I.ソルベントブルー35、37、59、67等の他の色を呈する染料も併用することが可能である。
【0010】
(顔料誘導体)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用する顔料誘導体としては、無金属フタロシアニン誘導体、金属フタロシアニン誘導体等のスルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体が挙げられる。これらの具体例としては、無金属または金属フタロシアニンのフタルイミドメチル誘導体、無金属または金属フタロシアニンのスルホン酸誘導体、無金属または金属フタロシアニンのN−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、無金属または金属フタロシアニンのN−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体等がある。これらのスルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体には、更に1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩、エチレンジアミン等のアミンを添加して用いることもできる。中でもアンモニウムフタロシアニンスルホン酸塩が好適である。
本発明のスルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体の使用量は、好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6に対して質量分率で1〜20質量%、好ましくは、3〜10質量%である。スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体の使用量が1質量%より少ないと顔料分散性が低下し、一方20質量%を超えると輝度が著しく低下する。
【0011】
(顔料分散剤)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用する顔料分散剤としては、塩基性基を有する高分子顔料分散剤を挙げることができる。
塩基性基を有する高分子顔料分散剤としては、塩基性高分子顔料分散剤が使用でき、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ポリアミン化合物(例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンポリイミン等のポリ(低級アルキレンアミン)等)のアミノ基及び/又はイミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物。
(2)分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(3)ポリ(低級)アルキレンイミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の低分子アミノ化合物と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応生成物。
【0012】
(4)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、メトキシポリエチレングリコール等のアルコール類やカプロラクトンポリエステル等の水酸基を1個有するポリエステル類、2〜3個のイソシアネート基反応性官能基を有する化合物、イソシアネート基反応性官能基と第3級アミノ基とを有する脂肪族又は複素環式炭化水素化合物を順次反応させてなる反応生成物。
(5)アルコール性水酸基を有するアクリレートの重合物にポリイソシアネート化合物とアミノ基を有する炭化水素化合物とを反応させた反応生成物。
(6)低分子アミノ化合物にポリエーテル鎖を付加させてなる反応生成物。
(7)イソシアネート基を有する化合物にアミノ基を有する化合物を反応させてなる反応生成物。
(8)ポリエポキシ化合物に遊離のカルボキシル基を有する線状ポリマー及び2級アミノ基を1個有する有機アミン化合物を反応させた反応生成物。
【0013】
(9)片末端にアミノ基と反応し得る官能基を有するポリカーボネート化合物とポリアミン化合物との反応生成物。
(10)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアミド、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アミノ基とポリカプロラクトン骨格を有するモノマー等の塩基性基含有重合性モノマーの少なくとも1種と、スチレン、スチレン誘導体、その他の重合性モノマーの少なくとも1種との共重合体。
【0014】
(11)3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体。
(12)ポリアリルアミンにポリカーボネート化合物をマイケル付加反応させて得られる顔料分散剤。
(13)ポリブタジエン鎖と塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(14)分子内にアミド基を有する側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
【0015】
(15)エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖を有する構成単位を有し、かつ四級化剤により四級化されたアミノ基を有するポリウレタン系化合物。
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素基を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格の数が15〜85%である化合物。
【0016】
これらの中でも、顔料分散性、コントラスト及び輝度、耐熱性等の点より、塩基性基を有するアクリル系ブロック共重合体が好ましい。
本発明の塩基性基を有する高分子顔料分散剤の使用量は、C.I.ピグメントブルー15:6に対して質量分率で1〜100質量%、好ましくは、10〜40質量%である。塩基性基を有する高分子顔料分散剤の使用量が1質量%より少ないと顔料分散性が低下し、一方100質量%を超えると耐熱性が低下する場合がある。
【0017】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用するアルカリ可溶性樹脂としては、C.I.ピグメントブルー15:6に対してバインダーとして作用し、かつカラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、従来から使用されているものが使用できる。なかでも、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N−フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、カルドエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類の群から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像特性の点から50〜300KOHmg/gが好ましい。なお、本発明においては、上記酸価は理論酸価であり、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその含有量に基づいて算術的に求めた値である。
【0018】
また、本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、通常、現像特性や有機溶剤への溶解性の点から1,000〜100,000が好ましい。なお、本発明において、上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。本発明において、装置としてはWater 2690(ウオーターズ社製)、カラムとしては PLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を用いる。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の使用量は、使用するC.I.ピグメントブルー15:6に対して質量分率で1〜300質量%、好ましくは、10〜200質量%である。この場合、アルカリ可溶性樹脂の使用量が1質量%未満では、現像特性が低下するおそれがある。
【0019】
(有機溶剤)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用する有機溶剤としては、従来から液晶カラーフィルターレジストの分野で使用されている有機溶剤が好適に使用できる。具体的には、常圧(1.013×10kPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等である。沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
【0020】
好ましい溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、δ−ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n−アミル等のエステル系有機溶剤;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示できる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
これらの有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n−アミル等が好ましく、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
【0022】
[カラーフィルター用青色顔料分散組成物の製造]
以上の構成材料からなる本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物は、例えば、以下の(1)、(2)の製法により製造することができる。
(1)C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ソルベントブルー45、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体、塩基性基を有する高分子顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び、有機溶剤を含む混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速撹拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機等の各種分散機を用いて、混練し、分散処理し、本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を得る。
(2)C.I.ピグメントブルー15:6、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体、塩基性基を有する高分子顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、及び、有機溶剤を含む混合物を得る。得られた混合物を、ロールミル、ニーダー、高速撹拌装置、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、高圧分散機等の各種分散機を用いて、混練し、分散処理し、分散混合物を得る。得られた混合物に、C.I.ソルベントブルー45を有機溶剤に溶解させた染料溶液を加え、攪拌混合し本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を得る。
【0023】
[カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物]
次に、本発明のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を含有するカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物について説明する。
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物は、活性エネルギー線硬化性を有し、アルカリ現像可能なレジスト組成物であり、上記カラーフィルター用青色顔料分散組成物に加えて、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じて、有機溶剤、熱重合禁止剤、基板との密着性を向上させるためのシランカップリング剤やチタネートカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜含有させたものである。
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物におけるC.I.ピグメントブルー15:6の全含有量は、カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物の全固形分に対して好ましくは3〜75質量%、より好ましくは10〜45質量%の範囲である。
【0024】
(アルカリ可溶性樹脂)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物に使用するアルカリ可溶性樹脂としては、上記カラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用するアルカリ可溶性樹脂と同じものが使用できる。
アルカリ可溶性樹脂としては、具体的には、カラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。なかでも、上記アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
上記共重合体の酸価としては、50〜300mgKOH/gが好ましい。この場合、酸価が50mgKOH/g未満では、レジスト組成物のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。一方300mgKOH/gを超えると、アルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、アルカリ現像液により現像する際に、着色層の基板からの脱落や着色層表面の膜荒れを来たしやすくなる傾向がある。
本発明における上記共重合体の質量平均分子量は、通常、1,000〜10万が好ましい。共重合体の質量平均分子量が1,000未満では、アルカリ現像剤に対する溶解性が上がり現像特性が低下する場合がある。一方10万を超える場合は、有機溶剤への溶解性が低下し、レジスト組成物の粘度が高くなる場合がある。
【0025】
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物において、上記アルカリ可溶性樹脂の含有量(カラーフィルター用青色顔料レジスト組成物中の全アルカリ可溶性樹脂)は、含有されるC.I.ピグメントブルー15:6の100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜500質量部である。
上記アルカリ可溶性樹脂の含有量が10質量部未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れや膜残りが発生するおそれがある。一方1,000質量部を超えると、相対的に有機顔料の濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0026】
(光重合性化合物)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物に使用する光重合性化合物ついて説明する。
上記光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する単量体、オリゴマー等を挙げることができる。光重合性不飽和結合とは、後述する光重合開始剤が、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により分解した際に発生するラジカルやカチオンの作用により、重合することのできる不飽和結合である。
光重合性不飽和結合を分子内に1個有する単量体としては、メチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が例示できる。
また、光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する単量体としては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、上記光重合性化合物の含有量は、上記カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物中の全固形分に対して、好ましくは3〜50質量%の範囲である。
【0027】
(光重合開始剤)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物に使用する光重合開始剤としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射されることにより、ラジカルやカチオンを発生することのできるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明において、上記光重合開始剤の含有量は、上記カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物中の全固形分に対して、好ましくは1〜20質量%の範囲である。
【0028】
(有機溶剤)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物における有機溶剤としては、上記に挙げたカラーフィルター用青色顔料分散組成物に使用できる有機溶剤と同様に、常圧(1.013×10KPa)における沸点が100〜220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素溶剤及び含窒素系有機溶剤等であることが好ましい。
これらの有機溶剤は、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、顔料分散性、塗布性等が良好となる点より、本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物に使用される全有機溶媒中50質量%以上、更には、70質量%以上含有させることが好ましい。
なお、本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物が、沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、塗布形成された塗膜をプレベークする際に有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。また、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
【0029】
(添加剤)
本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物には、必要に応じて、他の光重合性化合物、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜使用することができる。
【0030】
[カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物の製造方法]
以上の材料を用いて本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を製造する方法を説明する。
以下に示すカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を製造する方法は、本発明の好ましい実施形態の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
先に記載した構成材料から、本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を製造するためには、上記の方法により得られたカラーフィルター用青色顔料分散組成物に、上記光重合性化合物、光重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、必要に応じて有機溶剤、その他添加剤を加え、撹拌装置等を用いて撹拌混合する方法を利用できる。
【0031】
上記の方法により得られた本発明のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を採用し、下記の実施例にて採用した方法により得られたカラーフィルターについて、下記実施例に行った測定方法により得られた性質についてみると、その色度としてはxが0.130以上、yが0.115以上、Yが15.0以上であることが好ましい。
コントラストに関しては、本発明によるカラーフィルターは4530以上であり、好ましくは4650以上、より好ましくは4800以上、さらに好ましくは5000以上である。
耐熱性としてはΔEが3.3以下、好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.7以下であることが好ましい。
粘度としては10.0mPa・以下、好ましくは9.0mPa・s以下、さらに好ましくは8.5mPa・s以下である。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
<顔料>
C.I.ピグメントブルー15:6(C.I.PB15:6)
C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.PV23)
<染料>
C.I.ソルベントブルー45
C.I.ソルベントブルー35(アントラキノン系染料)
C.I.ソルベントブルー122(アントラキノン系染料)
C.I.ソルベントブルー5(トリアリールメタン染料)
<塩基性基を有する高分子顔料分散剤>
Disprbyk2000(変性アクリル系ブロック共重合体、アミン価10)
PB821(味の素社製、アミノ基含有共重合物、アミン価17、酸価14)
<スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体>
ソルスパース5000(ルーブリゾール社製)
<アルカリ可溶性樹脂>
フォレットZAH110(綜研化学社製、酸価:100KOHmg/g、重量平均分子量:約15000)
<有機溶剤>
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
<光重合性化合物>
DPEHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
<光重合開始剤>
イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン
【0033】
<カラーフィルター用青色顔料分散組成物>
実施例1〜7及び比較例2〜5
C.I.ピグメントブルー15:6、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体、塩基性基を有する高分子顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、有機溶剤を表1の組成で、0.2mmΦのジルコニアビーズを用いてペイントコンディショナーで6時間混練し、実施例1〜7及び比較例2〜5のカラーフィルター用青色顔料分散物を得た。次いで、各染料を所定の固形分濃度となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた染料溶液を、表1の組成となるように加え高速攪拌機を用いて均一に混合し、実施例1〜7及び比較例2〜5のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を得た。
【0034】
実施例8
C.I.ピグメントブルー15:6、染料であるC.I.ソルベントブルー45、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体、塩基性基を有する高分子顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、有機溶剤を表1の組成で、0.2mmΦのジルコニアビーズを用いてペイントコンディショナーで6時間混練し、実施例8のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を得た。
【0035】
比較例1
C.I.ピグメントブルー15:6、スルホン酸基を有するフタロシアニン誘導体、塩基性基を有する高分子顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、有機溶剤を表1の組成で、0.2mmΦのジルコニアビーズを用いてペイントコンディショナーで6時間混練し、比較例1のカラーフィルター用青色顔料分散組成物を得た。
【0036】
<カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物>
実施例1〜8及び比較例1〜5によるカラーフィルター用青色顔料分散組成物と他の材料を、表2の組成になるように高速攪拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのメンブランフィルターでろ過し、実施例1〜8及び比較例1〜5に示す組成のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を得た。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
本発明に沿った例である実施例1〜8によれば、分散安定性に優れ、コーティングに適した粘度を有することに加えて、高い輝度(色度におけるY値)、高いコントラスト、優れた耐熱性を備えたカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物を得ることができる。
しかしながら、本発明に沿った例ではない比較例1は染料を含有しないために、耐熱性には優れるものの、コントラストは十分ではなかった。比較例1とは異なりC.I.ソルベントブルー45を顔料に対して55質量%と多量に含有する比較例2によれば、コントラストは優れるが耐熱性には劣るカラーフィルター用レジスト組成物が得られた。
さらに、本発明にて使用する染料とは異なるC.I.ソルベントブルー35や122及び5を使用してなる比較例3〜5によると、いずれもコントラストは良好ではあるが、耐熱性に劣る結果となり、特に比較例4及び5については輝度も不十分であった。
これらのことから、本発明においては、特定の顔料と染料を選択することを中心に、さらに特定のフタロシアニン誘導体と、塩基性基を有する高分子顔料分散剤と、アルカリ可溶性樹脂と、有機溶剤とを含有させることによって、優れた効果を発揮することができるものである。
【0040】
<流動性>
実施例1〜8及び比較例1〜5のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物について、それぞれガラス瓶に採り、密栓し室温で1日保存した後、B型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃における粘度を測定し、流動性を評価した。
【0041】
<分散安定性>
実施例1〜8及び比較例1〜5のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物について、それぞれガラス瓶に採り、密栓して室温で7日間保存した後の状態を下記評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
○:増粘、沈降物が共に認められない。
△:軽く振ると元に戻る程度の増粘や沈降物が認められる。
×:強く振っても元に戻らない程度の増粘や沈降物が認められる。
【0042】
<カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物の耐熱性>
実施例1〜8及び比較例1〜5のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物をスピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した。次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークを行い、加熱前後の色差で評価した
【0043】
<カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物の色特性の評価>
実施例1〜8及び比較例1〜5のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物をスピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した。次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークした。次いで、実施例1〜8及び比較例1〜5の各レジストの色特性(x,y,Y)を分光光度計(島津製作所社製、UV−2500PC、C光源2°視野)で測定した。実施例1〜8及び比較例1〜3の色特性はyが0.120のときの特性であり、比較例4及び5については0.070のときの色特性である。
【0044】
<カラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物のコントラスト>
実施例1〜8及び比較例1〜5のカラーフィルター用青色顔料分散レジスト組成物をスピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した。次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークした。
次いで、レジスト組成物が塗布されたガラス基板を2枚の偏光板(ルケオ社製、型番:Polax38S)で挟み、蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏光板を回転させ、前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が平行であるとき及び直角であるときの透過する光強度を色彩輝度計(トプコン社製、BM−5A)で測定した。前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が平行であるときの輝度と、前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が直角であるときの輝度との比をコントラスト比として評価した。
コントラスト比=(前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が平行であるときの輝度/前面側の偏光板と後面側の偏光板の偏光面が直角であるときの輝度)。
その結果を表2に示す。