(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置1のハードウェアを示す概略構成図である。ナビゲーション装置1は、電子機器の一種である。
図1のナビゲーション装置1は、GPS(Global Positioning System)受信部11、加速度センサ12、ディスプレイデバイス13、タッチパネルデバイス14、無線通信部15、メモリデバイス16、CPU(Central Processing Unit)17、RAM(Random Access Memory)18、およびこれらを接続するシステムバス19を有する。
ナビゲーション装置1は、電子機器の一種であり、目的地の候補を探索して提示し、選択された目的地までの経路を探索し、探索した経路で案内する。
ナビゲーション装置1は、たとえば自動車などの車両に搭載される。ナビゲーション装置1は、小型の携帯サイズに形成されてもよい。
【0016】
GPS受信部11は、GPS衛星の電波を受信する。衛星からの電波には、たとえばGPS衛星の位置および時刻の情報が含まれる。GPS受信部11は、複数のGPS衛星の位置および時刻から、GPS受信部11の位置を示す座標値を演算し、CPU17へ出力する。座標値には、たとえば緯度経度の値が使用できる。GPS受信部11が演算した座標値は、ナビゲーション装置1のたとえば現在位置として用いることができる。
【0017】
加速度センサ12は、ナビゲーション装置1に作用する加速度を検出し、CPU17へ出力する。加速度センサ12は、たとえばナビゲーション装置1に作用する3軸方向の加速度を検出する。加速度センサ12により検出された加速度を二重積分することにより、ナビゲーション装置1の移動方向および移動量が得られる。この移動方向および移動量を用いてGPS受信部11が演算した座標値を補正することにより、たとえば地下、ビルなどの屋内のようにGPS衛星の電波が受信できない状況下でも、ナビゲーション装置1の現在位置を得られる。
【0018】
ディスプレイデバイス13は、たとえば液晶ディスプレイデバイスである。ディスプレイデバイス13は、表示画面を表示する。ディスプレイデバイス13は、CPU17から入力される表示データに基づく各種のナビゲーション用の表示画面を表示する。ナビゲーション用の表示画面には、たとえば、目的地の選択画面、選択された目的地へ至る案内経路の選択画面、選択された案内経路での案内画面がある。
【0019】
タッチパネルデバイス14は、たとえば静電式または感圧式のタッチパネルデバイスである。タッチパネルデバイス14は、透明または半透明であり、ディスプレイデバイス13の表示画面と重ねて配置される。タッチパネルデバイス14は、ユーザ操作があると、操作位置を示す入力データを、ナビゲーション用画面に対する操作位置のデータとして、CPU17へ出力する。
なお、タッチパネルデバイス14は、入力デバイスの一種である。ナビゲーション装置1は、入力デバイスとして、たとえばキー入力デバイスを備えてもよい。
【0020】
無線通信部15は、たとえば図示外の基地局と無線通信する。基地局と無線通信部15との無線通信には、たとえば64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)で符号化された無線通信データが用いられる。
無線通信部15は、CPU17から入力されるデータを、64QAMで符号化し、基地局へ送信する。基地局は、無線通信部15から受信した符号化データを復号し、復号した通信データを、基地局が接続された通信ネットワークを通じて、図示外のサーバ装置へ送信する。
また、基地局は、無線通信部15へ送信される通信データを、通信ネットワークを通じてサーバ装置から受信し、64QAMで符号化し、無線通信部15へ送信する。無線通信部15は、基地局から受信した符号化データを復号し、復号したデータをCPU17へ出力する。
【0021】
メモリデバイス16は、たとえばハードディスクデバイス、不揮発性メモリで構成される。メモリデバイス16は、ナビゲーション処理に必要な各種のデータを記憶する。
図2は、
図1のメモリデバイス16に記憶されるナビゲーション用データを示す説明図である。
図2のメモリデバイス16は、ナビゲーション用データとして、地図データ21、登録地データ22、現在位置データ23、出発位置データ24、候補目的地データ25、目的地データ26、目的地履歴データ27、候補経路データ28、案内経路データ29、経路履歴データ30、および通信取得データ31を記憶する。
また、
図2には、メモリデバイス16に記憶されたナビゲーションプログラム41も図示されている。
【0022】
地図データ21は、たとえば、タッチパネルデバイス14に表示する地図の区域毎のテクスチャデータ、および経路探索に用いる経路データを有する。
テクスチャデータは、地図データ21がカバーする地域を地図表示するためのデータである。テクスチャデータは、たとえば、カバー地域の各区域(メッシュ)の表示画像、各区域の位置(範囲)を示す座標値を含む。
経路データは、カバー地域内の移動経路を探索するために利用されるデータである。経路データは、たとえば、人または車両が通行可能な道路のデータを含む。道路のデータは、たとえば道路の名称、道路の識別情報、道路の経路を示す座標値リスト、道路のたとえば車線数や歩道の有無などの構造情報を含む。
【0023】
登録地データ22は、目的地として設定可能な地点のデータである。目的地として設定可能な地点には、たとえば遊園地、公園、遺跡、構造物、ビル、駅、店舗、交差点、駐車場がある。登録地データ22は、各地点のデータとして、たとえば、地点の座標値、地点に存在する対象物の名称、種類を含む。
なお、地図データ21および登録地データ22の一部または全部は、無線通信部15により取得されてよい。無線通信部15により取得されたデータは、通信取得データ31として、メモリデバイス16に記憶される。
【0024】
現在位置データ23は、ナビゲーション装置1の現在位置を示すデータである。現在位置データ23は、たとえば現在位置の座標値を含む。現在位置データ23は、GPS受信部11により繰り返し演算されるナビゲーション装置1の現在位置の緯度経度のデータにより、更新できる。
【0025】
出発位置データ24は、ナビゲーション装置1が移動を開始した出発位置を示すデータである。出発位置データ24は、過去の位置を示すデータである。出発位置データ24は、たとえば出発位置の座標値を含む。
【0026】
候補目的地データ25は、目的地の探索条件に基づいて、目的地の候補として探索された地点のデータである。候補目的地データ25は、探索された地点を特定するためのデータとして、たとえば、候補目的地として選択された地点に存在する対応物の名称、座標値を含む。
【0027】
目的地データ26は、目的地として選択された地点のデータである。目的地データ26は、選択された地点を特定するためのデータとして、たとえば、目的地として選択された地点に存在する対応物の名称、座標値を含む。
【0028】
目的地履歴データ27は、過去に目的地に至る経路として選択された経路のデータである。目的地履歴データ27は、目的地データ26を蓄積したデータである。目的地履歴データ27は、過去に目的地として選択された各経路のデータとして、たとえば、目的地として選択された地点に存在する対応物の名称、座標値を含む。
【0029】
候補経路データ28は、出発位置または現在位置から目的地までの経路として探索された1乃至複数の経路を示すデータである。候補経路データ28は、探索された候補経路を示すデータとして、たとえば、候補経路を示す座標値リストを含む。
【0030】
案内経路データ29は、候補経路データ28から選択された1つの案内経路のデータである。案内経路データ29は、案内経路を示すデータとして、たとえば、案内経路を示す座標値リストを含む。
【0031】
経路履歴データ30は、過去に案内経路とされた経路のデータである。経路履歴データ30は、案内経路データ29を蓄積したデータである。経路履歴データ30は、過去に案内経路とされた経路のデータとして、たとえば、案内経路を示す座標値リストを含む。
【0032】
図1において、CPU17は、マイクロコンピュータである。
RAM18は、プログラムおよびデータを一時記憶する揮発性メモリである。
CPU17は、
図2のメモリデバイス16に記憶されるナビゲーションプログラム41をRAM18に読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション装置1には、
図1に示すように、制御部42が実現される。
制御部42は、ナビゲーション装置1の制御部42として機能し、ナビゲーション装置1の全体的な動作を制御する。
制御部42は、ナビゲーション装置1にナビゲーション機能を実現するために、たとえば、ナビゲーション装置1の位置を取得する処理と、ナビゲーション装置1の進行方向を推定する処理と、推定された進行方向の目的地を探索する処理と、探索した目的地を、選択可能な候補目的地としてディスプレイデバイス13に表示する処理と、選択された候補目的地を目的地とする案内経路を探索して案内する処理と、を実行する。
なお、メモリデバイス16に記憶されるナビゲーションプログラム41は、ナビゲーション装置1の出荷前にメモリデバイス16に記録されたものでも、出荷後にメモリデバイス16に記録されたものでもよい。出荷後にメモリデバイス16に記録されるナビゲーションプログラム41は、たとえばCD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録されたものをインストールしたものでも、通信ネットワークなどを通じて図示外のサーバ装置からダウンロードしたものでもよい。
【0033】
次に、
図1のナビゲーション装置1の動作について説明する。
ナビゲーション機能が起動されると、制御部42は、GPS受信部11の座標値または加速度センサ12の加速度を用いて、ナビゲーション装置1の最新の位置を取得する。制御部42は、取得した最新の位置により現在位置データ23を更新する。
また、制御部42は、現在位置データ23を用いて地図データ21から、現在位置を含むテクスチャデータを読み込む。制御部42は、現在位置を地図上に表示するデータを生成し、ディスプレイデバイス13へ出力する。ディスプレイデバイス13は、現在位置を地図上に表示する。
制御部42は、以上の現在位置データ23および表示地図の更新処理を、周期的に繰り返す。
また、制御部42は、たとえばナビゲーション装置1において目的地が設定される場合、設定された目的地までの案内処理を実行する。
【0034】
図3は、
図1の制御部42による案内処理を示すフローチャートである。
図3の案内処理において、制御部42は、目的地の設定の要否を判断する(ステップST1)。
制御部42は、目的地の設定の要否の確認画面の表示データを生成し、ディスプレイデバイス13に表示させる。
タッチパネルデバイス14は、ディスプレイデバイス13に表示された画面に対するユーザ操作を検出する。タッチパネルデバイス14から操作位置データが入力されると、制御部42は、該操作位置に基づいて、目的地の設定の要否を判断する。
【0035】
目的地の設定が必要である場合、制御部42は、目的地および案内経路を探索して案内する処理を開始する。
具体的には、制御部42は、まず、目的地を選択するために、目的地のリストをディスプレイデバイス13に表示させる(ステップST2)。
制御部42は、メモリデバイス16の登録地データ22および目的地履歴データ27から、地点のデータを読み込み、これらの地点を選択可能に表示する表示データを生成し、ディスプレイデバイス13に表示させる。
タッチパネルデバイス14がディスプレイデバイス13に表示された1つの地点に対するユーザ操作を検出する。制御部42は、タッチパネルデバイス14から入力される操作位置データに基づいて、その操作位置に表示している地点を目的地として選択する(ステップST3)。制御部42は、メモリデバイス16の目的地データ26を、選択した地点のデータにより更新する。
【0036】
目的地を選択すると、制御部42は、選択した目的地へ至る経路を探索する(ステップST4)。
制御部42は、現在位置データ23、目的地データ26および経路データを読み込み、現在位置から目的地までの経路を探索する。制御部42は、たとえば最短距離、最短時間、一般道優先、有料道路優先、屋根道優先などの経路の探索条件に応じた経路を探索する。メモリデバイス16は、制御部42は、探索した経路により、候補経路データ28を更新する。候補経路データ28には、複数の探索条件に対応する複数の経路の候補のデータが記憶される。
【0037】
複数の経路の候補を探索した後、制御部42は、探索した複数の経路から1つを、案内経路として選択する(ステップST5)。
制御部42は、候補経路データ28、地図データ21のテクスチャデータを読み込み、探索した複数の経路を地図上に表示するデータを生成し、ディスプレイデバイス13に表示させる。
タッチパネルデバイス14がディスプレイデバイス13に表示された1つの経路に対するユーザ操作を検出する。制御部42は、タッチパネルデバイス14から入力される操作位置データに基づいて、その操作位置に表示している経路を案内経路として選択する。制御部42は、選択した経路のデータにより、メモリデバイス16の案内経路データ29を更新する。
【0038】
目的地および案内経路を選択すると、制御部42は、該案内経路での経路案内を開始する(ステップST6)。
制御部42は、現在位置データ23を読み込み、ディスプレイデバイス13の表示画面に表示する地図範囲を決定する。
次に、制御部42は、該表示する地図範囲の案内経路データ29、テクスチャデータを読み込み、現在位置および案内経路を地図上に表示するデータを生成し、ディスプレイデバイス13に表示させる。ユーザは、表示された地図および案内経路にしたがって、現在位置から目的地へ向かって移動を開始できる。
制御部42は、たとえば現在位置データ23を更新する度に上述した処理を繰り返し、ディスプレイデバイス13の表示を更新する。ディスプレイデバイス13に表示される地図および案内経路は、ナビゲーション装置1の移動に応じて更新される。ユーザは、ナビゲーション装置1に表示された地図および案内経路により移動方向を確認し、選択した目的地まで移動できる。
【0039】
目的地までの経路案内が完了すると、制御部42は、終了処理を実行する。
制御部42は、案内した目的地データ26により、目的地履歴データ27を更新する。また、案内経路データ29により、経路履歴データ30を更新する。
これにより、ユーザを実際に案内した目的地と案内経路が、メモリデバイス16に蓄積される。ユーザは、後にこれらを呼び出して再利用できる。
【0040】
このように、ナビゲーション装置1は、ユーザの目的地および案内経路を探索し、該案内経路で目的地までユーザを案内できる。
しかしながら、上述したように、この案内機能を利用するためには、ユーザは、移動を開始する前に、出発位置点において目的地および案内経路を設定する必要がある。
出発前に毎回目的地を設定することは、ユーザにとって手間である。
また、急いで出発したい場合、ユーザは、その手間を惜しんで、目的地を設定しないまま出発することがある。
このように、案内機能は、十分に利用されているとは言えない。
そこで、本実施形態では、出発前に目的地を設定しない場合でも、移動開始後に目的地を簡単に設定できるようにする。これにより、案内機能の利便性の向上が図れる。以下、詳しく説明する。
【0041】
図3のステップST1において、目的地の設定が不要であると判断すると、制御部42は、さらに移動が開始されたか否かを判断する(ステップST7)。
制御部42は、たとえばGPS受信部11の検出位置が所定距離以上変化した場合、移動が開始されたと判断する。
制御部42は、移動開始が検出されるまで、これらのステップST1およびステップST7による判断処理を繰り返す。
【0042】
そして、出発前に目的地が選択されないまま移動が開始されると、制御部42は、目的地の予測案内処理を開始する(ステップST8)。
【0043】
図4は、
図3の目的地の予測案内処理の詳しいフローチャートである。
図4の目的地の予測案内処理において、制御部42は、移動を開始した出発位置を保存する(ステップST11)。
制御部42は、予測案内処理を開始すると判断した時点でのナビゲーション装置1の現在位置データ23により、出発位置データ24を更新する。
また、制御部42は、地図データ21のテクスチャデータを読み込み、現在位置およびその周囲を表示する地図をディスプレイデバイス13に表示させる(ステップST12)。
【0044】
出発位置を保存して表示した後、制御部42は、候補目的地を予測して提示する処理を開始する。
この候補目的地の予測提示処理において、制御部42は、まず、移動開始後の現在位置を取得する(ステップST13)。
たとえば、制御部42は、GPS受信部11が演算した現在位置を取得する。
また、GPS受信部11が新たな現在位置を演算していない場合、制御部42は、GPS受信部11の現在位置を最後に更新した後の未更新期間での加速度センサ12の検出値を用いてGPS受信部11が最後に演算した現在位置を補正し、現在位置を取得する。
制御部42は、取得した最新の現在位置により、現在位置データ23を更新する。
【0045】
最新の現在位置を取得した後、制御部42は、ナビゲーション装置1の進行方向を推定する(ステップST14)。
たとえば、制御部42は、出発位置から現在位置へ向かう方向を、ナビゲーション装置1の進行方向として推定する。
また、制御部42は、推定したナビゲーション装置1の進行方向を基準とし、該進行方向に対して所定の角度範囲内にある地点を、移動中に目的地として選択するための候補目的地として探索する(ステップST15)。制御部42は、登録地データ22、目的地履歴データ27を読み込み、所定の角度範囲内の地点を探索する。制御部42は、この候補目的地の探索により得た1乃至複数の地点のデータにより、候補目的地データ25を更新する。
【0046】
図5は、候補目的地の探索処理の説明図である。
図5は、地図データ21の1つの区域を表示する地図である。
図5には、出発位置SP、現在位置PP、探索対象の複数の地点である第1地点P1から第6地点P6、が図示されている。
この場合、制御部42は、まず、出発位置SPの座標値から現在位置PPの座標値へ向かう方向を、ナビゲーション装置1の進行方向として推定する。
図5の3本の点線のうち、真ん中の点線L1が、推定されたナビゲーション装置1の信号方向を示す。
【0047】
次に、制御部42は、推定したナビゲーション装置1の進行方向(L1)を基準とし、現在地の進行方向(L1)から所定の角度範囲を特定する。
図5の3本の点線のうち、両端の2本の点線L2,L3が、所定の角度範囲の境界線を示す。この境界線(L2,L3)の間が、進行方向(L1)から所定の角度範囲として特定される。境界線(L2,L3)は、現在位置PPから伸びる。
制御部42は、所定の角度範囲内に緯度経度が属する地点を、候補目的地として探索する。制御部42は、登録地データ22および目的地履歴データ27から、該角度範囲内の緯度経度を有する地点を抽出する。制御部42は、抽出した1乃至複数の地点のデータにより、候補目的地データ25を更新する。
図5の場合、制御部42は、探索対象の第1地点P1から第6地点P6のうち、第1地点P1、第2地点P2および第6地点P6を、所定の角度範囲内に緯度経度が属する地点として探索する。
【0048】
なお、この所定の角度範囲内には、多数の地点が存在することが予想される。
この場合、制御部42は、該角度範囲内に存在し且つ出発位置からたとえば10kmのように所定の距離範囲以内に存在する複数の地点を、複数の候補目的地として探索してよい。
また、制御部42は、該角度範囲内の複数の地点を、出発位置に近いものから順番に所定数だけ、複数の候補目的地として探索してよい。
後述するように、探索された複数の候補目的地は、選択可能にディスプレイデバイス13に表示される。ディスプレイデバイス13に同時に選択可能に表示できる候補目的地の個数は、ディスプレイデバイス13の表示画面のサイズにより物理的に制限される。よって、後者のように探索する複数の候補目的地を所定数以下に制限しても、ユーザが選択できる地点は実質的に制限されない。複数の候補目的地を所定数以下に制限することで、候補目的地の探索処理時間を略一定の時間以下に短縮できる。
また、登録地データ22および目的地履歴データ27に登録された地点を、地点の属性に基づいて分類し、ユーザに応じた分類の優先順位で所定数以下の複数の候補目的地を探索してもよい。
【0049】
進行方向から所定の角度範囲内にある候補目的地を探索した後、制御部42は、探索した候補目的地をディスプレイデバイス13に表示する(ステップST16)。制御部42は、候補目的地データ25を読み込み、抽出された候補目的地をディスプレイデバイス13に表示する。
【0050】
図6は、複数の候補目的地を表示する表示画面の一例を示す図である。
図6の表示画面は、ナビゲーション装置1のディスプレイデバイス13に表示される。
図6の地図の表示範囲は、
図5の区域の右下部分に対応している。ナビゲーション装置1の現在位置および現在の進行方向が、矢線ARにより表示される。
そして、ディスプレイデバイス13の表示画面の左端には、表示画面の外周に沿って、抽出された3つの候補目的地を示す3つの表示オブジェクトが表示される。具体的には、第1地点P1の表示オブジェクトOB1と、第2地点P2の表示オブジェクトOB2と、第6地点P6の表示オブジェクトOB3とが表示される。
表示オブジェクトOB1〜OB3の表示画面での配置は、
図5での地点の位置関係に対応している。たとえば、
図6の地図の表示範囲において、表示オブジェクトOB1の延長線上に第1地点P1が存在するように、表示オブジェクトOB1は配置される。
ユーザは、ディスプレイデバイス13の表示により、所望の目的地が候補目的地として提示されているか否かを確認できる。ユーザは、所望の目的地の表示オブジェクトを選択する。タッチパネルデバイス14は、ユーザの操作位置を示すデータを出力する。制御部42は、操作位置データに基づいて、1つの表示オブジェクトが選択されたことを判断する。制御部42は、選択された表示オブジェクトに対応する候補目的地のデータにより、目的地データ26を更新する。
【0051】
そして、複数の候補目的地の1つが目的地として選択される(ステップST17)と、制御部42は、経路データを用いて、現在位置から、選択した候補目的地までの1乃至複数の候補経路を探索し、表示する。また、複数の候補経路から案内経路が選択されると、制御部42は、選択した案内経路による経路案内を開始する(ステップST18)。
なお、この経路探索から経路案内までの処理は、
図3のステップST4からステップST6までの処理に対応する。
【0052】
図7は、現在位置から、選択された候補目的地までの案内経路の一例を示す説明図である。
図7の区域は、
図5の区域に対応する。第2地点P2が目的地として選択された例である。
そして、表示された複数の候補目的地P1,P2,P6のうちの1つである第2地点P2が目的地として選択された場合、制御部42は、選択した時点での現在位置から、選択した第2地点P2までの案内経路R1を探索する。
その後、制御部42は、
図8に示すように、ディスプレイデバイス13の表示画面に、候補目的地を選択した時点での現在位置PPと、該現在位置PPから目的地としての第2地点P2までの案内経路R1とが、地図に重ねて表示される。
図8は、経路案内画面の一例を示す図である。
【0053】
これに対し、
図4のステップST17において、表示した候補目的地がタッチパネルデバイス14の操作により選択されない場合、制御部42は、ステップST13からステップST17までの目的地の予測案内処理を再び実行する。制御部42は、移動中に、候補目的地の1つが選択されるまで、ステップST13からステップST17までの処理を繰り返し実行する。
【0054】
図9は、複数の候補目的地を表示する、更新された表示画面の一例を示す図である。
現在位置は、
図6の現在位置から移動している。
その結果、
図9の表示画面の矢線ARは、
図6のものと比べて、地図(表示画面)の上方へ移動している。
このように現在位置が上に移動すると、ナビゲーション装置1の進行方向および所定の角度範囲が、
図5の区域に対して、上側へ移動する。制御部42は、該角度範囲内の地点として、第1地点P1、と第2地点P2とを探索する。
その結果、
図9の表示画面では、第1地点P1に対応する表示オブジェクトと、第2地点P2に対応する表示オブジェクトとが、選択可能な表示オブジェクトとして表示されている。
このように、ユーザに提示する候補目的地は、ユーザによるナビゲーション装置1の移動に従って変化する。
【0055】
以上のように、本実施形態のナビゲーション装置1は、ユーザが目的地を選択しないまま出発した場合、出発後の実際の移動経路に基づいて移動開始後に候補目的地を自動探索し、提示する。ユーザは、移動中に、移動方向に応じて自動的に探索された目的とする候補目的地を選択し、該候補目的地までの経路案内を受けることができる。ユーザは、出発前に目的地を設定することなく、経路案内を利用できる。
【0056】
特に、本実施形態のナビゲーション装置1は、出発時に出発位置SPを保存し、その出発位置SPから移動開始後の現在位置PPへ向かう方向を進行方向(L1)として特定し、該進行方向を基準とした所定の角度範囲内の候補目的地を探索して提示する。よって、ナビゲーション装置1は、ユーザが過去に訪れたことがない地点を候補目的地として提示し、該未到達地点までの経路を案内することができる。
【0057】
また、本実施形態のナビゲーション装置1は、候補目的地を、ディスプレイデバイス13の表示画面に表示されている地図の表示範囲と無関係に探索し、地図の表示範囲外の候補目的地を、表示画面の外周に沿って配置した選択可能なオブジェクトにより提示する。ユーザは、表示された該オブジェクトを選択することにより、地図の表示範囲外の候補目的地を目的地として選択できる。ナビゲーション装置1は、ディスプレイデバイス13に表示されない遠方の地点についても、選択可能な候補目的地として提示できる。ユーザは、案内に適した縮尺の地図をディスプレイデバイス13の表示画面に表示させた状態で、該表示の範囲外に存在する地点を候補目的地として移動中に選択し、選択した目的地までの経路案内を受けることができる。
【0058】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るナビゲーション装置1について説明する。
第2実施形態に係るナビゲーション装置1は、候補目的地の探索処理が、第1実施形態のものと異なる。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0059】
図10は、第2実施形態での、目的地の予測案内処理のフローチャートである。
図10の目的地の予測案内処理において、制御部42は、出発位置を保存し(ステップST11)、地図を表示した後(ステップST12)、候補目的地を予測して提示する処理を開始する。
【0060】
この候補目的地の予測提示処理において、制御部42は、候補目的地の抽出処理と、絞り込み処理との、二段階の処理を実行する。
制御部42は、候補目的地を抽出するために、最新の現在位置を取得し(ステップST13)、ナビゲーション装置1の進行方向を推定し(ステップST14)、該進行方向に対して所定の角度範囲内にある地点を候補目的地として探索する(ステップST15)。
【0061】
次に、制御部42は、抽出処理により得た複数の地点の絞り込み処理を実行する(ステップST21)。
制御部42は、経路履歴データ30から、抽出した地点へ案内した過去の移動経路を探索する。
制御部42は、探索した過去の経路と、ナビゲーション装置1の現在の移動経路とを比較する。制御部42は、たとえば出発位置および現在位置が、探索した過去の経路上に位置するか否かで、一致を判断する。
そして、これらの経路が一致していない場合、制御部42は、探索した過去の経路により至った地点を、探索した地点から除く。
経路が一致する地点は、探索した地点に残す。経路が探索されなかった地点は、探索した地点に残す。
制御部42は、この過去の経路により絞り込んだ1乃至複数の地点のデータにより、候補目的地データ25を更新する。
【0062】
図11は、候補目的地の探索処理および絞り込み処理の説明図である。
図11は、
図5に対応する。また、出発位置SP、現在位置PP、第1地点P1から第6地点P6に加えて、経路履歴データ30の第1過去経路R2と第2過去経路R3と、が図示されている。
第1過去経路R2は、出発位置から第2地点P2へ至る経路である。
第2過去経路R3は、出発位置から第6地点P6へ至る経路である。
【0063】
図11では、ステップST15の候補目的地の探索処理により、探索対象の第1地点P1から第6地点P6のうち、第1地点P1、第2地点P2および第6地点P6が探索される。
制御部42は、探索した各地点について、過去経路に応じた絞り込み処理を実行する(ステップST21)。
たとえば、ユーザは、第2過去経路R3により第6地点P6へ行ったことがあるとする。現在位置PPは、第2過去経路R3から外れている。この場合、制御部42は、探索により抽出した第6地点P6を除外する。
また、ユーザは、第1過去経路により第2地点P2へ行ったことがあるとする。現在位置PPは、第2過去経路R3上にある。この場合、制御部42は、探索により抽出した第2地点P2を残す。
また、第1地点P1については、過去経路がないとする。この場合、制御部42は、探索により抽出した第1地点P1を残す。
【0064】
候補目的地を、過去経路が一致しない地点以外のものに絞り込んだ後、制御部42は、探索した候補目的地をディスプレイデバイス13に表示する(ステップST16)。
制御部42は、候補目的地データ25を読み込み、抽出された候補目的地をディスプレイデバイス13に表示する。
【0065】
図12は、複数の候補目的地を表示する表示画面の一例を示す図である。
図12の表示画面は、
図6に対応する。
そして、
図12の表示画面の左端には、表示画面の外周に沿って、抽出された2つの候補目的地に対応する2つの表示オブジェクトが表示される。具体的には、第1地点P1に対応する表示オブジェクトと、第2地点P2に対応する表示オブジェクトと、が表示される。
【0066】
図10の目的地の予測案内処理において、ステップST17以降の処理は、第1実施形態の
図4と同様であり、説明を省略する。
【0067】
以上のように、本実施形態のナビゲーション装置1は、進行方向(L1)から所定の角度範囲内に位置する地点のうち、過去の移動経路が一致していない地点を、候補目的地から除外する。過去の移動経路により、候補目的地を絞り込む。
これにより、ユーザが選択する可能性が低い地点を、候補目的地として提示しないようにできる。ユーザが移動を開始した経路により向かおうとしている所望の目的地を優先的に提示できる。
たとえば、第1実施形態では、第6地点P6の表示オブジェクトOB3の表示は、
図9の矢線ARに示す現在位置まで移動して初めて消去される。これに対し、本実施形態では、
図12の矢線ARに示すように、それよりも手前の現在位置において、表示オブジェクトOB3が表示されないようになる。
【0068】
なお、第2実施形態では、制御部42は、第1実施形態と同様に登録地データ22、目的地履歴データ27の地点を進行方向(L1)に対する所定の角度範囲で探索した後、過去の走行履歴(過去経路R2,R3)により絞り込みをかけている。
この他にもたとえば、制御部42は、過去の走行履歴(過去経路)により、目的地および走行履歴が共に合致する地点を、候補目的地として絞り込んでもよい。
また、制御部42は、過去の走行履歴(過去経路R2,R3)と現在の移動経路とを比較し、現在の移動経路と合致する過去の走行履歴の目的地を、候補目的地として選択してもよい。
また、制御部42は、第1実施形態での処理と、第2実施形態での処理とを、状況に応じて切り替えてもよい。たとえば第1実施形態での処理により得られる地点の個数が多い場合にのみ、第2実施形態での絞り込み処理を実行するようにしてもよい。
【0069】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るナビゲーション装置1について説明する。
第3実施形態に係るナビゲーション装置1は、候補目的地の探索処理が、第1実施形態のものと異なる。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0070】
図13は、第3実施形態での、候補目的地の探索処理の説明図である。
図4のステップST15の、移動中の候補目的地探索処理において、制御部42は、推定したナビゲーション装置1の進行方向と、現在位置PPでの進行方向とを勘案し、角度範囲を決定する。
制御部42は、たとえば、出発位置SPから現在位置PPまでの距離に応じた大きさのナビゲーション装置1の進行方向を示す第1ベクトルD1と、現在位置PPの同方向への連続移動距離に応じた大きさの第2ベクトルD2とを合成し、この合成方向を移動中の候補目的地探索処理に用いる進行方向とする。
制御部42は、合成方向を基準とし、該合成方向に対して所定の角度範囲内にある地点を、移動中に目的地として選択するための候補目的地として探索する(ステップST15)。
図13には、合成方向を示す線分L4、この合成方向を基準とした所定の角度範囲の両端を示す2本の点線L5,L6が図示されている。制御部42は、点線L5と点線L6との間に位置する地点を、移動中に目的地として選択するための候補目的地として探索する。制御部42は、探索対象の第1地点P1から第6地点P6のうち、第1地点P1および第2地点P2を、所定の角度範囲内に緯度経度が属する地点として探索する。
【0071】
以上のように、本実施形態のナビゲーション装置1は、ユーザが目的地を選択しないまま出発した場合、出発後の実際の移動経路に基づいて移動開始後に候補目的地を自動探索し、提示する。ユーザは、移動中に、移動方向に応じて自動的に探索された目的とする候補目的地を選択し、該候補目的地までの経路案内を受けることができる。ユーザは、出発前に目的地を設定することなく、経路案内を利用できる。
特に、本実施形態では、出発位置SPから現在位置PPへ向かうナビゲーション装置1の進行方向に、現在の進行方向を合成しているため、現在の進行方向を考慮した範囲について候補目的地を探索できる。出発位置SPから目的地まで直線的に進むことができない道路事情を考慮し、より確からしい候補目的地を抽出できる。
また、合成の際のナビゲーション装置1の進行方向を、出発位置SPから現在位置PPまでの距離に応じた大きさのベクトルとして合成している。よって、出発位置SPからかなり進んだ時点において、候補となり得ない地点を候補目的地として抽出し難くなる。目的地に近くなるほど、最適な地点を候補目的地として抽出することが可能になる。
なお、本実施形態では、出発位置SPから現在位置PPへ向かうナビゲーション装置1の進行方向と、現在位置PPの移動方向とを合成している。この他にもたとえば、現在位置PPの移動方向を、所定の角度範囲の基準方向としてもよい。
【0072】
[第4実施形態]
図14は、本発明の第4実施形態に係るナビゲーションシステム51の概略構成図である。
図14のナビゲーションシステム51は、多機能携帯端末52、サーバ装置53、およびこれらを接続する通信ネットワーク54を有する。
そして、第4実施形態のナビゲーションシステム51は、多機能携帯端末52に第2実施形態と同様のナビゲーションを実現するために、サーバ装置53はナビゲーション処理を実行し、多機能携帯端末52はナビゲーションのユーザインタフェースとして機能する。
ナビゲーションシステム51は、クライアントサーバシステムの一種である。
以下、主に、第2実施形態との相違点について説明する。
【0073】
通信ネットワーク54は、たとえばインターネット、電話回線網で構成される。通信ネットワーク54は、多機能携帯端末52と無線通信する基地局55を有する。
【0074】
多機能携帯端末52は、たとえばスマートフォンなどのユーザが携帯可能な端末である。
多機能携帯端末52のハードウェア構成は、たとえば
図1のナビゲーション装置1のものと同様である。同一の符号を使用して図示を省略する。
【0075】
多機能携帯端末52の無線通信部15は、基地局55と通信回線を確立する。無線通信部15は、この通信回線を用いて、多機能携帯端末52を用いたナビゲーションにおいて、サーバ装置53から各種の通信データを受信する。無線通信部15は、受信した通信データをCPU17へ出力する。
無線通信部15は、通信回線を用いて、CPU17から入力されるリクエストなどの通信データを送信する。通信データは、基地局55に受信された後、通信ネットワーク54を通じてサーバ装置53により受信される。
【0076】
多機能携帯端末52のCPU17は、メモリデバイス16に記憶されたナビゲーションプログラム41をRAM18に読み込んで実行する。これにより、多機能携帯端末52のクライアント制御部61が実現される。
クライアント制御部61は、多機能携帯端末52をサーバ装置53のユーザインタフェースとして機能させる制御を実行する。
具体的にはたとえば、クライアント制御部61は、無線通信部15がサーバ装置53から受信した通信データにより表示データを生成し、ディスプレイデバイス13に表示させる。
また、クライアント制御部61は、タッチパネルデバイス14から入力される操作位置データに基づいて、操作に対応するリクエストを生成し、無線通信部15へ出力する。無線通信部15は、リクエストをサーバ装置53へ送信する。
【0077】
図15は、
図14のサーバ装置53のハードウェアを示す概略構成図である。
図15のサーバ装置53は、サーバ通信部71、サーバメモリデバイス72、サーバCPU73、サーバRAM74、およびこれらを接続するサーバシステムバス75を有する。
これらのサーバ装置53の各部71〜75は、
図1のナビゲーション装置1の同名のものと同じ機能を有するので、説明を省略する。
【0078】
サーバメモリデバイス72は、ナビゲーション用データとして、
図2と同様の地図データ21、登録地データ22、多機能携帯端末52の候補目的地データ25、多機能携帯端末52の目的地データ26、多機能携帯端末52の目的地履歴データ27、多機能携帯端末52の候補経路データ28、多機能携帯端末52の案内経路データ29、多機能携帯端末52の経路履歴データ30、多機能携帯端末52の現在位置データ23、多機能携帯端末52の出発位置データ24、および多機能携帯端末52での通信取得データ31を記憶する。
この他にも、サーバメモリデバイス72は、図示されていない他の多機能携帯端末の目的地履歴データ76、他の多機能携帯端末の経路履歴データ77を記憶する。
【0079】
サーバCPU73は、サーバメモリデバイス72に記憶されるナビゲーションプログラム41をサーバRAM74に読み込んで実行する。これにより、サーバ装置53に、サーバ制御部78が実現される。
サーバ制御部78は、ナビゲーションシステム51の全体を制御する制御部として機能する。
サーバ制御部78は、多機能携帯端末52をユーザインタフェースに用いたナビゲーション機能を実現するために、たとえば、多機能携帯端末52の位置を取得する処理と、多機能携帯端末52の進行方向を推定する処理と、推定された進行方向の目的地を探索する処理と、探索した目的地を、選択可能な候補目的地として多機能携帯端末52のディスプレイデバイス13に表示する処理と、選択された候補目的地を目的地とする案内経路を探索して案内する処理と、を実行する。
【0080】
以下、ナビゲーションシステム51の動作を説明する。
【0081】
多機能携帯端末52を用いたナビゲーション処理を実行するために、サーバ制御部78は、多機能携帯端末52から、多機能携帯端末52の最新の現在位置を取得する。
サーバ制御部78は、位置情報のリクエストを多機能携帯端末52へ送信する。リクエストは、サーバ通信部71から送信され、通信ネットワーク54および基地局55を通じて、多機能携帯端末52の無線通信部15に受信される。
多機能携帯端末52のクライアント制御部61は、多機能携帯端末52の無線通信部15が受信したリクエストに応じて多機能携帯端末52の最新の現在位置を取得し、サーバ装置53へ送信する。最新の現在位置のデータは、多機能携帯端末52の無線通信部15から基地局55へ送信され、基地局55および通信ネットワーク54を通じて、サーバ装置53のサーバ通信部71に受信される。
【0082】
多機能携帯端末52の現在位置を取得したサーバ制御部78は、多機能携帯端末52の現在位置を、多機能携帯端末52に表示させる処理を実行する。サーバ制御部78は、多機能携帯端末52の現在位置を含む地域のテクスチャデータを読み込み、地図の表示データを生成し、多機能携帯端末52へ送信する。クライアント制御部61は、受信したデータに基づいてディスプレイデバイス13に表示する表示データを生成し、ディスプレイデバイス13に表示させる。
【0083】
サーバ制御部78は、多機能携帯端末52から、多機能携帯端末52の最新の現在位置を繰り返し取得する。サーバ制御部78は、取得した複数の現在位置に基づいて、多機能携帯端末52の移動の有無を判断する。
そして、たとえば多機能携帯端末52の目的地を設定する処理を実行する前に、多機能携帯端末52の移動が開始された場合、サーバ制御部78は、
図10と同様の流れで目的地の予測案内処理を実行する。
【0084】
目的地の予測案内処理において、サーバ制御部78は、移動開始を検出した時点での現在位置により、出発位置データ24を更新する。
その後、新たな現在位置を取得すると、出発位置から最新の現在位置へ向かう方向を多機能携帯端末52の進行方向と推定し、該進行方向から所定の角度範囲の候補目的地を探索する。
この候補目的地を探索において、サーバ制御部78は、まず、登録地データ22、多機能携帯端末52の目的地履歴データ27とともに、他の多機能携帯端末の目的地履歴データ76を読み込む。サーバ制御部78は、登録地データ22、多機能携帯端末52の目的地履歴データ27、および他の多機能携帯端末の目的地履歴データ76から、進行方向から所定の角度範囲の地点を抽出する。
【0085】
次に、サーバ制御部78は、抽出した地点についての絞り込み処理を実行する。サーバ制御部78は、多機能携帯端末52の経路履歴データ30、他の多機能携帯端末の経路履歴データ77を読み込み、現在の移動経路と一致しない過去経路の目的地を、抽出した地点から除く。
サーバ制御部78は、他の多機能携帯端末の過去経路(経路履歴データ77)により絞り込んだ1乃至複数の地点のデータにより、候補目的地データ25を更新する。
【0086】
図16は、第4実施形態での候補目的地の探索処理の説明図である。
図16は、
図11に対応する。
そして、
図16には、他の多機能携帯端末の目的地履歴データ76としての第7地点P7と、他の多機能携帯端末による第7地点P7へ至る第4過去経路R4と、が図示されている。
この場合、サーバ制御部78は、
図10のステップST15の地点の抽出処理により、第1地点P1から第7地点P7までの複数の地点から、第1地点P1、第2地点P2、第6地点P6および第7地点P7を抽出する。
また、サーバ制御部78は、抽出した複数の地点についての、過去経路による絞り込み処理を実行する(ステップST21)。サーバ制御部78は、経路履歴データ30を用いて、第1地点P1、第2地点P2とともに、第4過去経路R4に対応する第7地点P7を、絞り込んだ候補目的地として探索する。
【0087】
なお、仮にたとえば、他の多機能携帯端末の目的地履歴データ76に第6地点P6が含まれ、他の多機能携帯端末の経路履歴データ77に
図11とは異なる現在位置PPを通る過去経路が記録され、この過去経路が現在の移動経路と合致する場合、サーバ制御部78は、第2実施形態とは異なり、第6地点P6を削除しない。
サーバ制御部78は、該多機能携帯端末52の経路履歴データ30の過去経路、および他の多機能携帯端末の目的地履歴データ76の過去経路のうち、いずれか1つの過去経路において合致する候補目的地を残す。
【0088】
次に、サーバ制御部78は、探索して絞り込んだ候補目的地を表示するデータを生成し、多機能携帯端末52へ送信する。クライアント制御部61は、ディスプレイデバイス13に候補目的地を表示し、タッチパネルデバイス14の操作位置データに基づいて1つの候補目的地を選択する。クライアント制御部61は、選択した候補目的地を示すデータをサーバ装置53へ送信する。サーバ制御部78は、受信データに含まれる候補目的地のデータにより、目的地データ26を更新する。
【0089】
図17は、第4実施形態での、複数の候補目的地を表示する表示画面の一例を示す図である。
図17の表示画面は、
図6に対応する。
そして、
図17のディスプレイデバイス13の表示画面の左端には、表示画面の外周に沿って、抽出された3つの候補目的地に対応する3つの表示オブジェクトが表示される。具体的には、第1地点P1の表示オブジェクトOB1、第2地点P2の表示オブジェクトOB2、第7地点P7の表示オブジェクトOB4、が表示される。
クライアント制御部61は、この3つの表示オブジェクトのうちの1つを目的地として選択することができる。クライアント制御部61は、選択した候補目的地を示すデータを、サーバ装置53へ送信する。
【0090】
目的地として選択された候補目的地のデータを受信すると、サーバ制御部78は、目的地データ26を更新し、選択した目的地へ至る候補経路を探索し、多機能携帯端末52へ送信する。クライアント制御部61は、ディスプレイデバイス13に候補経路を表示し、タッチパネルデバイス14の操作位置データに基づいて1つの候補経路を選択する。クライアント制御部61は、選択した候補経路を示すデータをサーバ装置53へ送信する。サーバ制御部78は、受信データに含まれる候補経路のデータにより、候補経路の1つを案内経路として選択し、案内経路データ29を更新する。
【0091】
案内経路データ29を更新した後、サーバ制御部78は、多機能携帯端末52に該案内経路を案内させる。
具体的には、サーバ制御部78は、多機能携帯端末52の現在位置を取得すると、多機能携帯端末52の現在位置の移動に応じたテクスチャデータとともに案内経路データ29を読み込む。そして、地図上に現在位置および案内経路を表示するデータを生成し、多機能携帯端末52へ送信する。クライアント制御部61は、サーバ装置53から受信したデータに基づいて表示データを生成し、ディスプレイデバイス13に表示させる。これにより、多機能携帯端末52のディスプレイデバイス13には、地図上に案内経路が表示される。
【0092】
以上のように、第4実施形態では、多機能携帯端末52に表示する候補目的地を、他の多機能携帯端末の目的地履歴データ76および経路履歴データ77を用いて絞り込む。よって、他の多機能携帯端末を使用するユーザが現在の移動経路で向かった地点を候補目的地として提示できる。
【0093】
なお、たとえば上記第4実施形態のナビゲーションシステム51において、サーバ装置53は、第2実施形態のナビゲーション装置1と同様の流れの処理を実施している。
この他にもたとえばサーバ装置53は、第1実施形態のナビゲーション装置1と同様の流れの処理を実施してよい。
【0094】
上記第4実施形態のナビゲーションシステム51では、多機能携帯端末52は、サーバ装置53のユーザインタフェースとして機能し、サーバ装置53は、ナビゲーションのためのすべての処理を実行している。
この他にもたとえば、多機能携帯端末52は、サーバ装置53の替わりに、ナビゲーションのための一連の処理の一部を実行してもよい。
また、多機能携帯端末52は、ナビゲーションのためのすべての処理を実行し、サーバ装置53は、ナビゲーション処理に必要なデータを記憶してもよい。この場合、サーバ装置53は、多機能携帯端末52のリクエストに応じて、要求されたデータを多機能携帯端末52へ送信する。
【0095】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0096】
たとえば上記実施形態では、ナビゲーション装置1または多機能携帯端末52の進行方向に対し、所定の角度範囲内の地点を候補目的地として探索している。
この他にもたとえば、ナビゲーション装置1または多機能携帯端末52の進行方向にある地点を候補目的地として探索したり、進行方向から所定の距離幅内の地点を候補目的地として探索したりしてもよい。