【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の説明
本発明者は、このたびが初の報告となる、2つのポルフィラナーゼを単離し特徴付けた。それらは糖質加水分解酵素のGH16のファミリーに属するが、ゾベリア・ガラクタニボラン(Z. galactanivorans)に存在するこのファミリーの他のメンバーとの配列同一性は26%未満である。
【0016】
PorA及びPorBと呼ばれるこれらのポルフィラナーゼは、ゾベリア・ガラクタニボラン(Z. galactanivorans)からクローン化された。PorA及びPorBは、配列番号2及び配列番号5によってそれぞれ表される。PorAの触媒ドメインは、PorBと26.9 %同一である。
【0017】
タンパク質PorA及びPorBは、β-ポルフィラナーゼ活性を有するが、アガラーゼ活性を全く有しないことが示された。これらの酵素活性を有する酵素は、これまで全く記載されていなかった。
【0018】
また、タンパク質PorA及びPorBは、ポルフィランの加水分解に使用可能であり、これにより特定の構造及びサイズのオリゴ糖を得ることができることも示された。より詳細には、PorA及びPorBによって、ネオポルフィロビオース、ネオポルフィロテトラオース及び/又はネオポルフィロヘキサオースの均一の混合物を得ることができる。
【0019】
本発明のポリペプチド
本発明者は、このたびが初の報告となるポルフィラナーゼを単離し特徴付けた。従って、本発明は、ポルフィラナーゼ活性を有することを特徴とする単離ポリペプチドに関する。
【0020】
本発明の範囲内で、「ポリペプチド」とは、ペプチド結合で互いに結合したアミノ酸の線状鎖を含む分子を意味する。
【0021】
「単離」ポリペプチド (又は核酸) とは本明細書において、当該ポリペプチド (又は核酸) が自然に存在する生物又は微生物から単離されたポリペプチド (又は核酸) を意味する。好適な実施形態において、核酸のポリペプチドは単離且つ精製された形態である。特に好適な実施形態において、単離ポリペプチドは組換えポリペプチドである。
【0022】
「ポルフィラン」とは本明細書において、O6位におけるO-硫酸化によって修飾されたL-ガラクトース単位がβ-1,4において結合されたD-ガラクトース単位から成る二糖類単位の連鎖から成る分子を意味する。
【0023】
「ポルフィラナーゼ活性」とは本明細書において、ポルフィランの加水分解を触媒する能力を意味する。より詳細には、本発明のポリペプチドのポルフィラナーゼ活性は、β-ポルフィラナーゼ活性、すなわち、ポルフィランの二糖類単位のD-ガラクトース(
図1中の「単位G」)と6位において硫酸化されたL-ガラクトース単位(
図1中の「単位L6S」)との間のβ-1,4結合の切断を触媒する能力である。
【0024】
ポルフィラナーゼ活性は、例えばポルフィランの消化動態を得ることによって測定することができる。これらの動態は、例えば実施例3に記載の通り得ることができる。より詳細には、β-アガラーゼによって予め消化させた1% (w/v) 多糖を含む溶液を使用することができる。50 mLの多糖溶液を、例えば6 μgの酵素で30℃でインキュベートしてよい。一定分量全てが完全に加水分解されるまで、加水分解を行ってよい。ポルフィラナーゼによるポルフィランの消化は、オリゴポルフィランを得ることにつながる。
【0025】
本発明のポリペプチドは、好適にはアガラーゼ活性を全く有しない。言い換えれば、これらのポリペプチドは特異的に硫酸化多糖類の加水分解を触媒する。アガラーゼ活性の欠如は、例えば1% アガロースを含むゲル上で容易に測定することができる(
図2を参照されたい)。1 μgの酵素を、例えばこれらのゲル上に置くことができる。30℃での一晩のインキュベーション後、アガラーゼ活性をルゴールでの染色によって明らかにすることができる。
【0026】
好適な実施形態において、本発明のポリペプチドは:
−配列番号2の残基19-274 (触媒ドメイン、PorA_CMと呼ばれる断片を含むPorAの断片に相当する);
−配列番号2の残基19-510 (成熟タンパク質PorAに相当する);
−配列番号2の残基1-510(完全タンパク質PorAに相当する);
−配列番号5の残基22-293(成熟タンパク質PorBに相当する); 又は
−配列番号5の残基1-293(完全タンパク質PorBに相当する)、
から選択される配列を含み、又はこれらの中から選択される配列から成る。
【0027】
本発明のポリペプチドは、配列番号2又は5のタンパク質PorA及びPorB由来のポリペプチドであって、ポルフィラナーゼ活性を保持するポリペプチドも含むことを理解されたい。これらの由来ポリペプチドは:
a)残基:
−配列番号2の19-274;
−配列番号2の19-510;
−配列番号2の1-510;
−配列番号5の22-293; 又は
−配列番号5の1-293、
と少なくとも26、30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98又は99 %同一である配列
b)配列 (a)の少なくとも20、50、100、150、200、210、220、230、240又は250個の連続するアミノ酸の断片; 及び
c)残基:
−配列番号2の19-274;
−配列番号2の19-510;
−配列番号2の1-510;
−配列番号5の22-293; 又は
−配列番号5の1-293、
に存在する配列の少なくとも20、50、100、150、200、210、220、230、240又は250個の連続するアミノ酸の断片、
から選択される配列を含み、又はこれらの中から選択される配列から成る。
【0028】
「参照配列と少なくとも95% (例えば) 同一である配列」とは、この配列が、参照配列の100個のアミノ酸の各部分に関して最大で5つの点状変異 (置換, 欠失及び/又は挿入)を含み得ることを除いて、参照配列と一致する配列を意味する。従って、100個のアミノ酸を有する参照配列に関して5個の置換を含む95個のアミノ酸の断片とかかる100個のアミノ酸配列は、95%同一である配列の2つの例である。
【0029】
同一性の割合は、配列を分析するためのソフトウェアパッケージを使用することによって一般的に決定される。例えば、2つの配列の全長を通してそれらの最適な配列比較(ギャップを有する) を見出すために包括的整列アルゴリズム「ニードルマン−バンシュ(Needleman-Wunsch)」を用いるプログラム「ニードル(needle)」を使用することができる。このプログラムは特に、サイトebi.ac.ukで利用できる。
【0030】
由来ポリペプチドは、参照配列 (この場合、配列番号2又は4又はその断片の1つ)と、アミノ酸の欠失、挿入及び/又は置換型の変異の存在によって異なってよい。置換は、保存又は非保存置換であってよい。
【0031】
特定の実施形態において、由来ポリペプチドは、保存置換(conservative substitution)の存在のみ参照配列と異なる。保存置換は、同一のクラスのアミノ酸の置換、例えば非荷電側鎖におけるアミノ酸(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、及びチロシン等) の置換、塩基性側鎖へのアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン及びヒスチジン等) の置換、酸性側鎖へのアミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸等) の置換、無極性側鎖へのアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン及びトリプトファン等)の置換である。
【0032】
由来ポリペプチドはまた、配列番号2又は4のタンパク質PorA又はPorBの、例えばゾベリア・ガラクタニボラン(Zobellia galactanivorans)等の他種におけるPorA及びPorBと相同であるタンパク質の対立遺伝子変異体、又はポルフィラナーゼ活性を保持するかかる対立遺伝子変異体の断片若しくは相同タンパク質に相当し得る。
【0033】
任意には、本発明のポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。シグナルペプチドが存在する場合、それはタンパク質の天然のシグナルペプチド (すなわち、PorAに関する配列番号2の残基1−18、及びPorBに関する配列番号5の残基1−21)とすることができる。あるいは、シグナルペプチドは、PorA又はPorBと異種のシグナルペプチド、例えば特定の宿主細胞において成熟タンパク質PorA又はPorBを発現するのに適したシグナルペプチドとすることができる。配列番号2、3、5及び6は、天然のシグナルペプチドを含む本発明のポリペプチドの例(配列番号2及び5)、又は異種のシグナルペプチドを含む本発明のポリペプチドの例(配列番号3及び6)である。
【0034】
本発明のポリペプチドは、化学合成又は遺伝子操作によって、及び当業者に周知の技術を使用することによって、それらの元の生物又は微生物から精製によって調製することができる。好適な実施形態において、本発明のポリペプチドは、遺伝子操作によって得られる。
【0035】
本発明の核酸
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする単離核酸に関する。本発明のこのポリペプチドは、上記段落で記載したいずれかのポルフィラナーゼに対応し得る。
【0036】
用語「核酸」とは、DNA分子及びRNA分子双方を指し、特にcDNA分子及びmRNA分子を含む。核酸は、二重鎖形態 (例えば、発現ベクター中に含まれる核酸の場合)であるか、又は一本鎖形態(例えば、プローブ又はプライマーの場合)であってよい。
【0037】
より詳細には、本発明の核酸は:
a)配列番号1のヌクレオチド1−1533又は55−1533;
b)配列番号4のヌクレオチド1−882又は64−882; 及び
c)配列(a) 又は (b)と相補的な配列、
から選択される配列を含み、又はこれらの中から選択される配列から成ってよい。
【0038】
本発明の核酸はまた、配列番号1又は4由来の配列を含み、又はこれらの中から選択される配列から成ってよい。当該由来核酸は、配列が:
a)ヌクレオチド:
−配列番号1の1−1533又は55−1533; 又は
−配列番号4の1−882又は64−882、
と少なくとも30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98又は99%同一である配列
b)配列(a)の少なくとも60、150、300、450、600又は750個の連続するヌクレオチドの断片;
c)ヌクレオチド:
−配列番号1の1−1533又は55−1533; 又は
−配列番号4の1−882又は64−882、
に存在する配列の少なくとも60、150、300、450、600又は750個の連続するヌクレオチドの断片
d)高ストリンジェントな条件下で配列番号1又は4とハイブリッド形成する核酸によってコードされる配列; 及び
e)配列 (a)−(d)の1つと相補的な配列、
から選択される配列を含み、又はこれらの中から選択される配列から成る核酸を含む。
【0039】
2つのヌクレオチド配列間の同一性の割合は、アミノ酸の2つの配列間の同一性の割合と同様に決定される。
【0040】
「高ストリンジェントな条件」とは、当業者に周知の条件であり、例えば5X クエン酸ナトリウム塩緩衝液(SSC)及び2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、100μg/mLの一本鎖DNAの中での、フィルターに結合されたDNAの55-65℃での8時間のハイブリダイゼーション、及び0.2X SSC及び0.2% SDS中での60-65℃での30分間の洗浄のための条件に相当し得る。
【0041】
由来核酸の配列は、ヌクレオチドの変異、例えば置換、欠失及び/又は挿入を含んでよい。置換は、核酸によってコードされるタンパク質において無変化であるか、変異につながってよい。好ましくは、当該ヌクレオチド配列における置換、欠失及び/又は挿入は、読み取り段階における変化、又は終止コドンの導入につながらない。
【0042】
好適な実施形態において、当該由来核酸は、配列番号2の成熟又は完全タンパク質PorA、配列番号5の成熟又は完全タンパク質PorB、ポルフィラナーゼ活性を保持するそれらの断片をコードする核酸であるが、遺伝暗号の変性及び/又は対立遺伝子変化のためそのヌクレオチド配列は配列番号1又は4と異なる。
【0043】
他の特に好ましい実施形態は、ゾベリア・ガラクタニボラン(Zobellia galactanivorans)以外の種におけるPorA又はPorBの相同タンパク質をコードする核酸、又はポルフィラナーゼ活性を保持するその断片に関係する。
【0044】
本発明の他の側面は、配列番号1又は配列番号4の断片を含むか又はから成るヌクレオチドプローブ及びプライマーに関係する。これらのプローブ及びプライマーは、例えば配列番号1又は配列番号4の15−50個の連続するヌクレオチド、好適には18−35個の連続するヌクレオチドを含むか又はから成ってよい。これらのプローブ及びプライマーは、本発明のポリペプチドをコードしないが、本発明の核酸のクローン化、配列決定及び/又は検出に有用である。プローブは、任意には、例えば放射性マーカー又はフルオロフォアによって標識することができる。さらに、プローブ及びプライマーは、配列番号1又は配列番号4の断片に加えて、例えば制限酵素部位の配列又はマーカーに結合するための配列等の異種配列を含んでよい。
【0045】
本発明の核酸は、当業者に周知の、とりわけSambrook等に記載される技術(「Molecular Cloning: a Laboratory Manual」 Ed. Cold Spring Harbor Press, N.Y., 1989) を使用することによって、化学合成又は遺伝子操作によって調製することができる。本発明の核酸は、実施例1に記載の通り、PCR法 (ポリメラーゼ連鎖反応法) によって、例えばゾベリア・ガラクタニボラン(Zobellia galactanivorans)の遺伝子の増幅によって得られる。その結果増幅された核酸断片は、続いてManiatis (「Molecular Cloning. A Laboratory Manual」 New York, 1982) 及び/又は実施例1に記載される技術に従って発現ベクター中にクローン化することができる。
【0046】
本発明の発現ベクター及び宿主細胞
本発明はまた、本発明の核酸を含む発現ベクターに関する。例えばプラスミドとすることができるこれらの発現ベクターは、本発明の核酸配列に加えて、その発現に必要な手段を含む。これらの手段は、例えば転写ターミネーター又はプロモーターを含む。発現ベクターは、他の要素、例えば複製開始点、マルチクローニングサイト、転写促進因子、クローン化中にフェーズにおいて本発明のポリペプチドと融合され得るシグナルペプチド、及び1又は2以上の選択マーカー等もまた含んでよい。
【0047】
本発明の他の側面は、本発明の発現ベクター又は核酸によって形質転換された宿主細胞に関係する。
【0048】
宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞とすることができる。組換え細胞を発現するために現在使用される宿主細胞は、例えば大腸菌(Escherichia coli)等の細菌細胞、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の母細胞、例えばアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)等の真菌細胞、昆虫細胞及び例えば細胞株CHO、HEK 293、PER-C6等の哺乳類細胞(特にヒト細胞)、等を特に含む。
【0049】
原核細胞及び真核細胞の形質転換は、当業者に周知の技術である。形質転換する細胞によって、当業者は選択した宿主細胞において、本発明の核酸を導入及び発現するのに必要な手段を容易に決定することができる。従って、発現ベクター及び宿主細胞内に発現ベクターを導入するための方法は、選択した宿主細胞に基づいて選択することができる。
【0050】
本発明の発現ベクター又は核酸によって形質転換された宿主細胞は、好適には本発明のポリペプチドを安定した方法で発現する。当業者は、宿主細胞が本発明のポリペプチドを安定した方法で発現することを、例えばウエスタンブロット技術を使用することによって、容易に確認することができる。
【0051】
本発明の宿主細胞は、本発明のポリペプチドの生成に特に有用である。従って、本発明は、本発明のポリペプチドの発現が可能な条件下で、本発明の宿主細胞を培養する工程を含む本発明のポリペプチドの生成方法に関する。この方法は、本発明のポリペプチドを精製する工程をさらに含んでよい。培養及び精製工程は、例えば実施例2に記載の通りに達成することができる。
【0052】
本発明の多糖の加水分解のための方法
本発明者は、酵素PorA及びPorBをポルフィランの加水分解に使用することができ、それらにより特定の構造及びサイズを有するオリゴ糖が得られることを見出した。より詳細には、PorA及びPorBによるポルフィランの加水分解によって、オリゴポルフィラン、特にネオポルフィロビオース、ネオポルフィロテトラオース及び/又はネオポルフィロヘキサオースを得ることが可能である。
【0053】
本発明の側面は、従って、多糖の加水分解及び/又はオリゴ糖の生成のための本発明のポリペプチドの使用に関係する。
【0054】
当該方法の範囲で使用される多糖は、当該多糖の主要化合物であるか又はそれではない、硫酸化多糖類を含んでよい多糖である。好適には、当該方法の範囲で使用される多糖は、ポルフィランを含むか又はから成ってよい。あるいは、当該方法の範囲で使用される多糖は、ポルフィランと異なるが、少なくとも部分的に、O6位におけるO-硫酸化によって修飾されたL-ガラクトース単位にβ-1,4において結合されたD-ガラクトース単位から成る二糖類単位から成る多糖を含むか又はから成ってよい。
【0055】
これらの多糖は、海洋植物中に存在する。それらは、例えばMorrice等が記載する技術(Eur. J. Biochem. 1983 133:673-84)等の当業者に周知の抽出法を使用することによって、例えば海洋植物、特に紅藻類から得ることができる。それらは、任意には、液体クロマトグラフィ方法によって他の候補成分から分離することができる。
【0056】
好適な実施形態において、本発明は、ポルフィランの加水分解及び/又はオリゴポルフィラン、特にネオポルフィロビオース、ネオポルフィロテトラオース及び/又はネオポルフィロヘキサオースの生成のための本発明のポリペプチドの使用に関係する。
【0057】
本発明はまた、多糖の加水分解及び/又はオリゴ糖の生成のための方法に関し、以下の:
a)本発明のポリペプチド又は本発明の宿主細胞を供する工程; 及び
b)加水分解された多糖を得ることにつながる条件下、例えば完全な加水分解につながる条件下で、ポリペプチド又は宿主細胞を多糖と接触させる工程、
を含む。
【0058】
本願を読むことから顕著に明らかであるように、好適な実施形態において、本発明の多糖の加水分解及び/又はオリゴ糖の生成方法は、ポルフィランの加水分解及び/又はオリゴポルフィラン、特にネオポルフィロビオース、ネオポルフィロテトラオース及び/又はネオポルフィロヘキサオースの生成方法にある。加水分解された多糖を得ることにつながる条件は、当業者によって容易に決定することができる。例えば、実施例3に記載される条件を使用することができる。ポリペプチド又は宿主細胞は、例えば温度30℃で多糖と接触させてよい。この接触中、例えば6 μgのポリペプチドを1% (w/v) 多糖を含む50 mLの溶液に添加することができる。インキュベーション時間は、所望の加水分解多糖に応じて調整することができる。インキュベーションは、例えば約又は少なくとも6、10又は14時間続けることができる。従って、ポルフィランを含む多糖溶液で開始して、インキュベーション時間次第で次のオリゴ糖: ネオポルフィロビオース、ネオポルフィロテトラオース及び/又はネオポルフィロヘキサオースを得ることが可能である。
【0059】
本発明の方法は、任意には、加水分解された多糖を精製するための工程(c)を含むことができる。加水分解された多糖を精製するための技術は、当業者に周知である。精製は、例えば、実施例4に記載の通り、排除クロマトグラフィによって達成することができる。オリゴ糖を含むサンプルを、例えば50mMの炭酸アンモニウムで、速度1.5 mL/分で650分間で溶出することができる。
【0060】
好適な実施形態において、本発明の方法によって得られた加水分解された多糖の平均分子量 (M
w)は、5800、5500、5000、4500、4000、3500又は3000 Da以下、さらに好適には5800 Da以下である。好適には、本発明の方法によって得られる加水分解された多糖は、より低い分子量として1,270、1,170、850、750又は425 Da、例えば約1,261.04、1,163.97、840.69、743.62又は420.344 Daの分子量を有する。
【0061】
他の好ましい実施形態において、本発明の方法によって得られる加水分解された多糖は、ネオポルフィロビオース、ネオポルフィロテトラオース及びネオポルフィロヘキサオースから選択される1又は2以上のオリゴポルフィランを少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、90%、95% 又は99%含む。
【0062】
「ネオポルフィロビオース」とは、ポルフィランの二糖類単位 (
図1で説明される) を意味する。「ネオポルフィロテトラオース」とは、ポルフィランの2個の二糖類単位の連鎖を意味する。「ネオポルフィロヘキサオース」とは、ポルフィランの3個の二糖類単位の連鎖を意味する。
【0063】
本発明に従って加水分解及び精製された多糖は、続いて農産食品、化粧品又は医薬組成物の調製に用いることができる。
【0064】
最終的に、本発明はまた、本発明の方法によって得ることができる加水分解された多糖、特にオリゴポルフィラン、特にネオポルフィロビオース、ネオポルフィロテトラオース及び/又はネオポルフィロヘキサオース、及びこれらの加水分解された多糖を含む農産食品、化粧品及び医薬組成物に関係する。
【0065】
本明細書中で引用する公報、論文、ハンドブック、特許及び特許出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明は、その範囲を限定することなく本発明を説明する後述の実験の検討によって詳述する。