(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接触ローラーのうち、前記切断刃の回転方向の後ろ側に位置する後接触ローラーと前記回転方向の前側に位置する前接触ローラーとの少なくとも何れか一方が前記ローターの半径方向に移動するものであることを特徴とする請求項2記載のウエブ切断装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチックシートなどの長尺状のウエブの供給や、送られてくる当該ウエブの巻き取りなどにおいて、ラインを停止させずに供給後や巻き取り後のウエブを後続のウエブから切断する装置が利用されている(特許文献1〜4)。
【0003】
(特許文献1)
特許文献1には、ターレットがウエブを供給するロールを切り替える際の変動を、新軸即ちウエブ巻取り前の新巻軸と、旧軸即ちウエブ巻取り済みの満巻軸との間に、ダンサーロールを設けることで当該ダンサーロールの変位によって旧軸の速度を制御し、張力の安定を図るものが示されている。この特許文献1におけるウエブの切断装置は、シート(ウエブ)の流れに対して切断刃を直角かそれ以上の角度で降り下ろして切断するものである。
ところが、流れているシートを切断刃にて直角方向から切断すると、新軸に巻き付けられるシート側が必ず切断刃に当たり行く手を妨げられるため、新軸に巻きつけられるまでにシートへ皺が発生し、巻付け状態が悪くなる。巻き付け状態が悪くなると、その後に巻き取られるシートが影響を受け、巻き取りの品質を落としてしまう。ライン速度即ちシートの流れが高速になれば、上記症状は更に悪化する傾向になる。
【0004】
(特許文献2)
特許文献2には、ターレットにおける巻軸の切り替え時に、新軸、旧軸共にコンタクトロールが当該軸表面のロールに対して隙間を以て巻き取る方式であるニアー巻き取りを行うものが示されている。この特許文献2におけるウエブ切断は、切断時に切断刃が昇降してシートの横垂直方向からシートを横断して切断する、走行式のものである。
特許文献2の当該切断装置では、切断刃がシートを横断して切断するため切断面が斜めになり、巻付けにおいて新軸に粘着テープや糊などを予め施す必要がある。粘着テープ等を用いずに巻き付けエアーだけでも巻き付けは可能であるが、切断面が斜めになるため巻き付けが悪くなり、特許文献1に示す装置と同様、巻き取りの品質を落としてしまう。
【0005】
(特許文献3)
特許文献3に示された装置については、巻き替え時に一旦シートの流れが停止することを前提としシートを止めずに連続してシートを流すものではないが、この装置もシートを自動で切断する切断装置を備える。
特許文献3の上記切断装置は、固定刃と上下可動式の刃のせん断即ちシエアカットによる切断方式を採用している。この切断方式において、連続して流れてくるシートを切断するには、固定刃と上下可動式の刃をシートの流れ方向に動かさなければ、切断されたシートが完全に行き場を失い詰まってしまう。また、切断には、回転刃と可動刃の2つの刃を必要とするので、装置も複雑なものとなっており調整も必要とする。
【0006】
特に、上記の特許文献1〜3に示された各切断装置では、ウエブを切断する際にウエブに振り下ろされる刃の作動半径は比較的大きく、切断刃は大きく振りかぶった状態からウエブの切断位置まで大きな移動を必要とする。
例えば、上記の特許文献1〜3に示された各切断装置について、切断刃の作動支点と刃の先端との間の距離を、ウエブを巻回する巻回部におけるウエブの最大巻回直径と比較してみると、その大きさが理解できる。
即ち、特許文献1の
図1の装置では、切断刃19の刃先と支点aとの間の距離については、満巻軸2におけるウエブの最大巻取径よりも遥かに大きいものが示されている。また、特許文献2の
図1の装置では、切断刃4の刃先と切断刃5を支持する部材の基端に設けられた切断装置5との間の距離が、巻取軸bにおける満巻ローラRの直径とほぼ同じ程度に達するものであり当該満巻ローラRより決して小さいものとは言えない。更に、特許文献3の
図1の装置では、移動刃9の刃先と切断装置Dにおける当該移動刃9を支持する部材基端側の支点との距離について、巻き上げロール10の最大直径よりも大きな遥かに大きい。このことは、巻上げロール10(二点鎖線)の終端押えローラー13の設置位置からも把握できる。
【0007】
(特許文献4)
一方、特許文献4のウエブ接続装置中に示された切断装置には、1枚刃である切断刃(刃部32a)がローター(第2カッタ32)に設けられている。この切断装置は、当該ローターの回転にて切断刃を回転させる方式の所謂ロータリーカッターである。この特許文献4に見られるロータリーカッターでは、その
図1を見れば分かるように、第2カッター32の刃部32aの先と刃部32a回転の中心である第2カッター32の中心との距離は、満巻ロールである新ロール17の半径より、遥かに小さい。
このように、特許文献4に見られるロータリーカッターは、特許文献1〜3とは全く異なるタイプの、即ち技術分野の全く異なる切断装置である。
特にこの特許文献4の装置では、切断刃を空中に向け振り下してウエブの切断を行うのではなく、ロータリーカッター即ちローターと別に設けられたバックアップロール31へ架けられて当該バックアップロール31表面に沿うウエブwに向け、ロータリーカッターの刃(第2カッター32)を、ローターの回転にて周回させ切断を行うものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本願発明に係る切断装置の好適な実施の形態について説明する。
(全体構成)
このウエブ切断装置は、プラスチック製の長尺状のウエブを連続的に送りながら切断を行うものであり、
図1へ示す通り、基体(図示しない。)と、ウエブwの送り装置と、カッター部2と、案内部3と、巻取検出センサ(図示しない。)と、接触検出センサ(図示しない。)と、制御部(図示しない。)とを備える。
この例では、ウエブ切断装置は、ウエブwを連続的に巻取る巻取機に実施されており、新旧ウエブの接続時のウエブ切断を行う。
【0014】
(基体)
基体は、上記送り装置と、カッター部2と、案内部3とを支持する。
【0015】
(送り装置)
上記の送り装置は、長尺状のウエブを上流側から下流側に送るものである。この巻取機の例では、送り装置は、ウエブwの巻回部を兼ねている。
詳しくは、巻取機は、ターレット10と、ターレット10に設けられた複数の上記巻回部と、ガイドロール13とを備える。上記の巻回部は、ウエブwの巻軸(巻軸11,12)であり、この例では、ターレット10に2つ設けられている。
ターレット10は、周知の構成を採る、巻軸11,12の位置切り替え装置である。 ターレット10は、巻軸11,12の一方を、ウエブの巻取位置に配置し、巻軸11,12の他の一方を当該巻取位置から離れた交換位置に配置する。
図1において、ウエブの当該巻取位置はターレット10の左端であり、ウエブの当該交換位置はターレット10の右端である。ターレット10は、回転することにより、上記両巻軸11,12の配置を入れ替えることができる。
【0016】
図1は、ターレット10によって、満巻軸即ちウエブ巻取り済みの巻軸12(以下必要に応じて旧軸12と呼ぶ。)が上記交換位置に移行し、入れ替わってウエブ巻取り前の巻軸11(以下必要に応じて新軸11と呼ぶ。)が上記巻取位置に移行した直後の状態を示している。
図1へ示す状態において、巻取位置に新たに配置された新軸11が、それまで巻取位置にあった旧軸12に代わってウエブwの巻取りを開始し、交換位置に配置された旧軸12が次にウエブの巻取りに備える他の巻軸に交換される。
少なくとも巻取位置に配置された状態において、新軸11は、電動機などの動力源(図示しない。)から駆動力を得て自転する。この例では、新軸11及び旧軸12は、夫々直接電動機などの動力源に接続されて自転する。この他、新軸11及び旧軸12は、歯車やプーリーとベルトといった周知の動力伝達手段を介して電動機などの動力源から回転力の供給を受けるものとしても実施できる。また、巻軸は、新軸11として上記切断位置に配置されたときのみ、動力源や動力伝達媒体に接続され動力源から回転力の供給を受けるものとしても実施できる。
ガイドロール13は、上記巻取位置にある新軸11と上記交換位置にある旧軸12との間のウエブw搬送区間に配置される。ガイドロール13は、ウエブwの当該区間が架けられて当該区間におけるウエブwの搬送をガイドする。ガイドロール13は、
図1へ示す通り、新旧軸11,12の上記入れ替えに対応してターレット10の2箇所に設けられている。
ターレット10は、この例では、2つの巻軸11,12を備えるものとしたが、この他、3つ以上の巻軸を備えるものとしても実施できる。
【0017】
(カッター部2)
カッター部2は、ウエブwの搬送ライン即ちウエブwの搬送経路の、巻取位置の上記新軸11とウエブwが架けられた上記ガイドロール13との間において、ウエブwを切断する。
詳しくは、カッター部2は、ロータリーカッター20と、巻付ロール21と、ロータリーカッター20を回転駆動させるモーター22と、アーム23と、アーム23を回動させるアーム駆動部24とを備える。
【0018】
(ロータリーカッター20)
ロータリーカッター20は、
図2(A)(B)(C)へ示す通り、上記モーター22から駆動力を受けて回転するローター25と、夫々ローター25に設けられた、切断刃26と、刃出部27と、接触部28と、エア吹出部29とを備える。
【0019】
(ローター25)
ローター25は、ベルトとプーリー或いは歯車などの周知の動力伝達手段によってモーター22からの動力の伝達を受けて自転することができる(
図1)。この例では、ローター25とモーター22の夫々にプーリーが設けられ、当該両プーリーにベルトがかけられて、モーター22からローター25へ動力が伝達される。
また、この例では、ローター25は、短円柱状に形成されており、当該円柱の中心軸xを回転軸として回転する。また、ローター25を駆動する上記モーター22は、この例では、インバータによってコントロールされたギアモーターである。
ローター25の上記回転により、上記の切断刃26について、ローター25の中心軸xを中心として周回させることができる。
【0020】
制御部の制御により、ローター25は、ウエブwの切断を行わない退避位置にあるときは回転せず、ウエブw切断の待機位置への移動時に回転を行う。制御部の制御により、ウエブwの切断が終了すれば、回転を停止する。また制御部の制御により、ウエブwの切断が終了後、ローター25は上記退避位置に戻される。ローター25の位置の制御は、後述する、制御部によるアーム駆動部24の制御にて行う。
制御部の制御の下、上記インバータのコントロールにより、少なくともウエブ切断時、ローター25は、ウエブwの送り速度即ちウエブwの搬送速度よりも速い速度で回転することができる。ローター25の当該回転速度は、ウエブwの搬送速度の150〜250%の速度とするのが好ましい。特に、ローター25の当該回転速度を、ウエブwの搬送速度の150〜200%の速度とするのが好ましい。但し、ウエブwを綺麗に切断することができれば、当該範囲外の速度で、ローター25を回転させるものとしてもよい。
【0021】
ローター25は、ウエブwを切断するのに適した、ウエブwの搬送速度よりも速い上記回転速度に1回転目で到達するものとしてもよいが、複数回転後に到達するものとしても実施することができる。この例では、2回転目でローター25の回転速度は、ウエブwの搬送速度の150〜250%に達するように設定している。即ち、この例では、ローター25に設けられた切断刃26は、2周回目で、ウエブwの搬送速度の150〜250%の回転周速度に達する。このように、切断刃26の2周回目でウエブwの切断を行うのが、当該切断に適した上記速度に無理なく到達させることができる点で、更に切断に要す時間短縮の点で、好ましい。特にウエブwの搬送速度が高速になるほど、ローター25の1回転目でのウエブw搬送速度の150〜250%の速度への到達は困難になるので、ローター25の2回転目以降での切断が有効である。勿論切断刃26の3周回以上の回転で上記のウエブw切断に適した速度に達するものとしてもよいが、一般的なウエブwの搬送速度を考慮すると2周回あれば十分上記速度に到達することができ、切断刃26の2周回目でのウエブw切断が上記の通り時間短縮の面で好ましい。
また、2回転目でのローター25の回転速度を、切断に最適な、ウエブwの搬送速度の上記150〜200%の速度に達するように設定するのが好ましい。
【0022】
(切断刃26)
切断刃26は、ローター25の外周面から出没して、ウエブwを切断する1枚の刃である。
図2(D)へ示す通り、切断刃26の刃先26aは、三角形の山と谷をローター25の軸方向に沿って交互に備える鋸刃である。
図2(D)において、aは刃先26aの頂部即ち上記山の頂点を示し、bは刃先26aの基部即ち上記谷を示す。
切断刃26は、ウエブwの搬送経路の途中に配置されて、ウエブwの切断を行う。 上記の切断刃26は、ウエブwの搬送方向と同じ方向に移動させることにより、切断刃26におけるウエブwの切断のストロークを極力小さなものとすることができる。
この例では、切断刃26は、刃出部27を介してローター25に設けられており、切断刃26は、少なくともウエブw切断時ローター25の外周面から刃先26aを突出する状態にされてウエブwの上記切断を行う。
切断刃26先端即ち刃先26aとローター25の回転中心と間の距離は、巻回部である上記巻軸(旧軸12)におけるウエブwの最大巻回直径即ち満巻軸のウエブwのロール直径よりも小さいものとするのが好ましい。より好ましくは、切断刃26の刃先26aとローター25の回転中心と間の距離を、上記巻軸(旧軸12)におけるウエブwの最大巻回半径即ち満巻軸のウエブwのロール半径よりも小さいものとする。
【0023】
上記の通り、ローター25外周の接触部28へウエブwが架けられることにより、ウエブwの搬送経路は、ローター25の外周面に沿った弧状の区間を備えることになる。
即ち、特許文献4などに見られる従来のロータリーカッターを用いた切断装置と異なり、上記切断刃26は、ウエブw切断時において、ウエブw搬送経路中の当該弧の区間において、当該孤の中心を中心として周回する。その上で、切断刃26は、刃出部27によって当該孤の内側から、当該孤の半径方向について径外方向へ刃先26aを突き出すことにより、
図3(G)へ示す通り、ウエブwの切断を行う。
このように、先ずウエブwの上記孤に沿って切断刃26を回転させて、切断刃26が前述の切断に適した周回速度即ち回転周速度に達したとき、上記刃出部27にて上記孤の内側から上記孤の径外方向に刃先26aを突出させることにより、ウエブwの上記切断を行うものであるため、切断刃26は、刃先26aの上記基部bから上記頂点aの幅よりも若干大きい程度のストロークにて、ウエブwの切断を行うことができる。
切断刃26は、ウエブwの搬送速度によりも高速で移動してウエブwを追い越しつつ、上記の通りウエブwに向け刃先26aを突出させるので、取りこぼしなく綺麗にウエブwの切断を完了することができる。
【0024】
上記において、切断刃26の周回は、ウエブw搬送経路の上記弧状の区間の当該孤の中心を中心として行うものを例示した。一方、切断刃26は、当該弧状の内側で周回し適切な周回速度に達したとき、当該周回径の径外方向に突出して上記弧の内側からウエブwへ刃先26aを当てるものであればよく、切断刃26の周回は、ウエブw搬送経路の上記弧状の区間の当該孤の中心を中心として行うものに限定するものではない。即ち、切断刃26は、ローター25との接触によって湾曲させたウエブwの搬送経路の伸びる方向に切断刃26の移動方向を略揃えてウエブwを追い越しつつ、湾曲した搬送区間の内側(径内)から当該湾曲区間の外側へ向けて切断刃26を移動させることにより、ウエブwの切断を行うものであればよい。
但し、周回径の径内外方向についての切断刃26の移動量を抑制する観点、更には切断刃26をウエブwの搬送速度より速い速度で移動させてウエブwを追い越しつつ切断を行う観点からは、ウエブwの移動の方向と切断刃26の周回方向を極力一致させるのが望ましく、上記の通り、切断刃26の周回は、ウエブw搬送経路の上記弧状の区間の当該孤の中心を中心として行うのが最適である。
切断刃26の周回速度を上記の通りウエブwの搬送速度よりも高速にすると、切断刃26を当てることができるウエブwの搬送区間は極めて制限される。例えば、特許文献4のロータリーカッターは、ローターと別体のバックアップロールの孤の外側から当該孤の内側に向けてピンポイントで刃先を当てるものであるため、ウエブwの搬送よりも高速に切断刃を当てる制御は極めて難しい。特許文献4の装置では、ウエブの搬送経路の弧状区間の呈する孤の外側から搬送経路の当該孤に向け、刃を回転させて当該弧に刃を交差させるので、ウエブwに刃を立てることができる区間は点となるからである。
この点、本願発明では、上記の通り、ローター25の外周面である孤の内側にて、刃先26aが当該弧の周方向に沿って周回するのであり、刃先26aがウエブwを追い越しつつウエブwを切断できる区間は点ではなく、弧長として幅のあるものである。
【0025】
(刃出部27)
刃出部27は、切断刃26のローター25からの上記出没を可能とする機構部である。即ち、刃出部27は、切断刃26をローター25の半径方向に移動させる。
刃出部27は、この例では、切断刃26の2周回目でウエブwの切断を行うために、切断刃26の1周回目では切断刃26の刃先26aをローター25の外周即ち接触部28より突出しないように没せしめ、2周回目で切断刃26を接触部28よりローター25の径外方向に突出させる。
刃出部27は、この例では、ローター25に対する切断刃26の刃先26aの向き即ち切断刃26のローター25に対する角度を変化させることにより、ローター25の外周面から切断刃26を上記の通り出没させる。
【0026】
特許文献1〜3に代表される従来の切断装置は、切断刃をウエブwの搬送方向と直角方向へ動作させるものであり、当該従来の切断装置では、仮に本願発明に係る切断刃26と同様の鋸刃状の切断刃を用いるものとすれば、ウエブwを上記刃先26aの頂部aと基部bとの間を通過させることで、当該ウエブwを切断することとなる。この場合、伸びやすい素材のウエブwでは、刃先26aのより多くの移動量即ちより大きな移動幅が必要とされる。このような移動幅は、通常の一般的なウエブwの切断において150〜200mmになることも珍しくない。このためウエブwの搬送を妨げないよう、このような大きな移動幅について、より高速な切断刃の移動が必要となる。
【0027】
一方、本願発明に係る当該装置では、切断刃26は搬送中のウエブwの流れよりも速い速度で周回するため、当該周回方向について、切断刃26の刃先26aの頂部aから基部bの間の幅を若干超えた程度の短い距離だけ、当該周回の径の半径方向について径外方向へ切断刃26を変位させれば、確実にウエブwの切断を行うことができる。例えば、
図2(C)へ示すローター25の半径r1を47.5mmとした場合、刃先26aの上記基部bを当該基部bの周回半径r2が48.5mmとなる位置に配置することによってウエブwを確実に切断することができる。即ち、周回径の半径方向について、(頂部a−基部b)+(48.5mm−47.5mm)=(頂部a−基部b)+1mmの僅かな切断刃26の作動幅にて、ウエブwの綺麗な切断が行えるのである。
この例では、刃出部27によって、切断刃26の刃先26aの上記向きを、約20度の範囲で変えることにより、切断刃26を上記の作動幅にてローター25の外周面から出没させるものである。
但し、ウエブwを確実に切断することができれば、上記の範囲外の角度に刃先26aの向きを変えるものとしてもよい。
【0028】
刃出部27について、より具体的に説明する。
刃出部27は、切断刃26が取り付けられたカムフォロア27aと、溝カム27bが設けられたカム板25cとにて構成される。
カム板25cは、ローター25の回転軸と同心に設けられた円盤である。カム板25cは、ベアリングなどの軸受け(図示しない。)を介しローター25の回転軸へ取り付けられ、ローター25に対し相対的に回転することができる。このカム板25cにもプーリーが設けられている。上記モーター22には、ローター25に動力を伝達する上記プーリーと共にカム板25cに動力を伝達する副プーリーが設けられている。当該副プーリーとカム板25cの前記プーリーとの間に副ベルトが掛けられて、モーター22からカム板25cへ動力が伝達される。
カムフォロア27aの基端は、旋回の支点となる軸(以下、旋回支点軸27c)にて、ローター25に対し旋回可能に軸止されている。当該旋回支点軸27cを中心にカムフォロア25が回転することにより、切断刃26の刃先26aを向きを変え、ローター25から刃先26aを出没させることが可能となっている。カムフォロア27a及び溝カム27bは、周知の構造を採るものを採用すればよい。
【0029】
具体的には、上記カム板25cの溝カム27bは、環状の溝である。溝カム27bは、当該溝におけるローター25の中心からの距離を位置によって異なるものとする。この溝カム27bに案内されて、カムフォロア25aは、ローター25に対する切断刃26の刃先の向きを上記の範囲にて変化させることができる。溝カム27bを円滑に倣うことができるように、カムフォロア27aは、溝カム27bと直接当接する部分に、回動自在なフリーローラー27dを備えている。
この例では、切断刃26の1回転即ちローター25の1回転に対し、溝カム27bは半回転するように設けられている。具体的には、モーター22の上記プーリーと副プーリーとの間、或いは、ローター25の上記プーリーとカム板25cとの間において、プーリー比が1/2となるように各プーリーの径を設定すればよい。
当該プーリー比の設定により、溝カム27bは、溝カム27bの1回転により、ローター25の2回転分即ち切断刃27の2周回分の軌跡を描くことができる。
【0030】
上記例における、ローター25の回転と当該回転に伴うカムフォロア27aの推移を
図3に示す。
図3(B)へ示す通り
図3(A)の周回開始前の状態から切断刃26が72度周回したとき溝カム27bは
図3(A)の状態から36度回転している。更に
図3(C)へ示す通り
図3(A)の状態から切断刃26が169度周回したとき溝カム27bは
図3(A)の状態から79.5度回転している。また
図3(D)へ示す通り
図3(A)の状態から切断刃26が294度周回したとき溝カム27bは
図3(A)の状態から147度回転している。更にまた
図3(E)へ示す通り
図3(A)の状態から切断刃26が360度周回(1周回)したとき溝カム27bは
図3(A)の状態から180度回転(半回転)している。また更に
図3(F)へ示す通り
図3(A)の状態から切断刃26が411度周回したとき溝カム27bは
図3(A)の状態から206.5度回転している。更に
図3(G)へ示す通り
図3(A)の状態から切断刃26が484度回転したとき溝カム27bは
図3(A)の状態から242度回転している。このような推移にて、
図3(G)へ示す通り、切断刃26の周回2周目に溝カム27bは切断刃26の刃先26aをローター25の半径方向についてローター25の径外方向へ最大に刃先を突出させ、ウエブwの切断を行う。
尚、
図3の各図において、白抜きの矢印はロールの自転の方向を示しており、黒太矢印は他のロールの回転を受けて回転するロールの回転方向を示している。
上記の溝カム27bは例示であり、刃出部27を溝カム以外の他のカムにて構成することも可能である。
切断刃26は、ローター25による上記周回動作と、刃出部27による刃先26aの周回径の外方向への突出動作という二段の動作によって、ウエブwの切断を行うものであるため、特許文献4のロータリーカッターのように周回動作のみでウエブの切断を行うものに比べて、より確実にウエブw切断が行える。また、この装置は、切断刃26を空中に突出させてウエブwの切断を行うものであり、切断刃26を受ける受刃やバックアップロールを用いずウエブwの切断を行うことができる。
【0031】
(接触部28)
接触部28は、ウエブwと接触することにより、当該ウエブwの送り経路の方向即ちウエブw搬送の方向を変えるものである。
具体的には、接触部28は、ローター25の外周面に設けられてローター25の外周の一部をなすものであり、ローター25外周面に架けられたウエブwと直接接触する。この例では、上述の通りローター25の外周の弧に沿ってウエブwの搬送の方向が漸次変えられて行く。
接触部28は、接触するウエブwに掛かる張力を抑え、ローター25の自転にて円滑なウエブの搬送が邪魔されるのを防ぐ。この例では、接触部28は、回動自在にローター25の外周面に設けられたローラーである(以下必要に応じて接触ローラー28と呼ぶ)。接触ローラー28は、ローター25よりも小径のローラーである。接触ローラー28は、ローター25の周方向に沿って複数配列されて、円陣をなしている。接触ローラー28は、この例では、フリーローラーであり、自転するものではない。但し、全部又は一部の接触ローラー28が自転するのであってもよい。
接触部は、ウエブwに掛る張力を抑えるものであれば、接触ローラー28の他、摩擦抵抗の少ない滑らかな回転しない部材として構成してもよい。
【0032】
(エア吹出部29)
エア吹出部29は、エアポンプ(図示しない。)に接続されて、ローター25側から空気をローター25下流側のウエブwへ吹き付ける噴射部である。エア吹出部29は、空気の当該吹き付けにより、
図3(G)へ示す切断されたウエブwの上流側の端部を新軸11へ巻き付けさせる。エア吹出部29の空気の吹き出しは、ウエブwの切断開始のタイミングで行われる。
切断位置より下流側のウエブwは、エア吹出部29の空気の吹き出しにより、切断刃26と接触することもなく巻取位置に配置された上記新軸11へ巻き付けられる。
【0033】
(巻付ロール21)
巻付ロール21は、ロータリーカッター20よりもウエブwの搬送経路の上流側において、新軸21との間にウエブwを挟み、ウエブwを新軸11へ巻き付ける。
巻付ロール21は、少なくとも外周面がゴムやウレタン、その他プラスチックなどの弾力性を有する部材にて形成されている。この例では、巻付ロール21はゴムロールである。巻付ロール21は、自転しないフリーローラーである。但し、巻付ロール21は自転するものとしてもよい。
【0034】
(アーム23)
図1へ示す通り、アーム23には、上記ロータリーカッター20と巻付ロール21とモーター22とが設けられている。この例では、アーム23の先端部に上記ロータリーカッター20が設けられている。また、アーム23において、上記ロータリーカッター20よりも基部側に上記巻付ロール21が設けられ、更に当該巻付ロール21よりも基部側に上記モーター22が設けられている。
アーム23の基側は上記基体に軸止されており、アーム23はアーム駆動部24により当該基部を中心に回動することが可能である。
アーム23は、ロータリーカッター20と巻付ロール21とモーター22を支持すると共に、アーム23の回動により、新軸11に対するロータリーカッター20と巻付ロール21の位置を変えることができる。具体的には、アーム23は、巻軸のウエブwの巻取り中、ロータリーカッター20と巻付ロール21とを当該巻軸から離れてウエブwと接触しない退避位置に配置する。図示は省略するが、前記退避位置は、
図1に示す例において、巻軸及びターレット10から上方に離れた位置である。そして、現在ウエブw巻取り中の巻軸(旧軸12)が満巻軸になり前述の通りターレット10が旧軸12と新軸11とを入れ替えると、アーム23は、回転により降下して
図1へ示すウエブw切断の待機位置へ移行する。アーム23の当該回転により、新軸11へ巻付ロール21を近接させて巻付ロール21と新軸11との間にウエブwを挟むと共に、ロータリーカッター20を、ウエブwの、新軸11とウエブwが架けられたガイドロール13との間の区間へ押し当てて、ローター25にウエブwを架けることができる。
【0035】
(アーム駆動部24)
アーム駆動部24は、この例では、シリンダと当該シリンダから伸縮するピストンとを備えるアクチュエータである。当該シリンダの基部は上記基体に軸止され、当該ピストンの先端にアーム23の基端側がアーム23の基部と一体に固定されている。当該シリンダは、油圧その他の液体や空気その他の気体といった流体の流体圧にて当該ピストンを伸縮させる。この例では、前記シリンダは空気圧で前記ピストンを伸縮作動させるエアシリンダである。
但し、アーム駆動部24は、アーム23を新軸11に対して相対的に移動させることができればよく、リンクやカムその他の、上記のアクチュエータ以外の周知の構成を採るものとして実施できる。
【0036】
(案内部3)
案内部3は、巻取位置に配置された新軸11よりも上流側において、ウエブwの供給源から新軸11までウエブwを案内するものであり、ガイドアーム31と、ガイドアーム駆動部32と、第1案内ロール33と、第2案内ロール34と、タッチロール35とを備える。
カイドアーム31の先端に上記タッチロール35が軸止され、ガイドアーム31においてタッチロール35の上流側に第2案内ロール34が軸止され、ガイドアーム31において第2案内ロール34の上流側に第1案内ロール33が軸止されている。
ウエブwは、上流のウエブw供給先から第1案内ロール33へ架けられ、次いで第2案内ロール34へ架けられ、そしてタッチロール35に架けられる。タッチロール35は、巻取位置の新軸11と当接し、当該新軸11に巻取られるウエブwを新軸11へ押さえ付ける。
この例では、第1案内ロール33、第2案内ロール34及びタッチロール35は、何れもフリーローラーであり自転しない。但し、第1案内ロール33、第2案内ロール34及びタッチロール35の少なくと1つを自転するものとして実施することもできる。
また、案内部3は、第3案内ロールなど更に多くの案内ロールを備えるものとしても実施できる。また、上流側から新軸11へウエブwの搬送を円滑に行うことができれば、第2案内ロール34を設けずに実施することもでき、或いはタッチロール35のみ備えるものとしても実施できる。
【0037】
ガイドアーム31の基端部は、上記基体へ軸止されており、当該基端部を中心にガイドアーム31の先端側は回動自在とされている。
ガイドアーム駆動部32は、ガイドアーム31を回転させるアクチュエータである。この例では、ガイドアーム駆動部32は、ピストンと当該ピストンへ伸縮自在に設けられたシリンダとを備える。当該ピストンの基端部が上記基体に軸止されている。当該ピストンの先端側が上記ガイドアーム31に軸止されており、当該ピストンの伸縮にてガイドアーム31は上記回動を行うことができる。
但し、ガイドアーム21の上記回転が可能であれば、リンクやカムその他の、上記のアクチュエータ以外の周知の構成を採るものとして実施できる。
【0038】
(巻取検出センサ)
上記の巻取検出センサは、図示を省略するが、巻軸がウエブwの巻取り済みの満巻軸となることを検出するセンサである。巻取検出センサには、光センサや感圧センサを採用することができる。
この例では、センサは光センサを採用する。
光センサは、赤外線などの光を発する投光部と当該投光部が発した光を受光する受光部とを備え、投光部と受光部とは満巻軸となったウエブwのロールの表面位置に光を通過させるものであり、投光部から常時発されている光が満巻軸となったウエブwのロールによって遮られたことを受光部が感知することにより巻軸が満巻軸となったことを検出する。この他、光センサに代えて上記の感圧センサを用いるものとしても実施できる。感圧センサは、接触による力を感知する周知の物理センサである。感圧センサは、巻軸が満巻軸となるとウエブwのロールの表面と接触するフリーのローラーの表面に取り付けておく。これにて感圧センサは、巻軸が満巻軸となるとウエブwのロールの表面と接触し、巻軸が満巻軸となったことを検出する。
また、巻取検出センサには、巻軸11,12の回転回数を検出することができるロータリーエンコーダーを採用してもよい。巻取検出センサは、巻軸が満巻軸となったことを検出できるものであれば、上記の光センサや感圧センサ、ロータリーエンコーダー以外の周知のセンサを採用して実施してもよい。
【0039】
(接触検出センサ)
新軸11が旧軸12と入れ替わって上記巻取位置へ配置されると、アーム駆動部24は、アーム23を上記退避位置から
図1へ示すように切断の待機位置へ降下させ、降下中に、カッター部2のロータリーカッター20がウエブwへ接触し始める。上記センサは、当該接触開始を検出する。
図示は省略するが、具体的には、上記センサには、感圧センサや光センサといった位置を検出することができる周知のセンサを採用する。
この例では、センサには感圧センサを採用している。
上記の感圧センサは、接触による力を感知する周知の物理センサである。感圧センサは、ロータリーカッター20に設けられてウエブwとの接触を感知する。
【0040】
上記センサには、感圧センサに代えて上記の光センサを採用することができる。光センサは、赤外線などの光を発する投光部と当該投光部が発した光を受光する受光部とを備え、投光部と受光部とは上記接触開始位置に固定され、アーム23の降下によって投光部から常時発されている光がロータリーカッター20又はアーム23よって遮られたことを受光部が感知することにより上記接触開始を検出する。この他、上記の光センサは、ロータリーカッター20又はアーム23に投光部と受光部の一方が設けられ、上記接触開始位置に投光部と受光部の他の一方が固定され、アーム23の降下によって受光部が投光部の光を感知することにより上記接触開始を検出するものとしてもよい。
上記センサには、上記接触開始を検出することができるものであれば、上記の感圧センサや光センサ以外のセンサを採用することができる。
【0041】
(制御部)
上記制御部は、演算装置、制御装置、記憶装置及び入出力装置と、制御プログラムとの協動にて構築される。
上記制御部は、ターレット10の作動、アーム駆動部24の作動、ガイドアーム駆動部32の作動、ロータリーカッター20の回転、及びエア吹付部29の作動を、制御する作動制御部を備える。
更に、上記制御部は、ウエブwの張力制御を行う張力制御部を備える。張力制御部は、ウエブwの巻取中ウエブw掛かる張力を一定とするように巻軸11,12の速度回転を制御する。
【0042】
ウエブ切断の流れについて簡単に説明する。
1)巻軸の入替え
巻軸12の回転によるウエブw巻取り中、上記巻取検出センサにより巻軸12が満巻軸となったことを検出すると、作動制御部はターレット10を作動させて当該旧軸12と新軸11と入れ替える。この入れ替えの事前に、作動制御部は、ガイドアーム駆動部32を作動させてガイドアーム31を降下させて、タッチロール35をターレット10の回転の邪魔にならない位置に退避させる。
2)ロータリーカッター20の切断待機位置への移動
前記入れ替えが完了すると、作動制御部は、ガイドアーム駆動部32を作動させてガイドアーム31を元の位置に復帰させ、また作動制御部は、アーム駆動部24の作動によりアーム23の先端側を降下させ、それまで退避位置にあったロータリーカッター20をウエブwに接触させる。
【0043】
ロータリーカッター20のウエブwへの上記該接触開始から切断待機位置にアーム23が配置させるまで、ウエブwに掛かる張力が変動する。上記のセンサがロータリーカッター20のウエブwへの上記該接触開始を検出すると、張力制御部はロータリーカッター20における切断の上記待機位置に達するまでの時間と距離を計算し、ウエブwの搬送速度と満巻軸即ち旧軸12に巻き取られたウエブwのロール径とから、旧軸12の回転速度をコントロールして、張力の上記変動を抑制する。
【0044】
3)ロータリーカッター20の回転開始
作動制御部は、インバータのコントロールにてモーター22を制御し、回転を停止しているロータリーカッター20について、アーム23の上記降下中に回転を開始させ、2回転目においてウエブwの搬送速度の150〜250%好ましくは150〜200%の速度に達しているよう切断刃26の回転周速度を引き上げさせる(
図3(A)〜(E))。作動制御部は、ロータリーカッター20をウエブ切断の待機位置まで降下させてから回転を開始させるものとしてもよい。一方、時間短縮の観点から、ロータリーカッター20とウエブwとが未接触の間に切断刃26の周回を開始させるのが好ましい。
また、満巻軸即ち旧軸12が停止していても接触ロール28にて旧軸12と新軸11との間で余分な張力が掛かるのを抑制することができる。
【0045】
4)ウエブwの切断
ロータリーカッター20の上記2回転目に、刃出部27はローター25の外周から切断刃26を突出させてウエブwの切断を行う(
図3(F))。
作動制御部は、切断刃26の位置を周回開始位置(
図3(A))へ戻した後ローター25の回転を停止させる。ローター25の当該停止直前から、作動制御部は、エア吹付部29に上流側のウエブwに対して空気を吹き付けさせてタッチロール35へ当該上流側のウエブwを巻き付けさせる(
図3(G))。
5)ロータリーカッター20の退避
前記巻き付け後、作動制御部は、アーム駆動部24を作動させてアーム23を上昇させ退避位置にロータリーカッター20を戻す。
【0046】
(刃出部27の変更例)
図4(A)(B)へ、上記刃出部27の他の実施の形態を示す。
この
図4(A)(B)へ示す実施の形態において、
図2へ示す実施の形態と異なり、 切断刃26自身はローター25から出没しないようにローター25に固定されており、刃出部27がローター25に円陣に配された複数の接触ローラー28を出没させることにより、切断刃26の刃先26aを、ローター25の外周即ち接触ローラー28の円陣から出没させる。
【0047】
具体的には、
図4(A)へ示すように、ローター25は、ローター25の半径方向に伸びる、放射状に配された複数の溝25aを備える。各接触ローラー28の回転軸は、回転自在に軸受部28aに軸止されている。軸受部28aの夫々は、前記各溝25aに収容され前記溝25aに沿ってスライドできる。軸受部28aを溝25aのローター25の外周側端部に寄せることにより、接触ローラー28をローター25の外周面から切断刃26の刃先26aよりも突出させることができる。そして軸受部28aを溝25aのローター25の中心軸側端部に寄せることにより、接触ローラー28をローター25の外周面から没せしめて相対的に接触ローラー28の円陣よりも外側に刃先26aを突出せることができる。
軸受部28aは、バネ(図示しない。)にて、ローター25の中心軸側の端部に向け付勢されている。
【0048】
ローター25には、刃出部27として、ローター25と別体に形成された円盤状のカム板27eが、ローター25と同心となるように回動自在に軸止されている。カム板27eの外周は、複数の大径部27fと小径部27gとが交互に設けられている。大径部27fの各位置は円盤状のカム板27eの中心からの距離を、溝25aのローター25の外周側の端部に寄せた軸受部28aと略同じ位置とし、小径部27gの各位置は円盤状のカム板27eの中心からの距離を、ローター25の外周側の端部に寄せた軸受部28aと略同じ位置とする。
図4(A)へ示す通り、軸受部28aを上記大径部27fと当接させることにより、上記バネの付勢に抗して溝25aのローター25の外周側端部に軸受部28aを寄せて接触ローラー28を上記の通りローター25から突出させることができる。
図4(A)の状態からカム板27eをローター25に対し回転させて、
図4(B)へ示す通り、軸受部28aを上記小径部25gと当接させることにより、上記バネの付勢に従い溝25aのローター25の中心軸側端部に軸受部28aを寄せ接触ローラー28を上記の通りローター25に没せしめることができる。カム板27eの外周において上記小径部25gと上記大径部27fとの間はローター25の半径方向に対して傾斜して伸び或いは曲線的に伸び、軸受部28aの小径部25gから大径部27fへの移行を円滑に行うことができる。
【0049】
図4(A)(B)へ示す実施の形態において、接触部28即ち接触ローラー28は、全てローター25内へ没するものとした。一方、ウエブw切断の際、切断刃26は、相対的に、回転方向の後ろ側に位置する接触部28即ち後接触部28又は前記回転方向の前側に位置する接触部28即ち前接触部28よりも、ローター25の半径方向に突出するものであればよい。即ち、接触部28のうち少なくとも切断刃26の回転方向の後ろ側に位置する後接触部28や前記回転方向の前側に位置する前接触部28よりも、ローター25の半径方向に没するものであればよく、ローター25外周各位置の接触部28全てが没する必要はない。
図4(A)(B)の例に即して説明すると、接触ローラー28のうち、切断刃の回転方向の後ろ側に位置する後接触ローラー28yと、前記回転方向の前側に位置する前接触ローラー28xの、少なくとも何れか一方がローター25の半径方向に移動できるものであればよいのである。
【0050】
(引出装置への応用例)
図4(C)へ、ウエブwを連続的に引出す引出装置に、本願発明を実施した例を示す。
この
図4(C)の例では、
図1へ示す例と逆に、ターレット10は、満巻軸を新軸11としてウエブwの送出位置に配置し、それまで当該送出位置にありウエブwが無くなった空巻軸即ち旧軸12について、次のウエブwの引出しに備える満巻軸との交換位置に移行させる。
図4(C)に示す例では、上記の送出位置はターレット10の右端にあり、上記の交換位置はターレット10の左側にある。
図4(C)では、送り装置(図示しない。)は、上記巻軸11,12とは別に形成され、ウエブの上流側に配置されて、巻軸11,12からウエブwを引出す。即ち、
図4(C)の例では、ウエブwの流れは、
図1に示す例とは逆になる。前述のガイドロール13は、
図4(C)の例では、巻軸からウエブwを引出す際のガイドとして働く。
【0051】
この
図4(C)へ示す例においても、ウエブwの切断の流れは、
図1〜3へ示す実施の形態と同様である。但し、
図4(C)の例では、
図2に示すエア吹出部29は備えられず、両面テープ4で下流側の旧ウエブwと上流側の新ウエブwとを接着する。
詳しくは、
図4(C)へ示す通り、ウエブwが無くなった旧軸12が交換位置へ退き、旧軸12と入れ替わってウエブの引出位置に新軸11が配置されたとき、ウエブwの搬送速度と同速度で回転する新軸11のロール表面の上記両面テープ4が、ロータリーカッター20よりも上流の位置mから巻付ロール21のある位置nまで移動し、旧軸12から供給されてくるウエブwと新軸11のウエブwとが接着される。当該接着後、ロータリーカッター20が回転し、旧軸12から出た旧ウエブwが新ウエブwを接着された上流側のウエブwから切り離される。
図4(C)について特に言及しなかった事項については、
図1〜
図3や、
図4(A)(B)へ示す実施の形態と同様である。
また両面テープの供給は、上記の手作業の他、周知の例えば特許文献4と同様の自動供給手段(特許文献4の
図8及び
図11のテープ保持ロール34やテープ供給手段35)を採用して実施することができる。
【0052】
(その他)
上記の実施の形態において、ウエブはプラスチック製のシートからなるものとした。この他、紙や布などプラスチック以外のウエブの切断装置に本願発明を実施することができる。
また、本願発明に係る切断装置を、ウエブの供給や巻取り以外のウエブの搬送ラインにてウエブを切断するのに用いることもできる。