特許第5932708号(P5932708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932708
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】車両用ドアのアウトハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/06 20140101AFI20160526BHJP
   E05B 85/16 20140101ALI20160526BHJP
【FI】
   E05B79/06 C
   E05B85/16 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-89237(P2013-89237)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-211066(P2014-211066A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄夫
(72)【発明者】
【氏名】江藤 康之
【審査官】 川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−189976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 79/06
E05B 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品ユニット(40)を収容して車両用ドア(D)の外側に配置される操作ハンドル(12)の一端部に設けられる支持腕部(26b)が、前記車両用ドア(D)に固定されるベース部材(20)に回動可能に支承され、前記電子部品ユニット(40)に接続されて前記操作ハンドル(12)から前記車両用ドア(D)内に配索されるハーネス(50)の一部を収容する溝(54)が前記支持腕部(26b)に設けられ、前記支持腕部(26b)との間で前記ハーネス(50)を保持するガイド部(20d)が前記溝(54)の一部を覆うように配置される車両用ドアのアウトハンドル装置において、
前記溝(54)が操作ハンドル(12)の他端部側および車両内方側に向かって開放するように設けられ、前記ガイド部(20d)が前記溝(54)内に入り込むようにして前記ベース部材(20)に一体に形成されることを特徴とする車両用ドアのアウトハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品ユニットを収容して車両用ドアの外側に配置される操作ハンドルの一端部に設けられる支持腕部が、前記車両用ドアに固定されるベース部材に回動可能に支承され、前記電子部品ユニットに接続されて前記操作ハンドルから前記車両用ドア内に配索されるハーネスの一部を収容する溝が前記支持腕部に設けられ、前記支持腕部との間で前記ハーネスを保持するガイド部が前記溝の一部を覆うように配置される車両用ドアのアウトハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用ドアのアウトハンドル装置は、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−316164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、操作ハンドル支持腕部に設けられる溝に一部が収容されるハーネスを支持腕部との間に保持するようにして溝の一部を覆うガイド部材が、前記操作ハンドルおよび前記ベース部材とは別部材として形成されて前記支持腕部に取付けられる構成となっており、部品点数が増加してしまう。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、部品点数の低減を可能としつつハーネスを保持し得るようにした車両用ドアのアウトハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、電子部品ユニットを収容して車両用ドアの外側に配置される操作ハンドルの一端部に設けられる支持腕部が、前記車両用ドアに固定されるベース部材に回動可能に支承され、前記電子部品ユニットに接続されて前記操作ハンドルから前記車両用ドア内に配索されるハーネスの一部を収容する溝が前記支持腕部に設けられ、前記支持腕部との間で前記ハーネスを保持するガイド部が前記溝の一部を覆うように配置される車両用ドアのアウトハンドル装置において、前記溝が操作ハンドルの他端部側および車両内方側に向かって開放するように設けられ、前記ガイド部が前記溝内に入り込むようにして前記ベース部材に一体に形成されることを特徴とする。
【0007】
なお実施の形態の前部ベース部材20が本発明のベース部材に対応する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、操作ハンドルの支持腕部との間にハーネスを保持するガイド部が、前記支持腕部を回動可能に支承するようにして車両用ドアに固定されるベース部材に一体に形成されるので、ハーネスを支持腕部との間に保持するための専用部材を不要として部品点数を低減することができる。しかも支持腕部をベース部材で回動可能に支承するようにして該ベース部材に組付けるだけでガイド部が溝内に入り込むようにしてハーネスを支持腕部との間で保持するので、ハーネスの保持が容易であり、ハーネスを挿通、保持するための貫通孔を支持腕部に設けるものと比べるとハーネスの引き出しを容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両用ドアの一部側面図である。
図2図1の2−2線断面図である。
図3】アウトハンドル装置の一部を分解して示す斜視図である。
図4図2の4−4線断面図である。
図5】操作ハンドルの支持腕部からのハーネスの引き出し部を車両用ドアの内側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に基づいて説明する。
【0011】
先ず図1および図2において、たとえばサイドドアである車両用ドアDのアウターパネル11には、車両の前後方向(図1の左右方向)に延びる操作ハンドル12が車両用ドアDの外側で操作することを可能として回動可能に取付けられる。また前記アウターパネル11には、前記操作ハンドル12を把持する車両ユーザの手を挿入することを可能とするための窪み13を形成する彎曲部11aが車幅方向内方側に膨らむようにして設けられる。
【0012】
車両の前後方向で前記操作ハンドル12の後方には、非操作状態にある操作ハンドル12に円滑に連なるようにしてアウターパネル11から外方に隆起する後部ベース部材14がアウターパネル11の外面との間にシール部材15を介在させて配置されており、硬質の合成樹脂によって形成される前記後部ベース部材14にはナット16が圧入、固定される。一方、前記アウターパネル11の内面には第1取付部材17が当接され、この第1取付部材17および前記アウターパネル11に挿通されるボルト18を前記ナット16に螺合して締め付けることで後部ベース部材14および第1取付部材17が前記アウターパネル11に固定される。この後部ベース部材14には、前記窪み13の後方で前記アウターパネル11を貫通して該アウターパネル11の内方に延びるガイド筒部14aが一体に設けられる。
【0013】
図3および図4を併せて参照して、車両の前後方向に沿う前記操作ハンドル12の前部に側面視で重なる位置には、アウターパネル11の外面との間にシール部材21を介在させる平板状の取付け部20aと、前記シール部材21および前記アウターパネル11を貫通してアウターパネル11内に突入するようにして前記取付け部20aに一体に連なる円筒状のボス部20bとを有する合成樹脂製の前部ベース部材20が配置される。前記ボス部20bには、ナット22が圧入、固定されており、前記アウターパネル11の内面に当接する一対の脚部23a,23aを有して略U字状に形成される第2取付部材23が前記ボス部20bを跨ぐように配置され、この第2取付部材23に挿通されるボルト24を前記ナット22にねじ込んで締め付けることで前部ベース部材20および第2取付部材23が前記アウターパネル11に固定される。また前部ベース部材20の前部には、略L字状に屈曲した支持部20cが前記アウターパネル11内に突入するようにして一体に設けられる。
【0014】
前記操作ハンドル12は、合成樹脂により形成されて車両の前後方向に延びるとともに前記アウターパネル11の外面側に配置されるハンドル本体26と、該ハンドル本体26を車両用ドアDとは反対側から覆う合成樹脂製のハンドルカバー27と、該ハンドルカバー27の外表面の一部を覆うようにして貼着される装飾部材28とを備える。
【0015】
前記ハンドルカバー27の後部には図2で示すようにハンドル本体26側に突出するボス部27aが一体に設けられ、前記ハンドルカバー27の前部には図4で示すようにハンドル本体26側に突出するボス部27bが一体に設けられており、前記ハンドル本体26に挿通されるねじ部材29,30が前記ボス部27a,27bにねじ込まれることで、前記ハンドル本体26および前記ハンドルカバー27が、前記ハンドル本体26を前記車両用ドアDとは反対側から前記ハンドルカバー27で覆うようにして締結される。
【0016】
また前記装飾部材28は、前記ハンドルカバー27の表面の一部を覆うように形成されてメッキ処理が施されたものであり、該装飾部材28に設けられた突起28a,28bを嵌入させる嵌合孔31,32が前記ハンドルカバー27に設けられる。またハンドルカバー27の表面には、前記装飾部材28を嵌合する凹部33が形成されており、前記突起28a,28bを前記嵌合孔31,32に嵌合した前記装飾部材28は、前記ハンドルカバー27との間に介在させる両面テープ34によって、前記凹部33に嵌合されるようにしつつ前記ハンドルカバー27の表面に貼着される。
【0017】
また図2で示すように、前記後部ベース部材14の表面の一部もメッキ処理が施された他の装飾部材35で覆われるものであり、該装飾部材35は、前記後部ベース部材14に係合、装着される。
【0018】
前記ハンドル本体26の後端部には、前記後部ベース部材14のガイド筒部14a内に突入する操作腕部26aが一体に設けられ、前記ハンドル本体26の前端部には、前記前部ベース部材20の支持部20c内に突入するようにして略L字状に形成される支持腕部26bが一体に設けられる。
【0019】
前記支持腕部26bの先端部には、前記前部ベース部材20の支持部20cに設けられる支軸37に下方から嵌合する支持凹部38が設けられており、その支持凹部38を支軸37に嵌合することで前記支持腕部26bが前記前部ベース部材20の支持部20cに回動可能に支承される。
【0020】
また前記操作腕部26aは図示しないラッチ機構に連結されるものであり、車両用ドアDがアンロック状態にあるときに、前記操作腕部26aを車両用ドアDの外方側に引き出す方向に前記操作ハンドル12を操作することによって、前記ラッチ機構は車両用ドアDの閉状態を解除することになり、操作ハンドル12の操作により車両用ドアDを開放することが可能となる。しかも前記操作ハンドル12は、図示しない付勢手段によって前記操作腕部26aが車両用ドアDの内方側に引き込まれる側に付勢されており、前記操作腕部26aを囲繞する弾性部材39が前記後部ベース部材14への当接時の衝撃を緩和するようにして前記ハンドル本体26に装着される。
【0021】
前記ハンドル本体26には、前記車両用ドアDとは反対側に開放した略U字状の横断面形状を有する収容部26cが形成されており、この収容部26cには、回路基板41に電子部品42等が配設されて成る電子部品ユニット40が収容される。
【0022】
一方、前記ハンドル本体26の前部には、車両ユーザーが車両用ドアDをロックする意志を確認するためのロックスイッチ43が収容、固定され、このロックスイッチ43の一部を配置するための貫通孔45が前記ハンドルカバー27に設けられ、前記ロックスイッチ43が備えるスイッチボタン44を臨ませる開口部46が前記装飾部材28に設けられる。しかも前記ロックスイッチ43は、前記電子部品ユニット40の回路基板41に一対の導線47,47で接続される。
【0023】
前記電子部品ユニット40は前記収容部26cに収容され、この電子部品ユニット40を覆うポッティング剤48が前記収容部26cに充填される。
【0024】
前記電子部品ユニット40における前記回路基板41の前部からは複数の導線49,49…が導出されており、それらの導線49,49…はハーネス50として纏められる。しかも前記電子部品ユニット40の前方で前記ハンドル本体26には、支持壁部26dが設けられており、前記導線49,49…を個別に挿通、保持する複数の保持孔52,52…を有して弾性材料から成るグロメット51が前記支持壁部26dに装着される。
【0025】
図5を併せて参照して、前記ハンドル本体26の前端部には前記ハーネス50を外部に導出させる導出孔53が設けられており、前記ハンドル本体26の前端部に一体に連なる支持腕部26bには、その後方および内方、即ち操作ハンドル12の他端部側および車両内方側に向かって開放した溝54が前記導出孔53に連なるようにして設けられ、前記電子部品ユニット40に接続されて前記操作ハンドル12から前記車両用ドアD内に配索されるハーネス50の一部が前記溝54内に収容される。
【0026】
しかも前記支持腕部26bとの間で前記ハーネス50を保持するガイド部20dが前記溝54の一部を覆うように配置されるものであり、このガイド部20dは、前記前部ベース部材20に、前記溝54内に入り込むようにして一体に形成される。
【0027】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、電子部品ユニット40を収容する操作ハンドル12の前端部に設けられる支持腕部26bが、車両用ドアDのアウターパネル11に固定される前部ベース部材20の支持部20cに回動可能に支承され、電子部品ユニット40に接続されて前記操作ハンドル12から前記車両用ドアD内に配索されるハーネス50の一部を収容する溝54が、操作ハンドル12の他端部側および車両内方側に向かって開放するようにして前記支持腕部26bに設けられ、前記支持腕部26bとの間で前記ハーネス50を保持するようにして前記溝54の一部を覆うガイド部20dが、前記前部ベース部材20に一体に形成されるので、ハーネス50を支持腕部26bとの間に保持するための専用部材を不要として部品点数を低減することができる。しかも支持腕部26bを前部ベース部材20で回動可能に支承するようにして前部ベース部材20に組付けるだけでガイド部20dが溝54内に入り込んでハーネス50を支持腕部26bとの間で保持するので、ハーネス50の保持が容易であり、ハーネス50を挿通、保持するための貫通孔を支持腕部26bに設けるものと比べるとハーネス50の引き出しを容易とすることができる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0029】
12・・・操作ハンドル
20・・・ベース部材である前部ベース部材
20d・・・ガイド部
26b・・・支持腕部
40・・・電子部品ユニット
50・・・ハーネス
54・・・溝
D・・・車両用ドア
図1
図2
図3
図4
図5