特許第5932710号(P5932710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932710
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20160526BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   G06Q40/02 110
   G07D9/00 456E
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-101649(P2013-101649)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222415(P2014-222415A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】深津 菜美
(72)【発明者】
【氏名】大原 洋二
【審査官】 阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/093457(WO,A1)
【文献】 特開2006−023898(JP,A)
【文献】 特開2001−76213(JP,A)
【文献】 特開2012−3680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動取引装置と前記自動取引装置のジャーナルデータを一括的に管理するジャーナルサーバとに通信可能に接続され、前記自動取引装置を監視する自動取引装置の監視装置において、
前記ジャーナルサーバから前記自動取引装置のジャーナルデータを読取る読取部と、
前記読取ったジャーナルデータの取引日時に基づいて、状態確認をすべき前記自動取引装置を特定する特定部と、
前記特定した自動取引装置に対して前記状態確認を行う状態確認部と、備える
ことを特徴とする自動取引装置の監視装置。
【請求項2】
前記読取部は、各自動取引装置の最新のジャーナルデータを少なくとも読取り、
前記特定部は、最終の取引日時から現在までの経過時間が、所定の時間を越えた場合に、当該自動取引装置を前記状態確認をすべき自動取引装置と特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置の監視装置。
【請求項3】
前記自動取引装置に応じて、前記所定の時間を設定する時間設定部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の自動取引装置の監視装置。
【請求項4】
前記時間設定部は、前記自動取引装置の設置環境に応じて、前記所定の時間を設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の自動取引装置の監視装置。
【請求項5】
前記時間設定部は、前記自動取引装置の種類に応じて、前記所定の時間を設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の自動取引装置の監視装置。
【請求項6】
複数の自動取引装置と前記自動取引装置のジャーナルデータを一括的に管理するジャーナルサーバとに通信可能に接続され、前記自動取引装置を監視する監視装置における監視方法において、
前記ジャーナルサーバから前記自動取引装置のジャーナルデータを読取り、
前記読取ったジャーナルデータの取引日時に基づいて、状態確認をすべき前記自動取引装置を特定し、
前記特定した自動取引装置に対して前記状態確認を行う
ことを特徴とする監視方法。
【請求項7】
複数の自動取引装置と前記自動取引装置のジャーナルデータを一括的に管理するジャーナルサーバとに通信可能に接続され、前記自動取引装置を監視する監視装置のコンピュータより実行されるプログラムにおいて、
前記ジャーナルサーバから前記自動取引装置のジャーナルデータを読取るステップと、
前記読取ったジャーナルデータの取引日時に基づいて、状態確認をすべき自動取引装置を特定するステップと、
前記特定した自動取引装置に対して前記状態確認を行うステップとを含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
自動取引装置を監視する監視システムにおいて、
前記自動取引装置と通信可能に接続され前記自動取引装置のジャーナルデータを一括的に管理するジャーナルサーバと、
前記自動取引装置及び前記ジャーナルサーバと通信可能に接続され前記自動取引装置を監視する監視装置を備え、
前記ジャーナルサーバは、前記ジャーナルデータの取引日時に基づいて、状態確認をすべき自動取引装置を特定し、特定した自動取引装置に関する情報を前記監視装置に送信し、
前記監視装置は、前記特定された自動取引装置に対して前記状態確認を行う
ことを特徴とする監視システム。
【請求項9】
前記ジャーナルサーバは、各自動取引装置の最新のジャーナルデータに基づき、最終の取引日時から現在までの経過時間が所定の時間を越えた前記自動取引装置を特定する
ことを特徴とする請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
前記ジャーナルサーバは、前記特定した自動取引装置に関する情報として、特定した自動取引装置のリストを前記監視装置に送信する
ことを特徴とする請求項9に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等に設置される自動取引装置を一括的に監視する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入金や出金あるいは振込といった銀行等での通常の取引業務では、自動取引装置(ATM)での取扱が主流となり、金融機関だけでなくショッピングセンタや駅等にも、多数の自動取引装置が設置されている。これらの自動取引装置は、ネットワークを通じて、運営する各銀行ごとのホストコンピュータやデータベースに接続されて、これらとの通信により、決済され取引が行われる。
これら自動取引装置を監視するために監視センタが設けられている。監視センタでは、支店の行員や顧客からの電話連絡、あるいはネットワークを介して状態を検出することで、自動取引装置の異常や故障を判断している。
【0003】
このネットワークによる自動検出では、監視センタに設けられた監視装置と接続された自動取引装置間で状態検出の応答がなされ、異常が発生した場合には、監視システム画面上に表示等がされる。監視装置は、監視センタの保守員によってモニタされ、異常発生の表示がなされた場合には、内容に応じて、保守員の現場への派遣が指示される。ネットワークを使用した監視システムの1例を特許文献1で示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−256649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
監視装置は自動取引装置の異常をできるだけ早く検出して、保守員を派遣する等して、対策しなければならない。ネットワーク等を通じて自動取引装置の正常・異常を確認する方式は、一括して多数の自動取引装置を監視できるメリットがある反面、自動取引装置の1台1台と頻繁に通信をしなければならず、ネットワークに対して大きな負荷となってしまうという問題があった。
【0006】
本願発明は、上記課題に鑑み、ネットワークに過大な負荷をかけることなく、異常の発生した自動取引装置を早急に検出することができる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、複数の自動取引装置と前記自動取引装置のジャーナルデータを一括的に管理するジャーナルサーバとに通信可能に接続され、前記自動取引装置を監視する自動取引装置の監視装置において、前記ジャーナルサーバから前記自動取引装置のジャーナルデータを読取る読取部と、前記読取ったジャーナルデータの取引日時に基づいて、状態確認をすべき前記自動取引装置を特定する特定部と、前記特定した自動取引装置に対して前記状態確認を行う状態確認部と、備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ネットワークに過大な負荷をかけることなく、異常の発生した自動取引装置を早急に検出することができる監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自動取引装置及び自動取引装置とネットワークを介して接続される監視装置等からなる監視システム全体を示す図である。
図2】ジャーナルデータの具体例を示す図である。
図3】監視装置の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】監視装置の監視制御部により実行される機能を示すブロック図である。
図5】自動取引装置の条件に対応するポーリング時間テーブルの例を示す図である。
図6】検出処理のメインのフローチャートである。
図7】各自動取引装置に対応するポーリング時間を設定の処理のサブルーチンである。
図8】ポーリング時間を越えた自動取引装置を特定する処理を説明するサブルーチンである。
図9】自動取引装置の状態を確認する処理を説明するサブルーチンである。
図10】各自動取引装置のポーリング時間テーブルの具体例を示す図である。
図11】第2実施形態における、監視制御部により実行される機能を示すブロック図である。
図12】第2実施形態における、検出処理のメインのフローチャートである。
図13】第2実施形態における、ポーリング時間を越えた自動取引装置10を特定する処理を説明するサブルーチンである。
図14】第2実施形態における、特定した自動取引装置10の状態確認を行う処理を説明するサブルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1実施形態〕
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。図1は、自動取引装置及び自動取引装置とネットワークを介して接続される監視装置等からなる監視システム全体を示す図である。自動取引装置10は、ネットワーク8を介して、ホストコンピュータ2、ジャーナルサーバ4、監視装置6に接続される。
【0011】
自動取引装置10は、通称ATM(Automated Teller Machine)とも呼ばれ、顧客の操作により各取引を自動的に行う装置である。自動取引装置10は、店外(駅、ショッピングセンタ等)に設置される自動取引装置10や、店内(支店Aや支店Z等)に設置される自動取引装置10があるが、いずれもネットワーク8に接続される。
【0012】
また、自動取引装置10にも、色々な種類があり、基本的な入出金機能だけのタイプや、入出金機能に加えて、通帳繰り越し機能あるいは生体認証機能が付いた高機能タイプ等がある。自動取引装置10が複数台設置されるような支店では、基本的なタイプと高機能タイプが組み合わせて設置されることが多い。
【0013】
ホストコンピュータ2は、金融機関の事務センタに設置される勘定系のコンピュータである。ホストコンピュータ2は、顧客毎の口座番号や口座残高等を口座情報として管理し、自動取引装置10にて顧客から依頼を受けた取引の処理を行う機能を有している。また、ホストコンピュータ2は、自動取引装置10から送られてくる各顧客の口座番号と各顧客が所有するICカードの暗証番号とを対応させて顧客の認証を行う認証機能等も備えている。
【0014】
ジャーナルサーバ4は、各自動取引装置10のジャーナル(取引履歴)情報を収集して一元管理する。ジャーナルサーバ4は、金融機関等の管理センタに設置され、店舗に設置された自動取引装置10からジャーナルデータを収集し、収集したジャーナルデータを保持・管理する装置である。ジャーナルデータは、自動取引装置10で作成されたジャーナルの電子データであり、自動取引装置10での各種取引情報や精査処理の結果等を含む。
【0015】
ジャーナルサーバ4は、ネットワーク8に接続するためのインタフェースとしての通信制御部と、ジャーナルサーバ4を制御する制御部4a(不図示)を備える。制御部4aは、CPU、メモリ等のハードウェアを備え、メモリ等に格納されたプログラムに従い各種処理を実行・制御する。ジャーナルサーバ4には、自動取引装置10から収集されたジャーナルデータを格納するデータベース5が接続される。
【0016】
例えば、取引がICカードによる出金処理の場合には、顧客によりICカードの挿入及び暗証番号の入力と金額入力がされて、現金の受取が行われると、自動取引装置10は取引終了として、ジャーナルデータの編集を開始すると共に、ホストコンピュータ2に対して出金取引完了を意味する電文を送る。ホストコンピュータ2では口座番号に対応する顧客情報データベース内の預貯金残高情報を更新して、全ての処理を終了させる。自動取引装置10は、口座番号に関連づけて取引日時、金額情報をジャーナルデータとして記憶部に格納しておく。
【0017】
ジャーナルサーバ4は、自動取引装置10に対し、格納したジャーナルデータを定期的あるいはリアルタイムに送信するよう指示する。ジャーナルサーバ4は、自動取引装置10から支店名や号機等の情報が付帯されて送信されたジャーナルデータを、データベース5に格納する。なお、データベース5に格納された後、自動取引装置10内の電子ジャーナルデータは消去される。
【0018】
ジャーナルデータは、自動取引装置10における取引履歴に関する情報である。取引履歴とは、例えば、取引があった口座、取引日時、取引の種別、取引内容などである。図2は、ジャーナルデータの具体例を示す図である。この例では、ジャーナル情報として、支店名、枝番、機械、号機、取引日時、ジャーナル通番、データ区分、状態コード、エラーコード、取引種別、取引金額などが記憶される。
【0019】
ここで、機械とは、自動取引装置10の種別を表す番号である。自動取引装置10の種別とは、基本タイプ、通帳繰り越し機能付タイプ、生体認証機能付タイプ等を示す。
【0020】
監視装置6は、監視センタに設けられ、ネットワーク8を介して自動取引装置10を一括的監視するものである。監視装置6は、ネットワーク8を介して、ジャーナルデータを一括的に管理するジャーナルサーバ4とも通信可能に接続される。
【0021】
監視装置6は、各自動取引装置10に対して稼働状況情報を送信するよう要求し、自動取引装置10からの応答がない場合や、異常が発生した情報を入手した場合には、監視装置6の画面上に所定の表示を行う。監視装置6は、各自動取引装置10に対する稼働状況情報の要求(以下、ポーリングとも称す)するタイミングを、ジャーナルサーバ4からのジャーナルデータに基づいて決定する。監視装置6は、監視センタの監視員によってモニタされ、自動取引装置10で異常が発生した表示がなされた場合には、保守員の現場への派遣等の対応が行われる。
【0022】
図3は、監視装置6の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。監視装置6は、監視制御部20、メモリ22、表示部24、通信部26を有する。監視制御部20は、CPUから構成され、メモリ22、表示部24、通信部26を含む監視装置6全体を統括的に制御する制御部である。監視制御部20は、メモリ22に記憶された制御プログラムやデータを読込んで、各制御処理を実行する。
【0023】
メモリ22は、制御プログラムやデータを記憶する。また、メモリ22には、監視対象となる自動取引装置10の各設置環境や機械の種類等の各種条件が、自動取引装置10の条件データとして記憶される。表示部24は、各自動取引装置10におけるジャーナルデータや、各自動取引装置10から送信される稼働状況を表示する。通信部26は、ネットワーク8に接続されたジャーナルサーバ4や自動取引装置10と、データの授受を行う。
【0024】
図4は、監視装置6の監視制御部20により実行される機能を示すブロック図である。以下では、CPUによりプログラムに従って実行される処理機能を、監視制御部20に含まれる機能部として示す。監視制御部20は、時間設定部30、読取部32、特定部34、状態確認部36及び表示制御部38を有する。
【0025】
時間設定部30は、自動取引装置10の条件に応じて、各自動取引装置10に所定の時間(閾値)を設定するものである。監視装置6は、所定の時間が経過して特定された自動取引装置10にポーリングをかけるので、所定の時間をポーリング時間とも呼ぶ。
【0026】
時間設定部30は、監視装置6の監視対象となっている全ての自動取引装置10に対して、自動取引装置10の設置環境や自動取引装置10の種類に応じて、それぞれポーリング時間を設定する。
【0027】
図5は、自動取引装置10の条件に対応して設定されるポーリング時間テーブルの例を示す図である。ポーリング時間は、自動取引装置10の設置環境や自動取引装置10の種類等の各種条件に応じて設定され、各種条件とその条件に対応するポーリング時間の関係が、ポーリング時間テーブルとしてメモリ22に記憶される。
【0028】
自動取引装置10は、その条件(設置環境や種類等)に応じて、ランク分けされ、優先順位が付される。優先順位は、故障した場合に、早く故障を検出すべき順番である。そして、ランクが高い(優先順位の高い)程、最新取引日時から自動取引装置10へ状態確認(ポーリング)を実行するまでの時間(ポーリング時間)が短く設定される。つまり、ランクが高い(優先順位の高い)自動取引装置10ほど、状態確認を頻繁に行う装置になる。
【0029】
図5の例では、ランクを5段階に分けている。ポーリング時間は、A<B<C<D<Eになる。No1は、同じ場所に1台しか設置されていない自動取引装置10で、最も優先順位が高く設定される。代替できる自動取引装置10がないため、早期に故障を検出する必要があるからである。次にNo2は、店外に設置された自動取引装置10である。行員が近くにいないため、この場合にも早期に故障を検出する必要性が高いからである。
【0030】
No3は、取引量が所定量αより多い自動取引装置10である。周囲に他の自動取引装置10があっても、取引量が多い自動取引装置10は、顧客の利用度が高い装置なので、優先順位が高く設定される。また、No4は、機能数が所定数βより多い自動取引装置10である。多機能の自動取引装置10は、故障が長引くと特殊な機能を利用しようとする顧客にとって迷惑になるので、優先順位が高く設定される。
【0031】
ポーリング時間は、Aが最短で、Eが最長になる。例えば、A=1分、B=2分、C=3分、D=5分、E=10分である。後述するように、特定部34は、No1の種類に属する自動取引装置10に対しては、最新取引日時から1分を経過した場合に、その自動取引装置10を状況確認すべき装置と特定する。
【0032】
なお、ポーリング時間はユーザごとの設定で変更できるものとする。所定量α、所定数βは予め定めた任意の一定値とする。また、本例の5段階のランクは1例で、ランク数の増減は可能である。
【0033】
読取部32は、ジャーナルサーバ4に一括的に管理される自動取引装置10のジャーナルデータを読取るものである。読取部32は、ジャーナルサーバ4へ各自動取引装置10の取引日時が最新のジャーナルデータのみあるいは取引日時が最新のジャーナルデータを含むデータを要求し、ジャーナルサーバ4から送信された各自動取引装置10のジャーナルデータを読取る。なお、読取部32は、ジャーナルサーバ4に要求するジャーナルデータとして、図2で示したような項目の全てではなく、少なくも装置番号と取引日時を含むデータを要求するようにしてもよい。装置番号と取引日時のデータがあれば、状況確認すべき自動取引装置10を特定することができるからである。
【0034】
特定部34は、読取部32で読取ったジャーナルデータの取引日時に基づいて、状態確認をすべき自動取引装置10を特定するものである。特定部34は、読取ったジャーナルデータから最新の取引日時を抽出し、最新の取引日時から現在までの経過時間が、ポーリング時間(所定の時間)を越えた場合に、その自動取引装置10を状態を確認すべき自動取引装置10と特定する。直近の取引日時から一定時間以上取引がされていない場合には、直近の取引日時以降に、自動取引装置10に何らか故障が発生した可能性があるからである。なお、ポーリング時間よりも短い時間間隔で、ジャーナルサーバ4は自動取引装置10からジャーナルデータを読み出すものとする。
【0035】
状態確認部36は、特定部34により特定された自動取引装置10に対して状態確認を行うものである。状態確認部36は、ネットワーク8を介して、特定した自動取引装置10に対して、稼働状況情報を送信するよう要求する。表示制御部38は、稼働状況情報が送信されてこない自動取引装置10の装置番号や最終取引日時等を表示部24に表示するよう制御する。
【0036】
図6図8は、異常状態の自動取引装置10を検出する処理を示すフローチャートである。図6は、検出処理のメインのフローチャートである。各自動取引装置に対応するポーリング時間を設定する(ステップS10)。図7は、ステップS10の各自動取引装置に対応するポーリング時間を設定する処理を説明するサブルーチンである。
【0037】
時間設定部30が、ポーリング時間の設定処理を実行する。時間設定部30は、監視対象となっている全ての自動取引装置10に対して、優先順位の1から順に、ポーリング時間テーブルのランク数だけステップS24までの処理を繰り返す(ステップS20)。時間設定部30は、各自動取引装置10が、ポーリング時間テーブルの上から順番に、ランクの条件に一致しているかを判断する(ステップS22)。時間設定部30は、メモリ22に記憶されている自動取引装置10の条件データに基づき判断する。時間設定部30は、一致しないと判断すると(ステップS22No)、ステップS24からステップS20に戻り、ランクの条件を次のものに代えて、一致しているかを判断する。
【0038】
時間設定部30は、条件に一致すると判断すると(ステップS22Yes)、一致したランクのポーリング時間を各自動取引装置10に対応するポーリング時間に設定して(ステップS26)、監視対象の全自動取引装置10に対してポーリング時間の設定を行うと、この処理を終了する。
【0039】
図5で示したポーリング時間テーブルを例にする。最初に、図5のNo1の条件(同場所に1台設置)に対象とする自動取引装置が一致するかを判断し、一致しない場合には、No2、No3というように条件で切り替えて一致するかを判断する。これを、全自動取引装置10について行い、各自動取引装置のポーリング時間テーブルを作成する。
【0040】
図10は、時間設定部30により作成された、各自動取引装置のポーリング時間テーブルの具体例を示す図である。支店ごとに号機順の自動取引装置10を配列し、各自動取引装置10の機械の種類番号と、各自動取引装置10に設定されたポーリング時間を表にしたものである。
【0041】
例えば、1番上は、支店4000に1台のみ設置された1号機で、機械の種類はタイプ2であって、1台のみ設置された自動取引装置10であるから、ポーリング時間Aが設定される。また、支店4100の3号機(上から4番目)及び支店4200の3号機(下から2番目)は、取引量が所定量αより多い装置として、ポーリング時間Cが設定される。また、支店4200の4号機(一番下)は、機械の種類がタイプ3で、3タイプは機能数がβより多いとして、ポーリング時間Dが設定される。
【0042】
なお、自動取引装置10の設置条件等は、短時間で変動するものではないので、各自動取引装置10についてのポーリング時間を設定する処理を毎回行う必要はない。例えば1日に1回あるいは1週間に1回程度、更新する処理を行えばよい。通常は、各自動取引装置について設定されたポーリング時間テーブル(例えば図10)をメモリ22に記憶させて、読み出して使用すればよい。
【0043】
図6に戻る。ポーリング時間テーブル作成後、ポーリング時間を越えた自動取引装置を特定し(ステップS12)、特定した自動取引装置10の状態を確認する(ステップS14)。監視装置6は、ステップS12とステップS14につき、一定間隔(例えば、1分間隔)で繰り返し実行する。
【0044】
図8は、ステップS12のポーリング時間を越えた自動取引装置10を特定する処理を説明するサブルーチンである。読取部32は、ネットワーク8を介して、ジャーナルデータを送信するようジャーナルサーバ4に要求する(ステップS30)。読取部32は、ジャーナルサーバ4に対し、一定時間間隔(例えば、30秒)で、最新のジャーナルデータを送信するよう要求する。ジャーナルデータの内容としては、各自動取引装置における装置番号と取引日時が少なくとも含まれていればよい。
【0045】
監視装置6からの要求を受けて、ジャーナルサーバ4は、データベース5から最新のジャーナルデータを取出し、監視装置6に送信する。読取部32は、ジャーナルサーバ4から送信されたジャーナルデータを読取る(ステップS32)。
【0046】
特定部34は、読取ったジャーナルデータ基づき、各自動取引装置における、現在時刻からそれぞれ自動取引装置における最終取引日時までの期間を、停止期間として算出する(ステップS34)。
【0047】
特定部34は、各自動取引装置に対して、それぞれ停止期間がポーリング時間以上であるかを判断する(ステップS36)。例えば、図10で示す支店番号4000の1号機であれば、停止期間がポーリング時間A(例えば1分)以上であるかを判断し、支店番号4100の1号機であれば、停止期間がポーリング時間E(例えば10分)以上であるかを判断する。
【0048】
特定部34は、停止期間がポーリング時間以上であると判断した自動取引装置10について(ステップS36Yes)、この自動取引装置10を状態確認が必要な自動取引装置10と特定する(ステップS38)。特定部34は、停止期間がポーリング時間以上ではないと判断した自動取引装置10については(ステップS36No)、特定の対象から外す。以上で、この処理を終了する。
【0049】
図6に戻り、特定した自動取引装置10の状態を確認する(ステップS14)。図9は、ステップS14で特定した自動取引装置10の状態を確認する処理を説明するサブルーチンである。
【0050】
状態確認部36は、特定した自動取引装置10の最新状態を取得する(ステップS40)。状態確認部36は、ネットワーク8を介して、ステップS38で特定した自動取引装置10に対して、最新状態の情報を送信するよう要求する。特定された自動取引装置10が複数あれば、複数の自動取引装置10に要求する。
状態確認部36は、最新状態の情報を要求した自動取引装置10から応答が有ったかを判断する(ステップS42)。状態確認部36は、応答がないと判断した自動取引装置10について(ステップS42No)、異常と判断する。表示制御部38は、異常と判断された自動取引装置10について、状況及び支店名や号機番号等を表示部24に表示する(ステップS44)。状態確認部36は、応答があったと判断した自動取引装置10については(ステップS42Yes)、異常ではないと判断して、ステップS44をジャンプして、この処理を終了する。
【0051】
監視センタの監視員は、表示部24に異常と表示され場合には、該当する自動取引装置10について、保守員の派遣等の対応を行う。
【0052】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、監視装置6の読取部32は、監視する全ての自動取引装置10についてのジャーナルデータをジャーナルサーバ4から受信して読取っていた。第2実施形態は、ジャーナルサーバ4が、停止期間が設定されたポーリング時間以上となった自動取引装置10を特定しリスト化して、特定したリストを監視装置6に送信するものである。
【0053】
以下、第2実施形態につき、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。監視システムの全体(図1)及び監視装置6(図3)は、第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0054】
図11は、第2実施形態において、監視装置6の監視制御部50により実行される機能を示すブロック図である。監視制御部50は、状態確認部52及び表示制御部54を有する。
【0055】
状態確認部52は、特定された自動取引装置10に対して状態確認を行うものである。状態確認部52は、ネットワーク8を介して、特定した自動取引装置10に対して、稼働状況情報を送信するよう要求する。表示制御部54は、稼働状況情報が送信されてこない自動取引装置10の装置番号等を表示部24に表示する。
【0056】
図12図14は、第2実施形態において、異常状態の自動取引装置10を検出する処理を示すフローチャートである。
【0057】
図12は、検出処理のメインのフローチャートである。ステップS50とステップS52がジャーナルサーバ4により実行され、ステップS54は監視装置6により実行される。
【0058】
ジャーナルサーバ4の制御部4aは、第1実施形態での監視制御部20の時間設定部30と同様に、各自動取引装置10に対応するポーリング時間を設定する(ステップS50)。ポーリング時間の設定は、図7で示した手順と同様であるので省略する。ジャーナルサーバ4の制御部4aは、設定したポーリング時間に基づき、図10と同様な各自動取引装置のポーリング時間テーブルを作成する。
【0059】
次に、ジャーナルサーバ4の制御部4aは、第1実施形態での監視制御部20の特定部34と同様に、読取ったジャーナルデータの取引日時に基づいて、状態確認をすべき自動取引装置10を特定して、リスト化する(ステップS52)。図13は、ステップS52のポーリング時間を越えた自動取引装置10を特定する処理を説明するサブルーチンである。
【0060】
ジャーナルサーバ4の制御部4aは、ジャーナルデータを読取る(ステップS60)。ステップS62,ステップS64は、ステップS34、ステップS36と同様であるので、説明は省略する。ジャーナルサーバ4の制御部4aは、経過時間がポーリング時間を越えた場合に、その自動取引装置10を状態を確認すべき自動取引装置10と特定し、特定した自動取引装置10が記載されるリストに加える(ステップS66)。ジャーナルサーバ4の制御部4aは、特定した自動取引装置10が記載されたリストを監視装置6に送信する(ステップS68)。
【0061】
図12に戻り、監視装置6は、特定した自動取引装置10の状態確認を行う(ステップS54)。図14は、ステップS54の特定した自動取引装置10の状態確認を行う処理を説明するサブルーチンである。監視制御部50の状態確認部52は、リスト上の自動取引装置10の最新状態を取得する(ステップS70)。状態確認部52は、ジャーナルサーバ4から送信されたリストに記載された自動取引装置10に対して、稼働状況情報を送信するよう要求する。
【0062】
状態確認部52は、最新状態の情報を要求した自動取引装置10から応答が有ったかを判断する(ステップS72)。状態確認部52は、応答がないと判断した自動取引装置10について(ステップS72No)、異常と判断する。表示制御部54は、異常と判断された自動取引装置10について、状況及び支店名や号機番号等を表示部24に表示する(ステップS74)。状態確認部52は、応答があったと判断した自動取引装置10について(ステップS72Yes)、異常でないと判断して、ステップS74をジャンプして、この処理を終了する。
【0063】
以上説明した第1及び第2の実施形態から、少なくとも以下に挙げる効果が奏せられる。
・全ての自動取引装置に一定時間間隔でポーリングをかけることをしないで、異常が疑われる(特定された)自動取引装置にのみポーリングをかけて、無駄なポーリングを省くことで、ネットワークへ過大な負荷をかけることなく、全ての自動取引装置の監視が実現できる。
・最新取引後の停止時間に基づいて、異常が疑われる自動取引装置を特定するので、確実に、異常が発生した自動取引装置を特定することができる。
・停止時間の算出に当たり、自動取引装置から送信される既存のジャーナルデータを利用するので、特別なデータを送るように自動取引装置を改造等する必要がない。
・自動取引装置の機種や設置状況に応じて、ポーリング時間を設定できるので、自動取引装置の個別の状況に応じて、異常の検出の時間を適切に設定することができる。
・また、第2実施形態によれば、異常が疑われる自動取引装置の特定をジャーナルサーバで行い、ジャーナルサーバからは特定されたリストだけが送信されるので、ネットワークに対する負荷をより減少させることができる。
【0064】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0065】
2 ホストコンピュータ
4 ジャーナルサーバ
5 データベース
6 監視装置
8 ネットワーク
10 自動取引装置
20 監視制御部
22 メモリ
24 表示部
26 通信部
30 時間設定部
32 読取部
34 特定部
36 状態確認部
38 表示制御部
50 監視制御部
52 状態確認部
54 表示制御部
図1
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図2
図3
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図5