(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
被測定物に向けて電波を送信し、被測定物によって反射された電波を受信し、送信から受信までの経過時間に基づいて、被測定物の位置を計測する計測装置には、様々な方式のものがある。例えば、チャープ方式や、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダー方式などが知られている。
【0003】
FMCWレーダー方式は、
図4に示すように、予め決められた固定時間(この時間を掃引時間(T)という。)において、予め決められた周波数を掃引しながら測定地点に向けて電波を送信する方式である。この送信される電波の周波数を掃引周波数(F)という。
【0004】
送信された電波が被測定物で反射されて戻るまでの往復時間をtとすると、
図5に示すように、往復時間tが経過する間に、送信周波数はF・t/Tだけ掃引される。反射波を受信した時点の送信波と反射波を混合したビート信号の周波数(ビート周波数F
B)は、送信周波数F
Tと受信周波数F
Rの差となる。
【0005】
往復時間tは「t=(T/F)×F
B」で定まるから、上記ビート周波数F
Bを知ることができれば、送信地点から測定地点まで電波が往復するのに要した時間tを算定できる。自由空間における電波の伝搬速度は光速Cであるから、送信地点から測定地点までの距離Lは、「L=C×t/2=C×T×F
B/2F」(式A)により算出することができる。
【0006】
以上説明したFMCWレーダー方式を用いた従来例の計測装置について説明する。
図6は従来のFMCWデータ方式の測定装置の機能ブロックの例を示している。
図6において、FMCWレーダー方式の測定装置100は、DSP(デジタル信号処理装置:Digital Signal Prosessor)101と、デジタル・アナログ変換器(DAC)102と、VCO(電圧制御発振器)103と、結合回路(HYB)104と、トランスデューサ106と、混合器(Mixer)107と、自動利得制御回路(AGC)108と、アナログ・デジタル変換器(ADC)109と、を有してなる。DAC102とVCO103を含む部分は送信系を構成し、Mixer107からADC109に至る部分は受信系を構成する。
【0007】
DSP101にはメモリ111が内蔵されている。メモリ111には、掃引時間Tに対するVCO103の発振周波数を決定するデータであって、VCO103への印加電圧と掃引時間Tとの関係を規定する電圧−時間カーブ(V−Tカーブ)が、電圧−時間テーブル(V−Tテーブル)として記憶されている。また、メモリ111には、上記にて説明したFMCWレーダー方式による、距離の測定処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0008】
DSP101は、メモリ111に記憶されているプログラムに基づいて、V−Tテーブルを読み出す。読み出されたV−Tテーブルは、DAC102によって、時間の経過に伴い連続的に変化する電圧値(アナログ信号)に変換される。このアナログ信号がVCO103の制御電圧となる。この制御電圧がVCO103に加えられると、発振される信号の周波数(発振周波数)は、連続的に変化する。この周波数が連続的に変化する発振信号が、HYB104を経てアンテナであるトランスデューサ106において電波に変換される。この電波が測定地点(例えば、液面計であれば液体の液面)に向けて送信される。
【0009】
上記トランスデューサ106から測定地点までの間には被測定系31が介在している。測定地点で反射された電波は被測定系31を介して上記トランスデューサ106でとらえられる。トランデューサ106でとらえられた反射波は受信信号に変換されて、HYB104を経て受信系に導かれる。受信系では、Mixer107において、受信信号と、この受信信号を受信した時刻の発振信号が混合される。受信信号と送信信号の混合によって、受信周波数と送信周波数の差の周波数によるビート信号が生成される。このビート信号がAGC108に入力される。このビート信号の周波数をビート周波数F
Bという。
【0010】
ビート信号は、AGC108で適宜の振幅値に制御されたのち、ADC109でデジタル信号に変換されて、振幅値としてDSP101に入力される。DSP101では、V−Tデータの読み出しからビート信号の振幅値を取込む処理を、掃引時間(T)の間実行する。この掃引時間(T)の間に取り込まれた時間軸データであるビート信号振幅値群に対して、フィルタリング処理を行ない不要なノイズ成分を除去した後に、FFT(Fast Fourier Transform)処理が行なわれて、ビート周波数F
Bが抽出される。
【0011】
メモリ111に記憶されているプログラムは、抽出されたビート周波数F
Bを用いて、上記式Aによる算定処理を実行して、測定地点までの距離Lを算定する。
【0012】
以上説明したFMCWレーダー方式の計測装置は、タンクに備蓄されている液体の液位測定などに用いられる。その例を
図7に示す。
図7において、計測装置100aはタンク400aの天板上に設置されている。タンク400aは液体401aを備蓄するものである。タンク400aの上部には、アンテナであるトランスデューサ106aが、タンク400aの天板から液体401aの液面に向けて設置されている。トランスデューサ106aから液体401aに向けて送信される電波は、タンク400a内を光速Cで伝搬し、液体401aの液面で反射されて、トランスデューサ106aで受信される。
【0013】
図7に示すように、タンク400a内の空間に向けて電波を送信すると、液体401aの誘電率が低いときは、液面での電波の反射レベルが低く、液面位の測定精度が低下する。これを解消するために、
図8に示すように、計測装置100をタンク400の天板上に設置し、円筒形状の円形導波管300を、タンク400の天板から底に向けて設置する。この円形導波管300内に向けてアンテナであるトランスデューサ106から電波を送信し、液体400の液面で反射してくる反射波をトランスデューサ106で受信する。なお、円形導波管300内には液体401が進入することができ、タンク400内の液体レベルと円形導波管300内の液体レベルが一致するようになっている。
【0014】
ここで計測装置100の機能構成について説明する。
図6は、計測装置100の機能構成の例を示すブロック図である。計測装置100は、FMCWレーダー方式の計測装置であって、この計測装置100と円形導波管300の上端との間にはトランスデューサ106が介在している。トランスデューサ106は、上記計測装置100から出力される高周波信号を電波に変換して円形導波管300内に放射する送信アンテナとして、また、液体401の液面で反射した電波を受信する受信アンテナとして機能する。
【0015】
計測装置100は、例えば10GHz帯の電波を使用する。上記天板面から液体401の面までの距離をLとし、円形導波管300の内径をdとする。F
Tは計測装置100から液面に向かって円形導波管300内に放射される電波の周波数を、F
Rは上記電波が液面で反射され円形導波管300内を計測装置100に向かって戻る電波の周波数を示している。
【0016】
計測装置100によって距離Lを算定するには、送信される電波および反射波の速度が明らかでなければならない。
図7に示した例において、空間での電波の伝搬速度は光速Cと同一であることが知られている。これに対して
図8のように、円形導波管300を用いたときは、送信波の波長をλ
0とすると、円形導波管300内における電波の波長λ
gεは、「ε
r×(λ
0/(ε
r−(λ
0/(K
mn×d))
2)
1/2)」により求められることが知られている。ここで、円形導波管300の内径をd、円形導波管300内の伝搬モードの係数をKmn、円形導波管300内(伝搬路)の比誘電率εrとする。
【0017】
一般に円形導波管300内の電波伝搬係数Kmnは知られている。空気中の比誘電率は1であるから、円形導波管300の内径dを決定することで、円形導波管300内における管内の波長λ
gεが算出される。これを用いることで、電波の速度v
gは「(λ
0/λ
g)×C」により算出される。
【0018】
しかし、タンク400内の液体401の液面からタンク40の天井面までの空間には、液体401の蒸発気体が充満していて、測定地点に至る伝搬空間中(液面上方)に滞留したガスの成分や、伝搬空間中の温度および圧力の影響を受けて比誘電率が変化する場合には、比誘電率を求めなければ、円形導波管300内の波長λ
gεを決定することができない。
【0019】
タンク400内のガスの成分や温度および圧力が予め判明しているならば、それに応じた誘電率を計測装置10に予め設定し、正確な電波の速度を用いて距離Lを算定することができる。しかし、滞留ガスの成分や、測定時の温度、圧力などは状況によって変化するものであり、これらを正確に測定しなければ、正確な誘電率に基づく距離Lの算定をすることはできない。
【0020】
上記課題に対し、円形導波管内の誘電率が所定の数値範囲に収まることを前提として、液面上方に滞留ガスがあっても、精度よく液位の測定をすることができる液面計測システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明にかかる媒質境界の位置計測システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施例を
図1に示す。
図1は、本実施形態に係る媒質境界の位置計測システムの例である計測システム1を示す構成図である。
【0029】
図1に示すように計測システム1は、電波送受信装置10と、構造体である導波管2と、図示しない演算手段と、を有してなる。演算手段については、後述する。
【0030】
電波送受信装置10は、被測定物である液体31が貯蓄されるタンク3の天板上に設置されている。この電波送受信装置10からタンク3の内部に向かって、導波管2が設置されている。
【0031】
導波管2の内部空間には、電波反射手段である基準ピン21が複数接地されている。計測システム1は、電波送受信装置10からの基準ピン21の位置を検出可能であって、さらに、実際の位置と計測位置との誤差を較正可能とする。基準ピン21は、導波管2内の伝搬空間を適当な数の区間に分割するものである。基準ピン21の設置位置は、電波送受信装置10からの距離によって決まる。予め、この距離を正確に測った上で、各基準ピン21を設置する。設置された各基準ピン21における電波送受信装置10からの距離は、図示しない演算手段の記憶部に記憶しておく。
【0032】
ここで、計測システム1における媒質境界位置の計測原理について説明する。計測システム1は、被測定物である液体31に向けて照射されたマイクロ波の反射波ではなく、透過波の被測定物(媒質)内における伝搬速度を計測する。計測された伝搬速度に基づいて、被測定物と伝搬空間との境界位置を計測することができる。計測システム1は、媒質境界における反射波の振幅の大きさに依存することなく、媒質境界の位置を正確に計測することができる。
【0033】
そのために、導波管2の内部空間(電波の全伝搬空間)を、適当な数の区間に分割しておく。各区間内における電波の伝搬時間を計測結果に応じて算出し、これに基づいて媒質境界の位置を算出するものである。
【0034】
導波管2に形成されている各区間は、媒質境界が含まれる区間もあるし、液体31のみの区間もある。もちろん、空気のみの区間もある。
【0035】
媒質境界を含む区間において電波の伝搬時間は、気体中(伝搬空間内)の伝搬速度と液体31中(被測定物内)の伝搬速度の距離配分で決まる。一方、媒質境界を含まない区間では、各々の速度のみで伝搬時間が決まる。この伝搬時間の違いを算出することで、媒質境界の正確な位置を演算により計測することができる。
【0036】
具体的には、基準ピン21により区間が分割された伝搬空間において、各区間における透過伝搬波を反射させて、この反射波を計測する。この反射波に基づいて、各区間における透過伝搬速度を算出する。
【0037】
このように、本実施形態に係る計測システム1は、透過波の持つ情報(伝搬速度、伝搬時間等)から導波管2内に設置される基準ピン21の位置を算出する。例えば、導波管2の内部空間である伝搬区間内に基準ピン21を5か所設置した例を用いて、計測システム1による媒質境界の計測方法について説明する。
図2は、導波管2を横方向に描いた概略図である。
図2紙面左側が電波送受信装置10であって、
図2紙面右側がタンク3の底面である。
【0038】
図2に示す導波管2は、内部の伝搬区間を6区間に分割したものの例である。なお、各基準ピン21の位置は既知であるものとする。液面位置P
Rが、媒質境界の位置である。まず、液面位置P
Rが属する区間を判定し(第1ステップ)、次に、この区間内における液面位置P
Rを計算によって算出する(第2ステップ)。
【0039】
●第1ステップ
図2に示すように、5本の基準ピン21とタンク3の底面によって伝搬空間は、x
1,x
2,…,x
6の6区間に分割される。各区間における電波伝搬時間(T
1,T
2,…,T
6)は、漸化式により以下の式(1)、式(2)によって表される。
【0040】
式(1)及び式(2)において、c(x
1),c(x
2),…,c(x
6)は、各区間における区間内平均伝搬速度とする。
【0041】
上記の式(1)及び式(2)に基づいて、各区間内平均速度c(x
n)は以下の式(3)及び式(4)により得られる。
【0042】
一例として6区間の中のいずれかの区間に境界面(液面)が存在する場合について説明する。
【0043】
液面が存在する区間の前後では、区間内平均速度c(x
n)が隣接区間と比べて大きく変化する。
【0044】
したがって、液面存在区間nは、以下の式(5)によって求めることできる。なお、式(5)において、c(x0)は、空気中の伝搬速度とする。
【0045】
以上説明した演算処理を、全ての区間において実行する。その中でe
nが最大となった区間が、液面位置P
Rの属する区間である。すなわち、上記の演算によりe
nの判定が行われるとき、液面位置P
RはP
n−1とP
nとの間にある。
【0046】
●第2ステップ
基準面である電波送受信装置10のアンテナ面から、液面位置P
Rまでの距離をX
Rとする。また、ピンp
n−1までの距離をX
n−1等とする。X
Rは、以下の式(6)、式(7)、式(8)によって表わされる。ここで、ガス中および液中速度としてガス側および液側の隣接区間の値を代用する。
【0048】
なお、液面位置P
Rが基準ピン21の区間外にあるときであって、第1基準ピンP
1よりも上にあるときには、以下の式(9)を用いてδ
1を算出すればよい。算出されたδ
1を上記の式(6)に用いて、液面位置P
Rまでの距離X
Rを算出すればよい。なお、c
G(x
1)は、空気中の速度を代用すればよい。
【0049】
また、液面位置P
Rが基準ピン21の区間外にある場合であって、第5基準ピンP
5と第6基準ピンに相当するタンク3の底面との間にあるときには、以下の式(10)を用いてδ
6を算出すればよい。算出されたδ
6を上記の式(6)を用いて、液面位置P
Rまでの距離X
Rを算出すればよい。なお、c
L(x
6)は、液体中の平均速度を代用すればよい。
【0050】
次に、本実施形態に係る計測システム1の動作について説明する。
図3は、計測システム1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示す計測システム1は、大きく3つの部分からなる。すなわち、計測システム1は、電波送受信装置10と、導波管2と、演算装置40と、を有してなる。
【0051】
電波送受信装置10は、従来から知られているチャープ方式によるものであるから、電波送受信装置10の詳細な構成については、説明を省略する。本実施形態に係る計測システム1は、電波送受信装置10に導波管2と演算装置40とを付加することで、媒質境界の計測方法を実行することができる。
【0052】
電波送受信装置10が備えるTRX11から送信された電波は、導波管2の内部空間を伝搬して、液面位置P
Rにおいて反射される。反射波は、TRX11の受信ミキサーにおいて周波数変換される。その後、LPF12を経由し、スペクトル推定部13と伝搬時間算出部14によって、受信した周波数における伝搬時間が算出される。この伝搬時間を用いて、液面位置P
Rまでの距離が算出される。なお、算出された液面位置P
Rの距離は、表示部に表示される。
【0053】
電波送受信装置10と演算装置40は、演算装置40が備える第1記憶部41を介して接続される。なお、第1記憶部41を介することなく、電波送受信装置10において算出された上記の伝搬時間がグループ演算部44に通知されてもよい。
【0054】
第1記憶部41には、電波送受信装置10において算出された伝搬時間T
1、T
2、T
3、・・・が、時系列に沿って記憶される。
【0055】
演算装置40は、電波送受信装置10の動作制御を行う図示しない制御部と、被測定物の位置計測処理を実行する演算処理部と、を有してなる。
【0056】
演算装置40が備える第2記憶部42には、各基準ピン21に対する伝搬時間が、予め計測されて記憶されている。なお、第2記憶部42に記憶される伝搬時間は、導波管2内の伝搬空間が空気である場合における伝搬時間系列T
kG(k=1,…,N)と、液体で満たされている場合における伝搬時間系列T
kL(k=1,…,N)との対によって構成される伝搬時間系列である。
【0057】
グループ演算部44は、第1記憶部41に記憶されている各伝搬時間と、第2記憶部42に記憶されている各基準ピン21対する伝搬時間とを比較する演算処理を行う。このグループ演算部44おける演算処理によって、第1記憶部41に記憶されている各伝搬時間は2つのグループに分けられる。すなわち、基準ピン21によって反射されたであろう電波による第1伝搬時間の組(第1伝搬時間系列T
k)と、それには属さない第2伝搬時間の組(第2伝搬時間T
n)に、グループ分けがされる。
【0058】
ここで、第1伝搬時間系列データT
kは、伝搬路が全てガスで充填されているときの時間系列データ(T
kG)と、全て媒質で充填されているときの時間系列データ(T
kL)からなる。このT
kGとT
kLは前もって実験より事前に記録し、第2記憶部42に保存しておくものとする。
【0059】
次に、第1速度演算部45において、基準ピン21によって反射された電波の伝搬時間には属さない第2伝搬時間の組(T
n)を用いて、電波伝搬速度を算出する演算処理を実行する。すなわち、第2伝搬時間の組(T
n)における各伝搬時間に基づく電波伝搬速度を算出する。
【0060】
第1速度演算部45において算出された各伝搬時間に対応する電波伝搬速度から逆算をして、各伝搬時間に応じた距離を算出する。この算出された各距離と、第3記憶部43に予め記憶されている各基準ピン21までの距離とを比較して、基準ピン21の間の各区間の距離には相当しない区間の速度c
nを、第2速度演算部46に通知する。
【0061】
第2速度演算部46は、通知された距離に基づいて、上記式(7)から式(10)に基づく演算処理を実行し、δ
nを算出する。
【0062】
この算出されたδ
nを用いて、媒質境界位置算出部47において、上記式(6)に基づく演算処理を実行し、媒質境界位置X
nを算出し、その結果をディスプレイに出力する。
【0063】
このように、本実施形態に係る計測システム1は、電波が電波反射手段21に至るまでの第1伝搬時間系列T
k(k=1,2,…,N)と、媒質境界面に至るまでの第2伝搬時間T
nと、を計測する伝搬時間計測手段を用いて、被測定物と上記伝搬空間との媒質境界の位置を計測することが出来る。
【0064】
なお、媒質境界の存在区間の判定処理は、上記の式(5)を用いなくてもよい。この場合、第2記憶部42に記憶されている伝搬時間(T
1〜T
6)により、基準ピン21によって形成される区間の伝搬時間を算出する。この算出された区間伝搬時間と、各基準ピン21間の距離とを用いることで、各区間における伝搬速度を算出することができる。算出された各区間の伝搬速度において、隣接区間との差が大きい区間を、媒質境界が存在する区間nとして決定してもよい。
【0065】
なお、媒質境界が存在する区間の判定に用いる演算処理は、上記した式(5)を用いた演算処理でもよい。
【0066】
また、媒質境界が存在する区間の判定は、上記に示したいずれかの判定処理によって行い、さらに媒質境界の検出精度を高めるために、反射の振幅情報を用いてもよい。
【0067】
この場合、
図3に示したスペクトル推定部13から、反射波の各周波数に関する振幅情報が振幅情報付加部48に対して通知される。振幅情報付加部48は、各周波数における振幅情報を算出する。振幅情報付加部48において算出された振幅情報群は、グループ演算部44に通知される。この振幅情報群を加味して、グループ演算部44における比較演算処理に用いることで、媒質の境界検出精度を高めることができる。
【0068】
以上説明した計測システム1によれば、被測定対象や伝搬空間の状況等により、電波の反射率が小さく、反射波の振幅が安定しない場合であっても、媒質の境界を正確に計測することができる。
【0069】
また、上説明した計測システム1においては、導波管内の電波反射手段として基準ピン21を用いているが、反射手段としては特定の形状および材質に限定されず、同様の効果を得ることができる。
【0070】
第2の実施例として、第1の実施例の媒質境界面を含む区間nの判定において、原理の式(5)を用いることができる。この場合には第2記憶部42を不要である。