(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記標的顆粒球が好中球、好酸球、好塩基球及びマスト細胞からなるリストから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用。
前記標的顆粒球が好中球であり、前記炎症状態が嚢胞性線維症である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用。
前記標的顆粒球が好酸球であり、前記炎症状態がアレルギー及び/又は喘息である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用。
前記標的顆粒球が好塩基球であり、前記炎症状態がアレルギーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用。
前記組合せがHTLV-2 RBD(配列番号28)及びKoRV RBD (配列番号20)の組合せであり、前記膜レセプターがそれぞれGLUT1及びPiT1であり、該膜レセプターが肺好中球及び血液好中球で発現する、請求項9に記載の使用。
前記組合せがPERVA RBD(配列番号21)及びBLV RBD(配列番号30)の組合せであり、前記膜レセプターがそれぞれPAR及びBLVと相互作用する膜レセプターであり、該膜レセプターが肺好中球及び血液好中球で発現する、請求項9に記載の使用。
前記PAR膜レセプターの肺好中球での発現が前記膜レセプターの血液好中球での発現と比較して減少し、前記BLVと相互作用するレセプターの肺好中球での発現が該膜レセプターの血液好中球での発現と比較して増加する、請求項12に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0010】
レセプター結合性ドメイン(RBD)は、RBDの標的顆粒球表面に存在する膜レセプターへの結合特性の幾らか又は全てを保持し、例えばクローニングにより得ることができる限り、ウイルスのエンベロープ中に含有される糖タンパク質の機能的フラグメント(又は部分)を意味する。
【0011】
表現「可溶性レセプター結合性ドメイン」は、RBDの標的顆粒球表面に存在する膜レセプターへの結合特性の幾らか又は全てを保持し、例えばクローニングにより得ることができる限り、ウイルスのエンベロープ中に含有される糖タンパク質の可溶性機能的フラグメント(又は部分)を意味する。
1又はそれより多いアミノ酸が、RBDの標的顆粒球表面に存在する膜レセプターへの結合特性を保持する限り、糖タンパク質のこのフラグメント又は部分のRBD配列に追加、該配列から欠失又は置換することができる。
【0012】
用語「糖タンパク質」は、エンベロープ糖タンパク質、コート糖タンパク質又は融合糖タンパク質を意味する。
ウイルスの糖タンパク質のRBDの前記部分若しくはフラグメント又は全部が、標的顆粒球の1又はそれより多い膜レセプターと結合又は相互作用する傾向がある。
【0013】
表現「少なくとも1又はそれより多い膜レセプターと結合又は相互作用する傾向がある」は、RBDの前記部分若しくはフラグメント又は全部が、標的顆粒球の1つのレセプター又は幾つかのレセプターと複合体を形成することを意味する。
よって、複合体は、標的顆粒球が事前に動物から単離されている場合には、インビトロで形成されてもよい。
複合体はまた、エキソビボで形成され得る。
複合体はまた、RBDが動物に注入され、動物生物中で標的顆粒球と相互作用する場合インビボで形成され得る。
【0014】
「膜レセプター」は、本発明においては、細胞の原形質膜中に固定された任意のタンパク質又はポリペプチドと定義される。前記膜レセプターは、ウイルスの糖タンパク質との相互作用を可能にする。
好ましくは、本発明による膜レセプターは、輸送体(例えば栄養分及び代謝物輸送体)として機能する多重膜スパニング(multimembrane-spanning)タンパク質(すなわち、原形質膜を横切る栄養分及び代謝物の輸送を可能にする多重膜スパニングタンパク質)ファミリーのメンバーである(RBD及びレセプターは
図1で説明する)。
【0015】
「標的顆粒球」は、骨髄球又は単球系統に属し、細胞膜内に固定された独特の一群のレセプターを提示する細胞を意味する。
「標的顆粒球」は、動物から単離することができ、例えば(好ましくは炎症状態の間の)哺乳動物の顆粒球、特に好中球、好酸球、好塩基球及びマスト細胞である。
【0016】
表現「標的顆粒球表面に存在する膜レセプターの発現の同定及び定量」は、標的顆粒球が膜レセプターを発現すると、すなわち前記レセプターが標的顆粒球表面に存在すると、複合体が生物学的興味対象の標的顆粒球の膜レセプターとRBDとの間で形成されることを意味する。
その複合体は、RBDが、例えば(限定されないが)、抗体定常フラグメント(Fc)又は蛍光化合物(シアニン、アレクサ(alexa)、量子ドット...)のような検出可能な分子と共有結合している場合、検出することができる。
【0017】
この複合体はまた、RBDが当業者により周知の種々の手段でタグ化されている場合、検出することができる。
例えば(限定されないが)、本発明において使用するタグは、ヘマグルチニンタグ、ポリアルギニンタグ、ポリヒスチジンタグ、Mycタグ、Strepタグ、Flagタグ、S-タグ、HATタグ、3×Flagタグ、カルモジュリン-結合性ペプチドタグ、SBPタグ、キチン-結合性ドメインタグ、GSTタグ、マルトース-結合性タンパク質タグ、GFP及びEGFPタグ、RFPsタグ、YFPタグ、CFPタグ、T7タグ、V5タグ、Xpressタグ及びOlympus America Incから入手可能な最大発光445nm〜655nmの全ての蛍光分子であり得る。
したがって、RBDの使用により、一方で使用するRBDに応じた標的顆粒球上に発現されるレセプターの同定が可能になり、他方で、形成した複合体の定量が可能になる。よって、標的顆粒球上での膜レセプターの有無及びその定量が可能になる。
【0018】
表現「所与の時点で又は所与の期間に」は、形成した複合体の検出及び/又は定量が、膜レセプターの発現の改変を評価するために、細胞及び接触時間に応じて、RBDと標的顆粒球の膜レセプターとの接触の直後、又は前記接触の数分後、特に1〜59分後、若しくは数時間後、特に1〜47時間後、好ましくは24時間後、若しくは数日後、特に2〜7日後、好ましくは3日後、若しくは(標的顆粒球での前記膜レセプターの減少を評価する場合には)数週間後、好ましくは3〜6週間後に、行うことができることを意味する。
接触条件には、温度もまた含まれる。温度は、標的顆粒球に応じて0℃から37℃まで変化することができ、特に0、1、2、3又は4℃、好ましくは室温付近、特に18℃〜25℃、特に18、19、20、21、22、23、24又は25℃、より好ましくは26〜37℃、特に25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36又は37℃、好ましくは30又は37℃である。
【0019】
「炎症状態」は、アレルギー、喘息、尋常性ざ瘡、自己免疫疾患、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、移植片拒絶、脈管炎、間質性膀胱炎又は嚢胞性線維症の間に生じる急性又は慢性の炎症を意味する。
【0020】
1つの有利な実施形態において、前記炎症状態は気道の炎症である。
よって、本発明は、上記のレセプター結合性ドメインを使用することにより、顆粒球細胞表面で(前記顆粒球の炎症状態を示す)特定の発現レセプターの同定及び定量を可能にする。前記発現レセプターは正常状態では発現しないか又はより少ない程度で発現し、したがって炎症状態が示唆される病状(例えば上記の病状)の診断及び/又は予後を可能にする。
【0021】
1つの有利な実施形態において、本発明は、所与の時点で又は所与の期間に行われ、炎症状態の診断及び/又は予後を可能にする、標的顆粒球の表面に存在する膜レセプター(但し、唯一のRBDを使用する場合、膜レセプターはGLUT1ではない)の発現の同定及び定量のための、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
この実施形態において、炎症状態の診断及び/又は予後のために標的顆粒球の表面に存在する膜レセプターの発現の同定及び定量について1つのRBDが使用される場合、同定及び定量される前記膜レセプターはGLUT1ではない。換言すれば、前記膜レセプターはGLUT1以外の膜レセプターである。
前記炎症状態は、上記のとおりであるか、又は特に気道の炎症であり得る。
【0022】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインが、3〜20の可溶性レセプター結合性ドメインのセット、好ましくは3〜12の可溶性レセプター結合性ドメインのセット、特に3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のレセプター結合性ドメインである、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
この実施形態において、細胞表面に存在するレセプターの数に応じて、3〜上限20までのRBDが使用される。
各RBDは少なくとも1つの膜レセプターを認識する。
【0023】
このことは、前記セットの各RBDが、唯一のレセプターと又は2若しくはそれより多い異なるレセプターと相互作用することができること、及び2又はそれより多いRBDが、同じ膜レセプターと又は2若しくはそれより多い異なるレセプターと相互作用することができることを意味する。
使用するRBDの数にかかわらず、幾つかのRBDが使用される場合、各RBDは(例えばR
1と名付けられた)同じレセプター、又は2若しくはそれより多い異なるレセプター(例えばR
1及びR
2)、又は2より多い異なるレセプター(例えばR
1〜R
n(n>3))を認識することができる(各RBDにより認識されるレセプターは、同じであっても異なってもよい)。
したがって、この実施形態において、3〜20のRBDと膜レセプターとの全ての組合せが含まれる。
【0024】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインが、3〜20の可溶性レセプター結合性ドメインのセット、好ましくは3〜12の可溶性レセプター結合性ドメインのセット、特に3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12のレセプター結合性ドメインであるが、但し、該セットの少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1膜レセプターと相互作用しない、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
この実施形態において、各RBDは少なくとも1つの膜レセプターを認識し、各膜レセプターは少なくとも1つのRBDにより認識される。
【0025】
このことは、前記セットの各RBDが、同じレセプターと相互作用する(しかし、この場合には、前記セットの少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1膜レセプターと相互作用しない、すなわち、前記セットの少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1以外の膜レセプターと相互作用する)か、又は2若しくはそれより多い異なるレセプターと相互作用することができることを意味する。
したがって、この実施形態において、前記セットの少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1以外の膜レセプターと相互作用するという条件で3〜20のRBDと膜レセプターとの全ての組合せが含まれる。
RBDの数の上限は、形成した複合体を検出するために使用する方法にのみ起因し、すなわち現時点ではチャンネル数が20に制限されている蛍光細胞分析分離(FACS)によるが、他の方法では20より高くなり得る。
【0026】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記標的顆粒球が好中球、好酸球、好塩基球及びマスト細胞からなるリストから選択される、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
好中球顆粒球は、一般には、好中球又は多形核好中球(又はPMN)と呼ばれ、先天性免疫系の本質的部分を形成する。
好中球は、通常、血流中に見出される。しかし、炎症の開始(急性)期の間は、好中球は、最初は血管を通じて、その後は間質組織を通じて炎症部位に向かって移動する炎症細胞の最初の応答者の1つである。
【0027】
好塩基球顆粒球(好塩基球とも呼ばれる)は、最も一般的でない顆粒球である。好塩基球は、多くの特定種類の炎症反応(特にアレルギー症状を引き起こす炎症反応)において出現する。
好酸球顆粒球(通常、好酸球と呼ばれる)は、脊椎動物において多細胞寄生生物及び或る種の感染との戦いを担う免疫系成分の1つである。マスト細胞と共に、それらはまた、アレルギー及び喘息と関係する機序を制御する。
マスト細胞は炎症プロセスにおいて鍵となる役割を演じる。活性化されると、マスト細胞は迅速にその特徴的な顆粒及び種々のホルモンメディエータを間質中に放出する。マスト細胞は、直接傷害(例えば、物理的又は化学的[例えば、オピオイド、アルコール及び或る種の抗生物質(例えばポリミキシン)])により脱顆粒するように刺激され得る。
【0028】
1つの有利な実施形態において、前記膜レセプターは、CAT1、PiT2、XPR1、SMIT1、プラズモリピン(Plasmolipin)、PiT1、ASCT1、ASCT2、FLVCR、feTHTR1、PAR、GLUT1の中から選択することができるが、これらに限定されない。
上記膜レセプターは、Manelら(Frontiers in Bioscience, 9, 3218-3241, 2004)に開示されている。
PARはPAR 1(又はhRFT3)(GenBankアクセッション番号NM_024531)及びPAR 2(又はhRFT1)として同定されている。
前記膜レセプターはまた、標的顆粒球の表面での前記レセプターの発現を同定及び定量するためにそのRBDとの複合体が同定及び定量することができる、未同定のレセプターで有り得る。
【0029】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記標的顆粒球が好中球であり、前記炎症状態が嚢胞性線維症を有する患者に見出されるものである、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
1つの特に有利な実施形態において、嚢胞性線維症のためには、前記RBDは、AMLVである場合には、少なくとも1つの他のRBDと関係しなければならない。
嚢胞性線維症(CFとしても知られる)は、進行性の身体障害を引き起こし、しばしば早期の死亡を引き起こす、全身に罹患する一般的な疾患である。
呼吸困難は最も重篤な症状であり、抗生物質その他の医薬により治療されるが治癒しない頻繁な肺感染に起因する。他の症状(静脈洞感染、成長不良、下痢及び不妊症を含む)の多くが身体の他の部分に対するCFの影響に起因する。
【0030】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記好中球が血液好中球又は肺好中球である、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
嚢胞性線維症(CF)における気道疾患は、肺への血液多形核好中球(PMN)の大規模な動員に起因する。この関係において、PMNは、代謝生理学の完全な変化に起因すると疑われる同化作用の再プログラミングを経ることが示されている。
本発明の利点の1つは、細胞代謝に直接関連する輸送体に結合する傾向があるレトロウイルスエンベロープ糖タンパク質(Env)のレセプター結合性ドメイン(RBD)でもって、代謝生理学のこれら変化を特徴付けることである。
【0031】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記標的顆粒球が好酸球であり、前記炎症状態がアレルギー及び/又は喘息である、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
上記のように、気道炎症は、肺における骨髄球・単球系統の流入により生じる;主に好酸球が好中球と同様に暗示されるようである。
よって、好酸球及び/又は好中球上に発現する膜レセプターの同定及び定量は、アレルギー及び/又は喘息の診断及び/又は予後並びに/或いはこれら病気に対する治療の経過観察における関心事である。
【0032】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記標的顆粒球が好塩基球であり、前記炎症状態がアレルギーである、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記標的顆粒球がマストであり、前記炎症状態がアレルギーである、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
アレルギーはまた、マスト細胞及び/又は好塩基球がアレルゲン-特異的免疫グロブリンIgEを同定したときのそれらの過度の活性化によって引き起こされる免疫系の異常である。
よって、好酸球及び/又はマスト上に発現する膜レセプターの同定及び定量は、アレルギーの診断及び/又は予後における関心事である。
【0033】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記RBDが配列番号1〜31からなるリストより選択される、上記少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
配列番号1〜31は、(知られている場合には)シグナルペプチド、レセプター結合性ドメイン、(知られている場合には)プロリンリッチ領域(PRR)及びPRRの下流に位置するCXXCモチーフから構成される。
上記配列番号1〜31を含んでなるリストは、限定的ではなく、哺乳動物に見出すことができる全てのRBDに拡張することができる。
【0034】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記RBDがアンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV, 配列番号1)、ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)、コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ヒトT白血病ウイルス-2 (HTLV2、配列番号28)、ウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)又はブタ内因性レトロウイルス-A (Perv A、配列番号21)からなるリストより選択される、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
前記病状において示唆される顆粒球に応じて、前記顆粒球上に発現する膜レセプターを同定及び定量するに1つのRBDで十分で有り得るが、場合によっては、前記同定及び定量を実施するには2又はそれより多いRBDが必要である。
よって、例としてのみではあるが、単一のRBD又は例えば3〜5のRBDの組合せを使用される。標的顆粒球の表面に存在する膜レセプターの発現の同定及び定量に他の単一のRBD又はRBDの組合せを使用することができることは自明である。
したがって、1つの実施形態において、本発明は、前記RBDがアンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)である、上記の使用を開示する。
【0035】
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDがネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)である上記使用を開示する。
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDがコアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)である上記使用を開示する。
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDがヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)である上記使用を開示する。
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDがウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)である上記使用を開示する。
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDがブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)である上記使用を開示する。
【0036】
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDが、アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)、ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)、コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、ウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、又はブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)からなるリストから選択される2つの可溶性RBDの組合せである、上記使用を開示する。
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDが、アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)、ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)、コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、ウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、又はブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)からなるリストから選択される3つの可溶性RBDの組合せである、上記使用を開示する。
【0037】
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDが、アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)、ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)、コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、ウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、又はブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)からなるリストから選択される4つの可溶性RBDの組合せである、上記使用を開示する。
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDが、アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)、ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)、コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、ウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、又はブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)からなるリストから選択される5つの可溶性RBDの組合せである、上記使用を開示する。
別の1つの実施形態において、本発明は、前記RBDが、アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)、ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)、コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、ウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、又はブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)からなるリストから選択される6つの可溶性RBDの組合せである、上記使用を開示する。
【0038】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインが2つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の組合せである、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
1つの有利な実施形態において、前記組合せの少なくとも1つの前記可溶性レセプター結合性ドメインは、GLUT1膜レセプターと相互作用しない、すなわち、前記組合せの少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインは、GLUT1以外の膜レセプターと相互作用する。
【0039】
以下の2つのRBDの組合せは、前記実施形態の両方(GLUT1に関する但書を有する形態及び有さない形態)を説明するが本発明を制限せず、2つのRBDの他の組合せが本発明の範囲内であり得る。
アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)及びネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)、
アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)及びコアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、
アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)及びヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、
アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)及びウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、
アンホトロピックマウス白血病レトロウイルス(AMLV、配列番号1)及びブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)、
【0040】
ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)及びコアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、
ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)及びヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、
ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)及びウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、
ネコ内因性レトロウイルス(RD114、配列番号3)及びブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)、
コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)及びヒトT白血病ウイルス-2(HTLV2、配列番号28)、
コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)、
コアラ内因性レトロウイルス(KoRV、配列番号20)、ブタ内因性レトロウイルス-A(Perv A、配列番号21)、
ヒトT白血病ウイルス-2 (HTLV2、配列番号28)及びウシ白血病ウイルス(BLV、配列番号30)。
【0041】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記組合せがHTLV-2 RBD(配列番号28)及びKoRV RBD (配列番号20)の組合せであり、前記膜レセプターがそれぞれGLUT1及びPiT1であり、該膜レセプターが特に肺好中球及び血液好中球で発現する、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記膜レセプターの肺好中球での発現が前記膜レセプターの血液好中球での発現と比較して増加する、上記のHTLV-2 RBD(配列番号28)及びKoRV RBD(配列番号20)の前記組合せの使用に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記可溶性レセプター結合性ドメインがRD114 RBD(配列番号3)及びAMLV RBD (配列番号1)の組合せであり、前記膜レセプターがそれぞれASCT2及びPiT2である、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
【0042】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記膜レセプターの一方又は両方の肺好中球での発現が前記膜レセプターの血液好中球での発現と比較して増加又は減少する、上記のRD114 RBD(配列番号3)及びAMLV RBD(配列番号1)の前記組合せの使用に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記組合せがPERVA RBD(配列番号21)及びBLV RBD(配列番号30)の組合せであり、前記膜レセプターがそれぞれPAR及びBLVと相互作用する膜レセプターであり、該膜レセプターが特に肺好中球及び血液好中球で潜在的に(potentially)発現する、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
PERVA RBDは、PAR1(hRFT3)及びPAR2(hRFT1)と相互作用することができる。
【0043】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記PAR膜レセプターの肺好中球での発現が前記膜レセプターの血液好中球での発現と比較して減少し、前記BLVと相互作用するレセプターの肺好中球での発現が該膜レセプターの血液好中球での発現と比較して増加する、上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメイン(RBD)の使用に関する。
【0044】
別の1つの観点において、本発明は、標的顆粒球の表面に存在する上記の少なくとも1つの膜レセプターの発現の同定及び定量を含んでなる、哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、標的顆粒球が事前に哺乳動物から単離されている、上記の哺乳動物における炎症状態のインビトロ診断及び/又は予後の方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のエキソビボ診断及び/又は予後の方法に関する。
【0045】
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のエキソビボ診断及び/又は予後並びに/或いは抗炎症治療の経過観察の方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のインビボ診断及び/又は予後の方法に関する。
この実施形態において、RBDは哺乳動物に注入され、哺乳動物生物において標的顆粒球と相互作用し、少なくとも1つの膜レセプターの発現の同定及び定量は前記哺乳動物の標的顆粒球の表面で行われる。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のインビボ診断及び/又は予後並びに/或いは抗炎症治療の経過観察の方法に関する。
【0046】
1つの有利な実施形態において、本発明は、標的顆粒球の表面に存在する上記の少なくとも1つの膜レセプターの発現の同定及び定量を含んでなる、哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法であって、但し、唯一のRBDを使用する場合、前記膜レセプターはGLUT1ではなく、2以上のRBDを使用する場合、前記可溶性レセプター結合性ドメインの少なくとも1つはGLUT1膜レセプターと相互作用しない、方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の少なくとも1つの膜レセプターの発現の同定及び定量を含んでなる、哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後並びに/或いは抗炎症治療の経過観察の方法に関する。
【0047】
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のインビトロ診断及び/又は予後の方法であって、唯一のRBDを使用する場合、前記膜レセプターはGLUT1ではなく、すなわち、前記膜レセプターはGLUT1以外の膜レセプターであり、2以上のRBDを使用する場合、前記可溶性レセプター結合性ドメインの少なくとも1つはGLUT1膜レセプターと相互作用しない、すなわち、少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1以外の膜レセプターと相互作用する、方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のエキソビボ診断及び/又は予後の方法であって、唯一のRBDを使用する場合、前記膜レセプターはGLUT1ではなく、すなわち、前記膜レセプターはGLUT1以外の膜レセプターであり、2以上のRBDを使用する場合、前記可溶性レセプター結合性ドメインの少なくとも1つはGLUT1膜レセプターと相互作用しない、すなわち、少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1以外の膜レセプターと相互作用する、方法に関する。
【0048】
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のエキソビボ診断及び/又は予後並びに/或いは抗炎症治療の経過観察の方法であって、唯一のRBDを使用する場合、前記膜レセプターはGLUT1ではなく、すなわち、前記膜レセプターはGLUT1以外の膜レセプターであり、2以上のRBDを使用する場合、前記可溶性レセプター結合性ドメインの少なくとも1つはGLUT1膜レセプターと相互作用しない、すなわち、少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1以外の膜レセプターと相互作用する、方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態のインビボ診断及び/又は予後並びに/或いは抗炎症治療の経過観察の方法であって、唯一のRBDを使用する場合、前記膜レセプターはGLUT1ではなく、すなわち、前記膜レセプターはGLUT1以外の膜レセプターであり、2以上のRBDを使用する場合、前記可溶性レセプター結合性ドメインの少なくとも1つはGLUT1膜レセプターと相互作用しない、すなわち、少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1以外の膜レセプターと相互作用する、方法に関する。
【0049】
1つの有利な実施形態において、本発明は、
以下の工程:
a.任意にタグで標識された上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインを、疾患哺乳動物の標的顆粒球と接触させて、前記少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインと前記標的顆粒球の少なくとも1つの膜レセプターとにより構成される少なくとも1つの複合体を形成する工程
b.形成した前記少なくとも1つの複合体を同定する工程
c.前記複合体を形成することができる前記標的顆粒球の各膜レセプターの発現を定量する工程
d.工程aの前記少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインを、コントロール哺乳動物の標的顆粒球と接触させ、工程bでのように形成した各複合体を同定し、工程cでのように前記複合体を形成することができる前記標的顆粒球の各膜レセプターの発現を定量する工程
e.工程c及びdでの膜レセプターの発現レベルを比較する工程であって、コントロール哺乳動物と比較して、前記疾患哺乳動物の標的顆粒球の膜レセプターの過剰な発現又は過少な発現が炎症状態を示す工程
を含んでなる、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
【0050】
この実施形態において、炎症状態を有しない健常哺乳動物の顆粒球が本方法のコントロールである。
未処置疾患哺乳動物の顆粒球がまた、本方法のコントロールであり得る。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後並びに/或いは抗炎症治療の経過観察の方法に関する。
【0051】
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記工程c及びdにおける膜レセプターの発現レベルを比較する工程であって、未処置コントロールと比較して、治療下の前記疾患哺乳動物の標的顆粒球の膜レセプターの過剰発現又は過少発現が炎症状態の改変を示す、更なる工程を含んでなる、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後並びに/或いは抗炎症治療の経過観察の方法に関する。
この実施形態において、炎症状態を有しない健常哺乳動物又は未処置疾患哺乳動物の顆粒球が本方法のコントロールである。
【0052】
使用するタグは上記のとおりであり、形成した複合体の同定は上記のとおり行われる。
任意にタグで標識された上記の少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインと、処置した及び/又は未処置の疾患哺乳動物或いはコントロール哺乳動物の標的顆粒球との接触が、上記の温度での約15分〜約45分間、特に30分間である。
この実施形態において、前記膜レセプターのコントロール哺乳動物における発現と比較して、疾患哺乳動物の1つの膜レセプターの過剰発現又は過少発現が炎症の特異的バイオマーカーである。
【0053】
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、2つRBDを炎症の特異的バイオマーカーとして使用する工程aを含んでなる。
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、3つRBDを炎症の特異的バイオマーカーとして使用する工程aを含んでなる。
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、4つRBDを炎症の特異的バイオマーカーとして使用する工程aを含んでなる。
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、5つRBDを炎症の特異的バイオマーカーとして使用する工程aを含んでなる。
【0054】
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、6つRBDを炎症の特異的バイオマーカーとして使用する工程aを含んでなる。
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、7〜20のRBDを炎症の特異的バイオマーカーとして使用する工程aを含んでなる。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記コントロール哺乳動物が疾患哺乳動物と同じ哺乳動物種である、哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
この実施形態において、炎症状態を有する前記疾患哺乳動物の顆粒球もまた、前記方法のコントロールである。
【0055】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記顆粒球が好中球、特に血液好中球及び肺好中球である、哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
よって、この実施形態において、各患者から同時にサンプリングされた血液PMN(静止状態)が肺PMN(活性化)のコントロールである。
にもかかわらず、より高いレベルの炎症を有する患者群とは有意に異なる炎症レベルを有する患者群もまた、コントロール群として見なすことができる(実施例2参照)。
1つの有利な実施形態において、本発明は、炎症状態が嚢胞性線維症である、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
【0056】
1つの有利な実施形態において、本発明は、
以下の工程
a.任意にタグで標識されたHTLV-2 RBD(配列番号28)及び/又はKoRV RBD(配列番号20)を、哺乳動物の肺好中球と接触させて、少なくとも1つの複合体を形成する工程
b.形成した、HTLV-2レセプター結合性ドメインとGLUT1膜レセプター及び/又はKoRVレセプター結合性ドメインと前記肺好中球のPiT1膜レセプターとにより構成される前記少なくとも1つの複合体を同定する工程
c.前記複合体を形成することができる前記肺好中球の前記GLUT1及び/又はPiT1膜レセプターの発現を定量する工程
d.前記HTLV-2 RBD及び/又はKoRV RBDを血液好中球と接触させ、前記複合体を形成することができる前記血液好中球の前記GLUT1及び/又はPiT1膜レセプターの発現を同定及び定量する工程
e.各膜レセプターの発現レベルを比較する工程であって、血液好中球と比較して肺好中球におけるGLUT1及び/又はPiT1の過剰発現が嚢胞性線維症の間の肺炎症状態を示す工程
を含んでなる、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
【0057】
1つの有利な実施形態において、本発明は、
以下の工程
a.任意にタグで標識されたRD114 RBD(配列番号3)及びAMLV RBD(配列番号1)を、哺乳動物の肺好中球と接触させて、少なくとも1つの複合体を形成する工程
b.形成した、RD114レセプター結合性ドメインとASCT2膜レセプター及び/又はAMLVレセプター結合性ドメインと前記肺好中球のPiT2膜レセプターとにより構成される前記少なくとも1つの複合体を同定する工程
c.前記複合体を形成することができる前記肺好中球の前記ASCT2及び/又はPiT2膜レセプターの発現を定量する工程
d.前記RD114 RBD及び/又はAMLV RBDを血液好中球と接触させ、前記複合体を形成することができる前記血液好中球の前記ASCT2及び/又はPiT2膜レセプターの発現を同定及び定量する工程
e.各膜レセプターの発現レベルを比較する工程であって、肺好中球と比較して血液好中球におけるASCT2及び/又はPiT2の過剰発現及び/又は過少発現が嚢胞性線維症の間の肺炎症状態を示す工程
を含んでなる、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
【0058】
両レセプター(ASCT2及びPiT2)の発現レベルが、嚢胞性線維症の間の重篤な肺炎症状態バイオマーカーである。
1つの有利な実施形態において、本発明は、
以下の工程;
a.任意にタグで標識されたPERVA RBD(配列番号21)及び/又はBLV RBD(配列番号30)を、哺乳動物の肺好中球と接触させて、少なくとも1つの複合体を形成する工程
b.形成した、PERVAレセプター結合性ドメインと前記肺好中球のPAR膜レセプター及び/又はBLVレセプター結合性ドメインとBLVと相互作用する膜レセプターとにより構成される前記少なくとも1つの複合体を同定する工程
c.前記複合体を形成することができる前記肺好中球の前記PAR及び/又はBLVと相互作用する膜レセプターの発現を定量する工程
d.前記PERVA RBD及び/又はBLV RBDを血液好中球と接触させ、前記複合体を形成することができる前記血液好中球の前記PAR及び/又はBLVと相互作用する膜レセプターの各々の発現を同定及び定量する工程
e.各膜レセプターの発現レベルを比較する工程であって、肺好中球と比較して血液好中球における前記BLVと相互作用する膜レセプターの過剰発現及び/又は肺好中球と比較して血液好中球におけるPARの過少発現が嚢胞性線維症の間の肺炎症状態を示す工程
を含んでなる、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
【0059】
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、3つのRBDがCFの特異的バイオマーカーとして使用される工程aを含んでなる。
表Iは、使用することができる3つのRBDの全ての組合せを特定する:
【表1】
【0060】
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、4つのRBDがCFの特異的バイオマーカーとして使用される工程aを含んでなる。
表IIは、使用することができる4つのRBDの全ての組合せを特定する:
【表2】
【0061】
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、5つのRBDがCFの特異的バイオマーカーとして使用される工程aを含んでなる。
表IIIは、使用することができる5つのレセプターRBDの全ての組合せを特定する:
【表3】
【0062】
1つの有利な実施形態において、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法は、6つのRBD(例えば、HTLV-2/KoRV/RD114/AMLV/BLV/PERVA)がCFの特異的バイオマーカーとして使用される工程aを含んでなる。
上記の本発明による方法は、肺好中球において発現し、1、2、3、4、5若しくは6つのRBD又はそれより多く(上限20)により同定及び定量される標的顆粒球の膜レセプターの、血液好中球と比較しての過剰発現及び/又は過少発現が、嚢胞性線維症の間の炎症状態の特異的バイオマーカーであることを示す。
【0063】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記顆粒球が好酸球である、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記顆粒球が好塩基球である、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、前記顆粒球がマスト細胞である、上記の哺乳動物における炎症状態の診断及び/又は予後の方法に関する。
【0064】
別の1つの観点において、本発明は、
以下の工程;
a.標的顆粒球の表面に存在する上記の少なくとも1つの膜レセプターの発現を同定及び定量する工程
b.前記顆粒球を前記炎症状態を治療する傾向がある薬物と接触させて、処置顆粒球を得る工程
c.処置顆粒球の表面に存在する上記で規定の少なくとも1つの膜レセプターの発現を同定及び定量する工程
d.前記少なくとも1つの膜レセプターの発現レベルを前記薬物との接触の前後で比較する工程であって、接触後の前記少なくとも1つの膜レセプターの発現の増加及び/又は減少が、前記炎症状態に依存する前記薬物の治療効果を示す、工程
を含んでなる、哺乳動物における可能性のある抗炎症薬の治療効力を測定する方法に関する。
【0065】
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記工程a〜dを含んでなり、標的顆粒球が哺乳動物から事前に単離されている、哺乳動物における可能性のある抗炎症薬又は体液中の顆粒球数の低下を導く薬物の治療効力をインビトロで測定する方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記工程a〜dを含んでなる、哺乳動物における可能性のある抗炎症薬又は体液中の顆粒球数の低下を導く薬物の治療効力をエキソビボで測定する方法に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記工程a〜dを含んでなり、RBDが哺乳動物に注入され、哺乳動物生物において標的顆粒球と相互作用し、前記炎症状態を治療する傾向がある薬物が哺乳動物に注入され、少なくとも1つの膜レセプターの発現の同定及び定量が前記哺乳動物の標的顆粒球の表面で行われる、哺乳動物における可能性のある抗炎症薬又は体液中の顆粒球数の低下を導く薬物の治療効力をインビボで測定する方法に関する。
【0066】
1つの有利な実施形態において、本発明は、工程aが、唯一のRBDを使用する場合、前記膜レセプターはGLUT1ではなく、すなわち、前記膜レセプターはGLUT1以外の膜レセプターであり、2以上のRBDを使用する場合、前記可溶性レセプター結合性ドメインの少なくとも1つはGLUT1膜レセプターと相互作用しない、すなわち、少なくとも1つの可溶性レセプター結合性ドメインがGLUT1以外の膜レセプターと相互作用するとの条件で実施される、上記の、哺乳動物における可能性のある抗炎症薬又は体液中の顆粒球数の低下を導く薬物の治療効力を測定する方法に関する。
1つの有利な実施形態において、上記の抗炎症薬は、炎症状態、例えば嚢胞性線維症、アレルギー又は喘息の治療に意図される薬物の製造に使用することができる。
【0067】
図面の説明
図1は、ベクタープラスミドに挿入される、エンベロープ糖タンパク質(Env)のγ及びδウイルスレセプター結合性ドメイン(RBD)からのレセプター結合性ドメイン(RBD又はRBD-由来プローブ)の位置を示す。
図2は、CFにおけるサンプルプロセシングを示す。血液及び痰の両方は、小児及び成人から集め、400gにて遠心分離して細胞をペレット化し、それを固定した後、分析まで-80℃にて凍結する。
【0068】
図3A〜3Dは、集団弁別のゲーティングストラテジを示す。
代表的には、左上パネル(
図3A及び3B)に示すように、単一生存好中球を2つの分析ゲートを介してゲーティングする。
次いで、血液白血球 (Eo:好酸球、Ly:リンパ球,、M:単球、及びN:好中球)の亜集団を弁別し、気道好中球(N)をCTB染色で選択する(左下パネル(PMNはCTB
hi/SSC-A
hiである)(
図3C及び3D))。
FSC-A:前方光散乱-面積
SSC-A:側方光散乱-面積
FSC-H:前方光散乱-高さ
CTB:コレラ毒素B
DRAQ5
TM:細胞生存能のマーカー
【0069】
図4A及び4Bは、RBD結合及び輸送体発現を示す。
図4Aは、血液好中球(上方半分、上方の白抜き曲線は擬似(mock)に相当し、黒塗り曲線がGLUT1の結合に相当する)及び痰好中球(下方半分、上方の白抜き曲線は擬似(mock)に相当し、黒塗り曲線がGLUT1の結合に相当する)におけるGLUT1の発現を示す。
図4Bは、血液好中球(上方半分、上方の白抜き曲線は擬似(mock)に相当し、黒塗り曲線がPiT1の結合に相当する)及び痰好中球(下方半分、上方の白抜き曲線は擬似(mock)に相当し、黒塗り曲線がPiT1の結合に相当する)におけるPiT1の発現を示す。
ゲーティングされたCF PMN上でのGlut1、PiT1の尺度(蛍光のGeomean)。統計分析は、ウィルコクソン検定で行う。左側のヒストグラムは、16患者についてのGlut1及びPiT1発現の代表である。
【0070】
図5A〜5Fは、慢性関節リウマチ患者(RA)及び健常コントロールドナー(HC)からの好中球上でのRBD結合及び輸送体発現を示す。ゲーティングされたRA及びHCのPMN上でのPiT1(
図5A)、PiT2(
図5D)、BLVレセプター(
図5B)、hRFT1&3(
図5E)、ASCT2(
図5C)及びGlut1(
図5F)の尺度(蛍光のdeltaMedian)。統計分析は、ウィルコクソン検定で行う。グラフは、8人のHC及び9人のRA患者の代表である。
【実施例】
【0071】
実施例:
実施例1:293T細胞トランスフェクションでのレセプター結合性リガンドの作製の一般方法
D-1日目:293T細胞拡大
【表4-1】
D0日目:リン酸カルシウム沈殿によるトランスフェクション
【表4-2】
【0072】
1)(フード下)エッペンドルフチューブ中でレセプター結合性タンパク質のHBS+DNAを調製する:
【表5-1】
2)CaCl2 2M(滅菌)を最終濃度=125mMまで添加する:
【表5-2】
3)10秒間「穏やかに」ボルテックスする
4)5分間RTにてインキュベートする。白色沈殿物が形成する
5)この沈殿物を細胞上に穏やかに加え、ホモジナイズする
6)細胞をインキュベータ内に配置する(37℃、5% CO2)。
【0073】
D1日目:培地交換:
午前中できるだけ早くに、FBS- 16H MAX無しの10mlのoptipro SFM培地(Gibco)と穏やかに交換する(293T細胞は容易に脱離する),
その後、インキュベートする(32℃、5% CO2)
【0074】
48時間後、すなわちD3日目:上清回収及び濃縮
・馴化培地を50mlファルコンチューブに回収する
・1500tr/分、3分間、4℃で遠心する
・上清を0.45μmで濾過する
・上清を氷上で保存する
・濃縮器(Icon concentrator, 20ml/9k, PIERCE)に20mlの超純水を加える
・3600tr/分、10分間、(振り子バケット(Swinging-bucket))、4℃にて遠心する
・20mlの濾過RBDサンプルを加える
・3600tr/分、20分間、4℃にて遠心する
・サンプルを加え、20分間遠心分離する(各濃縮器について100ml maxのRBD)
・所望の濃縮係数(100×)まで遠心する
・濃縮サンプルを回収し、小分けし、-80℃で貯蔵する
【0075】
実施例2:FACSの一般方法:
HRBD-EGFP(非抗体Glut1-リガンド)のFACSアッセイは、レセプター結合性リガンドの方法の代表である:
標的細胞:任意の哺乳動物細胞株/ヒトRBC/ヒト活性化PBL又は任意の亜集団/興味対象の任意の初代又は樹立された細胞タイプ
結合アッセイのために:結合アッセイ全体は、37℃にて実施する実際の結合工程を除き、氷上で行わなければならない。
RBDは-80℃で貯蔵した。
RBD-含有馴化培地及び擬似トランスフェクション馴化培地を解凍する。RBD調製物の再凍結を回避する。
【0076】
エッペンドルフチューブにおける単一アッセイ
− 1.5mlエッペンドルフチューブ中1〜2×10
5細胞/アッセイ
− 3分間3200RPMにて遠心分離する
− 上清を穏やかに吸引する
− ペレットを穏やかに再懸濁する(軽く叩く)
− PBS又は培地中で濃縮HRBD-EGFPを1/20(v/v)希釈率で希釈する
− 100μl〜200μl/チューブの希釈物を加え、穏やかに再懸濁する
− 30分間37℃にてインキュベートする (激しく撹拌する必要はない)
− 以下の全ての工程の間、冷却を維持する
− 3分間3200RPM、4℃にて遠心分離し、上清を穏やかに吸引し、ペレットを穏やかに軽く叩く
− 1mlの冷PBA(PBS+2% FBS及び0.01%アジ化ナトリウム)を加え、ペレットを穏やかに軽く叩く
− 最後の2工程を繰返し、ペレットを500μlのPBAで再懸濁し、FACSチューブに移す
− FACS分析
【0077】
96ウェル-マイクロプレート(V字底)における多重アッセイ
− 各結合アッセイ/ウェルについて1〜2×10
5細胞
− 3分間、1500RPMにて遠心分離する
− (例えばシンク上で)プレートを素早くひっくり返して上清を廃棄する
− 吸収紙上でプレートを倒置して、残る液滴を除去する
− プレートを穏やかにボルテックスする
− 濃縮HRBD-EGFP調製物をPBS又は培地に1/20(v/v)に希釈する
− 50μl/ウェルの希釈HRBD-EGFP調製物を加え、穏やかに再懸濁する
− 30分間37℃にてインキュベートする (激しく撹拌する必要はない)
− 以下の全工程のために4℃に移す
− 3分間1500 RPM、4℃にて遠心分離し、上清を前記のとおり廃棄する
− 1500RPMにて3分間の遠心分離を伴って、ペレットを200μlの冷PBAで2回洗浄し、
− ペレットを200μlのPBAで再懸濁し、混合物をFACSチューブに移す
− FACS分析
【0078】
実施例3:血液及び肺好中球におけるCFのマーカーとしてのHTLV-2及びKoRV RBD
可溶性RBDを使用するために、フローサイトメトリ測定までに幾つかの実験工程を必要とするプロトコルを作成した。
簡潔には、HTLV-2 RBD/KoRV RBDを一緒に混合してプローブの組合せを得た。細胞(〜250.10
3、血液及び痰好中球、
図2参照)を、EGFP、マウス-IgG Fc又はウサギ-IgG Fcのいずれかでタグ化されたRBDを保持するこの組合せとインキュベートする。後者は、検出すべき特定のFcに対する特異抗体での二次染色を必要とした(抗-マウスFc Alexa Fluor(登録商標) 405接合体及び/又は抗-ウサギFc Alexa Fluor(登録商標) 488接合体;共にInvitrogen
TMによるMOLECULAR PROBES(登録商標)から)。
【0079】
同時に、血液中の白血球亜集団を分化させ、分析の間に痰における好中球集団を規定することを可能にするコレラ毒素Bの接合体(CTB、Alexa Fluor(登録商標) 555接合体;Invitrogen
TMによるMOLECULAR PROBES(登録商標))を加えた。
その後、細胞をサポニン(又はPerm/洗浄緩衝液I;BD
TMPhosflow;BD Biosciences)で透過化し、細胞生存能のマーカー(DRAQ5;AXXORA(登録商標) PLATFORM;Biostatus Limited)を導入した。アッセイはLSRIIサイトメータ4-レーザLSRIIデジタルFACS (BD
TMフローサイトメータ;BD Biosciences)で行った。
【0080】
結果を表IVに示す:
【表6】
【0081】
データは、メジアン及び四分位間範囲[25%;75%]による蛍光のdeltaGeomeanを示す。
表IVは、Glut1及びPiT1発現についての16人の患者の代表である。
以下のことに留意しなければならない:
実施例3で使用したHTLV-2 RBD又はKoRV RBDは、CFにおけるPMN活性化の特異的バイオマーカーとして単独で使用することができた。
2つのRBDの組合せ:HTLV-2/AMLV又はHTLV-2/RD114又はKoRV/AMLV又はKoRV/RD114は炎症の同様な診断/予後を導いた。
【0082】
実施例4:血液及び肺好中球におけるCFのマーカーとしてのRD114及びAMLV RBD
可溶性RBDを使用するために、フローサイトメトリ測定までに幾つかの実験工程を必要とするプロトコルを作成した。
簡潔には、RD114 RBD/AMLV RBDを一緒に混合してプローブの組合せを得た。細胞(〜250.10
3、血液及び痰好中球、
図2参照)を、EGFP、マウス-IgG Fc又はウサギ-IgG Fcのいずれかでタグ化されたRBDを保持するこの組合せとインキュベートする。後者は、検出すべき特定のFcに対する特異抗体での二次染色を必要とした。
【0083】
同時に、血液中の白血球亜集団を分化させ、分析の間に痰における好中球集団を規定することを可能にするコレラ毒素Bの接合体(CTB)を加えた。
その後、細胞をサポニンで透過化し、細胞生存能のマーカー(DRAQ5)を導入した。アッセイはLSRIIサイトメータで行った。
結果を表Vに示す:気道PMN数、ASCT2及びPiT2発現によるCF炎症の特徴付け。
気道PMN量(PMN/mL)を考慮して患者(N=16)を3群に分ける。ASCT2及びPit2発現レベルのデータは、血液(B)と痰(S)との間の比較に従って分類する。値は、メジアン及び四分位間範囲[25%;75%]による蛍光のdeltaGeomeanを表す。
【0084】
【表7】
【0085】
この分析により、痰と比較したときの血液におけるASCT2及びPiT2の組合せの過剰発現(B≧S)が、高レベルの炎症に対応する最も上昇した気道PMN数(12.10
6細胞と等しいか又はより多い)と相関することが示された。
更に、それぞれ[605;1272]及び[28.7;36.2](×10
3)のdeltaGeomean範囲に含まれる血液PMNにおけるASCT2及びPiT2の組合せの発現が、最高の炎症レベル(N=5)を予測すると結論付けることができた。
本実施例において、AMLV RBD単独の使用が、(B<S)と(B≧S)との間の差がより高いRD114 RBD単独とは対照的に、炎症の診断を可能にするに十分でないことに留意しなければならない。
【0086】
実施例3及び4のRBDを組み合わせることができることにも留意しなければならない。
例として、実施例3及び4に記載した3つのRBDの組合せ:HTLV-2/KoRV/RD114又はHTLV-2/KoRV/AMLV又はHTLV-2/RD114/AMLV又はKoRV/RD114/AMLV、或いは
4つのRBDの組合せ:HTLV-2/KoRV/RD114/AMLV
が、CFにおけるPMN活性化、特に嚢胞性線維症の間の重篤な肺炎症状態のより特異的なバイオマーカー及び炎症のより正確な診断及び/又は予後を導く。
【0087】
実施例5:血液及び肺好中球におけるCFのマーカーとしてのPERVA及びBLV RBD
可溶性RBDを使用するために、フローサイトメトリ測定までに幾つかの実験工程を必要とするプロトコルを作成した。
簡潔には、PERVA RBD/BLV RBDを、一緒に混合してプローブの組合せを得たか又は別々に使用した。細胞(〜250.10
3、血液及び痰好中球、
図2参照)を、EGFP、マウス-IgG Fc又はウサギ-IgG Fcのいずれかでタグ化されたRBDを保持するこの組合せとインキュベートする。後者は、検出すべき特定のFcに対する特異抗体での二次染色を必要とした。
【0088】
同時に、血液中の白血球亜集団を分化させ、分析の間に痰における好中球集団を規定することを可能にするコレラ毒素Bの接合体(CTB)を加えた。
その後、細胞をサポニンで透過化し、細胞生存能のマーカー(DRAQ5)を導入した。アッセイはLSRIIサイトメータで行った。
結果を表VIに示す:PervA及びBLV RBD結合。蛍光のDeltaGeomeanは1人の患者のサンプルで測定する。
PERVA RBD(ブタ内因性レトロウイルスAに由来)は、PAR(PeRV Aレセプターの略号)レセプター(ヒトリボフラビン輸送体1(hRFT1又はPAR2)及びhRFT3(又はPAR1)を含む)に結合する。これを、単一患者で試験することにより、気道好中球上での同族レセプターのダウンレギュレーションを理解することができた。
【0089】
RBDの幾つかは、未同定の輸送体についてのプローブである。
BLV RBD(ウシ白血病ウイルスに由来)を使用して、血液及び気道PMNの間で異なって発現するかどうかを調べた。
BLV RBDは、T及びBリンパ球の活性化マーカー(Lavanyaら,J. Immunol. 2008 Jul 15;181(2):891-8)であるが、顆粒球上に存在するとは記述されていないレセプターを明らかにすることが示された。
1人の患者から得られた結果は、CF肺活性化好中球上へのより高い結合を示した。このことは、CFにおけるPMN活性化の特異的バイオマーカーとしてのBLV RBDの妥当性をあきらかにする証拠である。
【0090】
【表8】
【0091】
実施例5は、患者における気道PMN上のPAR1(hRFT3)及びPAR2(hRFT1)が、血液と比較して痰においてダウンレギュレートされること、及びBLVと相互作用するレセプターが血液と比較して痰において過剰発現することを示す。試験した患者において、BLVと相互作用するレセプターは、血液中で検出されていないが、このレセプターが血液好中球に全く存在しないとはいうことができない。
単独で使用したBLVと相互作用する前記レセプターは、CFにおけるPMN活性化の特異的バイオマーカーとして該当し得ることに留意しなければならない。
実施例3及び4のBLV RBD又はPERVA RBD及び1若しくはそれより多いRBDにより得られる情報を組み合わせることにより、CFにおけるPMN活性化のより特異的なバイオマーカー及び炎症のより正確な診断及び/又は予後が導かれる。
【0092】
実施例6:血液及び肺好酸球における喘息及び/又はアレルギーのマーカーとしてのRBD
実施例6は、血液好酸球と比較して肺好酸球において発現し、1、2、3、4、5又は6つのRBDにより同定及び定量された標的顆粒球の過剰発現及び/又は過少発現膜レセプターが、アレルギー及び/又は喘息の特異的バイオマーカーであることを示す。
【0093】
実施例7:血液及び肺好塩基球におけるアレルギーのマーカーとしてのRBD
実施例7は、血液好塩基球と比較して肺好塩基球において発現し、1、2、3、4、5又は6つのRBDにより同定及び定量された標的顆粒球の過剰発現及び/又は過少発現膜レセプターがアレルギーの特異的バイオマーカーであることを示す。
【0094】
実施例8:血液及び肺マスト細胞におけるアレルギーのマーカーとしてのRBD
実施例8は、血液マスト細胞と比較して肺マスト細胞において発現し、1、2、3、4、5又は6つのRBDにより同定及び定量された標的顆粒球の過剰発現及び/又は過少発現膜レセプターがアレルギーの特異的バイオマーカーであることを示す。
【0095】
実施例9:血液好中球におけるRA炎症状態のマーカーとしてのRBD
実施例3〜5と同じプロトコールを、KoRV、AMLV、BLV、PERVA、RD114及びHTLV2 RBDを用いて行い、慢性関節リウマチ患者(RA)及び健常コントロールドナー(HC)からの好中球上で結合及び輸送体発現(それぞれPiT1、PiT2、BLVR、hRFT1&3、ASCT2及びGlut1)を決定した。
結果を表VII及び図に示す:
【0096】
【表9】
RA患者(N=9)は、HC(N=8)と比較して、PiT1、PiT2、BLVR及びhRFT1&3発現の増加を示す。
値は、メジアン及び四分位範囲[25%;75%]による蛍光のdeltaMedianを表す。