(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932813
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリならびにそれを使用した接続システム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20160526BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R13/46 304L
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-535532(P2013-535532)
(86)(22)【出願日】2011年10月26日
(65)【公表番号】特表2013-545232(P2013-545232A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】IB2011002961
(87)【国際公開番号】WO2012056325
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月9日
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2010/003230
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】513105270
【氏名又は名称】デルフィ・コネクション・システムズ・ホールディング・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ファブル
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ロゼ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・メネ
(72)【発明者】
【氏名】エルワン・ギヤントン
【審査官】
山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−280125(JP,A)
【文献】
米国特許第06328578(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6581
H01R 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付支持体に対して固定され得るよう構成されたコネクタアセンブリ(10)であって、
−コネクタ足部分(1)であるとともに、固定デバイス(5)を使用して前記取付支持体(6)に対して固定され得るよう構成され、さらに、ベースメタルシールドプレート(3)を備えた、コネクタ足部分(1)と、
−コネクタボディ部分(2)であるとともに、前記コネクタ足部分を起点として前記取付支持体から離間する向きに延出され、さらに、ボディシールド部材(22)を備えた、コネクタボディ部分(2)と、
を具備し、
前記ボディシールド部材(22)が、前記ベースメタルシールドプレート(3)に対して電気接触しており、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記固定デバイスに対して電気接触しており、これにより、恒久的な電気接触が、前記ボディシールド部材(22)と前記取付支持体(6)との間に確立され、
前記コネクタ足部分(1)が、前記固定デバイス(5)を受領するための少なくとも1つの穴(14)を備え、
金属インサート(4)が、前記穴(14)内に配置されており、
この金属インサートが、前記ベースメタルシールドプレート(3)に対しておよび前記固定デバイス(5)に対して電気接触していることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタアセンブリ(10)において、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記コネクタ足部分(1)の前記穴(14)に対して同軸的に配置された穴(44)を有し、
前記ベースメタルシールドプレートの前記穴(44)が、前記金属インサート(4)に対して付勢され得るよう構成された傾斜した弾性突起(33)を有していることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコネクタアセンブリ(10)において、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、1XXXシリーズのアルミニウム合金から形成されていることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項4】
取付支持体に対して固定され得るよう構成されたコネクタアセンブリ(10)であって、
−コネクタ足部分(1)であるとともに、固定デバイス(5)を使用して前記取付支持体(6)に対して固定され得るよう構成され、さらに、ベースメタルシールドプレート(3)を備えた、コネクタ足部分(1)と、
−コネクタボディ部分(2)であるとともに、前記コネクタ足部分を起点として前記取付支持体から離間する向きに延出され、さらに、ボディシールド部材(22)を備えた、コネクタボディ部分(2)と、
を具備し、
前記ボディシールド部材(22)が、前記ベースメタルシールドプレート(3)に対して電気接触しており、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記固定デバイスに対して電気接触しており、これにより、恒久的な電気接触が、前記ボディシールド部材(22)と前記取付支持体(6)との間に確立され、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記コネクタ足部分(1)内に受領されるクリップ(32)を有し、
前記クリップ(32)が前記コネクタ足部分(1)内に受領されることにより、前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記コネクタ足部分(1)上に保持されるようになっていることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項5】
取付支持体に対して固定され得るよう構成されたコネクタアセンブリ(10)であって、
−コネクタ足部分(1)であるとともに、固定デバイス(5)を使用して前記取付支持体(6)に対して固定され得るよう構成され、さらに、ベースメタルシールドプレート(3)を備えた、コネクタ足部分(1)と、
−コネクタボディ部分(2)であるとともに、前記コネクタ足部分を起点として前記取付支持体から離間する向きに延出され、さらに、ボディシールド部材(22)を備えた、コネクタボディ部分(2)と、
を具備し、
前記ボディシールド部材(22)が、前記ベースメタルシールドプレート(3)に対して電気接触しており、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記固定デバイスに対して電気接触しており、これにより、恒久的な電気接触が、前記ボディシールド部材(22)と前記取付支持体(6)との間に確立され、
前記ボディシールド部材(22)が、前記ベースメタルシールドプレート(3)上に付勢される弾性ラグ(23)を有し、
前記弾性ラグが前記ベースメタルシールドプレート上に付勢されることにより、前記ボディシールド部材(22)と前記ベースメタルシールドプレート(3)との間の電気接触が確立されることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタアセンブリ(10)において、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記ボディシールド部材(22)の形状に対して実質的に対応した楕円形状の中央開口(30)を有し、
前記弾性ラグ(23)が、前記楕円形状の全周にわたって配置されていることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のコネクタアセンブリ(10)において、
前記固定デバイス(5)が、少なくとも1つのネジ(50)を備え、
このネジが、前記取付支持体(6)のネジ穴(60)内に受領され得るよう構成されていることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項8】
請求項7記載のコネクタアセンブリ(10)において、
前記固定デバイスを受領するための前記少なくとも1つの穴(14)が、ボーダー(17)を有し、
このボーダーが、前記金属インサート(4)よりも突出したものとされ、
これにより、前記ネジのネジ止め後には、前記ボーダーが、前記ネジ(50)によって押圧され、
これにより、前記ボーダーが、前記ネジのネジ止め後には、前記ネジ(50)の緩みを防止するためのブレーキとして作用することを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項9】
取付支持体に対して固定され得るよう構成されたコネクタアセンブリ(10)であって、
−コネクタ足部分(1)であるとともに、固定デバイス(5)を使用して前記取付支持体(6)に対して固定され得るよう構成され、さらに、ベースメタルシールドプレート(3)を備えた、コネクタ足部分(1)と、
−コネクタボディ部分(2)であるとともに、前記コネクタ足部分を起点として前記取付支持体から離間する向きに延出され、さらに、ボディシールド部材(22)を備えた、コネクタボディ部分(2)と、
を具備し、
前記ボディシールド部材(22)が、前記ベースメタルシールドプレート(3)に対して電気接触しており、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記固定デバイスに対して電気接触しており、これにより、恒久的な電気接触が、前記ボディシールド部材(22)と前記取付支持体(6)との間に確立され、
−前記コネクタ足部分(1)が、少なくとも3つの穴(14)を備え、前記固定デバイスが、ネジとされ、
−前記コネクタボディ部分が、実質的に円筒形状のコネクタボディ部分(2)とされ、前記コネクタ足部分を起点として電気的制御デバイスに対して外向きに延出され、さらに、ボディシールド部材(22)が、係合軸線(X)まわりにおいて実質的に円筒形状のものとされ、
−前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記係合軸線(X)に対して垂直な平面(P)内に延在しており、
−少なくとも3つの金属インサート(4)が、前記穴(14)内にそれぞれ配置されており、
前記ベースメタルシールドプレート(3)が、前記金属インサート(4)に対して電気接触しており、
前記金属インサート(4)が、前記ネジ(50)に対して電気接触していることを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項10】
請求項9記載のコネクタアセンブリ(10)において、
前記穴(14)の各々が、ボーダー(17)を有し、
このボーダーが、前記係合軸線(X)に沿って、前記金属インサート(4)よりも突出したものとされ、
これにより、前記ネジのネジ止め後には、前記ボーダーが、前記ネジ(50)によって押圧され、
これにより、前記ボーダーが、前記ネジのネジ止め後には、前記ネジ(50)の緩みを防止するためのブレーキとして作用することを特徴とするコネクタアセンブリ。
【請求項11】
接続システムであって、
−請求項1〜10のいずれか1項に記載のコネクタアセンブリ(10)と、
−固定デバイス(5)と、
−取付支持体(6)と、
を具備し、
前記固定デバイスが、前記取付支持体(6)上へと前記コネクタアセンブリ(10)を固定し得るよう構成され、
前記固定デバイス(5)が、前記取付支持体(6)に対して電気接触していることを特徴とする接続システム。
【請求項12】
接続システムであって、
−請求項8または10に記載のコネクタアセンブリ(10)と、
−ネジ(50)と、
−取付支持体(6)と、
を具備し、
前記ネジ(50)が、前記取付支持体上へと前記コネクタアセンブリを固定し得るよう構成され、
前記固定デバイスが、前記取付支持体(6)に対して電気接触しており、
前記ネジ(50)が、ネジ止め後には、前記ボーダーを押圧し、
これにより、前記ボーダーが、前記ネジのネジ止め後には、前記ネジ(50)の緩みを防止するためのブレーキとして作用することを特徴とする接続システム。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のコネクタアセンブリ(10)を取付支持体(6)に対して固定するための取付方法であって、
−前記コネクタ足部分(1)上に前記ベースメタルシールドプレート(3)を取り付け、
−穴(14)内に金属インサート(4)を挿入し、
−固定デバイス(5)を使用して前記コネクタアセンブリを固定し、これにより、前記ボディシールド部材(22)を前記ベースメタルシールドプレート(3)に対して電気接触させ、前記ベースメタルシールドプレート(3)を前記固定デバイス(5)に対して電気接触させ、前記固定デバイスを前記取付支持体(6)に対して電気接触させる、
ことを特徴とする取付方法。
【請求項14】
請求項8または10に記載のコネクタアセンブリ(10)を取付支持体(6)に対して固定するための取付方法であって、
−前記コネクタ足部分(1)上に前記ベースメタルシールドプレート(3)を取り付け、
−穴(14)内に金属インサート(4)を挿入し、
−前記取付支持体(6)のネジ穴(60)内に前記ネジ(50)をネジ止めし、これにより、前記ボディシールド部材(22)を前記ベースメタルシールドプレート(3)に対して電気接触させ、前記ベースメタルシールドプレート(3)を前記固定デバイスに対して電気接触させ、前記固定デバイスを前記取付支持体(6)に対して電気接触させ、前記ネジ(50)が、ネジ止め後には、前記ボーダーを押圧し、これにより、前記ボーダーを、前記ネジのネジ止め後には、前記ネジ(50)の緩みを防止するためのブレーキとして作用させる、
ことを特徴とする取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気的制御デバイスは、通常、1つまたは複数の電気的コネクタを介して、配線用ハーネスに対して接続されている。この電気的接続を可能とするために、電気的制御デバイスのハウジング上に、コネクタアセンブリ(ソケットとも称される)を設けることが普通である。
【0003】
さらに、そのようなコネクタを通過する信号および供給電力は、電磁妨害(‘EMI’とも称される)を受けることができる、あるいは、それ自体が擾乱を生成することができる。よって、そのようなコネクタを通過する信号および供給電力をシールドすることが有利である。これにより、入ってくる妨害に対しての免疫性を増大させることができ、生成される擾乱の程度を低減することができる。このような構成は、‘EMC’すなわち電磁波による障害を受けない特性とも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】本明細書には、先行技術文献は、記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コネクタアセンブリのシールドを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、例えば電気的制御デバイスといったような取付支持体に対して固定され得るよう構成されたコネクタアセンブリであって、配線ハーネスに属する対応係合部材を受領し得るよう構成されたコネクタアセンブリが提供される。
【0007】
コネクタアセンブリは、コネクタ足部分であるとともに、固定デバイスを使用して電気的制御デバイスのハウジングに対して固定され得るよう構成された、コネクタ足部分を具備している。
【0008】
コネクタ足部分は、さらに、ベースメタルシールドプレートを備えている。
【0009】
本発明においては、ベースメタルシールドプレートは、メインの合金元素に基づいて様々なカテゴリー(あるいは、シリーズ)に分類される例えば銅合金やスズ合金やアルミニウム合金といったような任意の電気伝導性材料から形成される。
【0010】
しかも、そのようなコネクタアセンブリが外部環境に曝されることのために、様々な種類の腐食(例えば、孔食や表面腐食)が見受けられ、これにより、コネクタアセンブリの機能が悪影響を受けかねない。したがって、良好なシールド特性を有しているとともに湿潤性の腐食環境下に耐え得るようなコネクタアセンブリを提供することが、興味深い。
【0011】
よって、一実施形態においては、ベースメタルシールドプレートは、例えば1100や1080や1050や1060や1070や1010といったような1XXXシリーズのアルミニウム合金から形成されている。実際、そのような特定の1XXXシリーズのアルミニウム合金は、そのような用途において好適であるような、耐腐食性のシールド特性を提供する。好ましい実施形態においては、ベースメタルシールドプレートは、アルミニウム合金1050から形成される。
【0012】
アルミニウム合金の分類は、国際合金分類体系(International Alloy Designation System, IADS)によって確立されており、当業者に周知である。
【0013】
IADSによれば、1XXXシリーズのアルミニウム合金は、少なくとも99%のアルミニウムを含有している。第2桁は、合金に対しての修正すなわち不純物限界を示している。残りの2つの桁は、合金の純度を示している。例えば、アルミニウム合金1070は、最小でも99.70%のアルミニウムを含有していることを意味しており、アルミニウム合金1050は、最小でも99.50%のアルミニウムを含有していることを意味しており、アルミニウム合金1100は、最小でも99.00%のアルミニウムを含有していることを意味している。
【0014】
コネクタアセンブリは、コネクタボディ部分であるとともに、コネクタ足部分を起点として取付支持体から離間する向きに延出された、コネクタボディ部分を具備している。
【0015】
好ましい実施形態においては、コネクタボディ部分は、ボディシールド部材を備えており、ボディシールド部材は、ベースメタルシールドプレートに対して電気接触している。さらに、ベースメタルシールドプレートは、固定デバイスに対して電気接触している。
【0016】
配置関係により、コネクタアセンブリが取付支持体に対して固定されたときには常に、固定デバイスとボディシールド部材との間において、電気接触の連続性が確保される。さらに、固定デバイスは、取付支持体に対して電気接触している。これにより、コネクタアセンブリのボディシールド部材と取付支持体との間における電気接触の完全な連続性が確立される。
【0017】
いくつかの他の実施形態においては、従属請求項に規定された1つまたは複数の特徴点を使用することができる。
【0018】
他の見地においては、本発明は、また、接続システムに関するものであって、上述したようなコネクタアセンブリと、固定デバイスと、取付支持体と、を具備している。さらに、固定デバイスは、取付支持体上へとコネクタアセンブリを固定し得るよう構成され、固定デバイスは、取付支持体に対して電気接触している。
【0019】
他の見地においては、本発明は、また、上述したようなコネクタアセンブリを取付支持体に対して固定するための取付方法に関するものであって、この方法においては、
−コネクタ足部分上にベースメタルシールドプレートを取り付け、
−穴内に金属インサートを挿入し、
−固定デバイスを使用してコネクタアセンブリを固定する。
【0020】
その結果、ボディシールド部材をベースメタルシールドプレートに対して電気接触させ、ベースメタルシールドプレートを固定デバイスに対して電気接触させる。さらに、固定デバイスを取付支持体に対して電気接触させる。
【0021】
本発明の他の特徴点および利点は、添付図面を参照しつつ、非制限的な例示をなす本発明の様々な実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明によるコネクタアセンブリを示す図である。
【
図1b】本発明によるコネクタアセンブリを示す図である。
【
図2】
図1のコネクタアセンブリを示す断面図である。
【
図3】足部分の断面を拡大して詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付図面においては、同一の部材または同様の部材には、同じ符号が付されている。
【0024】
図1aおよび
図1bは、本発明によるコネクタアセンブリ10を示している。本発明によるコネクタアセンブリ10は、
−コネクタ足部分1であるとともに、実質的に矩形とされた全体形状を有し、底面15と頂面16とを備え、さらに、ベースメタルシールドプレート3を備え、このベースメタルシールドプレート3が、
図1bに示すように、底面15に対して接触して配置され得るよう構成された、コネクタ足部分1と、
−コネクタボディ部分2であるとともに、コネクタ足部分の頂面16を起点として延出され、実質的に円筒形とされた全体形状を有した、コネクタボディ部分2と、
を具備している。
【0025】
コネクタ足部分1とコネクタボディ部分2とは、プラスチック部材から形成することができ、好ましくは、一体的プラスチック成型部材から形成することができる。
【0026】
図示の例においては、コネクタボディ部分2は、楕円形状とされており、外面25と内面26とを備えている(
図2参照)。ボディシールド部材22が、内面26に対して接触して配置されている。ボディシールド部材22は、薄い金属シートから形成されており、ベース部分22aから頂部部分22bまでにわたって延在している。ベース部分22aは、コネクタ足部分1の底面15に対して接触している。
【0027】
ボディシールド部材22の内方側に、中空部分80が設けられている。中空部分80内には、配線や端子を通すことができる。図示の例においては、2つの電源用接続部分81,82と2つの信号用接続部分83,84とが、中空部分80内に設けられている(
図1bを参照することができる)。当然のことながら、他の接続構成も可能である。
【0028】
配線用ハーネスに属する係合コネクタを、係合軸線Xに沿って、
図1aおよび
図1bにおける左側から、コネクタアセンブリ10に対して接続することができる。
【0029】
ボディシールド部材22は、ベース部分22aから斜め外向きに延出された弾性ラグ23を有している。図示の例においては、弾性ラグ23は、ベース部分22aの全周にわたって配置されている。弾性ラグ23は、ベースメタルシールドプレート3上に載置される。これにより、ボディシールド部材22とベースメタルシールドプレート3との間にわたって、電気的接続を形成することができる。
【0030】
図2に示すように、コネクタ足部分1は、固定手段によって電気的制御デバイスの例えばハウジング6といったような取付支持体に対して固定し得るよう構成されている。電気的制御デバイスは、例えばセンサやアクチュエータといったような部材に対しての電気的インターフェースを備えており、さらに、例えば図示されたコネクタアセンブリ10といったような電気的コネクタアセンブリを介して、電源に対しての電気的インターフェースを備えている。コネクタ足部分は、また、電気的コネクタデバイス上に対してではなく、車両のフレーム部分上へとあるいはエンジンの一部上へと、直接的に固定することができる。
【0031】
ハウジング6は、制御ユニットを収容しており、制御ユニットを、機械的にかつ電磁的に保護し得るよう構成されている。ハウジング6は、固定デバイス5を受領し得るよう構成された凹所60を備えている。図示の例においては、固定デバイスは、ネジ50とされており、対応する凹所は、ネジ山付き穴60とされている。しかしながら、本発明においては、例えばリベット止めや嵌合や他の手段といったような他の固定デバイスを利用することができる。
【0032】
少なくともネジ山付き穴60の周囲においては、ハウジング6は、少なくとも部分的に金属から形成されている。よって、固定デバイス5がハウジングに対して固定されたときには、固定デバイス5は、ハウジング6に対して恒久的に電気接触している。
【0033】
コネクタ足部分1上には、固定デバイス5を受領するための少なくとも1つの穴14が設けられている。図示の例においては、コネクタ足部分1の4つのコーナーにそれぞれ配置された合計で4つの穴14が設けられている。
【0034】
さらに、金属インサート4が、各穴14内に挿入されている。各金属インサート4は、詳細に後述するように、ベースメタルシールドプレート3と固定デバイス5との双方に対して電気接触している。
【0035】
ベースメタルシールドプレート3に関しては、ベースメタルシールドプレート3は、薄い金属シートから形成されているとともに、コネクタ足部分1の矩形形状と同様に、実質的な矩形形状を有している。ベースメタルシールドプレート3は、係合軸線Xに対して垂直な妨害平面Pに対して平行に配置されている。
【0036】
ベースメタルシールドプレート3は、電気配線を通過させるための中央開口30と、コネクタ足部分1の穴14に対して同軸的に配置された穴44(少なくとも1つの穴、この例においては、4つの穴)と、を備えている。各穴44のエッジは、コネクタ足部分1に向けて傾斜した少なくとも1つの弾性突起33を有しており、金属インサート4に向けて付勢され得るよう構成されている。さらに、ベースメタルシールドプレート3は、4つのクリップ32(
図1a参照)を備えている。これらクリップは、コネクタ足部分に設けられた対応凹所18内に係合する。クリップ32は、ベースメタルシールドプレート3の表面から実質的に垂直に延在している。好ましくは、クリップ32は、松の木の形状を有しており、これにより、凹所18内へと挿入された後には、保持されることができる。これにより、ベースメタルシールドプレート3は、
図1bに示すように、固定デバイス5による固定に先立って、コネクタ足部分1上に堅固に保持される。
【0037】
ハウジング6上に上記のコネクタアセンブリが固定されることの結果として、恒久的な電気接触が、ハウジング6とボディシールド部材22との間に、ベースメタルシールドプレート3によっておよび金属インサート4によって、確立される。したがって、有利には、本発明においては、ハウジング6とコネクタボディ部分2との間には、連続的にシールドが形成される。これにより、制御ユニット自体と電磁気的環境との双方に関して、電磁気的保護が確保される。これは、ハウジング6の外表面に対して、例えばペインティングや腐食保護等といったような電気絶縁性とし得る任意の適切な処理を施すことを可能とする。
【0038】
図3においては、固定デバイスは、ネジ50によって例示されている。ネジ50は、ヘッド52と、ベアリングカラー51と、ハウジング6の雌ネジ60内に受領される雄ネジ54が設けられたボディ53と、を有している。金属インサート4は、弾性突起33に対して付勢される底部41と、ネジのカラー51に対して付勢される頂部42と、を有している。
【0039】
金属インサートの外表面は、穴14の内表面に対して接触している。穴14の頂部領域には、ボーダー17が設けられている。ボーダー17は、頂部42の上エッジ42bよりも上側へと、係合軸線Xに沿って突出している。
【0040】
図3におけるネジの左側における局所的な破断図は、ネジ止め前におけるボーダー17を示しており、一方、
図3の右側は、ネジ止め後におけるボーダー17を示している。
【0041】
その結果、ネジ50がネジ止めされたときには、ボーダー17は、まず最初にカラー51へと到達し、その後、金属インサート4の頂部42の上エッジ42bによって規定される高さ位置にまで押圧される。
【0042】
その結果、押圧された部分は、少なくとも部分的に弾性変形し、ネジ50に対してのブレーキとして作用する。これにより、ネジ50の緩みを避けることができる。
【0043】
本発明は、また、ハウジング6に対して上記のコネクタアセンブリ10を取り付けるための取付方法に関するものである。本発明による方法においては、
−上記クリップ32によってベースメタルシールドプレート3を所定位置に保持し、これにより、コネクタ足部分1上にベースメタルシールドプレート3を取り付け、
−穴14内に金属インサート4を挿入し、
−固定デバイス5を使用してコネクタアセンブリを固定する。
【0044】
その結果、ボディシールド部材22は、ベースメタルシールドプレート3に対して恒久的に電気接触し、ベースメタルシールドプレート3は、固定デバイス5に対して恒久的に電気接触し、固定デバイスは、金属インサート4を介して、ハウジング6に対して連続的にかつ恒久的に電気接触する。
【0045】
したがって、コネクタボディ部分2から電気的制御デバイスのハウジング6に対しての電気的な連続性およびシールドの連続性が確保される。
【0046】
さらに、ネジ50は、ネジ止め時には、ボーダー17を押圧する。押圧されたボーダーは、少なくとも部分的に弾性変形し、ネジ止め後にはネジに対してのブレーキとして作用する。これにより、ネジ50の緩みを防止することができる。
【0047】
実験例
実験例1:接続システムに対しての食塩水スプレーテスト
1−実験パラメータ
食塩水スプレーテストを、以下の接続システムに対して実施した。
【0048】
−サンプルA:コネクタアセンブリは、ベースメタルシールドプレートを備えていない。このコネクタアセンブリは、固定デバイスを使用して、電気的デバイスのハウジングに対して固定されている。
【0049】
−サンプルB:コネクタアセンブリは、アルミニウム合金1050からなるベースメタルシールドプレートを備えている。このコネクタアセンブリは、固定デバイスを使用して、電気的デバイスのハウジングに対して固定されている。
【0050】
テストの前に、インターフェースシールド測定を測定した。そのために、サンプルA,Bを、ブレード上に配置し、インターフェースシールド測定を、マルチメータの端子どうしの間において測定した。インターフェース抵抗シールドの結果は、接続システム全体を表すものである。
【0051】
サンプルA,Bを、食塩水フォグチャンバ内に配置し、様々なテストを行った。テストにおけるパラメータが、表1にまとめられている。
【0053】
1サイクルには、8時間を必要とする。
【0054】
78サイクル後に、サンプルA,Bのインターフェースシールド測定を測定した。
【0057】
結果は、アルミニウム合金1050からなるベースメタルシールドプレートを備えたコネクタアセンブリ(サンプルB)の方が、ベースメタルシールドプレートを備えていないコネクタアセンブリ(サンプルA)と比較して、スプレーテスト前におけるインターフェース抵抗シールドと、78サイクルというスプレーテスト後におけるインターフェース抵抗シールドと、の間の差が非常に小さいことを、明瞭に示している。
【0058】
3−結論
これら結果は、アルミニウム合金1050からなるベースメタルシールドプレートの存在が、コネクタアセンブリの内部の腐食の低減を可能とすることを、特に、デバイスのインターフェース領域における腐食の低減を可能とすることを、強調する。
【0059】
実験例2:様々なアルミニウム合金からなるベースメタルシールドプレートどうしの間の腐食の比較
【0060】
以下のような様々な接続システムに対して、実験例1において上述した食塩水テストを実施した。
【0061】
サンプル1:コネクタアセンブリは、1010アルミニウム合金(1XXXシリーズ)からなるベースメタルシールドプレートを備えている。このコネクタアセンブリは、固定デバイスを使用して、電気的デバイスのハウジングに対して固定されている。
【0062】
サンプル2:コネクタアセンブリは、2017アルミニウム合金(2XXXシリーズ)からなるベースメタルシールドプレートを備えている。このコネクタアセンブリは、固定デバイスを使用して、電気的デバイスのハウジングに対して固定されている。
【0063】
サンプル3:コネクタアセンブリは、5754アルミニウム合金(5XXXシリーズ)からなるベースメタルシールドプレートを備えている。このコネクタアセンブリは、固定デバイスを使用して、電気的デバイスのハウジングに対して固定されている。
【0064】
80サイクル後に、サンプル1,2,3のコネクタアセンブリを、電気的デバイスのハウジングから取り外し、腐食度合いを目視で観測した。
【0065】
1XXXシリーズからなるベースメタルシールドプレートが、最小の腐食を示し、2XXXシリーズからなるベースメタルシールドプレートが、最大の腐食を示した。
【0066】
これら観測結果は、1XXXシリーズのベースメタルシールドプレートが、最良の耐腐食特性を示すことを、強調する。
【符号の説明】
【0067】
1 コネクタ足部分
2 コネクタボディ部分
3 ベースメタルシールドプレート
4 金属インサート
5 固定デバイス
6 取付支持体、ハウジング
10 コネクタアセンブリ
14 穴
17 ボーダー
22 ボディシールド部材
23 弾性ラグ
30 中央開口
32 クリップ
33 傾斜した弾性突起
44 穴
50 ネジ
60 ネジ穴
X 係合軸線