特許第5932823号(P5932823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932823
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】受動式ルーバーベース採光システム
(51)【国際特許分類】
   F21S 11/00 20060101AFI20160526BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20160526BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   F21S11/00 330
   E06B9/24 Z
   E06B5/00 D
【請求項の数】27
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-539948(P2013-539948)
(86)(22)【出願日】2011年11月15日
(65)【公表番号】特表2014-504426(P2014-504426A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】US2011060784
(87)【国際公開番号】WO2012068104
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年11月5日
(31)【優先権主張番号】13/222,533
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/413,804
(32)【優先日】2010年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】スオト,ケビン,ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン,マリリン
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−511836(JP,A)
【文献】 国際公開第93/025792(WO,A1)
【文献】 特開平10−012019(JP,A)
【文献】 COURRET, GILLES,APPLICATION DE L'OPTIQUE ANIDOLIQUE A L'ECLAIRAGE NATUREL LATERAL D'UN NOUVEAU BATIMENT,8. SCHWEIZERISCHES STATUS-SEMINAR: ENERGIEFORSCHUNG IM HOCHBAU,1994年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 11/00
E06B 5/00
E06B 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物で使用するための採光システムであって、
前記採光システムはルーバーアレイを備え
前記ルーバーアレイは、第1の長手方向要素と、該第1の長手方向要素から隔置された第2の長手方向要素を備え、
(i)前記第1の長手方向要素と前記第2の長手方向要素の少なくとも一方のプロファイルが非対称であり、
(ii) 前記第1の長手方向要素と前記第2の長手方向要素の各々は、放物面を含む下部プロファイルを有し、
(iii)前記第1の長手方向要素と前記第2の長手方向要素の対向する表面部分が、複合放物面集光器プロファイルを画定し、
(iv)前記複合放物面集光器プロファイルの中心線は、水平ではなくて、上方向に傾斜しており、
(v)前記アレイは、該アレイを通る視線を遮る
ことからなる、採光システム。
【請求項2】
前記第1の長手方向要素は、概ね三角形のプロファイルを有する、請求項1の採光システム。
【請求項3】
前記三角形のプロファイルは、前縁部、後縁部、及び、それらの間にある頂点を有する、請求項2の採光システム。
【請求項4】
前記頂点は、前記前縁部及び前記後縁部から下向きの方向に配置される、請求項3の採光システム。
【請求項5】
前記前縁部と前記後縁部の間に形成された上側の面は、不連続な輪郭を有する、請求項3の採光システム。
【請求項6】
前記不連続な輪郭は、境界線で交わる一対の弓状の表面から構成される、請求項5の採光システム。
【請求項7】
前記前縁部と前記頂点の間に形成された入口表面は平面を含む、請求項3の採光システム。
【請求項8】
前記頂点と前記後縁部の間に形成された出口表面は、弓状の表面を含む、請求項3の採光システム。
【請求項9】
前記第1の長手方向要素の少なくとも一部は、部分的に鏡面反射性の表面を含む、請求項1の採光システム。
【請求項10】
前記第1の長手方向要素と前記第2の長手方向要素の間に形成されたチャンネルは、入口開口、入口側開口、のど部、及び、出口開口を有する、請求項1の採光システム。
【請求項11】
前記入口開口は、前記第1の長手方向要素の前縁部から前記第2の長手方向要素の前縁部にわたって延在する、請求項10の採光システム。
【請求項12】
前記入口側開口は、前記第1の長手方向要素の頂点から前記第2の長手方向要素の上側表面にわたって延在する、請求項10の採光システム。
【請求項13】
前記出口開口は、前記第1の長手方向要素の後縁部から前記第2の長手方向要素の後縁部にわたって延在する、請求項10の採光システム。
【請求項14】
前記出口開口の半値幅は、入口側開口の半値幅をsinθmaxで除したものに等しく、ここで、θmaxは、前記チャンネルの最大出射角である、請求項10の採光システム。
【請求項15】
境界線が前記のど部の下流側に配置される、請求項10の採光システム。
【請求項16】
前記第1の長手方向要素と前記第2の長手方向要素が、同じプロファイルを有する、請求項1の採光システム。
【請求項17】
前記第1の長手方向要素と前記第2の長手方向要素が、垂直方向に整列している、請求項1の採光システム。
【請求項18】
前記採光システムを出る大部分の光線の出射仰角は、水平方向に対して0°〜2×θmaxの範囲から選択され、ここで、θmaxは、前記第1のルーバー要素と前記第2のルーバー要素の間に形成されたチャンネルの最大出射角である、請求項1の採光システム。
【請求項19】
前記第1の長手方向要素と前記第2の長手方向要素の少なくとも一方の外面のうちの少なくとも一方の最小反射率が50%の光反射率である、請求項1の採光システム。
【請求項20】
第1のガラスをさらに備え、前記第1の長手方向要素及び前記第2の長手方向要素は、前記第1のガラスに近接して配置される、請求項1の採光システム。
【請求項21】
第2のガラスをさらに備え、前記第1の長手方向要素及び前記第2の長手方向要素は、前記第1のガラスと前記第2のガラスの間に配置される、請求項20の採光システム。
【請求項22】
前記第1の長手方向要素及び前記第2の長手方向要素に近接して配置され、かつ、前記第1のガラスと前記第2のガラスの間に配置された屈折要素をさらに備える、請求項21の採光システム。
【請求項23】
前記屈折要素は複数の屈折ロッドから構成される、請求項22の採光システム。
【請求項24】
前記第1の長手方向要素及び前記第2の長手方向要素に近接して配置された反射天井をさらに備える、請求項1の採光システム。
【請求項25】
前記反射天井の最小反射率は、少なくとも50%の光反射率である、請求項24の採光システム。
【請求項26】
採光システム用のルーバーであって、
前縁部と
後縁部
を備え、
前記前縁部は、放物面集光器面、平面、並びに、前記放物面集光器面と前記平面の間に配置された前縁接続面によって画定され、
前記後縁部は、下側の複合放物面集光器プロファイル、上側の複合放物面集光器プロファイル、並びに、前記下側の複合放物面集光器プロファイルと前記上側の複合放物面集光器プロファイルの間に配置された後縁接続面によって画定されることからなる、ルーバー。
【請求項27】
請求項1のルーバーアレイのプロファイルを設計するための方法であって、
a.前記複合放物面集光器プロファイルと同じプロファイルである第2の集光器プロファイルを生成するステップであって、該プロファイルは、(i)上側のプロファイルを反転したものに等しい下側のプロファイルと、(ii)大きな開口及び小さな開口を画定する前記下側のプロファイルの端部及び前記上側のプロファイルの端部とを有し、前記大きな開口は前記小さな開口の下流側に配置されることからなる、ステップと、
b.前記第2の集光器プロファイルを最大出射角θmaxだけ反時計回りに回転させるステップと、
c.前記上側のプロファイルの上流側の端部を焦点として用い、及び、前記下側のプロファイルの上流側の端部を該放物線上のポイントとして用いて、垂直な対称軸を有する放物線を付加するステップと、
d.前記上側のプロファイルを、前記下側のプロファイルの下へと垂直方向に下向きに移動させて、前記上側のプロファイルの下流側の端部と前記下側のプロファイルの下流側の端部間に小さなギャップを形成するステップと、
e.前記上側のプロファイルの下流側の端部と前記下側のプロファイルの下流側の端部を接続する線を付加して、後縁部を画定するステップと、
f.前記下方に移動させられた上側のプロファイルの上流側の端部から開始して前記放物線で終了する線を付加して前記第1の長手方向要素のプロファイルを完成するステップと、
g.前記第1の長手方向要素の前記プロファイルを複製したプロファイルを前記第2の長手方向要素のプロファイルとするステップであって、前記第2の長手方向要素のプロファイルは、前記ステップdにおいて前記上側のプロファイルを移動させたのと同じ量だけ前記第1の長手方向要素の前記プロファイルを垂直方向に上または下へと移動させたプロファイルである、ステップ
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年8月31日に提出された米国特許出願第13/222,533号、及び、2010年11月15日に提出された米国仮出願第61/413,804号を基礎出願として優先権を主張するものであり、参照によって、それぞれの出願の全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、一般的には窓操作システムに関連し、特に、採光システムに関連する。
【背景技術】
【0003】
採光システムは、ビルの空間に自然光を提供して、電灯照明の必要性を低減するために使用されている。日光の有効利用には、光熱費の低減、発電のための化石燃料消費量の低減、及び、占有者(現住者など)の労働環境満足度の向上を含むいくつかの利点がある。既存の多くの採光システムの概観が、Ruck他による、Daylight in Buildings: A Source Book on Daylighting Systems and Components, a report of theInternational Energy Agency SHC Task 21/ECBCS Annex 29 (July 2000)に記載されており、該文献は、http://gaia.lbl.gov/iea21/ieapubc.htmで入手することができ、参照によって、その全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0004】
アニドリックシステム(anidolic system)
室内の奥まで光が到達するように光の向きを変え、また、室内に直射日光が下向きの角度で入るのを防止する静的採光システムの探求は、非結像光学(non-imaging optics)の科学的知識や複合放物面集光器(compound parabolic concentrator:CPC)と呼ばれる技術をもたらした。非結像光学すなわちアニドリック光学の分野は、初めは、太陽熱収集器の開発で使用されたが、これについては、Scartezzini 及びCourretによる「Anidolic Daylighting Systems,」(Scartezzini, J.-L. & Courret,G., 2002. Anidolic DaylightingSystems. Solar Energy, 73(2), pp.123-35)に記載されており、参照によって、この文献の全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0005】
CPCは当初、所定の角度範囲からの全ての光線を受けて、それらの光線をより小さな領域に集光する太陽集光器として使用されていた。CPCは、採光用途に使用されるときは、同じタイプの反射鏡プロファイルを使用するが、光は、反対方向に該プロファイルを通って進む。Scartezziniによる天頂アニドリック集光器(zenithal anidoliccollector)の側面図に基づく図1を参照すると、光は、全方向から小さな入口側開口を通って入り、出口では、制御された角度範囲内に揃えられている。Scartezzini, Jean-louisによる「Anidolic Systems - Non-imaging Transmission of Daylightinto Darker Parts of Buildings」(EPFL Solar Energy and Building PhysicsLaboratory LESO-PB/ Web 17 August 2010、http://leso.epfl.ch/e/research_dl_anidolic.html)を参照されたい。尚、参照によって、この文献の全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0006】
CPCがどのように動作するについての完全な考察は、Winston, Roland, Juan C. Minano, Pablo Benitez, 及びW. T. Welfordによる、Nonimaging Optics. Amsterdam(Elsevier Academic,(2005), 50−57頁)に記載されており、参照によって、この文献の全体が本明細書に組み込まれるものとする。CPCの幾何学的形状乃至寸法を確定する4つのパラメータ、すなわち、入口のサイズ、出口のサイズ、長さ、及び最大出射角がある。これらのパラメータのうちの任意の2つを設定すると、他の2つが決まり、したがって、CPCの幾何学的形状乃至寸法が完全に画定される。
【0007】
天頂アニドリック集光器などの既存のアニドリックシステムには、それらがオフィスビル環境に適用された場合にいくつかの重大な欠点があることがわかった。たとえば、天頂アニドリック集光器は下向きの鏡面反射光を許容するので、一般的には、日当たりの良い状況では、グレアを防ぐために該システムに日が当たらないようにすることが必要になる。オープンプランのオフィスでは、グレアを抑えるために閉じられるブラインドが長時間閉じられたままとされることが多い。遮光システムを自動化して、占有者による調節の必要性をなくすことによってのみ、この問題を完全に克服することができる。さらに、天頂アニドリック集光器の物理的寸法はかなり大きくて、長さがおよそ1m〜2mであり、高さがおよそ0.5m〜1mである。このサイズのために、ファサード(建物の正面)近くの天井の高さが低くなって、下の空間が使いにくくなってしまう。外部光の取入口を組み込むことも、建築上の難題でありうる。
【0008】
ルーバーシステム
反射型ルーバーは、採光システムの別の関連するグループを構成する。ルーバーシステムは、しばしば、2つのガラス面の間に配置されて、天頂アニドリック集光器などのより大きなシステムを用いた場合よりも、ファサードへの組み込み作業がはるかに簡単になるように設計されている。概念上は、ルーバーシステムは、一般に、垂直方向に配列した同形状の曲線状の羽根板(スラット)から構成されて、日光を天井へと向け直すプロファイル(プロファイルとは外形乃至輪郭の形状を意味する)を有している。図2に示されているフィッシュ(Fish)システムは、そのようなルーバーシステムの1つである。該フィッシュシステムは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第4,699,467号に記載されており、また、Ruckの4-24頁に示されている。該システムは、水平位置よりも上の全ての入射光を向け直すことができるが、出射光を平行にするのは比較的苦手である。その結果、それらのルーバーからの光は、望んだ程奥深くまでは差し込まない場合がある。
【0009】
Compagnon(コンパグノン)は、図3に示すようなアニドリックプロファイルからなる反射器システムを評価した。Compagnon, Rによる Simulations Numeriquesde Systemes D'Eclairage Naturel a Penetration Laterale(PhD Thesis. Lausanne: Ecole PolytechniqueFederale de Lausanne, 1994)のp. 138, Figure 5.47を参照されたい。尚、参照によって、この論文の全体が本明細書に組み込まれるものとする。内部のアニドリック曲線は、反射器を出た光を天井に向けて送ることができるように上向きに傾斜しており、これによって、グレアを防ぐようになっている。ルーバーアレイ(複数のルーバーを配列したもの)を構成するのにアニドリックプロファイルを使用するというアイデアは魅力的である。しかしながら、この構成では、ルーバーの外側半分の構造によって、60°の投影仰角より上にある全ての光が阻止される結果になる。光は、水平位置(または水平面乃至水平方向。以下同じ)の上最大60°で部屋に入るが、この60°という最大仰角は、フィッシュルーバーの最大仰角よりも小さい。しかしながら、出射仰角の範囲は、依然としてかなり広く、その結果、空間の奥深くまで進行する光の量が制限される可能性がある。この構造では、CPCプロファイルの下方の曲線部の先端が切り取られているが、これは、それらのルーバーが、水平位置より下に光をこぼして、グレアを生じる可能性があることを意味している。さらに、この構成は、天頂アニドリック集光器よりもコンパクトであるが、アセンブリ(組立体)のサイズは、奥行きが0.48mあり、依然としてかなり大きい。
【0010】
図4A及び図4Bを参照すると、CPCが、Eames及びNortonによって開発された別のルーバーシステムに組み込まれた(Eames, P. & Norton, B., 1994. A Window Blind Reflector System for theDeeper Penetration of Daylight into Room Without Glare. International Journalof Ambient Energy, 15(2), pp.73-77参照。尚、参照によって、この文献の全体が本明細書に組み込まれるものとする)。Compagnonの構造と同様に、光は、空に向かって傾斜したCPCを通ってルーバーアレイに入り、該ルーバーのプロファイルを通る光線を追跡したグラフを含んでいる、図4A及び図4B、すなわち、Eames他の該文献のFig.1及びFig.2に示されているように、該ルーバーアレイを通って誘導される。しかしながら、Eames及びNortonによる構造は、非対称のアニドリックルーバープロファイルを有しており、該ルーバーの内側半分は、別のCPCではなく、平坦な部分と円形状の部分(丸みのある部分)から構成されている。
【0011】
Eames及びNortonによる構造の内面は、該構造を問題の多いものにしうるいくつかの問題を引き起こす場合がある。たとえば、ルーバーは、日光を向け直すことなく該日光を直接通過させることができるように隔置される。また、光は、外側のCPCで反射して、下向きの角度で部屋に入ることができる。これらの効果はいずれも、直射日光下でグレアを生じる可能性を有している。出射仰角は、90°にまで及ぶが、これは、光の大部分が、空間中にあまり深く進入せずに、ファサードに直接隣接している天井に当たることを意味する。このルーバーの内側の平坦な表面は散乱性(または拡散性)であるため、該表面に当たった光は全ての方向に散乱される可能性があり、これによって、光を該空間の奥の方に誘導するルーバーの能力がさらに制限される。最後に、CPCの内側部分は、方位角がファサードに垂直な光に対しては、仰角が65°を超える光を遮断する。光の方位角が増加すると、ファサードにほぼ平行な光に対しては、この遮断角度(カットオフ角)は65°から0°に下がる。この結果、該システムは、空の大部分からの光を伝えることができない。該システムが首尾よく通す比較的低い空の部分からの光も、周囲の空の妨害物によって阻止される。追加のアニドリックルーバー構造を例示する図5に示すようなアニドリック幾何学的配列乃至形態をルーバーアレイに組み込むための試みもなされた。「Courret, G., Paule, B.& Scartezzini, J.-L, 1994. Application de I'Optique Anidolique a I'Eclairage Naturel Lateral d'unNouveau Baitment. In WarmeschutzConference. Zurich, 1994」の3頁の図3を参照されたい。尚、参照によって、この文献の全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0012】
それらの構造は、いくつかの興味をひく特徴を有しているが、結局のところ、ディーププランスペース(床の幅が天井高に比べてかなり大きな空間)には適していない可能性がある。図5の最初の2つの画像は、同じ構造を異なるスケールで示したものである。それらのルーバーは、水平方向近辺の非常に狭い範囲内に光を平行化するが、アニドリック曲線は天井に向かって傾斜していないので、光の約半分が水平位置よりも低い位置に出る。これは、深さが3mまたは4mの奥行きが小さいオフィスでは許容できるかもしれないが、より奥行きのある空間では不快なグレアを生じる可能性が高い。この構成の別の短所は、入射光の大部分が、ルーバーの入口にある傾斜の急な面によって阻止されることである。最後に、ルーバーの非常に長くかつ細い形状は正確に製造するのは難しく、特に、真ん中の画像(図5の2番目の画像)で意図されているスケールの場合はそうである。図5の画像中の一番右のシステムは、高い角度からの光を阻止し、低い角度からの光を受け入れることを意図している。この構成は、下向きの角度でも光が出るようにすることができるが、このことは、図5に示されている全ての変形形態は、それらが直射日光にさらされる場合には、追加の遮光システムを必要とするであろうことを意味している。
【0013】
図6には、CPCプロファイルを含んでいない反射型ルーバーのカテゴリーに最近加わった、ライトルーバー(LightLouver)と呼ばれる別の構造が示されている(米国特許第6,714,352号を参照。尚、参照によって、該特許の全体が本明細書に組み込まれるものとする)。また、「"Information." LightLouver Daylighting SystemHomepage. LightLouver LLC. Web. 18 Aug. 2010,http://www.lightlouver.com/Info/Info.html」を参照されたい。尚、参照によって、該文献の全体が本明細書に組み込まれるものとする。このルーバーは、水平位置のより近くで出射光を平行化することができ、これによって、光の大部分が、上記の他のシステムを用いた場合よりも奥深くまで差し込むことができる。しかしながら、注目すべきいくつかの不都合な点がある。第1に、このライトルーバーシステムは、仰角が低い(5°以下)日光が下向きの角度で部屋に入ることを可能にする。これは、特定の設置場所の状況に依存して問題になる場合もあれば問題にならない場合もある。第2に、ルーバーの外側に面した全表面は拡散面であり、入射する全日光の大部分を阻止し、部屋に送られる光を少なくしてしまう。これは、ルーバーシステムにみられる、ルーバーによって阻止される光の量と放出される光の角度範囲の大きさとの間の繰り返し起こるトレードオフを例示している。最後に、ライトルーバーの幅対高さの比率は、2.75とかなり大きい(Rogers他。2004)。アスペクト比がこれより小さい構造を用いる場合よりも多くのルーバーが、等価な窓開口部を塞ぐために必要となるだろう。
【0014】
静的システム及び動的システム
一般に、採光システムを、受動的カテゴリーと動的カテゴリーという2つのカテゴリーに分けることができる。受動的システムは、固定されており、可動部を含んでいない。動的システムは可動部を含んでおり、該可動部は、通常、太陽が空を横断しているときに太陽を追跡するために使用される。
【0015】
受動的システムは可動部を含んでいないので、一般に、動的システムよりも安価で、かつ、動的システムよりもメンテナンスの手間がかからない。しかしながら、受動的システムは、一般に、太陽と空の限定された範囲の条件に対してのみ有効である。さらに、受動的システムは、ときどき、直射日光が妨害されずに通過することを可能にし、これによって、グレアを生じる場合がある。この結果、一般に別個の遮光システムが必要であり、該遮光システムの準最適制御によって追加の問題が引き起こされる可能性がある。
【0016】
動的システムは、一般に、太陽の動的な性質に応答するために使用される。一般的な例はベネチアンブラインドであり、該ブラインドの羽根板を、それぞれに異なる分離状況に応じて手動でまたは自動的に調整することができる。これらのシステムは自動化される場合には、回転機械、精密な制御システム、及び、人間による監視を必要とするので、該システムのイニシャルコストと維持費の両方が、対応する受動的なシステムよりも一般に高くなる。また、ほとんどの動的システムは、太陽放射を入力として使用するように設計されているので、それらのシステムの有効性は、空一面が曇った状況下では大幅に低下する。天気が曇りの場合には、追加の費用を要する太陽追跡型動的システムを正当化するのは難しくなりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】(追って補充)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
新しいルーバーシステム、とりわけ、CPCプロファイルを組み込んだルーバーシステムは、上記のアニドリックシステム及びルーバーシステムの両方の欠点を改善ないし解消する。
【0019】
本発明の採光システムの実施形態は、オフィスビルによく見られる奥行きのあるオープンプランの空間を有する建物(建造物)に適している。この採光システムは、直射日光と散乱太陽光の両方を取り込んで、それらの光を、ほぼ水平の角度で室内に導き、これによって、光が奥深くに差し込むことができるようにしている。該システムは、グレアを低減するために直射日光を散乱するように構成されている。
【0020】
直射日光の差し込みを防止するという特徴を含むシステムのコンパクトな設計は、既存のシステムに対するいくつかの利点をもたらす。たとえば、上記のライトルーバーは、本明細書で開示するルーバーよりも大きな幅対高さ比(典型的には2.75であり、これは、本発明の好適な1実施形態の2.32とは対照的である)を有している。したがって、所与の1つのグレージングユニット(またはガラスユニット)の幅及び高さについて、本発明の実施形態のルーバーに比べて、空間を塞ぐために約19%だけ多くのライトルーバーが必要になるだろう。さらに、ライトルーバーは、グレアの潜在的な発生原因となる、0°〜5°の小さな仰角での直射日光の差し込みを許容する。種々の実施形態において、新規なルーバーは、入射光がどのような角度で入射しようとも、散乱されていない直射日光が下向きに差し込むのを許容しない。
【0021】
本発明の実施形態にしたがうシステムは、高価で、維持の負担が大きな自動システムと、非効率的でありえ、及び/または、一年のうちのかなりの期間でグレアを生じる可能性がある受動システムとの間のギャップを埋める可能性を有している。該システムは、単純で、受動的であって、メンテナンスフリーである。該システムはまた、何らかの再構成を要することなく、晴れと曇りのいずれの状況にも非常に適している。
【0022】
本明細書に開示されている採光システムを、東、南、または西(あるいは、南半球では、北、東、または西)にファサードが面している任意のビルの空間で使用することができる。該採光システムはオフィスビルに適している。なぜなら、オフィスビルは、一般に、日中は人がいて、ディーププランのレイアウトを有している場合が多く、かかるオフィスビル向けに該システムが設計されるからである。それほど奥行きが深くない空間の場合には、コストを最小限にするために、反射天井(反射性の天井)の長さを短くするか、反射天井を除去することができる。該システムを、新しい建物に組み込むことができ、また、既存の建物に対する新たな装置として設置することができる。グリーンビルディング(green building:環境配慮ビル)を所有または占有することに興味のある組織にとって、該採光システムは魅力のある選択肢である。
【0023】
1つの側面において、本発明の1実施形態は、第1の長手方向要素と該第1の長手方向要素から隔置された第2の長手方向要素を有するルーバーアレイを含む、建物内で使用するための採光システムを備える(長手方向要素とは、たとえば長手方向に延在する構造を有する要素である。以下、第1の長手方向要素、第2の長手方向要素を、それぞれ、単に、第1の要素、第2の要素ともいう)。第1と第2の長手方向要素の少なくとも一方が非対称のプロファイルを有しており、第1と第2の長手方向要素の各々は、放物面(乃至放物面状の表面)を含む下部(または底部)プロファイルを有しており、第1と第2の長手方向要素の対向する表面の部分は、複合放物面集光器プロファイルを画定し、該複合放物面集光器プロファイルの中心線は、水平ではなくて、上方に傾斜しており、該アレイは、該アレイを通る視線を遮る(該アレイを通る線上にある視線は該アレイによって遮られる)。
【0024】
以下の特徴のうちの1つ以上を含めることができる。該第1の長手方向要素は、概ね三角形のプロファイルを有することができる。該三角形のプロファイルは、前縁部(または先端部)、後縁部(または後端部)、及び、それらの間の頂点を備えることができる。該頂点を、前縁部及び後縁部から下の方向(乃至下方)に配置することができる。前縁部と後縁部の間に形成された上面(上側の表面)は、境界線で接触する(乃至交わる)弓状に曲がった一対の面などの不連続な輪郭(たとえば、該境界線上の接触点で曲線乃至直線の傾斜が不連続に変化する輪郭)を有することができる。前縁部と頂点の間に形成された入口面は、平面を含むことができる。頂点と後縁部の間に形成された出口面は、弓状に曲がった面を含むことができる。該第1の要素の少なくとも一部は、部分的に鏡面反射性の面を含むことができる。
【0025】
第1のルーバー要素と第2のルーバー要素の間に形成されたチャンネルは、入口開口、入口側開口(インレット開口ともいう)、のど部、及び、出口開口を含むことができる。入口開口は、該第1の要素の前縁部と該第2の要素の前縁部にわたって延在することができる。入口側開口は、該第1の要素の頂点と該第2の要素の上面にわたって延在することができる。
【0026】
出口開口は、該第1の要素の後縁部と該第2の要素の後縁部にわたって延在することができる。出口開口の半値幅(最大開口幅の半分の開口幅)を、入口側開口の半値幅をsinθmaxで除したものに等しくすることができ、ここで、θmaxは、該チャンネルの最大出射角である。境界線を、のど部の下流側に配置することができる。
【0027】
該第1の要素と該第2の要素は、共通の(すなわち同じ)プロファイルを有することができ、及び/または、それら2つの要素を垂直に整列させることができる。採光システムを出る大部分の光線の出射仰角を、0°〜2×θmaxの範囲から選択することができ、ここで、θmaxは、該第1の長手方向要素と該第2の長手方向要素の間に形成されたチャンネルの最大出射角である。該第1の長手方向要素と該第2の長手方向要素の少なくとも一方の最小反射率を、50%の光反射率とすることができる。
【0028】
採光システムは、第1のガラス(または第1のグレージング)を備えることができ、その場合、該第1の要素と該第2の要素が該第1のガラスに近接して配置される。採光システムはまた第2のガラス(または第2のグレージング)を備えることができ、その場合、該第1の要素と該第2の要素は、該第1のガラスと該第2のガラスの間に配置される。
【0029】
屈折要素を、該第1の長手方向要素及び該第2の長手方向要素に近接して、かつ、該第1のガラスと該第2のガラスの間に配置することができる。該屈折要素は、複数の屈折ロッドを含むことができ、または、該屈折要素を複数の屈折ロッドから構成することができる。
【0030】
反射天井を、該第1の長手方向要素及び該第2の長手方向要素に近接して配置することができる。該反射天井の最小反射率を少なくとも50%の光反射率とすることができる。
【0031】
別の側面において、本発明の実施形態は、採光システム用のルーバーを備える。該ルーバーは、放物面集光器面と、平面と、該放物面集光器面と該平面の間に配置された前縁接続面とによって画定される前縁部を備える。該ルーバーはまた、下側の複合放物面集光器プロファイルと、上側の複合放物面集光器プロファイルと、該下側の複合放物面集光器プロファイルと該上側の複合放物面集光器プロファイルの間に配置された後縁接続面とによって画定される後縁部を備える。
【0032】
さらに別の側面において、本発明の実施形態は、ルーバープロファイルを設計するための方法を含む。該方法は、複合放物面集光器プロファイルを生成するステップを含み、該プロファイルは、(i)上側のプロファイルを反転したものに等しい下側のプロファイルと、(ii)大きな開口及び小さな開口を画定する該下側のプロファイルの端部及び該上側のプロファイルの端部を有し、該大きな開口は、該小さな開口の下流側に配置されている。複合放物面集光器プロファイルは、最大出射角θmaxだけ反時計回りに回転される。垂直な対称軸を有する放物線が、該上側のプロファイルの上流側の端部を焦点として用い、及び、該下側のプロファイルの上流側の端部を該放物線上の点として用いることによって付加される。該上側のプロファイルは、該下側のプロファイルの下へと垂直方向に下向きに移動させられて、該上側のプロファイルの下流側の端部と該下側のプロファイルの下流側の端部間に小さなギャップ(間隙)を形成する。該上側のプロファイル及び該下側のプロファイルの下流側の端部同士を接続する線が、後縁部を画定するために付加される。下方に移動させられた上側のプロファイルの上流側の端部から開始する線が付加され、該線は、該放物線で終了する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来技術の天頂アニドリック集光器システムの側面図である。
図2】従来技術のフィッシュルーバーの断面図である。
図3】従来技術のアニドリックルーバーの図である。
図4A】従来技術の非対称アニドリックルーバープロファイルの図である。
図4B図4Aに示すプロファイルを通る光線の経路を示す図である。
図5】従来技術の他のアニドリックルーバーの構成を示す図である。
図6】米国特許6,714,352号に記載されている従来技術のライトルーバーの断面図である。
図7】本発明の1実施形態にしたがう採光システム全体の略図である。
図8】オフィス空間に配置された、本発明の1実施形態を装備したシステムの図である。
図9】オフィス空間に配置された、本発明の1実施形態を装備したシステムの図である。
図10】本発明の実施形態にしたがって形成された窓ユニットを示す断面図である。
図11】本発明の実施形態にしたがって形成された窓ユニットを示す断面図である。
図12】本発明の1実施形態にしたがう、ルーバー対の特徴を示す略図である。
図13】仰角の定義を示す略図である。
図14A】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14B】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14C】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14D】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14E】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14F】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14G】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14H】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14I】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図14J】さまざまな入射仰角について、ルーバーを通る光線の経路を示している。
図15】座標系の定義を示している。
図16】本発明の1実施形態の主要な寸法を示している。
図17A】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図17B】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図18】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図19】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図20】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図21】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図22】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図23】本発明の1実施形態にしたがうルーバープロファイルを設計するための方法を示すグラフ表現である。
図24A】ある方位角について、ロッドを通る光線の経路を示すグラフである。
図24B図24Aの方位角とは異なる方位角について、ロッドを通る光線の経路を示すグラフである。
図25】いくつかの異なる反射天井の長さについて、作業面照度を示すグラフである。
図26A】システムと基本事例について、選択された時間間隔で得られた、部屋の中心線に沿った作業面照度を示すグラフである。
図26B】システムと基本事例について、選択された時間間隔で得られた、部屋の中心線に沿った作業面照度を示すグラフである。
図26C】システムと基本事例について、選択された時間間隔で得られた、部屋の中心線に沿った作業面照度を示すグラフである。
図26D】システムと基本事例について、選択された時間間隔で得られた、部屋の中心線に沿った作業面照度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図7図9を参照すると、本発明の採光システム10の1実施形態は、3つの主要なサブアセンブリを備えている。それらのサブアセンブリのうちの2つである、(より詳細に後述する)反射ルーバー(光反射性のルーバー)及び反射ロッド(光反射性のロッド乃至棒)は、日が当たるファサード13の上部に設置された窓ユニット12に収容されている。他の1つのサブアセンブリは反射天井(光反射性の天井)14を備えている。反射天井14を、日が当たるファサード13から室内に4〜6mの距離(要求される距離は、部屋の大きさと性能目標に基づいて変わる)にわたって反射天井を覆う反射パネル(光反射性のパネル)で実現することができる。より具体的には、図7は、オフィスに設置された本発明による採光システム10の断面図である。図8及び図9は、オフィス空間内部からシステム10を描いたものである。
【0035】
図10図11は、それぞれ、本発明の1実施形態にしたがう、窓ユニット12の側面断面図、上面断面図である。窓ユニット12は、標準的な二重窓ユニットに似た、2つのガラス枠16を含んでいる。ガラス枠16は、第1のすなわち外側のガラス(たとえば板ガラス)18と、第2のすなわち内側のガラス(たとえば板ガラス)20を備えている。外側のガラス枠16と内側のガラス16の間には、後述する、(本明細書では、ルーバー22とも記載されている)反射性の長手方向要素22、及び屈折ロッド24を含む光学要素(乃至光学装置)が配置されている。ルーバー22及び屈折ロッド24はいずれも、ちりや引っかき傷がつきやすい。それらを窓ユニット12の内部に配置することは、それらを保護するのに役立ち、及び、メンテナンスを不要にしまたは低減する。
【0036】
居住者をグレアから守るために、窓ユニット12を通して屋外は見えない。該ユニット12の底部は、ファサード13の下部に(外の景色を見るための)ピクチャーウィンドウを設置できるように、床から約2.1m以上高いのが好ましい。
【0037】
ルーバーの構造
次に、本発明の実施形態にしたがうルーバー22の機能を説明する。ルーバーシステムがどのように動作するかを理解するためには、第1の長手方向要素と第2の長手方向要素、すなわち、2つのルーバー22の間に形成されているチャンネル26の幾何学的形態を検討するのが役立つ。図12に示すように、第1及び第2のルーバー22の4つの表面A、B、C及びDが、このチャンネル26を画定する。表面A、C、及びDは共に、ルーバープロファイル28、すなわち、天頂アニドリック集光器採光システムに類似の長手方向要素の断面を形成する。図12に示すように、ルーバープロファイル28は非対称形である。いくつかの実施形態では、プロファイル28は、ルーバー22の長手方向すなわち延在方向に沿って一様乃至不変である。
【0038】
ここで説明するプロファイル28は理想的な形状であって、プロファイル28の両端部(すなわち、前縁部と後縁部)はとがっている。図示のように、ルーバー22のプロファイル28は、前縁部(ポイントH)、後縁部(ポイントI)、及び頂点(ポイントE)を含んでいる。いくつかの好適な実施形態では、製造能力の観点から、プロファイル28は、前縁部及び/または後縁部がとがっておらず、プロファイル28は、それらの位置に、最小の厚みがより大きい、前縁接続面と後縁接続面を有することができる。たとえば、前縁接続面は、表面Aと表面BをポイントHで接続することができ、後縁接続面は、表面Cと表面DをポイントIで接続することができる。
【0039】
表面A
表面Aは、放物面反射器面または放物面集光器面であり、その目的は、入口開口29を通過する入射光を集光することと、その光が、はね返りながら小さな入口側開口30を通過するのを確保することである。放物面プロファイルの性質によって、90°以下の仰角αで該放物面(図では放物線)に当たる光線が、入口側開口30を成功裏に通過することが確保される。すなわち、光線は、表面Aに当たると、ルーバーの出口開口31から離れる方向ではなく、該出口開口31に向かって進んで、チャンネル26を成功裏に通過するのが好ましい。図13は、仰角αの定義、並びに、光線が表面Bで反射して、入口側開口30をうまく通り抜けた直後の、仰角αが90°である光線の例を示している。かかる作用が起こるのは、図12に示すように、放物線の曲線が表面Dの端部(ポイントG)と交わるように、該放物線の頂点(ポイントF)が、焦点(ポイントE)の真下に適切な距離だけ離れて配置されているからである。ポイントEは頂点と呼ばれることもある。入口開口29と入口側開口30の間の領域をのど部32と呼ぶこともある。境界線が、ポイントGに配置されて、ルーバー22の長手方向に沿って延びている。長手方向は、図12に示すルーバープロファイル28に対して直角すなわち垂直である。表面AとDは共に不連続な輪郭を形成し、弓状の表面の対が該境界線で接触乃至交わっている。
【0040】
この構造は、標準的な天頂アニドリック集光器システムの構造とは異なる。天頂アニドリック集光器の場合は、CPC(表面C及びD)は、このルーバー構造のように上方に傾斜してはいない。このため、天頂アニドリック集光器の場合は、表面Dの端部は、表面Cの端部の真下にくる。天頂アニドリック集光器の場合は、放物面状光取込構造(表面A)の頂点はポイントFにあるので、表面Aのプロファイルは完全な放物線のちょうど半分をなす。しかしながら、ルーバー22の場合は、表面Dの端部(ポイントG)は、表面Cの端部(ポイントE)の真下にはこない。好適な実施形態では、表面Aの頂点(ポイントF)は、表面Cの端部(ポイントE)の真下にある。表面Aの放物線プロファイルは、その焦点が表面Cの端部(ポイントE)に配置され、かつ、表面Aが表面Dの端部(ポイントG)と交差するように画定される。プロファイルをこのように選択することによって、該放物線の頂点から焦点までの距離が長くなり、これによって、該放物線の上方への曲がりの程度が小さくなる。この点は重要である。なぜなら、放物線の曲がりの程度(または傾斜)が大きいほど、低い角度からの光がより多く阻止されるからである。このように低い角度からの光がより多く阻止されることになるのは、表面Bが、傾斜のより大きな放物線と交差するためには、より急な角度で傾斜する必要があるためである。
【0041】
表面B
表面Bは、曲線状ではなく平面状であるため、4つのルーバー表面のうちで最も単純である。概念的には、表面Bの目的は、バスケットボールのゴールのバックボードの目的に似ている。表面Bで反射した入射光は(進行方向を変えて)表面Aに向かって進む。反射した光線が、90°以下の仰角αで表面Aから離れる限り、該反射した光線は、表面Aの放物線に当たって、入口側開口30に入る(このような光線の例については図13を参照)。表面A及びBがない場合には、ファサード13に入射する光のごく一部のみが入口側開口30に入り、残りは、入口側開口の間の空間において失われてしまうであろう。
【0042】
上述したように、表面Bの角度によって、どの程度効率よく、低角度の光がルーバー22を通過できるかが調整される。理想的には、表面Bの角度は、水平方向からの光が表面Bから表面Aへと真下に反射されるように、水平方向に対して45°である。その場合は、仰角αが0°以上の任意の入射光が、入口側開口30に首尾よく入る。
【0043】
ルーバーチャンネル26を首尾よく通過する低角度の光の量を多くするために、表面Bの角度はできるだけ45°に近いのが好ましい。ルーバープロファイル28を完成させるために、表面Bを表面Aの放物線に接続する必要がある。しかしながら、表面Bの角度が45°の場合は、表面Bは表面Aと交差しない場合がある。表面Bの理論上の最小角度は、表面Bが表面Aの接線となるときの角度である。表面Bの角度が理論上の最小角度に等しくなるようにルーバー22が画定される場合には、前縁部が過度に長くかつ細くなりえ、このため、前縁部は非常にもろくなる可能性があり、さらに重要なことには、ルーバー22をグレージングユニット(またはガラスユニット)に収容するのが難しくなる程度までルーバー22の幅対高さの比率が大きくなりうる。さらに、かかるサイズの増大は、低角度光の通過の点で大きな利益をもたらさないだろう。したがって、表面Bの角度は、理論上の最小角度よりも大きいことが好ましい。1実施形態では、理論上の最小角度は55°であり、表面Bの選択された角度を58°とすることができる。
【0044】
本明細書に記載されているルーバー構造の実施形態では、水平方向に対する表面Bの角度は45°ではなく58°に選択された。角度のこの増加によって、同じルーバーの表面AとBがポイントHで交差することができる。その結果、遮断角度(カットオフ角)と呼ばれる約26°(26°は、58°と45°の差の2倍である)未満で入射する光線の大部分が、ルーバー22の外側半分によって阻止される。
【0045】
このタイプのルーバー構造では、出射角度の許容可能な範囲と遮断角度の間に直接的な相関関係がある。出射光の角度範囲が狭くなるほど、遮断角度は大きくなる。都市部では、水平方向近辺からの光を失う影響は、水平方向近辺からではない光を失う影響に比べて重要ではない。なぜなら、都市部の環境によって、空の下の部分の視野が遮られること多いからである。ファサード13に垂直ではない光線については、投影仰角は大きくなるが、これは、26°未満の角度で入射する光のかなりの部分がルーバー22も首尾よく通過することを意味している。
【0046】
表面C及びD
表面C及びDのプロファイルは、Nonimaging Opticsという書籍の51頁に記載されている式によって決定される。1実施形態では、選択された構造の最大出射角は20°であった。これは、ルーバーから出る全ての光が、CPCの中心線の±20°内に通常あることを意味する。20°は、出射光の角度範囲と遮断角度という競合要素間の妥協点として選択された。直射日光にさらされたときにグレアを引き起こす可能性がある下向きに進む光線を許容しないように、CPC表面は20°だけ上方に傾斜している。したがって、この実施形態におけるルーバーの出射範囲は、光の入射方向に関係なく、水平方向(すなわち水平方向に対して0°)から水平方向より上側40°までである。
【0047】
ルーバーを通過する光線の経路
図14A図14Jは、異なる位置及び仰角の入射光線がルーバー22によってどのように向きを変えられるかを示している。具体的には、それらの図は、仰角が、それぞれ0°(図14A)、10°(図14B)、20°(図14C)、30°(図14D)、40°(図14E)、50°(図14F)、60°(図14G)、70°(図14H)、80°(図14I)、及び、これら全ての角度を重ね合わせたもの(図14J)について、ルーバーを通過する光線の経路を示している。光は、それらのイメージ(図面)において左から右に進む。それらのイメージにおいて追跡されている全ての光線経路の中には、水平方向に対して0°未満の角度でルーバーチャンネル26を出ているものはない。それらのイメージはまた、いくつかの低角度で入射する光が、ルーバーの入口によってどのように阻止され、及び、どのようにはね返りながら外部に出て行くかを示している。
【0048】
ここで、ルーバーの断面に関して、面内ではなく面外にある光線に何が起こるのかというもっともな疑問が生じる。これに関しては、Winstonらは、「2次元溝型反射器における光線追跡は、該溝の長さ方向に垂直な平面内にない光線についても単純である。これは、該面に垂直な光線は該溝の長さ方向に平行な成分を有しておらず、したがって、2次元だけに反射の法則を適用することができるからである。第3の次元における光線の方向余弦は一定である。したがって、ある図面が、該溝の長さ方向が該図面の平面に垂直である2次元のCPCを示している場合には、全ての光線を、該平面への該全ての光線の投射のみを用いて追跡することができる。」と説明している(Winston他。53−54頁)。
【0049】
この理解に基づくと、2次元の光線経路図が、任意の入射光線方向について、出口において下向きに進む光線がないことを示している場合には、3次元における任意の入射光線方向についても同様であろう。
【0050】
ルーバー22の特定の実施形態の形状を画定する座標系列は次のとおりである。ルーバー22の形状は非常に複雑なので、該形状を画定する一番簡単なやり方は、該ルーバーの表面に沿った座標系列を用いることである。CADプログラムを用いて、ポイント(点)をつなぐスプライン曲線を描いて、該形状を正確に再現することができる。図15は使用された座標系を明示しており、表1はその座標をリストしている。
【0051】
【表1】
【0052】
採光システム10の主要部は、入射光を制御されたやり方で空間の奥深くへと向け直す反射型ルーバー(反射ルーバーともいう)22のアレイ(反射型ルーバー22を複数個配列した構成)である。図16は、積み重ねられた2つのルーバー22の相対的な位置を示している。図示のように、それらのルーバー22は、幅W、高さh、間隔Sを有している。いくつかの実施形態では、幅Wは約1.0インチ〜約4インチの間にあり、高さhは、約0.5インチ〜約2.0インチの間にあり、間隔Sは約0.5インチ〜約2.0インチの間にある。たとえば、1実施形態では、幅Wは2.016インチであり、高さhは0.880インチであり、間隔Sは0.870インチである。1実施形態では、図16の頁(紙面)に垂直な方向におけるルーバー22の断面(すなわちプロファイル28)は一定である。
【0053】
参考までに、幅Wが2.016インチ(5.12cm)、高さhが0.880インチ(2.23cm)、及び、間隔Sが0.870インチ(2.21cm)のときは、ファサードの高さ0.6mを満たすためには、ルーバー22を約27個積み重ねることが必要である。ルーバーの断面の実寸を大きくすることも小さくすることもできるが、装置が正常に機能するように、寸法の比率は該装置については同じままであるのが好ましい。
【0054】
ルーバー形状の設計
図17A図23、及び、Winston他の50−57頁を参照して、好適なルーバー形状を次のように設計することができる。
【0055】
本明細書で説明されているように、θmaxは最大出射角であって、複合放物面集光器の軸(CPCの中心線)と任意の出射光線との間の最大角度である。角度ψは、CPCプロファイルの上側のプロファイルと下側のプロファイルの座標を計算するために使用される。角度ψの範囲は、2×θmax〜90°+θmaxであり、角度ψは、(上側のプロファイルまたは下側のプロファイルに対応する)CPCプロファイルの放物線の中心軸から測定され、該放物線の中心軸は、CPCの中心線軸に対する角度θmaxを画定する。図17Aを参照されたい。
以下は、追加の関連するパラメータであり、
a’は、入口側開口30の半値幅であり、
aは、出口開口31の半値幅であり、
Lは、CPCの中心線軸に沿ったプロファイルの長さであり、
fは、放物線の焦点距離であって、a’とθmaxの関数である。
【0056】
a、a’、L、及びθmaxのうちの任意の2つ(の値)が選択されると、他のパラメータを計算することができる。
【0057】
たとえば、θmax及びaに特定の値を割り当てると、Winstonによって公表された式を使って、a’及びLを次のように計算することができる。
式4.3:a及びθmaxからa’を計算することができる。
式4.4:a、a’、及びθmaxからLを計算する。
【数1】
【0058】
図17A及び図17Bに示すように、Winston他によって与えられた式にしたがって、下側のプロファイル34、すなわち、上側のプロファイル36(すなわち上側の複合放物面集光器プロファイル)を反転したものに等しい下側の複合放物面集光器プロファイルを有するCPCプロファイル33を生成する。下側のプロファイル34と上側のプロファイル36のそれぞれは、放物線の一部を含んでいる。CPCプロファイル33は、半値幅がa’の入口側開口30すなわち小さな開口と、半値幅がaの出口開口31すなわち大きな開口を有しており、該大きな開口は、該小さな開口の下流側に配置されている。上側のプロファイル及び下側のプロファイルを形成する放物線のx及びy座標を、次の3つの式によって計算することができる。尚、ψは上記の範囲をとる。
【数2】
【0059】
図18に示すように、(図示のCPCの向きに関して)CPCプロファイル33を最大出射角θmaxだけ反時計回りに回転させる。
【0060】
図19及び図12に示すように、上側のCPCプロファイル36の左側の端部(ポイントE)(上流側の端部)を焦点として用い、及び、下側のCPCプロファイル34の左側の端部(ポイントG)(上流側の端部)を放物線上のポイントとして用いて、垂直な対称軸を有する該放物線(表面A)を追加する。放物線の頂点(ポイントF)は、ポイントE(放物線の焦点)の真下にある。今や放物線の形状は画定され、後続のステップで、放物線の停止ポイントが決定される。
【0061】
図20に示すように、2つのCPCプロファイル34、36の後縁部間すなわち下流側の端部(右側の端部)間に小さなギャップ(間隙)gが生じるように、上側CPCプロファイル36を下側CPCプロファイル34の下へと垂直方向に移動させる。この小さなギャップgがあるのは望ましい。なぜなら、もし、2つのCPCプロファイル34と36が接触する場合には、その結果生じる後縁部は非常に細くなってしまうからである。ギャップgの正確なサイズ(大きさ)は、製造能力に依存する。1実施形態では、この小さなギャップgを、たとえば、3ミリメートル(mm)とすることができる。
【0062】
図21に示すように、上側のCPCプロファイル34と下側のCPCプロファイル36の右側の端部(下流側の端部)同士を接続する線(すなわち後縁接続線)を追加して、後縁部(ポイントI)を画定する。後縁部の厚さは、製造能力の関数として決定される。上側のCPCプロファイル34と下側のCPCプロファイル36を互いにほぼ平行することができ、あるいは、それら2つのプロファイルがとがった先端部を画定するようにすることができる。
【0063】
図22に示すように、今や下の方にあるCPCプロファイル33の左側の端部(ポイントE)(すなわち上流側の端部)から開始する線を追加し、該線を放物線(表面A)に接続して、表面Bを画定する。該線の水平方向に対する角度は45°に近いほど良好であるが、該線が該放物線と交差するポイントは自由に選択することができる。こうして、ルーバーのアウトライン(ルーバーの外形乃至輪郭)すなわちCPCプロファイル33が完成する。
【0064】
図23に示すように、第1のルーバー22と第2のルーバー22の相対的な位置を決定するために、完成したルーバーのアウトラインを複写(コピー)して、図20に関して説明したように上側のCPCプロファイル36を移動させたのと同じ量だけ、該アウトラインを垂直方向に上または下へと移動させる。たとえば、2つのルーバー22の各々が約2インチの長さを有する場合は、第1のルーバー22と第2のルーバー22のそれぞれの前縁部間の間隔(距離)を0.870インチとすることができる(図16を参照)。
【0065】
屈折要素
ルーバー22は、入射光の仰角を変化させるが、光の方位角にはほとんど影響を与えない。屈折ロッド24などの屈折要素を含んでいない場合には、直射日光の下では、反射天井は一般に、居住者の目と太陽の間の線上にまぶしい光線を生じる。(後述の)モックアップの試験において、屈折ロッド24のないルーバー22を使用したときに、該天井で、約350000カンデラ/m(すなわち、真昼の太陽輝度の0.02%)という最大輝度が観察された。この輝度レベルを小さくできない場合には(視野の中心部で小さくするとはいかないまでも)、該輝度レベルは、オフィス環境に対しては大きすぎるであろう。
【0066】
グレアの問題を緩和するために、アクリル(樹脂)またはガラスなどの屈折率が1より大きな材料で作られた光学的に透明な(すなわち光を透過させる)ロッドを水平方向に配列した構成をルーバー22の出口に配置することは、光の仰角に影響を与えることなく、入射光を方位角方向に拡散させるという効果をもたらす。直射日光の下では、該天井におけるまぶしい光線は、それより輝度が小さなはるかに大きな領域で置き換えられる。このように直射日光を拡散することは、グレアが問題となるのを防止するのに役立つ。該ロッドの追加によって、室内の光の総量が多少減少しうるが、該ロッドがもたらすグレアからの保護は、該ロッドを含めることを正当化しうる。
【0067】
ロッドの好ましい材料はアクリル(またはアクリル樹脂)でありうる。なぜなら、アクリルは、直射日光にさらされても黄色くならないからである。アクリルはまた、ガラスよりもこわれにくく、かつ、比較的密度が小さい。アクリルは、その材料が長時間太陽光にさらされる航空機の窓などの用途で使用されている。
【0068】
他の光拡散技術ではなく屈折ロッド24を使用することの主な利点は、該ロッドが、光の仰角に影響を与えずに、光を方位角方向に拡散させることである。これは重要である。なぜなら、ルーバーを出る光は仰角方向に平行化されているからである。半透明のガラスなどの他の技術は、光をあらゆる方向に拡散させ、かつ、該透明なロッドよりも全体的な(光の)透過率は低いであろう。いくつかの好適な実施形態では、屈折ロッド24すなわちシリンダは、空気の侵入を阻止する構造的に頑丈な内部ガラスに加工され、これによって、その構造は、内側の窓ガラス(または板ガラス)に関連する伝送損失を低減する。図24A及び図24Bは、2つの異なる方位角(それぞれ0°と45°)について、屈折ロッド24が該ロッドを通過する光にどのような影響を与えるかを、該ロッドを通る光線の経路と共に示している。
【0069】
図24A及び図24Bのイメージは、屈折ロッド24を通過する光がどのように水平方向に拡散されるかを示している。これらのイメージは、屈折ロッド24を長手方向にぞき込むように見たときの上面図である。追跡された光線の仰角は0°である。
【0070】
屈折ロッド24の直径を、プロジェクト(事業)の制約に基づいて選択することができる。より細い屈折ロッド24が一般的には好ましい。なぜなら、その方がロッドの重さが軽く、かつ、窓ユニットをより薄くできるからである。しかしながら、それらのロッドは、組み立て(アセンブリ)中及び設置中に、破損が問題となるほどには細くないのが好ましい。より細いロッドを使用する場合には、ファサード13の同じ長さをカバーするために使用されるロッドの全長がより長くなるという事実があるため、費用対効果が大きいソリューションは、一般にコストが安いより細いロッドとより太いロッドとを比較考量することを必要とする。多くの用途において望ましいロッドの直径は約10mmであろう。
【0071】
断面が円形ではないロッドなどの他の屈折要素を、本発明の採光システム10の実施形態で使用することができる。ガラスの表面の一方の側または両方の表面法線方向を変えることよって、(1以上の)屈折要素を内側のガラス18または外側のガラス20に組み込むことができる。
【0072】
反射天井
採光システム10の最後の要素は、反射天井14、または、天井に貼られた反射性パネル(反射パネルともいう)である。反射天井の目的は、窓ユニットによって放出された光が空間のより奥に届くように該光を向け直すことである。グレア、及び、天井における気を散らすミラー反射(鏡による反射)を抑制するために、(該天井の)反射面が粗い質感を有する(たとえば、該反射面がざらざらしており及び/またはでこぼこである)ようにすることができるが、これは、光の方向性を全体として損なうことなく該光を散乱させるのに役立つ。天井の最小反射率は少なくとも50%の光反射率であるのが好ましく、少なくとも80%の光反射率であるのがより好ましく、少なくとも90%の光反射率であるのが最も好ましい。
【0073】
使用に関する理論的説明
所与のルーバー22と天井の間の距離が大きくなるほど、ルーバー22からの光は部屋の奥深くまで差し込むことができる。大部分のオフィスビルの場合、天井の高さは、賃貸可能な空間を最大限にする必要性のために制限される。したがって、一番上のルーバー22を天井のすぐ下に配置するのが好ましく、そのように配置した場合は、ルーバー22の底部は一般に、天井から約0.6mだけ下のところにある。天井の表面が典型的なつや消し仕上げまたは散乱性(または拡散性)の仕上げを施されている場合には、光の大部分が部屋の正面に近い天井に当たって、すぐ下の作業面へと散乱されるだろう。散乱性(または拡散性)の表面の場合には、光は、全ての方向に均等に散乱される傾向があるため、天井から空間への奥深くへと反射されるのはごく一部の光のみであろう。実際、天井に当たった光の半分がファサード13の方に反射して戻る。散乱性(または拡散性)の小さい天井では、ルーバー22の利点の多くが失われる。なぜなら、そのような天井は、光が浅い角度で該天井に入射するという事実を活用できないからである。
【0074】
一般に、ルーバー22から天井までの距離を大きくすることは随意に選択できる選択肢ではないので、光をより奥深くまで届けるための別のソリューションを提供する。散乱性(または拡散性)の表面ではなく、鏡面反射性の表面を有する天井を使用することによって、システム全体の効率がよくなる。浅い角度で天井に入射した光は浅い角度で反射する。これは、全ての光を、拡散的に散乱させるのではなく、好適な角度で空間のより深くに送ることができることを意味する。
【0075】
表面粗さ
鏡面反射性の天井を使用することに対する懸念は、ルーバー22が直射日光にさらされているときには、該天井からの反射が非常にまぶしい可能性があるということである。該天井が、完全な鏡面反射性の鏡面様表面(鏡と同様の表面)である場合には、該天井は、ルーバー22自体とほとんど同じ明るさになりうるので、ルーバー22のCPC部分を上方に傾けて居住者をグレアから守るという目的が台無しになってしまう可能性がある。屈折ロッド24は、この問題を緩和するのに大いに役立つが、入射光をさらに散乱させる効果もあるので、本明細書で開示する構造は、粗い質感を有する(たとえば、表面にでこぼこがあるためにざらざらしている)反射天井を組み込んでいる。表面の隆起部(または凹凸)には、該天井に当たって該天井から出る光の方向性を全体として損なうことなく、該光を拡散させるという効果がある。光を拡散させることによって、天井のピーク輝度(または最大輝度)が大幅に小さくなる。天井の表面を粗くすることの二次的な利点は、−実用上のものであるが−オフィスの居住者の気を散らす可能性がある天井における鏡像が、該居住者には認識できないであろうということである。
【0076】
反射天井の深さ(奥行き)
反射性の表面(反射表面)がファサードから内側に延びる距離は、12mプラスαの奥行きの空間の場合には6mであるのが好ましい。しかしながら、反射天井の長さを、全体性能に大きな影響を与えることなく4mまで短くすることができる。天井反射器(反射天井)を短くする効果は、日光が当たる空間の奥における照度(明るさ)を低減することであるが、該空間の正面側2/3の部分における照度(明るさ)に与える影響は無視できるほど小さい。図25は、長さがそれぞれ異なる反射天井について、作業面照度をプロットしたグラフであり、照度のパターンが反射天井の長さを変えることによってどのように影響を受けるかを示している(図25に関連するシステムの実施形態は屈折ロッドを含んでいないことに留意されたい)。
【0077】
照度の大きさは、日当たりの良い(よく晴れている)場合と空一面が曇に覆われている場合とでは異なるが、グラフのプロットの相対的なパターンは同様である。2m以上の反射天井を組み込んだ場合には、ピーク照度(最大照度)は、部屋の奥の方に約3mだけ、すなわち、ファサードから0.5mの位置から約3.5mの位置までシフトしている。ピーク照度は、反射天井の長さが0mから4mへと長くなるにつれて概ね小さくなっているが、それ以降は(すなわちそれ以上の長さでは)、ほとんど変化していない。直射日光の下で照度が比較的大きい場合には、最大照度を制限することが重要な目標となるので、反射天井の長さは4m以上であるのが望ましい。反射天井(の長さ)が4mを超えると、反射天井の主な効果は、日光が当たる領域の奥に近いところの明るさのレベルを大きくすることである。しかしながら、さらに長さを長くしても見返りは少なくなり、反射天井を6mより長くするのは実用的ではないだろう。反射部分の端からはみ出している天井の残りの部分は、標準的な吸音タイルのレイアウト(配置)を使用することができる。
【0078】
システムの表面特性
ルーバー22の表面は、採光システム10の全体透過率を大きくするために、高反射性であるのが望ましい。2つの可能な製造プロセスには、a)ルーバー22を、たとえば押出し成形やダイカスティングによってアルミニウムなどの金属から作って、その外面を精密に(乃至きれいに)磨くこと、または、b)射出成形によってプラスチックなどの重合体(ポリマー)からルーバー22を作ることが含まれる。反射性の表面を形成するために、真空蒸着による金属被覆などの堆積(または蒸着)プロセスを用いて、ルーバー22を反射性材料(アルミニウムや銀が可能性のある材料である)でコーティング(被覆)することができる。いくつかの実施形態では、ルーバー22を、一枚のマイラー(商標)または3Mから入手できるDaylighting Film DF2000MAなどの反射性フィルム(反射性の薄膜)でコーティングすることができる。完成した(乃至研磨等の仕上げ処理を施された)ルーバー表面の反射率は、好ましくは、少なくとも50%の光反射率であり、より好ましくは、92%の光反射率であり、さらにもっと好ましくは、95%より大きな光反射率であり、最も好ましくは、98%より大きな光反射率である。ルーバー22の設計において、コーティングと組み合わせたときのルーバー基板の大きさ(寸法)が、設計されたプロファイルの大きさ(寸法)に合致するように、ルーバー22のコーティングの厚みを考慮することができる。
【0079】
高反射率の重要性は、光線の大部分が、ルーバーチャンネル26を通過するときにルーバー22で何回も反射するという事実によってさらに高まる。表2は、光がルーバーで3回反射する場合に、いくつかの異なる表面反射率について、有効反射率(実効反射率ともいう)に対する効果を示している。この表からは、反射率の小さな増加または減少が、該システムを通過する入射光の全割合に大きな影響を及ぼしうるようである。
【0080】
【表2】
【0081】
天井(もしくは天井板)の材料を、表面に多少でこぼこのある高反射性材料とすることができる。このでこぼこのある表面は、天井が鏡になるのを回避する(天井が鏡(天井鏡)になると、部屋の居住者の気を散らすおそれがある)。このでこぼこはまた、反射照明を促進する。適切な材料は、たとえば、Alanod (アラノッド)社製のMIRO Stucco G製品である(http://www.alanod.de/opencms/opencms/Technik/index.html)。天井材料の反射率はできるだけ大きいことが望ましいが、この表面の反射率は、ルーバー22の表面の反射率よりも重要ではない。これは、光は、天井で何度も反射するのではなく、一回反射するだけであるからである。
【0082】

ケーススダディ
システムがどのように動作するかの定量的な例を以下に示す。図26A図26Dは、4つの異なる典型的な空の状態(空模様)について、特定の事例のビルの空間(部屋)が、完全な採光システムを有する場合と日除けのない窓を有する場合に得られた結果を示している。図26A図26B図26Cは、日当たりのよい(よく晴れた)状態に対する、本発明の実施形態と基本事例の作業面照度を示しており、図26Dは、空一面が雲に覆われている状態に対する、本発明の実施形態と基本事例の作業面照度を示している。照明シミュレーションプログラムであるRadianceが、該シミュレーションを実行するために使用された。
【0083】
選択された参考事例は、幅が37m、奥行きが15m、高さが2.8mの部屋であった。ファサードは、南向きであって、15°の角度の空に対する妨害物を有していた。この事例を選択したのは、その部屋の大きさ及び向きが該システムにとって好適である一方で、依然としていくつかの空に対する妨害物を含んでいるからである。
以下の条件が適用される。
・シミュレーションは、Energy Plusの東京気象ファイルから得られた東京の気象データを使用する。
・全ての時刻は、現地の法定時刻であって、太陽時ではない。
・照度は、部屋の中心線に沿って床から0.75mの作業面において測定される。
・シミュレーションは、下側のピクチャーウィンドウ内の部分的に閉じられたブラインドからの採光の寄与が含まれるように、上側のクリアストリー(窓)と該下側のピクチャーウィンドウの結果を組み合わせる。
【0084】
床から2.09mのところにファサードの下側があるのは全ての事例について同じであり、ブラインドは、全ての直射日光を遮るが、いくらかの散光の通過を可能にするために65°の角度で閉じられている。該システムの事例では、(フレーム(枠)を含む)採光窓ユニットでファサードの上部0.71mが埋められており、日除けのない基本事例では、ガラスがはめ込まれたファサードの上部0.71mには覆いはない(むき出しのままである)。他のファサードは全ての事例において光を全く通さない。図26A図26Dは、該システム及び該基本事例について、選択された時間間隔で得られた部屋の中心線に沿った作業面照度を示している。オフィス空間(オフィススペース)に要求される一般的な最小照度である300、500、及び700ルクスを画定する破線も示されている。中心線に沿った作業面照度が測定乃至決定された状況は次の通りである。
図26A:日当たりのよい(よく晴れた)春/秋の午前11時30分(基本事例のピーク値は20683ルクス)
図26B:日当たりのよい(よく晴れた)夏の午前11時30分(基本事例のピーク値は3665ルクス)
図26C:日当たりのよい(よく晴れた)冬の午前11時30分(基本事例のピーク値は19009ルクス)
図26D:空一面が雲に覆われており、全水平面照度(globalhorizontal illuminance)は20000ルクス。
【0085】
日当たりのよい(よく晴れた)状況下では、ルーバーシステム(の性能)は、一年を通じてそれぞれの基本事例に優っている。部屋の奥における照度(または光量)は、該ルーバーシステムを用いたときには基本事例よりも400〜1000%高い。さらに、該ルーバーシステムは、直射日光の通過によって生じる基本事例における極端に高いピーク照度を回避している。
【0086】
空一面が雲に覆われている状況下では、全てのシステムについて照度は全面的に非常に小さくなっている。曇っている状況下では、受動式採光システムの性能は、該採光システム自体によって光が吸収されるために、覆い(日除け)のない窓よりもかなり悪くなるのが普通である。該ルーバーシステムの場合は絶対照度(または絶対光量)はそれほど高くないが、該ルーバーシステム(の性能)は、ファサードから5mを超えて離れたところでは覆いのない窓に依然として優っている。周辺にビルがあるために水平位置の近くに空(からの日光)を妨害するかなり大きな妨害物がある場合には、該ルーバーシステムは、覆いのない窓の場合よりもいっそう良好に機能する。これは、覆いのない窓は、該ルーバーシステムと違って、空間の奥の部分を照明するためには、水平方向(水平位置)近くからの光に当てにするからである。開いている窓を実現可能なオプションとするためには、オフィス空間を直射日光から守るためになんらかのタイプの動的な遮光システムが必要となりうるがあるが、これは、該ルーバーシステムにはない短所である。
【0087】
期待されるように、該システムは、直射日光が存在するときに(従来よりも)かなり多くの光(明るさ)をもたらす。その結果、該システムは、しっかりと南を向いている(南半球の場合は、しっかりと北を向いている)とき、すなわち、日がしっかり差し込む向きを向いているときに最良に動作する。
【0088】
最初の実際のモックアップ
3つの導光要素(ルーバー、ロッド、及び天井)全てを含むモックアップを使って構造(デザイン)が実現された。該システムの実際の(乃至物理的な)プロトタイプ(試作品)が、グレアの問題をテストし、並びに、該システムの外見の定性的な理解を得るために作成された。ルーバーのプロトタイプを作成するために、ルーバーの3次元版が、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムであるPro/Engineer Wildfire 2.0でモデリングされた。個々のルーバーの縁部(エッジ)は、適切な間隔で積み重なるように設計された。次に、部品が、Dimension社製の3次元プリンタが読み込むことができるSTLファイルとしてエクスポートされた。この3次元プリンタは、紙に印刷する(通常の)プリンタが1つのラインを一度に印刷することによって文字のあるページを形成するのと同じように、溶融ABSプラスチックの1つの層を一度に堆積することによって複雑な形状を形成することができる。
【0089】
ルーバーが完成すると、その表面を、反射性材料(光反射性材料)の薄いシートで覆った。この反射性薄膜の細片を、プラスチック製ルーバーのサイズに合わせて(もしくは所定の長さに)切断し、両面テープを用いて該ルーバーに取り付けた。該プラスチックのプロファイル(外形乃至輪郭)に適合させられた薄膜によって、適正な形状及び適正な表面反射率を有するルーバーが得られた。次に、それぞれのルーバーを、7チャンネルの高さの単一のユニットに組み立てた。ルーバーアセンブリは、両側に透明ガラスを有するグレージングユニット(またはガラスユニット)に収納乃至封入された。
【0090】
3次元プリンタには寸法に制限があるため、並びに、組み立て時間及びコストを考慮して、作成されたルーバーアセンブリのプロトタイプのサイズは、ルーバーアセンブリの実際のサイズよりも大部小さなものであった。ルーバーの断面は実物大(2インチすなわち0.051m幅)で作成されたが、ルーバーの長さは短くされ、ルーバーの総数は少なくされた。完成したユニットの寸法は、幅が0.271m、高さが0.147mであり、フレーム(枠)は含まれていなかった。
【0091】
屈折ロッドは、McMaster-Carr社及び他のさまざまな供給元から入手可能な在庫部品である。該ロッドを所定の長さに切断し、その後、それらの上部と下部を木材の細片に接着した。
【0092】
反射天井を形成するために、(表面が)粗い反射性材料(Cinegel #3803:Roscoflex S)の何枚かのシートを、寸法が2フィート×6フィート(0.61m×1.83m)の大きなボード(板)の下面に接着した。地面に対して垂直方向に適切な量のスペースを設けるために、5フィート6インチ(1.68m)の高さの脚を該ボードのすみに取り付けた。高強度のVELCROフック及び環状の固定用ストリップ(環状のファスナーストリップ)を、該ボードの下面並びに該グレージングユニットの上部に付加し、これによって、該グレージングユニットとロッドの組立品(アセンブリ)を天井アセンブリに対して簡単に着脱できるようにした。
【0093】
本明細書で説明されている実際のモックアップにおいて、天井に使用される材料は、Roscoという名称の照明効果の会社によって作成された。使用された製品の名称は「Cinegel #3803:Roscoflex S」(http://www.rosco.com/us/filters/cinegel.cfm)である。該材料は、裏面にビニルが付けられたフォイル(または箔)であり、したがって、天井パネルを作成するのに適した材料ではない。Roscoは、該材料の反射率を測定していないので、該材料は高い反射率を有するように見えるが、実際の反射率の値は未知である。
【0094】
完成したモックアップを組み立てて、(遮るものが無く)ひらけている場所で試験を行った。
【0095】
東京のモックアップ
その後、明るさのシミュレーション結果の妥当性を検証するために、及び、グレアの問題をより明確にテストするために、採光システムのより精巧な実物大のモックアップが、東京のオフィスビルに設置された。
【0096】
ルーバーのプロファイルが完成した後、製造のためにCAD図面が送られた。それらのルーバーは、アルミニウム押出し成形によって製造された。押出し成形の一般的な材料であるアルミニウム合金6063−T5が使用された。
【0097】
このプロトタイプではアルミニウムが選択されたが、その代わりにポリマー(重合体)を使用することもできる。アルミニウムは、表面を反射性にすることができるこの方法において柔軟性を維持するために選択された。a)精密研磨によって、または、b)金属蒸着法(metal vapor deposition)によって、または、c)裏面に接着剤が付けられた反射性薄膜を貼りつけることによって、ルーバーの外面を反射性にすることができる。基板材料としてプラスチックを選択することによって、精密研磨を選択肢から除外できる場合がある。最終的に、接着剤が裏面に付けられた反射性薄膜がモックアップ用に選択され、ルーバーが作製された後、機械を使って、接着剤が裏面に付けられた反射性薄膜でそれらのルーバーを包んだ。その後、それらのルーバーを端板(またはエンドプレート)に貼りつけることによって、それらのルーバーをアレイ状に(すなわち所定の配列をなすように)組み立てた。スルーホール(貫通孔)が該端板の適正な位置にあけられ、ねじが、それらのルーバーのねじ穴に挿入された。
【0098】
アクリル製のロッドアセンブリの製造は、ルーバーの製造よりもかなり簡単であった。それらのロッドは市販されていたので、直径が10mmのアクリル製ロッドをいくらか購入して、それらを適切な長さに切断した。その後、ロッドの上端と下端を共通の端板に接着することによって、該ロッドの組を0.6m幅のアセンブリ(組立品)になるように結合した。
【0099】
次に、ルーバーとロッドのアセンブリ(組立品)をフレーム構造に取り付けた。該フレーム構造は、該フレーム(枠)の部屋側の部分に一枚のガラスを備えていた。(部屋の)外面側のガラスは不要であった。なぜなら、該モックアップは、試験用のオフィス内の既存の一枚のガラス窓の裏側に取り付けられることになったからである。完成した採光窓モジュールの各々のサイズは、フレーム(枠)を含めて、1.8m(幅)×0.71m(高さ)×0.085m(奥行き)であった。それぞれのモジュールの高さ全体を埋める(カバーする)ために、22.1mmの垂直方向の間隔を有する30個のルーバーを使用した。
【0100】
反射天井の材料も市販されていた。このモックアップ用に使用された特定の材料は、Alanod社のMiro Stucco Gアルミニウム板を陽極処理したものであった。この材料は、該システムの構造に要求される高い反射率、高い鏡面反射性、及びざらざらした質感を有している。材料のシート(薄板)が、既存の吸音タイル天井(または音響効果タイル天井)に一時的に貼りつけられた。
【0101】
本発明を、特定の好適な実施形態を参照して具体的に図示し説明したが、当業者には、特許請求の範囲によって画定される本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、それらの実施形態の形状や細部において種々の変更をなしうることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
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図10
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図12
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図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図14I
図14J
図15
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図17A
図17B
図18
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図20
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図26B
図26C
図26D