【実施例】
【0012】
図1は、本実施例に係る管理システムの構成を示す図である。
図1に示すように、この管理システムは、端末装置10と、ID管理サーバ100と、納状管理サーバ200と、コンテンツ管理サーバ300とを有する。
【0013】
例えば、保守作業員は、保守作業に向かう前に、端末装置10を操作して、コンテンツ管理サーバ300にログインする。そして、保守作業員は、端末装置10を操作して作業員ID(Identification)をコンテンツ管理サーバ300に送信することで、保守対象となる電子機器のファームウェアをコンテンツ管理サーバ300からダウンロードする。作業員IDは、保守作業員を一意に識別する情報である。
【0014】
ID管理サーバ100は、作業員の所属する部署の情報を管理するサーバである。例えば、ID管理サーバ100は、作業員IDと、保守作業員の所属する部署とを対応付けた部署管理テーブルを有する。
【0015】
ID管理サーバ100は、コンテンツ管理サーバ300から、作業者IDを受信した場合に、部署管理テーブルを基にして、作業者IDに対応する部署コードを判定する。部署コードは、保守作業員が所属する部署を一意に特定する情報である。ID管理サーバ100は、部署コードの情報を、納状管理サーバ200に送信する。
【0016】
納状管理サーバ200は、部署が保守作業を担当する電子機器の情報を管理するサーバである。例えば、納状管理サーバ200は、部署コードと、部署コードに対応する部署が保守作業を担当する電子機器とを対応付けた納状テーブルを有する。
【0017】
ここで、納状テーブルに格納される情報は、いくつかの過程を経て、正確な情報となる。例えば、納状テーブルに正確な情報が格納されるまでに、(1)手配、(2)納入品集約、(3)納品、(4)現調、(5)納状登録という過程を辿る。なお、手配品が顧客に直接納入される等の場合や、簡単に設置、稼働が可能な場合には、(4)現調が省略される場合がある。現調は、現地調整または現地調整作業を言う。手配品はメーカ都合、顧客都合等により途中で変更される場合があり、実際に顧客に納入されたものが明確なものになるのは、機器を設置、調整、確認後の(5)で通常確定する。(5)の段階における情報テーブルの情報は、(1)からの情報を途中変更される場合を除きほぼ引き継ぐが、顧客内の同型品との識別も出来るように製造番号など固体識別情報も付加される。これにより、一括の保守契約をしている場合でも保守契約の対象範囲を特定することが出来る。
【0018】
なお、納状は、納品状況のことである。例えば、納状は、納入品の装置名、号機、機器の設置場所等の情報を言う。本実施例の納状テーブルでは、本実施例を説明する上で必要な情報のみを示し、その他の情報は省略する。
【0019】
納状管理サーバ200は、ID管理サーバ100から部署コードの情報を受信した場合に、納状テーブルを基にして、部署コードに対応する機器識別情報を判定する。機器識別情報は、保守対象となる電子機器を一意に特定する情報である。納状管理サーバ200は、機器識別情報を、コンテンツ管理サーバ300に送信する。
【0020】
コンテンツ管理サーバ300は、電子機器を構成する各部品のファームウェアの情報を管理するサーバである。コンテンツ管理サーバ300は、端末装置10からのログインを受け付け、作業員IDを受信した場合には、受信した作業員IDをID管理サーバ100に送信する。コンテンツ管理サーバ300は、作業員IDをID管理サーバ100に送信した後に、納状管理サーバ200から機器識別情報を受信する。
【0021】
コンテンツ管理サーバ300は、ファームウェアの情報を格納したコンテンツテーブルを有する。コンテンツ管理サーバ300は、コンテンツテーブルを基にして、機器識別情報に対応するファームウェアの情報を抽出し、ファームウェアの情報を、端末装置10に送信する。なお、コンテンツ管理サーバ300は、ファームウェアの情報だけでなく、ファームウェアをインストールする対象機器の保守マニュアルの情報を、ファームウェアの情報と対応付けて、端末装置10に送信してもよい。
【0022】
次に、
図1に示したID管理サーバ100、納状管理サーバ200、コンテンツ管理サーバ300の構成について順に説明する。
【0023】
図2は、ID管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、このID管理サーバ100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0024】
通信部110は、ネットワークを介して、納状管理サーバ200およびコンテンツ管理サーバ300とデータ通信を実行する処理部である。通信部110は、通信装置に対応する。後述する制御部150は、通信部110を介して、納状管理サーバ200およびコンテンツ管理サーバ300とデータをやり取りする。
【0025】
入力部120は、各種の情報を入力する入力装置であり、例えば、キーボードやマウスに対応する。表示部130は、制御部150から出力される各種の情報を表示する表示装置であり、液晶ディスプレイやモニタ等に対応する。
【0026】
記憶部140は、部署管理テーブル140aを有する。例えば、記憶部140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。
【0027】
部署管理テーブル140aは、作業員IDと、保守作業員の所属する部署とを対応付けるテーブルである。
図3は、部署管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すように、この部署管理テーブル140aは、作業員IDと、作業員名と、部署コードとを対応付ける。作業員IDおよび部署コードに関する説明は上述した説明と同様である。作業員名は、作業員の名前である。
【0028】
制御部150は、更新部150aと、部署判定部150bと、送受信部150cとを有する。制御部150は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積装置に対応する。また、制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路に対応する。
【0029】
更新部150aは、部署管理テーブル140aに対する更新情報を取得した場合に、取得した更新情報を基にして、部署管理テーブル140aを更新する処理部である。
【0030】
部署判定部150bは、作業員IDと、部署管理テーブル140aとを基にして、作業員IDに対応する部署コードを判定する処理部である。
図3に示す例では、作業員IDが「mb590」である場合には、部署コードは「0001A2727A」となる。部署判定部150bは、作業員IDを送受信部150cから取得し、部署コードの判定結果を送受信部150cに出力する。
【0031】
送受信部150cは、コンテンツ管理サーバ300から作業員IDの情報を受信した場合に、作業員IDを部署判定部150bに出力する。送受信部150cは、部署判定部150bから部署コードの情報を取得した場合には、取得した部署コードの情報を、納状管理サーバ200に送信する。
【0032】
図4は、納状管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、この納状管理サーバ200は、通信部210と、入力部220と、表示部230と、記憶部240と、制御部250とを有する。
【0033】
通信部210は、ネットワークを介して、ID管理サーバ100およびコンテンツ管理サーバ300とデータ通信を実行する処理部である。通信部210は、通信装置に対応する。後述する制御部250は、通信部210を介して、ID管理サーバ100およびコンテンツ管理サーバ300とデータをやり取りする。
【0034】
入力部220は、各種の情報を入力する入力装置であり、例えば、キーボードやマウスに対応する。表示部230は、制御部250から出力される各種の情報を表示する表示装置であり、液晶ディスプレイやモニタ等に対応する。
【0035】
記憶部240は、納状テーブル240aを有する。例えば、記憶部240は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子や、HDDなどの記憶装置に対応する。
【0036】
納状テーブル240aは、部署コードと、部署コードに対応する部署が保守作業を担当する電子機器とを対応付けるテーブルである。
図5は、納状テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図5に示すように、この納状テーブル240aは、部署コードと、部署名と、機器識別情報とを対応付ける。部署コードおよび機器識別情報に関する説明は、上述した説明と同様である。部署名は、部署の名称である。
【0037】
制御部250は、更新部250aと、機器判定部250bと、送受信部250cとを有する。制御部250は、ASICや、FPGAなどの集積装置に対応する。また、制御部250は、例えば、CPUやMPU等の電子回路に対応する。
【0038】
更新部250aは、納状テーブル240aに対する更新情報を取得した場合に、取得した更新情報を基にして、納状テーブル240aを更新する処理部である。
【0039】
機器判定部250bは、部署コードと、納状テーブル240aとを基にして、部署コードに対応する機器識別情報を判定する処理部である。
図5に示す例では、部署コードが「0001A2727A」である場合には、機器識別情報は「PGX922AA」、「PGX923AA」、「PGX924AA」となる。このように、単一の部署コードに対して、複数の機器識別情報がヒットする場合がある。機器判定部250bは、部署コードを送受信部250cから取得し、機器識別情報の判定結果を送受信部250cに出力する。
【0040】
送受信部250cは、ID管理サーバ100から部署コードの情報を受信した場合に、部署コードを機器判定部250bに出力する。送受信部250cは、機器判定部250bから機器識別情報を取得した場合には、取得した機器識別情報を、コンテンツ管理サーバ300に送信する。
【0041】
図6は、コンテンツ管理サーバの構成を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、このコンテンツ管理サーバ300は、通信部310と、入力部320と、表示部330と、記憶部340と、制御部350とを有する。
【0042】
通信部310は、ネットワークを介して、端末装置10、ID管理サーバ100、納状管理サーバ200とデータ通信を実行する処理部である。通信部310は、通信装置に対応する。後述する制御部350は、通信部310を介して、端末装置10、ID管理サーバ100、納状管理サーバ200とデータをやり取りする。
【0043】
入力部320は、各種の情報を入力する入力装置であり、例えば、キーボードやマウスに対応する。表示部330は、制御部350から出力される各種の情報を表示する表示装置であり、液晶ディスプレイやモニタ等に対応する。
【0044】
記憶部340は、コンテンツテーブル340aを有する。例えば、記憶部340は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子や、HDDなどの記憶装置に対応する。
【0045】
コンテンツテーブル340aは、電子機器にインストールするファームウェアの情報を有するテーブルである。
図7は、コンテンツテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図7に示すように、このコンテンツテーブル340aは、機器識別情報と、構成部品識別情報と、ファームウェア情報と、フラグとを対応付ける。なお、ここでは図示を省略するが、このコンテンツテーブル340aは、対象機器の保守マニュアルの情報を有していてもよい。
【0046】
機器識別情報は、保守対象となる電子機器を一意に特定する情報である。構成部品識別情報は、電子機器に含まれる部品を一意に識別する情報である。例えば、機器識別情報「PGX922AA」には構成部品識別情報「A001」、「B021」、「C101」に対応する各部品が含まれていることを示す。以下の説明では、構成部品識別情報によって識別される電子機器の部品を、構成部品と適宜表記する。
【0047】
ファームウェア情報は、構成部品にインストールするファームウェアの情報であり、例えば、最新版のファームウェアの情報と、旧版のファームウェアの情報とを有する。フラグは、最新版のファームウェアを構成部品にインストールすべきか否かを示すフラグである。例えば、フラグが「オン」である場合には、最新版のファームウェアの代わりに旧版のファームウェアを構成部品にインストールする旨を示す。フラグが「オフ」である場合には、最新版のファームウェアを構成部品にインストールする旨を示す。
【0048】
制御部350は、更新部350aと、受付部350bと、判定部350cと、通知部350dとを有する。制御部350は、ASICや、FPGAなどの集積装置に対応する。また、制御部350は、例えば、CPUやMPU等の電子回路に対応する。
【0049】
更新部350aは、コンテンツテーブル340aに対する更新情報を取得した場合に、取得した更新情報を基にして、コンテンツテーブル340aを更新する処理部である。
【0050】
受付部350bは、端末装置10からのログインを受け付ける処理部である。受付部350bは、ログインを受け付けた後、端末装置10から作業員IDを受信した場合には、受信した作業員IDを、ID管理サーバ100に送信する。
【0051】
判定部350cは、機器識別情報と、コンテンツテーブル340aとを基にして、機器識別情報に対応する構成部品を特定し、各構成部品に対応するファームウェア情報を特定する。判定部350cは、ファームウェア情報に対応するフラグを基にして、最新版のファームウェアを通知するのか、旧版のファームウェアを通知するのかを判定し、判定したファームウェアを、通知部340dに出力する。
【0052】
例えば、機器識別情報を「PGX922AA」とすると、判定部350cは、構成部品「A001」、「B021」、「C101」のファームウェアを通知すると判定する。また、構成部品「A001」のフラグが「オン」となっている。このため、判定部350cは、構成部品「A001」のファームウェアについて、「旧版」のファームウェアを通知すると判定する。構成部品「B021」、「C101」のフラグが「オフ」となっている。このため、判定部350cは、構成部品「B021」、「C101」のファームウェアについて、「最新版」のファームウェアを通知すると判定する。従って、この場合には、判定部350cは、構成部品「A001」の旧版のファームウェアと、構成部品「B021」の最新版のファームウェアと、構成部品「C101」の最新版のファームウェアを、通知部350dに出力する。
【0053】
通知部350dは、納状管理サーバ200から機器識別情報を受信した場合に、機器識別情報を判定部350cに出力する。通知部350dは、判定部350cからファームウェア情報を取得した場合には、取得したファームウェア情報を、端末装置10に出力する。なお、通知部350dは、ファームウェア情報に加えて、対象機器の保守マニュアルの情報を出力してもよい。
【0054】
次に、本実施例に係る管理システムの処理手順について説明する。
図8は、本実施例に係る管理システムの処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すように、端末装置10は、コンテンツ管理サーバ300にログイン後、コンテンツ管理サーバ300に作業員IDを送信する(ステップS101)。
【0055】
コンテンツ管理サーバ300は、端末装置10から受信した作業員IDを、ID管理サーバ100に送信する(ステップS102)。ID管理サーバ100は、作業員IDと部署管理テーブル140aとを基にして、部署コードを判定する(ステップS103)。ID管理サーバ100は、部署コードを納状管理サーバ200に送信する(ステップS200)。
【0056】
納状管理サーバ200は、部署コードと納状管理テーブル240aとを基にして、機器識別情報を判定する(ステップS105)。納状サーバ200は、機器識別情報をコンテンツ管理サーバ300に送信する(ステップS106)。
【0057】
コンテンツ管理サーバ300は、機器識別情報とコンテンツテーブル340aとを基にして、ファームウェアの情報を判定する(ステップS107)。コンテンツ管理サーバ300は、ファームウェア情報を、端末装置10に送信する(ステップS108)。端末装置10は、ファームウェア情報を記憶する(ステップS109)。
【0058】
次に、本実施例に係る管理システムの効果について説明する。本実施例に係る管理システムは、コンテンツ管理サーバ300が、端末装置10から作業員IDを取得した場合に、この作業員IDをID管理サーバ100に送信することで、納状管理サーバ200から機器識別情報を取得する。そして、コンテンツ管理サーバ300は、機器識別情報をキーにして、コンテンツテーブルから交換対象となる電子機器の部品にインストールすべきファームウェア情報を端末装置10に通知する。このため、保守作業員は、自身の作業員IDを端末装置10に入力して、コンテンツ管理サーバ300に通知するだけで、保守作業で利用するファームウェア情報を端末装置10にダウンロードできるため、保守作業を効率的に実行することができる。
【0059】
また、管理システムのコンテンツ管理サーバ300は、コンテンツテーブル340aのフラグを基にして、最新版のファームウェア情報または旧版のファームウェア情報をコンテンツテーブル340aから抽出し、端末装置10に送信する。例えば、電子機器によっては、最新版ではなく、旧版のファームウェアをインストールしたいというクライアントからの要望に応えつつ、保守作業員の負担を軽減して、保守作業を効率的に実行することができる。例えば、フラグ管理をすることで、保守作業員は、クライアント毎に最新版のファームウェアをインストールするか否かを覚えておかなくてよい。
【0060】
なお、本実施例では一例として、コンテンツテーブル340aにフラグを設け、最新版または旧版のファームウェアを端末装置10に通知する場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コンテンツ管理サーバ300は、最新版および旧版のファームウェア情報を、端末装置10に通知してもよい。
【0061】
ところで、本実施例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部あるいは一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0062】
さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部がCPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。