特許第5932882号(P5932882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932882
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/06 20060101AFI20160526BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20160526BHJP
   B60C 3/06 20060101ALI20160526BHJP
   B60C 15/00 20060101ALI20160526BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20160526BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
   B60C15/06 B
   B60C5/00 H
   B60C3/06
   B60C15/00 D
   B60C15/06 C
   B60C11/13 C
   B60C11/03 B
   B60C11/03 100B
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-100770(P2014-100770)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-217718(P2015-217718A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】久次米 智之
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−061839(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047192(WO,A1)
【文献】 特開2012−158064(JP,A)
【文献】 特開2013−100020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 3/06
5/00
11/03
15/00
15/04
15/05
15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤであって、
トレッド部からサイドウォール部をへて両側のビード部のビードコアに至るカーカスプライからなるカーカスと、ビード部で前記カーカスプライに沿ってタイヤ半径方向にのびるビードエーペックスゴムとを具え、
前記ビード部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に位置する外側ビードと、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両内側に位置する内側ビードとを含み、
正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷である正規状態のタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、
前記ビードエーペックスゴムは、前記外側ビードに設けられた外側エーペックス部と、前記内側ビードに設けられた内側エーペックス部とを含み、
前記外側エーペックス部は、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向内側に配された外側第1エーペックス部と、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向外側に配された外側第2エーペックス部とを有し、
前記内側エーペックス部は、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向内側に配された内側第1エーペックス部と、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向外側に配された内側第2エーペックス部とを有し、
前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも大きく、
前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さは、前記外側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも小さいことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さの1.1〜1.5倍である請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記内側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも小さい請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記内側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さの0.55〜0.95倍である請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さは、前記外側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さの0.7〜0.98倍である請求項1乃至4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記ビード部には、ビード外面を形成するクリンチゴムが設けられ、
前記クリンチゴムは、前記外側ビードに設けられた外側クリンチ部と、前記内側ビードに設けられた内側クリンチ部とを有し、
前記外側クリンチ部は、前記外側第2エーペックス部のタイヤ軸方向外側に配された外側第2クリンチ部を有し、
前記内側クリンチ部は、前記内側第2エーペックス部のタイヤ軸方向外側に配された内側第2クリンチ部を有し、
前記内側第2クリンチ部のタイヤ半径方向の高さは、前記外側第2クリンチ部のタイヤ半径方向の高さよりも大である請求項1乃至5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記ビードコアは、タイヤ軸方向の内外に分割されている内側ビードコア片と外側ビードコア片とからなり、
前記カーカスプライの両端部は、前記内側ビードコア片及び前記外側ビードコア片に挟まれている請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記ビード部には、ビード外面を形成するクリンチゴムが設けられ、
前記クリンチゴムは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ軸方向外側に配され、
前記クリンチゴムのタイヤ半径方向の高さは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも大きい請求項1乃至7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記トレッド部は、車両装着時に車両外側に位置する外側トレッド端を有し、
最も前記外側トレッド端側をタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝が設けられることにより、前記外側トレッド端と前記外側ショルダー主溝との間で外側ショルダー陸部が形成され、
前記外側ショルダー陸部には、前記外側トレッド端と前記外側ショルダー主溝とを継ぐ外側ショルダー横溝が設けられ、
前記外側ショルダー横溝は、溝底を隆起させたタイバーが設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記外側ショルダー陸部には、前記外側トレッド端からタイヤ赤道側へのびかつ前記外側ショルダー陸部内で終端する外側ショルダーラグ溝が設けられ、
前記外側ショルダーラグ溝のタイヤ軸方向の長さは、前記外側ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅の45%〜85%である請求項9記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な耐久性能と操縦安定性能とを有する空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
トレッド部から両側のビード部のビードコアに至るカーカスプライからなるカーカスと、ビード部で前記カーカスプライに沿ってタイヤ半径方向にのびるビードエーペックスゴムとを具えた空気入りタイヤが提案されている。このような空気入りタイヤの、操縦安定性能を向上させるために、ビードエーペックスゴムの体積を大きくして、ビード部の剛性を高めることが知られている。しかしながら、大型化されたビードエーペックスゴムは、走行中の発熱が大きいため、その熱による劣化によって、ビードエーペックスゴムがカーカスプライから剥離するルースが発生し易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−236499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、良好な操縦安定性能と耐久性能とを有する空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両への装着の向きが指定された空気入りタイヤであって、トレッド部からサイドウォール部をへて両側のビード部のビードコアに至るカーカスプライからなるカーカスと、ビード部で前記カーカスプライに沿ってタイヤ半径方向にのびるビードエーペックスゴムとを具え、前記ビード部は、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に位置する外側ビードと、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両内側に位置する内側ビードとを含み、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷である正規状態のタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面において、前記ビードエーペックスゴムは、前記外側ビードに設けられた外側エーペックス部と、前記内側ビードに設けられた内側エーペックス部とを含み、前記外側エーペックス部は、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向内側に配された外側第1エーペックス部と、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向外側に配された外側第2エーペックス部とを有し、前記内側エーペックス部は、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向内側に配された内側第1エーペックス部と、前記カーカスプライよりもタイヤ軸方向外側に配された内側第2エーペックス部とを有し、前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも大きいことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さが、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さの1.1〜1.5倍であるのが望ましい。
【0007】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記内側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さが、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも小さいのが望ましい。
【0008】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記内側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さが、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さの0.55〜0.95倍であるのが望ましい。
【0009】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さが、前記外側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも小さいのが望ましい。
【0010】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さが、前記外側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さの0.7〜0.98倍であるのが望ましい。
【0011】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記ビードコアが、タイヤ軸方向の内外に分割されている内側ビードコア片と外側ビードコア片とからなり、前記カーカスプライの両端部は、前記内側ビードコア片及び前記外側ビードコア片に挟まれているのが望ましい。
【0012】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記ビード部には、ビード外面を形成するクリンチゴムが設けられ、前記クリンチゴムは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ軸方向外側に配され、前記クリンチゴムのタイヤ半径方向の高さは、前記内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さよりも大きいのが望ましい。
【0013】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記トレッド部が、車両装着時に車両外側に位置する外側トレッド端を有し、最も前記外側トレッド端側をタイヤ周方向に連続してのびる外側ショルダー主溝が設けられることにより、前記外側トレッド端と前記外側ショルダー主溝との間で外側ショルダー陸部が形成され、前記外側ショルダー陸部には、前記外側トレッド端と前記外側ショルダー主溝とを継ぐ外側ショルダー横溝が設けられ、前記外側ショルダー横溝は、溝底を隆起させたタイバーが設けられているのが望ましい。
【0014】
本発明に係る空気入りタイヤは、前記外側ショルダー陸部には、前記外側トレッド端からタイヤ赤道側へのびかつ前記外側ショルダー陸部内で終端する外側ショルダーラグ溝が設けられ、前記外側ショルダーラグ溝のタイヤ軸方向の長さは、前記外側ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅の45%〜85%であるのが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の空気入りタイヤは、ビード部でタイヤ半径方向にのびるビードエーペックスゴムを具え、かつ、ビード部が、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両外側に位置する外側ビードと、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両内側に位置する内側ビードとを含んでいる。
【0016】
ビードエーペックスゴムは、外側ビードに外側エーペックス部を、内側ビードに内側エーペックス部を、それぞれ含んでいる。外側エーペックス部は、カーカスプライよりもタイヤ軸方向内側に配された外側第1エーペックス部と、カーカスプライよりもタイヤ軸方向外側に配された外側第2エーペックス部とを有している。内側エーペックス部は、カーカスプライよりもタイヤ軸方向内側に配された内側第1エーペックス部と、カーカスプライよりもタイヤ軸方向外側に配された内側第2エーペックス部とを有している。
【0017】
外側第2エーペックス部は、内側第2エーペックス部よりも大きい高さを有している。これにより、車両の旋回走行時、より大きな荷重が作用する外側ビードは、そのカーカスプライの外側に位置する外側第2エーペックス部によって曲げ剛性が十分に高められる。一方、内側ビードは、外側ビードに比べて、走行中、外気との接触による冷却が行われ難い。このような内側ビードの内側第2エーペックス部を小さく形成することで、内側ビードでは、その発熱が抑制され、適度の温度上昇を防ぐことができる。従って、本発明の空気入りタイヤでは、操縦安定性能と耐久性能とがバランス良く向上する。

【0018】
各第2エーペックス部は、各第1エーペックス部に比してリムフランジに近く配されている。このため、タイヤに内圧が充填された場合、各第2エーペックス部には、大きな圧縮応力が作用するので、各第2エーペックス部は、各第1エーペックス部よりも発熱し易い。従って、本発明の空気入りタイヤでは、主として、各第2エーペックス部を改善することで、効果的に耐久性能と操縦安定性能とをバランス良く向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態を示す空気入りタイヤの断面図である。
図2図1の外側ビード及び内側ビードの拡大図である。
図3図1のトレッド部の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1の正規状態におけるタイヤ子午線断面図である。図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1は、例えば乗用車用のタイヤ、特にはランフラットタイヤとして好適に利用され得る。
【0021】
前記「正規状態」とは、タイヤが正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では、特に断りがない場合、タイヤの各部の寸法等は、この正規状態において測定される値である。
【0022】
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"である。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。タイヤが乗用車用である場合は、正規内圧は、180kPaである。
【0023】
タイヤ1は、路面と接地するトレッド面2aを有するトレッド部2と、そのタイヤ軸方向両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3のタイヤ半径方向内方に設けられたビード部4とを具えている。
【0024】
本実施形態のタイヤ1は、車両への装着の向きが指定されている。トレッド部2は、車両装着時に車両外側に位置する外側トレッド端Toと、車両装着時に車両内側に位置する内側トレッド端Tiとを有する。車両への装着の向きは、例えばサイドウォール部(図示せず)に、文字等で表示される。
【0025】
「トレッド端」To、Tiは、正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。正規状態において、各トレッド端To、Ti間のタイヤ軸方向の距離がトレッド接地幅TWとして定められる。
【0026】
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。タイヤが乗用車用の場合、正規荷重は、前記荷重の88%に相当する荷重である。
【0027】
タイヤ1は、カーカス6と、ベルト層7と、インナーライナ層10と、サイド補強ゴム層11とを含んでいる。
【0028】
カーカス6は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカスコードを具えたカーカスプライ6Aから構成される。カーカスプライ6Aは、例えば有機繊維からなるカーカスコードがタイヤ赤道C方向に対して例えば75〜90°の角度で配列されている。本実施形態のカーカスプライ6Aは、タイヤ軸方向両側のビード部4、4間をトロイド状に跨っている。カーカスプライ6Aの両側の端部6eは、ビードコア5で折り返されることなくビードコア5に至って終端している。カーカス6は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部と、本体部に連なりかつビードコア5の回りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部(図示省略)とを含む態様でも良い。
【0029】
ベルト層7は、カーカスプライ6Aのタイヤ半径方向外側に配されている。ベルト層7は、少なくとも2枚以上、本実施形態ではタイヤ半径方向内、外2枚のベルトプライ7A、7Bからなる。各ベルトプライ7A、7Bは、タイヤ赤道Cに対して15〜40°の角度で傾けられた例えばスチールコード等の高弾性のベルトコードを有する。
【0030】
本実施形態では、ベルト層7のタイヤ半径方向外側に、例えばナイロンコード等のバンドコードを螺旋状に巻回したバンド層9が設けられている。本実施形態のバンド層9は、ベルト層7の幅よりも大きい幅を有したフルバンドプライとして形成されている。バンド層9は、例えば、ベルト層7のタイヤ軸方向外端部のみを被覆する左右一対のエッジバンドプライでも良い。
【0031】
インナーライナ層10は、カーカス6の内側に配され、タイヤ内腔面2bを形成している。インナーライナ層10は、例えばブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等の非空気透過性のゴムからなり、タイヤ内腔内に充填される充填空気を気密に保持する。
【0032】
サイド補強ゴム層11は、本実施形態では、サイドウォール部3においてカーカス6とインナーライナ層10との間に設けられている。サイド補強ゴム層11は、ランフラット機能を確保し得るよう硬質のゴムからなる。本実施形態のサイド補強ゴム層11は、最大厚さを有する中央部分から、タイヤ半径方向内端及び外端に向かってそれぞれ厚さを徐々に減じてのびる断面三日月状である。
【0033】
サイド補強ゴム層11は、ランフラット性能を維持しつつ、走行時の発熱を小さくしてランフラット耐久性能を高めるために、その複素弾性率E*1は、例えば、4.5〜14MPa程度、損失正接tanδ1は、0.025〜0.08が望ましい。
【0034】
本明細書において、複素弾性率E*及び損失正接tanδは、JIS−K6394の規定に準拠して、下記の条件で、株式会社岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて測定された値である。
初期歪:10%
振幅:±2%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70°C
【0035】
各ビードコア5は、タイヤ軸方向に分割されている内側ビードコア片5Aと外側ビードコア片5Bとから構成されている。本実施形態の内側ビードコア片5A、外側ビードコア片5Bは、非伸張性のビードワイヤ(図示省略)をタイヤ周方向に複数回巻き付けたワイヤ巻重ね体12からなる。内側ビードコア片5A、外側ビードコア片5Bは、夫々、タイヤ軸方向の内外に重ねられた2つのワイヤ巻重ね体12a、12bで形成されている。内側ビードコア片5Aと外側ビードコア片5Bとの間で、カーカスプライ6Aの端部6eが保持されている。
【0036】
ビード部4は、車両装着時にタイヤ赤道Cよりも車両外側に位置する外側ビード4Aと、車両装着時にタイヤ赤道Cよりも車両内側に位置する内側ビード4Bとからなる。
【0037】
ビード部4には、カーカスプライ6Aに沿ってタイヤ半径方向にのびるビードエーペックスゴム14と、ビード外面4aを形成するクリンチゴム15とが、さらに設けられている。
【0038】
本実施形態のクリンチゴム15は、ビードエーペックスゴム14をタイヤ軸方向内側から外側へ覆うように配された断面略U字状である。クリンチゴム15は、リム(図示しない)との接触による摩耗を防止するため、硬質のゴムで形成されている。
【0039】
図2は、図1の外側ビード4Aと内側ビード4Bとを並べて示す拡大図である。図2に示されるように、ビードエーペックスゴム14は、外側ビード4Aに設けられた外側エーペックス部16と、内側ビード4Bに設けられた内側エーペックス部17とを含んでいる。
【0040】
外側エーペックス部16は、カーカスプライ6Aよりもタイヤ軸方向内側に配された外側第1エーペックス部16aと、カーカスプライ6Aよりもタイヤ軸方向外側に配された外側第2エーペックス部16bとを有している。本実施形態では、ビードコア5よりもタイヤ半径方向の内側で、外側第1エーペックス部16aと外側第2エーペックス部16bが接続されている。このような外側エーペックス部16は、ビードコア5とともにカーカスプライ6Aをより強固に保持させるため、ルースの発生を抑制し得る。
【0041】
内側エーペックス部17は、カーカスプライ6Aよりもタイヤ軸方向内側に配された内側第1エーペックス部17aと、カーカスプライ6Aよりもタイヤ軸方向外側に配された内側第2エーペックス部17bとを有している。本実施形態では、ビードコア5よりもタイヤ半径方向の内側で、内側第1エーペックス部17aと内側第2エーペックス部17bが接続されている。
【0042】
外側第2エーペックス部16bは、内側第2エーペックス部17bよりも大きい高さH1を有している。これにより、車両の旋回走行時、より大きな荷重が作用する外側ビード4Aは、そのカーカスプライ6Aの外側に位置する外側第2エーペックス部16bによって曲げ剛性が十分に高められる。一方、走行時の熱がこもり易い内側ビード4Bでは、その発熱が抑制され、ひいては熱による破壊が防止される。従って、本発明の空気入りタイヤでは、操縦安定性能と耐久性能とがバランス良く向上する。
【0043】
各第2エーペックス部16b、17bは、各第1エーペックス部16a、17aに比してリムフランジに近いため、内圧が充填された場合、各第2エーペックス部16b、17bには、大きな圧縮応力が作用する。このため、各第2エーペックス部16b、17bは、各第1エーペックス部16a、17aよりも発熱し易い。従って、本発明のタイヤ1では、各第2エーペックス部16b、17bの大きさを改善することにより、効果的に耐久性能と操縦安定性能とをバランス良く向上させることができる。
【0044】
上述の作用をより効果的に発揮させるために、外側第2エーペックス部16bのタイヤ半径方向の高さH1は、好ましくは、内側第2エーペックス部17bのタイヤ半径方向の高さH2の1.1〜1.5倍である。特に、外側第2エーペックス部16bのタイヤ半径方向の高さH1が内側第2エーペックス部17bのタイヤ半径方向の高さH2の1.5倍を超える場合、外側ビード4Aの発熱が大きくなる傾向があるか、又は、内側ビード4Bの剛性が過度に低下し、操縦安定性能が悪化するおそれがある。
【0045】
外側第2エーペックス部16bの高さH1は、好ましくは、タイヤ断面高さHa(図1に示す)の40%〜60%である。なお、各外側エーペックス部16a、16bの高さは、外側エーペックス部16の内端16iから外端までのタイヤ半径方向の距離である。各内側エーペックス部17a、17bの高さは、内側エーペックス部17の内端17iから外端までのタイヤ半径方向の距離である。
【0046】
内側第1エーペックス部17aは、好ましくは、内側第2エーペックス部17bよりも小さい高さH4を有している。これにより、内圧によって大きな応力が作用する内側第2エーペックス部17bの剛性が高められるとともに、旋回時の相対的に小さな荷重が作用する内側第1エーペックス部17aを小型化して、発熱を抑制することができるため、操縦安定性能と耐久性能とがバランス良く向上する。
【0047】
内側第1エーペックス部17aのタイヤ半径方向の高さH4は、より好ましくは、内側第2エーペックス部17bのタイヤ半径方向の高さH2の0.55〜0.95倍である。内側第1エーペックス部17aのタイヤ半径方向の高さH4が、内側第2エーペックス部17bのタイヤ半径方向の高さH2の0.55倍未満の場合、内側第2エーペックス部17bの発熱が過度に高められる。または、内側ビード4Bのタイヤ軸方向内側の剛性が低下し、操縦安定性能が悪化するおそれがある。
【0048】
外側第2エーペックス部16bは、外側第1エーペックス部16aよりも小さい高さH1を有しているのが望ましい。即ち、旋回走行時に大きな荷重の作用する外側ビード4Aでは、タイヤ軸方向の内外、いずれの方向の荷重に対しても曲げ剛性を大きく確保するのが望ましい。また、ビード部4には、硬度の大きいクリンチゴム15がカーカスプライ6Aの外側に大きく配されている。このため、外側第2エーペックス部16bを、外側第1エーペックス部16aよりも小さい高さH1とすることにより、大きな荷重の作用する左右の旋回に対して、ビード部4の曲げ剛性をバランス良く確保することができる。このため、操縦安定性能が大きく向上する。
【0049】
外側第2エーペックス部16bのタイヤ半径方向の高さH1は、より好ましくは、外側第1エーペックス部16aのタイヤ半径方向の高さH3の0.70〜0.98倍である。外側第2エーペックス部16bのタイヤ半径方向の高さH1が、外側第1エーペックス部16aのタイヤ半径方向の高さH3の0.70倍未満の場合、タイヤ軸方向外側への力に対するビード部4の曲げ剛性が小さくなり、操縦安定性能が悪化するおそれがある。外側第2エーペックス部16bのタイヤ半径方向の高さH1が、外側第1エーペックス部16aのタイヤ半径方向の高さH3の0.98倍を超える場合、外側第2エーペックス部16b内の発熱が大きくなり、耐久性能が悪化するおそれがある。
【0050】
このようなビードエーペックスゴム14は、曲げ剛性を確保しつつ、柔軟に変形してカーカスプライとの剥離を抑制する観点より、その複素弾性率E*2が、例えば、30〜100MPa程度が望ましい。ビードエーペックスゴム14の損失正接tanδ2は、発熱を抑制して耐久性を高めつつ、クリンチゴム15との剛性段差を小さくして、耐久性能を高めるため、例えば、0.1〜0.25程度が望ましい。本実施形態のビードエーペックスゴム14は、同じ複素弾性率E*2及び同じ損失正接tanδ2であるため、製造が容易である。
【0051】
クリンチゴム15は、外側ビード4Aに設けられた外側クリンチ部18と、内側ビード4Bに設けられた内側クリンチ部19とを有している。
【0052】
外側クリンチ部18は、外側第1エーペックス部16aのタイヤ軸方向内側に配された外側第1クリンチ部18aと、外側第2エーペックス部16bのタイヤ軸方向外側に配された外側第2クリンチ部18bとを有している。内側クリンチ部19は、内側第1エーペックス部17aのタイヤ軸方向内側に配された内側第1クリンチ部19aと、内側第2エーペックス部17bのタイヤ軸方向外側に配された内側第2クリンチ部19bとを有している。
【0053】
内側第2クリンチ部19bは、内側第2エーペックス部17bよりも大きい高さH5を有している。これにより、内側ビード4Bのタイヤ軸方向外側の剛性をさらに高めることができ、旋回走行時の大きな荷重に対し、優れた操縦安定性能が発揮される。
【0054】
内側第2クリンチ部19bのタイヤ半径方向の高さH5は、より好ましくは、内側第2エーペックス部17bのタイヤ半径方向の高さH2の1.1〜1.7倍である。特に、内側第2クリンチ部19bのタイヤ半径方向の高さH5が、内側第2エーペックス部17bのタイヤ半径方向の高さH2の1.7倍を超える場合、内側第2エーペックス部17bが、過度に小型化され操縦安定性能が発揮されないおそれがある。
【0055】
内側第2クリンチ部19bのタイヤ半径方向の高さH5は、好ましくは、外側第2クリンチ部18bのタイヤ半径方向の高さH6よりも大である。これにより、大きく発熱し易い外側第2エーペックス部16bの熱をビード外面4aからスムーズに排出することができるとともに、内側ビード4Bの曲げ剛性を確保できるため、さらに操縦安定性能と耐久性能とが向上する。
【0056】
内側第2クリンチ部19bのタイヤ半径方向の高さH5は、より好ましくは、外側第2クリンチ部18bのタイヤ半径方向の高さH6の1.05〜1.25倍である。内側第2クリンチ部19bのタイヤ半径方向の高さH5が、外側第2クリンチ部18bのタイヤ半径方向の高さH6の1.25倍を超える場合、内側ビード4Bの剛性が過度に大きくなり、内側第2エーペックス部17bの柔軟な変形が抑制され、耐久性能が悪化するおそれがある。
【0057】
外側第2クリンチ部18bのタイヤ半径方向の外端18eは、好ましくは、外側第2エーペックス部16bのタイヤ半径方向の外端16eよりもタイヤ半径方向の内側に位置している。これにより、外側第1エーペックス部16a、外側第2エーペックス部16b及び、外側第2クリンチ部18bで、タイヤ軸方向内側及び外側への大きな圧縮応力に対し、高い剛性をバランス良く確保することができるため、優れた操縦安定性能を発揮することができる。
【0058】
外側第2クリンチ部18bのタイヤ半径方向の外端18eと外側第2エーペックス部16bのタイヤ半径方向の外端16eとのタイヤ半径方向の距離Laは、好ましくは、タイヤ断面高さHaの2%〜10%である。前記距離Laがタイヤ断面高さHaの10%を超える場合、外側ビード4Aのタイヤ軸方向外側の剛性を大きく確保することができないおそれがある。前記距離Laがタイヤ断面高さHaの2%未満の場合、外側ビード4Aのタイヤ軸方向外側の剛性が過度に大きくなるおそれがある。このため、左右の旋回バランスが低下し、操縦安定性能が悪化するおそれがある。
【0059】
上述の作用を効果的に発揮する観点より、クリンチゴム15の複素弾性率E*3は、好ましくは、6〜15MPaである。また、クリンチゴム15の損失正接tanδ3は、好ましくは、0.08〜0.23である。本実施形態のクリンチゴム15も、同じ複素弾性率E*3及び同じ損失正接tanδ3であるため、容易に製造することができる。
【0060】
図3は、トレッド部2の展開図である。図3に示されるように、トレッド部2は、タイヤ周方向に連続してのびる主溝21が設けられている。
【0061】
本実施形態の主溝21は、外側ショルダー主溝21Aと、内側ショルダー主溝21Bと、外側センター主溝21Cと、内側センター主溝21Dとを含んでいる。外側ショルダー主溝21Aは、最も外側トレッド端To側に設けられている。内側ショルダー主溝21Bは、最も内側トレッド端Ti側に設けられている。外側センター主溝21Cは、タイヤ赤道Cと外側ショルダー主溝21Aとの間に設けられている。内側センター主溝21Dは、内側ショルダー主溝21Bとタイヤ赤道Cとの間に設けられている。
【0062】
これにより、トレッド部2は、外側ショルダー陸部22A、内側ショルダー陸部22B、外側ミドル陸部22C、内側ミドル陸部22D、及び、センター陸部22Eが形成されている。
【0063】
外側ショルダー陸部22Aは、外側ショルダー主溝21Aと外側トレッド端Toとの間に設けられている。内側ショルダー陸部22Bは、内側ショルダー主溝21Bと内側トレッド端Tiとの間に設けられている。外側ミドル陸部22Cは、外側ショルダー主溝21Aと外側センター主溝21Cとの間に設けられている。内側ミドル陸部22Dは、内側ショルダー主溝21Bと内側センター主溝21Dとの間に設けられている。センター陸部22Eは、外側センター主溝21Cと内側センター主溝21Dとの間に設けられている。
【0064】
本実施形態の主溝21は、いずれもタイヤ周方向に沿った直線状をなす。これにより、各陸部22の剛性を高く確保して、優れた操縦安定性能を発揮し得る。
【0065】
外側ショルダー陸部22Aのタイヤ軸方向の幅Wsは、好ましくは、内側ショルダー陸部22Bのタイヤ軸方向の幅Wuよりも大である。外側ショルダー陸部22Aのタイヤ軸方向の幅Wsは、好ましくは、トレッド接地幅TWの12%〜20%である。内側ショルダー陸部22Bのタイヤ軸方向の幅Wuは、好ましくは、トレッド接地幅TWの8%〜16%である。
【0066】
外側ショルダー陸部22Aには、外側トレッド端Toと外側ショルダー主溝21Aとを継ぐ外側ショルダー横溝23と、外側トレッド端Toからタイヤ赤道C側へのびかつ外側ショルダー陸部22A内で終端する外側ショルダーラグ溝24とが設けられている。
【0067】
外側ショルダー横溝23は、溝底を隆起させたタイバー25が設けられている。
【0068】
タイバー25のタイヤ軸方向の長さL1は、好ましくは、外側ショルダー陸部22Aの幅Wsの20%〜50%である。タイバー25の深さは、外側ショルダー横溝23の最大深さの30%〜70%である。
【0069】
外側ショルダーラグ溝24は、タイヤ軸方向の長さL2が、外側ショルダー陸部22Aのタイヤ軸方向の幅Wsの45%〜85%である。外側ショルダーラグ溝24の溝深さは、外側ショルダー横溝23の溝深さの80%〜100%である。
【0070】
内側ショルダー陸部22Bは、内側トレッド端Tiと内側ショルダー主溝21Bとを継ぐ内側ショルダー横溝26Aと、内側トレッド端Tiと内側ショルダー主溝21Bとを継ぐ内側ショルダーサイピング26Bとが設けられている。
【0071】
外側ミドル陸部22Cには、外側ショルダー主溝21Aからタイヤ赤道C側にのび外側ミドル陸部22C内で終端する外側ミドル第1ラグ溝27Aと、外側センター主溝21Cから外側トレッド端To側にのび外側ミドル陸部22C内で終端する外側ミドル第2ラグ溝27Bとが設けられている。
【0072】
内側ミドル陸部22Dは、内側ショルダー主溝21Bからタイヤ赤道C側にのび内側ミドル陸部22D内で終端する内側ミドル第1ラグ溝28Aと、内側センター主溝21Dから内側トレッド端Ti側にのび内側ミドル陸部22D内で終端する内側ミドル第2ラグ溝28Bとが設けられている。
【0073】
センター陸部22Eは、横溝やラグ溝が設けられていないプレーンリブとして形成されている。
【0074】
本発明では、良好な耐久性能と操縦安定性能とを確保するため、車両外側の外側ショルダー陸部22A及び外側ミドル陸部22Cの剛性を、車両内側の内側ショルダー陸部22B及び内側ミドル陸部22Dの剛性よりも大きくなるよう、各溝23乃至28の溝幅や溝深さ、及び、各陸部22A乃至22Eのタイヤ軸方向の幅が、それぞれ規定される。
【0075】
以上、本発明の実施形態について、詳述したが、本発明は例示の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変形して実施しうるのは言うまでもない。
【実施例】
【0076】
図1の基本構造を有しかつ図3の基本パターンを有するサイズ245/45RF18のランフラットタイヤが表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの操縦安定性能、耐久性能及びランフラット耐久性能がテストされた。各試供タイヤの主な共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
ビードエーペックスゴムの複素弾性率E*2:55MPa
ビードエーペックスゴムの損失正接tanδ2:0.2
クリンチゴムの複素弾性率E*3:10MPa
クリンチゴムの損失正接tanδ3:0.1
外側ショルダー横溝の溝幅/TW:2.4%
外側ショルダー横溝のピッチP1/TW:36%
外側ショルダーラグ溝の溝幅/TW:2.4%
外側ショルダーラグ溝のピッチP2/TW:36%
外側ショルダー陸部のタイヤ軸方向の幅Ws/TW:16.7%
また、表1の符号は、以下の通りである。
H1:外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さ
H2:内側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の高さ
H3:外側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さ
H4:内側第1エーペックス部のタイヤ半径方向の高さ
H5:内側第2クリンチ部のタイヤ半径方向の高さ
La:外側第2クリンチ部のタイヤ半径方向の外端と外側第2エーペックス部のタイヤ半径方向の外端とのタイヤ半径方向の距離
テスト方法は、次の通りである。
【0077】
<操縦安定性能>
各試供タイヤが、下記の条件で、排気量が3000ccの乗用車の全輪に装着され、ドライバーが、上記車両を乾燥アスファルト路面のテストコースを走行させ、このときのハンドル応答性、グリップ、剛性感等に関する操縦安定性能が、ドライバーの官能により評価された。結果は、比較例1を100とする評点で示されている。数値の大きい方が良好である。
リム(全輪):18×8.0J
内圧(全輪):230kPa
【0078】
<耐久性能>
直径1.7mのドラム試験機を用い、下記の条件で、試供タイヤのビード部に損傷が発生するまでの走行距離が測定された。結果は、比較例1の走行距離を100とする指数で表示されている。数値が大きいほど良好である。
リム:18×8.0J
内圧:230kPa
荷重:4.53kN
速度:80km/h
【0079】
<ランフラット耐久性能>
上記ドラム試験機を用い、下記の条件で、試供タイヤのランフラット走行による走行距離が測定された。走行距離は、141kmを上限としている。結果は、測定値(単位:km)で示されている。数値が大きい方が良好である。走行距離が114kmを超えた試供タイヤは、合格とされる。
リム:18×8.0J
内圧:0kPa(バルブコア除去)
荷重:4.53kN
速度:80km/h
【表1】
【0080】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に比べて各種性能がバランス良く向上していることが確認できた。また、タイヤサイズで変化させてテストを行ったが、このテスト結果と同じ傾向を示した。
【符号の説明】
【0081】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
4 ビード部
4A 外側ビード
4B 内側ビード
14 ビードエーペックスゴム
16b 外側第2エーペックス部
17b 内側第2エーペックス部
C タイヤ赤道
図1
図2
図3