(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5932943
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】電極汚れ除去構造
(51)【国際特許分類】
G01N 27/38 20060101AFI20160526BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
G01N27/38 353
B08B1/04
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-220923(P2014-220923)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-90241(P2016-90241A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 直之
(72)【発明者】
【氏名】島津 定生
【審査官】
櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−080814(JP,A)
【文献】
特開2004−164870(JP,A)
【文献】
特開2011−078214(JP,A)
【文献】
特開昭57−017838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/38
G01N 33/18
B08B 1/00−1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
前記第1の電極と対向する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に回転可能に設けられた連結棒と、
前記第1の電極と接触し、前記連結棒が回転した時に前記第1の電極の所定の部分の汚れを除去するよう前記連結棒の一端に設けられた第1の汚れ除去部材と、
前記第2の電極と接触し、前記連結棒が回転した時に前記第2の電極の所定の部分の汚れを除去するよう前記連結棒の他端に設けられた第2の汚れ除去部材と、
前記第1および第2の電極と、前記連結棒とが収容された電極収容容器と、
前記電極収容容器が液体に落下した時の衝撃により前記連結棒を回転させるために前記連結棒に設けられた錘と
を備えたことを特徴とする電極汚れ除去構造。
【請求項2】
前記第1の電極を前記第1の汚れ除去部材に押し付けるために前記第1の電極を押す第1の弾性部材と、
前記第2の電極を前記第2の汚れ除去部材に押し付けるために前記第2の電極を押す第2の弾性部材と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の電極汚れ除去構造。
【請求項3】
前記第1および第2の汚れ除去部材の前記第1および第2の電極と接触する部分は、布またはやすりまたはブラシである
ことを特徴とする請求項1または2記載の電極汚れ除去構造。
【請求項4】
前記電極収容容器内に前記液体が流入するよう前記電極収容容器に設けられた少なくとも1以上の液体流入口
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電極汚れ除去構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 電極汚れ除去構造に関する。
【背景技術】
【0002】
海水等の液体の抵抗値等の特性値を検出するための一対の電極が、当該液体に浸漬された場合、当該電極の表面に汚れ等が付着していると正確な特性値が検出できないため、そのような汚れ等を除去する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、海水中に浸された電位差測定装置の電極11Aおよび11Bを用いて海水中の電位差を測定する前に、電源部13から所定の大きさおよび向きの電流を両電極間に流すことにより電極11Aおよび11Bの表面の汚れを除去する技術が開示されている。
【0004】
なお、関連技術として、特許文献2には、海水に浸された塩分濃度センサの一対の電極5Aおよび5B間に生じるその海水の塩分濃度に応じた抵抗値R‘の抵抗と、抵抗値R“の抵抗2とによる直列抵抗を用いて発振回路10を発振させ、その発振によって電極5Aおよび5B間に生じる交番電流により各電極の表面に海水中の懸濁物が付着するのを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−258383号公報
【特許文献2】特開昭60−164256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、電極の表面の汚れの除去のために電気的な回路が必要であるとともに、十分な汚れの除去が行えない可能性があるという問題点がある。
【0007】
なお、特許文献2には、海水の塩分濃度の測定等の何らかの測定を行う前に電極の汚れを除去する技術は、記載されていない。
【0008】
本発明の目的は、上述した問題点を解決した電極汚れ除去構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電極汚れ除去構造は、
第1の電極と、
前記第1の電極と対向する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に回転可能に設けられた連結棒と、
前記第1の電極と接触し、前記連結棒が回転した時に前記第1の電極の所定の部分の汚れを除去するよう前記連結棒の一端に設けられた第1の汚れ除去部材と、
前記第2の電極と接触し、前記連結棒が回転した時に前記第2の電極の所定の部分の汚れを除去するよう前記連結棒の他端に設けられた第2の汚れ除去部材と、
前記第1および第2の電極と、前記連結棒とが収容された電極収容容器と、
前記電極収容容器が液体に落下した時の衝撃により前記連結棒を回転させるために前記連結棒に設けられた錘と
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明には、電気回路を用いずに、電極の表面の汚れを十分に除去できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本実施形態における電極収容容器のA−B線断面図である。
【
図3】本実施形態における連結棒、錘および汚れ除去部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態を示す外観図である。
【0014】
図1を参照すると、本実施形態は、電極収容容器30と、電極収容容器30の一端に設けられ、貫通穴を有する第1の電極支持部43と、電極収容容器30の他端に設けられ、貫通穴を有する第2の電極支持部44と、第1の電極32と、第2の電極37と、液体を電極収容容器30内に流入させるための複数の液体流入口50とを含む。
【0015】
第1の電極支持部43の貫通穴の断面形状は四角形である。
【0016】
第1の電極32は、後述するように、棒状部と板状部とからなり、該棒状部の断面形状は、第1の電極支持部43の貫通穴よりわずかに小さい四角形であり、該棒状部は、第1の電極支持部43の貫通穴を貫通している。
【0017】
同様に、第2の電極支持部44の貫通穴の断面形状は四角形である。
【0018】
第2の電極37は、後述するように、棒状部と板状部とからなり、該棒状部の断面形状は、第2の電極支持部44の貫通穴よりわずかに小さい四角形であり、該棒状部は、第1の電極支持部44の貫通穴を貫通している。
【0019】
図2は、
図1に示す電極収容容器30のA−B線断面図である。
【0020】
図2を参照すると、電極収容容器30内には、それぞれ板状部および該板状部から延びる棒状部からなる第1の電極32および第2の電極37と、連結棒33と、第1の汚れ除去部材34および第2の汚れ除去部材39と、錘35と、弾性部材38と、第1の連結棒支持部40および第2の連結棒支持部46と、第1の支持体41および第2の支持体45と、第1の電極支持部43および第2の電極支持部44とが設けられている。
【0021】
上述したように、電極32および37の棒状部はそれぞれ第1および第2の電極支持部43および44の貫通穴を貫通し、電極32の板状部と電極37の板状部とは対向している。
【0022】
第1および第2の支持体41および45は、容器30に固定され、第1および第2の支持体41および45の所定の位置に、それぞれ第1および第2の連結棒支持部40および46が設けられている。
【0023】
第1および第2の連結棒支持部40および46は貫通穴を有し、連結棒33が該貫通穴を貫通している。該貫通穴を貫通した連結棒33は、連結棒33の長さ方向の中心軸を回転軸として回転可能である。
【0024】
弾性部材38は、例えば、バネであり、電極収容容器30内の壁面と、第1および第2の電極32および37の板状部との間に設けられ、第1および第2の電極32および37の板状部を第1および第2の汚れ除去部材34および39に押し付けている。
【0025】
なお、弾性部材38が無くても第1および第2の電極32および37の板状部に第1および第2の汚れ除去部材34および39がそれぞれ押し付けられるように、連結棒33の長さを決めておけば、弾性部材38は無くてもよい。その場合には、第1および第2の電極32および37の棒状部が電極支持部43および44の貫通穴内で移動しないよう、棒状部を貫通穴に固定する必要がある。
【0026】
図3は、
図2に示す、連結棒33、連結棒33の中央部に設けられた錘35および汚れ除去部材34および39のみを示す斜視図である。
【0027】
錘35は、例えば、所定の重量を有する円柱であり、連結棒33は、円柱の長さ方向の中心軸55に平行な線に沿って円柱の両端から突出している。
【0028】
汚れ除去部材34および39は、棒状の棒状部36と、棒状部36に設けられ、電極32および37の板状部の汚れを除去するための汚れ除去部31とから構成される。汚れ除去部材34、汚れ除去部材34の棒状部36の両端からほぼ等しい位置で、連結棒33の一端に取り付けられ、汚れ除去部材39、汚れ除去部材39の棒状部36の両端からほぼ等しい位置で、連結棒33の他端に取り付けられている。
【0029】
棒状部36の素材は、例えば、強化プラスチック等の絶縁体であり、汚れ除去部31の素材は、例えば、布や、やすりや、ブラシである。
【0030】
第1および第2の汚れ除去部材34および39は、連結棒33が連結棒33の長さ方向の中心軸を回転軸として回転すると、連結棒33に取り付けられた位置を回転中心として回転する。
【0031】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0032】
まず、電極収容容器30がある程度の高さから液体に落下すると、容器30全体は、液体の表面に衝突した時に、該液体から相当の衝撃を受ける。
【0033】
この衝撃による衝撃力は、錘35にも加わり、錘35が連結棒33を回転軸として何れかの方向に回転する回転力に変換される。
【0034】
第1および第2の汚れ除去部材34および39は、こうして錘35と一緒に連結棒33が回転することにより、連結棒33に取付けられた位置を回転中心として回転する。
【0035】
第1および第2の電極32および37の板状部と第1および第2の汚れ除去部材34および39とは接触しているので、第1および第2の汚れ除去部材34および39の回転により、第1および第2の電極32および37の板状部の第1および第2の汚れ除去部材34および39との接触箇所の汚れは次々と除去されてゆき、結果として、第1および第2の電極32および37の板状部の所定の部分の汚れが第1および第2の汚れ除去部材34および39により除去される。
【0036】
以上、本実施形態には、電気回路を用いずに、電極の表面の汚れを十分に除去できるという効果がある。
【0037】
その理由は、液体に落下した際の衝撃力を利用して電極の汚れを機械的に除去できるようにしたからである。
【符号の説明】
【0038】
30 電極収容容器
31 汚れ除去部
32 第1の電極
33 連結棒
34 第1の汚れ除去部材
35 錘
36 棒状部
37 第2の電極
38 弾性部材
39 第2の汚れ除去部材
40 第1の連結棒支持部
41 第1の支持体
43 第1の電極支持部
44 第2の電極支持部
45 第2の支持体
46 第2の連結棒支持部
50 液体流入口
55 円柱の長さ方向の中心軸