(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の物品搬送装置10は、実施例1〜8に詳述する如く、入口シュート12に対する搬送方向の下流側に移動床30(又は30A)(通常移動床30又は幅広移動床30A)を隣接配置するとともに、該移動床30(又は30A)に対する搬送方向の下流側に幅広固定床20Aを隣接配置する。そして、移動床30(又は30A)の床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、該移動床30(又は30A)をその床面が入口シュート12と幅広固定床20Aのそれぞれに対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返す。更に、幅広固定床20Aの床面を搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜させるとともに、その搬送方向に沿う床面幅w1を移動床30(又は30A)の搬送方向に沿う床面幅v2、w2よりも幅広にしてなるものである。
【0015】
また、実施例1〜5の物品搬送装置10にあっては、幅広固定床20Aの下流側に複数の通常床を順に配置してなり、複数の通常床は通常移動床30と通常固定床20が交互に配置されてなるものにしている。
【0016】
また、実施例6〜8の物品搬送装置10にあっては、幅広固定床20Aの下流側に複数の通常床を順に配置してなり、複数の通常床は第1移動床30fと第2移動床30sが交互に配置されてなり、第1移動床30fと第2移動床30sが互いに上下反対方向に昇降動作するものにしている。
【0017】
以下、実施例1〜8の各物品搬送装置10について説明する。
(実施例1)(
図1〜
図8、
図10〜
図23)
物品搬送装置10は、
図1〜
図3に示す如く、架台11の一端側から他端側に向かう方向を物品1(本実施例ではボトルとする)の物品搬送方向とし、その一端側に入口シュート12を設け、入口シュート12の裏面に搬送力を高めるため、バイブレータ(不図示)を装備しても良い。入口シュート12への物品1の供給は、物品1を貯めたホッパー下部からでも良いし、ベルトコンベアでも良い。また、入口シュート12がベルトコンベアであっても良い。
【0018】
物品搬送装置10は、架台11に設けた支持部材に複数の通常固定床20と幅広固定床20Aを支持する。また、側板14は架台11の両側に備え付けられており、物品の落下を防止している(
図1では片側のみを表示)。
図4に示す如く、物品搬送装置10は、複数の通常固定床20を幅広固定床20Aの各個の床面21、21Aを互いに搬送方向の下流側に向けて上り勾配(水平に対する角度θ1)をなすように配置している。
図5に示す如く、各通常固定床20と幅広固定床20Aの床面21、21Aは、それ自体で、搬送方向の下流側に向けて下り勾配(水平に対する角度η1、δ1)をなすように傾斜した斜面とされている。各通常固定床20と幅広固定床20Aにバイブレータを装備し、搬送力を高めても良い。
【0019】
物品搬送装置10は、架台11に支持した昇降駆動装置13に複数の通常移動床30と幅広移動床30Aを担持する。物品搬送装置10は、複数の通常移動床30と幅広移動床30Aの各個を各通常固定床20と幅広固定床20Aに対して搬送方向の側傍(本実施例では上流側の側傍)に隣接配置する。固定床20、20Aと移動床30、30Aは一定の間隔を介して搬送方向に沿って交互に配置されるものになる。物品搬送装置10は、昇降駆動装置13により通常移動床30と幅広移動床30Aの昇降動作を繰り返す。即ち、各通常移動床30と幅広移動床30Aを同時にそれらの床面31が隣接する各通常固定床20と幅広固定床20Aの床面21、21Aに対する上位(
図3)と下位(
図2)に位置付ける昇降動作を繰り返す。物品搬送装置10は、上位に位置付けされた各通常移動床30と幅広移動床30Aの床面31、31Aを互いに搬送方向の下流側に向けて上り勾配(水平に対する角度θ2)をなすように配置している。各通常移動床30と幅広移動床30Aの床面31、31Aは、それ自体で、搬送方向の下流側に向けて下り勾配(水平に対する角度η2、δ2)をなすように傾斜した斜面とされている。
【0020】
このとき、物品搬送装置10にあっては、搬送方向の最下流に配置される通常移動床30よりも上流側に、幅広固定床20Aを配置するとともに、幅広固定床20Aの上流側に幅広移動床30Aを隣接配置し、それらの幅広固定床20Aの床面21Aと幅広移動床30Aの床面31Aの搬送方向に沿う床面幅w1、w2を、他の通常固定床20の床面21と通常移動床30の床面31の搬送方向に沿う床面幅v1、v2よりも幅広にしている(v1<w1、v2<w1、v2<w2、v1<w2)(
図2)。本実施例の物品搬送装置10では、入口シュート12の下流側に順に、
図2に示す如く、入口通常固定床20、幅広移動床30A、幅広固定床20A、通常移動床30、通常固定床20……を配置した。
【0021】
物品搬送装置10において、幅広固定床20Aの高さは、幅広固定床20Aの下流側の通常移動床30が下降したとき、この下流側の通常移動床30の床面31の最上部よりも、幅広固定床20Aの床面21Aの最下部が高位となるように配置される。幅広固定床20Aの配置が定まると、その上流の幅広移動床30Aの配置は、この幅広移動床30Aが上昇したとき、幅広固定床20Aの床面21Aの最上部よりも、幅広移動床30Aの床面31Aの最下部が高くなるように配置される。幅広移動床30Aの配置が定まると、その上流の入口通常固定床20の配置は、幅広移動床30Aが下降したとき、幅広移動床30Aの床面31Aの最上部よりも、入口通常固定床20の床面21の最下部が高くなるように配置される。尚、入口通常固定床20の床面21は、更に上流の物品ホッパー底部の延長部分である入口シュート12そのものでも、連結されたものであっても良い。
【0022】
物品搬送装置10において、通常移動床30と幅広移動床30Aは、共通の昇降駆動装置13により以下の如くに昇降動作する。昇降駆動装置13は、昇降速度や昇降ストロークを変更制御できる電動シリンダを用いることができる。昇降駆動装置13は、電動モータの回転を直線往復運動に変換する機構、又は空圧シリンダ等でも良い。尚、
図3のS1は通常移動床30と幅広移動床30Aの昇降ストロークを示す。
【0023】
(通常移動床30と幅広移動床30Aの上昇動作)
通常移動床30の床面31の最下部が、その下流の通常固定床20の床面21の最上部を越えるところまで上昇する。
【0024】
幅広移動床30Aの床面31Aの最下部が、その下流の幅広固定床20Aの床面21Aの最上部を越えるところまで上昇する。
【0025】
通常移動床30と幅広移動床30Aはこれ以上に上昇しても良いが、時間の無駄となり、処理能力が低下する。上昇位置において一時停止すると、通常移動床30から下流の通常固定床20へと、幅広移動床30Aから下流の幅広固定床20Aへと物品1が確実に送られる。物品1の挙動に応じて、一時停止時間は、無しとすることもあれば、適切に調整された停止時間を設けることもある。
【0026】
(通常移動床30と幅広移動床30Aの下降動作)
通常移動床30の床面31の最上部が、その上流の通常固定床20の床面21又は幅広固定床20Aの床面21Aの最下部を越えるところまで下降する。
【0027】
幅広移動床30Aの床面31Aの最上部が、その上流の入口通常固定床20の床面21の最下部を越えるところまで下降する。
【0028】
通常移動床30と幅広移動床30Aはこれ以上に下降しても良いが、時間の無駄となり、処理能力が低下する。下降位置において一時停止すると、通常移動床30へと上流の通常固定床20又は上流の幅広固定床20Aから、幅広移動床30Aへと上流の入口通常固定床20や入口シュート12から物品1が確実に送られる。物品1の挙動に応じて、一時停止時間は、無しとすることもあれば、適切に調整された停止時間を設けることもある。
【0029】
物品搬送装置10において、通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aの各床面21、31、21A、31Aの床面幅の好適値は以下の通りである(
図2)。尚、物品最小幅とは物品1におけるボトル胴部の横断面の最小寸法をいい、物品高さとは物品1におけるボトルの縦長方向の全長をいう(
図13、
図14)。
【0030】
(通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aの構造)
通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aは、
図1等の如く、中実部と板状部を組み合わせた構造としても良いし、
図2等の如く中実構造としても良いし、また、板材の曲げ加工に構造とする等、特に限定されるものではない。材質についても、樹脂、金属、木材、ゴム等、また、これらを組み合わせたもの等、特に限定されない。
【0031】
(通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aの床面長さ)
図1における床長さ方向の通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aの床長さは、物品高さの1.0倍を超えることが望ましい。1.0倍を超えることにより、物品1を上記各床に縦長の物品1を横向きにすることができる。上記各床の床長さを物品高さの2.0倍を超えるようにすることで、物品搬送装置10の処理能力を高めることができる。
【0032】
(通常固定床20の床面21の床面幅v1)
通常固定床20の床面幅v1は、物品最小幅の0.65〜1.8倍が好ましい。0.65倍以上とすることで、寝転がった物品を確実に通常固定床20の床面21の上に保持することができる。また、1.8倍以下とすることで、1つの通常固定床20の床面21の同じ位置に、寝転がった2つ以上の物品が同時に載ることを防止できる。
【0033】
(通常移動床30の床面31の床面幅v2)
通常移動床30の床面幅v2は物品最小幅の0.65〜1.8倍が好ましい。0.65倍以上とすることで、物品を確実に上昇させることができる。また、1.8倍以下とすることで、1つの通常移動床30の床面31の同じ位置に、寝転がった2つ以上の物品が同時に載ることを防止できる。
【0034】
(幅広固定床20Aの床面21Aの床面幅w1)
幅広固定床20Aの床面幅w1は物品最小幅の1.0倍以上かつ物品高さの0.4倍以上が好ましく、物品高さの0.9倍以下が好ましく、物品高さの0.7倍以下がより好ましい。物品最小幅の1.0倍以上とすることで、幅広固定床20Aの床面21Aの概ね同じ場所で、1個以上の寝転がった物品を保持することができる。更に、物品高さの0.4倍以上とすることで、
図32(A)の如く、上流の幅広移動床30Aの床面31Aに存在する起立状態の縦向き物品が、幅広移動床30Aの上昇時に、
図32(B)の如く、幅広移動床30Aの下流の幅広固定床20Aの更に下流の通常移動床30に邪魔されることなく下流方向に倒れこみ、
図32(C)の如く、幅広固定床20Aの床面21Aにおいて、寝転がるような横向きの物品1の状態となることが促進される。後述する実施例3、5、8のように、幅広固定床20Aの上流に通常移動床30が配置されていても同様である。物品高さの0.9倍以下とすることで、縦向きの物品が、幅広固定床20Aの上流の幅広移動床30A又は通常移動床30の作用を受けるため、そのままの向きで安定的に幅広固定床20Aの床面21Aの上にあることが防止できる。
【0035】
(幅広移動床30Aの床面31Aの床面幅w2)
幅広移動床30Aの床面幅w2は物品最小幅の1.0倍以上が好ましく、物品高さの0.9倍以下が好ましく、物品高さの0.7倍以下がより好ましい。物品最小幅の1.0倍以上とすることで、幅広固定床30Aの床面31Aの概ね同じ場所で、1個以上の寝転がった物品を上昇させることができる。物品高さの0.9倍以下とすることで、幅広移動床30Aが下降した際にその上流の入口通常固定床20や入口シュート12の干渉を受けて、
図18(A)の如き縦向きの物品1は不安定となり、縦向きのままで安定的に幅広移動床30Aの床面31Aの上にあることが防止でき、横方向となり易い。特に、
図18(B)の如く、幅広移動床30Aの床面31Aの最上部が、その上流の入口通常固定床20の床面21(固定床が存在しない場合は入口シュート12)の最下部を大きく越えるところまで下降すると、この干渉効果を高めることができる。最下部を越えた好ましい長さは、物品最小幅の20〜150%程度である。20%程度以上とすることで、より効果的に干渉が発生するし、150%程度以下とすることで、無駄な下降時間を抑制し、処理能力の低下を防止できる。後述する実施例2、4、5、6、7においても同様である。
【0036】
物品搬送装置10において、通常固定床20、通常移動床30の上り勾配の配置角度の好適値は以下の通りである(
図4)。
【0037】
(通常固定床20の配置角度θ1)
通常固定床20の配置角度θ1は、水平面に対して、20〜40度とされ、好ましくは24度から36度とされる。20度以上とすることで適切に通常固定床20や通常移動床30に載らなかった物品を上流に滑り落とすことが可能になる。逆に40度以下とすることで上下動ストロークを小さくすることができ、高能力で物品の処理が可能になる。
【0038】
(通常移動床30の配置角度θ2)
通常移動床30の配置角度θ2も、通常固定床20の配置角度θ1におけると同一理由で、水平面に対して20〜40度とされ、好ましくは24度から36度とされる。
【0039】
(通常固定床20と通常移動床30の配置角度θ1、θ2の関係)
通常固定床20の配置角度θ1と、通常移動床30の配置角度θ2は概ね同一とすることが好ましい。この値を概ね同一とすることで、上流と下流の各通常移動床30により物品を下流に送るための昇降ストロークを最小にすることができ、物品搬送処理能力を高能力にできる。
【0040】
物品搬送装置10において、通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aの各床面21、31、21A、31Aの傾斜角度の好適値は以下の通りである(
図5〜
図7)。
【0041】
(通常固定床20の床面21の傾斜角度η1)
通常固定床20の床面21が水平面に対してなす傾斜角度η1は、15度から40度が好ましく、特に好ましくは18度から32度である。15度以上とすることで、物品は通常固定床20の床面21上で下流へとスムースに滑ることが可能である。また、40度以下とすることで通常移動床30、幅広移動床30Aの昇降ストロークを小さくすることが可能であり、物品搬送処理能力を高能力にできる。
【0042】
(通常移動床30の床面31の傾斜角度η2)
通常移動床30の床面31が水平面に対してなす傾斜角度η2も、通常固定床20の床面21が水平面に対してなす傾斜角度η1におけると同一理由で、15度から40度が好ましく、特に好ましくは18度から32度である。
【0043】
(幅広固定床20Aの床面21Aの傾斜角度δ1)
幅広固定床20Aの床面21Aが水平面に対してなす傾斜角度δ1は、15度から40度が好ましく、特に好ましくは18度から32度である。15度以上とすることで、物品は幅広固定床20Aの床面21A上で下流へとスムースに滑ることが可能である。また、40度以下とすることで通常移動床30、幅広移動床30Aの昇降ストロークを小さくすることが可能であり、物品搬送処理能力を高能力にできる。
【0044】
(幅広移動床30Aの床面31Aの傾斜角度δ2)
幅広移動床30Aの床面31Aが水平面に対してなす傾斜角度δ2も、幅広固定床20Aの床面21Aが水平面に対してなす傾斜角度δ1におけると同一理由で、15度から40度が好ましく、特に好ましくは18度から32度である。
【0045】
(通常固定床20と通常移動床30の傾斜角度η1、η2の関係)
通常移動床30の床面31が水平面となす傾斜角度η2は、通常固定床20の床面21が水平面となす傾斜角度η1と同等(
図6)、又は大きくする(
図7)ことが好ましい。η1よりもη2を10〜25度大きくすると更に好ましい。通常移動床30が上昇したとき、物品1の長手部は通常移動床30の床面31が水平面となす傾斜角度η2に一致する。η1よりもη2を大きくすることで、物品1は、通常移動床30が上昇したとき、下流方向により大きく傾斜した状態となり、その結果、物品1を確実に下流の通常固定床20に送り込むことが可能になる。特に、断面形状が円形や正多角形でない楕円状、長円状、長方形状等の長手部を有す形状の物品を扱う際に、上述したようにη1よりもη2を大きくすることが好ましい。
【0046】
(幅広固定床20Aと幅広移動床30Aの傾斜角度δ1、δ2の関係)
幅広移動床30Aの床面31Aが水平面となす傾斜角度δ2は、幅広固定床20Aの床面21Aが水平面となす傾斜角度δ1と同等(
図6)、又は大きくする(
図7)ことが好ましい。δ1よりもδ2を例えば10〜25度大きくすると、幅広移動床30Aの床面31Aが物品を下流へ送り込む効果が強くなる。δ1よりもδ2を例えば10〜25度小さくすると(不図示)、幅広移動床30Aの床面31Aが物品を下流へ送り込む作用が弱くなる。δ1及びδ2は、物品に応じて適宜調整することができる。
【0047】
物品搬送装置10によれば、通常移動床30及び幅広移動床30Aの上昇により、通常固定床30の床面31及び幅広移動床30Aの床面31Aが通常固定床20の床面21及び幅広固定床20Aの床面21A上にある物品1を突き上げると、通常移動床30及び幅広移動床30Aの床面31、31A自体の傾斜が物品1に下流側への搬送力を付与する。搬送力を付与された物品1は、通常移動床30及び幅広移動床30Aの床面31、31Aから、下流側の搬送方向に沿って下り勾配をなす通常固定床20及び幅広固定床20Aの床面21、21A上に移載され、通常固定床20及び幅広固定床20Aの床面21、21A自体の傾斜に載って滑り、下流側へと搬送される。このとき、通常固定床20及び幅広固定床20Aの床面21、21A、通常移動床30及び幅広移動床30Aの床面31、31Aが互いに下流側へ向けて上り勾配をなすように配置されており、物品1はこの上り勾配の搬送経路に沿って順に下流側の床面21、21A、31、31Aに持ち上げられるように搬送され、最下流の通常移動床30の床面31Aから出口通常固定床20を経て排出コンベア等に排出される。
【0048】
しかるに、物品搬送装置10にあっては、通常固定床20と通常移動床30以外に、上述の幅広固定床20Aと幅広移動床30Aを有しているから、入口シュート12の側から搬入された物品1に以下の如くの搬送作用を付与できる。
【0049】
(1)物品1のボトル胴部が幅広移動床30Aの床面31Aの上に横向きになって搬入された横向き物品1(
図2)は、幅広移動床30Aの昇降動作によって下流の幅広固定床20Aの床面21Aへ送られ、更に下流の通常移動床30の昇降動作によって下流の通常固定床20の床面21へ送られ、これが繰り返されることで、最下流の通常移動床30の床面31における搬送方向に直交する床長さ方向(
図1)の同じ位置から1個ずつ順に搬出される。
【0050】
(2)物品1のボトル胴部が幅広移動床30Aの床面31Aの上に縦向き(物品1の底は上流向きでも下流向きでも可)になって搬入された縦向き物品1(
図18(A))は、幅広移動床30Aの昇降動作によって下流の幅広固定床20Aの床面21Aへ送られる。このとき、幅広固定床20Aの床面21Aの床面幅は物品1の物品高さに対して適切な長さを有するから、縦向きの物品1は幅広固定床20Aの床面21Aの上に転倒して横向きの物品1になる。この横向きになった物品1は、下流の通常移動床30の昇降動作によって下流の通常固定床20の床面21へ送られる。この際、移動床30の搬送方向に沿う床面幅v2は、1個の製品だけを下流側に送る適切な長さに予め設定されている。これが繰り返されることで、最下流の通常移動床30の床面31の床長さ方向の同じ位置から1個ずつ順に排出される。
【0051】
即ち、物品搬送装置10によれば、物品1は幅広移動床30Aに進入したとき、その幅広床面31Aにより確実にその全体を捕捉されて下流側の幅広固定床20Aにスムースに送られる。物品1が、たとえ起立状態の縦向き姿勢の物品1の状態(
図19(A))で幅広移動床30Aに送り込まれても、その幅広床面31Aが幅広であるが故に、より下流方向に傾くことで物品1は不安定となり、転倒して横向きの物品1になり易く、下流側に送られる。物品1が幅広移動床30Aにて起立状態の縦向き姿勢のまま幅広固定床20Aに送り込まれる際は、前述の(幅広固定床20Aの床面21Aの床面幅w1)説明の如く、転倒して横向きの物品1になり易い。即ち、
図32(A)の如く、上流の幅広移動床30Aの床面31Aに存在する起立状態の縦向き物品が、幅広移動床30Aの上昇時に、
図32(B)の如く、幅広移動床30Aの下流の幅広固定床20Aの更に下流の通常移動床30に邪魔されることなく下流方向に倒れこみ、
図32(C)の如く、幅広固定床20Aの床面21Aにおいて、寝転がるような横向きの物品1の状態となることが促進される。また、たとえ起立状態の縦向き姿勢の物品1の状態(
図19(B))で幅広固定床20Aに送り込まれても、その幅広床面21Aが幅広であるが故に、より下流方向に傾くことで物品1は不安定となり、転倒して横向きの物品1になり易く、下流側に送られる。この横向きになった物品1は、下流の通常移動床30の昇降動作によって下流の通常固定床20の床面21へ送られる。この際、移動床30は適切な長さの床面幅v2を備えており、1個の製品だけを下流側に送る。これが繰り返されることで、最下流の通常移動床30の床面31の床長さ方向の同じ位置から1個ずつ順に排出される。
【0052】
上述の(1)、(2)等で、最下流の通常移動床30の床面31の床長さ方向の同じ位置から1個ずつ順に排出とは、当該通常移動床30の床面31の上に複数の物品1が載っていても、その床面31の床長さ方向の同じ位置で、2個以上の物品1が互いに重なっていないことを意味する。
【0053】
従って、縦長の物品1をスムースに横向きにして
図1の最下流の物品1の如き状態として、最下流の固定床20の更に下流側に固定床20の床長さ全域以上に渡って、床長さ方向と概ね平行に配置された排出コンベア50(
図15、
図17)等によって、1個ずつ順に搬出することができる。
【0054】
尚、物品搬送装置10は、移動床30、30Aの昇降動作の1サイクル(最下降位置〜最上昇位置〜最下降位置の1サイクル)において、移動床30、30Aの床面31、31Aが隣接する固定床20、20Aの床面21、21Aより上に突出している時間割合を、該固定床20、20Aの床面21、21Aより下に没入している時間割合より小さく制御することができる。これにより、物品1を移動床30、30Aの床面31、31Aより突き上げている時間より、物品1を固定床20、20Aの床面21、21Aに載せて滑らせる時間のほうが長くなり、物品1の排出量を増加できる。
【0055】
尚、移動床30、30Aの上昇加速度が大きい場合には、移動床30、30Aの床面31、31Aが物品1に及ぼす突き上げ力が大きく、ひいては移動床30、30Aの床面31、31Aの傾斜が物品1に及ぼす搬送力が大きくなり、物品1の排出量を増加できる。
【0056】
また、物品搬送装置10は、移動床30、30Aの昇降動作の1サイクルにおいて、移動床30、30Aの床面31、31Aが隣接する固定床20、20Aの床面21、21Aより上に突出している時間割合を、該固定床20、20Aの床面21、21Aより下に没入している時間割合より大きく制御することもできる。これにより、物品1を移動床30、30Aの床面31、31Aにより突き上げている時間より、物品1を固定床20、20Aの床面21、21Aに載せて滑らせる時間のほうが短くなり、物品1の排出量を低減できる。
【0057】
尚、移動床30、30Aの上昇加速度が小さい場合には、移動床30、30Aの床面31、31Aが物品1に及ぼす突き上げ力が小さく、ひいては移動床30、30Aの床面31、31Aの傾斜が物品1に及ぼす搬送力が小さくなり、物品1の排出量を低減できる。
【0058】
また、移動床30、30Aの上昇速度の最大値は、搬送物品の重さや固定床配置角度θ1や移動床配置角度θ2等によって、物品1を所望の速度で安定搬送できるように適宜調整される。
【0059】
図8に示す物品搬送装置10が
図1〜
図7に示した物品搬送装置10と異なる点は、幅広移動床30Aの昇降動作と、他の通常移動床30の昇降動作とを異ならせたことにある。他の通常移動床30のための昇降駆動装置13に対し、幅広移動床30Aのための昇降駆動装置13Aを分離独立させたものである。幅広移動床30Aと他の通常移動床30を単一の駆動源により、カム、リンク、歯車等の機構を介して、互いに異なる昇降動作するように駆動させても良い。幅広移動床30Aの昇降動作のみを、他の通常移動床30と異なる昇降駆動装置13Aのみで行なうことにより、より効率的な物品の搬送処理が可能になる。つまり、通常移動床30のストロークS2を、幅広移動床30AのストロークS1よりも小さくできるため、通常移動床30の昇降サイクル時間が短くなり、高能力で物品を下流へと搬送することができる。このとき、幅広移動床30AのストロークS1の昇降サイクル時間を短くできなくても、幅広固定床20Aや幅広移動床30Aには多数の物品1が滞留しているため、下流の通常固定床20や通常移動床30への物品1の充分な供給が可能である。
【0060】
つまり、通常移動床30の昇降サイクル時間は、幅広移動床30Aの昇降サイクル時間より短く設定される。通常移動床30の昇降サイクル時間は幅広移動床30Aの昇降サイクル時間の好ましくは15〜50%程度とする。この範囲とすることで、通常移動床30及び幅広移動床30Aを無理のない速度で動作可能で、かつ充分な能力を得ることもできる。
【0061】
図20は、物品搬送装置10の最下流の通常固定床20の表面床面21、最下流の通常移動床30の表面床面31のいずれか、又はその両方に物品1の排出方向に突起80を設けたものである。この突起80によって、物品1を真っ直ぐに安定的に排出することができる。突起の高さは、適宜調整されるが、2〜10mm程度が好ましい。突起の幅についても適宜調整されるが、1〜5mm程度が好ましい。
【0062】
図21、
図22、
図23は、物品搬送装置10の幅広固定床20Aの表面床面21A、幅広移動床30Aの表面床面31Aのいずれか、又はその両方に、
図1に示された床長さ方向に突起90(
図21)、91(
図22)又は段差92(
図23)を設けたものである。この突起又は段差によって、縦向きの物品1(
図18)は、より容易に幅広固定床20Aの床面21Aの上に転倒して横向きの物品1(
図2)になる。突起90(
図21)又は段差92(
図23)の如く床長さ方向と平行にするよりも、突起91(
図22)の如く直線的に、又は曲線的に(不図示)、床長さ方向に対して傾けたほうがより効果的である。突起又は段差の高さは、適宜調整されるが、2〜10mm程度が好ましい。
【0063】
図10、
図11に示す物品搬送装置10が
図1〜
図7に示した物品搬送装置10と異なる点は、幅広移動床30Aの上流側、本実施例では幅広移動床30A及び入口通常固定床20の上流側に、さばき装置40を設けたことにある。さばき装置40は、幅広移動床30A及び入口通常固定床20の床長さ方向に対して平行配置される第1と第2のさばき板41、42を、それらの床長さ方向に沿って左右非対称をなすように交互に配置されている。第1さばき板41と第2さばき板42は、搬送方向に沿う正面視で、幅広移動床30Aの床面31A及び入口通常固定床20の床面21に対して互いに逆方向に傾斜する上縁部41Aと上縁部42Aを有し、それらの上縁部41A、42Aを下位に位置付けられた幅広移動床30Aの床面31A、及び入口通常固定床20の床面21に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返す。第1と第2のさばき板41、42の昇降動作は交互にするのが良い。
図10(A)、
図11(A)、(C)は第1さばき板41が上昇、第2さばき板42が下降を示し、
図10(B)、
図11(B)は第1さばき板41が下降、第2さばき板42が上昇を示す。
【0064】
物品搬送装置10において、さばき装置40を最上流部(幅広移動床30A及び入口通常固定床20の上流側)に設置することで、入口シュート12から搬入される縦向き物品(
図11(B))を横向きにして入口通常固定床20の側に供給できる(
図11(C))。さばき装置40の第1と第2のさばき板41、42は、複数の物品1が
図11(B)に示す如くに並列に縦向きになっていて、互いに支え合い、安定な縦向き状態になっているときに特に有効であり、第1と第2のさばき板41、42の上昇によって縦向き物品を
図11(C)に示す如くに強制的に斜めにさせ、結果としてこの縦向き物品を転倒させて横向きにする。さばき装置40により多数の縦向き物品が横向きになる。それでもまだ縦向きの物品は、幅広固定床20A及び幅広移動床30Aにより前述の如くに横向きとされる。物品1の横向き化を図るため、物品搬送装置10における下流側の通常移動床30と通常固定床20の間にさばき装置40を設置しても良い。
【0065】
さばき装置40では、複数組(
図10、
図11では2組)の第1と第2のさばき板41、42の組を設け、第1さばき板41同士を第1の駆動部に連結し、第2さばき板42同士を第2の駆動部に連結し、第1さばき板41と第2さばき板42を交互に昇降動作させる。第1さばき板41と第2さばき板42は単一の駆動源により、カム、リンク、歯車等の機構を介して、交互に昇降動作させても良い。また、第1と第2のさばき板41、42の駆動源として、通常移動床30、幅広移動床30Aの昇降駆動装置13、13Aを利用することもできる。
【0066】
図12(A)に示す如く、さばき装置40では、第1と第2のさばき板41、42のそれぞれを三角板状にすることが好ましく、三角板状の第1さばき板41と第2さばき板42を正面視で左右非対称配置し、それらの上縁部41A、42Aを斜辺とする。また、
図12(B)に示す如く、第1と第2のさばき板41、42のそれぞれを鋸歯板状にしても良く、鋸歯板状の第1さばき板41と第2さばき板42を正面視で互いに鋸歯ピッチpの半ピッチ1/2pずらして配置し、それらの上縁部41A、42Aを斜辺とする。さばき装置40の第1と第2のさばき板41、42において、上縁部41A、42Aを形成する斜辺の長さは、物品1の高さの0.7倍以上、3.0倍以下とすることが好ましい。0.7倍以上とすることで、縦向き物品を横向きにするとき、安定的に物品1を横向きにすることができる。3.0倍以下とすることで、物品搬送装置10の正面視の入口通常固定床20、幅広移動床30Aの床長さ方向に多数の上縁部41A、42Aの斜辺を形成することができる。第1と第2のさばき板41、42の上縁部41A、42Aを形成する斜辺の角度γは、15度〜40度が好ましい。15度以上とすることで、縦向き物品を横向きにするための十分な力を与え、40度以下とすることで第1と第2のさばき板41、42の昇降ストローク量が大きくなることを防止でき、一定時間で多くの回数、物品にさばき作用を付与することができる。
【0067】
図13、
図14は、物品搬送装置10により搬送処理されるに好適な縦長物品1(ボトル)の各種形体を示すものである。
図13において、(A)は胴体が円形のボトル、(B)は胴体が楕円形のボトル、(C)は胴体が円形をなし、底面の断面が小なるボトル、
図14において、(A)は胴体が円形をなし、底面の断面が大なるボトル、(B)は胴体が円形をなし、底面側が球状をなすボトル、(C)は胴体が長円形かつ非対称をなし、底面の断面が大なるボトルを示す。各物品1の前述した物品最小幅、物品高さは図示の通りである。尚、本発明において搬送処理できる縦長物品1は、ボトルだけに限られるものではない。
【0068】
図15に示す物品整列搬送装置100は、物品搬送装置10の下流側に、排出シュート51、排出コンベア50を介して、首部を有するボトル等の物品1の方向整列装置110を配置したものである。排出シュート51は無しとして、物品搬送装置10の下流側に、排出コンベア50を配置しても良い。物品搬送装置10が最下流の通常固定床20、通常移動床30を経て縦長の物品1を横向きにして1個ずつ排出コンベア50に搬出することにより、排出コンベア50は1列をなす物品1を必ず寝転がった状態で搬出するものになるが、排出コンベア50から搬出される物品1の前後方向(物品1がボトルである際は、口側と底側の方向)はまちまちである。方向整列装置110は、排出コンベア50から搬出された物品1の底側を先行側に整列して物品搬送袴60に供給するものである。
【0069】
方向整列装置110は、排出コンベア50の出側に接続されるV配置コンベア120と、V配置コンベア120の出側前面に配置される首吊りフック130と、V配置コンベア120の出側で首吊りフック130の下側に配置される投入シュート140を有する。首吊りフック130は、吊下げ部131の下部に環132を設け、吊下げ部131の上部を水平な枢軸133に揺動自在に枢支するとともに、吊下げ部131の環132より枢軸133寄りに錘134を設け、吊下げ部131を鉛直配置し、環132をV配置コンベア120の出側前面に待機させている。首吊りフック130の環132は、物品1の首部より大径、物品1の底より小径の環状をなす。また、首吊りフック130の形状としては、先端がL字状に曲げられており、物品1の首部の開口部を引っ掛けるものであっても良い(不図示)。これにより、方向整列装置110は以下の如くに動作する。
【0070】
(1)排出コンベア50から搬出されてV配置コンベア120により搬送されてくる物品1が口側を先行しているときには(
図16)、物品1の首部が首吊りフック130の環132に引っかかって持ち上げられ、V配置コンベア120の搬送力により送り出される物品1が底側を下向きに先行するように起立し、物品1は底側が先行側になって投入シュート140に落下挿入され、ひいては物品搬送袴60に投入される。
【0071】
(2)他方、排出コンベア50から搬出されてV配置コンベア120により搬送されてくる物品1が底側を先行しているときには、物品1の底が首吊りフック130の環132に当ってもその環132に引っかかることなく、物品1は底側を先行側にしたまま首吊りフック130を素通りして投入シュート140に落下挿入され、ひいては物品搬送袴60に投入される。
【0072】
このとき、V配置コンベア120は、物品1の形状にかかわらず、物品1の首部をV配置コンベア120のV字交差部121(
図16)のやや上部の一定範囲内に位置付ける。V配置コンベア120の走行時の僅かな振動等により、物品1の首部はV配置コンベア120のV字交差部121のやや上部に入り、この前面に待ち受けている首吊りフック130の環132内に進入していく。一例として、
図16(A)では物品1の断面形状が円形で口部のほうが細いボトル(
図14(A))、
図16(B)では物品1の断面形状が楕円で断面形状が高さ方向に変化のないボトル(
図13(B))の例を示している。物品1の首部を他の平坦なコンベア、ガイド等により首吊りフック130の環132内に進入させて導入することは困難である。
【0073】
また、V配置コンベア120は、V字をなす各コンベアの傾斜角度λ(
図16)を10〜70度とすることが好ましい。λをこの範囲内のある角度以上にすることで、物品1の首部がV配置コンベア120の各コンベア面上を容易に滑り、V字交差部121のやや上部に位置付けられて首吊りフック130の環132内にスムースに進入する。λをこの範囲内のある角度以下にすることで、物品1の底側が先行しているときに、物品1の底の位置をV字交差部121のやや上部に位置付け、投入シュート140に安定的に落下挿入させる。
【0074】
尚、物品整列搬送装置100にあっては、方向整列装置110のV配置コンベア120の搬送速度を排出コンベア50の搬送速度より速くし(又はV配置コンベア120を搬送方向において複数に分割したとき、下流側のV配置コンベア120の搬送速度を上流側のV配置コンベア120の搬送速度より速くし)、V配置コンベア120上で前後する物品1の間隔を広げる。これにより、物品1が首吊りフック130の環132に引っかかって起立するとき、この物品1に後続の物品1が衝突してその起立を妨げることを回避できる。
【0075】
図17に示す物品整列搬送装置200は、物品搬送装置10の下流側に、排出シュート51、排出コンベア50を介して、首部を有するボトル、又は首部は有さないが天面や底の区別があり、いずれかの方向に整列する必要のあるボトル等の、物品1の方向整列装置210を配置したものである。排出シュート51は無しとして、物品搬送装置10の下流側に、排出コンベア50を配置しても良い。物品搬送装置10が最下流の通常固定床20、通常移動床30を経て縦長の物品1を横向きにして1個ずつ排出コンベア50に搬出することにより、排出コンベア50は1列をなす物品1を必ず寝転がった状態で搬出するものになるが、排出コンベア50から搬出される物品1の前後方向(物品1の口側と底側の方向)はまちまちである。方向整列装置210は、排出コンベア50から搬出された物品1の底側を下向きに整列して排出コンベア70に供給するものである。
【0076】
方向整列装置210は、排出コンベア50の出側に順に接続される複数のコンベア220と、コンベア220の出側に配置される移動反転バケット230と、移動反転バケット230の下側に配置される投入シュート240を有する。移動反転バケット230は、旋回軸231を両側部に突設し、旋回軸231をモータやエアシリンダ等の動力源により一定の移動経路に従って直線状、円弧状等に往復移動することにより、コンベア220との接続位置(上位位置)と投入シュート240との接続位置(下位位置)のそれぞれに位置付けされるとともに、モータ等の駆動源により旋回軸231まわりに旋回して反転し得る。移動反転バケット230は、コンベア220との接続位置でコンベア220の側に位置する上向き開口230Aと、コンベア220の反対側に位置する下向き開口230Bを有し、それらの開口230A、230Bを開閉するストッパ(不図示)をそれらの開口230A、230Bに設けている。方向整列装置210は、コンベア220の出側に、コンベア220から移動反転バケット230に投入される物品1の前後方向を判別するカメラ等からなる判別装置250を設けている。これにより、方向整列装置210は以下の如くに動作する。
【0077】
(1)排出コンベア50から搬出されてコンベア220により搬送されてくる物品1の前後方向が判別装置250により判別される。コンベア220は、物品1を判別に適した速度で搬送し、又は判別のために一時停止する等の速度調整をする。
【0078】
(2)コンベア220により搬送されてきた物品1が移動反転バケット230に投入される。移動反転バケット230は上向き開口230Aのストッパを開き、下向き開口230Bのストッパを閉じている。移動反転バケット230の上向き開口230Aはコンベア220から搬送されてくる物品1を搬入容易にする角度位置に調整される。
【0079】
(3-1)移動反転バケット230に搬入される物品1が底側を先行していて、先行する底側から移動反転バケット230に落下挿入されると、移動反転バケット230は判別装置250の判別結果により反転されないように制御され、物品1の底側を下向きにして投入シュート240との接続位置に移動される。
【0080】
(3-2)移動反転バケット230に搬入される物品1が口側を先行していて、先行する口側から移動反転バケット230に落下挿入されると、移動反転バケット230は判別装置250の判別結果により、上向き開口230Aのストッパを閉じられ、かつ反転制御され、物品1の底側を下向きにして投入シュート240との接続位置に移動される。
【0081】
(4)移動反転バケット230は、投入シュート240との接続位置に位置付けられると、投入シュート240の側に位置する、上述(3-1)の下向き開口230B、又は上述(3-2)の上向き開口230Aを開き、移動反転バケット230内の物品1を投入シュート240へ落下挿入する。このとき、投入シュート240は出口にストッパ(不図示)を備えており、そのストッパを閉じてある。その後、移動反転バケット230はコンベア220との接続位置に戻る。
【0082】
(5)投入シュート240の出口のストッパを開き、物品1を投入シュート240から排出コンベア70に移載して供給する。
【0083】
(実施例2)(
図9)
図9に示す物品搬送装置10が
図1〜
図7に示した物品搬送装置10と異なる点は、幅広固定床20Aと幅広移動床30Aの組を2セット配置したことにある。物品搬送装置10にあっては、搬送方向の最下流に配置される通常移動床30よりも上流側であれば、複数セットの幅広固定床20Aと幅広移動床30Aの組を配置することができる。これによって、幅広固定床20Aと幅広移動床30Aによる効果を高めることができる。尚、幅広固定床20Aと幅広移動床30Aの組を搬送方向の最下流に配置すると、最下流の幅広移動床30Aの床面31Aの床長さ方向の同じ位置から物品1を1個ずつ順に排出できず、好ましくない。
【0084】
(実施例3)(
図24)
図24に示す実施例3の物品搬送装置10が
図1〜
図7に示した実施例1の物品搬送装置10と異なる点は、幅広固定床20Aの上流側に隣接配置してあった幅広移動床30Aを通常移動床30に変更したことにある。
【0085】
(実施例4)(
図25)
図25に示す実施例4の物品搬送装置10が
図1〜
図7に示した実施例1の物品搬送装置10と異なる点は、幅広固定床20Aの下流側に隣接配置してあった通常移動床30を幅広移動床30Aに変更したことにある。
【0086】
(実施例5)(
図26)
図26に示す実施例5の物品搬送装置10が
図1〜
図7に示した実施例1の物品搬送装置10と異なる点は、幅広固定床20Aの上流側に隣接配置してあった幅広移動床30Aを通常移動床30に変更するとともに、幅広固定床20Aの下流側に隣接配置してあった通常移動床30を幅広移動床30Aに変更したことにある。
【0087】
実施例1〜5の各物品搬送装置10は、前述した如く、幅広固定床20Aの下流側に複数の通常床を順に配置してなり、複数の通常床は通常移動床30と通常固定床20が交互に配置されてなるものにしている。通常固定床20と通常移動床30を交互に配置した物品搬送装置10にあっては、通常移動床30の昇降駆動装置13の構成が単純になり、設計や製作のコストを低減できる。また、物品1の上昇時に、上昇する物品1が載っている通常移動床30の下流側に隣接している通常固定床20の上流側に臨む垂直壁面が動かないため、物品1と下流側に隣接している固定床20の上流側に臨む垂直壁面との相対速度が小さくなり、物品1にキズを生ずることがより抑制できる。
【0088】
実施例1〜5の各物品搬送装置10において、前述した通常移動床30、幅広移動床30Aの昇降ストロークS1、S2は、通常移動床30、通常固定床20、幅広移動床30A、幅広固定床20Aの配置や物品1の形状等によってその大きさが定まるが、物品最小幅の0.5倍以上であることが、横向き姿勢の物品を確実に個々の床で停止することができるので好ましい。S1やS2の最大値は、移動床面31、31Aが上昇位置において、下流の固定床面21、21Aに物品1を送ることができる位置、つまり、下流の固定床面21、21Aと概ね同一面をなすところまでの大きさとすることが好ましい。また、移動床面31、31Aが下降位置において、上流の固定床面21、21Aから物品1が送り込まれる位置、つまり、上流の固定床面21、21Aと概ね同一面をなすところまでの大きさとすることが好ましい。S1とS2をこの範囲とすることで、それらの昇降ストロークが最小となり、単位時間当たりの昇降回数を高めることが可能で、その結果、生産性が高まる。
【0089】
実施例2〜5の各物品搬送装置10における通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aの床面長さ、通常固定床20の床面21の床面幅v1、通常移動床30の床面31の床面幅v2、幅広固定床20Aの床面21Aの床面幅w1、幅広移動床30Aの床面31Aの床面幅w2は、実施例1の物品搬送装置10において前述したと同様の好適値に定めることができる。
【0090】
実施例2〜5の各物品搬送装置10によれば、実施例1の物品搬送装置10におけると同様に、物品1が、入口シュート12から移動床30(又は30A)に送られ、更に移動
床30(又は30A)から幅広固定床20Aへと送られる。幅広固定床20Aに送られた物品1は、たとえ起立状態の縦向き姿勢で幅広固定床20Aに送り込まれても、その幅広床面21Aで必ず転倒して横向きになり、下流側に送られる。従って、縦長の物品1をスムースに横向きにして1個ずつ順に搬出することができる。
【0091】
(実施例6)(
図27、
図28)
図27、
図28に示す実施例6の物品搬送装置10が
図1〜
図7に示した実施例1の物品搬送装置10と異なる点は、前述した如く、幅広固定床20Aの下流側に複数の通常床を順に配置してなり、複数の通常床は第1移動床30fと第2移動床30sが交互に配置されてなり、第1移動床30fと第2移動床30sが互いに上下反対方向に昇降動作するものにしたことにある。
【0092】
(実施例7)(
図30)
図30に示す実施例7の物品搬送装置10が
図9に示した実施例2の物品搬送装置10と異なる点は、前述した如く、幅広固定床20Aの下流側に複数の通常床を順に配置してなり、複数の通常床は第1移動床30fと第2移動床30sが交互に配置されてなり、第1移動床30fと第2移動床30sが互いに上下反対方向に昇降動作するものにしたことにある。
【0093】
(実施例8)(
図31)
図31に示す実施例8の物品搬送装置10が
図24に示した実施例3の物品搬送装置10と異なる点は、前述した如く、幅広固定床20Aの下流側に複数の通常床を順に配置してなり、複数の通常床は第1移動床30fと第2移動床30sが交互に配置されてなり、第1移動床30fと第2移動床30sが互いに上下反対方向に昇降動作するものにしたことにある。
【0094】
実施例6〜8の各物品搬送装置10にあっては、幅広固定床20Aの上流側に位置する移動床30(又は30A)を昇降駆動装置13AによりストロークS1だけ昇降動作する。そして、幅広固定床20Aの下流側に位置する第1移動床30f(複数の通常移動床30からなる)の各通常移動床30を、それらの各通常移動床30が連接されている第1昇降駆動装置13fによりストロークSaだけ昇降動作する。また、幅広固定床20Aの下流側に位置する第2移動床30s(複数の通常移動床30からなる)の各通常移動床30を、それらの各通常移動床30が連接されている第2昇降駆動装置13sによりストロークSbだけ昇降動作する。以下、第1昇降駆動装置13fと第2昇降駆動装置13sの昇降動作について説明する。
【0095】
実施例6〜8の各物品搬送装置10において、幅広固定床20Aの下流側に、まず第1移動床30fの最先の通常移動床30が配置され、更に下流に向かって第2移動床30sの通常移動床30と第1移送床30fの通常移動床30が順に交互に配置される。
【0096】
第1移動床30fの各通常移動床30と第2移動床30sの各通常移動床30は互いに上下方向に相反する動きを行なう。例えば
図27に示す如く、第1移動床30fの各通常移動床30が最上位まで上昇しているときは第2移動床30sの各通常移動床30は最下位まで下降している。第1移動床30fの各通常移動床30が下降すると、第2移動床30sの各通常移動床30は上昇し、
図28に示す如く、第1移動床30fの各通常移動床30は最下位まで達し、第2移動床30sの各通常移動床30は最上位に達する。物品1は、第1移動床30fの各通常移動床30が最下位に達する寸前に、第2移動床30sの各通常移動床30が最上位に達する寸前に、下流の各通常移動床30の移動床面31に順次送られる。続いて、逆の上下動が行なわれ、連続的にこの動きが繰り返される。
【0097】
第1移動床30fと第2移動床30sのストロークSa、Sbは、幅広移動床30AのストロークS1と異なっていても良い。通常、第1移動床30fと第2移動床30sのストロークSaとSbは同一とされるが、下流から物品1が転がり込み、上流へと送り出すことができれば、異なっていても良い。
【0098】
第1移動床30fと第2移動床30sのストロークSa、Sbは、通常移動床30、通常固定床20、幅広移動床30A、幅広固定床20Aの配置や物品の形状等によってその大きさが定まるが、物品最小幅の0.5倍以上であることが、横向き姿勢の物品1を確実に個々の床で停止することができるので好ましい。SaやSbの最大値は、一方の第1移動床30fが上昇位置で、他方の第2移動床30sが下降位置において、下流の床面31に物品1を送ることができる最小高さ、つまり、下流の床面31と概ね同一面をなすところまでの大きさとすることが好ましい。ストロークSa、Sbをこの範囲とすることで、それらのストロークが最小となり、単位時間当たりの昇降回数を高めることが可能で、その結果、生産性が高まる。
【0099】
第1移動床30fの第1昇降駆動装置13fと、第2移動床30sの第2昇降駆動装置13sは、図示した如くにそれらの駆動源を異なるものとしても良い。また、1つの駆動源、例えば回転軸と、リンク又はカム等による機構によって(不図示)、互いに相反する上下動を行なう機構としても良い。図示した第1昇降駆動装置13fと第2昇降駆動装置13sの如くの異なる駆動源を有す場合には、センサ(不図示)によっていずれか一方の第1移動床30f(又は第2移動床30s)の最上位、最下位への上下到達を監視し、その到達に合わせて他方の第2移動床30s(又は第1移動床30f)のタイミングを合わせ、互いに上下反対方向に昇降動作させることができる。
【0100】
昇降駆動装置13Aによる幅広移動床30Aの昇降タイミングと、第1と第2の昇降駆動装置13f、13sによる第1と第2の移動床30fと移動床30sの昇降タイミングとを合わせる必要はない。好ましくは、そのタイミングを一致させ、第1移動床30fが上昇と同時に、幅広移動床30Aも上昇させるタイミングとすると、幅広固定床20Aに隣接する上流の移動床30A又は30から幅広固定床20Aに物品1が移動したとき、第1移動床30fの最上流の移動床30の幅広固定床20Aに臨む垂直壁面で物品1が停止し、幅広固定床20Aにおける、縦向き姿勢の物品1の転倒効果を高めることができる。
【0101】
幅広移動床30Aの昇降駆動装置13Aは、第1移動床30fの昇降駆動装置13fや、第2移動床30sの昇降駆動装置13sとは別の駆動とされるが、第1昇降駆動装置13f又は第2昇降駆動装置13sのいずれかと連接されていても良い。昇降駆動装置13Aが連接される場合、好ましくは第1移動床30fの第1昇降駆動装置13fと連接されていると良い。理由は前述のタイミングについての好適例と同様である。
【0102】
実施例6〜8の各物品搬送装置10にあっては、第1移動床30fと第2移動床30sが互いに上下反対方向に昇降動作するから、相隣る上下流の床の最大高低差H(
図27、
図28)を実施例1〜5の各物品搬送装置10における最大高低差H(
図29)と同一にした場合、第1移動床30fと第2移動床30sの各通常移動床30の昇降ストロークSa、Sb(
図27、
図28)を実施例1〜5の各物品搬送装置10における通常移動床30の昇降ストロークSa(
図29)に対して約1/2にできる。即ち、高サイクルで移動床30を動作させることが可能になり、時間当たりの処理能力が高まり、生産性が高くできる。また、物品1の上昇時に、上昇する物品1が載っている移動床30の下流側に隣接している移動床30の上流側に臨む垂直壁面に物品1が接する距離が短くなり、物品1にキズを生ずることがより抑制できる。
【0103】
実施例6〜8の各物品搬送装置10における通常固定床20、通常移動床30、幅広固定床20A、幅広移動床30Aの床面長さ、通常固定床20の床面21の床面幅v1、通常移動床30の床面31の床面幅v2、幅広固定床20Aの床面21Aの床面幅w1、幅広移動床30Aの床面31Aの床面幅w2は、実施例1の物品搬送装置10において前述したと同様の好適値に定めることができる。
【0104】
実施例6〜8の各物品搬送装置10によれば、実施例1の物品搬送装置10におけると同様に、物品1が入口シュート12から移動床30(又は30A)に送られ、更に移動床30(又は30A)から幅広固定床20Aへと送られる。幅広固定床20Aに送られた物品1は、たとえ起立状態の縦向き姿勢で幅広固定床20Aに送り込まれても、その幅広床面21Aで必ず転倒して横向きになり、下流側に送られる。従って、縦長の物品1をスムースに横向きにして1個ずつ順に搬出することができる。
【0105】
実施例1〜8において、幅広固定床20A、及び、幅広固定床20Aより上流の幅広固定床20A、幅広移動床30A、通常移動床30、通常固定床20の配置は、各個の床面を互いに搬送方向の下流側に向けて上り勾配をなすように配置しても良いし、水平になるように配置しても良いし、下り勾配をなすように配置しても良い。