特許第5933014号(P5933014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5933014水素化処理容器用ラッチ及びそれに関する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933014
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】水素化処理容器用ラッチ及びそれに関する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 10/00 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   B01J10/00 101
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-533551(P2014-533551)
(86)(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公表番号】特表2014-528830(P2014-528830A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012054065
(87)【国際公開番号】WO2013062677
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2014年4月1日
(31)【優先権主張番号】13/283,400
(32)【優先日】2011年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ナウンハイマー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】サッター,アジズ
【審査官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−019102(JP,A)
【文献】 特開2001−317295(JP,A)
【文献】 特表2004−535533(JP,A)
【文献】 実開昭61−150002(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00−19/32
B01D 3/00−3/42,53/00−53/28
C10G 45/00−50/02
F16B 1/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化処理容器の支持リングにトレイを係合する方法であって、
係合のための螺旋状の爪を細長で略円筒で、前記トレイに係合するシャフトに結合させるステップであって、前記螺旋状の爪は、前記支持リングと係合解除する第1位置と、前記支持リングと係合する第2位置とを有する、ステップを備え
前記支持リングは、前記トレイと前記螺旋状の爪との間に挟持できるようになっており、
前記螺旋状の爪は前記シャフトの周囲で回転でき、前記螺旋状の爪が回転するとき前記支持リング側に位置する前記螺旋状の爪の部分の高さが変化し、
前記第1位置では、前記支持リング側に位置する前記螺旋状の爪の部分と前記トレイとにより、前記支持リングが挟持されず、
前記第2位置では、前記支持リング側に位置する前記螺旋状の爪の部分と前記トレイとにより、前記支持リングが挟持される、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記トレイは、1又は複数の下降管を含む、
方法。
【請求項3】
水素化処理容器のにマンウェイカバーを係合する方法であって、
係合のための螺旋状の爪を細長で略円筒で、前記マンウェイカバーに係合するシャフトに結合させるステップであって、前記螺旋状の爪は、前記と係合解除する第1位置と、前記と係合する第2位置とを有する、ステップとを備え
前記梁は、前記マンウェイカバーと前記螺旋状の爪との間に挟持できるようになっており、
前記螺旋状の爪は前記シャフトの周囲で回転でき、前記螺旋状の爪が回転するとき前記側に位置する前記螺旋状の爪の部分の高さが変化し、
前記第1位置では、前記側に位置する前記螺旋状の爪の部分と前記マンウェイカバーとにより、前記が挟持されず、
前記第2位置では、前記側に位置する前記螺旋状の爪の部分と前記マンウェイカバーとにより、前記が挟持される、
方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記螺旋状の爪は、前記細長で略円筒のシャフトの周囲に180度以下の角度で延在する螺旋の少なくとも一部を形成する、方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記係合をするために、少なくとも3つの側部を有する多角形を形成するグリップに結合されるとともに工具によって係合されるようになっている細長の円筒シャフトを含む、
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記グリップは、レンチによって係合されるようになっている6角形を形成する、
方法。
【請求項7】
支持リングにトレイを固定することができる、水素化処理容器のためのラッチであって、
A)細長で略円筒で、前記トレイに係合するシャフトと、
B)前記細長で略円筒のシャフトに結合された螺旋状の爪であって、前記螺旋状の爪が前記細長で略円筒のシャフトの周囲で回転するとき、前記螺旋状の爪が前記支持リングに係合することができる、螺旋状の爪と、
C)前記細長で略円筒のシャフトに結合されたグリップと、を備え、
前記グリップは、少なくとも3つの側部を有する多角形を形成するとともに工具によって係合されるようになっており、
前記螺旋状の爪は前記シャフトの周囲で回転でき、前記螺旋状の爪が回転するとき前記支持リング側に位置する前記螺旋状の爪の部分の高さが変化し、
第1位置では、前記螺旋状の爪が前記支持リングと係合せず、
第2位置では、前記螺旋状の爪が前記支持リングと係合する、
ラッチ。
【請求項8】
請求項7に記載のラッチであって、
前記螺旋状の爪は、前記細長で略円筒のシャフトの周囲に180度以下の角度で延在する、
ラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先の国内出願の優先権主張
[0001]本出願は、2011年10月27日に出願された米国特許出願(出願番号13/283,400)の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本発明は、一般的に水素化処理容器用ラッチ及びそれに関する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]多くの場合、反応器、吸着器、剥離器、及び蒸留塔などの容器は、水素化処理などの様々な操作で気液接触用のトレイを利用する。トレイは、容器の初期構築時に設置できるだけでなく、メンテナンス又は改修時に、除去及び再設置することができる。トレイを容器の内周に沿って配置された支持リングに固定する際には、種々な締結具を使用することができる。このような締結具は、1又は複数のボルト、ナット、及び/又はJ字形クランプを含んでもよい。
【0004】
[0004]しかしながら、そのような締結具は、いくつかの不利益を被る可能性がある。特に、トレイは、トレイを介して延在する下降管のような様々な管を有することが多くある。結果として、利用可能な空間が制限される可能性がある。例えば、J−クリップをトレイの正しい位置に合わせて固定するために、通常、マイナスドライバー及びレンチが使用される。多くの場合、空間は、容器の内部におけるレンチの回転に干渉するように制限される。空間制限によって、トレイを固定するために支持リングをJ字クリップに締結することは、時間のかかるプロセスとなり得る。これにより、空間が制約された領域内で使用でき、かつ、容器にトレイを固定するために必要な工具の数を最小限に抑えられる、代替の締結機構を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0005】
[0005]例示的な1つの実施形態は、水素化処理容器用のラッチであってもよい。ラッチは、細長で略円筒のシャフトと、細長で略円筒のシャフトに結合された螺旋状の爪と、細長で略円筒のシャフトに結合されたグリップと、を備える。通常、グリップは、少なくとも3つの側部を有する多角形を形成するとともに工具によって係合されるように構成される。
【0006】
[0006]別の例示的な実施形態は、水素化処理容器とすることができる。通常、水素化処理容器は、内部容積を規定する格納装置と、少なくとも1つの内部構造と、部材と、少なくとも1つの内部構造に対して部材を係合及び係合解除するための螺旋状の爪に結合された細長で略円筒のシャフトを有するラッチと、を備える。
【0007】
[0007]さらなる例示的な実施形態は、水素化処理容器の内部構造に、部材をラッチする方法であってもよい。この方法は、内部構造にラッチの螺旋状の爪を結合するステップを含む。一般的に、螺旋状の爪は、内部構造から係合解除した第1位置と、内部構造に係合した第2位置と、を有する。
【0008】
[0008]本明細書で開示される実施形態は、トレイを容器へ簡単に締結することを可能にするラッチを提供する。一般的に、ラッチは、トレイを容器に固定するための螺旋状又は渦巻状の爪を備える。ラッチを係合又は係合解除することによってトレイを固定又は解放するために、端部上の突起部は、容器の制限された空間内でラッチの回転を可能にする伸縮自在のボールソケットレンチのような工具に対応するように構成させることができる。
【0009】
定義
[0009]本明細書で使用される用語「結合」は、2つのアイテムを、直接又は間接的に、化学的又は機械的のいずれかの手段で、圧縮結合、鋳造、又は溶接を含むプロセスを用いて、互いを一体的に接合、締結、関連、連結、又は形成することを意味する。さらに、2つのアイテムは、例えば、ねじ、釘、ステープル、又はリベットなどの機械的な締結具、接着剤、又ははんだのような、第3の要素を使用することによって結合することができる。
【0010】
[0010]本明細書で使用される用語「吸収剤」及び「吸収器」は、それぞれ、吸収剤及び吸収器を含み、また関するものであるが、吸収剤及び/又は吸収器に限定されるものではない。
【0011】
[0011]本明細書で使用される用語「水蒸気」は、1又は複数の炭化水素からなる、1又は複数の炭化水素を含む、ガス又は分散系を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]図1は、例示的な容器の一部の概略断面図である。
図2】[0013]図2は、例示的な容器内の例示的なプラットフォームの上面平面図である。
図3】[0014]図3は、例示的なラッチの斜視図である。
図4】[0015]図4は、例示的なラッチの側面図である。
図5】[0016]図5は、例示的なラッチの別の側面図である。
図6】[0017]図6は、図5の例示的なラッチの背面図である。
【実施例】
【0013】
[0018]図1を参照すると、例示的な容器10は、水素化処理のような任意の適当な炭化水素精製プロセスにおいて利用することができる。一般的に、容器10は、例えば水素化処理操作において利用される、反応器、吸着器、剥離器、蒸留塔、又は、他の適当な容器でもあり得る。多くの場合、そのような容器10は、1又は複数の流体の下降流、上昇流、並流及び対流において、大規模な物質移動操作を容易にすることができる。1又は複数の流体は分散系のようなガス、液体、及び/又は、ガスと液体との混合相、などである
【0014】
[0019]容器10は、内部容積30を定義する1又は複数の側壁を有する格納装置20を備える。多くの場合、少なくとも1つの内部構造40は、容器10の内部に配置される。図1に示すように、少なくとも1つの内部構造40は、梁50、支持リング54、及び部材70を備える。この例示的な実施形態において、部材70は、1つ以上の下降管84を有するトレイ80を含む。多くの場合、ガスは、トレイ80上で液体を回収しながら、降下管を介して下方に流れることができる。図示していないが、トレイ80の開口部は、液体が通り抜けできるようになっている。さらに、いくつかの操作において、ガスは上向きに通過することができる。2つのラッチ100は、トレイ80を支持リング54に固定することができる。
【0015】
[0020]図2に示すように、プラットフォーム60は容器10内の別の高さに位置して示されている。プラットフォーム60は、図1の容器10では示されていない。ここでは、少なくとも1つの内部構造40は、容器10の内部に配置されてトレイ80の代わりに、又は、トレイ80と結合して使用され得るプラットフォーム60を備える。例示的な実施形態において、プラットフォーム60は、マンウェイカバー90が梁50の上に配置されている場合に、部材70を位置決めするための矩形の開口部を形成する略円形であることができる。マンウェイカバー90は梁50をまたぎ、ラッチ100で固定することができる。複数のラッチ100は実質的に同様であるので、1つのラッチ100だけをトレイ80に関連して後述するが、図2に示すように、ラッチ100はマンウェイカバー90に関しても同様に使用され得る。
【0016】
[0021]図3〜6に示すように、ラッチ100は、螺旋状又は渦巻状の爪140と結合した細長で略円筒のシャフト120を備える。さらに、グリップ160は、細長で略円筒のシャフト120の上端150で細長で略円筒のシャフト120と結合され、また、突起部170と結合される。突起部170は、任意の適切な形状を形成することができるが、略くさび形である。グリップ160は、少なくとも3つの辺を有する多角形を形成し、本実施形態では、略6角形である辺を有することができる。一般的に、グリップ160は、レンチ、ペンチ、及び伸縮自在のボールアンドソケットレンチ、などのような任意の適切な工具によって係合されるように構成することができる。
【0017】
[0022]螺旋状の爪140は、トレイ80のような部材を、係合及び係合解除するために使用される。螺旋状の爪140は、細長で略円筒のシャフト120の円周周りに、180度以下、随意に120度以下又は100度以下に、延伸し、又は、少なくとも部分的に螺旋を形成する。望ましくは、螺旋状の爪140は、下端144から上端部148にかけて、30度以下の角度で渦巻き状に立ち上る。これにより、螺旋状の爪140の上面が、トレイ80の下側を、上方にスライドすることができる。
【0018】
[0023]図3〜5を参照すると、ラッチ100は、継ぎ目114において合致する2つの部品110及び112を形成し、部品110及び112はそれぞれ、トレイ80の反対側から穴を介して挿入される。グリップ160及び突起部170を備える第1の部品110は、穴を介して下方に挿入され、また、細長で略円筒のシャフト120及び螺旋状の爪140を備える第2の部品112は、穴を介して上方に挿入されることができる。第1及び第2の部品は、図4〜6に示すように、一体化した部品を形成するために、ねじ、プレス嵌め、又は溶接のような任意の適切な接続を用いて結合することができる。継ぎ目114は、図4〜6中のトレイ80によって隠されてもよい。一般的に、グリップ160は、ラッチ100が穴を通って落下するのを防ぐために、穴よりも大きな円周を有する。
【0019】
[0024]ラッチ100は、図4に示すように、トレイ80から係合解除する第1位置104を有し、また、図5に示すように、トレイ80に係合する第2位置108を有する。螺旋状の爪140を容器10の支持リング54の下に位置決めするために、手又は伸縮自在のボールソケットレンチのような任意の適した工具をグリップ160に対して使用し、図4に示されたラッチ100を180度時計回りに回転させることができる。本実施形態ではラッチ100は180度回転するが、30度から540度、好ましくは90度から270度の任意の適切な回転経路を使用してもよい。図5に示すように、爪140の上端部148が支持リング54の下側と係合するときには、突起部170は、壁20から離れた方向を指し示すことによって、ラッチ100の位置を示すことができる。
【0020】
[0025]図6に示すように、ラッチ100の螺旋状の爪140は、支持リング54の下に完全に存在することができる。任意の方法では、図4〜6に示すように、ガスケット44をトレイ80と支持リング54との間に配置することによって、支持リング54とトレイ80との間に弾力性をもたせ、それらを固定できるようにすることができる。
【0021】
[0026]ラッチ100は、容器10内の状態に応じて、任意の適切な材料で製造することができる。このような適切な材料は、炭素鋼、ステンレス鋼、及びチタンを含む。ガスケット44は、ゴム、合成プラスチック、又は1つ以上のセラミック繊維のような耐熱性繊維、などの任意の適切な材料で製造することができる。
【0022】
[0027]このように、ラッチ100は、トレイ80を容器10内に固定することができる。図4に示すように、ラッチ100の位置を90度逆転することによって、例えばメンテナンス又は改修のために、容器10からトレイを除去することができる。突起部170は、壁20の方を指し示すことによって、係合解除位置を示すことができる。突起部170が壁20の方を指し示す場合はラッチ100の係合を示し、また、壁から離れた方を指し示す場合はラッチ100の係合解除を示すように、突起部170を変更することが可能であることは理解されるべきである。また、少なくとも3つの辺を有する多角形であるグリップ160は、レンチ又はペンチのような適切な工具に対応することができる。このようにして、トレイ及びマンウェイカバーのような部材を容器内へ据え付ける作業を早めることができ、したがって、休止時間すなわちトレイの据え付け作業に費やされる時間を最小化することができる。そのうえ、このようなラッチは操作を容易にし、そして潜在的な損傷を最小限に抑えることができる。
【0023】
[0028]さらに詳述することなく、当業者は、前述の説明を用いて、本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、前述の好ましい特定の実施形態は、単なる例示であり、いかなる方法でも本開示の残りの部分を制限するものではないと解釈されるべきである。
【0024】
[0029]前述の説明から、当業者は容易に、本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の用途及び条件に構成させるために、本発明の様々な変更及び修正を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6