特許第5933026号(P5933026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933026
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】網膜外科手術
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   A61F9/007 130G
   A61F9/007 120
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-544727(P2014-544727)
(86)(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公表番号】特表2015-504349(P2015-504349A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】US2012051874
(87)【国際公開番号】WO2013081690
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年5月30日
(31)【優先権主張番号】13/307,658
(32)【優先日】2011年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョン クリストファー ハキュラック
(72)【発明者】
【氏名】マイケル マカロック マーティン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アーサー ジカ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エドワード バジードロ
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−512165(JP,A)
【文献】 特許第3845013(JP,B2)
【文献】 特開2010−246573(JP,A)
【文献】 特許第3529311(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0247938(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0172078(US,A1)
【文献】 特表2004−507321(JP,A)
【文献】 特許第5685295(JP,B2)
【文献】 特許第3946779(JP,B2)
【文献】 特表平8−503639(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/108425(WO,A1)
【文献】 米国特許第5547473(US,A)
【文献】 特許第2574793(JP,B2)
【文献】 特表平8−509636(JP,A)
【文献】 特表2009−534129(JP,A)
【文献】 特許第5346012(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
網膜操作流体を第1チャネルを通して眼に注入し、前記眼から第2チャネルを通して流体を抽出するように適合される注入及び抽出システムであって、前記第1チャネルが、前記第2チャネルを越えて遠位に延在し、該第1チャネルと前記第2チャネルとの間に環状開口を形成する、注入及び抽出システムと、
流体の抽出を容易にするために、前記注入及び抽出システムに陰圧を適用するように適合される流体抽出システムと、
前記流体抽出システムによって適用された前記陰圧を調節するように適合されるコンピュータシステムと、
網膜外科手術を受ける眼の形状を維持するために、輸液を注入するように適合される輸液システムと、を備える、システム。
【請求項2】
前記コンピュータシステムが、前記眼の眼内圧に基づき前記陰圧を調節するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータシステムが、前記注入及び抽出システムを通して前記網膜操作流体の注入を制御するようにさらに適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
流体加圧システムをさらに備え、前記流体加圧システムが、前記網膜操作流体を注入するために、陽圧を適用するように前記コンピュータシステムによって制御可能である、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
記第1のチャネルが、前記第2のチャネルが抽出する流体よりも高い比重を有する流体を注入するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のチャネルが、前記第2のチャネルの内側にある、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のチャネルが、医療機器を眼の中に導入するためのカニューレとして機能する、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記注入及び抽出システムが、前記第1のチャネルが通過し、前記第2のチャネルが係合する本体を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記本体が、前記第2のチャネルを通って抽出される流体が流入する空洞を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
注入のための第1のチャネルと、眼から流体を抽出するための第2のチャネルとを含む注入及び抽出システムであって、前記第1チャネルが、前記第2チャネルを越えて遠位に延在し、該第1チャネルと前記第2チャネルとの間に環状開口を形成する、注入及び抽出システムを通じた、前記眼への網膜操作流体の注入をコンピュータに制御させるための第1のプログラムと
前記眼からの流体の抽出を容易にするための前記注入及び抽出システムへの陰圧の適用を前記コンピュータに制御させるための第2のプログラムと
を記憶したコンピュータ可読媒体
【請求項11】
前記第2のプログラムが、眼内圧測定に基づき前記陰圧の適用を前記コンピュータに制御させるためのプログラムである、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体製品。
【請求項12】
前記第1のプログラムが、前記網膜操作流体を注入するために陽圧を適用する流体加圧システムを前記コンピュータに制御させるためのプログラムである、請求項10に記載のコンピュータ可読媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼の外科手術、より具体的には、患者の網膜に対する外科手術に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの眼は、簡単に言えば、角膜と呼ばれる透明な外側部分を通して光を透過し、屈折させ、網膜と呼ばれる内側表面を覆う感光性組織上にレンズを経由して像を収束させることによって視力を提供するように機能する。収束された像の質は、眼の大きさ、形状、および長さ、ならびに角膜およびレンズの形状ならびに透明度を含む、多くの要因に依存する。
【0003】
残念ながら、外傷、年齢、または疾患によって網膜がその支持組織からはがれる場合があり、これは網膜剥離と呼ばれることが多い。網膜剥離は、重度の近視を有するものによく見られるが、眼に対する物理的外傷、白内障手術、または糖尿病性網膜症の結果としても生じる場合がある。初期の剥離は局所的であり得るが、迅速に処置をしないと、網膜全体が剥離する可能性があり、視力喪失および失明をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
一般的な一実装形態では、網膜外科手術のプロセスは、注入/抽出システムを通して網膜操作流体を眼に注入することと、眼から流体を抽出するのを容易にするために、陰圧を注入/抽出システムに適用することとを含み得る。注入/抽出システムは、例えば、内側孔用のポートを有する2重孔カニューレであり得る。プロセスは、コンピュータシステムを介して、適用される陰圧を調節することも含み得る。
【0005】
適用される陰圧は、例えば、眼の眼内圧(本明細書において互換的に「IOP」と称される)に基づき調節され得る。いくつかの実装形態は、IOPを測定することも含み得る。ある実装形態では、プロセスは、眼の形状を維持するために、流体を注入することを含み得る。
【0006】
注入/抽出システムを通した網膜操作流体の注入は、例えば、コンピュータシステムを介して制御され得る。コンピュータシステムは、例えば、網膜操作流体を注入するために、陽圧を適用するための流体加圧システムを制御することができる。
【0007】
ある実装形態では、注入/抽出システムを通して網膜操作流体を注入することが、第1のチャネルを通して網膜操作流体を注入することを含み得、眼から流体を抽出することが、第2のチャネルを通して流体を抽出することを含み得る。抽出された流体は、例えば、第1のチャネルの周囲で抽出され得る。第2のチャネルは、例えば、医療機器を眼の中に導入するためのカニューレとして機能することができる。いくつかの実装形態では、網膜操作流体は、第1のチャネル内にある間、注入/抽出システムの内部空洞を通過することができる。特定の実装形態では、抽出された流体は、第2のチャネルを通過した後に空洞に入る。
【0008】
様々な実装形態は、1つ以上の特徴を含み得る。例えば、外科手術を受ける眼の圧力を監視し、注入/抽出システムを通して流体の抽出を調節することができることによって、眼内の適切な圧力を得ることができる。眼圧が非常に低くなると、眼は凹み、眼圧が非常に高くなると、眼への血液が絶たれる可能性がある。別の例として、ある実装形態では、大きな孔が注入/抽出デバイスに利用可能であってよく、これは、より多くの流体を、ジェット作用を低減することができる低圧降下で注入することを可能にすることができる。
【0009】
様々な実装形態の詳細および特徴は、図面と共に、以下の説明により伝えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】網膜外科手術用の例示的なシステムを図示するブロック図である。
図2】網膜外科手術用の例示的な外科手術用コンソールを示す。
図3】網膜外科手術用の例示的な注入/抽出システムを示す。
図4】網膜外科手術用の例示的なプロセッサを図示する流れ図である。
図5】網膜外科手術用の例示的なコンピュータシステムを図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、網膜外科手術用の例示的なシステム100を図示する。システム100は、流体輸液システム110、流体注入/抽出システム120、網膜操作流体源130、加圧システム140、および流体抽出システム150を含む。流体輸液システム110、加圧システム140、および流体抽出システム150は、ユーザ入力デバイス170からの入力を受信するコンピュータシステム160により制御される。システム100は、眼の形状を維持するための1つの流体と、網膜182の操作を補助するための別の流体とを送達することにより、角膜186およびレンズ184も含む眼180の網膜182に対して外科手術を行うのを補助するように適合される。一部の眼はレンズを含まないが、これは典型的には、システム100の動作を妨げるべきではないことに留意する。
【0012】
流体輸液システム110は、眼の形状を維持するために、流体(例えば生理食塩水溶液または空気)を眼180に供給するように適合される。いくつかの実装形態では、流体は、約0〜3.9psiで眼180に注入され得るが、最大15psiの圧力が可能であり得る。輸液流体は、例えばシリコーンチューブおよび眼のプローブ(例えば輸液カニューレ)を含み得るチャネル112を通して眼180に送達され得る。典型的には、眼が着実に流体を失うため(例えば切開により)、輸液流体は外科手術を通して送達される。輸液システム110は、コンピュータシステム160と共にローカルコンピュータシステムにより管理され得るポンプおよび流体源を含み得る。ローカルコンピュータシステムは、例えばコントローラプリント回路基板であり得る。ある実装形態では、流体輸液システム110は、外科手術用コンソールの流体工学モジュールのサブシステムであり得る。
【0013】
流体輸液システム110は、眼180の眼内圧を測定するようにも適合され得る。例えば、輸液システム110は、眼180への流体流を測定し、チャネル112における圧力降下を決定することができる。流体流の測定は、例えば、非侵襲性の超音波技術を用いて(例えば圧電結晶を用いることにより)達成され得る。IOPは、現時点で測定された輸液流速での、注入圧力−チャネル112における圧力降下であり得る。圧力はコンピュータシステム160に報告され得る。いくつかの実装形態では、IOPを測定するために、圧力変換器が眼の中に直接挿入され得る。
【0014】
注入/抽出システム120は、眼180に網膜操作流体130を注入し、他の流体(例えば生理食塩水溶液)を抽出するように適合される。網膜操作流体130は、例えば、比較的高い比重を有し、したがって、網膜182に沈むことができる。網膜182が剥離される場合、網膜操作流体は、修復され得る眼180の後ろに向かって網膜182を移動させる(例えば表面張力により)ことができる。高い比重を有する例示的な流体は、パーフルオロカーボンである。比較的高い比重の流体は、その時点で抽出され得る、低い比重の流体(例えば生理食塩水溶液)を上昇させることもできる。特定の実装形態では、注入/抽出システム120は、2重孔カニューレであってよく、これは以下により詳細に説明される。網膜操作流体130は、例えば、バイアルに保存され、シリンジのような機構を通して加圧され得る。
【0015】
加圧システム140は、網膜操作流体130を加圧して、それを注入/抽出システム120に送達するように適合される。加圧システム140は、例えば、病院空気供給システムまたはタンク(例えば窒素で充填される)を含み得る。加圧システム140は、圧力を低下させるための調節器も含み得る。ある実装形態では、圧力は、ユーザ(例えば医師または他の医療専門家)によって制御可能であり得る、120psiから減少して0〜80psiまで調節され得る。加圧システム140からの圧力は、次に、例えば0〜15psiの間の圧力で注入/抽出システム120に到達し、0〜3.9psiの圧力で眼に送達され得る網膜操作流体を駆動するために使用される。
【0016】
流体抽出システム150は、注入/抽出システム120を通して流体を積極的に除去するように適合される。抽出システム150は、例えば、ポンプによって生成され得る陰圧を用いることによりこれを達成することができる。抽出された流体は、例えば、外科手術後に廃棄され得る袋に保存され得る。ある実装形態では、流体抽出システム150は、外科手術用コンソールの流体工学モジュールのサブシステムであり得る。
【0017】
コンピュータシステム160は、システム100を制御するように適合される。コンピュータシステム160は、例えばプロセッサが動作するデータおよび命令(例えばプログラム)を記憶することができるプロセッサ(例えばマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)およびメモリ(例えば固体素子および/またはディスク)を含み得る。
【0018】
ある実装形態では、コンピュータシステム160は、システム100の他の部分用のプログラムを記憶し、個々のモジュールにプログラムをダウンロードすることができる(例えばシステムの起動中)。コンピュータシステム160は、データをユーザの出力デバイス(例えば表示モジュール)に送信することができるように、活動(例えば眼内圧)を監視することもできる。
【0019】
コンピュータシステム160は、ユーザ入力デバイス170から入力を受信することができる。ユーザ入力デバイス170は、例えば、キーボード、キーパッド、ポインティングデバイス(例えばスタイラスもしくはマウス)、またはスイッチ(例えばフットスイッチ)であり得る。1つのユーザ入力デバイスのみが示されるが、コンピュータシステムはいくつかのユーザ入力デバイスを有することができることに留意する。
【0020】
ある動作モードでは、コンピュータシステム160は、外科手術が進むと、流体を眼180に注入し始めるために、輸液システム110に命令することができる。注入される流体の量は、例えばユーザ(例えば医師)によって確立され得る。輸液システム110に関連するコンピュータシステムは、輸液システム110からフィードバックを受信し、眼180のIOPを決定し、注入される流体の量を調節することができる。例えば、IOPが減少していると決定される場合、より多くの流体が注入され得る。
【0021】
コンピュータシステム160は、眼180に網膜操作流体130を注入するために、指示(例えばユーザ入力デバイス170から)も受信することができる。コンピュータシステム160は、それに応じて加圧システム140に圧力を適用するように指示することができ、これにより網膜操作流体130を注入/抽出システム120に前進させることができる。注入/抽出システム120は、網膜操作流体130をチャネル122に通し、眼180に網膜操作流体を注入する。網膜操作流体130は、眼の0〜90パーセントを満たす。
【0022】
コンピュータシステム160は、眼180のIOPを監視し、陰圧(例えば吸引)を増加または減少させるように抽出システム150に命令することができる。例えば、コンピュータシステム160は、輸液システム110からのフィードバックに基づきIOPを監視することができる。いくつかの場合では、IOPが増加する場合、注入/抽出システム120を通してより多くの流体を引き込むために、陰圧が増加され得る。一方、IOPが減少する場合、注入/抽出システム120を通してあまり流体を引き込まないために、陰圧が減少され得る。正常なIOPは典型的には10〜20mmHGであるが、外科手術中のIOPは0〜60mmHgの範囲であり得る。
【0023】
外科手術中、コンピュータシステム160は、眼180に注入される網膜操作流体の量を調節するために(例えばユーザ入力デバイス170からの指示に基づき)、指示を受信することもできる。コンピュータシステム160は、それに応じて網膜操作流体の圧力を調節するために、加圧システム140に指示することができる。調節指示は抽出システム150にも送信され得る。特定の実装形態では、システム140からの圧力が0に調節される場合、抽出システム150によりもたらされる圧力も0に設定され得る。
【0024】
ユーザは、十分な量の網膜操作流体が適用された後に、網膜182に他の手順を行うことができる。たとえば、剥離した網膜に関して、医師は、網膜を眼の後ろに固着させるために、網膜にいくつかのレーザーショット(例えば広範囲網膜光凝固)を適用することができる。医師は、網膜を定位置に保持するのを容易にするために、眼に別の流体(例えば空気またはシリコーン油)を挿入することもできる。これらの流体(例えば空気)の一部は、時間とともに(例えば数日、数週間、または数ヶ月)消散し得る。
【0025】
システム100は、様々な特徴を有する。例えば、眼180のIOPを監視し、注入/抽出システム120を通して流体の抽出を調節することができることによって、眼180内の所望のIOPを得ることができる。IOPが非常に低くなると、眼は凹み、IOPが非常に高くなると、眼への血液が絶たれる可能性がある。既存の2重孔カニューレは、網膜操作流体の注入中、流体を一掃するために、眼180内の圧力と大気圧との間の圧力差に依存し、これは、カニューレが受動的に一掃できる流速より非常に速く送達することができるため、IOPに有害な増加をもたらす可能性がある。さらに、それらは、IOPを維持するために、いくつかのシステムに関して輸液ラインを上に向かって流体を逆運転させることができるが、これは、輸液チャネルが閉塞される場合、失敗する可能性があるか、または輸液ラインフィルタの飽和が起こる可能性があり、IOPの制御を失う結果となる。
【0026】
図1は、網膜外科手術用のシステムの一実装形態を図示するが、網膜外科手術用の他のシステムは、より少ない、追加の、および/または異なる配列の構成成分を有することができる。例えば、輸液システム110、抽出システム150、およびコンピュータシステム160が、ユニットの一部であり得る。例えば、それらは、例えばAlcon Laboratories,Inc.(Fort Worth,TX)から入手可能なConstellation(登録商標)Vision Systemなどの硝子体網膜外科手術用コンソールの一部であり得る。別の例として、コンピュータシステム160の機能のいくつか(例えば注入/抽出システム120に適用される抽出圧を制御する)は、他のコンピュータシステム(例えば流体工学モジュールのコンピュータシステム)により行われ得る。
【0027】
さらなる例として、システムは、IOP測定を行わない、および/または使用しなくてよい。例えば、メモリに記憶された表は、網膜操作流体注入圧に関連する決まった抽出レベルを用いて作製され得る。ある実装形態では、例えば、抽出された流体の量は、注入された網膜操作流体の量とほぼ等しくてよい。
【0028】
図2は、網膜外科手術用の例示的な外科手術用コンソール200を図示する。コンソール200は、コンピュータシステム204を備えるハウジング202、および、例えば硝子体網膜外科手術手順中のシステム動作および性能に関するデータを示すように動作可能である関連するディスプレイ206を含む。ディスプレイ206は、コンソールのうちの1つ以上の動作を確立するまたは変更するなどのために、コンソールと連動することもできる。いくつかの場合では、ディスプレイ206は、ディスプレイ206のスクリーンを触ることにより、コンソールと対話するための触感感知スクリーンを含むことができる。
【0029】
外科手術用コンソール200と共に様々なプローブが使用され得る。例えば硝子体切除プローブなどのプローブは、眼組織を解体し、眼から眼組織を吸引するために、コンソール200に結合され得る。他のプローブは、例えば、眼に流体を導入する、および/または眼から流体を抽出することができる。コンソール200は、例えば、プローブに電力、空気動力、水力、および/または他の適切な種類の動力を提供することができる。コンソール200は、供給される動力(例えば外科手術部位への流体の輸液速度および/または外科手術部位からの流体の吸引)を制御する、ならびに1つ以上の患者の生命徴候を監視するように動作可能でもあり得る。
【0030】
コンソール200は、硝子体網膜外科手術手順を行うために一緒に使用されるいくつかのシステムも含み得る。例えば、システムは、例えばフットスイッチ210、流体工学システム212、および空気力学システム218といったフットスイッチシステム208を含み得る。空気力学システム218は、プローブに動力を供給し、制御するように動作可能であり得る。例えば、空気力学システム218は、加圧ガスの適用を繰り返し循環させるように動作可能であり得る。いくつかの場合では、空気力学システム218は、1分間に1サイクル〜1分間に7,500サイクルの範囲内、または場合によりさらには1分間に10,000サイクル以上の速度で加圧ガスを循環させるように動作可能であり得る。ある実装形態では、循環されるガスは、例えば異なる圧力、異なる速度、および異なる負荷サイクルで適用され得る。プローブは、空気力学システム218(例えばカッターの作動を制御するために)介してコンソール200と連動し得る。流体工学システム212は、外科手術手順中に材料を吸引するなどのために、眼に輸液流体および/もしくは洗浄流体、または真空を提供するように動作可能であり得る。外科手術中の異なるシステムの性能を最適化するために、それらの動作パラメータは、例えば行われる特定の手順、手順の異なる段階、医師の個人的な好み、手順が患者の眼の前部分または後部分で行われるか否かなどにより変動し得る。
【0031】
コンソール200における異なるシステムは、動作用の制御基盤、ならびにプローブの動作などのコンソール200によって行われる様々な機能および動作の制御を含み得る。コンピュータシステム204は、外科手術手順を適切に行うために、異なるシステム間の対話および関係を管理するように動作可能であり得る。これを行うために、コンピュータシステム204は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリデバイスを含み得、例えば予め確立されたプログラムまたはシーケンスに基づき、コンソール200の動作を制御するように構成されるか、またはそのようにプログラムされ得る。
【0032】
図3は、網膜外科手術用の例示的な注入/抽出システム300を図示する。システム300は、例えばシステム100のような網膜外科手術システムにおいて使用可能であり得る。
【0033】
システム300は、第1のカニューレ310および第2のカニューレ320を含む。第1のカニューレ310は、眼に網膜操作流体を注入するためのチャネルとして機能するように適合される。第1のカニューレ310と第2のカニューレ320との間に画定される環状領域は、流体が眼から抽出されるチャネル325を画定する。
【0034】
図示される実装形態では、第1のカニューレ310は、第2のカニューレ320の内側である。加えて、第1のカニューレ310は、第2のカニューレ320を超えて延在する。網膜操作流体が眼の流体より高い比重のものである場合、網膜操作流体は、眼内の低い位置に沈み、低い比重である事前に存在する眼の流体を上昇させる。結果として、事前に存在する眼の流体はチャネル325を介して眼から抽出され得る。第1のカニューレ310は、用途により量を変動させることにより、第2のカニューレ320より遠くに延在し得る。
【0035】
いくつかの場合では、第2のカニューレ320は、トロカールカニューレであるか、またはそのようなものとして動作し得る。よって、図3の図示される例に示されるように、第2のカニューレ320は、眼に設置されるとき、眼の内部と外部との間の通信を提供するように使用される通路を画定する。一般に、トロカールカニューレの通路は、眼の中に材料または機器などの物品を導入するために使用され得る。したがって、第2のカニューレ320は、眼の中に第1のカニューレ310を導入するために使用され得る。第2のカニューレ320は、第2のカニューレ320が眼に貫入する量を制限するハブ322を含む。
【0036】
第1のカニューレ310および第2のカニューレ320は、任意の適切な材料から作製され得る。特定の実装形態では、第1のカニューレ310は、ポリイミドから作製され得、第2のカニューレ320は、ステンレススチールから作製され得る。第1のカニューレ310は、他の材料(例えばステンレススチール)から作製することもでき、第2のカニューレ320は、他の材料(例えばポリイミド)から作製することもできる。
【0037】
システム300は、本体330も含む。本体330はチャンバ332を含む。仕切り335は、チャンバ332に形成されるか、またはさもなければそこに配置され得、チャンバ332を第1のチャンバ部分337と、第2のチャンバ部分339に分ける。第1のカニューレ310は、仕切り335に形成される通路341を通って延在する。第2のチャンバ部分339に存在する網膜操作流体は、第1のカニューレ310を介して眼の中に導入され得る。流体は、第1のカニューレ310および第2のカニューレ320により画定されるチャネル325を介して眼から抽出され得る。抽出された流体は、チャネル325および通路343を通過し、第1のチャンバ部分337に入る。第1のチャンバ部分337は、陰圧が第2のカニューレ320に適用され得るチューブ350につながる通路334に結合される。よって、抽出された流体は、チューブ350を介して本体300から排出され得る。本体330は、チューブ350を係合するための取り付け機構336(この実装形態では先細りの環状ボス)も含み得る。チューブ350は、ゴム、プラスチック、または任意の他の適切な材料から作製され得る。
【0038】
本体330は、任意の適切な材料から作製され得る。特定の実装形態では、本体330は、例えばポリプロピレンなどのプラスチックから作製され得る。特定の実装形態では、本体330および第1のカニューレ310は、一体型ユニットであり得る。
【0039】
本体330は、スリーブ340によって第2のカニューレ320に結合される。図示される実装形態では、スリーブ340は、第2のカニューレ320のハブ322の一部と本体330のハブ338を係合して、結合を達成する。
【0040】
特定の実装形態では、スリーブ340は、第1のカニューレ310の挿入深度が調節され得るように可撓性であり得る。例えば、図示される実装形態では、スリーブ340は、第1のカニューレ310の長手方向軸に沿ってハブ338に対して調節され得る。
【0041】
スリーブ340は、任意の適切な材料から作製され得る。ある実装形態では、スリーブ340は、弾性チューブ(例えばシリコーンゴム)から作製され得る。
【0042】
システム300は、様々な特徴を有する。例えば、第2のカニューレ320としてトロカールカニューレを使用することにより、システム300は、低圧でより多くの流体を抽出することができる大きな抽出孔を有する。加えて、大きな抽出孔は、第1のカニューレ310がより大きな孔を有することを可能にし得、これは、より低い圧力降下により高流動にジェット作用を減少させることを可能にする。
【0043】
図3は、注入/抽出システムの一実装形態を図示するが、他の実装形態は、より少ない、追加の、および/または異なる配列の構成成分を含むことができる。例えば、第2のカニューレ320としてトロカールカニューレを使用する代わりに、2重孔カニューレを使用することができる。2重孔カニューレ320は、例えばトロカールカニューレを通して眼の中に挿入され得る。
【0044】
図4は、網膜外科手術のプロセス400を図示する。プロセス400は、例えば網膜外科手術の開始時またはその手術中にシステム100のようなシステムにより実装され得る。
【0045】
プロセス400は、所望の眼内圧の決定(動作404)を求める。所望のIOPは、IOPが維持される標的として使用される。所望のIOPの決定は、例えばユーザインターフェースを通してIOPを受信するか、または記憶からそれを呼び出すことにより達成され得る。IOPは、例えば手順を開始する前にユーザ(例えば医師)によって設定され得る。
【0046】
プロセス400は、網膜操作流体を注入するか否かの決定(動作408)も求める。網膜操作流体(例えばパーフルオロカーボン)は、例えばユーザの指示(例えば医師から)を受信したときに注入され得る。
【0047】
網膜操作流体が注入されるべきであると決定されると、プロセス400は、加圧システムへの指示の生成を求める(動作412)。加圧システム(例えば病院空気供給システム)は、注入/抽出システムを通して流体を注入させることができる。指示は、バス、ローカルエリアネットワーク、または他の適切な通信ネットワーク経由で送信され得る。追加の指示は、外科手術中に加圧システムからの圧力を調節することができる。
【0048】
プロセス400は、IOP測定の呼び出しも求める(動作416)。IOP測定は、例えば、輸液チャネルにおける圧力降下を決定することにより、または眼の中に挿入されるプローブによって行われ得る。プロセス400は、IOP測定が良好であるか否かの決定を求める(動作424)。IOPは、例えば、所望のIOPのある範囲(例えば10%)内である場合、良好であり得る。IOPが良好である場合、プロセス400は、網膜操作流体の注入の調節を行うべきであるか否かの確認を求める(動作420)。調節は、例えば、受信したユーザ指示に基づき行われ得る。
【0049】
しかしながら、IOPが良好でない場合、プロセス400は、流体注入/抽出システムに関する抽出圧の調節を求める(動作428)。抽出圧は、例えば測定されたIOPが非常に高い場合増加され、測定されたIOPが非常に低い場合減少され得る。抽出圧は、例えば0〜650mmHgの範囲であってよく、例えば網膜操作流体がもはや注入されない場合0に設定され得る。プロセス400は、網膜操作流体の注入に関する調節が行われるべきであるか否かの確認の要求も求める(動作420)。調節は、例えば、受信したユーザ指示に基づき行われ得る。
【0050】
網膜操作流体の注入に関する調節が行われるべきでない場合、プロセス400は、前のIOP測定以来更新されたかもしれない、または更新されていないかもしれないIOP測定の呼び出しを求める(416)。網膜操作流体の注入に関する調節が行われるべきである場合、プロセス400は、加圧システムへの指示の生成を求める(動作412)。
【0051】
図4は、網膜外科手術用のプロセスの一実装形態を図示するが、他のプロセスは、より少ない、追加の、および/または異なる配列の構成成分を含むことができる。例えば、プロセスは、網膜操作流体を注入するか否かの確認を含まなくてもよい。さらに、プロセスは、網膜操作流体の注入さえも含まなくてもよい。別の例として、プロセスは、輸液流体の注入を含み得る。さらなる例として、プロセスは、様々なプローブの操作を求めることができる。さらなる例として、プロセスは、IOP測定の使用を求めなくてよい。例えば、網膜操作流体注入圧に関連する決まった抽出レベルを有するメモリに記憶された表が流体抽出を制御するために使用され得る。ある実装形態では、例えば、抽出された流体の量は、注入された網膜操作流体の量とほぼ等しくてよい。
【0052】
当業者に理解されるように、本開示の態様は、システム、方法、またはコンピュータプログラム製品として実装され得る。したがって、本開示の態様は、本明細書において、概して、全てが「回路」、「モジュール」、または「システム」と称され得る、完全にハードウェア環境、完全にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐型ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実装形態を取り得る。さらに、本開示の態様は、コンピュータ可読プログラムコードを上に具体化させた1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)内に具体化されたコンピュータプログラム製品の形態を取り得る。
【0053】
1つ以上のコンピュータ可読媒体(複数可)の任意の組み合わせが利用され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読シグナル媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外、もしくは半導体のシステム、装置、またはデバイス、あるいは前述の任意の好適な組み合わせであり得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)は、次を含むだろう:1つ以上のワイヤを有する電気接続、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読取専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせ。この開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、もしくはそれに関連して使用するためのプログラムを含む、またはそれを記憶することができる有形媒体であり得る。
【0054】
コンピュータ可読シグナル媒体は、例えばベースバンドに、または搬送波の一部として、中に具体化されたコンピュータ可読プログラムコードを含む伝搬されたデータシグナルを含み得る。そのような伝搬されたシグナルは、電磁、光学、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な形態のいずれかを取ることができる。コンピュータ可読シグナル媒体は、コンピュータ可読記憶媒体でなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、もしくはそれに関連して使用するためのプログラムを通信する、伝搬する、または転送することができる任意のコンピュータ可読媒体であり得る。
【0055】
コンピュータ可読媒体上に具体化されるプログラムコードは、ワイヤレス、有線、光ファイバケーブル、RF等を含むがこれらに限定されない、任意の媒体、または前述の任意の好適な組み合わせを用いて伝達され得る。
【0056】
本開示の態様に関する動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)、Smalltalk、C++などの1つ以上のプログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似するプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語の任意の組み合わせで書かれ得る。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、かつ部分的に遠隔コンピュータ上で、または完全に遠隔コンピュータもしくはサーバー上で実行することができる。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、またはワイヤレスネットワーク(例えばWi−Fiもしくはセル方式)といった任意の種類のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得るか、または接続は、外部コンピュータ(例えばインターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを通じて)になされ得る。
【0057】
本開示の態様は、実装形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令により実装され得ることを理解する。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータのプロセッサまたは他のプログラマブルデータ処理装置を介して実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のフロックもしくは複数のブロックに指定される機能/役割を実装するための手段を作り出すための機械を生成する汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得る。
【0058】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のフロックもしくは複数のブロックに指定される機能/役割を実装する命令を含む製造物品を製造するように、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または特定の様式で機能する他のデバイスを指示することができるコンピュータ可読媒体にも記憶され得る。
【0059】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のフロックもしくは複数のブロックに指定される機能/役割を実装するためのプロセスを提供するようにコンピュータ実装プロセスを生成するために、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で行わせる、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイス上にも装填され得る。
【0060】
図5は、網膜外科手術用の例示的なコンピュータシステム500を図示する。コンピュータシステム500は、例えばシステム100のコンピュータシステム160、または別のサブシステムの一部(例えば流体工学モジュール)であるコンピュータシステムに類似してよい。さらに、いくつかの実装形態では、コンピュータシステム500は、コンソール200に類似する外科手術用コンソールであり得る。他の場合では、コンピュータシステム500は、外科手術用コンソールの一部を形成することができる。例えば、いくつかの場合では、コンピュータシステム500は、例えばコンソール200のコンピュータシステム204などのコンソールのコンピュータシステムの一部を含むか、またはそれを形成することができる。いくつかの実装形態では、コンピュータシステム500は、いくつかのコンピュータシステム(例えば分散コンピュータシステム)から構成され得る。例示的なコンピュータシステムは図5に示されるが、コンピュータシステムの他の実装形態は、示されるものより少ない、または異なる構成要素を含み得る。
【0061】
コンピュータシステム500は、プロセッサ502およびメモリ504を含む。コンピュータシステム500は、1つ以上の入力デバイス508、およびディスプレイ510などの1つ以上の出力デバイスも含み得る。ディスプレイ510は、以下により詳細に説明される、ユーザインターフェースまたはアプリケーションインターフェース(集合的に「ユーザインターフェース512」と称される)を提示することができる。ユーザは、コンピュータシステム500の1つ以上の特徴と対話するためのユーザインターフェース512と連動することができる。ある実装形態では、ユーザインターフェース512はグラフィカルユーザインターフェースであり得る。入力デバイス(複数可)508は、キーパッド、タッチスクリーン、ポインティングデバイス(例えば、マウスもしくはスタイラス)、足踏み入力デバイス(例えば、フットスイッチ)、または任意の他の所望される入力デバイスを含み得る。
【0062】
加えて、コンピュータシステム500は、動作部分514を含む。いくつかの場合では、動作部分514は、上述のシステム100に類似するシステムを含み得る。例えば、動作部分514は、注入/抽出システム、流体抽出システム、類似する加圧システム、流体輸液システムのうちの1つ以上を含み得る。注入/抽出システムは、注入/抽出システム120に類似し得る。流体抽出システムは、流体抽出システム150に類似し得る。加圧システムは加圧システム140に類似し得、流体輸液システムは流体輸液システム110に類似し得る。
【0063】
システム500は、動作部分514またはシステム500の別の部分に含まれるか否かに関わらず、ある量の網膜操作流体も含み得る。他の実装形態では、ある量の網膜操作流体はシステム500から遠隔にあってよい。さらに、いくつかの実装形態では、動作部分514は、硝子体切除プローブ用の動力源、吸引構成要素、洗浄構成要素、ならびに1つ以上のセンサ、ポンプ、バルブおよび/またはプローブを動作するための他の構成要素を含む。プローブ516は、インターフェースパネル518を介してコンピュータシステム500の動作部分514に結合され、水力、空気動力、および/または電力により供給され得る。いくつかの場合では、プローブ516は、硝子体網膜プローブ、流体注入/抽出システム(例えば注入/抽出システム300)、または任意の他の好適なデバイスであり得る。さらに、いくつかの実装形態では、動作部分514は、上述の特徴のいくつかを含むが、その他を含まない。またさらに、動作部分514は、本明細書に記載される特徴のうちの1つ以上以外の1つ以上の追加の特徴を含み得る。
【0064】
プロセッサ502は、典型的には、プログラム命令(例えばファームウェアおよび/またはソフトウェアから)の指示によりデータを処理する論理処理ユニット(例えば演算ユニット)を含む。例えば、プロセッサ502は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途集積回路であり得る。一般に、プロセッサ502は、論理様式でデータを操作する任意のデバイスであり得る。さらに、プロセッサ502は、プロセッサ160に類似するか、またはそれに類似するプロセッサを含み得る。プロセッサ502は、プログラム506、507などのプログラムを実行するように動作可能である。よって、プロセッサ502は、動作部分514、またはプログラム506、507に提供される命令によりシステム500の他の態様を動作するように動作可能であり得る。したがって、いくつかの実装形態では、プロセッサ502は、上述に類似する様式で、眼への流体の輸液、およびそこからの流体の抽出を制御するように動作可能である。そのようなものとして、動作部分514は、眼内の所望のIOPを維持しながら、眼に網膜操作流体を注入するように動作可能であり得る。
【0065】
メモリ504は、流体注入および抽出プログラム507といった、1つ以上のプログラム506を含む。プログラム506は、別個のプログラム、またはより大きなプログラムの一部(例えばサブルーチンもしくはライブラリ)であり得る。メモリ504は、動作システム(例えばWindows(登録商標)、Linux(登録商標)、またはUnix(登録商標))も含み得る。メモリ504は、任意のメモリまたはモジュールを含み得、これらに限定されないが、磁気媒体、光学媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、リムーバブル媒体、またはデータを記憶するための任意の他の好適なローカルもしくは遠隔構成要素といった、揮発性または不揮発性メモリの形態を取ることができる。
【0066】
プログラム506は、注入の制御、または網膜操作流体、および所望のIOPを維持するための陰圧などの注入/抽出技法の態様を動作するための命令を提供することができる。
【0067】
メモリ504は、クラス、フレームワーク、プログラム、バックアップデータ、ジョブ、またはそれらに対する任意のパラメータ、変動要因、アルゴリズム、命令、ルール、もしくは参考資料を含む他の情報も記憶することができる。メモリ504は、環境および/もしくはプログラム説明データ、1つ以上のプログラム用のプログラムデータ、ならびにデータ関連仮想施設ネットワーク(VPN)プログラムもしくはサービス、ファイアーウォールポリシー、セキュリティーもしくはアクセスログ、プリントもしくは他のリポートファイル、ハイパーテキスト記述言語(HTML)ファイルもしくはテンプレート、関連もしくは非関連ソフトウェアプログラム、またはサブシステム、およびその他などの他の種類のデータも含む。したがって、メモリ504は、プログラム507などの1つ以上のプログラムからローカルデータ貯蔵などのデータの貯蔵とも見なされ得る。メモリ504は、プログラム507などの1つ以上のプログラムによって利用され得るデータも含み得る。
【0068】
プログラム506は、結果または出力を決定するために、1つ以上のアルゴリズムなどにおいて受信したデータを利用するように動作可能である命令を含むプログラムまたはプログラム群を含み得る。決定された結果は、コンピュータシステム500の態様に影響を及ぼすように使用され得る。上述のように、動作部分514は、流体抽出システム150に類似する流体抽出システムおよび/または加圧システム140に類似する加圧システムを含み得る。さらに、いくつかの実装形態では、動作部分514は、追加の、より少ない、または異なる特徴を含み得る。いくつかの場合では、プログラム507は、流体抽出システムおよび加圧システムの態様を制御するための命令を含み得る。したがって、いくつかの場合では、プログラム507は、例えば注入/抽出システム300に類似し得る注入/抽出システムの態様を制御するための命令を含み得る。さらに、プログラム507は、流体注入/抽出システムの態様を制御するための動作部分514に対する1つ以上の調節を決定することができる。例えば、プログラム507は、加圧システム140などの加圧システムによって網膜操作流体に適用される圧力レベル、または流体抽出システム150などの流体抽出システムの真空圧レベルに対する調節をプロセッサ502に決定させる命令を提供することができる。そのようなものとして、プログラム507は、眼内の所望のIOPを維持しながら、眼に網膜操作流体を注入するなどのために、プロセッサ502に動作部分514を制御させることができる。調節は、動作部分514などのコンピュータシステム500の1つ以上の構成要素に対する1つ以上の伝達された制御シグナルによって実装され得る。
【0069】
プロセッサ502は、アプリケーション506および507に含まれる命令などの命令を実行し、コンピュータシステム500の動作、例えば計算および論理動作を行うためのデータを操作し、例えば中央処理ユニット(CPU)、ブレード、特定用途集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり得る。
【0070】
コンピュータシステム500の構成要素は、それらにそれらの間でデータを通信させるためのネットワークによって一緒に結合され得る。ネットワークは、例えばいくつかの異なる種類のバス(例えばシリアルおよびパラレル)を含み得る。
【0071】
図5は、コンピュータシステム500において1つのプロセッサ502を図示するが、複数のプロセッサ502が特定の必要性により使用され得、プロセッサ502への言及は、適用可能な場合、複数のプロセッサ502を含むことが意図される。例えば、プロセッサ502は、コンピュータシステム500の様々な構成要素および/またはそれに結合されるデバイスからデータを受信するように適合され、受信したデータを処理し、それに応じて、システム500の構成要素および/またはそれに結合されるデバイスのうちの1つ以上にデータを伝達することができる。図示される実施形態では、プロセッサ502は、網膜外科手術の態様を制御するためのプログラム507を実行する。
【0072】
さらに、プロセッサ502は、それに結合される1つ以上の構成要素に制御シグナルを伝達する、またはそれからシグナルを受信することができる。例えば、プロセッサ502は、受信したデータに応じて制御シグナルを伝達することができる。いくつかの実装形態では、例えばプロセッサ502は、プログラム506を実行し、それに応じて、制御システムを動作部分514に伝達することができる。
【0073】
ディスプレイ510は、医療従事者(例えば医師)などのユーザに情報を表示する。いくつかの場合では、ディスプレイ510は、視覚的に情報を提示するためのモニタであり得る。いくつかの場合では、ディスプレイ510は、ディスプレイと入力デバイスの両方として動作することができる。例えば、ディスプレイ510は、ユーザによる触覚またはディスプレイとの他の接触がコンピュータシステム500への入力を生成する触感感知ディスプレイであり得る。ディスプレイ510は、ユーザインターフェース512を介してユーザに情報を提示することができる。
【0074】
ユーザインターフェース512は、医療従事者などのユーザが、プログラムまたは他のシステム情報を見るためなどの任意の好適な目的のため、コンピュータシステム500と対話することができるように動作可能なユーザインターフェースを含むことができる。例えば、ユーザインターフェース512は、硝子体網膜外科手術手順、プローブ516の動作態様、動作部分514、またはコンピュータシステム500の任意の他の所望の態様に関する詳細な情報といった医療手順に関連する情報を提供することができる。
【0075】
一般に、ユーザインターフェース512は、コンピュータシステム500により受信される、提供される、またはそれ内で通信される情報の効率的かつ利用しやすい提示を特定のユーザに提供することができる。ユーザインターフェース512は、ユーザによって動作される対話型フィールド、プルダウンリスト、およびボタンを有する複数のカスタマイズ可能なフレームまたは表示を含むことができる。ユーザインターフェース512は、複数のポータルまたはダッシュボードを提示することもできる。例えば、ユーザインターフェース512は、ユーザがプローブ516に関連するパラメータを入力し、定義することができるインターフェースを表示することができる。
【0076】
用語ユーザインターフェースは、1つ以上のユーザインターフェースおよび特定のユーザインターフェースのディスプレイのそれぞれを説明するために、単数形または複数形で使用され得ることを理解するべきである。実際、ユーザインターフェース512への言及は、本開示の範囲から逸脱することなく、1つ以上のプログラム506のフロントエンドまたは構成要素への言及を示し得る。したがって、ユーザインターフェース512は、任意のユーザインターフェースを想定する。例えば、いくつかの場合では、ユーザインターフェース512は、データを入力し、結果を効率的にユーザに提示するための一般的なウェブブラウザーを含み得る。他の場合では、ユーザインターフェース512は、プログラム506のうちの1つ以上または他のシステムサービスの様々な特徴を表示する、および/もしくはそれらと対話するためのカスタムまたはカスタマイズ可能なインターフェースを含み得る。
【0077】
いくつかの実装形態では、コンピュータシステム500は、ネットワーク524を通じて、コンピュータ522などの1つ以上のローカルまたは遠隔コンピュータと通信することができる。コンピュータシステム500は、通信を行うための1つ以上の通信インターフェースを含み得る。通信インターフェースは、例えばネットワークインターフェースカード(ワイヤレスまたはワイヤレスに関わらず)またはモデムであり得る。
【0078】
ネットワーク524は、コンピュータシステム500と、一般的にはコンピュータシステム522などの任意の他のローカルもしくは遠隔コンピュータとの間のワイヤレスおよび/または有線の通信を容易にすることができる。例えば、医療従事者は、プログラム506に関連するサービスを含むコンピュータシステム500の動作に関連する構成、設定、および/または他の態様と対話するために、コンピュータシステム522を使用することができる。ネットワーク524は、企業または安全なネットワーク全体またはその一部であり得る。別の例では、ネットワーク524は、単に、ワイヤおよび/またはワイヤレスリンク上のコンピュータシステム500とコンピュータ522との間のVPNであり得る。例示的なワイヤ列リンクは、IEEE802.11、IEEE802.20、WiMax、ZigBee、Ultra−Wideband、およびその他多くを含む。単一の連続ネットワークとして図示されるが、ネットワーク524は、ネットワーク524のうちの少なくとも一部がコンピュータシステム500、コンピュータ522、および他のデバイス間の通信を容易にすることができる限り、本開示の範囲から逸脱することなく、様々なサブネットまたは仮想ネットワークに論理的に分けることができる。
【0079】
例えば、コンピュータシステム500は、別のコンピュータを通じたコンピュータ522に通信可能に結合される一方で、1つのサブネットを通じた貯蔵526に通信可能に結合され得る。換言すれば、ネットワーク524は、様々なコンピュータ構成要素間の通信を容易にするように動作可能である任意の内部または外部ネットワーク、サブネットワーク、またはそれらの組み合わせを包含する。ネットワーク524は、ネットワークアドレス間で、例えばインターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、ボイス、ビデオ、データ、および他の好適な情報を通信することができる(集合的にまたは互換的に「情報」と称される)。ネットワーク524は、1つ以上の場所での1つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネットとして知られるグローバルコンピュータネットワークの全てもしくは一部、および/または任意の他の通信システム、もしくは複数のシステムを含み得る。ある実施形態では、ネットワーク524は、あるローカルまたは遠隔コンピュータ522を介してユーザにアクセス可能な安全なネットワークであり得る。
【0080】
コンピュータ522は、任意の通信リンクを使用して、コンピュータシステム500またはネットワーク524に接続するように、またはそれと通信するように動作可能である任意のコンピュータデバイスであり得る。本開示に使用される、コンピュータ522は、パーソナルコンピュータ、タッチスクリーンターミナル、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、キオスク、ワイヤレスデータポート、スマートホン、パーソナルデータアシスタント(PDA)、これらのもしくは他のデバイス内の1つ以上のプロセッサ、または任意の他の好適な処理デバイスを包含することが意図される。いくつかの場合では、コンピュータ522は、コンピュータシステム500に関連する任意の適切なデータを受信する、伝達する、処理する、および記憶するように動作可能な電子コンピュータデバイスを含み得る。コンピュータ522は、ユーザインターフェース528を含むか、または実行することもできる。ユーザインターフェース528は、ユーザインターフェース512に類似し得る。コンピュータシステム500に通信可能に結合される任意のいくつかのコンピュータ522が存在し得ることを理解する。さらに、図示の簡略化のため、コンピュータ522は、1人のユーザによって使用される観点から記載される。しかし、本開示は、多くのユーザが1つのコンピュータを使用することができるか、または1人のユーザが複数のコンピュータを使用することができることを想定する。
【0081】
動作のあるモードでは、1つ以上のプログラム506によるプロセッサ502は、眼に網膜操作流体を注入するか否かを決定することができる(例えばユーザ入力デバイス508を通じた指示の受信時)。網膜操作流体が注入されるべき時点で、プロセッサ502は、網膜操作流体を注入させ得る加圧システム(例えば病院空気供給システム)に対する指示を生成することができる。プロセッサ502は、IOP測定を呼び出し、測定されたIOPが良好であるか否かを決定することもできる。IOPが良好ではない場合、プロセッサは、流体注入/抽出システムの抽出圧を調節することができる。抽出圧は、例えば測定されたIOPが非常に高い場合増加され、測定されたIOPが非常に低い場合減少され得る。プロセッサ502は、上述の様々な他の動作を行うこともできる。
【0082】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実装形態を説明する目的のためであり、制限することが意図されない。本明細書で使用される、単数形「a」、[an」、および「the」は、文脈が明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素および/もしくはそれらの群の存在または追加を除外しないことをさらに理解する。
【0083】
対応する構造、材料、役割、および以下の請求項における全ての手段またはステップと機能要素の等価物は、具体的に主張される他の請求項の要素と組み合わせて、機能を行うための任意の構造、材料、または役割を含むことが意図される。本実装形態の説明は、図示および説明の目的のために提示されてきたが、開示される形態の実装形態を網羅するまたは制限することが意図されない。多くの修正および変形は、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかである。実装形態は、想定される特定の使用に適するように、開示の原理を説明し、実際の用途を説明し、他もしくは当業者が様々な修正と共に様々な実装形態の開示を理解するために選択され、説明された。
【0084】
いくつかの実装形態が網膜外科手術に関して説明され、その他のいくつかが記述され、提案された。さらに、当業者は、様々な追加、削除、修正、および置換が、網膜外科手術を尚行う一方で、これらの実装形態に行われ得ることを容易に認識する。よって、保護される対象問題の範囲は、1つ以上の実装形態の1つ以上の内容を捕捉する以下の請求項に基づき判断されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5