(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技領域を流下する玉が入賞可能な始動口と、前記遊技領域を流下する玉が入賞可能な開放状態と入賞不可能な閉鎖状態とを呈する大入賞口と、を少なくとも含む複数の入賞口と、
前記複数の入賞口への入賞を検知する入賞検知手段と、
前記入賞検知手段が入賞を検知した場合に入賞した入賞口に対応して予め定められた数の遊技媒体を遊技者に払出す払出手段と、
前記入賞検知手段が入賞を検知する毎に前記払出手段が払出す予定の遊技媒体の数を加算する加算手段と、
前記加算手段が加算した値が予め定められた規定値に達する毎に払出予定信号を出力する払出予定信号出力手段と、
前記払出手段が払出した遊技媒体を検知する払出遊技媒体検知手段と、
前記払出遊技媒体検知手段が検知した遊技媒体の数を計数する計数手段と、
前記計数手段が計数した遊技媒体の数が前記規定値に達する毎に払出完了信号を出力する払出完了信号出力手段と、
前記始動口への入賞を検知する始動検知手段と、
前記始動検知手段が入賞を検知した場合に抽選処理を実行する抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果が当選であった場合に大当たり状態を発生する大当たり状態発生手段と、
大当たり状態中に大当たり信号を出力する大当たり信号出力手段と、を有する複数のパチンコ遊技機の遊技情報を管理する遊技場用管理装置であって、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち遊技場側により配線された信号を入力することが可能な第1払出入力端子及び第2払出入力端子を有することで、前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち、一方の信号を入力する配線パターンと、両方の信号を入力する配線パターンと、を遊技場側で選択可能な入力手段と、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち一方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、一方の信号に基づいて払出数に関する遊技情報を演算し、前記払出予定信号及び前記払出完了信号の両方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、前記払出予定信号に基づく払出数に関する遊技情報と、前記払出完了信号に基づく払出数に関する遊技情報とをそれぞれ演算する演算手段と、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち一方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、前記演算手段が演算した一方の信号に基づく払出数に関する遊技情報を表示出力し、前記払出予定信号及び前記払出完了信号の両方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、前記演算手段が演算した前記払出予定信号に基づく払出数に関する遊技情報と、前記払出完了信号に基づく払出数に関する遊技情報とをそれぞれ表示出力する表示出力手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1はシステムの全体構成を概略的に示している。遊技場にはパチンコ遊技機(以下「遊技機」)1及び貸出装置2が設置されており、2台の遊技機1及び貸出装置2に対して中継装置3が設置されている。事務所には管理装置4(入力手段、演算手段、表示出力手段に相当)が設置されている。管理装置4は、LAN5を介して中継装置3と接続されており、各種情報(稼動情報、設定情報等)の送受信を可能としている。
【0009】
遊技機1は、通常状態、大当たり状態、確変状態を呈するように次のように構成されている。即ち、遊技機1は、遊技領域である盤面6を流下する玉が入賞可能な始動口7と、盤面6を流下する玉が入賞可能な開放状態と入賞不可能な閉鎖状態とを呈する大入賞口8とを含む複数の入賞口を有している。始動口7への入賞を検知(入賞検知手段、始動検知手段に相当)した場合は3個のセーフ玉(「払出手段が払出した遊技媒体」に相当)を遊技者に払出し、大入賞口8への入賞を検知(入賞検知手段に相当)した場合は14個のセーフ玉を払出す(払出手段に相当)。このとき、入賞を検知する毎に払出す予定のセーフ玉の数を加算(加算手段に相当)し、加算した値が予め定められた規定値である10個に達する毎に払出予定信号を出力(払出予定信号出力手段に相当)し、加算値をリセットする。一方、払出したセーフ玉を検知(払出遊技媒体検知手段に相当)すると共に、検知したセーフ玉の数を計数(計数手段に相当)し、計数したセーフ玉の数が規定値である10個に達する毎にセーフ信号(払出完了信号に相当)を出力(払出完了信号出力手段に相当)すると共に、排出された玉を10個検知する毎にアウト信号を出力する。始動口7への入賞を検知した場合は、抽選処理(抽選手段に相当)を実行する。抽選処理では、抽選結果を特図保留として所定の上限値である4個まで記憶し、記憶されている特図保留を記憶された順に1つずつ読み出し、読み出した特図保留の当否を判定し、判定結果が当選であった場合は、表示部9に大当たり図柄を表示すると共に大入賞口8を開放することにより大当たり状態を発生(大当たり状態発生手段に相当)する。この大当たり状態中は大当たり信号を出力(大当たり信号出力手段に相当)し、所定の終了条件が成立すると大当たり状態を終了する。普図始動口10に入賞すると普図の抽選を行い、当選した場合は、普図の変動終了後に電動チューリップ(以下「電チュー」)11を開放する。
【0010】
遊技機1のスペックは次の通りである。
・普図当選確率……通常状態:1/100、時短状態と確変状態:1/2
・電チュー開放時間……通常状態:0.2秒、時短状態と確変状態:1.5秒×3回
・普図変動時間……通常状態:30秒、時短状態と確変状態:1秒
・特図当選確率……通常状態と時短状態:1/400、確変状態:1/50
・確変大当たりの割合……40%
・大当たり中動作……15ラウンド、各ラウンド10個入賞可能、1入賞当たり14個払出
・通常状態又は時短状態において奇数のゾロ目で大当たりに当選すると、その大当たり終了後は確変状態となる。この確変状態は大当たり状態終了後100回又は通常大当たりの当選で終了する。
遊技機1から払出された玉は上皿12に流れ、上皿12の玉が一杯になると、遊技機1は、一杯になったこと(玉詰まり)を検知して払出処理を中断する。
【0011】
遊技機1は、中継装置3を介して管理装置4に向けて以下の信号を出力する。
・セーフ信号=払出玉10個に対して1パルス
・スタート信号=図柄変動1回に対して1パルス
・払出予定信号=払出予定数が10となる毎に1パルス
・入賞信号=始動口に入賞する毎に1パルス
・時短信号=時短中はレベル信号
また、アウトボックスが使用玉10個に対して1パルス出力する(アウト信号)。
【0012】
管理装置4は、台データ用の記憶領域を有しており、遊技機1から出力される各信号の入力に応じて台データを更新する。
図3は管理装置4による台データの一例を示している。台データには、「台番」、「アウト」、「セーフ」、「予定数」、「未払出数」、「ベース」、「スタート」の各項目が設定されており、それらの意味は次の通りである。
アウト……アウト信号を入力した回数
セーフ……セーフ信号を入力した回数
予定数……払出予定信号を入力した回数
未払出数……予定数−セーフ
ベース……通常状態における出玉率(セーフ÷アウト)
スタート……有効スタート回数(図柄変動回数)
【0013】
一方、管理装置4は、大当たり履歴用の記憶領域を有しており、大当たり状態が発生する毎に大当たり状態に対応するデータを記憶する。
図4は大当たり履歴の一例を示している。大当たり履歴には、「No.」、「発生時刻」、「BO」、「Bサ」、「スタート」、「T1Y」、「セーフ」、「予定数」、「未払数」の各項目が設定されており、それらの意味は次の通りである。
BO……通常状態におけるアウト
Bサ……大当たり状態発生までの差玉数
スタート……大当たり状態が発生するまでの図柄変動回数
T1Y……大当たり状態1回分の差玉数
T1予定数……大当たり状態1回分の予定数
T1セーフ……大当たり状態1回分のセーフ
T1未払出数……大当たり状態1回分の未払出数
上述したように遊技機1からは払出しを示す信号として払出予定を示す払出予定信号及び払出完了を示すセーフ信号の2種類の信号が出力されていることから、遊技場は、それらの配線を管理装置4に適宜接続することにより払出数に関する遊技情報を求めることができる。この場合、遊技機1と管理装置4との配線接続方法としては、払出予定信号及びセーフ信号のうち一方を管理装置4の入力端子に接続する方法と、両方の信号を接続する方法とがある。払出予定信号及びセーフ信号のうち一方を管理装置4の入力端子に接続した場合は、接続した一方の信号に基づいて払出数に関する各遊技情報を演算することが可能となる。また、両方の信号を異なる入力端子に接続した場合は、両方の信号を使用して払出数に関する遊技情報を演算することが可能となる。
【0014】
図2は、遊技機1の払出数を管理装置4に出力するため、遊技機1と中継装置3との間に接続する払出予定信号及びセーフ信号の配線パターンを示している。中継装置3には、払出数に対応する2つの入力端子(第1払出入力端子、第2払出入力端子)があり、管理装置4では、第1払出入力端子が入力した信号に基づいて払出数に関する遊技情報(予定数、セーフ、T1Y、TY、ベースなど)を演算する。(1)は、第1払出入力端子が入力する払出予定信号に基づいて払出数に関する各遊技情報を演算し、(3)はこれに加え、セーフと未払出数を演算する。(2)は、第1払出入力端子が入力するセーフ信号に基づいて払出数に関する各遊技情報を演算し、(4)はこれに加え、予定数と未払出数を演算する。また、(3)と(4)は適宜演算式を組むことで、両方の信号に基づいて払出数に関する遊技情報を演算することも可能である。
【0015】
各配線パターンで接続した場合には以下の特徴がある。
配線パターン(1)の場合、玉詰まりが生じても遊技状態毎のセーフを正確に演算することができるものの、大当たり状態中にトラブルが生じて出玉を補償する場合に実際に出た玉数を把握できないので対応が困難である。
配線パターン(2)の場合、玉詰まりが生じると遊技状態毎の払出数に関する遊技情報(T1セーフ、T1Y、TYなど)に誤差がでるものの、実際の払出玉数を正確に把握できるので、出玉の補償に役立つ。
配線パターン(3)の場合、T1Yを払出予定信号に基づいて演算すると共に、セーフ信号との差に基づいて未払出数を演算することで、上記(1)、(2)の何れの問題も解決できる。
配線パターン(4)の場合、出玉の補償に対応でき、さらに払出予定信号を使用して別途T1Yを演算することで正確なT1Yも求められる。本質的には(3)と同一であるが、(3)の場合の方が本来の払出数をリアルタイムで把握することができる。従って、配線パターン(3)が最良であるといえる。
【0016】
次に上記構成の作用について説明するに、配線パターン(3)を採用した場合について説明する。つまり、払出予定信号に基づいて払出数に関する遊技情報を演算し、さらにセーフと未払出数を演算することになる。
図5は管理装置4の動作のうち玉詰まり報知処理を示すフローチャートである。管理装置4は、払出予定信号又はセーフ信号を入力したか(S1)、大当たり信号の入力を開始したか(S4)、大当たり信号の入力を終了したか(S6)、タイマがタイムアップしたか(S8)を判定している。
【0017】
遊技機1で入賞口に入賞すると、その払出予定数の加算値が10となる毎に払出予定信号が出力されるので、管理装置4は、払出予定信号を入力する毎に(S1:YES)、
図3の台データにおける予定数を加算し(S2)、未払出数を更新する(S3)。
また、遊技機1からセーフ玉が払出されると、そのセーフ玉数の加算値が10の倍数となる毎にセーフ信号が出力されるので、管理装置4は、セーフ信号を入力する毎に(S1:YES)、セーフを加算し(S2)、未払出数を更新する(S3)。つまり、払出予定信号を入力した回数からセーフ信号を入力した回数を差し引いた値である未払出数を算出する。このような動作により、管理装置4は、現時点における未払出数を常に更新している。
【0018】
遊技機1で大当たりが発生すると、大当たり信号が出力されるので、管理装置4は、大当たり信号の入力開始であると判定し(S4:YES)、大当たりフラグを1とする(S5)。
この大当たりフラグが1の状態では、
図4の大当たり履歴においてセーフ信号及びアウト信号の入力回数から大当たり状態中の差玉数であるT1Yを演算すると共に、予定数及びセーフの加算を開始する。
【0019】
遊技機1での大当たりが終了すると、大当たり信号の入力が終了するので(S6:YES)、タイムアップ時間10秒(所定時間に相当)のタイマの作動を開始し(S7)、タイマがタイムアップしたところで(S8:YES)、大当たりフラグを0とする(S9)。これにより、大当たり状態でのセーフ玉が完全に払出されるまで大当たりフラグが1を継続するので、大当たり履歴の精度を高めることができる。尚、タイマに代えて、大当たり信号の入力が終了してからのアウトが2(12秒に相当)となったところで大当たりフラグを1とするようにしてもよい。
【0020】
次に、予定数とセーフとの差から未払出数を演算して
図4の大当たり履歴に記憶してから(S10)、未払出数が2(報知基準値に相当)を超えているかを判定する(S11)。
大当たり状態中に玉詰まりなくセーフ玉の払出が円滑に行われた場合は、大当たり終了時(大当たりフラグが1→0)には予定数とセーフは一致していることから(S11:NO)、払出は正常であると判定することができる。しかしながら、大当たり状態中はセーフ玉が連続して払出されることから、上皿12に払出されたセーフ玉が満杯となることがあり、このような場合は、遊技機1が玉詰まりを検知して払出しを中断する。このように玉詰まりが発生した場合は、大当たりフラグが1から0となるタイミングでのセーフ玉が予定数よりも少なくなり、未払出のセーフ玉が残ることになる。このような場合、管理装置4は、未払出数が残ることから(S11:YES)、報知処理を実行する(S12)。具体的には、遊技機1に対応して設けられた図示しない呼出ランプを通じてその旨を報知すると共に、従業員が携帯するインカムなどを通じた音声報知をする。これにより、玉詰まりが発生した遊技機1に従業員が駆け付け、その時点の未払出数のセーフ玉を補償することにより、玉詰まりによるトラブルに対して適切に対処することができる。
尚、玉詰まりによる未払出数を補償した出玉は通常状態で払出されることから、このようなセーフを通常のセーフに加算せず大当たり中のセーフに加算するようにデータを訂正する必要がある。
【0021】
このような実施形態によれば、管理装置4は次の効果を奏することができる。
遊技機1から出力される払出予定信号及びセーフ信号の何れか一方、或いは両方の信号を入力することが可能な入力端子を有し、それらの信号のうち一方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、一方の信号に基づいて払出数に関する遊技情報を演算して表示し、両方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、払出予定信号に基づく予定数と、セーフ信号に基づくセーフとをそれぞれ演算して表示するので、遊技場側が配線パターンを選択することにより、機種毎の特性や各遊技情報の役割を考慮して良い演算方法を選択してその演算結果を表示することができる。
【0022】
(本願原出願)
以下に、本願原出願の特許請求の範囲を付記する。
遊技領域を流下する玉が入賞可能な始動口と、前記遊技領域を流下する玉が入賞可能な開放状態と入賞不可能な閉鎖状態とを呈する大入賞口と、を少なくとも含む複数の入賞口と、
前記複数の入賞口への入賞を検知する入賞検知手段と、
前記入賞検知手段が入賞を検知した場合に入賞した入賞口に対応して予め定められた数の遊技媒体を遊技者に払出す払出手段と、
前記入賞検知手段が入賞を検知する毎に前記払出手段が払出す予定の遊技媒体の数を加算する加算手段と、
前記加算手段が加算した値が予め定められた規定値に達する毎に払出予定信号を出力する払出予定信号出力手段と、
前記払出手段が払出した遊技媒体を検知する払出遊技媒体検知手段と、
前記払出遊技媒体検知手段が検知した遊技媒体の数を計数する計数手段と、
前記計数手段が計数した遊技媒体の数が前記規定値に達する毎に払出完了信号を出力する払出完了信号出力手段と、
前記始動口への入賞を検知する始動検知手段と、
前記始動検知手段が入賞を検知した場合に抽選処理を実行する抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果が当選であった場合に大当たり状態を発生する大当たり状態発生手段と、
大当たり状態中に大当たり信号を出力する大当たり信号出力手段と、を有する複数のパチンコ遊技機の遊技情報を管理する遊技場用管理装置であって、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち遊技場側により配線された信号を入力することが可能な第1払出入力端子及び第2払出入力端子を有することで、前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち、一方の信号を入力する配線パターンと、両方の信号を入力する配線パターンと、を遊技場側で選択可能な入力手段と、
前記払出予定信号及び前記払出完了信号のうち一方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、一方の信号に基づいて払出数に関する遊技情報を演算し、前記払出予定信号及び前記払出完了信号の両方の信号を入力する配線パターンが選択された場合は、両方の信号に基づいて払出数に関する遊技情報を演算する演算手段と、
前記演算手段が演算した結果を表示出力する表示出力手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用管理装置。
【0023】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
玉詰まりを報知するか否かの基準(報知基準値)は未払出数が0でない場合に限らず、例えば、未払出数が100(1000個)以上の場合に報知するようにしても良い。玉詰まりしている玉数が少ない場合には、玉を移し変えることによるメリットよりも従業員の負担が増加するというデメリットの方が大きいことが考えられるためである。
実施形態における数値は一例であり、適宜の数値を採用すれば良い。