【実施例】
【0036】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
(アミン変性エポキシ樹脂A1の製造)
表1に記載の原料配合に従ってアミン変性エポキシ樹脂A1を製造した。具体的には、撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルのフラスコに、原料(1)、(2)、(3)、(4)を投入し、撹拌を開始し、150℃で3時間保温し、続いて原料(5)を投入し150℃で2時間保温した後、原料(6)を徐々に投入しながら80℃まで冷却した。次いで原料(7)、(8)を順次投入し、100℃で4時間保温して、固形分75重量%のアミン変性エポキシ樹脂A1を得た。
【0038】
【表1】
【0039】
(アミン変性エポキシ樹脂A2の製造)
表2に記載の原料配合に従ってアミン変性エポキシ樹脂A2を製造した。具体的には、撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルのフラスコに、原料(1)、(2)、(3)、(4)を投入し、撹拌を開始し、150℃で3時間保温し、続いて原料(5)を投入し150℃で2時間保温した後、原料(6)を徐々に投入しながら80℃まで冷却した。次いで原料(7)、(8)を順次投入し、100℃で4時間保温して、固形分75重量%のアミン変性エポキシ樹脂A2を得た。
【0040】
【表2】
【0041】
(ブロックイソシアネート硬化剤樹脂B1の製造)
表3に記載の原料配合に従ってブロックイソシアネート硬化剤樹脂B1を製造した。具体的には、撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルのフラスコに、原料(1)、(2)、(3)、(4)、(5)を投入し、撹拌を開始し、発熱に注意しながら昇温し、100℃で3時間保温して、固形分85重量%のブロックイソシアネート硬化剤樹脂B1を得た。
【0042】
【表3】
【0043】
(ブロックイソシアネート硬化剤樹脂B2の製造)
表4に記載の原料配合に従ってブロックイソシアネート硬化剤樹脂B2を製造した。具体的には、撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルのフラスコに、原料(1)、(2)、(3)、(4)を投入し、撹拌を開始し、発熱に注意しながら昇温し、100℃で3時間保温して、固形分85重量%のブロックイソシアネート硬化剤樹脂B2を得た。
【0044】
【表4】
【0045】
(顔料分散樹脂P1の製造)
表5に記載の原料配合に従って顔料分散樹脂P1を製造した。具体的には、撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルのフラスコに、原料(1)、(2)、(3)、(4)を投入し、撹拌を開始した。150℃で4時間保温した後、原料(5)を徐々に投入しながら70℃まで冷却した。次いで原料(6)、(7)の混合物を投入し、80℃で2時間保温して、固形分70重量%の顔料分散樹脂P1を得た。
【0046】
【表5】
【0047】
(顔料分散樹脂P2の製造)
表6に記載の原料配合に従って顔料分散樹脂P2を製造した。具体的には、撹拌機、温度計、冷却管を備えた2リットルのフラスコに、原料(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を投入し、撹拌を開始した。発熱に注意しながら昇温し、120℃で4時間保温して、固形分70重量%の顔料分散樹脂P2を得た。
【0048】
【表6】
【0049】
(エマルションの製造)
表7に記載の原料配合に従ってエマルションE1〜E10を製造した。具体的には、撹拌機、温度計、冷却管および減圧装置を備えた3リットルのフラスコに、原料(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)を投入し、撹拌を開始した。次いで原料(10)を徐々に投入し、固形分30重量%のエマルションE1〜E10を得た。
【0050】
【表7】
【0051】
(顔料ペーストの製造)
表8に記載の原料配合に従って顔料ペーストD1、D2を製造した。具体的には、容器に原料(1)、(2)を投入し、撹拌を開始した。原料(3)、(4)をゆっくりと投入して溶解させた。次いで原料(5)、(6)、(7)、(8)、(9)を投入し、常温で1時間均一混合したものを横型サンドミルで粒度10μm以下になるまで分散し、固形分60重量%の顔料ペーストD1、D2を得た。
【0052】
【表8】
【0053】
(カチオン電着塗料組成物の製造)
表9に記載の配合に従って実施例で使用するカチオン電着塗料組成物a〜e、及び比較例で使用するカチオン電着塗料組成物f〜jを製造した。具体的には、容器に各エマルション1749gをはかりとり、撹拌下で脱イオン水1791gを投入し、次いで各顔料ペースト460gを投入して、固形分20重量%の各カチオン電着塗料組成物を得た。
【0054】
【表9】
【0055】
(被塗物の準備)
被塗物として、冷間圧延鋼板(SPC−SD)、亜鉛系めっき鋼板(GA)、及び6000系アルミニウム(Al)を準備した。これらの被塗物はいずれも、日本テストパネル社製であり、その大きさは、70mm×150mm×0.8mmであった。
【0056】
(ジルコニウム化成皮膜処理)
次に、これらの被塗物に対して、以下の手順に従って、ジルコニウム化成皮膜処理を施した。
【0057】
シラン縮合反応物の製造
温度計、撹拌機、冷却管、窒素導入機を具備した1リットルのフラスコに対してエタノール200g、脱イオン水200gを仕込み、攪拌を行なった。気相に窒素を吹き込み、攪拌を続けながら、3−アミノプロピルトリエトキシシラン110g、ビス(トリエトキシシリル)エタン10gを投入し、均一な溶液が得られた後に60℃まで昇温した。60℃で6時間反応させてから、留分を除去し、プロピレングリコールモノメチルエーテルに交換しながら、沸点が120℃になるまで昇温した。次いで60℃まで冷却した後、減圧蒸留で濃縮し、不揮発分40%溶液のシラン縮合反応物を得た。
【0058】
金属表面処理用組成物の調製
上記のようにして得られたシラン縮合反応物と、六フッ化ジルコニウム酸アンモニウム及び硝酸マグネシウムを使用して、ジルコニウムの金属元素換算濃度が100ppm、マグネシウムの金属元素換算濃度が1000ppm、シラン縮合反応物の固形分濃度が200ppmであるように金属表面処理用組成物を調製した。
【0059】
40℃の市販脱脂液に各被塗物を2分間浸漬して脱脂処理した後、水道水で30秒間の水洗処理に供した。次いで、水洗処理後の各被塗物を、pH4.0、温度45℃に調整した金属表面処理用組成物に120秒間浸漬処理した。pHは硝酸又はアンモニアで調整した。浸漬処理後の各被塗物を水道水で30秒間水洗し、さらにイオン交換水で30秒間水洗処理に供した。次いで、熱風乾燥炉により80℃で5分間乾燥させ、ジルコニウム化成皮膜処理を施された各被塗物を得た。
【0060】
実施例1〜5及び比較例1〜5(被塗物として、鉄系金属基材を使用した例)
ジルコニウム化成皮膜処理を施された被塗物として、鉄系金属基材である冷間圧延鋼板(SPC−SD)を使用し、カチオン電着塗料組成物として、表10に示すものを使用し、カチオン電着塗装を行ない、膜厚が3μm及び5μmに達した時の塗膜抵抗を測定し、その結果を表10に示した。塗膜抵抗の具体的な測定手順は、以下の通りである。
【0061】
[塗膜抵抗]
ジルコニウム化成皮膜処理を施した被塗物の裏面をガムテープなどでマスキングする。極板/被塗物比を1/4、極間距離を150mmとして、28℃に調整したカチオン電着塗料組成物に被塗物を全没させる。撹拌下に荷電圧30Vで1秒単位の塗装を行ない、式(1)から、塗膜が所定の厚さ(3μm及び5μm)に達した時の塗膜抵抗[kΩ・cm
2]を求める。
R=V×S×(1/Af−1/Ai)・・・式(1)
式中、R:塗膜抵抗(kΩ・cm
2)
V :極間電圧(V)
Ai:初期電流値(A)
Af:最終電流値(A)
S :被塗面積(cm
2)
【0062】
【表10】
【0063】
表10から明らかな通り、実施例1〜5はいずれも、膜厚3μmでの塗膜抵抗が15〜195kΩ・cm
2の範囲であり、膜厚5μmでの塗膜抵抗が35〜345kΩ・cm
2の範囲であり、いずれも本発明の範囲内である。これに対して、比較例1〜5はいずれも、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗の少なくとも一方が本発明の範囲外である。即ち、比較例1は、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗がそれぞれ5kΩ・cm
2及び7kΩ・cm
2であり、本発明の範囲の下限未満である。比較例2は、膜厚3μmでの塗膜抵抗が5kΩ・cm
2であり、本発明の範囲の下限未満であり、膜厚5μmでの塗膜抵抗が400kΩ・cm
2であり、本発明の範囲の上限より大きい。比較例3は、膜厚5μmでの塗膜抵抗が400kΩ・cm
2であり、本発明の範囲の上限より大きい。比較例4は、膜厚3μmでの塗膜抵抗が230kΩ・cm
2であり、本発明の範囲の上限より大きい。比較例5は、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗がそれぞれ230kΩ・cm
2及び400kΩ・cm
2であり、本発明の範囲の上限より大きい。
【0064】
次に、実施例1〜5及び比較例1〜5のカチオン電着塗料組成物を使用して、以下の手順でつきまわり性、塗膜の平滑性、及び膜厚保持性を評価し、その結果を表11に示した。なお、表11には、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗の値を再掲している。
【0065】
[つきまわり性]
つきまわり性は、4枚ボックス法により評価した。即ち、
図1に示すように、パネル底部から50mm、両側から35mmの位置に8mm径の貫通穴が設けてあるパネル(a)と、穴のないパネル(b)に、ジルコニウム化成皮膜処理を施した被塗物を用いて、
図2、
図3に示すように、組み合わせ(対極面側から順に、A面、B面、C面・・・非対極面側をH面と称する)、4枚を立てた状態で間隔20mmの平行に配置し、両側面及び底部を粘着テープ等の絶縁体で密閉したボックスを用いる。このボックスを
図4に示すように各実施例または比較例のカチオン電着塗料組成物を入れたカチオン電着塗装容器に浸漬し、各貫通穴からのみカチオン電着塗料組成物がボックス内に侵入するようにする。次に各被塗物を電気的に接続し、最も対極に近い被塗物(A面)と対極との距離が150mmになるように配置する。このボックスを陰極とし、対極を陽極として電圧を印加し、浴液温度28℃でカチオン電着塗装を行なった。通電方法は5〜30秒で所定の電圧まで昇圧する方法(ソフトスタート)でも、通常の通電でも良いが、今回はドカン通電を採用した。塗装後、ボックスを分解して各被塗物を水洗し、170℃で20分間焼付けし、A面からH面までの膜厚を測定する。A面膜厚(単位μm)に対するG面膜厚(単位μm)の割合(G/A)により、つきまわり性を評価し、この値が大きいほどつきまわり性が良いと評価できる。
浸漬深さ:9cm、負荷電圧:200V
評価基準
○:G/Aが55%以上
△:G/Aが35%以上55%未満
×:G/Aが35%未満
【0066】
[塗膜の平滑性]
浴液温度28℃で、焼付後の硬化塗膜の膜厚が20μmとなる塗装電圧で、ジルコニウム化成皮膜処理を施した被塗物をカチオン電着塗装する。水洗した後、170℃で20分間焼付し、硬化塗膜を得る。得られた塗膜について、株式会社ミツトヨ製の表面粗度計SJ−301を用いて、塗膜の平滑性(Ra)を測定する。
測定条件
カットオフ:2.5mm
送り速さ:0.5mm/秒
評価基準
○:Raが0.25以下
△:Raが0.25超0.31未満
×:Raが0.31以上
【0067】
[膜厚保持性]
ジルコニウム化成皮膜処理を施した被塗物を用いて、浴液温度28℃、負荷電圧200V、通電時間3分(30秒スロー昇圧)の条件でカチオン電着塗装させるときに、30℃でエージングさせたカチオン電着塗料組成物について、建浴後1日目の膜厚に対する経時7日目の膜厚保持率を評価する。
評価基準
○:膜厚保持率85%以上
△:膜厚保持率70%超85%未満
×:膜厚保持率70%以下
【0068】
【表11】
【0069】
表11から明らかな通り、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗がいずれも本発明の範囲内である実施例1〜5は、つきまわり性、塗膜の平滑性、及び膜厚保持性の全ての性能に優れていた。これに対して、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗の少なくとも一方が本発明の範囲外である比較例1〜5は、つきまわり性、塗膜の平滑性、及び膜厚保持性のうちの少なくとも一つの性能に劣っていた。
【0070】
実施例6〜8及び比較例6〜7(被塗物として、亜鉛系金属基材を使用した例)
ジルコニウム化成皮膜処理を施された被塗物として、亜鉛系金属基材である亜鉛系めっき鋼板(GA)を使用し、カチオン電着塗料組成物として、表12に示すものを使用し、カチオン電着塗装を行ない、実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の手順で、膜厚が3μm及び5μmに達した時の塗膜抵抗を測定し、次に、実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の手順でつきまわり性、塗膜の平滑性、膜厚保持性、及び耐ガスピンホール性を評価し、その結果を表12に示した。なお、耐ガスピンホール性は、亜鉛系金属基材に特有の現象であるガスピンホールの発生しにくさを評価するものであり、その評価手順は、以下の通りである。
【0071】
[耐ガスピンホール性]
浴液温度28℃、負荷電圧230V、通電時間3分(30秒スロー昇圧)で、ジルコニウム化成皮膜処理を施した被塗物をカチオン電着塗装し、水洗した後、170℃で20分間焼付し、硬化塗膜を得る。得られた塗膜について、発生するガスピンホール数を評価する。
評価基準
○:塗膜にガスピンホールが発生しない
△:塗膜のガスピンホール数が1〜20個
×:塗膜のガスピンホール数が21個以上
【0072】
【表12】
【0073】
表12から明らかな通り、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗がいずれも本発明の範囲内である実施例6〜8は、つきまわり性、塗膜の平滑性、膜厚保持性、及び耐ガスピンホール性の全ての性能に優れていた。これに対して、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗がいずれも本発明の範囲外である比較例6〜7は、つきまわり性、塗膜の平滑性、膜厚保持性、及び耐ガスピンホール性のうちの少なくとも一つの性能に劣っていた。
【0074】
実施例9〜11及び比較例8〜9(被塗物として、アルミニウム系金属基材を使用した例)
ジルコニウム化成皮膜処理を施された被塗物として、アルミニウム系金属基材である5000系アルミニウム(Al)又は6000系アルミニウム(Al)を使用し、カチオン電着塗料組成物として、表13に示すものを使用し、カチオン電着塗装を行ない、実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の手順で、塗膜が3μm及び5μmに達した時の塗膜抵抗を測定し、次に、実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の手順でつきまわり性、塗膜の平滑性、及び膜厚保持性を評価し、その結果を表13に示した。
【0075】
【表13】
【0076】
表13から明らかな通り、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗がいずれも本発明の範囲内である実施例9〜11は、つきまわり性、塗膜の平滑性、及び膜厚保持性の全ての性能に優れていた。これに対して、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗がいずれも本発明の範囲外である比較例8〜9は、つきまわり性、塗膜の平滑性、及び膜厚保持性のうちの少なくとも一つの性能に劣っていた。
【0077】
参考例(特許文献1の実施例1の再現)
特許文献1(特開2010−95678)の記述に従い、製造例2−1のブロックイソシアネート硬化剤、製造例2−2のアミン変性ノボラック型エポキシ樹脂、製造例2−3のアミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂、及び製造例2−7の顔料分散樹脂ワニスを合成した。次に、製造例2−7の顔料分散樹脂ワニスを用いて、製造例2−8の顔料分散ペーストを作成した。次に、特許文献1の実施例1の記述に従い、製造例2−3のアミン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂と製造例2−1のブロックイソシアネート硬化剤より、バインダー樹脂エマルジョンを得た。得られたバインダー樹脂エマルジョンに製造例2−2のアミン変性ノボラック型エポキシ樹脂を加え、混合物を得た。得られた混合物に製造例2−8の顔料分散ペーストを加えて、カチオン電着塗料組成物を得た。
【0078】
被塗物として、亜鉛系金属基材である亜鉛系めっき鋼板(GA)を使用し、カチオン電着塗料組成物として、上記調整によって得られたカチオン電着塗料組成物を使用して、浴液温度28℃でカチオン電着塗装を行ない、実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の手順で、膜厚が3μm及び5μmに達した時の塗膜抵抗を測定し、次に、実施例1〜5及び比較例1〜5と同様の手順でつきまわり性、塗膜の平滑性、膜厚保持性、及び耐ガスピンホール性を評価し、その結果を表14に示した。また、膜厚が15μmに達した時の塗膜抵抗も、特許文献1に記載の測定方法に従って測定して、その結果を表14に示した。
【0079】
【表14】
【0080】
表14から明らかな通り、参考例は、膜厚15μmでの塗膜抵抗は、特許文献1の請求項1に規定される範囲内であるが、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗はいずれも、本発明の範囲の上限より大きかった。また、参考例では、塗膜の平滑性、膜厚保持性、及び耐ガスピンホール性が不良となった。
【0081】
参考例が、特許文献1では、つきまわり性及び塗膜の外観評価において優れた評価を得ながら、本願の上記性能評価において劣った評価しか得られなかった原因を検討すると、この原因は、特許文献1と本願の評価条件(目標膜厚)の厳しさの相違にあると考えられる。即ち、特許文献1での性能評価条件は、目標膜厚15μmであり、この性能評価条件は、本願の評価条件(目標膜厚20μm)に比べて緩い条件であるため、参考例は、特許文献1では、つきまわり性及び塗膜の外観評価の点で性能評価が優れることになっていたが、本願のような厳しい条件では、つきまわり性を除く他の全ての性能について、劣った結果を示すことになったと思われる。この点から、特許文献1の方法は、あくまで膜厚15μmの塗膜を形成するときには好ましいが、本願のように標準膜厚(20μm)において塗膜のつきまわり性、塗膜の平滑性、膜厚保持性、及び耐ガスピンホール性の全ての性能を良好にするためには、膜厚3μm及び5μmでの塗膜抵抗を本願で規定する範囲に制御することが必要であることがわかる。