(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
n個の前記物理層制御部が前記クロックの信号線により数珠つなぎ状に直列に接続され、該数珠つなぎ状に接続された最終段の前記物理層制御部と前記論理層制御部とが前記クロックの信号線により接続され、
前記発振子が接続されている1段目の前記物理層制御部が生成した前記クロックを2段目の前記物理層制御部へ出力し、
2段目から(n−1)段目までの前記物理層制御部が、前段の前記物理層制御部から出力される前記クロックを入力して次段の前記物理層制御部に出力し、
前記数珠つなぎ状に接続された最終段であるn段目の前記物理層制御部が、前記(n−1)段目の前記物理層制御部から出力された前記クロックを入力して前記論理層制御部に出力する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
自装置に接続されている他の装置と通信を行い物理層を制御するn(nは2以上の整数)個の物理層制御部と、前記他の装置との通信における論理層を制御する論理層制御部とを備える電子機器であって、
n個の前記物理層制御部のうちの1個の前記物理層制御部に接続されている発振子を用いてクロックを生成して他の前記物理層制御部に供給する手順と、
自装置に対する待機指示に応じて、前記論理層制御部を電源オン状態から待機状態に制御する手順と、
自装置に対する待機状態から電源オン状態への移行指示に応じて、前記論理層制御部を待機状態から電源オン状態に制御する手順、
を含むことを特徴とする電子機器の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の概要を説明する。
本発明の電子機器では、電子機器が備える第1の物理層制御部に発振子が接続され、第1の物理層制御部はこの発振子を用いて基準クロック信号を生成する。そして、電子機器が備える制御部は、自装置に対するスタンバイ指示に応じて、基準クロック信号を生成する第1の物理層制御部のみを動作させ、論理層制御部をスタンバイ状態に制御する。これにより、本発明に係る電子機器は、スタンバイ状態における消費電力を効率よく低減する。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の実施形態では、電子機器を表示装置に適応する例を説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る表示装置10の概略構成図である。
図1に示すように表示装置10は、画像入力部101、表示部102、入力検出部103、および通信制御部104を備えている。
【0015】
画像入力部101は、外部から入力された映像信号を通信制御部104の制御部201に出力する。表示部102は、制御部201の制御により画像を表示する。表示部102は、例えばバックライト装置等を含んで構成される液晶パネルである。表示部102に搭載される表示素子は、液晶方式以外の表示素子、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示素子、無機エレクトロルミネッセンス表示素子、PALC(Plasma Address Liquid Crystal;プラズマ・アドレス液晶)、PDP(Plasma Display Panel)やFED(Field Emission Display)であってもよい。また、表示部102は、プロジェクタであってもよい。
【0016】
入力検出部103は、表示装置10の本体に設けられている操作ボタンが操作されたことを検出し、または表示装置10のリモコン受光部が受信した操作信号を検出し、検出した操作信号を制御部201に出力する。
【0017】
通信制御部104は、制御部201、端子202−1と202−2、第1の物理層(PHYsical Layer)制御部203−1、第2の物理層制御部203−2、発振子204、および論理層制御部205を備えている。
制御部201は、入力検出部103から入力された操作信号がスタンバイを指示する信号の場合、論理層制御部205に電力を供給しないように制御する。なお、スタンバイ状態とは、表示装置10における電源復帰に要する回路以外の機能部が待機状態に制御される状態である。また制御部201は、第1の物理層制御部203−1または第2の物理層制御部203−2が出力するインタラプト信号s3に応じて、論理層制御部205に電力を供給するように制御する。制御部201は、画像入力部101から入力された映像信号を表示部102に表示する。
【0018】
端子202−1、202−2は、LAN(Local Area Network)ケーブル20が接続される、例えばLAN端子である。
【0019】
第1の物理層制御部203−1は、IN端子に接続されている発振子204を用いて基準クロック信号s1を生成する。第1の物理層制御部203−1は、生成した基準クロック信号s1を内部のバッファ回路を介して、OUT端子から第2の物理層制御部203−2に出力する。なお、第1の物理層制御部203−1、第2の物理層制御部203−2、および論理層制御部205は、基準クロック信号s1を、受信信号または送信信号のタイミング合わせ等に用いる。
【0020】
第1の物理層制御部203−1は、LANケーブル20、および端子202−1を介して外部装置が送信した受信信号を受信する。ここで、受信信号には、受信データ、制御信号等が含まれている。第1の物理層制御部203−1は、制御部201の制御に応じて論理層制御部205が出力した送信信号をLANケーブル20、および端子202を介して外部装置に出力する。ここで、送信信号には、送信データ、制御信号等が含まれている。第1の物理層制御部203−1は、受信した制御信号に対して物理層での処理を行う。なお、物理層の処理とは、送信信号に関するバッファ処理、受信信号に関するバッファ処理、信号のD/A(デジタル−アナログ)変換処理等である。第1の物理層制御部203−1は、物理層の処理をした信号s2を論理層制御部205に出力する。また、第1の物理層制御部203−1は、後述するマジック・パケット(Magic Packet)を受信した場合、インタラプト信号s3を生成し、生成したインタラプト信号s3を制御部201に出力する。
発振子204は、所望の周波数の発振を起こす受動素子であり、例えば水晶発振子である。なお、発振子204は、発振器であってもよい。
【0021】
第2の物理層制御部203−2は、第1の物理層制御部203−1からIN端子に入力された基準クロック信号s1を内部のバッファ回路を介して、OUT端子から論理層制御部205に出力する。第2の物理層制御部203−2は、LANケーブル20、および端子202−2を介して外部装置が送信した受信信号を受信する。第2の物理層制御部203−2は、制御部201の制御に応じて論理層制御部205が出力した送信信号をLANケーブル20、および端子202−2を介して外部装置に出力する。
【0022】
第2の物理層制御部203−2は、受信した受信信号に対して物理層の処理を行う。第2の物理層制御部203−2は、物理層の処理をした信号s2を論理層制御部205に出力する。また、第2の物理層制御部203−2は、後述するマジック・パケットを受信した場合、インタラプト信号s3を生成し、生成したインタラプト信号s3を制御部201に出力する。
なお、第1の物理層制御部203−1および第2の物理層制御部203−2は、例えばPHYチップ(PHYsical Layer chip)である。また、第1の物理層制御部203−1または第2の物理層制御部203−2と、論理層制御部205との間で入出力される信号s2には、MII(Media Independent Interface)規格、RMII(Reduced MII)規格、GMII(Gigabit MII)規格などの信号を用いる。
【0023】
論理層制御部205は、第1の物理層制御部203−1または第2の物理層制御部203−2が出力した信号s2に対してMAC(Media Access Control)アドレスなどの解釈を行う等の論理層の処理を行う。論理層制御部205は、論理層の処理を行った後の受信データ等を制御部201に出力する。表示装置10がスタンバイ状態のときに論理層制御部205は、制御部201の制御により電力の供給が停止され、復帰時に制御部201の制御により電力の供給が再開される。
また、論理層制御部205は、制御部201が出力した送信信号に対して論理層の処理を行い、論理層の処理を行った送信データ等を第1の物理層制御部203−1または第2の物理層制御部203−2に出力する。
【0024】
図2は、本実施形態に係る4台の表示装置10−1〜10−4の配置を説明する図である。
図2に示す例では、4台の表示装置10−1〜10−4を、縦方向に2台と横方向に2台を並べて、1つの画像または各表示装置10−1〜10−4に異なる画像を表示する。
図2では、表示装置10−1を左上に、表示装置10−2を右上に、表示装置10−3を左下に、表示装置10−4を右下にそれぞれ配置している例を示している。なお、以下の説明では、表示装置10−1〜10−4のいずれも特定しない場合、単に表示装置10と称する。また、各表示装置10−1〜10−4は、
図1に示した構造と同じである。このため、表示装置10を特定しない場合の各機能部を、単に画像入力部101、表示部102、入力検出部103、および通信制御部104と称する。また、例えば、表示装置10の画面サイズが各々40インチである場合、4台の表示装置10を統合した画面サイズは、80インチに相当する。
【0025】
図3は、本実施形態に係る画像表示システム1の接続例を説明する図である。
図3に示すように画像表示システム1は、4台の表示装置10−1〜10−4、処理装置30を備えている。各表示装置10の構成は、
図1に示した構成である。処理装置30と表示装置10−1〜10−4は、LANケーブル20−1〜20−4により数珠つなぎ状に接続(デイジーチェーン接続)されている。
【0026】
図3に示した例では、処理装置30は、LANケーブル20−1の一方端が接続され、表示装置10−1の端子202−1にLANケーブル20−1の他方端が接続されている。また、表示装置10−1の端子202−2には、LANケーブル20−2の一方端が接続され、表示装置10−2の端子202−1にLANケーブル20−2の他方端が接続されている。また、表示装置10−2の端子202−2には、LANケーブル20−3の一方端が接続され、表示装置10−3の端子202−1にLANケーブル20−3の他方端が接続されている。また、表示装置10−3の端子202−2には、LANケーブル20−4の一方端が接続され、表示装置10−4の端子202−1にLANケーブル20−4の他方端が接続されている。
【0027】
次に、表示装置10をスタンバイ状態に移行する制御と、スタンバイ状態から電源オン状態への移行する制御とについて説明する。
まず、スタンバイ状態に移行する制御について説明する。
各表示装置10の入力検出部103は、不図示のリモコンによりスタンバイ状態に移行する指示が送信されたことを検出すると、検出した操作信号を制御部201に出力する。各表示装置10の制御部201は、入力検出部103が出力したスタンバイ指示を表す操作信号に応じて、自装置内の論理層制御部205に電力を供給しないように制御する。これにより、論理層制御部205は、スタンバイ状態になる。
【0028】
次に、スタンバイ状態から電源オン状態に移行する制御について説明する。
図4は、本実施形態に係るスタンバイ状態から電源オン状態に移行する処理手順のフローチャートである。なお、以下の処理は、
図3に示したように、処理装置30がLANケーブル20−1を介して表示装置10−1に接続されている場合の処理である。
【0029】
(ステップS1)処理装置30は、LANケーブル20−1を介して表示装置10−1にWOL機能を実行するためのパケットを送信する。例えばマジック・パケット方式を用いる場合、処理装置30は、例えば0xff−0xff−0xff−0xff−0xff−0xff(6bytes)のデータと、WOL対象の表示装置10に対応するMACアドレス(6bytes)を16回繰り返したデータとの合計102bytesのデータを持つUDP(User Datagram Protocol;ユーザ データグラム プロトコル)データをブロードキャストで送信する。なお、処理装置30が送信するパケットは、カスタマイズ・パケットであってもよい。
【0030】
(ステップS2)表示装置10−1の第1の物理層制御部203−1は、LANケーブル20−1を介して処理装置30から受信したマジック・パケットに応じてインタラプト信号s3を生成し、生成したインタラプト信号s3を制御部201に出力する。
(ステップS3)表示装置10−1の制御部201は、第1の物理層制御部203−1が出力したインタラプト信号s3に応じて、自装置の論理層制御部205への電力の供給を再開するように制御する。
(ステップS4)表示装置10−1の論理層制御部205は、電力の供給が再開された後、自部の起動処理を行う。
【0031】
(ステップS5)表示装置10−1が起動した後、論理層制御部205は、他の表示装置10に対するマジック・パケットを第2の物理層制御部203−2、端子202−2、およびLANケーブル20−2を介して、表示装置10−2へ送信する。なお、他の表示装置10に対するマジック・パケットは、処理装置30が表示装置10−1に送信したマジック・パケットに含まれていてもよく、あるいは表示装置10−1の制御部201が生成して論理層制御部205に出力してもよい。
【0032】
以下、表示装置10−2の第1の物理層制御部203−1は、LANケーブル20−2を介して表示装置10−1から受信したマジック・パケットに応じてインタラプト信号s3を生成し、生成したインタラプト信号s3を自装置の制御部201に出力する。表示装置10−2は、表示装置10−1と同様にステップS3〜S5の処理を行う。そして、表示装置10−3は、表示装置10−1と同様にステップS2〜S5の処理を行う。さらに、表示装置10−4は、表示装置10−1と同様にステップS2〜S5の処理を行う。以上の処理により、各表示装置10は、スタンバイ状態に制御されていたそれぞれの論理層制御部205をスタンバイ状態から電源オン状態へ移行させる。
【0033】
なお、上述した例では、表示装置10が物理層制御部203を2つ備える例を説明したが、これに限られない。表示装置10は、物理層制御部203を3つ以上備えていてもよい。
図5は、本実施形態に係る物理層制御部203を3つ以上備える表示装置10aの概略構成図である。
図1に示した表示装置10と同じ機能部は、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、表示装置10aの通信制御部104aは、制御部201a、n(nは3以上の整数)個の端子202−1〜202−n、n個の物理層制御部203−1〜203−n、発振子204、および論理層制御部205aを備えている。
制御部201aは、入力検出部103が出力した操作信号がスタンバイ指示の場合、論理層制御部205aに電源を供給しないように制御する。また制御部201は、第1〜第nのいずれかの物理層制御部203が出力するインタラプト信号s3に応じて、論理層制御部205に電力を供給するように制御する。
【0035】
第2の物理層制御部203−2は、第1の物理層制御部203−1から入力された基準クロック信号s1を内部のバッファ回路を介してOUT端子から、第3の物理層制御部203−3に出力する。以下同様に、第(n−1)の物理層制御部203−(n−1)は、第(n−2)の物理層制御部203−(n−2)から入力された基準クロック信号s1を内部のバッファ回路を介してOUT端子から、第nの物理層制御部203−nに出力する。第nの物理層制御部203−nは、第(n−1)の物理層制御部203−(n−1)から入力された基準クロック信号s1を内部のバッファ回路を介してOUT端子から、論理層制御部205aに出力する。
また、第1〜第nの物理層制御部203−1〜203−nのそれぞれは、受信した受信信号に対して物理層の処理をした信号s2を論理層制御部205aに出力する。第1〜第nの物理層制御部203−1〜203−nは、マジック・パケットを受信した場合、インタラプト信号s3を生成し、生成したインタラプト信号s3を制御部201aに出力する。
【0036】
論理層制御部205aは、第1〜第nの物理層制御部203−1〜203−nが出力した信号s2に対して論理層の処理を行う。論理層制御部205aは、論理層の処理をした後、受信データ等を制御部201aに出力する。論理層制御部205aは、スタンバイ状態のときに制御部201aの制御により電力の供給が停止され、復帰時に制御部201aの制御により電力の供給が再開される。
【0037】
以上のように、表示装置10aは、スタンバイ状態において、マジック・パケットの受信を待つ第1〜第nの物理層制御部203−1〜203−nのみが基準クロック信号s1と電力が供給され起動されている状態である。そして、スタンバイ状態において、論理層制御部205aには、基準クロック信号s1と電力が供給されていない。この結果、本実施形態の表示装置10aは、スタンバイ状態における消費電力を効率よく低減できる。
【0038】
このような構成の表示装置10aは、
図2に示したようなマルチスクリーンを構成する場合、親機として用いるようにしてもよい。例えば、表示装置10aが物理層制御部203と端子202とを4個ずつ備える場合について説明する。表示装置10aの端子202−1には、処理装置30(
図3参照)と接続されるLANケーブル20の他方端が接続され、表示装置10aの端子202−2に表示装置10−2と接続されるLANケーブル20の一方端が接続される。表示装置10aの端子202−3には、表示装置10−3と接続されるLANケーブル20の一方端が接続され、表示装置10aの端子202−4に表示装置10−4と接続されるLANケーブル20の一方端が接続される。
【0039】
図6は、比較例の表示装置10bの概略構成図である。
図1に示した表示装置10と同じ機能部は、同じ符号を用いて説明を省略する。なお、
図6では、それぞれの物理層制御部203bと論理層制御部205bとの間の信号s2を省略して示している。
論理層制御部205bは、IN端子に接続されている発振子204を用いて基準クロック信号s1を生成する。論理層制御部205bは、生成した基準クロック信号s1をOUT端子から、クロックバッファ回路206bに出力する。
【0040】
クロックバッファ回路206bは、基準クロック信号s1に対するバッファ回路である。クロックバッファ回路206bは、論理層制御部205bが出力した基準クロック信号s1を、第1の物理層制御部203b−1のIN端子、および第2の物理層制御部203b−2のIN端子に出力する。
【0041】
図6に示した比較例の表示装置10bでは、基準クロック信号s1が論理層制御部205bから第1の物理層制御部203b−1および第2の物理層制御部203b−2に供給されている。このため、比較例の表示装置10bは、スタンバイ状態であっても、第1の物理層制御部203b−1、第2の物理層制御部203b−2にマジック・パケット等の受信を待機させるために、第1の物理層制御部203b−1と第2の物理層制御部203b−2へ基準クロック信号s1を供給する必要がある。基準クロック信号s1を論理層制御部205bから第1の物理層制御部203b−1と第2の物理層制御部203b−2に供給するために、比較例の表示装置10bは、スタンバイ状態においても論理層制御部205bに電力が供給され続けている必要がある。
従って、比較例の表示装置10bでは、
図1に示した本実施形態の表示装置10と比較して、スタンバイ状態における論理層制御部205bの消費電力が余計に消費されている。一方、本実施形態の表示装置10は、
図6に示した比較例の表示装置10bに対して、スタンバイ状態における論理層制御部205bの消費電力を低減することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る電子機器は、自装置に接続されている他の装置と通信を行い物理層を制御するn(nは2以上の整数)個の物理層制御部と、他の装置との通信における論理層を制御する論理層制御部と、自装置に対する待機指示に応じて、論理層制御部を電源オン状態から待機状態に制御する制御部と、を備え、n個の物理層制御部のうちの1個の物理層制御部は、接続されている発振子を用いてクロックを生成し、他の物理層制御部は、発振子が接続されている物理層制御部が生成した前記クロックが入力される。
【0043】
また、本実施形態に係る電子機器は、n個の物理層制御部がクロックの信号線により数珠つなぎ状に直列に接続され、数珠つなぎ状に接続された最終段の物理層制御部と論理層制御部とがクロックの信号線により接続され、発振子が接続されている1段目の物理層制御部が生成したクロックを2段目の物理層制御部へ出力し、2段目から(n−1)段目までの物理層制御部が、前段の物理層制御部から出力されるクロックを入力して次段の物理層制御部に出力し、数珠つなぎ状に接続された最終段であるn段目の物理層制御部が、(n−1)段目の物理層制御部から出力されたクロックを入力して論理層制御部に出力する。
【0044】
この構成により、本実施形態の表示装置10は、スタンバイ状態において、マジック・パケットの受信を待つ第1〜第2の物理層制御部203−1〜203−2のみが基準クロック信号s1を供給され、かつ電力が供給されて起動している状態である。そして、本実施形態の表示装置10は、スタンバイ状態において、論理層制御部205には、基準クロック信号s1が供給されず、かつ電力が供給されていない。このため、本実施形態の表示装置10は、表示装置10の待機時の消費電力を効率よく低減できる。
【0045】
また、以上のように構成したことにより、本実施形態の表示装置10は、基準クロック信号s1をデイジーチェーン接続(数珠つなぎ状に接続)させることにより、基準クロック信号s1を発生させる発振子204を全ての物理層制御部203および論理層制御部205に設ける必要がない。このため、本実施形態の表示装置10は、発振子204の個数を削除でき、コストを削減できる。さらに
図6に示したように、論理層制御部205から物理層制御部203に基準クロック信号s1を供給する比較例に対して、クロックバッファが不要になるためコストを削減できる。
【0046】
[第2実施形態]
第1実施形態では、論理層制御部205(含む205a)に電源を供給しないことでスタンバイ状態に制御する例を説明した。本実施形態では、スタンバイ状態において複数の物理層制御部203のうち1つのみを起動し続け、他の物理層制御部203の動作を停止させる例について説明する。
【0047】
図7は、本実施形態に係る表示装置10cの概略構成図である。
図7に示すように表示装置10cは、画像入力部101、表示部102、入力検出部103、および通信制御部104cを備えている。
図1に示した表示装置10または
図5に示した表示装置10aと同じ機能部は、同じ符号を用いて説明を省略する。なお、
図7では、それぞれの物理層制御部203と論理層制御部205との間の信号s2を省略して示している。
【0048】
通信制御部104cは、制御部201c、n(nは2以上の整数)個の端子202−1〜202−n、n個の第1〜第nの物理層制御部203−1〜203−n、発振子204、論理層制御部205a、およびスイッチ220を備えている。
【0049】
制御部201cは、入力検出部103が出力した操作信号がスタンバイ指示の場合、第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205aに基準クロック信号s1を供給しないようにスイッチ220を切り替える。制御部201cは、第1の物理層制御部203−1が出力するインタラプト信号s3に応じて、第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205aに基準クロック信号s1を供給するようにスイッチ220を切り替える。
【0050】
第1の物理層制御部203−1は、IN端子に接続されている発振子204を用いて基準クロック信号s1を生成する。第1の物理層制御部203−1は、生成した基準クロック信号s1をOUT端子から、スイッチ220に出力する。
第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205aのIN端子には、スイッチ220から基準クロック信号s1が入力される。
【0051】
スイッチ220は、制御部201cからの制御に応じて、第1の物理層制御部203−1から入力された基準クロック信号s1の出力状態を切り替える。また、スイッチ220は、第1の物理層制御部203−1から入力された基準クロック信号s1に対するクロックバッファ回路を備えている。
【0052】
以上のように、本実施形態の電子機器は、制御部からの制御に応じて発振子が接続されている物理層制御部が生成したクロックの出力先を切り替える第1のスイッチを備え、制御部は、自装置に対する待機指示に応じて、第1のスイッチに入力されたクロックを、電源オン状態から待機状態に制御する物理層制御部と論理層制御部とに供給しないように第1のスイッチを切り替える。
【0053】
このような構成により、本実施形態の表示装置10cは、スタンバイ状態において、制御部201cがスイッチ220を切り替え、基準クロック信号s1を第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205aに出力しない。この結果、スタンバイ状態において基準クロック信号s1が供給されていないため、第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205aの動作は停止している。このため、スタンバイ状態において第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205aの消費電力を低減することができる。従って本実施形態の表示装置10cは、スタンバイ状態において論理層制御部205aの消費電力の低減に加え、さらに第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−nの消費電力を低減することができる。
【0054】
なお、本実施形態で説明したスイッチ220は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やCPLD(Complex Programmable Logic Device)などにより構成してもよい。スイッチ220がFPGA等のように複数の出力端子を有する場合は、
図7と同様に、スイッチ220を第1の物理層制御部203−1の後段に設けて、スイッチ220が基準クロック信号s1を分配する。
【0055】
また、上述したスイッチ220は、出力イネーブル制御が可能なFPGAなどのICを用いることによって、複数個実装された物理層制御部203に対して個別に電源のオン状態とオフ状態とを制御することも可能である。この場合、制御部201cは、スタンバイ指示が入力されたとき以外にも、未使用の物理層制御部203に基準クロック信号s1を供給しないようにスイッチ220を制御することで、未使用の物理層制御部203を個別に電源のオン状態とオフ状態とに制御するようにしてもよい。ここで、未使用の物理層制御部203とは、端子202にLANケーブル20が接続されていない物理層制御部203である。なお、制御部201cは、例えば電源オン状態のときに論理層制御部205aが出力した信号s2に基づいて、LANケーブル20が接続されていない物理層制御部203を判別することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態の電子機器において、制御部は、複数の物理層制御部のうち他の装置と未通信の物理層制御部に対して、第1のスイッチに入力されたクロックを供給しないように当該第1のスイッチを切り替える。
これにより、本実施形態の表示装置10cは、スタンバイ指示が入力されたとき以外にも消費電力を低減することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、表示装置10cが多数の物理層制御部203を備える例を説明したが、表示装置10cは2つの物理層制御部203−1と203−2とを備える用にしてもよい。この場合、制御部201cは、スタンバイ指示に応じて、第2の物理層制御部203−2、および論理層制御部205aに基準クロック信号s1を出力しないようにスイッチ220を切り替える。
【0058】
[第3実施形態]
スタンバイ状態における消費電力を低減するため、第1実施形態では、電力の供給を切り替える例を説明し、第2実施形態では、基準クロック信号s1の供給を切り替える例を説明した。本実施形態では、スタンバイ状態におけるデータの入力と出力状態を切り替える例を説明する。
【0059】
図8は、本実施形態に係る表示装置10dの概略構成図である。
図8に示すように表示装置10dは、画像入力部101、表示部102、入力検出部103、および通信制御部104dを備えている。
図1に示した表示装置10と同じ機能部は、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0060】
通信制御部104dは、制御部201d、2個の端子202−1〜202−2、第1〜第2の物理層制御部203−1〜203−2、論理層制御部205、およびスイッチ230を備えている。
【0061】
制御部201dは、表示装置10dがスタンバイ状態以外のとき、スイッチ230に第1の状態の切替信号を出力する。制御部201dは、表示装置10dがスタンバイ状態のとき、スイッチ230に第2の状態の切替信号を出力する。ここで、第1の状態の切替信号とは、例えばローレベルの信号であり、第2の状態の切替信号とは、例えばハイレベルの信号である。
【0062】
スイッチ230は、第1の物理層制御部203−1と、第2の物理層制御部203−2と、論理層制御部205との間の信号s2の間に接続されている。スイッチ230は、制御部201dから出力される切替信号に応じて、スタンバイ状態における信号s2の接続状態を切り替える。
【0063】
スイッチ230は、切替信号が第1の状態の場合、第1の物理層制御部203−1と論理層制御部205の信号s2を接続した状態に切り替え、第2の物理層制御部203−2と論理層制御部205の信号s2を接続した状態に切り替える。スイッチ230は、切替信号が第2の状態の場合、第1の物理層制御部203−1と論理層制御部205の信号s2を切断した状態に切り替え、第2の物理層制御部203−2と論理層制御部205の信号s2を切断した状態に切り替える。
【0064】
信号s2は、例えば物理層制御部203を制御するためのMDIO(Management Data Input/Output;マネージメント・データ入力/出力)、MDC(マネージメント・データ・クロック)のマネージメントシリアルインターフェイスである。MDIOは双方向のデータ通信ラインであり、MDCは論理層制御部205側から出力され、物理層制御部203に入力されている。本MDIO通信は、論理層制御部205側がマスターデバイスとして動作し、物理層制御部203側はスレーブデバイスとして動作するため、論理層制御部205側から読み出しのReadコマンドが来ない限り、物理層制御部203からMDIOを出力することは無いものとする。
【0065】
また、第1実施形態のように論理層制御部205に電力を供給しない場合、
図1の構成に
図8で説明したスイッチ230をさらに設けるようにしてもよい。これにより、電力が供給されていない論理層制御部205へのデータ入力を停止することができるので、本実施形態の表示装置10dでは、スタンバイ状態において電力が供給されていない論理層制御部205の入力端子を保護することができる。
【0066】
また、第2実施形態のように第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−nに基準クロック信号s1を供給しない場合、
図7の構成に
図8で説明したスイッチ230をさらに設けるようにしてもよい。これにより、基準クロック信号s1が供給されていない第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−nへのデータ入力を停止することができるので、本実施形態の表示装置10dでは、スタンバイ状態において基準クロック信号s1が供給されていない論理層制御部205の入力端子を保護することができる。この場合、制御部201cは、まず第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205に基準クロックs1を供給しないようにスイッチ220を切り替えるようにしてもよい。次に、制御部は、スイッチ220を切り替えた後、論理層制御部205に対して信号s2が入力されないようにスイッチ230を切り替えるようにしてもよい。これにより、論理層制御部205には、基準クロックs1の供給を停止した後に信号s2の入力が停止されるようになるため、電源オン状態からスタンバイ状態に移行のとき論理層制御部205の誤動作を防ぐことができる。
【0067】
また、スイッチ220とスイッチ230が設けられている場合、スタンバイ状態から電源オン状態に移行させるとき、制御部201dは、まず第2〜第nの物理層制御部203−2〜203−n、および論理層制御部205に基準クロックs1を供給するようにスイッチ220を切り替えるようにしてもよい。制御部201dは、スイッチ220を切り替えた後、論理層制御部205に対して信号s2が入力されるようにスイッチ230を切り替えるようにしてもよい。これにより、論理層制御部205には、基準クロックs1が供給された後に信号s2が入力されるため、スタンバイ状態から電源オン状態に移行のとき論理層制御部205の誤動作を防ぐことができる。
【0068】
上述したスイッチ230は、出力イネーブル制御が可能なFPGAなどのICを用いることによって、複数個実装された物理層制御部203に対して個別に電源のオン状態とオフ状態とを制御することが可能となる。この場合、制御部201dは、スタンバイ指示が入力されたとき以外にも、未使用の物理層制御部203と論理層制御部205との間の信号s2を遮断するようにスイッチ230を制御してもよい。
【0069】
以上のように、本実施形態の電子機器は、n個の物理層制御部と論理層制御部と間の制御信号を切り替える第2のスイッチを備え、制御部は、自装置に対する待機指示に応じて、論理層制御部から出力される制御信号を、電源オン状態から待機状態に制御する物理層制御部に供給しないように第2のスイッチを切り替える。
【0070】
これにより、本実施形態の表示装置10dは、スタンバイ状態において電力が供給されていない論理層制御部205に対して、第1の物理層制御部203−1または第2の物理層制御部203−2からの信号s2が入力されることを防ぐことができる。
【0071】
なお、第1〜第3の実施形態では、通信制御部104(含む104a、104cおよび104d)を表示装置10(含む10a、10cおよび10d)に適応する例を説明したが、これに限られない。通信制御部104は、通信機能を有する他の装置に適用してもよい。通信機能を有する他の装置とは、例えば、レコーダー、映像録画再生装置、プロジェクタ等である。
【0072】
なお、実施形態の
図1に示した制御部201、
図5に示した制御部201a、
図7に示した制御部201c、および
図8に示した制御部201dの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、USB(Universal Serial Bus) I/F(インタフェース)を介して接続されるUSBメモリ、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。