特許第5933114号(P5933114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933114
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】ポリウレタン発泡体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   C08J9/12CFF
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-510049(P2015-510049)
(86)(22)【出願日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2014058979
(87)【国際公開番号】WO2014162986
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年3月23日
(31)【優先権主張番号】特願2013-76976(P2013-76976)
(32)【優先日】2013年4月2日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-266862(P2013-266862)
(32)【優先日】2013年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】バン ソラ
(72)【発明者】
【氏名】鮎京 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】モクインテン ジョエン
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−184637(JP,A)
【文献】 特開2008−295932(JP,A)
【文献】 特表2011−501768(JP,A)
【文献】 特表2005−523960(JP,A)
【文献】 特開2008−280447(JP,A)
【文献】 特開2003−040958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00− 9/42
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
C08G 18/00− 18/87
C08G 71/00− 71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体とのいずれか一方、ウレタンエマルション、およびステアリン酸アンモニウムとアルキルスルホコハク酸ナトリウムとの両方を含むアニオン系起泡安定剤を含む原料により発泡成形され、50%圧縮された状態で70℃の条件下で22時間放置された後の圧縮永久歪(JIS K6401)が、40%以下であることを特徴とするポリウレタン発泡体。
【請求項2】
アニオン系起泡安定剤の量は、前記ウレタンエマルションの量を100重量部とした場合に、2〜60重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項3】
前記脂肪族イソシアネートは、
3量体以上であり、3官能以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項4】
前記脂肪族イソシアネートは、
2量体以下であり、2官能以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項5】
前記ウレタンエマルションのウレタン樹脂は、親水基を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【請求項6】
前記ウレタン樹脂の親水基は、
スルホン酸基とカルボキシル基と水酸基との少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載のポリウレタン発泡体。
【請求項7】
硬度(JIS K6254)が、0.002〜0.1MPaであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【請求項8】
密度(JIS K6401)が、50〜500kg/mであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【請求項9】
当該ポリウレタン発泡体の両面に両面テープによって貼着されたPETフィルムを、85℃の条件下で24時間放置し、さらに、室温にて1時間放置した後に、前記PETフィルムを、1000mm/minの速度で引っ張った際の引張強度(N/12mm)を、材料強度と定義した場合に、前記材料強度が、2N/12mm以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【請求項10】
脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体とのいずれか一方、100重量部のウレタンエマルション、およびステアリン酸アンモニウムとアルキルスルホコハク酸ナトリウムとの両方を有する2〜60重量部のアニオン系起泡安定剤を含む原料をメカニカルフロス法により発泡させて、前記原料のフロスを形成し、
前記フロスを加熱して乾燥させる
ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項11】
前記脂肪族イソシアネートは、3量体以上であり、3官能以上であることを特徴とする請求項10に記載のポリウレタン発泡体の製造方法
【請求項12】
前記脂肪族イソシアネートは、2量体以下であり、2官能以下であることを特徴とする請求項10に記載のポリウレタン発泡体の製造方法
【請求項13】
前記ウレタンエマルションのウレタン樹脂は、親水基を含むことを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体の製造方法
【請求項14】
前記ウレタン樹脂の親水基は、スルホン酸基とカルボキシル基と水酸基との少なくとも1つであることを特徴とする請求項13に記載のポリウレタン発泡体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンエマルションにより発泡成形されるポリウレタン発泡体およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン発泡体は、柔軟性,クッション性に富むことから、様々な分野の商品に用いられている。例えば、通信機器,電子機器等の緩衝材,パッキン材、ガスケット、シール材として用いられている。通信機器,電子機器等は、軽量化,スリム化する傾向にあり、シート状の緩衝材,パッキン材が求められている。ポリウレタン発泡体によるシート状のパッキン材の一例としては、下記特許文献1,2に記載されているものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−42297号公報
【特許文献2】特開平6−136084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリウレタン発泡体から形成されたシート状のパッキン材(例えば、携帯機器の表示装置用ガスケット)は、微細なセル構造により圧縮残留歪が低く、パッキン材として優れている。しかしながら、パッキン材を薄くするためにセルを極微細化しようとすると、ポリウレタンは十分に発泡せずに高密度する。その結果、ポリウレタン発泡体の柔軟性が損なわれる。また、オレフィン系,アクリル系発泡体を、シート状のパッキン材等として用いることで、パッキン材の柔軟性を向上させることは可能であるが、オレフィン系,アクリル系発泡体は、一般的に、圧縮残留歪が高く、へたり易い。このため、オレフィン系,アクリル系発泡体を、シート状のパッキン材等として用いることは好ましくない。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、薄いパッキン材(例えば、厚さ0.1mm〜0.5mmのガスケット)に適した極微細なセル(例えば、直径0.1mm以下のセル)を有するととともに、柔軟性があり、圧縮残留歪の低いポリウレタン発泡体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のポリウレタン発泡体は、脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体とのいずれか一方、ウレタンエマルション、アニオン系起泡安定剤(アニオン性の有機基を含む化合物を有する起泡安定剤)を含む原料により発泡成形され、50%圧縮された状態で70℃の条件下で22時間放置された後の圧縮永久歪(JIS K6401)が、40%以下であることを特徴とする。
【0006】
本発明のポリウレタン発泡体の製造方法は、脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体とのいずれか一方、ウレタンエマルション、およびアニオン系起泡安定剤を含む原料をメカニカルフロス法により発泡させて前記原料のフロスを形成し、前記フロスを加熱して乾燥させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリウレタン発泡体では、脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体とのいずれか一方、ウレタンエマルション、およびアニオン系起泡安定剤を含む原料により発泡成形される。ウレタンエマルションとアニオン系起泡安定剤とをポリウレタン発泡体の原料として用いることで、セルの極微細化とポリウレタン発泡体の低密度化を図ることが可能となり、薄いパッキン材に適した微細セルを有するポリウレタン発泡体の柔軟性を担保することが可能となる。
【0008】
さらにポリウレタン発泡体の原料が脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体とのいずれか一方を含むことで、圧縮残留歪が低くなる。
【0009】
本発明のポリウレタン発泡体では、圧縮永久歪(JIS K6401)が、40%以下とされている。これにより、へたり難いポリウレタン発泡体を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1〜10のポリウレタン発泡体を製造するための原料の配合量(重量比)、および、実施例1〜10のポリウレタン発泡体の物性評価を示す表である。
図2図2は、実施例11〜16のポリウレタン発泡体を製造するための原料の配合量(重量比)、および、実施例11〜16のポリウレタン発泡体の物性評価を示す表である。
図3図3は、実施例17〜24のポリウレタン発泡体を製造するための原料の配合量(重量比)、および、実施例17〜24のポリウレタン発泡体の物性評価を示す表である。
図4図4は、実施例25〜32のポリウレタン発泡体を製造するための原料の配合量(重量比)、および、実施例25〜32のポリウレタン発泡体の物性評価を示す表である。
図5図5は、比較例1〜10のポリウレタン発泡体を製造するための原料の配合量(重量比)、および、比較例1〜10のポリウレタン発泡体の物性評価を示す表である。
図6図6は、脂肪族イソシアートと水との反応を説明する図である。
図7図7は、本発明の架橋反応を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に記載の「ポリウレタン発泡体」は、脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体との少なくとも一方、ウレタンエマルション、およびアニオン系起泡安定剤を含む原料により発泡成形されている。発泡成形は、種々の手法により行うことが可能であるが、メカニカルフロス法により発泡成形することが好ましい。
【0012】
メカニカルフロス法を用いて、ポリウレタン発泡体を成形する際には、上記原料を投入したオークスミキサ等に、空気又は窒素ガス等の不活性ガスを強制的に吹き込みつつ、オークスミキサにより上記原料を撹拌して混合する。この撹拌と混合により複数の気泡(セル)が発生して、フロス(froth)すなわち気泡の塊が形成される。そして、撹拌され混合された原料(フロス)を通気度の低いシートの表面に塗布し、ロールコーター、ドクターナイフ、コンマコーター、スロットダイコーター等により塗布された原料の厚さを所定の厚さに調整した後、該原料をオーブン又は乾燥炉等により加熱し、乾燥させる。これにより、シート状のポリウレタン発泡体が成形される。
【0013】
また、ポリウレタン発泡体の原料であるウレタンエマルションは、例えば直径0.01〜5μmの球状のウレタン樹脂(すなわち、ポリウレタン)が水中に分散されたものであり、ポリウレタン発泡体の原料として、ウレタンエマルションとアニオン系起泡安定剤とを採用することで、セルの極微細化とポリウレタン発泡体の低密度化(すなわち、柔軟化)を図ることが可能となる。
【0014】
ウレタンエマルションのウレタン樹脂は、イソシアネートおよびポリオールにより生成される。ポリオールは、ウレタン樹脂原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネート等が挙げられる。また、イソシアネートも、ウレタン樹脂原料として通常に採用されるものであればよく、例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート等が挙げられる。
【0015】
また、ウレタン樹脂は、水中に分散されることから、親水基を有していることが好ましい。これにより、ウレタン樹脂の分散性が向上する。なお、本発明のウレタン樹脂は、親水基としては、スルホン酸基,カルボキシル基,水酸基のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0016】
また、ポリウレタン発泡体の原料として用いられる脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体は、架橋剤として機能する。特に、脂肪族イソシアネートは、官能基(例えば、イソシアネート基)を2つ有することが好ましい。
【0017】
図6は、脂肪族イソシアートと水との反応を説明する図である。図7は、本発明の架橋反応の一例を説明する図である。図6に示すように、脂肪族イソシアート2のイソシアネート基4は水6(例えば、ウレタンエマルションの水)と反応して、ウレア(urea)結合8を有する分子10に変化する。ところでウレア(urea)結合8およびウレタン結合は、有極性の結合である。
【0018】
したがって、図7に示すように、脂肪族イソシアート2が水6と反応して生成された分子10がウレタンエマルション中のポリウレタン分子12の間に侵入すると、ウレタン結合14とウレア結合8が電気力16により結合する。その結果、分子10,12同士が電気的に結合した架橋構造が形成される。
【0019】
これにより、圧縮残留歪が低く高強度(高引張強度)のポリウレタン発泡体18が生成される。架橋剤がメラミン誘導体の場合には、メラミン誘導体のN−H結合がウレタン結合14と電気的に結合する。
【0020】
本発明の他の例では更に、脂肪族イソシアート2のイソシアネート基4とポリウレタン分子12の親水基(例えば、カルボキシル基、水酸基)とが反応して、脂肪族イソシアート2とポリウレタン分子12が化学的に結合する。後述するウレタンエマルション3は、このような親水基を有するウレタンエマルションの一例である。
【0021】
以上のように脂肪族イソシアネートおよびメラミン誘導体は、分子同士を電気的に結合する見掛け上の架橋剤あってもよし、分子同士を電気的に結合するとともに化学的に結合する架橋剤であってもよい。
【0022】
架橋剤として、脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体との何れを採用することは、可能であるが、ポリウレタン発泡体を電子機器等の緩衝材,パッキン材等として用いることを考慮すれば、脂肪族イソシアネートを架橋剤として採用することが好ましい。
【0023】
架橋剤として、脂肪族イソシアネートが用いられる場合には、疎水基を含んでいることが好ましい。疎水基を含んだ脂肪族イソシアネートを原料とするポリウレタン発泡体は、加水分解し難くなり、緩衝材,パッキン材等としての機能が高くなる。
【0024】
また、脂肪族イソシアネートは芳香族イソシアネート等と比較して、水との反応性が緩やかなため、ウレタンエマルジョンの架橋剤として適切に機能する。このため、ウレタン樹脂が適切なタイミングで架橋され、ポリウレタン発泡体の強度を担保することができる。
【0025】
また、脂肪族イソシアネートの量体数(イソシアネート基を2つ有するモノマーに対する量体数)、および官能基数(イソシアネート基の数)は、架橋剤として適切に機能する数値であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、量体数であれば、3以上であることが好ましく、官能基数も、3以上であることが好ましい。イソシアネートの3量体としては、イソシアヌレート、ビウレットが挙げられる。ただし、量体数が2以下、および、官能基数が2以下の脂肪族イソシアネートを排除する必要はなく、量体数が2以下、および、官能基数が2以下の脂肪族イソシアネートを採用することも可能である。
【0026】
また、ポリウレタン発泡体の原料として用いられるアニオン系起泡安定剤は、安定した発泡成形を担保するためのものであり、アニオン系起泡安定剤の量は、ウレタンエマルションの量を100質量%(すなわち、100重量部(Parts by weight))とした場合に、2〜60質量%(すなわち、2〜60重量部)であることが好ましく、特に、1〜35質量%(すなわち、1〜35重量部)であることが好ましい。この量のアニオン系起泡安定剤を添加することで、適切な発泡を担保し、微細なセル構造を成形することが可能となる。さらに、適切な量のアニオン系起泡安定剤を添加することで、ポリウレタン発泡体の強度および、密度を適切な値とすることが可能となる。
【0027】
起泡安定剤を使用しない場合、不活性ガスを吹き込みながらウレタンエマルションを撹拌してもフロスは形成されない。アニオン系起泡安定剤以外の起泡安定剤を使用しても、フロスは形成される。しかし形成されたフロスを乾燥させるため加熱すると、気泡が消滅して発泡体は形成されない。
【0028】
しかし、ウレタンエマルションとアニオン系起泡安定剤とを採用することで、セルの極微細化とポリウレタン発泡体の低密度化(すなわち、柔軟化)を図ることが可能となる。
【0029】
アニオン系起泡安定剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられるが、特に、ステアリン酸アンモニウムとアルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。さらに言えば、アニオン系起泡安定剤として、ステアリン酸アンモニウムとアルキルスルホコハク酸ナトリウムとの両方が採用されることが好ましい。
【0030】
上述した原料により発泡成形されたポリウレタン発泡体は、復元性の高い素材となっている。具体的には、所定の大きさのポリウレタン発泡体のサンプルを、圧縮前の厚さの50%の厚さとなるように圧縮し、70℃の条件下で放置する。22時間放置した後に、サンプルの圧縮残留歪を、JIS K6401に従って測定する。その圧縮残留歪は、40%以下である。これにより、復元性の高いポリウレタン発泡体、つまり、へたり難いポリウレタン発泡体が実現する。なお、圧縮残留歪は、30%以下であることが好ましく、特に、20%以下であることが好ましい。なお、「JIS」は”Japanese Industrial Standard”の略称である(以下、同様)。
【0031】
また、ポリウレタン発泡体の硬度(JIS K6254)は、0.002〜0.1MPaであることが好ましい。詳しくは、直径50mmのポリウレタン発泡体のサンプルを、1mm/minの速度で厚さの25%を押しつぶした際の反発応力の大きさを測定する。この測定値が、0.002〜0.1MPaであることが好ましく、特に、0.005〜0.1MPaであることが好ましい。さらに言えば、0.01〜0.1MPaであることが好ましい。硬度がこれらの範囲内のポリウレタン発泡体は、十分に柔軟である。
【0032】
また、ポリウレタン発泡体の材料強度は、2N/12mm以上であることが好ましい。詳しくは、12mm×70mmのポリウレタン発泡体のサンプルの両面にPETフィルムを貼着する。なお、PETフィルムの貼着には、両面テープを用いる。PETフィルムを両面に貼着したサンプルは、85℃の条件下で24時間放置され、その後、室温(5〜35℃、以下同様)にて1時間放置される。そして、サンプルの両面に貼着された各PETフィルムの一端をサンプル表面に垂直な方向に、1000mm/minの速度で引っ張り、その際の引張強度を測定する。この測定値が、2N/12mm以上であることが好ましく、特に、3N/12mm以上であることが好ましい。さらに言えば、4N/12mm以上であることが好ましい。
【0033】
また、ポリウレタン発泡体の密度(JIS K6401)は、50〜500kg/mであることが好ましい。詳しくは、50mm×50mmのポリウレタン発泡体のサンプルの重量および、体積を計測し、重量を体積で除する。この演算値が、50〜500kg/mであることが好ましく、特に、60〜470kg/mであることが好ましい。さらに言えば、80〜450kg/mであることが好ましい。
【0034】
上述したように、本発明のポリウレタン発泡体は、低密度化されており、硬度も低い。つまり、柔軟性が担保されている。また、圧縮残留歪が低く、高い復元性が担保されている。さらに、高強度である。このように、本発明のポリウレタン発泡体は、柔軟性,高い復元性,高強度といった緩衝材,パッキン材等としての優れた特性を有している。このことから、本発明のポリウレタン発泡体を緩衝材,パッキン材等(例えば、携帯機器の表示装置のガスケット)として用いることが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0036】
<ポリウレタン発泡体の原料及び製造> 図1ないし図5に示す配合の原料から、実施例1〜32および比較例1〜10のポリウレタン発泡体を製造した。以下に、各原料の詳細を示す。
【0037】
・ウレタンエマルション1;カーボネイト系ウレタンエマルション(カーボネイト基を有するウレタンの乳剤)、pH8、親水基:スルホン酸基、固形分:40質量%
・ウレタンエマルション2;カーボネイト系ウレタンエマルション、pH8、親水基:カルボキシル基、固形分:40質量%
・ウレタンエマルション3;エーテル系ウレタンエマルション(エーテル結合を有するウレタンの乳剤)、pH8、親水基:カルボキシル基、固形分:40質量%
・アニオン系起泡安定剤1;ステアリン酸アンモニウム、pH11、固形分:30質量%
・アニオン系起泡安定剤2;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、pH9.4、固形分:30質量%
・アニオン系起泡安定剤3;オレイン酸カリウム石鹸、pH11.2、固形分:30質量%
・アニオン系起泡安定剤4;ひまし油カリウム石鹸、pH9.9、固形分:30質量%
・両性起泡安定剤;ラウリルベタイン、pH7.5、固形分:30質量%
・ノニオン系起泡安定剤;アルキルアルカノールアミド、pH10.4、固形分:30質量%
・架橋剤1(A社製);疎水系HDIイソシアヌレート(ヘキサメチレンジイソシアネートから形成された疎水性のイソシアヌレート) 官能基数:3.5、3量体
・架橋剤2(B社製);疎水系HDIイソシアヌレート、官能基数:3.5、3量体
・架橋剤3;疎水系HDIビウレット(ヘキサメチレンジイソシアネートから形成された疎水性のビウレット)、官能基数:3.5、3量体
・架橋剤4(A社製);親水系HDIイソシアヌレート、官能基数:3.2、3量体
・架橋剤5(B社製);親水系HDIイソシアヌレート、官能基数:3.2、3量体
・架橋剤6;メラミン−ホルムアルデヒド(すなわち、メラミン-ホルムアルデヒト樹脂)
・架橋剤7;カルボジイミド
・架橋剤8;疎水系HDIアロファネート(すなわち、ヘキサメチレンジイソシアネートから形成された疎水性のアロファネート) 官能基数:2、2量体
・架橋剤9;HDIモノマー(ヘキサメチレンジイソシアネートのモノマー)
【0038】
上記原料を、図1ないし図5に示す配合(重量比)で計量し、オークスミキサ、若しくは、モンドミキサに投入する。そして、100〜1000rpmで攪拌し混合する。この際、空気又は窒素ガス等の不活性ガスが強制的に吹き込まれる。そして、攪拌され混合された原料を通気度の低いシートの表面に塗布し、ドクターナイフ等により所定の厚さに調厚した後、オーブン又は乾燥炉等により加熱し、乾燥させる。これにより、実施例1〜32および比較例1〜10のポリウレタン発泡体が成形される。
【0039】
<ポリウレタン発泡体の物性評価> 上述のように製造された実施例1〜32および比較例1〜10のポリウレタン発泡体に対して、以下の方法によって物性評価を行なった。
【0040】
具体的には、目視にて、セルの状態およびポリウレタン発泡体の表面を評価した。セルが均一である場合には、「◎」と評価し、セルがやや不均一である場合には、「○」と評価した。また、セルが荒い場合には、「△」と評価し、セルが非常に荒い場合および、セルが形成されていない場合、つまり、発泡していない場合には、「×」と評価した。この評価は、図1ないし図5の「外観」の欄に記されている。
【0041】
また、ポリウレタン発泡体のセル径を測定した。セル径が100μm未満である場合には、図1ないし図5の「セル径」の欄に「◎」と記し、セル径が100μm以上である場合には、図1ないし図5の「セル径」の欄に「×」と記されている。
【0042】
また、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(%)を測定した。具体的には、所定の大きさのポリウレタン発泡体のサンプルを、圧縮前の厚さの50%の厚さとなるように圧縮し、70℃の条件下で放置する。22時間放置した後に、サンプルの圧縮残留歪を、JIS K6401に従って測定する。その測定値は、図1ないし図5の「圧縮残留歪(70℃)」の欄に記されている。また、所定の大きさのポリウレタン発泡体のサンプルを、圧縮前の厚さの50%の厚さとなるように圧縮し、室温で放置する。22時間放置した後に、サンプルの圧縮残留歪を、JIS K6401に従って測定する。その測定値は、図1ないし図5の「圧縮残留歪(室温)」の欄に記されている。
【0043】
また、ポリウレタン発泡体の密度(kg/m)を測定した。具体的には、JIS K6401に従って、50mm×50mmのポリウレタン発泡体のサンプルの重量および、体積を計測し、重量を体積で除した。この演算値は、図1ないし図5の「密度」の欄に記されている。
【0044】
また、ポリウレタン発泡体の硬度(MPa)を測定した。具体的には、JIS K6254に従って、直径50mmのポリウレタン発泡体のサンプルを、1mm/minの速度で厚さが25%圧縮されるように押しつぶした際の反発応力の大きさを測定した。この測定値は、図1ないし図5の「硬度」の欄に記されている。
【0045】
また、ポリウレタン発泡体の材料強度(N/12mm)を測定した。具体的には、12mm×70mmのポリウレタン発泡体のサンプルの両面にPETフィルムを貼着する。PETフィルムの貼着には、両面テープを用いる。PETフィルムを両面に貼着したサンプルは、85℃の条件下で24時間放置され、その後、室温にて1時間放置される。そして、サンプルの両面に貼着された各PETフィルムの一端をサンプル表面に垂直な方向に、1000mm/minの速度で引っ張り、その際の引張強度を測定した。この測定値は、図1ないし図5の「材料強度」の欄に記されている。
【0046】
以上の評価結果から、ポリウレタン発泡体の原料における架橋剤として、脂肪族イソシアネート(架橋剤1〜5,8,9)とメラミン誘導体(架橋剤6)との一方を採用することで、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)を概ね40%以下とするとともに、圧縮残留歪(室温)を概ね10%以下とすることが可能であることが解る。具体的には、比較例3,4,8のポリウレタン発泡体では、原料に架橋剤が採用されておらず、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)は41〜48%であり、圧縮残留歪(室温)は15〜21%となっている。また、比較例5,6のポリウレタン発泡体では、架橋剤として、カルボジイミド(架橋剤7)が採用されており、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)は47%であり、圧縮残留歪(室温)は14〜16%となっている。
【0047】
一方、実施例1〜22,25〜32のポリウレタン発泡体では、架橋剤として脂肪族イソシアネート(架橋剤1〜5,8,9)が採用され、実施例23,24のポリウレタン発泡体では、架橋剤としてメラミン誘導体(架橋剤6)が採用されており、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)は40%以下であり、圧縮残留歪(室温)は概ね10%以下となっている。このように、ポリウレタン発泡体の原料における架橋剤として、脂肪族イソシアネート(架橋剤1〜5,8,9)とメラミン誘導体(架橋剤6)との一方を採用することで、復元性の高いポリウレタン発泡体を実現することが可能となる。
【0048】
なお、実施例1〜22,25〜30のポリウレタン発泡体では、量体数が3以上かつ、官能基数が3以上の脂肪族イソシアネート(架橋剤1〜5)が採用され、実施例31,32のポリウレタン発泡体では、量体数が2以下かつ、官能基数が2以下の脂肪族イソシアネート(架橋剤8,9)が採用されているが、いずれのポリウレタン発泡体でも、圧縮残留歪(70℃)は40%以下であり、圧縮残留歪(室温)は概ね10%以下となっている。このことから、架橋剤として、量体数が3以上かつ、官能基数が3以上の脂肪族イソシアネートと、量体数が2以下かつ、官能基数が2以下の脂肪族イソシアネートの何れを採用してもよい。ただし、量体数が3以上かつ、官能基数が3以上の脂肪族イソシアネートを採用するポリウレタン発泡体の圧縮残留歪は、量体数が2以下かつ、官能基数が2以下の脂肪族イソシアネートを採用するポリウレタン発泡体の圧縮残留歪より、若干低い。このため、架橋剤として、量体数が3以上(好ましくは、3)かつ、官能基数が3以上(好ましくは、3以上4未満)の脂肪族イソシアネートを採用することが好ましい。ただし例えば量体数が2でかつ、官能基数が2以上3未満であってもよい。
【0049】
さらに、ポリウレタン発泡体の原料における起泡安定剤として、アニオン系の起泡安定剤を採用することで、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)を概ね40%以下とするとともに、圧縮残留歪(室温)を概ね10%以下とすることが可能であることが解る。具体的には、比較例1のポリウレタン発泡体では、起泡安定剤として、両性の起泡安定剤が採用され、比較例2のポリウレタン発泡体では、起泡安定剤として、ノニオン系の起泡安定剤が採用されている。つまり、比較例1,2のポリウレタン発泡体では、起泡安定剤として、アニオン系の気泡安定剤が採用されていない。その比較例1,2のポリウレタン発泡体では、圧縮残留歪(70℃)は41〜48%であり、圧縮残留歪(室温)は18〜25%となっている。
【0050】
一方、実施例1〜32のポリウレタン発泡体では、起泡安定剤として、アニオン系の起泡安定剤が採用されており、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)は概ね40%以下であり、圧縮残留歪(室温)は概ね10%以下となっている。特に、実施例1〜26,28,29,31,32のポリウレタン発泡体では、起泡安定剤としてアニオン系の起泡安定剤のみが採用されており、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)が40%を超えることはなく、圧縮残留歪(室温)も15%を超えることは無い。このように、ポリウレタン発泡体の原料における起泡安定剤として、アニオン系の起泡安定剤を採用すること、特に、アニオン系の起泡安定剤のみを採用することで、復元性の高いポリウレタン発泡体を実現することが可能となる。
【0051】
さらに言えば、実施例1〜10,15〜24のポリウレタン発泡体では、起泡安定剤として、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)との2種類の起泡安定剤が採用されており、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)は36%以下であり、圧縮残留歪(室温)は6%以下である。また、実施例1〜10,15〜24,31,32のポリウレタン発泡体では、「外観」の評価に関して「○」と「◎」であり、「セル径」の評価に関して「◎」である。このことから、ポリウレタン発泡体の原料における起泡安定剤として、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)の双方(2種類の起泡安定剤)を採用することが好ましい。
【0052】
ただし、起泡安定剤として、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)の双方(2種類の起泡安定剤)を採用する場合であっても、起泡安定剤の配合量を適正化する必要がある。具体的には、比較例7のポリウレタン発泡体では、ウレタンエマルションの量が100質量%である際に、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)との2種類の起泡安定剤の総量が、1質量%となっている。この比較例7のポリウレタン発泡体では、ポリウレタン発泡体の圧縮残留歪(70℃)が48%であり、圧縮残留歪(室温)も28%である。さらに、密度(kg/m)および、硬度(MPa)が比較的高い。また、比較例9および比較例10のポリウレタン発泡体では、ウレタンエマルションの量が100質量%である際に、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)との2種類の起泡安定剤の総量が、80質量%以上となっている。この比較例9および、比較例10のポリウレタン発泡体では、密度(kg/m)および、硬度(MPa)が少し低い。さらに、材料強度(N/12mm)は、1.5N/12mm以下であり、非常に低い。
【0053】
なお、起泡安定剤としてはカチオン系起泡安定剤も存在する。しかし、ウレタンエマルションがアニオン性なので、カチオン系起泡安定剤は好ましくはない。ウレタンエマルションにカチオン系起泡安定剤を加えると、ポリウレタンの粒子同士が、カチオン系起泡安定剤を介して電気的に引き合い凝集してしまう。
【0054】
一方、実施例1〜10のポリウレタン発泡体では、ウレタンエマルションの量が100質量%である際に、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)との2種類の起泡安定剤の総量が、2〜60質量%となっている。この実施例1〜10のポリウレタン発泡体では、圧縮残留歪(70℃)は35%以下であり、圧縮残留歪(室温)は5%以下である。また、密度(kg/m)は、54〜495kg/mであり、硬度(MPa)は、0.002〜0.094MPaである。つまり、適度な柔軟性を有している。さらに、材料強度(N/12mm)は、2N/12mm以上であり、適度な強度を有している。このことから、ウレタンエマルションの量が100質量%である際に、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)との2種類の起泡安定剤の総量が、2〜60質量%であることが好ましい。さらに言えば、実施例1〜5,7〜10のポリウレタン発泡体では、ウレタンエマルションの量が100質量%である際に、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)との2種類の起泡安定剤の量が、2〜30質量%となっている。この実施例1〜5,7〜10のポリウレタン発泡体では、圧縮残留歪(70℃)は19%以下であり、圧縮残留歪(室温)は4%以下である。さらに、材料強度(N/12mm)は、4N/12mm以上であり、非常に強靭である。このことから、ウレタンエマルションの量が100質量%である際に、ステアリン酸アンモニウム(アニオン系起泡安定剤1)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系起泡安定剤2)との2種類の起泡安定剤の総量は、特に2〜30質量%であることが好ましい。
【0055】
以下、本発明の諸態様について列記する。
【0056】
(1)脂肪族イソシアネートとメラミン誘導体とのいずれか一方、ウレタンエマルション、アニオン系起泡安定剤を含む原料により発泡成形され、50%圧縮された状態で70℃の条件下で22時間放置された後の圧縮永久歪(JIS K6401)が、40%以下であることを特徴とするポリウレタン発泡体。
【0057】
(2)アニオン系起泡安定剤の量は、前記ウレタンエマルションの量を100質量%とした場合に、2〜60質量%であることを特徴とする(1)項に記載のポリウレタン発泡体。
【0058】
(3)当該ポリウレタン発泡体は、 メカニカルフロス法により発泡成形されることを特徴とする(1)項または(2)項に記載のポリウレタン発泡体。
【0059】
(4)前記脂肪族イソシアネートは、
3量体以上であり、3官能以上であることを特徴とする(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0060】
(5)前記脂肪族イソシアネートは、
2量体以下であり、2官能以下であることを特徴とする(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0061】
(6)前記ウレタンエマルションのウレタン樹脂は、親水基を含むことを特徴とする(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0062】
(7)前記ウレタン樹脂の親水基は、
スルホン酸基とカルボキシル基と水酸基との少なくとも1つであることを特徴とする(6)項に記載のポリウレタン発泡体。
【0063】
(8)前記脂肪族イソシアネートは、疎水基を含むことを特徴とする(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0064】
(9)前記アニオン系起泡安定剤は、
ステアリン酸アンモニウムとアルキルスルホコハク酸ナトリウムとの少なくとも一方を含むことを特徴とする(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0065】
(10)前記アニオン系起泡安定剤は、
ステアリン酸アンモニウムとアルキルスルホコハク酸ナトリウムとの両方を含むことを特徴とする(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0066】
(11)硬度(JIS K6254)が、0.002〜0.1MPaであることを特徴とする(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0067】
(12)密度(JIS K6401)が、50〜500kg/mであることを特徴とする(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
【0068】
(13)当該ポリウレタン発泡体の両面に両面テープによって貼着されたPETフィルムを、85℃の条件下で24時間放置し、さらに、室温にて1時間放置した後に、前記PETフィルムを、1000mm/minの速度で引っ張った際の引張強度(N/12mm)を、材料強度と定義した場合に、 前記材料強度が、2N/12mm以上であることを特徴とする(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のポリウレタン発泡体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7