(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933132
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】電気プラグ、およびエネルギー伝送構成
(51)【国際特許分類】
H01R 13/703 20060101AFI20160526BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
H01R13/703
B60L11/18 C
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-540075(P2015-540075)
(86)(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公表番号】特表2015-536544(P2015-536544A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2013068987
(87)【国際公開番号】WO2014067701
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2015年5月1日
(31)【優先権主張番号】102012220102.5
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ミッターク、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ファイユ、イアン
(72)【発明者】
【氏名】エッカート、ベルント
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第102006047039(DE,A1)
【文献】
特公昭59−37548(JP,B2)
【文献】
特開2008−305684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/703
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−電気エネルギーの伝送のために送電線(26)と結合可能な接続ユニット(36)と、
−差込み部(32)と結合部(34)とを有する少なくとも1つの電気接続ピン(30)であって、前記結合部(34)は前記接続ユニット(36)と電気的に結合され、前記差込み部(32)は、前記電気接続ピン(30)とソケット接触子(18)とを電気的に結合させるために、割り当てられた前記ソケット接触子(18)との解消可能な差込み接続を確立するよう構成される、前記少なくとも1つの電気接続ピン(30)と、
−前記電気接続ピン(30)に加えられる牽引力、および/または、前記ソケット接触子(18)に対する相対的な前記電気接続ピン(30)の移動を検出し、前記電気エネルギーの伝送を中断するための停止信号を提供するよう構成された検出ユニット(38)と、
を有し、
前記検出ユニット(38)は、前記電気接続ピン(30)の前記移動に基づいて摺動可能な摺動機構(48)を有し、
前記検出ユニット(38)は、前記摺動機構(48)が初期位置に対して前記移動に関する閾値の分だけ摺動した場合に、前記停止信号を提供するよう構成され、
前記検出ユニット(38)は、さらなる別のばね要素(52)を有し、
前記さらなる別のばね要素(52)は、前記電気接続ピン(30)の前記移動に対応して前記摺動機構(48)を摺動させるために、前記摺動機構(48)に対して力を加えるよう構成される、電気プラグ(24)。
【請求項2】
前記検出ユニット(38)は、前記牽引力が力に関する閾値を越え、および/または、前記移動が移動に関する閾値を超える場合に、前記停止信号を提供するよう構成される、請求項1に記載の電気プラグ。
【請求項3】
前記閾値は、少なくとも前記閾値に達するまでは前記割り当てられたソケット接触子(18)との前記差込み接続が存続するように、設定される、請求項2に記載の電気プラグ。
【請求項4】
前記検出ユニット(38)は、力測定素子(42)を有し、
前記力測定素子(42)は、前記電気接続ピン(30)と機械的に結合され、かつ、前記差込み接続が解消された際の前記電気接続ピン(30)と前記ソケット接触子(18)との間の力に基づいて前記牽引力を検出するよう構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気プラグ。
【請求項5】
前記力測定素子(42)は、前記差込み接続が確立される際の前記電気接続ピン(30)と前記ソケット接触子(18)との間の圧縮力を検出するよう構成され、
前記力に関する閾値は、前記差込み接続が確立される際に検出された前記圧縮力の値である、請求項4に記載の電気プラグ。
【請求項6】
前記検出ユニット(38)は、摺動可能な要素(28’)を有し、
前記摺動可能な要素(28’)は、予圧力によって初期位置に保たれ、前記牽引力が前記予圧力を超える場合に前記初期位置から移動可能であり、
前記予圧力は、前記力に関する閾値である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気プラグ。
【請求項7】
前記検出ユニット(38)は、前記予圧力を提供するためのばね要素(46)を有する、請求項6に記載の電気プラグ。
【請求項8】
前記検出ユニット(38)は、前記摺動機構(48)の前記初期位置が設定されている場合に、前記電気エネルギーの伝送を開始するための作動信号を提供するよう構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気プラグ。
【請求項9】
前記検出ユニット(38)は、前記停止信号および/または前記電気エネルギーの伝送を開始するための作動信号を、前記電気エネルギーの伝送を制御する制御ユニット(40)に提供するよう構成される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気プラグ。
【請求項10】
−電気エネルギーの伝送のために送電線(26)と結合可能な接続ユニット(36)と、
−差込み部(32)と結合部(34)とを有する少なくとも1つの電気接続ピン(30)であって、前記結合部(34)は前記接続ユニット(36)と電気的に結合され、前記差込み部(32)は、前記電気接続ピン(30)とソケット接触子(18)とを電気的に結合させるために、割り当てられた前記ソケット接触子(18)との解消可能な差込み接続を確立するよう構成される、前記少なくとも1つの電気接続ピン(30)と、
−前記電気接続ピン(30)に加えられる牽引力、および/または、前記ソケット接触子(18)に対する相対的な前記電気接続ピン(30)の移動を検出し、前記電気エネルギーの伝送を中断するための停止信号を提供するよう構成された検出ユニット(38)と、
を有し、
前記検出ユニット(38)は、前記電気接続ピン(30)の前記移動に基づいて摺動可能な摺動機構(48)を有し、
前記検出ユニット(38)は、前記摺動機構(48)が初期位置に対して前記移動に関する閾値の分だけ摺動した場合に、前記停止信号を提供するよう構成され、
前記摺動機構(48)は、前記電気接続ピン(30)と同軸上に配置されたスリーブを有する、電気プラグ。
【請求項11】
前記検出ユニット(38)は、前記摺動機構(48)の前記初期位置が設定されている場合に、前記電気エネルギーの伝送を開始するための作動信号を提供するよう構成される、請求項10に記載の電気プラグ。
【請求項12】
前記検出ユニット(38)は、前記停止信号および/または前記電気エネルギーの伝送を開始するための作動信号を、前記電気エネルギーの伝送を制御する制御ユニット(40)に提供するよう構成される、請求項10、または11に記載の電気プラグ。
【請求項13】
−請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気プラグ(24)と、
−前記電気プラグ(24)の接続ユニット(36)と電気的に結合された送電線(26)と、
−前記電気プラグ(24)の検出ユニット(38)と電気的に結合され、前記検出ユニット(38)の停止信号および/または作動信号に基づいて前記送電線(26)を介した電気エネルギーの伝送を制御するよう構成された制御ユニット(40)と、
を備えたエネルギー伝送構成(22)。
【請求項14】
前記送電線(26)は、さらに、電気的に駆動可能な車両(10)のトラクションバッテリ(12)と結合され、
前記制御ユニット(40)は、前記停止信号に基づいて前記トラクションバッテリ(12)の充電過程を中断するよう構成される、請求項13に記載のエネルギー伝送構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーの伝送のために送電線と結合可能な接続ユニットと、差込み部と結合部とを有する少なくとも1つの電気接続ピンであって、結合部は接続ユニットと電気的に結合され、差込み部は、割り当てられたソケット接触子との解消可能な差込み接続を確立するよう構成される、上記少なくとも1つの電気接続ピンとを有する電気プラグに関する。
【0002】
さらに、本発明は、冒頭に挙げた形態による電気プラグと、電気プラグの接続ユニットと電気的に結合された送電線とを備えたエネルギー伝送構成に関する。
【背景技術】
【0003】
車両駆動技術の分野では、唯一の駆動部として、または他の種類の原動機(ハイブリッド駆動部)と共に電気機械を利用することが一般に公知である。このような電気自動車またはハイブリッド自動車では、電気機械は、典型的に、例えば蓄電池のような電気エネルギー貯蔵器により電気エネルギーが供給される原動機として利用される。電気自動車またはプラグイン(Plugin)ハイブリッド自動車の電気エネルギー貯蔵器は、当該エネルギー貯蔵器を電気エネルギーで充電するために、充電状態に従って定期的に電気エネルギー供給ネットワークと接続する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電ステーションから車両へと電気エネルギーを伝送するために、例えば、誘導的に結合された無線エネルギー伝送システム、またはケーブルを利用することが可能である。ケーブルを利用する際には、トラクションバッテリを充電するために電気自動車またはハイブリッド自動車を各任意の規格ソケットと接続できる場合には、特に、ユーザにとって使い勝手が良い。しかしながら、このような規格ソケットの場合、充電ケーブルが簡単に抜けることを防ぐ特別な固定装置が存在しない。これにより、充電ケーブルは、充電過程の全負荷(約3.6kW)がかかった状態で抜ける可能性がある。このことは、充電ケーブルのプラグとソケットとの間でアーク放電が発生することに繋がりうる。その結果として、プラグとソケットに損傷が与えられる可能性がある。さらに、利用者が火傷をする危険性が発生する。
【0005】
規格に準拠したEVSE設備(Electric Vehicle Supply Equipment。電気自動車の充電ケーブル)が、対応する差込みコネクタと共に利用される際には、機械的な押しボタンまたは電気機械的なインタロック装置によって、負荷がかかった状態での充電ケーブルの離脱が防止される。例えば、対応する機械的な押しボタンが押されると同時に、充電ケーブルが抜ける前にエネルギー伝送を中断するスイッチが作動される。電気機械的なインタロック装置が利用される際には、このインタロック装置によって、充電過程が正しく終了し、または充電過程がユーザ介入により(例えば、スイッチ作動)中断された場合に初めてプラグが解放される。
【0006】
ただし、電気自動車またはハイブリッド自動車は、特別なEVSE設備でのみ充電することが可能であり、各任意の規格ソケットで充電できるわけではない。したがって、このような車両の操作の快適性は非常に制限される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、電気エネルギーの伝送のために送電線と結合可能な接続ユニットと、差込み部と結合部とを有する少なくとも1つの電気接続ピンであって、結合部は接続ユニットと電気的に結合され、差込み部は、接続ピンとソケット接触子とを電気的に結合させるために、割り当てられたソケット接触子との解消可能な差込み接続を確立するよう構成される、上記少なくとも1つの電気接続ピンと、接続ピンに加えられる牽引力、および/または、ソケット接触子に対する相対的な接続ピンの移動を検出し、エネルギー伝送を中断するための停止信号を提供するよう構成された検出ユニットとを有する、電気プラグを提供する。
【0008】
さらに、本発明は、本発明に係る電気プラグと、電気プラグの接続ユニットと電気的に結合された送電線と、電気プラグの検出ユニットと電気的に結合され、検出ユニットの停止信号および/または作動信号に基づいて送電線を介したエネルギーの伝送を制御するよう構成された制御ユニットとを備えたエネルギー伝送構成を提供する。
【発明の効果】
【0009】
電気プラグの検出ユニットによって、差込み接続の解消を適時に検出し、その結果として、エネルギー伝送を中断するための停止信号を提供することが可能である。これにより、アーク放電の発生が防止される。さらに、利用者にとっては火傷の危険性が生じない。さらに、電気プラグおよび割り当てられたソケット接触子への損傷が回避される。
【0010】
差込み接続を解消するために特別な機械的ボタンを押す必要がないため、電気プラグの操作は非常に簡単である。さらに、いつでもソケット接触子からプラグを抜くことが可能である。プラグがソケット接触子から抜かれる前に、例えば、充電過程が正しく終了するまで、必ずしも待つ必要はない。
【0011】
追加的に、本発明に係る電気プラグは、規格ソケットをソケット接触子として利用する可能性を提供する。これにより、各規格ソケットを、電気自動車の充電のために利用することが可能である。これにより、電気自動車/ハイブリッド自動車の使い易さが著しく向上する。
【0012】
検出ユニットが、牽引力が力に関する閾値を越え、および/または、上記移動が移動に関する閾値を超える場合に、停止信号を提供するよう構成される場合には、特に有利である。
【0013】
この処置によって、差込み接続の解消が確実に検出される。プラグでの僅かな牽引力、またはプラグの小さな移動/振動によっては、エネルギー伝送の停止は起こらない。これにより、エネルギー伝送の安定性を向上させることが可能である。
【0014】
さらなる別の実施形態において、閾値は、少なくとも当該閾値に達するまでは割り当てられたソケット接触子との差込み接続が存続するように、設定される。
【0015】
これにより、エネルギー伝送が既に中断されている場合に初めて、プラグとソケット接触子との間の電気接触が絶たれるということが実現される。この処置によって、もはやアーク放電は発生しえない。その結果として、利用者が火傷する危険性、または予期せず可燃性物質が発火する危険性は生じない。電気プラグが抜けた際に、電気プラグおよび割り当てられたソケット接触子に損傷が与えられることが防止される。
【0016】
さらなる別の実施形態によれば、検出ユニットは力測定素子を有し、この力測定素子は、接続ピンと機械的に結合され、かつ、差込み接続が解消された際の接続ピンとソケット接触子との間の力に基づいて牽引力を検出するよう構成される。
【0017】
本実施形態においては、ソケット接触子で直接的に牽引力が定められる。牽引力が力に関する閾値を超える場合には、差込み接続の解消が検出され、エネルギー伝送を停止するための停止信号が生成される。
【0018】
さらなる別の実施形態において、力測定素子は、差込み接続が確立される際の接続ピンとソケット接触子との間の圧縮力を検出するよう構成され、力に関する閾値は、差込み接続が確立される際に検出された圧縮力の値である。
【0019】
この処置によって、差込み接続の確立のために必要な圧縮力を測定することで、力に関する閾値が非常に簡単に決定される。牽引力が、このように定められた力に関する閾値を超える場合には、差込み接続の解消が非常に信頼性高く推測されうる。
【0020】
さらなる別の実施形態によれば、検出ユニットは、摺動可能な要素を有し、この摺動可能な要素は、予圧力によって初期位置に保たれ、牽引力が予圧力を超える場合に初期位置から移動可能であり、その際に、予圧力は力に関する閾値である。
【0021】
本実施形態において、摺動可能な要素は、牽引力が力に関する閾値を超えるまで初期位置に保たれる。力に関する閾値を越えた際に、摺動可能な要素は初期位置から移動し、差込み接続の解消が検出される。これにより、プラグとソケット接触子との電気接触が絶たれる前に適時に、エネルギー伝送が停止信号によって中断されうる。
【0022】
さらなる別の実施形態において、検出ユニットは、予圧力を提供するためのばね要素を有する。
【0023】
ばね要素によって、予圧力が非常に簡単に、かつ安価に提供される。
【0024】
さらなる別の実施形態において、検出ユニットは、接続ピンの移動に基づいて摺動可能な摺動機構を有し、検出ユニットは、摺動機構が初期位置に対して移動に関する閾値の分だけ摺動した場合に、停止信号を提供するよう構成される。
【0025】
本実施形態において、摺動機構が、移動に関する閾値の分だけ、すなわち所定の区間の分だけ初期位置に対して摺動され次第、差込み接続の解消が検出される。移動に関する閾値は有利に、この摺動後の位置でもプラグが未だソケット接触子と電気的に接続しているように選択される。したがって、場合によっては生じるアーク放電による、プラグまたはソケット接触子への損傷が回避される。
【0026】
さらなる別の実施形態によれば、検出ユニットは、摺動機構の初期位置が設定されている場合に、エネルギー伝送を開始するための作動信号を提供するよう構成される。
【0027】
摺動機構によって、プラグが完全にソケット接触子内に収容されているかどうかを非常に簡単に検出することが可能である。摺動機構が初期位置にある場合には、差込み接続の確立が検出され、エネルギー伝送を開始するために作動信号が生成される。
【0028】
さらなる別の実施形態において、検出ユニットはさらなる別のばね要素を有し、このさらなる別のばね要素は、接続ピンの移動に対応して摺動機構を摺動させるために、摺動機構に対して力を加えるよう構成される。
【0029】
この処置によって、摺動機構は、少なくとも所定の領域に渡って接続ピンの移動と同期して(ソケット接触子に対して相対的に)摺動される。これにより、差込み接続の解消/確立が確実に検出されうる。
【0030】
さらなる別の実施形態において、摺動機構は接続ピンと同軸上に配置されたスリーブを有する。
【0031】
これは、摺動機構の簡単かつ安価な実現である。
【0032】
さらなる別の実施形態において、検出ユニットは、停止信号および/または作動信号を、エネルギー伝送を制御する制御ユニットに提供するよう構成される。
【0033】
検出ユニットと結合された制御ユニットは、提供された停止信号/作動信号を利用して、エネルギー伝送を停止または開始することが可能である。制御ユニットとして、例えば、電気自動車の既存の充電装置を利用することが可能である。代替的に、エネルギー伝送構成の一部として(例えば、充電ケーブルの一部として)構成された別の制御装置が設けられてもよい。
【0034】
エネルギー伝送構成の一実施形態において、送電線はさらに、電気的に駆動可能な車両のトラクションバッテリと結合され、制御ユニットは、停止信号に基づいてトラクションバッテリの充電過程を中断するよう構成される。
【0035】
これは、本発明に係るエネルギー伝送構成の好適な実施形態である。その際に、送電線は、好適に適切な充電装置によってトラクションバッテリと結合される。これにより、電気的に駆動される車両は、各任意の規格ソケットで充電可能である。特別なアンロック/インタロックの仕組みは必要ではない。電気プラグは常時、割り当てられたソケット接触子から分離可能であり、その際に、アーク放電の危険性が生じることはない。
【0036】
本発明に係る電気プラグの特徴、特性、および利点は、本発明に係るエネルギー伝送構成にも対応して当てはまりまたは適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】エネルギー伝送構成によって充電ステーションと結合可能な電気的に駆動される車両を概略的に示す。
【
図2】電気プラグを備えたエネルギー伝送構成の概略的な詳細図を示す。
【
図3】本実施形態に係る電気プラグの一実施形態を示す。
【
図4】本実施形態に係る電気プラグの一実施形態を示す。
【
図5】本実施形態に係る電気プラグの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1には、電気自動車が概略的に示されており、全体として符号10が付されている。代替的な実施例において、車両10は、プラグインハイブリッド自動車であってもよい。電気自動車10は、典型的に、原動機として利用される
図1には詳細に示されない電気的な回転磁界機器を有する。さらに、電気自動車10は、この電気的な回転磁界機器の駆動のために電気エネルギーを提供するトラクションバッテリ12を有する。トラクションバッテリ12は、電気自動車10が特定時間の間駆動された後に再び充電される必要がある。このために、電気自動車10は充電ステーション14に接続され、この充電ステーション14自体は、電気的なエネルギー供給ネットワーク16と結合されている。充電ステーション14はソケット接触子18を有し、このソケット接触子18は、本例では規格ソケットに相当し、電気自動車10を充電ステーション14に接続する役目を果たす。さらに、充電ステーション14は、エネルギー伝送ユニット20を有し、このエネルギー伝送ユニット20によって、ソケット接触子18がエネルギー供給ネットワーク16と結合される。
【0039】
電気自動車10を充電するために、トラクションバッテリ12は、エネルギー伝送構成22によって、すなわち本例では充電ケーブル22によって充電ステーション14と電気的に接続される。充電ケーブル22は、電気プラグ24と、1の末端でプラグ24と電気的に結合された送電線26とを有する。送電線26の他の末端は、充電装置27によって、電気自動車10のトラクションバッテリ12と電気的に接続されている。電気自動車10とエネルギー供給ネットワーク16との間の電気接触を確立するために、プラグ24がソケット接触子18に差し込まれる。
【0040】
(例えば、電気自動車10で走行することが必要であるために)トラクションバッテリ12の充電過程を終了するためには、プラグ24をソケット接触子18から外す必要がある。本発明に基づいて、プラグ24は、電気プラグ24とソケット接触子18との間の差込み接続の解消を早期に検出し、当該検出に基づいて停止信号を提供し、プラグ24とソケット接触子18との間の電気接続が絶たれる前に、トラクションバッテリ12とエネルギー供給ネットワーク16との間のエネルギー伝送を中断するよう構成される。これにより、プラグ24とソケット接触子18との間でアーク放電が発生することが回避されうる。したがって、充電ケーブル22の利用者にとっては火傷の危険性が生じない。さらに、プラグ24とソケット接触子18が損傷から護られる。
【0041】
より詳細な解説のために、
図2に、エネルギー伝送構成22または充電ケーブル22の詳細図が示される。
【0042】
プラグ24は、プラグハウジング28を有し、このプラグハウジング28内には2つの接続ピン30a、30b(電気接続ピン)が部分的に収容されている。接続ピン30aは、差込み部32aと結合部34aとを有し、接続ピン30bは、差込み部32bと結合部34bとを有する。差込み部32a、32bは、接続ピン30a、30bとソケット接触子18とを電気的に結合するために、ソケット接触子18との解消可能な差込み接続を確立するよう構成される。結合部34a、34bは、接続ユニット36と結合されており、接続ユニット36は、電気エネルギーの伝送のために、接続ピン30a、30bを送電線26と電気的に結合する。
【0043】
本発明に基づいて、電気プラグ24は検出ユニット38をさらに有し、この検出ユニット38は、接続ピン30に対して加えられる牽引力を検出するよう構成される。追加的または代替的に、検出ユニット38は、ソケット接触子18に対する相対的な接続ピン30の移動を検出するよう構成されてもよい。
【0044】
プラグ24がソケット接触子18から抜かれる場合には、プラグ24に対して特定の牽引力が加えられるに違いない。検出ユニット38は、例えば、接続ピン30に作用する力を検出して、力に関する閾値と比較する。測定された牽引力が力に関する閾値を超える場合には、プラグ24とソケット接触子18との間の差込み接続の解消が検出される。その結果として、検出ユニット38は停止信号を生成して、制御ユニット40に伝達する。停止信号に基づいて、制御ユニット40は、接続ピン30とソケット接触子18との間の電気接続が絶たれる前に、エネルギー供給ネットワーク16とトラクションバッテリ12との間のエネルギー伝送を中断する。したがって、アーク放電は防止される。制御ユニット40は、本実施例では、プラグ24と共に充電ケーブル22の一部を形成する別体のユニットとして設けられる。代替的な実施形態において、電気自動車10内に既に存在する充電装置が、停止信号に従ってエネルギー伝送を制御するために使用されてもよい。
【0045】
さらに、検出ユニット38を利用して、ソケット接触子18に対する相対的な接続ピン30の移動を検出するという可能性が生じる。電気プラグとソケット接触子18との間の差込み接続が解消される場合には、接続ピン30はソケット接触子18から抜かれているに違いない。接続ピン30の検出された移動が、予め定められた移動に関する閾値(すなわち、予め定められた最大移動区間)を超える場合には、差込み接続の解消が検出されて、制御ユニット40に伝えられる。
【0046】
その際には、有利に、接続ピン30とソケット接触子18との間の電気接触が絶たれる前に、差込み接続の解消を検出しこれによりトラクションバッテリ12とエネルギー供給ネットワーク16との間のエネルギー伝送を停止しうるように、力に関する閾値および移動に関する閾値の大きさが設定される。ただし、上記閾値は、エネルギー伝送を安定させるために、プラグ24が僅かに振動しただけでトラクションバッテリ12の充電過程が中断されないような大きさに選択される必要がある。
【0047】
さらに、プラグ24がソケット接触子18に差し込まれているか、したがってプラグ24が差込み過程の終りにソケット接触子18内に完全に収容されているかを、検出ユニット38によって確認することが可能である。このために、検出ユニット38は、ソケット接触子18に対する相対的な接続ピン30の移動を検出する。ソケット接触子18に対して相対的な特定の位置に接続ピン30が達した際には、ソケット接触子18へのプラグ24の差込みが検出され、作動信号が生成され、トラクションバッテリ12の充電過程を開始するために制御ユニット40へと転送される。
【0048】
エネルギー伝送の、制御された作動または停止によって、充電ケーブル22の可能な限り高い動作信頼性が保証される。
【0049】
以下の
図3〜
図5では、電気プラグ24と特に本発明に係る検出ユニット38との様々な実施形態が概略的に示されている。以下の図では、検出ユニット38の様々な実現形態に焦点が当てられるため、プラグ24の他の構成要素は、分かり易さのために
図3〜
図5には示されない。
【0050】
図3は、ソケットハウジング28と接続ピン30とを備えたプラグ24を示している。本実施例では、検出ユニット38は、接続ピン30a、30bとそれぞれ機械的に結合された力測定素子42a、42bを有する。この力測定素子42によって、差込み接続が解消/確立される際に接続ピン30に対して加えられる力が測定されうる。例えば、プラグ24がソケット接触子18から抜かれる場合には、力測定素子42は、接続ピン30に対して加えられる牽引力を測定する。測定された牽引力が、予め定められた力に関する閾値を超える場合には、差込み接続の解消が検出され、停止信号が制御ユニット40に伝達される。本実施形態では、力に関する閾値は有利に、力測定素子42が差込み接続の確立時の圧縮力を検出するように定められる。検出された圧縮力は、力に関する閾値として検出ユニット38に格納される。本実施形態では、差込み接続の解消時に検出された牽引力が、差込み接続の確立時の圧縮力を上回る場合に、停止信号が制御ユニット40に伝達される。その際に、牽引力が、プラグを直接抜くことによって生じるか、または、送電線26を引っぱることによって生じるかは重要ではない。
【0051】
図4には、本発明に係るプラグ24のさらなる別の実施形態が示されている。検出ユニット38は、摺動可能な要素28’を有し、この摺動可能な要素28’は本例では、プラグハウジング28’またはプラグハウジング28’の一部に相当する。この摺動可能な要素は、
図4では矢印44a、44bで示されるように、接続ピン30に対して摺動可能に保持される。検出ユニット38はさらにばね要素46a、46bを有し、このばね要素46a、46bは、
図4に示される初期位置に摺動可能な要素28’を保つために、当該摺動可能な要素28’に対して力を加える。
【0052】
ソケット接触子18から電気プラグ24が抜かれる際には、ソケットハウジング28’または摺動可能な要素28’に対して牽引力が加えられる。この牽引力が、ばね要素により提供される予圧力であって、本実施例では力に関する閾値に相当する上記予圧力を上回る場合には、摺動可能な要素28’は、
図4に示される初期位置から右に動かされる。これにより、例えば、
図4では詳細には示されない検出ユニット38のスイッチが作動され、このスイッチが停止信号を生成する。したがって、接続ピン30とソケット接触子18との間の電気接続が絶たれる前に、送電線26を介したエネルギー伝送が、制御ユニット40によって中断されうる。
【0053】
図5には、本発明に係るプラグ24のさらなる別の実施形態が示されている。検出ユニット38は、接続ピン30に対して摺動可能に(
図5の矢印50a、50b参照)保持される摺動機構48a、48bを有する。この摺動機構48a、48bは、本実施例では、各接続ピン30a、30bと同軸上に配置されるスリーブ48a、48bとして構成される。さらに、検出ユニット38は、さらなる別のばね要素52a、52bを有し、このさらなる別のばね要素52a、52bは、プラグハウジング28で支持され、スリーブ48a、48に対して圧縮力(図では左方向の力)を加える。
【0054】
プラグ24がソケット接触子18に差し込まれる場合には、スリーブ48は、ソケット接触子18の基部で支持される。これにより、スリーブ48は、差込み過程を経て完全にプラグハウジング28内に押し込まれる。予め定められた最終位置にスリーブ48が到達し次第、検出ユニット38によって、ソケット接触子18へのプラグ24の差込みが検出され、作動信号が制御ユニット40に伝達される。この作動信号に基づいて、制御ユニット40は、エネルギー伝送を開始することが可能である。
【0055】
ソケット接触子18からプラグ24が抜かれる際には、スリーブ48は、さらなる別のばね要素52によって、プラグハウジング28から再び押し出される。この移動の際にスリーブ48が、予め定められた区間、すなわち予め定められた移動に関する閾値を超える場合には、差込み接続の解消が検出ユニット38によって検出されて停止信号が生成され、停止信号が、エネルギー伝送を停止するために制御ユニット40へと伝達される。
【0056】
したがって、本実施形態では、ソケット接触子18に対する相対的な接続ピン30の移動が、スリーブ48を利用して検出される。この検出された接続ピン30の移動に従って停止信号/作動信号が生成される。
【0057】
本発明に係るプラグ24と本発明に係るエネルギー伝送構成22との好適な実施形態を示してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更および修正を行うことが可能であると理解されたい。
【0058】
例えば、検出ユニット38によって、制御ユニット40内で所定の閾値との比較により評価される力測定信号または移動信号のみが提供されてもよい。これにより、制御ユニット40内では差込み接続の解消/確立が検出され、その結果としてエネルギー伝送の開始/停止が始められる。
【0059】
さらに、検出ユニット38の複数の様々な実施形態を組み合わせるという可能性もあり、これにより、差込み接続の解消/確立についての検出の信頼性が向上する。
【0060】
さらに、本発明に係るプラグ24または本発明に係るエネルギー伝送構成22は、電気自動車/プラグインハイブリッド自動車の充電ケーブルのみならず、例えば、家電または電気工具のような任意の電気機器でも使用することが可能である。電力消費量が高いあらゆる電気機器で本発明に係る電気プラグを利用することは特に有利である。