特許第5933144号(P5933144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5933144
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01H 11/08 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   G01H11/08 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-502136(P2016-502136)
(86)(22)【出願日】2015年9月15日
(86)【国際出願番号】JP2015076119
【審査請求日】2016年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-188837(P2014-188837)
(32)【優先日】2014年9月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】湯本 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 美智子
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−126622(JP,A)
【文献】 実開平7−8732(JP,U)
【文献】 実開平6−33032(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシングと、
検出針と、底壁に上記検出針の後端が挿入されて固定される有底筒状のホルダーと、該ホルダー内の上記検出針の後方に配置され、該検出針の後端に接する圧電素子と、上記ホルダー内に保持され、上記圧電素子を上記検出針の後端に押し付ける押付け部材とを有し、上記ケーシングに挿入される振動検出ユニットと、
上記振動検出ユニットの後方側に配置されると共に上記ホルダーに接して該ホルダーを前方へ付勢し、上記検出針の先端を上記ケーシングから突出させるバネとを備え、上記検出針の先端を測定対象物に押し当てて該測定対象物の振動を検出する
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置において、
上記ホルダーは、その軸方向途中において筒状壁から外方へ突出するバネ受け部が形成され、
上記バネは、上記ホルダーのバネ受け部に接している
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサ装置において、
上記ホルダーは、内側の金属製ホルダーと、該金属製ホルダーを収容保持する外側の樹脂製ホルダーとで構成され、
上記バネは、上記樹脂製ホルダーに接している
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ装置において、
上記金属製ホルダーは、筒状に形成されており、筒状壁の軸方向における一部であって周方向における一部から外方へ突出する突片を有し、
上記樹脂製ホルダーは、筒状に形成されており、内周面の周方向における一部には、上記金属製ホルダーを上記樹脂製ホルダーに挿入し回転させることにより上記突片が挿入されて上記金属製ホルダーが上記樹脂製ホルダーに保持される周方向溝が形成されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、測定対象物に押し当てて測定対象物の振動を検出するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、測定対象物に押し当てて振動を検出するセンサ装置が知られている。このセンサ装置は、筒状のケーシングと、該ケーシングに収容される振動検出ユニット(感振素子)とを備えている。振動検出ユニットは、検出針の後端に圧電素子(電極板含む)、ウエイトおよび防振ゴム等が順に挿入されてナットで固定されている。また、ケーシングには、振動検出ユニットを後方から付勢して検出針の先端をケーシングから突出させるバネが収容されている。このセンサ装置では、検出針の先端を測定対象物に当ててケーシング内に押し込むことにより、測定対象物の振動が検出針に伝わり、圧力変動として圧電素子に作用し電圧変動が生じる。そして、電圧変動に関する信号が電極板から信号処理回路に送られて測定対象物の振動が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−170387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1のセンサ装置では、測定対象物の振動を正確に検出することができない場合があった。即ち、上述したセンサ装置では、バネが防振ゴムに接続されて振動検出ユニットを付勢しているところ、バネの付勢力が防振ゴムおよびウエイトを順に介して圧電素子に作用する。そのため、圧電素子には測定対象物に関する圧力変動以外の圧力変動が外乱として作用することとなり、圧電素子では外乱に関する電圧変動を含んだ電圧変動が生じてしまう。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バネによって振動検出ユニットを付勢して検出針の先端を突出させつつも、測定対象物の振動を正確に検出することが可能なセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願のセンサ装置は、筒状のケーシングと、振動検出ユニットと、バネとを備えている。上記振動検出ユニットは、検出針と、底壁に上記検出針の後端が挿入されて固定される有底筒状のホルダーと、該ホルダー内の上記検出針の後方に配置され、該検出針の後端に接する圧電素子と、上記ホルダー内に保持され、上記圧電素子を上記検出針の後端に押し付ける押付け部材とを有し、上記ケーシングに挿入されている。上記バネは、上記振動検出ユニットの後方側に配置されると共に上記ホルダーに接して該ホルダーを前方へ付勢し、上記検出針の先端を上記ケーシングから突出させるものである。そして、本願のセンサ装置は、上記検出針の先端を測定対象物に押し当てて該測定対象物の振動を検出するものである。
【発明の効果】
【0007】
本願のセンサ装置によれば、ホルダーがバネによって前方へ付勢されることにより、振動検出ユニット全体が前方へ付勢される。そして、ホルダー(振動検出ユニット)が前方へ付勢されることで、検出針の先端がケーシングから突出する。ここで、バネはホルダーに接して該ホルダーを前方へ付勢するため、ホルダーに収容されている圧電素子にバネの付勢力は作用しない。つまり、振動検出ユニットを前方へ付勢するバネの付勢力が圧電素子に外乱として作用するのを阻止することができる。以上より、バネによって振動検出ユニットを付勢して検出針の先端をケーシングから突出させつつも、測定対象物の振動を正確に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るセンサ装置の概略構成を示す正面図である。
図2図2は、実施形態1に係るセンサ本体の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、実施形態2に係るセンサ本体の概略構成を示す断面図である。
図4図4は、実施形態3に係るセンサ本体の概略構成を示す断面図である。
図5図5は、実施形態3に係るホルダーの概略構成を示す分解斜視図である。
図6図6は、実施形態3に係る金属製ホルダーの概略構成を示す平面図である。
図7図7は、実施形態3に係る樹脂製ホルダーの概略構成を示す正面図である。
図8図8は、実施形態3に係る樹脂製ホルダーの概略構成を示す平面図である。
図9図9は、実施形態3に係るホルダーの概略構成を示す斜視図である。
図10図10は、実施形態3に係るホルダーの概略構成を示す斜視図である。
【0009】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
(実施形態1)
本願の実施形態1について図1および図2を参照しながら説明する。図1に示す本実施形態のセンサ装置1は、図示しない固定器具に連結して測定対象物(例えば、スチームトラップ)に固定し、該測定対象物の振動および温度の2つを検出する、いわゆる固定タイプのセンサである。センサ装置1は、例えば上下方向に延びる状態で測定対象物に固定される。
【0011】
センサ装置1は、センサ本体2と、アンテナ3と、接続軸4とを備えている。接続軸4は、中空軸であり、両端がナット5,6によってセンサ本体2とアンテナ3に連結されている。アンテナ3は、図示しないが、信号処理回路や発信部が内蔵されており、センサ本体2によって検出された測定対象物の振動および温度に関する信号が送られる。
【0012】
図2に示すように、センサ本体2は、ケーシング10と、振動検出ユニット20と、温度検出ユニット40(熱電対ユニット)とを備えている。
【0013】
ケーシング10は、略円筒状に形成され、大径部11、中径部12および小径部13を有する。大径部11の外周面には、上述したナット5が締結される雄ねじ部11aが形成されている。小径部13の外周面には、上述した固定器具に締結される雄ねじ部13aが形成されている。
【0014】
振動検出ユニット20は、検出針21と、ホルダー22と、圧電素子25,26と、電極板27,28と、ウエイト29と、皿バネ31と、キャップ32とを備え、ケーシング10に挿入されて測定対象物の振動を検出(測定)するものである。
【0015】
検出針21は、細長い棒状の部材であり、後方側から順に、大径部21a、中径部21bおよび小径部21cが形成されている。検出針21は、ケーシング10と同軸に配置されると共に、先端21dがケーシング10から突出する状態で配置されている。
【0016】
ホルダー22は、内側の金属製ホルダー23と、該金属製ホルダー23を収容保持する外側の樹脂製ホルダー24とで構成されている。金属製ホルダー23および樹脂製ホルダー24は、何れも、有底の円筒状に形成されており、ケーシング10と同軸に配置されている。
【0017】
金属製ホルダー23は、筒状壁の径が異なる大径部23aおよび小径部23bが後方側から順に形成されると共に、底壁23cに挿入孔23dが形成されている。金属製ホルダー23は、底壁23cの挿入孔23dに検出針21の後端が挿入されて固定されている。具体的に、検出針21は、大径部21aが金属製ホルダー23の小径部23b内に位置し、中径部21bの後方側が底壁23cの挿入孔23dに位置している。検出針21の大径部21aは、挿入孔23dよりも大径に形成されており、底壁23cの内面に接している。
【0018】
金属製ホルダー23の小径部23bには、検出針21の後方に、2つの圧電素子25,26および2つの電極板27,28が収容されている。具体的に、検出針21の大径部21aの後方には、前方側から順に、第1圧電素子25、第1電極板27、第2圧電素子26および第2電極板28が互いに接した状態で配置されている。第1圧電素子25は、検出針21の後端(大径部21a)に接した状態で配置されている。なお、金属製ホルダー23の小径部23bの内面には、圧電素子25,26および電極板27,28の外周を保持するガイド部23eが形成されている。また、2つの電極板27,28は、図示しないが、それぞれ信号線によってアンテナ3の信号処理回路に接続されている。つまり、信号線はセンサ本体2から接続軸4内を通ってアンテナ3内まで配線されている。
【0019】
ウエイト29、皿バネ31およびキャップ32は、金属製ホルダー23内に収容されて保持されている。本実施形態において、ウエイト29、皿バネ31およびキャップ32は、圧電素子25,26および電極板27,28をその後方から検出針21の後端(大径部21a)に押し付けるものであり、本願の請求項に係る押付け部材を構成している。
【0020】
ウエイト29は、金属製ホルダー23において第2電極板28の後方に配置されており、金属製ホルダー23の大径部23aと小径部23bとに跨って収容されている。ウエイト29は、一体形成された頭部29aと軸部29bとで構成され、頭部29aが金属製ホルダー23の大径部23aに位置し、軸部29bが金属製ホルダー23の小径部23bに位置して第2電極板28に接している。ウエイト29は、自身の重力によって圧電素子25,26等を検出針21に押し付ける。皿バネ31は、金属製ホルダー23の大径部23aにおいてウエイト29の後方に配置されている。皿バネ31は、ウエイト29を前方へ付勢することによって圧電素子25,26等を検出針21に押し付ける。キャップ32は、金属製ホルダー23の大径部23aにおいて皿バネ31の後方に2つ配置されている。キャップ32は、外周面に雄ネジが形成された円板状の部材であり、金属製ホルダー23の大径部23aの内面と螺合することで金属製ホルダー23に固定される。キャップ32は、その締め付け力によって皿バネ31およびウエイト29を介して圧電素子25,26等を検出針21に押し付ける。このように、ウエイト29、皿バネ31およびキャップ32は、互いに密接して圧電素子25,26等を検出針21に押し付けている。
【0021】
こうして、圧電素子25,26が押付け部材(ウエイト29、皿バネ31およびキャップ32)によって検出針21に所定の力(初期押付け力)で押し付けられる。これにより、測定対象物以外の振動や力が外乱として圧電素子25,26に作用しても、その外乱を吸収することができ、外乱による影響を受けずにすむ。
【0022】
樹脂製ホルダー24は、金属製ホルダー23の前方側に配置され、金属製ホルダー23の小径部23bを収容している。本実施形態では、金属製ホルダー23はその小径部23bが樹脂ホルダー22に圧入されることにより固定(保持)されている。樹脂製ホルダー24は、底壁24aに挿入孔24bが形成されており、その挿入孔24bに検出針21の中径部21bが嵌合している。
【0023】
温度検出ユニット40は、接触板41(伝熱板)と、保持部材42とを備え、測定対象物の温度を検出(測定)するものである。接触板41は、略環状の板部材である。保持部材42は、検出針21の小径部21cと接触板41を保持するものである。保持部材42は、略円筒状に形成され、ケーシング10の小径部13の先端側に収容(挿入)されている。接触板41は、保持部材42の先端に保持されている。
【0024】
保持部材42には、それぞれ軸方向に延びる、1つの検出針用孔43と、2つの熱電対線用孔44,45とが形成されている。検出針用孔43は、保持部材42の中央に形成された貫通孔であり、検出針21の小径部21cが挿入されている。熱電対線用孔44,45は、検出針用孔43を間に置いて180°ずれた位置に形成された貫通孔であり、2本の熱電対線(図示省略)が挿通されている。この2本の熱電対線は、一端が接触板41に接続され、他端がアンテナ3の信号処理回路に接続されている。また、ケーシング10内には保持部材42をケーシング10の先端側へ付勢するコイルバネ48が設けられている。
【0025】
そして、センサ本体2は、振動検出ユニット20を前方へ付勢するコイルバネ35を備えている。コイルバネ35は、本願の請求項に係るバネを構成している。振動検出ユニット20は、ケーシング10の軸方向(即ち、前後方向)に変位可能にケーシング10に挿入されている。コイルバネ35は、ケーシング10の大径部11に収容され、振動検出ユニット20の後方側に配置されている。コイルバネ35は、その軸がケーシング10の軸と略同軸となる状態で配置されている。コイルバネ35の一端(後方側端部)は、スナップリング36に支持されている。スナップリング36は、ケーシング10の大径部11の内面に形成された溝11bに嵌め込まれており、コイルバネ35の一端を受けている。
【0026】
一方、コイルバネ35の他端(前方側端部)は、振動検出ユニット20のホルダー22に接している。そして、コイルバネ35は、ホルダー22を前方へ付勢することで振動検出ユニット20を前方へ付勢し、検出針21の先端21dをケーシング10から突出させるように構成されている。具体的に、金属製ホルダー23は、大径部23aの筒状壁から外方(径方向外方)へ突出するバネ受け部23fが形成されている。つまり、バネ受け部23fは、ホルダー22の軸方向途中の筒状壁から外方へ突出して形成されている。コイルバネ35の他端は、金属製ホルダー23のバネ受け部23fの後方側の面に接している。そして、コイルバネ35は金属製ホルダー23を前方へ付勢することで振動検出ユニット20を前方へ付勢する。
【0027】
振動検出ユニット20は、コイルバネ35によって前方へ付勢されて検出針21の先端21dが所定長さだけ突出した状態では、バネ受け部23fがケーシング10の大径部11と中径部12との段差部に接している。つまり、この段差部に金属製ホルダー23のバネ受け部23fが接することにより、振動検出ユニット20の前方への変位動作が規制される。
【0028】
上述したセンサ装置1では、検出針21の先端21dを測定対象物に押し当てて検出針21を押し込むことによって、測定対象物の機械的振動が検出針21に伝わり、圧力変動として圧電素子25,26に作用する。これに応じて圧電素子25,26に電圧変動が生じ、この電圧変動に関する信号が電極板27,28から信号線を介してアンテナ3の信号処理回路に送られて測定対象物の振動が検出(測定)される。また、センサ装置1では、測定対象物の熱(高温熱)が接触板41に伝わり、2本の熱電対線において電位差が生じる。そして、この電位差に関する信号がアンテナ3の信号処理回路に送られて測定対象物の温度が検出(測定)される。つまり、本実施形態の温度検出ユニット40は検出針21が押し込まれることによって測定対象物に接して該測定対象物の温度を検出する。以上のようにして検出された測定対象物の振動および温度の数値は、アンテナ3の発信部から別の受信部(図示省略)へ無線送信される。
【0029】
以上のように、上記実施形態1のセンサ装置1によれば、コイルバネ35がホルダー22(金属製ホルダー23)に接して該ホルダー22を前方へ付勢することで、振動検出ユニット20を前方へ付勢して検出針21の先端21dをケーシング10から突出させるようにした。これにより、ホルダー22(金属製ホルダー23)に収容されている圧電素子25,26にコイルバネ35の付勢力は作用しない。つまり、振動検出ユニット20を前方へ付勢するコイルバネ35の付勢力が外乱として圧電素子25,26に作用するのを阻止することができる。したがって、コイルバネ35によって振動検出ユニット20を付勢して検出針21の先端21dをケーシング10から突出させつつも、測定対象物の振動を正確に検出することが可能である。
【0030】
また、上記実施形態1のセンサ装置1によれば、ホルダー22(金属製ホルダー23)において軸方向途中の筒状壁から外方へ突出するバネ受け部23fを形成し、そのバネ受け部23fにコイルバネ35が接してホルダー22を前方へ付勢するようにした。この構成により、振動検出ユニット20は、図2に示すように、バネ受け部23fよりも後方側の部分がコイルバネ35に挿入された状態で配置することができる。したがって、例えばコイルバネがホルダー(金属製ホルダー)の後方端に接してホルダーを前方へ付勢する場合に比べて、ケーシング10の軸方向(即ち、前後方向)の長さを短縮することが可能である。
【0031】
(実施形態2)
本願の実施形態2について図3を参照しながら説明する。本実施形態は、上記実施形態1のセンサ本体2において、ホルダーの構成を変更すると共に、コイルバネ35の付勢箇所を変更するようにしたものである。ここでは、その変更点について説明する。
【0032】
本実施形態のホルダー52は、上記実施形態1と同様、内側の金属製ホルダー53と、該金属製ホルダー53を収容保持する外側の樹脂製ホルダー54とで構成されており、両ホルダー53,54は何れも、有底の円筒状に形成されており、ケーシング10と同軸に配置されている。
【0033】
金属製ホルダー53は、バネ受け部23fが省略されている点以外は上記実施形態1のものと同様の構成である。即ち、本実施形態の金属製ホルダー53は、筒状壁の径が異なる大径部53aおよび小径部53bが後方側から順に形成されると共に、底壁53cに検出針21の後端が挿入されて固定される挿入孔53dが形成されている。金属製ホルダー53内において、圧電素子25,26、電極板27,28、ウエイト29、皿バネ31およびキャップ32の配置および構成は上記実施形態1と同様である。なお、金属製ホルダー53の小径部53bの内面には、上記実施形態1と同様、圧電素子25,26および電極板27,28の外周を保持するガイド部53eが形成されている。
【0034】
樹脂製ホルダー54は、金属製ホルダー53の前方側に配置され、金属製ホルダー53の小径部53bと大径部53aの過半部を収容している。また、本実施形態においても、金属製ホルダー53はその小径部53bが樹脂製ホルダー54に圧入されることにより固定(保持)されている。樹脂製ホルダー54は、上記実施形態1と同様、底壁54cに検出針21の中径部21bが嵌合する挿入孔54dが形成されている。
【0035】
本実施形態において、コイルバネ35は樹脂製ホルダー54に接して該樹脂製ホルダー54を前方へ付勢するように構成されている。つまり、本実施形態では、コイルバネ35の一端(後方側端部)は上記実施形態1と同様にスナップリング36に支持され、コイルバネ35の他端(前方側端部)は樹脂製ホルダー54に接している。そして、コイルバネ35は、樹脂製ホルダー54(ホルダー52)を前方へ付勢することで振動検出ユニット20を前方へ付勢し、検出針21の先端21dをケーシング10から突出させるように構成されている。具体的に、樹脂製ホルダー54は、側壁54aの端部(後方端)に厚肉のバネ受け部54bが形成されている。つまり、バネ受け部54bは、ホルダー52の軸方向途中の筒状壁から外方へ突出して形成されている。なお、バネ受け部54bの外周面はケーシング10の大径部11の内面に接している。コイルバネ35の他端は、樹脂製ホルダー54のバネ受け部54bの後方側の面に接している。こうして、コイルバネ35は樹脂製ホルダー54を前方へ付勢することで振動検出ユニット20を前方へ付勢する。
【0036】
上記実施形態2のセンサ装置1によれば、コイルバネ35が樹脂製ホルダー54に接して該樹脂製ホルダー54を付勢するようにしたため、測定対象物以外の振動や力が外乱として検出針21に作用するのを抑制することができる。即ち、測定対象物以外の振動や力がケーシング10およびコイルバネ35を介して樹脂製ホルダー54に伝わっても、該ホルダー54は樹脂製であるため該ホルダー54に伝わった振動や力は減衰される。そのため、外乱が樹脂製ホルダー54から検出針21に作用するのを抑制することが可能である。これにより、測定対象物の振動をより正確に検出することが可能である。その他の作用および効果は、上記実施形態1と同様である。
【0037】
(実施形態3)
本願の実施形態3について図4図10を参照しながら説明する。本実施形態は、上記実施形態1のセンサ本体2において、ホルダーの構成を変更すると共に、コイルバネ35の付勢箇所を変更するようにしたものである。ここでは、その変更点について説明する。
【0038】
図4に示すように、本実施形態のホルダー62は、上記実施形態1と同様、内側の金属製ホルダー63と、該金属製ホルダー63を収容保持する外側の樹脂製ホルダー64とで構成されている。金属製ホルダー63は略円筒状に形成され、樹脂製ホルダー64は有底の略円筒状に形成されており、両ホルダー63,64はケーシング10と同軸に配置されている。
【0039】
金属製ホルダー63は、筒状壁の径が異なる大径部63a、中径部63bおよび小径部63cが後方側から順に形成されており、小径部63cに検出針21の後端が挿入されて固定されている。具体的に、検出針21は、大径部21aが金属製ホルダー63の中径部63b内に位置し、中径部21bの後方側が小径部63cに挿入されている。検出針21の大径部21aは、小径部63cの内径よりも大径に形成されており、中径部63bと小径部63cとの段差部に接している。金属製ホルダー63内において、圧電素子25,26、電極板27,28、ウエイト29、皿バネ31およびキャップ32の配置および構成は上記実施形態1と同様である。
【0040】
樹脂製ホルダー64は、金属製ホルダー63の前方側に配置され、金属製ホルダー63の小径部63cおよび中径部63bと大径部63aの過半部を収容している。具体的に、樹脂製ホルダー64は、筒状壁64aの径が異なる大径部64bおよび小径部64cが後方側から順に形成されている。樹脂製ホルダー64内において、大径部64bに金属製ホルダー63の大径部63aが位置し、小径部64cに金属製ホルダー63の中径部63bおよび小径部63cが位置している。そして、樹脂製ホルダー64の底壁64dには、上記実施形態1と同様、検出針21の中径部21bが嵌合する挿入孔64eが形成されている。
【0041】
本実施形態では、樹脂製ホルダー64における金属製ホルダー63の保持態様が上記実施形態1と異なる。図5および図6にも示すように、金属製ホルダー63は、2つの突片63dを有している。突片63dは、金属製ホルダー63の筒状壁の軸方向における一部であって周方向における一部から径方向外方へ突出している。突片63dは、大径部63aの筒状壁から突出している。2つの突片63dは、筒状壁の周方向において互いに対向する位置(即ち、互いに180°ずれた位置)に設けられ、周方向に延びる片である。一方、樹脂製ホルダー64は、図5図7および図8にも示すように、筒状壁64aの内周面に2つの軸方向溝64fと2つの周方向溝64gが形成されている。2つの軸方向溝64fは、樹脂製ホルダー64の軸方向に延びる溝であり、大径部64bにおいて後方端から概ね軸方向中央まで延びている。2つの軸方向溝64fは、大径部64b(筒状壁64a)の周方向において互いに対向する位置(即ち、互いに180°ずれた位置)に設けられている。2つの周方向溝64gは、大径部64bにおいて軸方向溝64fよりも前方側に設けられると共に、大径部64bの周方向における一部に設けられている。2つの周方向溝64gは、大径部64bの周方向に延びる溝であり、互いに対向する位置(即ち、互いに180°ずれた位置)に設けられている。軸方向溝64fと周方向溝64gとは、互いに90°ずれて位置している。なお、本実施形態において、突片63d、軸方向溝64fおよび周方向溝64gの数は上述したものに限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0042】
本実施形態では、図5に示すように金属製ホルダー63が樹脂製ホルダー64に後方側から挿入される。この挿入時には、金属製ホルダー63の突片63dは樹脂製ホルダー64の軸方向溝64fに挿入される。そして、金属製ホルダー63が樹脂製ホルダー64の底壁64dに接するまで挿入されると、金属製ホルダー63の突片63dは軸方向溝64fから前方側へ抜け出た状態になる(図9参照)。次いで、金属製ホルダー63を回転(図9に示す白抜き矢印参照)させることにより、金属製ホルダー63の突片63dが樹脂製ホルダー64の周方向溝64gに挿入されて金属製ホルダー63が固定される(図10参照)。こうして、金属製ホルダー63は樹脂製ホルダー64に収容保持される。したがって、本実施形態のホルダー62では、金属製ホルダー63が樹脂製ホルダー64から抜け出てしまうことを確実に防止することができる。
【0043】
本実施形態では、コイルバネ35は樹脂製ホルダー64に接して該樹脂製ホルダー64を前方へ付勢するように構成されている。つまり、本実施形態では、コイルバネ35の一端(後方側端部)は上記実施形態1と同様にスナップリング36に支持され、コイルバネ35の他端(前方側端部)は樹脂製ホルダー64における筒状壁64aの後方側端面に接している。そして、コイルバネ35は、樹脂製ホルダー64(ホルダー62)を前方へ付勢することで振動検出ユニット20を前方へ付勢し、検出針21の先端21dをケーシング10から突出させるように構成されている。
【0044】
上記実施形態3のセンサ装置1によれば、上記実施形態2と同様にコイルバネ35が樹脂製ホルダー64に接して該樹脂製ホルダー64を付勢するようにしたため、測定対象物以外の振動や力が外乱として検出針21に作用するのを抑制することができる。したがって、測定対象物の振動をより正確に検出することが可能である。その他の作用および効果は、上記実施形態1と同様である。
【0045】
(その他の実施形態)
ホルダー22,52,62においてコイルバネ35が接する箇所(付勢箇所)は、上記実施形態で説明した箇所に限らず、ホルダー22,52,62を前方へ付勢可能であれば如何なる箇所であってもよい。例えば、上記実施形態1においてコイルバネ35が金属製ホルダー23の大径部23aの端部(後方端)に接して金属製ホルダー23を前方へ付勢するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、測定対象物に固定して振動等を測定するセンサ装置1について説明したが、本願に開示の技術は、作業者が手で持って測定対象物に押し当てて測定するハンディタイプのセンサ装置1についても同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
また、本願のセンサ装置1は、温度検出ユニット40を省略して、測定対象物の振動のみを検出するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願に開示の技術は、検出針を測定対象物に押し当てて測定対象物の振動を検出するセンサ装置について有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 センサ装置
10 ケーシング
21 検出針
22,52,62 ホルダー
23,53,63 金属製ホルダー
23f バネ受け部
24,54,64 樹脂製ホルダー
25,26 圧電素子
29 ウエイト(押付け部材)
31 皿バネ(押付け部材)
32 キャップ(押付け部材)
63d 突片
64g 周方向溝
【要約】
バネによって振動検出ユニットを付勢して検出針の先端を突出させつつも、測定対象物の振動を正確に検出することが可能なセンサ装置を提供すること。センサ装置1は、筒状のケーシング10を備えると共に、検出針21と、検出針21の後端が挿入されて固定される有底筒状のホルダー22と、ホルダー22内の検出針21の後方に配置され、検出針21の後端に接する圧電素子25,26と、ホルダー22内に保持され、圧電素子25,26を検出針21の後端に押し付ける押付け部材32とを有し、ケーシング10に挿入される振動検出ユニット20と、振動検出ユニット20の後方側に配置されると共にホルダー22に接してホルダー22を前方へ付勢し、検出針21の先端21dをケーシング10から突出させるコイルバネ35とを備え、検出針21の先端21dを測定対象物に押し当てて該測定対象物の振動を検出する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10