(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933167
(24)【登録日】2016年5月13日
    
      
        (45)【発行日】2016年6月8日
      
    (54)【発明の名称】物品の包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D  33/04        20060101AFI20160526BHJP        
   B65D  33/00        20060101ALI20160526BHJP        
   B65D  65/40        20060101ALI20160526BHJP        
   B65D  85/16        20060101ALI20160526BHJP        
【FI】
   B65D33/04
   B65D33/00 A
   B65D65/40 A
   B65D85/16
【請求項の数】4
【全頁数】10
      (21)【出願番号】特願2010-212696(P2010-212696)
(22)【出願日】2010年9月22日
    
      (65)【公開番号】特開2012-66839(P2012-66839A)
(43)【公開日】2012年4月5日
    【審査請求日】2013年8月1日
【審判番号】不服2015-14116(P2015-14116/J1)
【審判請求日】2015年7月27日
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
          (74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井  義久
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】溝渕  敬大
              
            
        
      
    【合議体】
      【審判長】
        渡邊  豊英
      
      【審判官】
        栗林  敏彦
      
      【審判官】
        見目  省二
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特開平10−101097(JP,A)
        
        【文献】
          特開2005−170433(JP,A)
        
        【文献】
          特開2009−062063(JP,A)
        
        【文献】
          特開2009−269622(JP,A)
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/00-33/38,85/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  前後面および両側面からなる周面と、上下面とを有するほぼ六面体状をなし、物品が多数収容される包装袋において、
  一枚の包装材をその少なくとも一部が巻き重なるように四角筒状に巻いて周面を形成することにより、少なくとも周面の一面が包装材の複数枚巻き重なる部分として形成されており、
  この巻き重なる部分のうち、最外面を構成する外側包装部分に内容物を表す外側物品表示印刷が施されるとともに、その内側に隣接する内側包装部分に前記外側包装部分と異なる印刷が施されているか又は印刷が施されていないことにより内容物を表す印刷が施されておらず、
  前記外側包装部分のうち少なくとも前記外側物品表示印刷の全体及び前記外側包装部分の周方向の先端部を含む所定の分離領域を有しており、
  前記分離領域外に前記外側包装部分と前記内側包装部分との固定部分が設けられるとともに、前記分離領域は前記内側包装部分に固定されていないか又は剥離可能に固定されており、
  前記外側包装部分の周方向の先端部の全体又は一部が前記内側包装部分に固定されないことにより、前記外側包装部分の分離領域と前記内側包装部分の外面との間に指を挿入するための挿入口としての隙間が形成されており、
  前記挿入口から指を挿入し前記分離領域の裏側に指を掛けて、前記分離領域を摘まんで又は掴んで引っ張ることにより、前記分離領域が、前記内側包装部分を残して包装袋から分離可能であるとともに、この分離領域を分離した状態で包装袋の外面に内容物を表す印刷が無い、
  ことを特徴とする物品の包装袋。
【請求項2】
  前後面および両側面からなる周面と、上下面とを有するほぼ六面体状をなし、物品が多数収容される包装袋において、
  一枚の包装材を筒状に形成するとともにその周面の一部を周方向に折り畳むことにより、少なくとも周面の一面が包装材を3層以上積層した部分として形成されており、
  この積層部分のうち、最外面を含む外側の二層部分からなる外側包装部分に内容物を表す外側物品表示印刷が施されるとともに、その内側に隣接する内側包装部分に前記外側包装部分と異なる印刷が施されているか又は印刷が施されていないことにより内容物を表す印刷が施されておらず、
  前記外側包装部分のうち少なくとも前記外側物品表示印刷の全体及び前記外側包装部分の周方向の先端部を含む所定の分離領域を有しており、
  前記分離領域外に前記外側包装部分と前記内側包装部分との固定部分が設けられるとともに、前記分離領域は前記内側包装部分に固定されていないか又は剥離可能に固定されており、
  前記外側包装部分の周方向の先端部の全体又は一部が前記内側包装部分に固定されないことにより、前記外側包装部分の分離領域と前記内側包装部分の外面との間に指を挿入するための挿入口としての隙間が形成されており、
  前記挿入口から指を挿入し前記分離領域の裏側に指を掛けて、前記分離領域を摘まんで又は掴んで引っ張ることにより、前記分離領域が、前記内側包装部分を残して包装袋から分離可能であるとともに、この分離領域を分離した状態で包装袋の外面に内容物を表す印刷が無い、
  ことを特徴とする物品の包装袋。
【請求項3】
  前記外側包装部分における前記分離領域がミシン目により前記包装袋から切り離し可能とされている、
  請求項1又は2記載の物品の包装袋。
【請求項4】
  吸収性物品が多数収容される包装袋である、
  請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品を多数収容して販売するのに適した物品の包装袋に関する。
 
【背景技術】
【0002】
  多数枚の吸収性物品の包装形態として、ガセット袋が一般に使用されている。さらに、近年においては、一袋単位の吸収性物品の収納枚数を多くするために、吸収性物品を圧縮状態で包装するいわゆる圧縮(コンパクション)包装が汎用されている。また、持ち運びに便利なように、把手部を形成したり、手提げバンドを別に付けたりしたものも市販されている。
  包装袋の主に前後面等には、袋内に収容されている吸収性物品の会社名や商品名、商品の絵や写真、使用方法、サイズ表記(S、M、L、BIGサイズ等)、模様等が印刷されており、消費者はこの印刷により商品を選び、購入している。
  包装袋の上面や側面には開封用のミシン目が設けられており、ユーザーはこの開封用ミシン目を切り離すことにより袋を開口させ、中に収容されている吸収性物品を順番に取り出して使用するといった形態が一般に採用されている。この場合、包装袋は内容物がなくなるまで保管収納用として用いられる。
  このような商品、特に生理用ナプキンや中人用若しくは大人用使い捨ておむつ等の一部の商品においては、購入してから持ち帰るまでの間、どのような商品であるか他人に知られたくないというユーザー要望が少なからず存在している。このような要望に対して、従来は購入時に紙袋のような不透明な袋に入れて持ち帰るといった対応が取られている。
  しかし、購入時に新たな紙袋に入れる手法は、生理用ナプキンのようなパッケージサイズの小さい商品ならまだしも、使い捨ておむつのようにパッケージが大きいものでは用い難い。また、作業も煩雑となる。この問題に対して、包装袋の外面における内容物表示印刷を省略する、又は目立たない程度に小さくするといった解決手段も考えられるが、商品陳列における告知効果が無くなってしまう。
  また、包装袋を保管収納用として使用する場合、外観は商品告知効果よりも、装飾性に優れている方が望ましいが、そのような要望に対しては装飾性に優れた袋や容器に移し替える他なかった。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−100045号公報
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  そこで、本発明の主たる課題は、包装袋外面における物品表示印刷を含む部分を容易且つ確実に他の状態に変更できる、物品の包装袋を提供することにある。
 
【課題を解決するための手段】
【0005】
  上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
  <請求項1記載の発明>
  前後面および両側面からなる周面と、上下面とを有するほぼ六面体状をなし、物品が多数収容される包装袋において、
  一枚の包装材をその少なくとも一部が巻き重なるように四角筒状に巻いて周面を形成することにより、少なくとも周面の一面が包装材の複数枚巻き重なる部分として形成されており、
  この巻き重なる部分のうち、最外面を構成する外側包装部分に内容物を表す外側物品表示印刷が施されるとともに、その内側に隣接する内側包装部分に前記外側包装部分と異なる印刷が施されているか又は印刷が施されて
いないことにより内容物を表す印刷が施されておらず、
  前記外側包装部分のうち少なくとも前記外側物品表示印刷の全体
及び前記外側包装部分の周方向の先端部を含む所定の分離領域
を有しており、
  前記分離領域外に前記外側包装部分と前記内側包装部分との固定部分が設けられるとともに、前記分離領域は前記内側包装部分に固定されていないか又は剥離可能に固定されており、
  前記外側包装部分の周方向の先端部の全体又は一部が前記内側包装部分に固定されないことにより、前記外側包装部分の分離領域と前記内側包装部分の外面との間に指を挿入するための挿入口としての隙間が形成されており、
  前記挿入口から指を挿入し前記分離領域の裏側に指を掛けて、前記分離領域を摘まんで又は掴んで引っ張ることにより、前記分離領域が、前記内側包装部分を残して包装袋から分離可能である
とともに、この分離領域を分離した状態で包装袋の外面に内容物を表す印刷が無い、
  ことを特徴とする物品の包装袋。
  <請求項2記載の発明>
  前後面および両側面からなる周面と、上下面とを有するほぼ六面体状をなし、物品が多数収容される包装袋において、
  一枚の包装材を筒状に形成するとともにその
周面の一部を
周方向に折り畳むことにより、少なくとも周面の一面が包装材を3層以上積層した部分として形成されており、
  この積層部分のうち、最外面を含む外側の二層部分からなる外側包装部分に内容物を表す外側物品表示印刷が施されるとともに、その内側に隣接する内側包装部分に前記外側包装部分と異なる印刷が施されているか又は印刷が施されて
いないことにより内容物を表す印刷が施されておらず、
  前記外側包装部分のうち少なくとも前記外側物品表示印刷の全体
及び前記外側包装部分の周方向の先端部を含む所定の分離領域
を有しており、
  前記分離領域外に前記外側包装部分と前記内側包装部分との固定部分が設けられるとともに、前記分離領域は前記内側包装部分に固定されていないか又は剥離可能に固定されており、
  前記外側包装部分の周方向の先端部の全体又は一部が前記内側包装部分に固定されないことにより、前記外側包装部分の分離領域と前記内側包装部分の外面との間に指を挿入するための挿入口としての隙間が形成されており、
  前記挿入口から指を挿入し前記分離領域の裏側に指を掛けて、前記分離領域を摘まんで又は掴んで引っ張ることにより、前記分離領域が、前記内側包装部分を残して包装袋から分離可能である
とともに、この分離領域を分離した状態で包装袋の外面に内容物を表す印刷が無い、
  ことを特徴とする物品の包装袋。
【0006】
  (作用効果)
  本発明によれば、物品の購入時や使用時に、最外面を構成する外側包装部分のうち少なくとも外側物品表示印刷の全体を含む所定の分離領域を、その内側に隣接する内側包装部分を残して包装袋から分離することで、当初の封状態を維持したまま、外側物品表示印刷を有する部分の外観を内側包装部分に変更することができる。この際、後述するように内側包装部分に内容物を表す印刷を施さなければ、外側包装部分の分離領域を分離するだけで、内容物を他人に知られなくすることができ、また内側包装部分に装飾性に優れた模様や絵等を印刷しておけば、外側包装部分の分離領域を分離するだけで、装飾性に優れた外観を有する包装袋となり、持ち帰り用及び使用時の保管用として好ましいものとなる。
  また、このような構造であると、この種の包装袋として汎用されているガセット袋と同様の設備を利用して、製造及び内容物の充填を機械的に連続実施できるため好ましい。
【0007】
  なお、内容物を表す印刷とは、例えば会社名や商品名、商品の絵や写真、使用方法、サイズ表記(S、M、L、BIGサイズ等)等のように、それを見ただけで内容物が判別可能である印刷部分を意味し、これらを囲む額縁状の線や模様、地色等のように、それを見ただけでは内容物が判別できない印刷部分は含まない。
【0008】
  <請求項3記載の発明>
  前記外側包装部分における前記分離領域がミシン目により前記包装袋から切り離し可能とされている、
  請求項1又は2記載の物品の包装袋。
【0009】
  (作用効果)
  このような構造とすることにより、挿入口から分離領域の裏側に指を掛けて、分離領域を摘まんで又は掴んで引っ張ることにより、分離領域をミシン目で切り離すことができるため、外観状態の変更作業が容易となる。
【0010】
【0011】
【0012】
  <請求項4記載の発明>
  吸収性物品が多数収容される包装袋であ
る、
  請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品の包装袋。
【0013】
  (作用効果)
  前述したように、吸収性物品は購入してから持ち帰るまでの間、どのような商品であるか他人に知られたくないというユーザー要望が少なからず存在しているため、このような物品の包装袋の場合、内側包装部分に内容物を表す印刷を施さずに、外側包装部分における分離領域を分離した状態で包装袋の外面に内容物を表す印刷が無くなるように構成(つまり、包装材が二重に形成されていない面を有する場合にはその面にも内容物を表す印刷を施さない)し、外側包装部分の分離領域を分離するだけで、内容物を他人に知られなくするのが好ましい。
 
【発明の効果】
【0014】
  以上のとおり本発明によれば、包装袋外面における物品表示印刷を含む部分を容易且つ確実に他の状態に変更できるようになる、等の利点がもたらされる。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】吸収性物品を詰めいれた状態の包装袋の斜視図である。
 
【
図2】外側包装部分を剥がす途中の状態の包装袋の斜視図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0016】
  以下、図面に示す実施の形態に基づいて本発明をさらに詳説する。
図1〜
図5は、本発明に係る包装袋1を示している。この包装袋1はいわゆる側面折り込み型のガセット袋であり、筒状に形成した包装材の幅方向両端をそれぞれ長手方向に沿う折り目2cにより各々内側に折り込んでまちを形成し、かつ所定長に切断した上端部7(図示例では上端部7の上端縁と下端縁)を融着または接着等によりシールしたものである。包装時には物品は下端部8から挿入し、下端部8の上端縁(下端部8と下面6との境界線)をシールして、丸みを帯びたほぼ直方体形状の包装袋となる。これにより左右側面2,2、前面3、後面4、上面5および下面6が形成される。また、上下端縁をシールして形成された上端部7には左右方向中央部に前後方向に手を通すための手掛け孔9が形成されている。もちろん、本発明の包装袋はこの形態に限定されるものではなく、
図6に示すようにシート状の包装材を2つ折りにし、この折り目5cを内側に折り込んでまちを形成し、両側部をシールした上面折り込み型のガセット袋とし、上面5側に縦面(両側面2,2および前後面3,4)から延びるリブ部32を形成し、この前後リブ部32,32に、手提げループ30,30の各両端部を融着等の適宜の結合手段により取付けた形態や、この形態から前後リブ及び手提げループを省略した形態(図示略)等、適宜の形態を採用することができる。このような上面折り込み型のガセット袋では、包装時には物品は下端部8から挿入し、下端部8上端縁(下端部8と下面6との境界線)をシールして、丸みを帯びたほぼ直方体形状の包装袋となる。
 
【0017】
  包装袋1の内部には吸収性物品100が適宜の配列状態で収容されている。例えば使い捨ておむつや生理用ナプキン等は、身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収体が介在する部分である吸収性本体部と、この吸収性本体部の両側縁からそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収体を有しない部分であるサイドフラップとを有するものである。中でも、止着式使い捨ておむつやパンツ式使い捨ておむつの場合は、吸収性本体部ならびにサイドフラップ部の外面全体が外装部により形成され、外装部が所謂おむつカバーのように着用者の下腹部から臀部にかけての胴回り及び股間部全体を覆うようになっている。このような吸収性物品100は、小さいものは折り畳まれずに包装されるが、大きいものは前後を合わせるような2つ折りまたは前後それぞれを中央にあわせるような3つ折りされて包装されることが一般的であり、場合によっては4つ折り以上に折り畳まれて包装されることもある。(なお、パンツ式使い捨ておむつは、前身頃と後身頃の両側部が接合されるため、製品状態で2つ折りされている。)また、サイドフラップ部が大きい場合は、各サイドフラップは吸収体側部近傍に沿って内側に折り畳まれる。吸収性物品100の包装においては、通常はこのような吸収性物品100を多数枚集合し、平面部を合わせるように重ねて圧縮した集合体を包装している。この場合、おむつの平面方向が包装袋1の側面と平行になるように包装するのが好ましいが、おむつの前後方向は、包装袋1の上下方向あるいは奥行き方向のいずれに沿うようになっていてもよい。
 
【0018】
  包装袋1の素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンなど、通常包装に使用されるプラスチックフィルムを単体で又は複合素材として使用することができる。吸収性物品の分野では、ポリエチレンフィルムが汎用されているため好ましく、中でも柔軟性に富むLDPE(低密度ポリエチレン:密度0.900〜0.925g/cm
3)やMDPE(中密度ポリエチレン:密度0.925〜0.940g/cm
3)が好適である。フィルムの厚みとしては、50〜100μm程度が好適である。包装袋の素材はプラスチックフィルムが一般的であるが、紙や不織布等のシート材、またこれらを複合したシート材を用いてもよい。
 
【0019】
  (特徴部分について)
  特徴的には、
図1及び
図3に示すように、包装袋1における前面3、右側面2、及び後面4が包装材を二重にして形成されており、このうち外側包装部分1xに内容物を表す外側物品表示印刷10が施されるとともに、内側包装部分1iに外側包装部分1xと異なる印刷20が施されており(又は印刷が施されていなくても良い)、
図2に示すように、外側包装部分1xのうち少なくとも外側物品表示印刷10の全体を含む所定の分離領域12(図示例では前面3、右側面2、及び後面4の略全体)が、ミシン目11の切離しにより、内側包装部分1iを残して包装袋1から完全に分離除去可能とされている。したがって、物品の購入時や使用時に、外側包装部分1xの分離領域を、内側包装部分1iを残して包装袋1から分離することで、当初の封状態を維持したまま、外側物品表示印刷10を有する部分の外観を内側包装部分1iに変更することができる。
 
【0020】
  包装袋1に対する印刷は、本発明の範囲内で適宜定めることができるが、特に、外側包装部分1xが二重に形成されていない面Sを有する場合にはその面、及び内側包装部分1iに内容物を表す印刷を施さないことにより、外側包装部分1xの分離領域を分離するだけで、内容物を他人に知られなくすることができる。また、図示例のように、内側包装部分1iに装飾性に優れた模様や絵等の印刷20を施しておけば、外側包装部分1xの分離領域12を分離するだけで、装飾性に優れた外観を有する包装袋1となり、持ち帰り用及び使用時の保管用として好ましいものとなる。
 
【0021】
  分離領域12を設ける面は、外側物品表示印刷10範囲に応じて適宜定めることができ、図示例のように周面のうちの三面とする他、周面全体、又は袋全面としたり、あるいは
図6に示すように全面等の一面としたりすることができる。また、分離領域12の寸法は、外側物品表示印刷10の全体を含む限り、額縁状の線や模様、地色等のように、それを見ただけでは内容物が判別できない印刷部分の一部又は全体を含むようにしても、或いは全く含まないようにしても良い。
 
【0022】
  分離領域12は、ミシン目11により分離可能とする
ことができる。また、分離領域12を剥離可能に固定するために、分離領域12を粘着剤や弱い溶着により点状や、線状、面状等の適宜のパターンで内側包装部分1i表面に剥離可能に固定したり、分離領域12外の部分を点状や、線状、面状等の適宜のパターンで強く溶着するとともに分離領域12内を非固定又は剥離可能に固定したりすることができる。このように、外側包装部分1xは分離領域12が分離可能である限り、他の部分は分離できない構成としても良い。
 
【0023】
  包装材の二重領域は、全体を構成する内側包装部分1iの一部又は全体に、外側包装部分1xを張り付けることにより形成するのではなく、
図3(a)に示すように、一枚の包装材をその少なくとも一部が巻き重なるように四角筒状に巻いて周面を形成し、かつその周面の巻き重なり部分Wを二重領域として利用すると、好ましい。この場合の展開図は
図5に示されるようになる。
 
【0024】
  また、
図3(b)に示すように、一枚の包装材を筒状に形成した後、その一部を断面Z字状等に折り畳み、素材を3層以上積層した部分Tを形成し、この積層部分Tの外側の二層部分及びその内側に隣接する一層部分をそれぞれ外側包装部分1x及び内側包装部分1iとしても良い。この例からも分るように、包装材の重なり部分の積層数は特に限定されない。
 
【0025】
  さらに、外側包装部分1xの分離領域12と前記内側包装部分1iの外面との隙間に指を挿入するための挿入口13が設けられていると、挿入口13から分離領域12の裏側に指を掛けて、分離領域12を摘まんで又は掴んで引っ張ることにより、分離領域12をミシン目11で切り離すことができるため、外観状態の変更作業が容易となる。この挿入口13は、外側包装部分1xにスリットや孔を形成
するのではなく、
図3(a)に示される例のように、外側包装部分1xの周方向の端部の略全体(一部でも良い)を内側包装部分1iに固定せずに隙間を形成し、この隙間を挿入口13とすると、スリット等の加工を施さなくても良いため好ましい。
 
【0026】
  他方、外側包装部分1xの印刷10、及び内側包装部分1iの印刷20の両者が外面から視認可能であると、印刷が見難くなり商品価値が低下するため、少なくとも外側包装部分1xの素材の地色、あるいは印刷の背景色により、外側包装部分1xの全光線透過率を75%以下とし、外側包装部分1xを通して内側包装部分1iの印刷20が実質的に見えない構成とするのが好ましい。
 
 
【産業上の利用可能性】
【0027】
  本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品の包装袋に好適なものである。
 
【符号の説明】
【0028】
  1…包装袋、1x…外側包装部分、1i…内側包装部分、2…側面、3…前面、4…後面、5…上面、6…下面、7…上端部、8…下端部、9…手掛け孔、10…外側物品表示印刷、11…ミシン目、12分離領域、20…内側包装部分の印刷。