特許第5933228号(P5933228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5933228ブラインド制御システム、電動ブラインド、バッテリー装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933228
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】ブラインド制御システム、電動ブラインド、バッテリー装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   E06B9/264 C
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-250911(P2011-250911)
(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公開番号】特開2013-104277(P2013-104277A)
(43)【公開日】2013年5月30日
【審査請求日】2014年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508207790
【氏名又は名称】有限会社 和晃
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】太田 幹也
(72)【発明者】
【氏名】水科 晃
【審査官】 川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−158636(JP,A)
【文献】 特開2007−170174(JP,A)
【文献】 特開2008−7934(JP,A)
【文献】 特開2003−229285(JP,A)
【文献】 特開平10−336900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の電動ブラインドにそれぞれ通信回線を介して接続され、前記各電動ブラインドのコントローラーに該電動ブラインドを駆動する指令信号を出力する中央制御装置と、
前記各電動ブラインドにそれぞれ設置されるバッテリーと、
前記各バッテリーに接続され、該バッテリーから前記電動ブラインド以外の電気機器に電源を供給する直流電源配線と、
商用交流電源の電力需要ピークの時間帯では、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を前記直流電源配線を介して前記電動ブラインド以外の電気機器に供給し、前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ、前記電力需要ピークの時間帯以外では前記商用交流電源で前記電動ブラインドを駆動するとともに、前記バッテリーを充電する制御手段とを備えたことを特徴とするブラインド制御システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記コントローラーと、前記中央制御装置と、前記コントローラーに前記電動ブラインドを駆動するための操作信号を出力する操作スイッチとの少なくともいずれかに備えたことを特徴とする請求項1記載のブラインド制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、
時刻情報を生成するタイマー手段と、
電力需要のタイムテーブルを格納した記憶手段と、
前記時刻情報と前記タイムテーブルとに基づいて前記電力需要ピークの時間帯であるか否かを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のブラインド制御システム。
【請求項4】
前記電動ブラインドに、前記商用交流電源以外の電源から前記バッテリーに充電電流を供給するバッテリー充電装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラインド制御システム。
【請求項5】
前記バッテリー充電装置は、前記電動ブラインドの日射遮蔽材に取着した太陽電池パネルを備えたことを特徴とする請求項4記載のブラインド制御システム。
【請求項6】
前記直流電源配線には、直流電圧を交流電圧に変換するインバーターを接続し、前記インバーターから前記電気機器に交流電圧を電源として供給することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブラインド制御システム。
【請求項7】
商用交流電源とバッテリーのいずれかの電源を選択して動作する電動ブラインドにおいて、
前記商用交流電源の電力需要ピークの時間帯では、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を直流電源配線を介して前記電動ブラインド以外の電気機器に供給し、前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ前記電力需要ピークの時間帯以外では前記商用交流電源で前記電動ブラインドを駆動するとともに、前記バッテリーを充電する制御手段を備えたことを特徴とする電動ブラインド。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記電動ブラインドに設けられるコントローラーと、前記コントローラーに通信配線を介して接続され、前記コントローラーに前記電動ブラインドを駆動する指令信号を出力する中央制御装置と、前記コントローラーに前記電動ブラインドを駆動するための操作信号を出力する操作スイッチとの少なくともいずれかに備えたことを特徴とする請求項7記載の電動ブラインド。
【請求項9】
前記制御手段は、
時刻情報を生成するタイマー手段と、
電力需要のタイムテーブルを格納した記憶手段と、
前記時刻情報と前記タイムテーブルとに基づいて前記電力需要ピークの時間帯であるか否かを判定する判定手段と
を備えたことを特徴とする請求項7又は8記載の電動ブラインド。
【請求項10】
商用交流電源とバッテリーのいずれかの電源を選択して動作する電動ブラインドに備えたバッテリー装置において、
多数の前記電動ブラインドにそれぞれ設置される前記バッテリーと、
前記各バッテリーから前記電動ブラインド以外の電気機器に電源を供給可能とする直流電源配線と、
前記各バッテリーへの充電動作と、前記各バッテリーから前記電気機器に電源を供給する電源供給動作と、前記バッテリーから当該バッテリーが備えられる前記電動ブラインドに電源を供給する電源供給動作とを行う制御手段と
備え、
前記制御手段は、前記商用交流電源の電力需要ピークの時間帯において、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を前記直流電源配線を介して前記電動ブラインド以外の電気機器に供給し、前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ、
前記電力需要ピークの時間帯以外において、前記バッテリーを充電する
ことを特徴とするバッテリー装置。
【請求項11】
多数の電動ブラインドにそれぞれ設けられたバッテリーを直流電源配線で接続し、前記直流電源配線にインバーターを介して電気機器を接続し、前記各電動ブラインドの動作を制御する中央制御装置に、
商用交流電源の電力需要ピークの時間帯では、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を前記直流電源配線及び前記インバーターを介して前記電気機器に供給し、
前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ、
前記電力需要ピークの時間帯以外では前記商用交流電源で前記電動ブラインドを駆動するとともに、前記バッテリーを充電する手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多数の小型バッテリーの充放電を制御して、電力需要ピークの抑制に寄与するブラインド制御システム、電動ブラインド、バッテリー装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高層ビルディング等、多数の窓面を備えた建造物には各窓面にそれぞれブラインドが設置されている。このような建造物では、多数のブラインドの動作を制御するために、各ブラインドと中央制御装置とを通信システムで接続し、中央制御装置から出力される指令信号に基づいて各ブラインドの動作を一括して制御するブラインド制御システムを備えたものがある。
【0003】
また、ブラインドに太陽電池パネルとバッテリーを備え、必要に応じてバッテリーに蓄えられた電力を使用して、消費電力の低減あるいは停電時の動作の安定化を図るようにしたものもある。
【0004】
特許文献1には、太陽電池で蓄電されるバッテリーを複数のブラインド毎に配設し、必要に応じてバッテリーを電源としてブラインドを駆動するとともに、蓄電量及び発電量に応じた動作可能回数を表示部に表示する機能を備えた電動ブラインドが開示されている。
【0005】
特許文献2には、1台のブラインドに太陽光発電部と充電池を備え、充電池を電源として動作する電動ブラインドが開示されている。
特許文献3には、デマンドコントロール装置により、停電時に複数の蓄電手段から複数の機器に重要度に応じて電力を供給する無停電電力供給装置が開示されている。
【0006】
特許文献4には、夜間電力を利用して電気自動車のバッテリーを充電し、電力需要ピーク時には電気自動車のバッテリーに蓄えられた電力を利用して、電力需要ピークを抑制するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−74707号公報
【特許文献2】特開2010−150884号公報
【特許文献3】特開2004−328960号公報
【特許文献4】特開2007−282383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、電力需給の逼迫をうけて、電力需要ピークをさらに抑制することが要請されている。電力需要ピークを効果的に抑制するためには、夜間時等の電力需要非ピーク時にバッテリーに蓄えた電力を、ピーク時に広汎な電気機器に対し供給することが必要である。
【0009】
特許文献1及び特許文献2に開示された電動ブラインドでは、バッテリーに蓄えられた電力をブラインド以外の広範な機器に供給する構成は開示されていない。
特許文献3では、停電時に蓄電手段から複数の機器に電力を供給する構成であり、電力需要ピークを抑制するための手段は開示されていない。
【0010】
特許文献4では、バッテリーに蓄えられた電力を電力需要ピーク時に電力需要者に自動的に供給し、電力需要非ピーク時にバッテリーに蓄電するための制御手段は開示されていない。また、商用交流電源をインバーターで直流に変換してバッテリーを充電し、バッテリーに蓄えられた直流電源をインバーターで交流に変換して電力需要者に供給するため、電力効率が悪くなる。
【0011】
この発明の目的は、多数の電動ブラインドにそれぞれ備えられたバッテリーから電動ブラインド以外の他の電気機器にも電力を供給して電力需要ピークの抑制に貢献し得るブラインド制御システム、電動ブラインド、バッテリー装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1では、多数の電動ブラインドにそれぞれ通信回線を介して接続され、前記各電動ブラインドのコントローラーに該電動ブラインドを駆動する指令信号を出力する中央制御装置と、前記各電動ブラインドにそれぞれ設置されるバッテリーと、前記各バッテリーに接続され、該バッテリーから前記電動ブラインド以外の電気機器に電源を供給する直流電源配線と、前記商用交流電源の電力需要ピークの時間帯では、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を前記直流電源配線を介して前記電動ブラインド以外の電気機器に供給し、前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ、前記電力需要ピークの時間帯以外では前記商用交流電源で前記電動ブラインドを駆動するとともに、前記バッテリーを充電する制御手段とを備えた。
【0013】
請求項2では、前記制御手段は、前記コントローラーと、前記中央制御装置と、前記コントローラーに前記電動ブラインドを駆動するための操作信号を出力する操作スイッチとの少なくともいずれかに備えた。
【0014】
請求項3では、前記制御手段は、時刻情報を生成するタイマー手段と、電力需要のタイムテーブルを格納した記憶手段と、前記時刻情報と前記タイムテーブルとに基づいて前記電力需要ピークの時間帯であるか否かを判定する判定手段とを備えた。
【0015】
請求項4では、前記電動ブラインドに、前記商用交流電源以外の電源から前記バッテリーに充電電流を供給するバッテリー充電装置を備えた。
請求項5では、前記バッテリー充電装置は、前記電動ブラインドの日射遮蔽材に取着した太陽電池パネルを備えた。
【0016】
請求項6では、前記直流電源配線には、直流電圧を交流電圧に変換するインバーターを接続し、前記インバーターから前記電気機器に交流電圧を電源として供給する。
請求項7では、商用交流電源とバッテリーのいずれかの電源を選択して動作する電動ブラインドにおいて、前記商用交流電源の電力需要ピークの時間帯では、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を直流電源配線を介して前記電動ブラインド以外の電気機器に供給し、前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ前記電力需要ピークの時間帯以外では前記商用交流電源で前記電動ブラインドを駆動するとともに、前記バッテリーを充電する制御手段を備えた。
【0017】
請求項8では、前記制御手段は、前記電動ブラインドに設けられるコントローラーと、前記コントローラーに通信配線を介して接続され、前記コントローラーに前記電動ブラインドを駆動する指令信号を出力する中央制御装置と、前記コントローラーに前記電動ブラインドを駆動するための操作信号を出力する操作スイッチとの少なくともいずれかに備えた。
【0018】
請求項9では、前記制御手段は、時刻情報を生成するタイマー手段と、電力需要のタイムテーブルを格納した記憶手段と、前記時刻情報と前記タイムテーブルとに基づいて前記電力需要ピークの時間帯であるか否かを判定する判定手段とを備えた。
【0019】
請求項10では、商用交流電源とバッテリーのいずれかの電源を選択して動作する電動ブラインドに備えたバッテリー装置において、多数の前記電動ブラインドにそれぞれ設置される前記バッテリーと、前記各バッテリーから前記電動ブラインド以外の電気機器に電源を供給可能とする直流電源配線と、前記各バッテリーへの充電動作と、前記各バッテリーから前記電気機器に電源を供給する電源供給動作と、前記バッテリーから当該バッテリーが備えられる前記電動ブラインドに電源を供給する電源供給動作とを行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記商用交流電源の電力需要ピークの時間帯において、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を前記直流電源配線を介して前記電動ブラインド以外の電気機器に供給し、前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ、前記電力需要ピークの時間帯以外において、前記バッテリーを充電する
【0020】
請求項11では、多数の電動ブラインドにそれぞれ設けられたバッテリーを直流電源配線で接続し、前記直流電源配線にインバーターを介して電気機器を接続し、前記各電動ブラインドの動作を制御する中央制御装置に、商用交流電源の電力需要ピークの時間帯では、前記バッテリーの充電量が一定量以上である場合、前記各電動ブラインドを前記バッテリーを電源として動作させるとともに、前記バッテリーの電力を前記直流電源配線及び前記インバーターを介して前記電気機器に供給し、前記バッテリーの充電量が一定量以上でない場合、前記バッテリーを充電しながら前記各電動ブラインドを前記商用交流電源を電源として動作させ、前記電力需要ピークの時間帯以外では前記商用交流電源で前記電動ブラインドを駆動するとともに、前記バッテリーを充電する手段として機能させるためのプログラムを設定する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、多数の電動ブラインドにそれぞれ備えられたバッテリーから電動ブラインド以外の他の電気機器にも電力を供給して電力需要ピークの抑制に貢献し得るブラインド制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ブラインド制御システムを示すブロック図である。
図2】電動ブラインドの電気的構成を示すブロック図である。
図3】(a)(b)は電動日射遮蔽装置の概要を示す側面図である。
図4】電動横型ブラインドを示す正面図である。
図5】電動横型ブラインドの電気的構成を示す説明図である。
図6】ブラインド制御システムの動作を示すフローチャートである。
図7】ブラインド制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1に示すブラインド制御システムを構成する多数の電動ブラインド1は、高層ビル等の多数の窓にそれぞれ設置される。
【0024】
各電動ブラインド1には、それぞれ操作スイッチ2が接続されている。操作スイッチ2は、各電動ブラインド1を操作する操作信号を出力するとともに、その操作信号に当該操作時の時刻情報を付加して出力するタイマー手段を備えている。
【0025】
各電動ブラインド1の電気的構成を図2に従って説明すると、電源回路3には交流電源配線L1を介して交流100Vの商用電源が供給される。電源回路3は、交流電圧を直流電圧に変換してコントローラー4に電源として供給する。
【0026】
前記コントローラー4は、あらかじめ設定されたプログラムと前記操作スイッチ2から入力される操作信号あるいは後記中央制御装置8から入力される指令信号に基づいて動作し、日射遮蔽材を駆動するモーター5の動作を制御する。また、コントローラー4はメモリ機能を備え、1日の各時刻の電力需要のタイムテーブルが格納されている。
【0027】
電動ブラインド1として、図3(a)に示す電動横型ブラインドを使用する場合には、モーター5の動作によりスラット6が昇降されるとともに角度調節される。電動ブラインド1として、図3(b)に示す電動ロールブラインドを使用する場合には、モーター5の動作によりスクリーン7が昇降される。
【0028】
前記コントローラー4は、通信配線L2を介して中央制御装置8に接続される。中央制御装置8は、通信配線L2を介して多数の電動ブラインド1に制御信号を出力して、各電動ブラインド1を一括して制御する機能を備えている。
【0029】
コントローラー4は前記操作スイッチ2あるいは中央制御装置8から入力される操作信号あるいは指令信号に基づいて前記電源回路3に充電信号あるいは放電信号を出力する。
前記電源回路3にはバッテリー9が接続され、前記コントローラー4から充電信号あるいは放電信号が入力される。そして、コントローラー4から電源回路3及びバッテリー9に充電信号が入力されると、電源回路3からバッテリー9に充電電流が供給されてバッテリー9が充電される。
【0030】
一方、コントローラー4から電源回路3及びバッテリー9に放電信号が入力されると、バッテリー9から電源回路3を介してコントローラー4に直流電源が供給される。
前記バッテリー9は直流電源配線L3に接続され、その直流電源配線L3にインバーター10が接続されされている。そして、バッテリー9及びインバーター10に放電信号が入力されると、バッテリー9に蓄電された直流電圧は直流電源配線L3を介してインバーター10に供給され、インバーター10でAC100Vに変換されて、照明器具等の他の電気機器に供給される。
【0031】
前記バッテリー9には太陽電池パネル11が接続されている。この太陽電池パネル11は、電動ブラインド1が図3(a)に示す電動横型ブラインドである場合には、各スラット12の表面に取着され、ヘッドボックス13内に配設されるバッテリー9に接続される。
【0032】
電動ブラインド1が図3(b)に示す電動ロールブラインドである場合には、太陽電池パネル11はスクリーン7の室外側の生地面に取着され、巻取軸内あるいはフレームに配設されるバッテリー9に接続される。
【0033】
図4は、電動ブラインド1として使用する電動横型ブラインドの一例を示す。ヘッドボックス13から多数段のスラット12が昇降可能にかつ角度調節可能に吊下支持される。ヘッドボックス13内には、前記電源回路3、コントローラー4、モーター5及びバッテリー9が配設されている。
【0034】
図5に示すように、電源回路3には前記交流電源配線L1を介してAC100Vが供給され、接続配線CL1を介してバッテリー9に接続される。また、電源回路3は接続配線CL2を介してコントローラー4に接続され、コントローラー4とバッテリー9が接続配線CL3を介して接続されている。
【0035】
そして、コントローラー4により、電源回路3からバッテリー9への充電動作と、バッテリー9から電源回路3への放電動作と、バッテリー9から直流電源配線L3を介した外部機器への放電動作が制御される。また、コントローラー4は、接続配線CL4を介してモーター5の動作を制御する。
【0036】
前記コントローラー4は、接続配線CL5を介して通信インターフェース14に接続される。通信インターフェース14には前記操作スイッチ2が接続されるとともに、前記通信配線L2を介して前記中央制御装置8に接続される。なお、操作スイッチ2にはコントローラー4から接続配線CL5及び通信インターフェース14を介して電源が供給される。
【0037】
前記操作スイッチ2には、前記電源回路3からコントローラー4を介して電源が供給される。また各操作スイッチ2にコントローラー4で充電可能な小容量のバッテリーを電源として搭載してもよい。
【0038】
また、前記中央制御装置8はコントローラー4と同様に、1日の各時刻の電力需要のタイムテーブルが格納されている。そして、中央制御装置8は、前記タイムテーブルに基づいて、電力需要ピーク時には前記各電動ブラインド1のコントローラー4に指令信号を出力し、各電動ブラインド1のバッテリー9から直流電源配線L3及び前記インバーター10を介して当該高層ビルの照明装置等、他のシステムに電源が供給されるようになっている。
【0039】
上記のようなブラインド制御システムは、構造的には従来のブラインド制御システムに対し次のような構成を付加して実現可能である。
すなわち、中央制御装置8から通信配線L2を介して各電動ブラインド1の動作を一括して制御可能とするとともに、操作スイッチ2の操作により各電動ブラインド1の動作を制御可能とした従来のブラインド制御システムに対し、各電動ブラインド1に太陽電池パネル11とバッテリー9を付加する。
【0040】
また、各バッテリー9から直流電源配線L3及びインバーター10を介して照明装置等の他のシステムに電力を供給可能とする。
そして、電力需要ピーク時には、バッテリー9の電力でモーター5を駆動するとともに、バッテリー9から他のシステムに電力を供給するように制御するプログラムをコントローラー4、操作スイッチ2及び中央制御装置8の少なくともいずれかに備える。また、電力需要非ピーク時には、AC100Vを電源としてバッテリー9を充電するプログラムをコントローラー4、操作スイッチ2及びコントローラー4の少なくともいずれかに備える。
【0041】
次に、上記のように構成されたブラインド制御システムの作用を図6及び図7に従って説明する。
各電動ブラインド1において、太陽電池パネル11で発電される電力は、常時バッテリー9に蓄電される。図6に示すように、電源回路3にAC100Vが供給されていると、コントローラー4の動作により、電源回路3からバッテリー9に充電電流が供給されてバッテリー9が充電されるとともに、コントローラー4は操作スイッチ2からの操作信号の入力を待つ状態となる(ステップ1,2)。
【0042】
操作スイッチ2から操作信号が入力されると、コントローラー4は当該操作信号に含まれる時刻情報に基づいて、電力需要ピークの時間帯か否かを判定する(ステップ3)。
操作信号の入力時刻が電力需要ピークの時間帯である場合には、コントローラー4はバッテリー9の充電量が一定量以上であるか否かを判定し(ステップ4)、充電量が充分であれば、バッテリー9を電源としてモーター5を動作させ(ステップ5)、例えば操作信号に基づくスラット6の昇降動作あるいは角度調節動作を行う(ステップ6)。
【0043】
ステップ3で操作信号の入力時刻が電力需要ピークの時間帯ではない場合には、AC100Vを電源としてモーター5を動作させる(ステップ7)。
そして、操作信号の入力が停止すると、ステップ1に復帰して、次の操作信号の入力を待つ状態となる。
【0044】
上記のような動作は、各電動ブラインド1において並行して行われる。また、電力需要ピーク時には各電動ブラインド1のバッテリー9から他の照明装置等に電源が供給される。
【0045】
停電時には、コントローラー4はバッテリー9を電源として動作し、操作スイッチ2の操作によりスラット6あるいはスクリーン7を駆動することができる。
図7は、時刻情報と電力需要のタイムテーブルに基づいて、電力需要ピークの時間帯であるか否かを判定してその判定信号をコントローラー4に出力する機能を操作スイッチ2に備えた場合の動作を示す。
【0046】
操作スイッチ2は、前記判定信号をコントローラー4に常時出力する。電力需要ピーク時には、コントローラー4はバッテリー9を電源として動作する状態となるとともに(ステップ11,12)、バッテリー9の充電量が一定量以上であるか否かを判定する(ステップ13)。そして、バッテリー9の充電量が一定量以上である場合にはステップ14に移行して操作スイッチ2からの操作信号を待つ状態となる(ステップ11〜14)。
【0047】
ステップ11において、電力需要非ピーク時にはコントローラー4は電源回路3によりAC100Vを電源として動作する状態となる(ステップ15)。そして、電源回路3からバッテリー9に充電電流を供給してバッテリー9を充電しながら(ステップ16)、ステップ14に移行する。
【0048】
ステップ13で、バッテリー9の充電量が充分でない場合には、ステップ16に移行して、バッテリー9を充電しながら、ステップ14に移行する。
ステップ14において、操作スイッチ2から操作信号が入力されると、バッテリー9の充電量が一定量以上であるか否かを判定する(ステップ17)。そして、バッテリー9の充電量が一定量以上である場合にはステップ18に移行して、コントローラー4はバッテリー9を電源としてモーター5を駆動し、例えば操作信号に基づくスラット6の昇降動作あるいは角度調節動作を行う(ステップ19)。
【0049】
ステップ17で、バッテリー9の充電量が充分でない場合には、ステップ20に移行して、コントローラー4はAC100Vを電源としてモーター5を駆動する状態となり、ステップ19に移行する。
【0050】
上記のように構成されたブラインド制御システムは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)電力需要ピーク時には、電力需要非ピーク時に蓄電された各電動ブラインド1のバッテリー9を電源としてモーター5を駆動することができる。また、電力需要ピーク時には、各電動ブラインド1のバッテリー9から照明装置等の他のシステムに電源を供給することができる。従って、電力需要ピークを抑制することができる。
(2)バッテリー9をスラット6若しくはスクリーン7に取着された太陽電池パネルから出力される電力で充電することができる。
(3)操作スイッチ2からコントローラー4に出力される操作信号に付加される時刻情報と、コントローラー4に格納されている電力需要のタイムテーブルに基づいて、電力需要ピーク時であるか否かを判定することができる。
(4)操作スイッチ2からコントローラー4に出力される判定信号に基づいて、コントローラー4で電力需要ピーク時であるか否かを判定することができる。
(5)停電時には、バッテリー9を電源としてスラット12あるいはスクリーン7を操作することができる。
(6)多数の電動ブラインド1にそれぞれ設けたバッテリー9から直流電源配線L3及びインバーター10を介して他のシステムに電源を供給するので、各電動ブラインド1のバッテリー9の容量を小さくしても、全体として充分なバッテリー容量を確保することができる。従って、大容量のバッテリーを一箇所に集中配置することなく、充分なバッテリー容量を確保することができるので、安全性を向上させることができる。
(7)従来のブラインド制御システムに対し、電動ブラインド1にバッテリー9と太陽電池パネル11を備え、バッテリー9の電力を直流電源配線L3及びインバーター10を介して他のシステムに供給可能とする。そして、コントローラー4、操作スイッチ2及び中央制御装置8の少なくともいずれかに、電力需要ピーク時には、バッテリー9の電力でモーター5を駆動するとともに、バッテリー9から他のシステムに電力を供給するように制御するプログラムを備える。また、電力需要非ピーク時には、AC100Vを電源としてバッテリー9を充電するプログラムを備える。すると、従来の電動ブラインドを利用して本実施形態のブラインド制御システムを構成することができる。
【0051】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・太陽電池パネルの他、コージェネレイションシステムを利用してバッテリーを充電してもよい。
図7に示すステップ11において、コントローラー4に時刻情報を生成するタイマー手段と1日の各時刻の電力需要のタイムテーブルとを備え、コントローラー4で電力需要ピークの時間帯であるか否かを判定してもよい。
・電動ブラインドとして、電動横型ブラインド、電動ロールブラインド以外にも、電動たくし上げカーテンや、電動プリーツカーテン等の種々の電動日射遮蔽装置を使用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…電動ブラインド、2…制御手段・記憶手段・判定手段(操作スイッチ)、3…電源回路、4…制御手段・記憶手段・判定手段(コントローラー)、5…モーター、8…制御手段・記憶手段・判定手段(中央制御装置)、9…バッテリー、10…インバーター、11…バッテリー充電装置(太陽電池パネル)、L1…交流電源配線、L2…通信配線、L3…直流電源配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7