(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
系統電力に接続され、該系統電力からの電力を複数の電力供給先に供給可能であると共に、前記系統電力から供給される電力の上限値を契約上の電力供給上限より低い第1の目標上限値以下の範囲で電力を供給する家側電力供給制御手段と、
前記家側電力供給制御手段と車両とを電気的に接続し、前記車両の蓄電池を系統電力から供給された電力で充電可能であると共に、前記車両の電力を前記家側電力供給制御手段に供給可能な充給電手段と、
前記車両を識別する車両識別手段と、
前記車両識別手段が識別した結果に基づいて、前記車両が発電能力を有する第1の車両群に属するか充電を要する第2の車両群に属するかを判定し、前記車両が第1の車両群に属すると判定した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値を前記第1の目標上限値よりも低い第2の目標上限値に変更するように前記家側電力供給制御手段を制御する制御手段と、
を備えた車両連携の給電システム。
前記制御手段は、予め定められた充電スケジュールに従って前記充給電手段に接続された前記第2の車両群に属する車両の蓄電池を充電するように前記充給電手段を制御すると共に、該充電スケジュールに従って前記第2の車両群に属する車両の蓄電池を充電する時間帯では、前記系統電力から供給される電力の上限値が前記第3の目標上限値となるように前記家側電力供給制御手段を制御する請求項2又は5に記載の車両連携の給電システム。
前記車両識別手段は、前記充給電手段と前記車両とが電気的に接続されている場合に、電力線搬送通信によって前記車両を識別する情報を取得する請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両連携の給電システム。
前記制御手段が、前記車両が前記第1の車両群に属すると判定した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値を前記第2の目標上限値に変更すべき旨を表示し、前記車両が前記第2の車両群に属すると判定した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値を前記第3の目標上限値に変更すべき旨を表示する報知手段をさらに備える、請求項2〜6のいずれか1項に記載の車両連携の給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、建物内の電気機器の消費電力に着目したもので、近年普及しつつあるEV(Electric Vehicle)、HV(Hybrid Vehicle)及びPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)を建物の分電盤と電気的に接続し、電源として使用する場合が考慮されておらず、消費電力の変化に応じて頻繁に電力の供給制限を変更する必要があった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、建物の分電盤と電気的に接続された車両からの電力供給を考慮した、電力の供給制限の頻繁な変更が不要な車両連携の給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、系統電力に接続され、該系統電力からの電力を複数の電力供給先に供給可能であると共に、前記系統電力から供給される電力の上限値を契約上の電力供給上限より低い第1の目標上限値以下の範囲で電力を供給する家側電力供給制御手段と、前記家側電力供給制御手段と車両とを電気的に接続し、前記車両の蓄電池を系統電力から供給された電力で充電可能であると共に、前記車両の電力を前記家側電力供給制御手段に供給可能な充給電手段と、前記車両を識別する車両識別手段と、前記車両識別手段が識別した結果に基づいて、前記車両が
発電能力を有する第1の車両群に属するか
充電を要する第2の車両群に属するかを判定し、前記車両が第1の車両群に属すると判定した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値を前記第1の目標上限値よりも低い第2の目標上限値に変更するように前記家側電力供給制御手段を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、家側電力供給制御手段である分電盤は、系統電力を電力供給先である建物内の居室等に分配する装置であって、制御手段に相当するHEMSからの制御によって、系統電力から供給される電力の目標上限値を所定の範囲で変更可能である。
【0009】
充給電手段は、分電盤と車両とを電気的に接続する。かかる接続により、車両の蓄電池を系統電力から供給された電力で充電可能であると共に、車両の電力を分電盤に供給することも可能である。
【0010】
車両識別手段は、車両を識別する情報を無線通信又は電力線搬送通信によって取得し、当該車両の型式等を識別する装置である。
【0011】
制御手段は、HEMSであって、車両識別手段が識別した型式等の情報から、車両がPHV又はHVである第1の車両群に属すると判定した場合は、系統電力から供給される電力の目標上限値を第1の目標上限値よりも低い第2の目標上限値に変更するように分電盤を制御することができる。
【0012】
なお、請求項2に記載の発明のように、前記制御
手段は、前記車両が第2の車両群に属すると判定した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値を前記第1の目標上限値よりも高い第3の目標上限値に変更するように前記家側電力供給制御手段を制御するようにしてもよい。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段はHEMSであって、車両識別手段が識別した型式等の情報から、車両がEVである第2の車両群に属すると判定した場合は、系統電力から供給される電力の上限値を第1の目標上限値よりも高い第3の目標上限値に変更するように分電盤を制御することができる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明のように、前記家側電力供給制御手段から前記複数の電力供給先に供給される電力を計測する計測手段をさらに備え、前記制御手段は、前記第1の目標上限値、前記第2の目標上限値又は前記第1の目標上限値よりも高い第3の目標上限値のいずれかに基づいて前記家側電力供給制御手段から前記複数の電力供給先に供給可能な電力を算出すると共に、前記車両が第1の車両群に属し、前記系統電力から供給される電力の上限値が前記第2の目標上限値のときに、前記計測手段の計測結果から前記複数の電力供給先に供給する電力が不足すると判断した場合は、前記充給電手段に接続された前記第1の車両群の電力を前記家側電力供給制御手段に供給するように前記充給電手段を制御するようにしてもよい。
【0015】
請求項3に記載の発明よれば、系統電力から供給される電力の上限値が第2の目標上限値のときに、計測手段の計測結果から複数の電力供給先に供給する電力が不足すると判断した場合は、充給電手段に接続された第1の車両群に属するPHV又はHVの電力を分電盤に供給することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明のように、前記計測手段は、前記第1の車両群に属する車両から前記家側電力供給制御手段に供給される電力をさらに計測し、前記制御手段は、前記系統電力から供給される電力の上限値が前記第2の目標上限値で、前記充給電手段に接続された前記第1の車両群に属する車両の電力が前記家側電力供給制御手段に供給されているときに、前記計測手段の計測結果から前記複数の電力供給先に供給する電力が不足すると判断した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値が前記第1の目標上限値となるように前記家側電力供給制御手段を制御してもよい。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、系統電力から供給される電力の上限値が第2の目標上限値で、充給電手段に接続された第1の車両群に属するPHV又はHVの電力が分電盤に供給されているときに、計測手段の計測結果から複数の電力供給先に供給する電力が不足すると判断した場合は、系統電力から供給される電力の上限値が第1の目標上限値となるように分電盤を制御することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明のように、前記計測手段は、前記家側電力供給制御手段から前記充給電手段に供給される電力をさらに計測し、前記制御手段は、前記系統電力から供給される電力の上限値が前記第1の目標上限値で、前記充給電手段に接続された前記第2の車両群に属する車両の蓄電池を充電しているときに、前記計測手段の計測結果から前記系統電力から供給される電力が不足すると判断した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値が前記第3の目標上限値となるように前記家側電力供給制御手段を制御してもよい。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、系統電力から供給される電力の上限値が第1の目標上限値で、充給電手段に接続された第2の車両群に属するEVの蓄電池を充電しているときに、計測手段の計測結果から系統電力から供給される電力が不足すると判断した場合は、系統電力から供給される電力の上限値が第3の目標上限値となるように分電盤を制御することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明のように、前記制御手段は、予め定められた充電スケジュールに従って前記充給電手段に接続された前記第2の車両群に属する車両の蓄電池を充電するように前記充給電手段を制御すると共に、該充電スケジュールに従って前記第2の車両群に属する車両の蓄電池を充電する時間帯では、前記系統電力から供給される電力の上限値が前記第3の目標上限値となるように前記家側電力供給制御手段を制御してもよい。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、予め定められた充電スケジュールに従って充給電手段に接続されたEVの蓄電池を充電するように充給電手段を制御すると共に、該充電スケジュールに従ってEVの蓄電池を充電する時間帯では、系統電力から供給される電力の上限値が第3の目標上限値となるように分電盤を制御することができる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明のように、前記車両識別手段は、前記車両から無線通信によって送信された前記車両を識別する情報を受信してもよい。これによって、入庫してきた車両に何らかの有線手段を接続をせずとも、当該車両を識別することができる。
【0023】
また、請求項8に記載の発明のように、前記車両識別手段は、前記充給電手段と前記車両とが電気的に接続されている場合に、電力線搬送通信によって前記車両を識別する情報を取得してもよい。これによって、入庫した車両に、電力線を接続した際に、当該車両を識別することができる。
【0024】
また、請求項9に記載の発明のように、前記制御手段が、前記車両が前記第1の車両群に属すると判定した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値を前記第2の目標上限値に変更すべき旨を表示し、前記車両が前記第2の車両群に属すると判定した場合は、前記系統電力から供給される電力の上限値を前記第3の目標上限値に変更すべき旨を表示する報知手段をさらに備えてもよい。これによって、報知手段には、電力供給の制御に係る様々な情報が表示される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、建物の分電盤と電気的に接続された車両からの電力供給を考慮することにより、電力の供給制限の頻繁な変更が不要な車両連携の給電システムを提供することができる、という効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る給電システム100の概略構成を示すブロック図である。なお、
図1中の実線は電力線を示し、点線は情報線を示すものとする。
【0028】
建物10には、電力会社から供給される系統電力12が接続される分電盤14が設けられており、系統電力12からの電力が分電盤14を介して建物10内に供給されるようになっている。
【0029】
分電盤14には、複数の電力供給先として、建物10に設けられた家電機器20及び住設機器22等が接続されており、系統電力12からの電力が供給される。
【0030】
また、分電盤14に車両連結部26を介して接続された車両の車両用蓄電池28を充電することが可能であり、その逆に、車両用蓄電池28から分電盤14に電力を供給することも可能である。
【0031】
車両連結部26は、ケーブルによって車両と接続されることにより、分電盤14と車両とを電気的に接続するコネクタである。当該コネクタは、分電盤14からの電力を車両に供給する又は車両の電力が分電盤14に供給するための電力線の端子と、建物内のエネルギーの管理や制御を行うHEMS(Home Energy Management System)30と車両との通信に係る情報線の端子を有してもよい。
【0032】
なお、HEMS30と車両との通信は、情報線線ではなく、電力線を用いる、いわゆる電力線搬送通信であってもよい。
【0033】
また、
図1の場合とは別に、非接触で電気的に接続して電力供給し充電を行うものを適用するようにしてもよい。
【0034】
非接触型の例としては、例えば、
図2に示すように、車両の駐車スペース等にコイルを備えた送電受電回路56を備えて分電盤14と接続し、車両側にもコイルを備えた送電受電回路58を備えて車両用蓄電池28と接続する。
【0035】
車両用蓄電池28を充電する際には、駐車スペース側の送電受電回路へ分電盤14から電力を供給してコイルに通電することにより、電磁誘導作用により車両側のコイルへ電力を供給して送電受電回路58を介して車両用蓄電池28を充電することができる。
【0036】
また、車両用蓄電池28から電力を供給する際には、車両用蓄電池28の電力を用いて車両側のコイルに通電することにより、電磁誘導作用により駐車スペース側のコイルへ電力を供給して送電受電回路56を介して分電盤14へ電力を供給することができる。
【0037】
さらに、分電盤14には、HEMS30が接続されている。HEMS30は、分電盤14を制御することにより、系統電力18及び車両用蓄電池28の電力を建物10へ供給するため、又は車両用蓄電池28を充電するための電力の制御を行うと共に、系統電力とのいわゆる契約アンペア値の範囲内で、系統電力から供給される電力の目標上限値を任意に設定することができる。
【0038】
図3は、本発明の実施の形態に係る給電システム100に含まれるHEMS30の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
HEMS30は、コンピュータを含んで構成されており、
図3に示すように、CPU36、ROM38、RAM40、及び入出力ポート42を備えて、これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス44を介して互いに接続されている。
【0040】
入出力ポート42には、各種入出力機器として、表示部46、操作部48、及びメモリ50が接続されている。なお、表示部46及び操作部48は一体で構成され、操作部48は、表示部46に設けられたタッチパネルを適用することができる。
【0041】
メモリ50には、上述した建物10へ供給する電力の制御を行うプログラム、家電機器20及び住設機器22等の制御を行うためのプログラム、契約アンペア値の範囲内で、系統電力から供給される電力の目標上限値を任意に設定するためのプログラム、並びにこれらのプログラムを実行するための各種情報等が記憶されている。
【0042】
HEMS30は、メモリ50に記憶されたプログラムをRAM40等に展開してCPU36で実行することにより、建物10へ供給する電力の制御等の各種制御を行うようになっている。
【0043】
さらに、入出力ポート42には、PHV、HV及びEVが備える車両無線通信部34と無線通信を行う無線通信部32、分電盤14、及び車両連結部26等が接続されている。
【0044】
分電盤14は、建物10に供給する電力を、系統電力12のみ、系統電力12及び車両用蓄電池28の電力、又は車両用蓄電池28の電力のみに切り換える機能を備えており、HEMS30が分電盤14を制御することによって電力の切り換えが行われる。
【0045】
また、HEMS30が分電盤14を制御することによって契約アンペア値の範囲内で、系統電力から供給される電力の目標上限値が任意に設定される。さらにHEMS30は、任意に設定された電力の目標上限値に基づいて分電盤14から複数の電力供給先に供給可能な電力を算出することができる。
【0046】
無線通信部32は、建物の駐車スペースに入庫した車両の車両無線通信部34から送信された車両を識別する型式等の情報を受信し、HEMS30は、無線通信部32が受信した情報に基づいて、入庫した車両がPHV若しくはHVであるか又はEVであるかを判定する。
【0047】
入庫した車両を識別する情報の取得は、無線通信部32及び車両無線通信部34による無線通信以外にも、
図1に示したように、車両を電気的に接続することで、情報線による通信又は電力線搬送通信によって、型式等の車両を識別する情報をHEMS30が取得することも可能である。
【0048】
続いて、本発明の実施の形態に係わる給電システム100で行われる処理の概略について説明する。
【0049】
図4は、本発明の実施の形態に係る給電システムにおけるHEMSの制御のフローチャートである。
【0050】
図4のステップ400で、HEMS30は、車両連結部26に車両が接続されたか否かを判定する。車両連結部26に車両が接続されか否かの判定は、情報線による通信又は電力線を介して情報を伝達する電力線搬送通信を用いて、車両からの情報を取得することによってもよいし、車両連結部に備わるプラグが車両の車両連結部26に接続され、車両と車両連結部26との間に電気的な接続が確立されたことをHEMS30が検知するようにしてもよい。
【0051】
車両が接続されたと判定された場合は、ステップ402で電力供給の目標上限値が契約アンペア値よりも低い第1の目標上限値に分電盤14が設定されているか否かを判定する。
【0052】
第1の目標上限値は任意に設定できるが、一例として、契約アンペア値よりも5〜10A程度低い値とすることが考えられる。
【0053】
電力供給の目標上限値が第1の目標上限値に設定されている場合は、ステップ404で接続された車両が、PHV又はHVである第1の車両群に属するか、EVである第2の車両群に属するかを判定する。
【0054】
車両の種別の判定は、情報線又は電力線搬送通信を用いて、車両連結部26に接続された車両から当該車両を識別する情報を取得してもよいし、車両が備える車両無線通信部34から送信された車両の識別情報を無線通信によって取得してもよい。
【0055】
接続された車両が第1の車両群に属する場合は、ステップ406において、電力供給の目標上限値を、第1の目標上限値よりも所定量だけ低い第2の目標上限値に設定すべき旨を表示部46に報知する。
【0056】
接続された車両が第2の車両群に属する場合は、ステップ408において、電力供給の目標上限値を、第1の目標上限値よりも所定量だけ高い第3の目標上限値に設定すべき旨を表示部46に報知する。
【0057】
第2の目標上限値に係る所定量及び第3の目標上限値に係る所定量は任意に設定可能であるが、一例として、5A程度が考えられる。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、車両連結部26に接続された車両が第1の車両群に属するか、第2の車両群に属するかを判定し、発電能力を有する第1の車両群の場合には、電力供給の目標上限値を下げるべき旨の報知を、充電を要する第2の車両群の場合には、電力供給の目標上限値を上げるべき旨の報知を各々行うことにより、接続された車両の種別に応じて、電力供給の目標上限値を適切に設定することが可能となる。
【0059】
図5は、車両連結部26に第1の車両群に属するPHV又はHVが接続された場合のHEMS30の制御を示すフローチャートである。
【0060】
ステップ500では、車両連結部26に第1の車両群に属する車両が接続されたか否かが判定され、第1の車両群に属する車両が接続されたと判定した場合は、後続するステップ502で、電力供給の目標上限値が第2の目標上限値か否かが判定される。
【0061】
電力供給の目標上限値が第2の目標上限値の場合、ステップ504において、建物10での電力の需要が第2の目標上限値から算出される電力を超えて、電力が不足するおそれがあるか否かを判定する。
【0062】
なお、ステップ504において、建物10での電力の需要が第2の目標上限値から算出される電力を超えるおそれがあるか否かを判定するには、第2の目標上限値から算出される電力を所定量下回る閾値を設定しておき、当該閾値を建物10での電力の需要が超えたか否かを判定する。なお、上記の所定量は、様々な値を設定できるが、一例として、100〜200W程度(1〜2A相当)とすることが考えられる。
【0063】
ステップ504において、建物10の電力の需要が第2の目標上限値から算出される電力を超えるおそれがあると判定された場合、ステップ506において、車両の電力を、車両連結部26及び分電盤14を介して、建物10の家電機器20及び住設機器22等に供給するようにする。
【0064】
さらに、ステップ508では、車両から供給される電力が限界に達して電力が不足するおそれがあるか否かを判定する。
【0065】
車両から供給される電力は、車両のエンジンを作動させていない場合は、車両用蓄電池28に残存する電力による。車両用蓄電池28に残存する電力を計測する方法は種々考えられるが、一般的には、車両用蓄電池28の電圧値による。
【0066】
ステップ508では、車両用蓄電池28の電圧値が所定の値を下回った場合に、車両用蓄電池28に残存する電力が払底しつつある状態と判断し、エンジンを始動していない車両から供給される電力が限界に達するおそれがあると判定してよい。
【0067】
なお、本実施の形態では、車両用蓄電池28の電圧値は、車両が接続されている車両連結部26を介して、HEMS30で計測可能である。
【0068】
ステップ508において、エンジンを始動していない車両から供給される電力が限界に達するおそれがあると判定された場合は、ステップ510において、車両のエンジンを始動させる。車両のエンジンは、情報線による通信、電力線搬送通信又は無線通信によって、HEMS30で制御されることによって始動可能である。
【0069】
ステップ512では、車両の燃料が所定量未満か否かを判定する。所定量は車両によって異なるが、一例として、5リットル程度であることが考えられる。
【0070】
車両の燃料が所定量未満となった場合は、ステップ514で車両のエンジンを停止し、ステップ516で、電力供給の目標上限値を、第1の目標上限値に設定する。
【0071】
さらに、ステップ518において、建物10での電力の需要が、第2の目標上限値から算出される電力を下回ったか否かを判断する。
【0072】
建物10での電力の需要が、第2の目標上限値から算出される電力を下回る場合には、ステップ520において電力供給の目標上限値を第2の目標上限値に設定し、手順をステップ504の前に戻す。
【0073】
以後は、建物10の電力の需要の変化に応じて、車両から電力を供給する制御、又は電力供給の目標上限値を第1の目標上限値若しくは第2の目標上限値に設定する制御を、ステップ504〜520の手順に従って実行する。
【0074】
以上のように、本実施の形態では、車両連結部26に第1の車両群に属する車両が接続された場合に、建物10での電力の需要の変化に応じて、車両からの電力の供給、又は電力供給の目標上限値を第1の目標上限値若しくは第2の目標上限値に設定する制御により、系統電力のみならず車両の電力も活用した電極供給が可能となる。
【0075】
なお、ステップ502で電力供給の目標上限値が第2の目標上限値でなかった場合、ステップ522で電力供給の目標上限値が第2の目標上限値になるように制御するが、第2の目標上限値に設定すべき旨を表示部46に報知し、操作部48からの入力によって電力供給の目標上限値を切り替えることが可能であってもよい。
【0076】
ステップ516及び520では、上述のように電力供給の目標上限値を第1の目標上限値及び第2の目標上限値に各々設定する制御を行うが、電力供給の目標上限値を変更すべき旨を表示部46に報知し、操作部48からの入力によって電力供給の目標上限値を切り替えることが可能であってもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、ステップ508において、エンジンを始動していない車両から供給される電力が限界に達するおそれがある場合に、ステップ510において車両のエンジンを始動した。
【0078】
しかしながら、車両のエンジンを作動させていない場合は、エンジンを始動させ車両が発電した電力を使用すべき旨をHEMS30の表示部46に表示するようにしてもよい。
【0079】
図6は、車両連結部26に第2の車両群に属するEVが接続された場合のHEMS30の制御を示すフローチャートである。
【0080】
ステップ600では、車両連結部26にEVが接続されたか否かが判定され、EVが接続されたと判定した場合は、後続するステップ602で、車両連結部26によるEVの車両用蓄電池28の充電を開始する。
【0081】
続いて、ステップ604では、電力供給の目標上限値が第3の目標上限値であるか否かが判定され、否定判定された場合には、ステップ606において、電力の需要が第1の目標上限値から算出される電力を超えるおそれがあるか否かを判定する。
【0082】
電力の需要が第1の目標上限値を超えるおそれがある場合は、ステップ608において、電力供給の目標上限値を第3の目標上限値に設定する。
【0083】
なお、ステップ606において、需要が第1の目標上限値から算出される電力を超えるおそれがあるか否かを判定するには、第1の目標上限値から算出される電力を所定量下回る閾値を設定しておき、当該閾値を電力の需要が超えたか否かを判定する。なお、上記の所定量は、様々な値を設定できるが、一例として、100〜200W程度(1〜2A相当)とすることが考えられる。
【0084】
ステップ610では、EVの車両用蓄電池28の充電が完了したか否かが判定され、充電が完了した場合は、ステップ612で、建物10の電力の需要が第1の目標上限値から算出される電力を下回ったか否かが判定され、下回っている場合には、ステップ614において、電力供給の目標上限値が第1の目標上限値に設定され、処理を終了する。
【0085】
なお、ステップ610では、車両用蓄電池28の電圧値が所定の値以上に達した場合に、車両用蓄電池28の充電が完了したと判定してよい。
【0086】
以上のように、本実施の形態では、車両連結部26にEVが接続された場合は、EVの車両用蓄電池の充電に要する電力及び建物10での電力の需要の変化に応じて、電力供給の目標上限値を第3の目標上限値又は第1の目標上限値に設定する制御により、需要に応じた上限値で系統電力からの電力供給を受けることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、予め定められた充電スケジュールに従って車両連結部26に接続されたEVの車両用蓄電池28を充電するように車両連結部26を制御すると共に、当該充電スケジュールにおいてEVの車両用蓄電池28を充電する時間帯では、系統電力12から供給される電力の目標上限値が第3の目標上限値となるように分電盤14を制御するようにしてもよい。
【0088】
例えば、充電スケジュールを、電力料金が低廉な夜間に設定しておくことで、EVの車両用蓄電池28を低コストで定期的に充電できるという効果を奏する。