(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記角度演算部は、第1から第m(mは2以上4以下の整数)の前記直線部を検出し、前記第1から第mの前記直線部のそれぞれと前記所定の基準線とがなす第1から第mの暫定角度を算出し、平面視における前記第1から第mの前記直線部の位置関係、および/又は、前記第1から第mの前記暫定角度の値に基づいて、1又は複数の前記暫定角度を選択し、前記第1角度として演算する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の姿勢検知装置。
前記図心演算部は、平面視において、前記搬送面上に設けられた前記搬送方向と垂直な仮想直線と、前記時系列データに基づいて求められた、前記搬送面上の前記物品の前記搬送方向に対するp個(pはn以下の整数)の中間点と、の距離を算出し、算出結果に基づきいずれの前記多角形の図心が前記搬送方向に対して前方もしくは後方にあるか演算を行う、
請求項1から9のいずれか1項に記載の姿勢検知装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、一般にCCDカメラを用いて搬送中の物品の平面姿勢を把握する場合には、正確な物品の姿勢把握は可能なものの、CCDカメラや画像処理装置等が必要であるため、装置の構成が複雑化し、コスト増につながるという問題がある。
【0006】
一方、2箇所のセンサS1,S2を用いて物品の平面姿勢を把握する場合には、
図18の点線部のように物品の直線部ではないところを、誤って直線部であると認識し、傾きをγと誤認するおそれがある。また、直線部は正しく認識されたとしても、平面視において長辺と短辺とを有する矩形である物品の平面姿勢を把握する場合には、認識された直線部が長辺なのか短辺なのかは判別できない。つまり、2箇所のセンサS1,S2を用いれば、
図17および
図19のように直線部と基準線のなす角度βは算出できるが、物品の長辺と短辺との位置関係は認識できない。
【0007】
本願発明の課題は、安価かつ簡素な構成で、平面視において長辺と短辺を有する矩形である物品の平面姿勢を、搬送中に精度よく把握できる姿勢検知装置と、その姿勢検知装置を有する箱詰装置ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る姿勢検知装置は、平面視において長辺と短辺とを有する矩形である物品の平面姿勢を、搬送しながら検知する姿勢検知装置であって、搬送部と、第1から第n(nは4以上の整数)のセンサと、角度演算部と、図心演算部と、第1姿勢演算部と、を備える。搬送部は、物品を搬送面により下方から支えて搬送する。第1から第nセンサは、搬送部上を通過する物品を検出する。角度演算部は、第1から第nのセンサが検出する物品の有無の時系列データに基づいて、平面視における物品の直線部を検出し、直線部と所定の基準線とがなす第1角度を演算する。図心演算部は、平面視において、物品の図心を通り搬送部の搬送方向に沿って延びる直線で物品を仮想的に分割した時に、搬送方向に対して右側に形成される右側多角形と、搬送方向に対して左側に形成される左側多角形との、いずれの多角形の図心が搬送方向に対して前方もしくは後方にあるかを時系列データに基づいて演算する。第1姿勢演算部は、角度演算部及び図心演算部の演算結果に基づいて、物品の平面姿勢を演算する。
【0009】
これにより、簡素な構成で物品の辺を正しく検出でき、平面視において物品の辺と所定の基準線とがなす角度が正確に演算される。また、物品の右側多角形と左側多角形の図心の位置関係が求められるため、物品の長辺と短辺との位置関係も把握でき、より詳細な平面姿勢の判断が可能となる。
【0010】
つまり、本発明に係る姿勢検知装置では、物品を箱詰め等するために物品の長辺又は短辺の向きを把握することが必要な場合に、安価な構成で平面姿勢を把握できる。
【0011】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、第1姿勢演算部は、平面視における所定の基準線と、物品の長辺又は短辺とのなす第2角度を物品の平面姿勢として演算することが望ましい。
【0012】
これにより、物品の平面姿勢を、物品の長辺又は短辺と基準線とのなす第2角度として、−90°以上90°未満の範囲で把握することができる。
【0013】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、長さ演算部と、第2姿勢演算部と、演算方法選択部と、をさらに備えることが望ましい。長さ演算部は、平面視における物品の対辺間の距離を第1から第nのセンサが検出する物品の有無の時系列データと第1角度に基づいて演算し、又は、平面視における物品の搬送方向の長さを前記の時系列データに基づいて演算する。第2姿勢演算部は、角度演算部及び長さ演算部の演算結果に基づいて、平面視における所定の基準線と物品の長辺又は短辺とのなす第2角度を、物品の平面姿勢として演算する。演算方法選択部は、第1角度の値に応じて、第1姿勢演算部と、第2姿勢演算部とのいずれにより平面姿勢を演算するかを選択する。
【0014】
これにより、物品の長辺と短辺との位置関係が、物品の右側多角形と左側多角形との図心の位置関係では把握困難な場合にも、長さ演算部により計測された長さを利用して物品の長辺又は短辺の位置関係を把握可能である。その結果、物品がいかなる平面姿勢にあっても平面姿勢を把握しやすい。
【0015】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、所定の基準線は搬送部の搬送方向と垂直又は平行な直線であることが望ましい。
【0016】
これにより、把握された物品の平面姿勢が理解されやすい。
【0017】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、所定の基準線は搬送部の搬送方向と垂直又は平行な直線であり、さらに、演算方法選択部は、第1角度が、20°以上70°以下、もしくは、−70°以上−20°以下の場合に、第1姿勢演算部を選択し、それ以外の場合には、第2姿勢演算部を選択することが望ましい。
【0018】
これにより、物品の長辺又は短辺が搬送方向と垂直又は平行に近くなり、物品の右側多角形の図心と左側多角形の図心との位置関係が把握しにくい場合にも、第2姿勢演算部を利用して物品の平面姿勢を正確に把握できる。
【0019】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、角度演算部は、第1から第m(mは2以上4以下の整数)の直線部を検出し、第1から第mの直線部のそれぞれと所定の基準線とがなす第1から第mの暫定角度を算出し、平面視における第1から第mの直線部の位置関係、および/又は、第1から第mの暫定角度の値に基づいて、1又は複数の暫定角度を選択し、第1角度として演算することが望ましい。
【0020】
これにより、角度演算部が複数の直線部を検出した場合に、正確に第1角度を演算することが容易な直線部を選択して第1角度を演算できる。この結果、物品の平面姿勢を正確に把握しやすい。
【0021】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、姿勢決定部をさらに備えることが望ましい。角度演算部は、複数の直線部を検出し、第1角度を複数演算することが望ましい。姿勢決定部は、平面姿勢が複数演算された場合に、平面姿勢の演算に用いた第1角度および/又は角度演算部により第1角度を演算した際の直線部の搬送方向に対する位置関係に応じて1の平面姿勢を選択し決定することが望ましい。
【0022】
これにより、最も正確な平面姿勢を、平面姿勢の演算に用いた第1角度および/又は第1角度演算の際の直線部の位置関係に基づいて選択できる。この結果、物品の平面姿勢を正確に把握しやすい。
【0023】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、姿勢決定部は、平面姿勢が複数演算された場合に、統計的手法を用いて1の平面姿勢を演算し決定してもよい。
【0024】
これにより、センサの計測誤差等を原因として発生する平面姿勢の演算誤差を適切に補正し、物品の平面姿勢を正確に把握することが容易になる。
【0025】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、図心演算部は、平面視において、搬送面上に設けられた搬送方向と垂直な仮想直線と、第1から第nのセンサが検出する物品の有無の時系列データに基づいて求められた、搬送面上の物品の搬送方向に対するp個(pはn以下の整数)の中間点と、の距離を算出し、算出結果に基づき右側多角形と左側多角形とのいずれの多角形の図心が搬送方向に対して前方もしくは後方にあるか演算を行うことが望ましい。
【0026】
これにより、簡素な構成で右側多角形の図心と左側多角形の図心との位置関係を把握することが可能である。
【0027】
また、本発明に係る姿勢検知装置では、第1から第nのセンサは、搬送部の搬送面に垂直に光を発射する投光素子と、投光素子と対をなし、対となる投光素子の発射する光の進路上に搬送部を挟んで配置され、光を受光する受光素子と、をそれぞれ有することが望ましい。さらに、第1から第nのセンサは、平面視において、搬送部の搬送方向に垂直な直線状に等間隔に、かつ、隣接するセンサ同士の投光素子が光を発射する方向が、逆向きになるように配置されることが望ましい。
【0028】
これにより、いわゆる透過型のセンサが用いられる場合に、センサ同士の干渉の影響を抑え、搬送部を搬送される物品の有無を正確に検出することが容易になる。
【0029】
また、本発明に係る姿勢検知装置は、物品の図心を把握する保持位置把握部をさらに備えることが望ましい。保持位置把握部は、第1から第nのセンサが検出する物品の有無の時系列データを用いて、物品の図心を把握することが望ましい。
【0030】
これにより、第1から第nのセンサの時系列データを用いて、物品の平面姿勢に加え、物品の図心位置も把握できる。
【0031】
次に、本発明に係る箱詰装置ユニットは、上記の特徴を備える姿勢検知装置と、保持移送装置と、保持部制御装置とを備える。保持移送装置は、物品を、回動可能な保持部により保持し、移送する。保持部制御装置は、保持部の位置および回動角度を制御する。保持部制御装置は、姿勢検知装置によって検出された、物品の平面姿勢と、物品の図心とに基づいて、保持部の位置および回動角度を制御する。
【0032】
これにより、箱詰装置ユニットは、姿勢検知装置により把握された物品の平面姿勢および図心位置を基に、保持部に物品を適切な位置で保持させ、かつ、保持部を回動させて物品の平面姿勢を適切に補正させることができる。その結果、箱詰装置ユニットは、物品を整然と箱詰めすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る姿勢検知装置では、4つ以上の物品検出センサを用いることで、平面視において長辺と短辺とを有する矩形である物品の辺を、直線部として正確に検出することができる。その結果、平面視における物品の辺と所定の基準線とがなす角度が正確に演算できる。また、4つ以上の物品検出センサの時系列データを用いて物品の右側多角形と左側多角形の図心の位置関係を求めることで、物品の短辺と長辺との位置関係を判断できる。
【0034】
つまり、平面視において物品の長辺又は短辺の向きを把握することが必要な場合に、安価な構成で物品の平面姿勢を把握できる。
【0035】
また、本発明に係る箱詰装置ユニットは、姿勢検知装置により把握された物品の平面姿勢および図心位置を基に、保持部に物品を適切な位置で保持させ、かつ、保持部を回動させて物品の平面姿勢を適切に補正させることができる。その結果、箱詰装置ユニットは、物品を整然と箱詰めすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る姿勢検知装置10、および、姿勢検知装置10を備える箱詰装置ユニット1について説明する。
【0038】
(1)概略説明
本実施形態では、箱詰装置ユニット1は商品処理システム100に適用されている。
【0039】
商品処理システム100では、所定重量のポテトチップス等の内容物が袋状に包装された商品(物品)Xは、シール検査および重量検査後に平面姿勢と図心位置が把握され、把握された商品Xの平面姿勢と図心位置とを用いて商品Xの平面姿勢が補正され、最終的に商品Xが所定個数ずつ段ボール箱に自動的に箱詰めされる。商品Xは、
図2のように、平面視において、170mmの長辺Pと120mmの短辺Qとを有する略矩形である。
図1を用いて、商品処理システム100について説明する。
【0040】
商品処理システム100は、組合せ計量装置51、製袋包装装置52、シール検査装置53、重量検査装置54、姿勢検知装置10を備えた箱詰装置ユニット1、段ボール用コンベア55、および不良品搬送コンベア56を有する。
【0041】
商品処理システム100では、供給された内容物は、組合せ計量装置51により目標重量になるよう計量され、下方に位置する製袋包装装置52へ供給される。製袋包装装置52では、フィルムFを縦・横シールすることにより製袋しつつ、袋内へ内容物を封入して商品Xとする。商品Xは、コンベア57に上方から供給され、シール検査装置53に対して搬送される。
【0042】
シール検査装置53では、コンベア53aにより搬送される商品Xを、押え具53bにより押圧し、商品Xの厚みの変化を計測することで商品Xのシールが適正になされているかを判断する。より具体的に説明すると、押え具53bは、押え具53bを平行運動させる平行運転機構53cと、リンク53dにより接合されている。リンク53dの下端の回転中心には図示しないロータリーエンコーダが具備され、ロータリーエンコーダによりリンク53dの回転角度が計測される。押え具53bにより商品Xを押圧した時に、リンク53dの回転角度が所定の基準角度以上であればシール検査は合格と判定され、回転角度が所定の基準角度より小さい場合には、シール検査は不合格と判定される。シール検査後、商品Xは重量検査装置54に対して搬送される。
【0043】
重量検査装置54では、コンベア54aにより搬送される商品Xの重量が、コンベア54aの下方に位置する図示しないロードセルにより計量される。商品Xの重量が所定の許容範囲内にあれば重量検査は合格と判定され、商品Xの重量が許容範囲から外れる場合には重量検査は不合格と判定される。重量検査後、商品Xは箱詰装置ユニット1に搬送される。箱詰装置ユニット1は、姿勢検知装置10、商品移送装置60、および制御装置70を有する。
【0044】
箱詰装置ユニット1に搬送されてきた商品Xのうち、シール検査および重量検査を合格している商品Xについては、姿勢検知装置10により、平面視における商品Xの平面姿勢と図心位置とが演算により求められる。なお、姿勢検知装置10は、搬送コンベア11と、7つの縦光電センサ12a〜12gと、1つの横光電センサ13と、入出力部14と、制御部30とを有する。制御部30は、縦光電センサ12a〜12gの検出結果を用いて、搬送コンベア11により搬送中の商品Xの平面姿勢および、商品Xの平面視における図心位置を判断する。
【0045】
ここで商品Xの平面姿勢とは、平面視における商品Xの搬送方向Dと商品Xの長辺Pとのなす角度を意味する。平面視における商品Xの搬送方向Dと商品Xの長辺Pとのなす角度とは、
図2におけるθであり、−90°以上90°未満の値で表される。なお、
図2のように、平面視において、商品Xの長辺Pが搬送方向Dに対して時計回りに回転した状態では、商品Xの搬送方向Dと商品Xの長辺Pとのなす角度θは正の値で表される。逆に、商品Xの長辺Pが搬送方向Dに対して反時計回りに回転した状態では、商品Xの搬送方向Dと商品Xの長辺Pとのなす角度は負の値で表される。
【0046】
姿勢検知装置10により平面姿勢と図心位置が把握された商品Xは、商品移送装置60により図心位置において把持され、商品移送装置60による移送中に、商品Xの平面姿勢が所定の平面姿勢に補正される。その後、商品Xは、箱詰装置ユニット1に沿って設けられた段ボール用コンベア55によって搬送される段ボール箱Yに箱詰される。
【0047】
なお、シール検査又は重量検査のいずれかの結果が不合格と判定された商品Xは、姿勢検知装置10による平面姿勢と図心位置の把握は行われずに搬送コンベア11を通過し、不良品搬送コンベア56に受け渡される。不良品搬送コンベア56に受け渡された不良品は不良品集積所に搬送される。
【0048】
(2)詳細説明
箱詰装置ユニット1の有する姿勢検知装置10、商品移送装置60および制御装置70について詳しく説明する。
【0049】
(2−1)姿勢検知装置
姿勢検知装置10について、
図1、
図3および
図4を用いて説明する。
【0050】
(2−1−1)搬送コンベア
搬送コンベア11は、商品Xを
図1および
図3中の搬送方向Dに向かって搬送する搬送部であり、重量検査装置54のコンベア54aから供給された商品Xを、搬送面により下方から支えながら搬送する。搬送コンベア11の幅(平面視における搬送方向Dと垂直な方向の長さ)は、210mmである。搬送コンベア11は、後述する商品移送装置60の下方まで延びる。
【0051】
搬送コンベア11は、商品Xの搬送方向Dの上流側に位置する第1搬送コンベア11aと、商品Xの搬送方向Dの下流側に位置する第2搬送コンベア11bとを有する。第1搬送コンベア11aと第2搬送コンベア11bとは、商品Xの搬送に影響がない程度の隙間Gを形成して配置される。第2搬送コンベア11bは、下流側において不良品搬送コンベア56と連結される。
【0052】
(2−1−2)縦光電センサ
縦光電センサ12a〜12gは、それぞれが独立したセンサであり、商品Xが縦光電センサ12a〜12gの検出域を通過中であるか否かを検出する。縦光電センサ12a〜12gは、センサの一例である。
【0053】
縦光電センサ12a〜12gは、
図4のように、それぞれが、投光素子121a〜121gと、各投光素子121a〜121gと対となる受光素子122a〜122gとを有する。
【0054】
各投光素子121a〜121gは、搬送コンベア11の搬送面に向かって垂直に信号光を発射する。搬送コンベア11により搬送される商品Xにより、信号光が遮られない場合には、信号光は第1搬送コンベア11aと第2搬送コンベア11bとの間に形成された隙間Gを通過する。隙間Gを通過した信号光は、信号光を発射した投光素子121a〜121gと対となる受光素子122a〜122gによって受光される。なお、受光素子122a〜122gは、対となる投光素子121a〜121bの信号光の進路上に、搬送面を挟んで配置されている。搬送コンベア11により搬送される商品Xが信号光を遮る場合には、受光素子122a〜122gは信号光を受光しない。
【0055】
縦光電センサ12a〜12gは、平面視において搬送コンベア11の搬送方向Dと垂直な直線上に30mm間隔で配置される。また、縦光電センサ12a〜12gは、
図4の断面視のように、搬送面上方および下方の、搬送面に平行な直線上に、投光素子と受光素子とが交互に並ぶように配置される。言い換えれば、平面視において搬送方向Dと垂直な方向に並んだ縦光電センサ12a〜12gでは、隣り合う縦光電センサ12a〜12gの投光素子121a〜121gの信号光発射方向La〜Lgは、
図4のように互いに逆向きとなる。
【0056】
(2−1−3)横光電センサ
横光電センサ13は、縦光電センサ12a〜12gと同仕様のセンサであり、平面視において搬送コンベア11の搬送面外に、投光素子131および受光素子132を有する。
図3のように、投光素子131は搬送方向Dに対して右側に、受光素子132は搬送方向Dに対して左側に配置される。また、投光素子131および受光素子132は、搬送方向Dに垂直な直線上に配置される。投光素子131は、受光素子132に向かって信号光を発射する。
【0057】
横光電センサ13による商品Xの検出原理は縦光電センサ12a〜12gと同じであるため省略する。
【0058】
横光電センサ13は、商品Xが縦光電センサ12a〜12gの検出域を通過する前に商品Xの通過を検出する。つまり、横光電センサ13を用いることで、縦光電センサ12a〜12gが商品Xを検出するタイミングが事前に把握できる。
【0059】
(2−1−4)入出力部
入出力部14は、タッチパネル機能を有するディスプレイである。
【0060】
タッチパネルからは、姿勢検知装置10に対する運転信号および停止信号の入力、表示画面の切替信号の入力、商品Xの長辺Pと短辺Qの長さの入力など、ユーザからの各種指令やデータの入力が行われる。
【0061】
ディスプレイには、後述する制御部30により演算された商品Xの平面姿勢および図心位置などが表示される。
図5および
図6に入出力部14のディスプレイに表示される表示画面の例を示す。
【0062】
(2−1−5)制御部
制御部30は、姿勢検知装置10を制御する。
図7に、制御部30の概略ブロック図を示す。
【0063】
制御部30は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御部30は、ROMやRAMなどからなる記憶部45に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、
図7に示すように、主として、入出力制御部31、時間管理部32、信号受付部33、角度演算部34、保持位置把握部35、図心演算部36、長さ演算部37、演算方法選択部38、第1姿勢演算部39、第2姿勢演算部40、姿勢決定部41、送信部42、および受信部43として機能する。
【0064】
(2−1−5−1)入出力制御部
入出力制御部31は、入出力部14のタッチパネルに入力された指令およびデータを受け付けると共に、ディスプレイの表示画面を制御する。
【0065】
(2−1−5−2)時間管理部
時間管理部32は、制御部30の実行する各種制御の時間管理を行う。特に、後述する信号受付部33が受け付けた縦光電センサ12a〜12gの信号を時系列データとして記憶部45に記憶するために使用される。
【0066】
(2−1−5−3)信号受付部
信号受付部33は、縦光電センサ12a〜12gおよび横光電センサ13から、商品Xの検出に関する信号を時系列データとして受け付ける。商品Xの検出に関する信号とは、各センサの投光素子121a〜121g,131が発射した信号光を、対となる受光素子122a〜122g,132が受光したか否かについての信号である。信号受付部33は、受光素子122a〜122g,132が信号光を受光しない場合に、商品Xが受光素子122a〜122g,132に対応する縦光電センサ12a〜12gもしくは横光電センサ13の検出域を商品Xが通過した旨の信号を受け付ける。
【0067】
横光電センサ13からの信号は、縦光電センサ12a〜12gが商品Xを検出するタイミングを把握するために使用される。
【0068】
縦光電センサ12a〜12gからの信号は、信号受付部33に受け付けられ、時間管理部32の有する時計に基づき、センサ別に時系列データとして記憶部45に記憶される。その後、センサ別の時系列データは、信号受付部33により、縦光電センサ12a〜12gにおけるセンサ別の位置データに変換され、記憶部45に記憶される。
【0069】
信号受付部33による処理については後述する。
【0070】
(2−1−5−4)角度演算部
角度演算部34は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを用いて物品Xの直線部を検出し、検出された直線部と、搬送コンベア11の搬送方向Dとのなす角度を第1角度として演算する。
【0071】
角度演算部34による直線部の検出方法および第1角度の算出方法については後述する。
【0072】
(2−1−5−5)保持位置把握部
保持位置把握部35は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを用いて、商品Xの図心位置を近似的に把握する。把握された商品Xの図心位置は、後述するロボットアーム65による商品Xの保持位置として、後述する制御装置70に、後述する送信部42を介して送信される。
【0073】
保持位置把握部35による商品Xの図心位置の把握方法については後述する。
【0074】
(2−1−5−6)図心演算部
図心演算部36は、商品Xの図心を通り搬送コンベア11の搬送方向Dに沿って延びる直線で商品Xを仮想的に分割した時の、搬送方向Dの右側に位置する右側多角形と、左側に位置する左側多角形のいずれの多角形の図心が搬送方向Dの上流側に位置するかを演算で求める。つまり、右側多角形と左側多角形との、いずれの多角形の図心が搬送方向Dに対し後方にあるかを演算する。この演算には、記憶部45に記憶された、縦光電センサ12a〜12gにおける位置データが用いられる。
【0075】
図心演算部36による具体的な演算については後述する。
【0076】
(2−1−5−7)長さ演算部
長さ演算部37では、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データ、および、角度処理部34により求められた第1角度に基づいて、商品Xの対辺間の距離が算出される。なお、商品Xの2つの対辺のうち、長さ演算部37により距離が算出されるのは、搬送コンベア11の搬送方向Dに平行な直線が、対辺を構成する二辺ともと交差する方の対辺である。
【0077】
長さ演算部37による具体的な演算については後述する。
【0078】
(2−1−5−8)演算方法選択部
演算方法選択部38は、第1角度が20°以上70°以下、もしくは、−70°以上−20°以下の範囲にある場合には、後述する第1姿勢演算部39に、商品Xの長辺Pと搬送方向Dとのなす角度を第2角度として演算させる。
【0079】
一方、第1角度が前記の範囲にない場合には、演算方法決定部38は、後述する第2姿勢演算部40に、商品Xの長辺Pと搬送方向Dとのなす角度を第2角度として演算させる。演算される第2角度は商品Xの平面姿勢であり、−90°以上90°未満の値で表される。
【0080】
(2−1−5−9)第1姿勢演算部
第1姿勢演算部39は、角度演算部34により演算された第1角度の値と、図心演算部36の演算結果とに基づいて、平面視における商品Xの長辺Pと搬送コンベア11の搬送方向Dとのなす第2角度を算出し、平面姿勢として演算する。
【0081】
第1姿勢演算部39による具体的な演算については後述する。
【0082】
(2−1−5−10)第2姿勢演算部
第2姿勢演算部40は、角度演算部34により演算された第1角度の値と、長さ演算部37の演算結果とに基づいて、平面視における商品Xの長辺Pと搬送コンベア11の搬送方向Dとのなす第2角度を算出し、平面姿勢として演算する。
【0083】
第2姿勢演算部40による具体的な演算については後述する。
【0084】
(2−1−5−11)姿勢決定部
姿勢決定部41は、第1姿勢演算部39および/又は第2姿勢演算部40により、複数の第2角度が平面姿勢として演算された場合に、統計的手法を用いて1の平面姿勢を演算し決定する。ここでの統計的手法は、複数の第2角度の平均値を算出し、1の平面姿勢を求める手法である。ただし、統計的手法はこれに限定されるものではなく、例えば第2角度が3つ以上演算される場合には、複数の第2角度の中間値や最頻値を1の平面姿勢として求めてもよい。
【0085】
なお、複数の第2角度が、平面姿勢として第1姿勢演算部39および/又は第2姿勢演算部40により演算されるのは、角度演算部34が複数の直線部を検出して複数の第1角度を演算し、それぞれの第1角度について第2角度が演算される場合である。
【0086】
平面姿勢として第2角度が1つだけしか演算されない場合には、姿勢決定部41は、その第2角度をそのまま平面姿勢として決定する。
【0087】
決定された平面姿勢は、制御装置70に対し、後述する送信部42を介して送信される。
【0088】
(2−1−5−12)送信部
送信部42は、箱詰装置ユニット1の制御装置70に種々の情報を送信する。送信される情報には、保持位置把握部35により求められた商品Xの図心位置および姿勢決定部41により決定された商品Xの平面姿勢の情報を含む。
【0089】
(2−1−5−13)受信部
受信部43は、シール検査装置53および重量検査装置54から送信される、商品Xの検査結果に関する情報を受け付ける。本実施形態では両検査装置53,54からそれぞれ検査結果を受け付けるが、両検査装置53,54を制御する図示しない制御装置から一括して検査結果に関する情報を受け付けてもよい。
【0090】
重量検査装置54から搬送されてきた商品Xのうち、受信部43が両検査に合格している旨の報告を受けた商品Xについてのみ、姿勢検知装置10による平面姿勢および図心位置の把握が行われる。
【0091】
(2−2)商品移送装置60
商品移送装置60は、シール検査および重量検査を共に合格し、姿勢検知装置10により平面姿勢および図心位置が把握された商品Xのみを、箱詰装置ユニット1に沿って設けられた段ボール用コンベア55によって搬送される段ボール箱Yまで移送し、箱詰する装置である。商品移送装置60は、商品Xを移送する保持移送装置の一例である。
【0092】
商品移送装置60について具体的に説明する。
【0093】
姿勢検知装置10により平面姿勢および図心位置が検知された商品Xは、第2搬送コンベア11bにより商品移送装置60の下方まで搬送される。搬送されてきた商品Xは、保持部であるロボットアーム65、の有する吸引パッド65aにより上方から吸着保持され、垂直移動機構66aにより上方に持ち上げられる。吸引パッド65aによる吸着保持位置は、姿勢検知装置10の送信部42から送信された商品Xの図心位置(保持位置)である。ロボットアーム65に保持された商品Xは、水平移動機構66b,66cにより、段ボール用コンベア55上に用意された段ボール箱Yまで移送される。この際、商品Xの平面姿勢(平面視において矩形である商品Xの長辺Pの向き)を所定の平面姿勢に補正するため、商品Xは、
図8のように水平面上でR方向に回転させられる。商品Xの回転は、商品Xを保持しているロボットアーム65を、ロボットアーム65の上部に配置される回転機構66dを駆動させて回転させることで実行される。平面姿勢が補正され、段ボール箱Yまで移送された商品Xは、段ボール箱Y内に矩形状の商品Xの長辺Pの向きが略同一となるように重なり合った状態で箱詰めされる。
【0094】
一方、シール検査もしくは重量検査のいずれかの検査結果異常が認められ商品Xは、商品移送装置60に保持されることなく、第2搬送コンベア11bにより搬送され、下流に配置される不良品搬送コンベア56に受け渡される。
【0095】
(2−3)制御装置
制御装置70は、保持移送装置である商品移送装置60の制御を行う。制御装置70の制御には、商品移送装置60の保持部であるロボットアーム65の位置および回転角度の制御を含む。制御装置70は、保持部制御装置の一例である。
【0096】
図9に、制御装置70の概略ブロック図を示す。
【0097】
制御装置70は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されている。制御装置70は、ROMやRAMなどからなる記憶部75に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、
図9に示すように、受付部71、ロボットアーム制御部72として機能する。
【0098】
(2−3−1)受付部
受付部71は、姿勢検知装置10の制御部30の送信部42から送信された、商品Xの図心位置と平面姿勢とに関する情報を含む種々の情報を受け付ける。
【0099】
(2−3−2)ロボットアーム制御部
ロボットアーム制御部72は、第2搬送コンベア11bにより商品移送装置60の下方まで搬送されてきた商品Xのうち、受付部61が図心位置と平面姿勢とに関する情報を受け付けた商品Xについてのみ、ロボットアーム65により保持し移送するよう制御する。図心位置と平面姿勢とに関する情報を有さない商品Xは、シール検査もしくは重量検査の結果が不合格であったことを意味するため、ロボットアーム65により移送されない。ロボットアーム65により移送されない商品Xは不良品として第2搬送コンベア11bを経て、不良品搬送コンベア56に受け渡される。
【0100】
ロボットアーム制御部72は、送信部42から送信された商品Xの図心位置情報を用いて、ロボットアーム65の吸引パッド65aによる商品Xの保持位置を制御する。具体的には、ロボットアーム制御部72は、受付部71に受信された商品Xの図心位置を、吸引パッド65aによる保持位置として決定し、吸引パッド65aに保持させる。なお、商品Xは第2搬送コンベア11bにより搬送されているため、吸引パッド65aによる商品Xの保持の際には、第2搬送コンベア11bの搬送速度が考慮される。
【0101】
また、ロボットアーム制御部72は、水平移動機構66b,66cに駆動を指示してロボットアーム65を移動させることで、吸引パッド65aにより保持された商品Xを、段ボール用コンベア55上に用意された段ボール箱Yまで移送させる。
【0102】
さらに、ロボットアーム制御部72は、回転機構66dに駆動を指示してロボットアーム65を回転させ、商品Xの平面姿勢を変更する。具体的には、ロボットアーム制御部72は、受付部71が受け付けた商品Xの平面姿勢の情報に基づいて、商品Xの長辺Pが第2搬送コンベア11bの搬送方向Dと略平行になるよう回転機構66dの回転方向と回転角度を決定し、回転機構66dに対して駆動を指示する。
【0103】
(3)制御処理
以下に、姿勢検知装置10の制御部30の制御フローについて
図10を用いて説明する。
【0104】
まず、ステップS201では、信号受付部33が、横光電センサ13から商品Xを検出した旨の信号を受け付けたか否かが判断される。商品Xを検出した旨の信号を受け付けるまでステップS201が繰り返し実行され、商品Xを検出した旨の信号を受け付けた場合には、ステップS202に進む。
【0105】
ステップS202では、信号受付部33が受け付けた信号に対応する商品Xについて、シール検査および重量検査に合格した旨の信号を受信部43が受信しているか否かが判定される。両検査ともに合格した旨の信号を受信していないと判定されれば、現在横光電センサ13により検出されている商品Xについての制御処理は終了となりステップS201に戻る。その後、次の商品Xについて、横光電センサ13から商品Xを検出した旨の信号を受け付けるまでステップS201を繰り返す。一方、ステップS202で、両検査に合格した旨の信号を受信していると判定されれば、ステップS203に進む。
【0106】
ステップS203では、信号受付部33が縦光電センサ12a〜12gから受け付けた商品Xの検出の有無に関する信号が、検出の対象となる1の商品Xに関するデータとして、記憶部45にセンサ別かつ時系列に保管される。なお、検出の対象となる1の商品Xに関するデータは、1の商品Xが横光電センサ13に検出され始めた時点から、いずれかの縦光電センサ12a〜12gがその1の商品Xを検出し始めた後全ての縦光電センサ12a〜12gがその1の商品Xを検出しなくなる時点まで、全ての縦光電センサ12a〜12gについて連続的に保管される。商品Xが全ての縦光電センサ12a〜12gにより検出されなくなると、ステップS204に進む。
【0107】
ステップS204では、ステップS203で記憶部45に記憶されたセンサ別の時系列データが、信号受付部33によりセンサ別の位置データに変換される。なお、位置データとは、後述する仮想直線に対する商品Xの位置を示すデータである。時系列データの位置データへの変換について具体的に説明する。
【0108】
時系列データから位置データへの変換は、横光電センサ13により商品Xを検出し始めた時点から、各縦光電センサ12a〜12gが商品Xを検出した旨の信号を送信し始めた時点および商品Xを検出した旨の信号の送信を終了した時点までの経過時間を、時系列データから割り出し、割り出された経過時間に搬送コンベア11の搬送速度を乗ずることにより実行される。
【0110】
例えば、搬送コンベア11の搬送速度が500mm/秒であり、縦光電センサ12aは、商品Xが横光電センサ13に検出されてから0.1秒後に商品Xを検出した旨の信号を送信し始め、0.4秒後に商品Xを検出した旨の信号の送信を終了したとする。各々の経過時間に搬送コンベア11の搬送速度を乗ずると、50mmと200mmという結果が得られる。この値が、縦光電センサ12a〜12gの検出対象となった1の商品Xの、縦光電センサ12aにおける位置データである。この位置データは、横光電センサ13が商品Xを最初に検出した時点において、平面視における仮想直線上の縦光電センサ12aの設置位置に対し、搬送方向Dの上流側50mmから200mmまで商品Xが存在することを意味する。なお、仮想直線とは、横光電センサ13が商品Xを最初に検出した位置において、搬送コンベア11の搬送面上に、搬送方向Dと垂直な方向に設けた仮想の直線である。
【0111】
時系列データの位置データへの変換は、全ての縦光電センサ12a〜12gについて行われる。なお、位置データを図示したものの例が
図5および
図6の棒グラフ状部である。
図5および
図6の棒グラフ状部は、上から順に縦光電センサ12a、12b、・・・12gの位置データを示す。それぞれの棒グラフ状部の左端は横光電センサ13が商品Xを初めに検出した位置(仮想直線の位置)を示す。棒グラフ状部の斜線部は商品Xが存在する位置を示し、白抜き部は商品Xが存在しない位置を示す。
【0112】
なお、入出力部14に表示される位置データは、信号受付部33が受け付けた縦光電センサ12a〜12gの信号とは、縦光電センサ12a〜12gの配列方向に対して線対称の関係にある。
図5、
図14および
図15に基づいて説明する。
【0113】
図14は、
図5の位置データに対応する商品Xの搬送状態を表す。商品Xは、
図14中では、右から左に向かって搬送されている。この場合、信号受付部33は、ステップS203において、縦光電センサ12a〜12gから
図15のような信号を時系列データとして受け取る。
図15の棒グラフ状部の斜線部は商品Xが検知されている時間を示し、白抜き部は商品Xが検知されていない時間を示す。なお、時間軸tの向きは
図15中に矢印で示すとおりであり、左側ほど新しい信号のデータであることを意味している。つまり、
図15では最初に縦光電センサ12a〜12gが商品Xを検知した信号が最も右側に現れ、最後まで縦光電センサ12a〜12gにより商品Xが検知されていた信号が最も左側に現れる。しかし、このような表示では、搬送方向Dと物品Xとの関係が把握しにくいため、
図15のデータは、縦光電センサ12a〜12gの配列方向に対して折り返され、
図5のように表示される。このような表示に対応する位置データが利用され、以下の角度演算および姿勢演算は実行される。
【0114】
ステップS204終了後、ステップS300に進み、角度演算部34による第1角度の演算が実行される。角度演算部34による演算処理について
図11を用いて説明する。
【0115】
まず、ステップS301では、角度演算部34が、記憶部45に保管された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを用いて、直線部を検出する。直線部の検出のための演算について、
図5に示した位置データを例に具体的に説明する。
【0116】
図5に示した位置データでは、縦光電センサ12b〜12fで商品Xが検出されている。ここでは、縦光電センサ12b〜12fにおける、棒グラフ状部の左端から、斜線部の左端までの距離を、それぞれAb,Ac,Ad,Ae,Afとする。
【0117】
角度演算部34は、商品Xが検出されている縦光電センサ12b〜12fについて、隣接する縦光電センサ間の、棒グラフ状部の左端から、斜線部の左端までの距離の差を、搬送コンベア11の搬送方向Dに対して左側から順に算出する。つまり、
図5の場合では、(Af−Ae),(Ae−Ad),(Ad−Ac),および(Ac−Ab)が順に算出される。この距離の差を算出順に比較し、その値が±5mmの部分が2つ以上連続して存在すれば、その部分は直線部として検出される。例えば、
図5では、(Af−Ae),(Ae−Ad),および(Ad−Ac)はほぼ同じ値であるため、縦光電センサ12cから12fまでの部分が直線部として検出される。一方、(Ad−Ac)と(Ac−Ab)とはその値が大きく異なることから縦光電センサ12b〜12dの部分は直線部ではないと判断される。
【0118】
なお、直線部の検出は、棒グラフ状部の左端から、斜線部の左端までの距離ではなく、棒グラフ状部の左端から、斜線部の右端までの距離を用いて行われてもよい。棒グラフ状部の左端から、斜線部の右端までの距離を用いた直線部の検出原理も、棒グラフ状部の左端から、斜線部の左端までの距離を用いた直線部の検出原理と同様であるため説明は省略する。また、
図5では、斜線部の左端および右端にはそれぞれ1つずつ直線部が検出されるが、
図6では、商品Xの検出部分である斜線部の左端および右端に、直線部がそれぞれ2箇所検出される。
【0119】
ステップS302では、ステップS301で検出された直線部と、搬送コンベア11の搬送方向Dとのなす第1角度が求められる。第1角度は、ステップS301で直線部を構成すると判断された縦光電センサのうち、搬送方向Dに対して右端と左端とに位置する縦光電センサの、平面視における距離および記憶部45に記憶された位置データ、を用いて算出される。
【0120】
ステップS301の説明と同様に、
図5に示した位置データ用いて具体的に説明する。
【0121】
まず、直線部として検出された縦光電センサ12c〜12fのうち、搬送コンベア11の搬送方向Dに向かって一番左端および右端に位置する、縦光電センサ12fおよび縦光電センサ12cの間で、
図5における棒グラフ状部の左端から斜線部の左端までの距離の差を計算する。すなわち、ここでは(Af−Ac)を計算する。続いて平面視における、縦光電センサ12cと縦光電センサ12fとの距離が計算される。各縦光電センサは30mm間隔で配置されているので、縦光電センサ12cと縦光電センサ12fとの距離は90mmと求まる。この時第1角度は、(Af−Ac)および90mmを用いて、tan
-1(90/(Af−Ac))により算出される。
【0122】
なお、
図5における棒グラフ状部の左端から斜線部の右端までの距離の差を用いて第1角度を算出することもできるが、考え方は同様であるため説明は省略する。
【0123】
ステップS302で算出された第1角度は記憶部45に記憶される。
【0124】
次にステップS303では、ステップS301で検出された直線部全てについて第1角度が算出されたか判定される。全ての直線部について第1角度の算出が終了していればステップS205に進む。まだ第1角度が算出されていない直線部があれば、ステップS302へ戻り、第1角度をまだ演算していない直線部について演算を行う。つまり、複数の直線部がある場合には、記憶部45に記憶される第1角度も複数となる。
【0126】
ステップS205では、第1角度が20°以上70°以下、もしくは、−70°以上−20°以下の範囲にあるかが演算方法選択部38により判定される。この条件を満たす場合には、ステップS310へ、条件を満たさない場合にはステップS320へ進む。
【0127】
ステップS310では、第1姿勢演算部39により平面姿勢である第2角度が演算される。
図12を用いて説明する。
【0128】
ステップS311では、平面視において、右側多角形の図心と左側多角形の図心との搬送方向Dに対する位置関係を把握するための図心位置に関する指標が算出される。なお、右側多角形および左側多角形は、商品Xの図心を通り搬送コンベア11の搬送方向Dに沿って延びる直線で商品Xを仮想的に分割した時の、搬送方向Dの右側および左側に位置する多角形を示す。
【0129】
図心演算部36は、記憶部45に保管された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを呼び出す。そして、図心演算部36は、この位置データを基に、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gを見つけ出し、搬送コンベア11の搬送方向Dの右側と左側とで2群に分ける。商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gの数が偶数であれば同数ずつ2群に分け、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gの数が奇数であれば、真ん中に位置する縦光電センサは無視し、搬送方向Dの右側と左側とで同数ずつ2群に分ける。
【0130】
例えば、
図6に示した位置データを用いて具体的に説明すれば、縦光電センサ12b〜12dが搬送方向Dに対して右側のセンサ群であり、縦光電センサ12e〜12gが搬送方向Dに対して左側のセンサ群である。
【0131】
その後、搬送方向Dに対して右側のセンサ群に含まれる縦光電センサそれぞれについて、搬送方向Dに垂直な仮想直線から、商品Xの中間位置までの距離が算出され、積算される。この積算値が右側のセンサ群の図心位置指標である。
【0132】
また、搬送方向Dに対して左側のセンサ群に含まれる縦光電センサそれぞれについて、搬送方向Dに垂直な仮想直線から、商品Xの中間位置までの距離が算出され、積算される。この積算値が左側のセンサ群の図心位置指標である。
【0133】
なお、搬送方向Dに垂直な仮想直線から、商品Xの中間位置までの距離とは、
図6に示した位置データを用いて具体的に説明すれば、棒グラフ状部の左端から、商品Xの中間位置である斜線部の中間位置までの距離を示す。
【0134】
ステップS312では、図心演算部36が、右側多角形と、左側多角形とのいずれの多角形の図心が搬送方向Dの上流側に位置するかを判定する。判定は、ステップS311で算出された右側のセンサ群の図心位置指標と、左側のセンサ群の距離の図心位置指標とを比較することで判定される。左側のセンサ群の図心位置指標の方が右側のセンサ群の図心位置指標よりも大きければ、左側多角形の図心のほうが右側多角形の図心よりも搬送方向Dの上流側に位置すると判定される。つまり、左側多角形の図心のほうが右側多角形の図心よりも搬送方向Dに対して後方に位置すると判定される。言い換えれば、商品Xは搬送方向Dに対して右向きであると判定される。一方で、右側のセンサ群の図心位置指標の方が左側のセンサ群の図心位置指標よりも大きければ、逆の判定がなされる。
【0135】
左側多角形の図心が右側多角形の図心よりも搬送方向Dの後方に位置すると判定された場合には、ステップS313に進む。右側多角形の図心が左側多角形の図心よりも搬送方向Dの後方に位置すると判定された場合には、ステップS314に進む。
【0136】
ステップS313では、第1角度が0°以上か否かが判定され、第1角度が0°以上であればステップS315で第1角度がそのまま第2角度として演算される。第1角度が0°未満であればステップS316で第1角度に90°を足した値が第2角度として演算される。
【0137】
次に、ステップS314では、第1角度が0°未満か否かが判定され、第1角度が0°未満であればステップS315へ進む。第1角度が0°以上であればステップS317で第1角度から90°を引いた値が第2角度として演算される。
【0138】
ステップS315〜ステップS317のいずれかで第2角度が演算されれば、演算値が記憶部45に記憶され、ステップS206へ進む。
【0139】
次にステップS320について説明する。ステップS320では、第2姿勢演算部40により平面姿勢である第2角度が演算される。
図13a,
図13bを用いて説明する。
【0140】
ステップS321では、第1角度の大きさによって場合分けが行われる。第1角度の絶対値が20°より小さい場合には、ステップS322に進む。それ以外の場合には、ステップS332に進む。
【0141】
第1角度の絶対値が20°より小さい場合について説明する。
【0142】
ステップS322では、長さ演算部37による演算が行われる。長さ演算部37は、第1角度と、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データとを用いて長さ演算を行う。
【0143】
まず、長さ演算部37は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを用いて、最も長く商品Xが検出されているデータを見つける。
図5に示された位置データを用いて説明すれば、長さ演算部37は、棒グラフ状部の斜線部の長さが最も長いものを見つける。
【0144】
その後、長さ演算部37は、商品Xの対辺間の距離を演算で求める。
図16を基に説明する。見つけられた最大長さが
図16中のBであったとすると、算出の対象である対辺間の距離Cは、B×sin|α|として算出される。ここでは、αは第1角度を、|α|は第1角度の絶対値を表す。
【0145】
ステップS323では、第2姿勢演算部40により、長さ演算部37により算出された対辺間の距離が、商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さの平均値以上か否かが判定される。なお、商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さには、入出力部14のタッチパネルに予めユーザが入力し、記憶部45に記憶された値が用いられる。
【0146】
長さ演算部37により算出された対辺間の距離が、商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さの平均値以上の場合にはステップS324に進み、第1角度がそのまま第2角度として演算される。
【0147】
長さ演算部37により算出された対辺間の距離が、商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さの平均値より短い場合には、ステップS325に進む。ステップS325では、第1角度が0°以上か否かが判定され、第1角度が0°以上であればステップS326で第1角度に90°を引いた値が第2角度として演算される。第1角度が0°未満であればステップS327で第1角度に90°を足した値が第2角度として演算される。
【0148】
ステップS324、ステップS326又はステップS327のいずれかで第2角度が演算されれば、演算値が記憶部45に記憶され、ステップS206へ進む。
【0149】
第1角度の絶対値が20°より大きい、より正確には、第1角度の絶対値が70°より大きく90°以下の場合について説明する。
【0150】
ステップS332では、長さ演算部37による演算が行われる。演算内容は、ステップS322と同様である。
【0151】
ステップS333では、第2姿勢演算部40により、長さ演算部37により算出された対辺間の距離が、商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さの平均値以上か否かが判定される。商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さには、入出力部14のタッチパネルに予めユーザが入力し、記憶部45に記憶された値が用いられる。
【0152】
長さ演算部37により算出された対辺間の距離が、商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さの平均値以上の場合には、ステップS335に進む。ステップS335では、第1角度が0°以上か否かが判定され、第1角度が0°以上であればステップS336で第1角度に90°を引いた値が第2角度として演算される。第1角度が0°未満であればステップS337で第1角度に90°を足した値が第2角度として演算される。
【0153】
一方、長さ演算部37により算出された対辺間の距離が、商品Xの長辺Pと短辺Qとの長さの平均値より短い場合には、ステップS334に進み、第1角度がそのまま第2角度として演算される。
【0154】
ステップS334、ステップS336又はステップS337のいずれかで第2角度が演算されれば、演算値が記憶部45に記憶され、ステップS206へ進む。
【0155】
ステップS206では、ステップS300で演算された全ての第1角度について第2角度が演算されたか判定される。全ての第2角度の演算が終了していればステップS207に進み、まだ演算されていない第1角度があればステップS205に戻る。つまり、複数の第1角度がある場合には、記憶部45に記憶される第2角度も複数となる。
【0156】
ステップS207では、姿勢決定部41は、複数の第2角度が記憶部45に保管されている場合には、統計的手法に基づき1の平面姿勢を決定する。一方、第2角度が1つしか記憶部45に保管されていない場合には、その第2角度がそのまま平面姿勢として決定される。
【0157】
ステップS208では、保持位置把握部35は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを用いて商品Xの図心位置を近似的に把握する。
【0158】
まず、保持位置把握部35は、搬送方向Dと垂直な方向に関して、図心位置を以下のように決定する。保持位置把握部35は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを呼び出す。そして、保持位置把握部35は、この位置データを基に商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gを見つけ出す。そして、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gの数が奇数であれば、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gの中で中央に位置する1の縦光電センサの位置が、搬送方向Dと垂直な方向に関する商品Xの図心位置であると把握される。商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gの数が偶数であれば、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gの中で中央に位置する2つの縦光電センサの中間位置が、搬送方向Dと垂直な方向に関する商品Xの図心位置であると把握される。縦光電センサ12a〜12gの位置データは予め記憶部45に記憶されている。
【0159】
次に、保持位置把握部35は、搬送方向Dに関して、図心位置を以下のように決定する。保持位置把握部35は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを呼び出す。そして、保持位置把握部35は、この位置データを基に商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gを見つけ出す。その後、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gについて、搬送方向Dに垂直な仮想直線から商品Xの中間位置までの距離がそれぞれ算出され、積算される。算出された積算値は、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gの数で除算される。除算により求められた値が、商品Xの搬送方向Dに関する図心位置(搬送方向Dに関する仮想直線から図心位置までの距離)であると把握される。
【0160】
なお、搬送方向Dに垂直な仮想直線から商品Xの中間位置までの距離とは、
図6に示された位置データを用いて具体的に説明すれば、棒グラフ状部の左端から斜線部の中間位置までの距離を示す。
【0161】
このようにして把握された搬送方向Dおよび搬送方向Dに垂直な方向に関する商品Xの図心位置は、記憶部45に記憶される。
【0162】
最後にステップS209では、記憶部45に記憶された、姿勢決定部41により決定された商品Xの平面姿勢および保持位置把握部35により把握された商品Xの図心位置(保持位置)を、送信部42が制御装置70の受付部71に対して送信する。
【0163】
ステップS209終了後は、ステップS201に戻る。なお、一連の制御は、平面姿勢の検知対象である商品X毎に実行される。
【0164】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る姿勢検知装置10は、平面視において長辺Pと短辺Qとを有する矩形である商品Xの平面姿勢を、搬送しながら検知する。姿勢検知装置10は、搬送コンベア11と、7つの縦光電センサ12a〜12gと、角度演算部34と、図心演算部36と、第1姿勢演算部39と、を備える。搬送コンベア11は、商品Xを搬送面により下方から支えて搬送する。縦光電センサ12a〜12gは、搬送コンベア11上を通過する商品Xを検出する。角度演算部34は、縦光電センサ12a〜12gが検出する商品Xの有無の時系列データに基づいた位置データを用いて、平面視における商品Xの直線部を検出し、直線部と所定の基準線である搬送コンベア11の搬送方向Dに平行な直線とがなす第1角度を演算する。図心演算部36は、平面視において、商品Xの図心を通り搬送コンベア11の搬送方向に沿って延びる直線で商品Xを仮想的に分割した時に、搬送方向Dに対して右側に形成される右側多角形と、搬送方向Dに対して左側に形成される左側多角形との、いずれの多角形の図心が搬送方向Dに対して前方もしくは後方にあるかを時系列データに基づいた位置データを用いて演算する。第1姿勢演算部39は、角度演算部34及び図心演算部36の演算結果に基づいて、商品Xの平面姿勢を演算する。
【0165】
これにより、簡素な構成で商品Xの辺を正しく検出でき、平面視において商品Xの辺と基準線である搬送コンベア11の搬送方向Dとがなす第1角度が正確に演算される。また、商品Xの右側多角形と左側多角形の図心の位置関係が求められるため、商品Xの辺と搬送方向Dとがなす角度だけでは分からなかった、商品Xの長辺Pと短辺Qとの位置関係も把握でき、より詳細な平面姿勢の判断が可能となる。
【0166】
(4−2)
本実施形態に係る姿勢検知装置10では、第1姿勢演算部39は、平面視において、搬送方向Dと商品Xの長辺Pとのなす第2角度を商品Xの平面姿勢として演算する。
【0167】
これにより、商品Xの平面姿勢を、商品Xの長辺P又は短辺Qと搬送方向Dとのなす第2角度として、−90°以上90°未満の範囲で把握できる。
【0168】
(4−3)
本実施形態に係る姿勢検知装置10では、長さ演算部37と、第2姿勢演算部40と、演算方法選択部38と、をさらに備える。長さ演算部37は、平面視における物品の対辺間の距離を縦光電センサ12a〜12gが検出する物品の有無の時系列データに基づく位置データと、角度演算部34により演算された第1角度に基づいて演算する。第2姿勢演算部40は、角度演算部34及び長さ演算部37の演算結果に基づいて、平面視における搬送方向Dと商品Xの長辺Pとのなす第2角度を、商品Xの平面姿勢として演算する。演算方法選択部38は、第1角度の値が20°以上70°以下、もしくは、−70°以上−20°以下の場合に、第1姿勢演算部39に平面姿勢を演算させる。第1角度がそれ以外の値である場合には、演算方法選択部38は、第2姿勢演算部40に平面姿勢を演算させる。
【0169】
これにより、物品Xの右側多角形と左側多角形との図心の位置関係が把握困難な場合であっても、計測された商品Xの対辺の長さを利用して、商品Xの平面姿勢を把握可能である。より具体的には、商品Xの長辺Pが搬送方向と垂直又は平行に近くなり、商品Xの右側多角形と左側多角形との図心の位置関係が把握しにくい場合にも、第2姿勢演算部40を利用することで商品Xの平面姿勢を正確に把握することができる。その結果、商品Xがいかなる平面姿勢にあっても平面姿勢を把握しやすい。
【0170】
(4−4)
本実施形態に係る姿勢検知装置10では、姿勢決定部41をさらに備える。角度演算部34は、複数の直線部を検出された場合に、第1角度を複数演算する。姿勢決定部41は、複数の第1角度に基づき平面姿勢である第2角度が複数演算された場合に、複数の第2角度の平均値、中間値や最頻値を1の第2角度として算出し、商品Xの平面姿勢として演算して決定する。
【0171】
これにより、縦光電センサ12a〜12gの計測誤差等を原因として発生する平面姿勢の演算誤差を適切に補正し、商品Xの平面姿勢を正確に把握することが容易である。
【0172】
(4−5)
本実施形態に係る姿勢検知装置10では、図心演算部36は、平面視において、搬送面上に設けられた搬送方向Dと垂直な仮想直線(横光電センサ13による商品Xの検知開始位置に引いた直線)と、縦光電センサ12a〜12gが検出した商品Xの有無の時系列データに基づく位置データから求められた搬送面上の商品Xの搬送方向Dに対する中間点と、の距離を算出する。そして、算出結果に基づき、右側多角形と左側多角形とのいずれの多角形の図心が搬送方向Dに対して前方もしくは後方にあるか演算を行う。
【0173】
これにより、簡素な構成で右側多角形の図心と左側多角形の図心との位置関係を把握することが可能である。
【0174】
(4−6)
本実施形態に係る姿勢検知装置10では、それぞれの縦光電センサ12a〜12gは、搬送コンベア11の搬送面に垂直に信号光を発射する投光素子121a〜121gと、投光素子121a〜121gと対となる受光素子122a〜122gとを有する。受光素子122a〜122gは、対となる投光素子121a〜121gの発射する信号光の進路上に搬送コンベア11を挟んで配置され、対となる投光素子121a〜121gの発射する信号光を受光する。さらに、縦光電センサ12a〜12gは、平面視において、搬送コンベア11の搬送方向Dに垂直な直線状に等間隔に、かつ、隣接する縦光電センサ12a〜12g同士の投光素子121a〜121gが光を発射する方向が逆向きになるように配置されている。
【0175】
これにより、いわゆる透過型のセンサが用いられる場合に、センサ同士の干渉の影響を抑え、搬送部を搬送される物品の有無を正確に検出することが容易になる。
【0176】
(4−7)
本実施形態に係る姿勢検知装置10では、商品Xの図心を把握する保持位置把握部35をさらに備える。保持位置把握部35は、縦光電センサ12a〜12gが検出する物品の有無の時系列データに基づく位置データを使用して、商品Xの図心を把握する。
【0177】
これにより、商品Xの平面姿勢に加え、商品Xを箱詰装置ユニット1のロボットアーム65により保持する際に保持すべき位置(吸引パッド65aによる保持位置)も把握可能である。この結果、商品Xの平面姿勢に加え、商品Xの向きをそろえるために必要な商品Xの図心位置(保持位置)の情報も姿勢検知装置により演算可能である。
【0178】
(4−8)
本実施形態に係る箱詰装置ユニット1では、上記の特徴を備える姿勢検知装置10と、商品移送装置60と、制御装置70とを備える。商品移送装置60は、商品Xを、回動可能なロボットアーム65により保持し、移送する。制御装置70は、ロボットアーム65の位置および回動角度を制御する。制御装置70は、姿勢検知装置10によって検出された、商品Xの平面姿勢と、商品Xの図心とに基づいて、ロボットアーム65の位置および回動角度を制御する。
【0179】
これにより、姿勢検知装置10により把握された商品Xの平面姿勢および図心位置を基に、ロボットアーム65に商品Xを適切な位置で保持させ、ロボットアーム65を回動させることで商品Xの平面姿勢を適切に補正させることができる。その結果、箱詰装置ユニット1に整然と商品Xの箱詰めをさせることが可能である。
【0180】
(5)変形例
(5−1)変形例A
上記実施形態において、姿勢検知装置10は、箱詰装置ユニット1の一部として用いられているが、これに限られるものではない。例えば、商品Xにストリップテープを取り付けるシステムの一部として姿勢検知装置10が利用されてもよい。
【0181】
(5−2)変形例B
上記実施形態において、商品Xの長辺Pと搬送コンベア11の搬送方向Dとのなす角度を商品Xの平面姿勢として認識しているが、これに限られるものではない。商品Xの短辺Qと搬送コンベア11の搬送方向Dとのなす角度を商品Xの平面姿勢として認識してもよいし、商品Xの長辺P又は短辺Qと、搬送方向Dに平行な直線以外の任意の基準線とのなす角度を商品Xの平面姿勢として認識してもよい。
【0182】
(5−3)変形例C
上記実施形態において、7つの縦光電センサ12a〜12gを用いているが、縦光電センサの個数はこれに限定されるものではない。ただし、商品Xの直線部を認識するためには最低3つの縦光電センサが必要であり、商品Xの右側多角形と左側多角形との位置関係の把握のためには、最低4つの縦光電センサを用いることが望ましい。また、縦光電センサを増やすと、姿勢検知装置10のコストアップに繋がることから、縦光電センサは7つ程度まであることが望ましい。
【0183】
(5−4)変形例D
上記実施形態において、長さ演算部37は、商品Xの対辺の長さを算出しているが、これに限られるものではない。長さ演算部37は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データのみに基づいて、商品Xの搬送方向に対する最前方から最後方までの長さを求めてもよい。
【0184】
具体的には、長さ演算部37は、記憶部45に記憶された縦光電センサ12a〜12gにおける位置データを呼び出す。そして、長さ演算部37は、この位置データを基に商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gを見つけ出す。その後、商品Xを検出している縦光電センサ12a〜12gについて、搬送方向Dに垂直な仮想直線に最も近い商品Xの位置と、仮想直線から最も離れた商品Xの位置との間の距離を演算により求める。演算された値が本変形例における長さ演算部37の演算する長さである。
【0185】
なお、搬送方向Dに垂直な仮想直線に最も近い商品Xの位置と、仮想直線から最も離れた商品Xの位置との間の距離とは、
図6を用いて具体的に説明すれば、縦光電センサ12dについての棒グラフ状部の左端から斜線部の左端までの距離と、縦光電センサ12eについての棒グラフ状部の左端から斜線部の右端までの距離との差である。
【0186】
さらに、長さ演算部37は、縦光電センサ12a〜12gの位置データに代えて、横光電センサ13の商品Xの検出開始から検出終了までの時間と、搬送コンベア11の搬送速度との積を求め、その値を長さとしてもよい。横光電センサ13を用いることで、商品Xの搬送方向Dに対する長さが正確に認識されやすい。
【0187】
(5−5)変形例E
上記実施形態における、横光電センサ13は、必須の構成要件ではない。例えば、縦光電センサ12a〜12gのうち最初に1の商品Xを検出したセンサの信号を、横光電センサ13の信号に代えて利用してもよい。
【0188】
(5−6)変形例F
上記実施形態においては、角度演算部が複数の直線部を検出した場合には、検出された直線部の数と同数の第1角度を算出しているが、角度演算部は、複数算出された直線部の中から1又は複数を選択して、選択された直線部についてのみ第1角度を算出してもよい。
【0189】
例えば、角度演算部は、検出された直線部の位置関係に応じて直線部を選択してもよい。具体的には、搬送方向Dに対して後方に位置する直線部だけを選択して第1角度を算出してもよい。一般に、搬送方向Dに対して前方に位置する直線部は、商品Xの供給時の衝撃により商品Xの辺が変形し、正しい直線が検出されない場合がある。これに対し、搬送方向Dに対して後方に位置する直線部を選択して第1角度を算出することで、正確な平面姿勢が把握されやすい。なお、角度演算部は、一旦全ての第1角度を暫定的に算出した後に、1又は複数の直線部を選択し、暫定的に算出された第1角度の中から姿勢検知に用いる第1角度を選択してもよい。
【0190】
また、例えば、角度演算部は、検出された複数の直線部に対して複数の第1角度が算出された場合、最も第1角度の絶対値が大きくなる直線部を選択して、その直線部についての第1角度のみを算出してもよい。第1角度の絶対値が大きいということは、その直線部は搬送方向Dに対して垂直方向に近いことを意味する。この場合、その直線部は他の直線部よりも多くの縦光電センサ12a〜12gに検出されている可能性が高いことから、正確に商品Xの辺が認識されやすい。
【0191】
(5−7)変形例G
上記実施形態において、姿勢決定部41は、平面姿勢としての第2角度が複数算出された場合に統計的手法により1の平面姿勢を算出しているが、これに限られない。
【0192】
例えば、姿勢決定部41は、第2角度の算出に用いられた第1角度を算出するために用いられた直線部の位置関係に応じて直線部を選択してもよい。より具体的には、搬送方向Dに対して後方に位置する直線部に対して求められた第1角度を利用して得られた第2角度を1の平面姿勢として決定してもよい。また、例えば、姿勢決定部41は、複数の第1角度のうち、最も絶対値が大きい第1角度により求められた第2角度を平面姿勢として決定してもよい。
【0193】
この場合の効果は変形例Fと同様である。
【0194】
(5−8)変形例H
上記実施形態においては、縦光電センサ12a〜12gには投光素子121a〜121gと別置きの受光素子122a〜122gとを組み合わせたいわゆる透過型の光電センサを用いているが、これに限られるものではない。例えば、投光素子と受光素子が一体となった光電センサを用い、信号光の反射状態を用いて商品Xの検出を行ってもよい。
【0195】
(5−9)変形例I
上記実施形態においては、箱詰装置ユニット1は、ロボットアーム65により物品を保持、移送し、箱詰しているが、商品Xの保持部はロボットアーム65に限定されるものではない。例えば、パラレルリンクロボット等を保持部として利用してもよい。