(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
腕帯部の空気袋を手動にて加圧する加圧手段と、前記腕帯部の空気袋の内圧の減圧速度を制御する減圧速度制御手段と、前記腕帯部の前記内圧を検出する圧力検出手段と、前記腕帯部の前記内圧の減圧過程で前記圧力検出手段の出力信号に基づいて最高血圧値および最低血圧値を決定する血圧決定手段と、制御部を有し、前記腕帯部を被測定者の上腕に装着して血圧を測定する血圧計の制御方法であって、
前記減圧速度制御手段は、
脈拍数検出期間と最適速度減圧期間の前記腕帯部の前記内圧の減圧速度を制御するものであり、
前記最適速度減圧期間においては、前記脈拍数検出期間で測定された脈拍数に基づいて、前記制御部により前記腕帯部の前記内圧の減圧速度を制御し、
前記最適速度減圧期間で検出された脈波と前記腕帯部の前記内圧に基づいて前記最高血圧値および前記最低血圧値を決定し、
前記脈拍数検出期間は、前記最適速度減圧期間における減圧速度よりも小さい減圧速度で減圧する低速減圧期間である
ことを特徴とする血圧計の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0014】
図1は、本発明の血圧計の好ましい実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す血圧計の正面図である。
図1に示すように、血圧計1は、看護師等の医療従事者により手動加圧方式で患者の上腕Tを加圧することで、患者の血圧測定を行うことができる。この手動加圧方式の血圧計1は、送気球と血圧計本体部とが一体化されており、医療従事者は片手で送気球を加圧操作することができ、モータ音が無いために、夜間でも静かに血圧測定を行うことができる。
【0015】
医療従事者は、この血圧計1を用いる際には、患者の病態に応じて3つの測定モードを選択することができる。3つの測定モードとは、ノーマルモード、スローモード、そして聴診モードである。ノーマルモードは、自動測定により血圧測定をよりスピーディーに行うことができるモードである。スローモードは、自動測定により加圧後の減圧速度を、ノーマルモードの加圧後の減圧速度に比べて遅く設定して、低血圧の患者や脈拍の弱い患者の血圧測定を行うことができるモードである。そして、聴診モードは、自動測定は行わずに、医療従事者が聴診器を用いた聴診法により血圧測定をするモードである。
【0016】
図1と
図2に示す血圧計1における測定方式は、オシロメトリック法(いわゆるダブルカフ方式)であり、
図1に示すように測定対象部位は、被測定者である患者の上腕Tである。使用する電源としては、乾電池を用いている。
図1と
図2に示すように、血圧計1は、血圧計本体部2と、腕帯部3を有している。血圧計本体部1は、筐体4と送気球5を有している。送気球5は、医療従事者が加圧操作することで内部の空気を送ることができるように、伸縮性を有する材料で作られている。送気球5は、この例えばゴム気球である。
【0017】
図1と
図2に示す血圧計本体部2の筐体4は、プラスチック製であり、長方形状の表示部8と、電源スイッチ9と、モードスイッチ10と、排気スイッチ11を有している。この表示部8は、例えば液晶表示装置や有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置等であり、単色表示であっても、カラー表示であっても良い。この表示部8は、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、そして上述した3つの測定モードのどのモードが選択されているかを表示することができる。
電源スイッチ9は、医療従事者が押すことで、血圧計本体部2の電源をオンしたり、オフすることができる。モードスイッチ10は、医療従事者が押すことで、測定モードを上述したノーマルモード、スローモード、そして聴診モードの内の任意のモードに切り替えることができる。排気スイッチ11は、医療従事者が押すことで、後で説明する腕帯部3内の阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋内の空気を強制的に排出することができる。
【0018】
2本のチューブ6,7は、血圧計本体部2の筐体4と腕帯部3とを接続しているフレキシブルなチューブである。チューブ6はチューブ7に比べて太い。チューブ6の一端部6Bは、コネクタ部12を介して筐体4の上部に対して接続されている。チューブ7の一端部7Bは、プラグ7Cとコネクタ部12を介して筐体4の上部に対して接続されている。チューブ6,7の一端部6B、7B側付近は、ホルダー13により固定されている。このように、チューブ6,7がホルダー13により固定されていることにより、チューブ6,7が分離しないようにまとめているが、細いチューブ7の一端部7Bは、太いチューブ6の一端部6Bに比べて弛ませることで、チューブ6の動きにチューブ7の動きが追従できるように、チューブ6の長さには余裕を持たせてある。これにより、太いチューブ6を引き回したことで太いチューブ6が多少無理な方向に引っ張られたとしても、細いチューブ7が太いチューブ6につられて抜けてしまわない。
【0019】
図1に示すように、筐体4の下部には、延長部14が下方に突出して形成されている。この延長部14は、送気球5の正面部5Sの一部を覆っている薄板状の部材である。医療従事者が
図2に示すように、延長部14を手Hの指で支えながら送気球5を握ったり離したりする動作を繰り返すことにより、送気球5からの空気は、血圧計本体部2内の配管とチューブ6,7を通じて腕帯部3内の阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋に供給することができる。筐体4の両側には突出部4Tが形成されている。
【0020】
図3には、表示部8が液晶で表示される表示項目の例を示している。
図3に示すように、表示部8は、最高血圧値表示領域8A、最低血圧値表示領域8B、脈拍表示領域8C、脈波信号表示領域8D、前回値の表示領域8E、排気中の表示領域8F、加圧不足の表示領域8G、過加圧の表示領域8H、選択中のモード表示領域8Kを有している。
最高血圧値表示領域8Aは、加圧中および減圧中にあっては血圧の瞬時圧を表示し、最終的には最高血圧値を表示する。最低血圧値表示領域8Bは、最終的に決定された最低血圧値を表示する。
【0021】
図3に示す脈拍表示領域8Cは、測定された脈拍値を表示する。脈波信号表示領域8Dは、検出された脈波信号の大きさを表示し、脈波信号の大きさは左右に移動するバー状に表示する。通常の脈を持つ患者の場合には、脈波信号の大きさの表示はリズミカルに左右に増加したり減少したりするが、不整脈を持つ患者の場合には、脈波信号の大きさの表示はリズミカルに左右に増加したり減少することはない。この脈波信号表示領域8Dを備えることで、被測定者である患者が不整脈を有するか否かを視覚的に判断することができる。
【0022】
図3に示す前回値の表示領域8Eは、電源スイッチ9を押して血圧計本体部2の動作を立ち上げると点滅または点灯し、前回に測定した最高血圧値(収縮期血圧値)、最低血圧値(拡張期血圧値)、脈拍値が、最高血圧値表示領域8A、最低血圧値表示領域8B、脈拍表示領域8Cにそれぞれ表示される。そして、しばらく経過するか、あるいは送気球5を操作して送気が行われると、前回に測定した最高血圧値、最低血圧値、脈拍値の表示が消滅して、前回値の表示領域8Eは、電源スイッチ9を押して血圧計本体部2の動作を立ち上げると点滅または点灯も消滅する。排気中の表示領域8Fは、腕帯部3内の阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋の空気を急速に排気する際に点滅する。また、排気中の表示領域8Fは、排気スイッチ11が押された場合にも点滅する。
【0023】
図3に示す加圧不足の表示領域8Gが、点灯または点滅している時には、腕帯部3内の圧力が血圧測定をするのに十分なレベルまで達していないことを示すので、医療従事者に対してさらに送気球5を用いて空気を送るように促すことができる。
過加圧の表示領域8Hが、点灯または点滅している時には、腕帯部3内の圧力が所定の圧力以上(例えば、320mmHg以上)になっていることを示し、医療従事者は過加圧の表示領域8Hを確認することで、加圧動作を止めるように促すことができる。
【0024】
選択中のモード表示領域8Kは、モードスイッチ10を押すことで、ノーマルモード、スローモード、そして聴診モードの内のどのモードが選択されているかを表示している。このモード選択によって、排気(減圧)スピードを変えることができるようになっている。ノーマルモードが選択されると、排気スピードは例えば約5mmHg/秒に設定される。ノーマルモードでは、排気スピードが比較的速いので測定時間を比較的短くできるという利点がある。その一方で、圧力変化測定の刻みが大きいことになるので、脈拍が安定した人を測定する場合には特に問題はないが、不整脈の人の血圧を測定する場合には、脈が抜けやすいので測定誤差が大きくなる可能性がある。
【0025】
そこで、スローモードが設けられており、このスローモードが選択された場合には、排気スピードをノーマルモード時の略半分付近、例えば2.0〜2.5mmHg/秒に設定している。このように「スロー」モードでは通常よりゆっくり減圧することにより詳細に圧力変化を見ることができるので、脈が抜けやすい不整脈の人の測定がより正確に行うことができる。
さらに、聴診モードは、聴診器を使ってマニュアルで測定するモードであるが、この場合も通常モードの略半分程度の排気スピード、例えば2.0〜3.0mmHg/秒に設定される。
【0026】
次に、
図4を参照して、血圧計1の血圧計本体部2内に配置されている制御回路ブロック例について説明する。
図4は、血圧計本体部2内に配置されている制御回路ブロック例と、腕帯部3の構成例を示している。
図4に示す血圧計本体部2の筐体4の内部には、制御部100が配置されており、この制御部100は中央処理装置(CPU)101を有している。制御部100は、表示部8と、電源コントロール部102と、電源スイッチ9と、モードスイッチ10と、排気スイッチ11と、圧力センサ110と、ROM(読み出し専用メモリ)111と、RAM(ランダムアクセスメモリ)112と、駆動部113と、ブザー114に電気的に接続されている。
【0027】
図4に示す電池115の電源は、電源コントロール部102によりコントロールされることで、制御部100に供給される。電池115としては、乾電池であっても、2次電池(充電池)であっても良いが、好ましくは、医療従事者が片手で送気球の加圧操作を行なうため、測定時の消費電力は0.5W程度であるため、使用する電源としては、例えば単3形乾電池(DC1.5V)または単3形充電池(DC1.5V)を1本のみ用いる。このため新品の単3形乾電池(DC1.5V)を使用する場合、1000回程度の血圧測定が可能となり、血圧計1全体の小型化,軽量化(135g程度)が図られる。表示部8は、制御部100の指令により
図3を参照しながら説明した表示項目を表示する。
圧力センサ110は、後で説明する腕帯部3の阻血用空気袋20内の圧力と、動脈拍動検出用の空気袋40内の圧力を検出する。圧力センサ110は、阻血用空気袋20内の圧力の変化を検出する。しかも、動脈拍動検出用の空気袋40内の圧力は、血圧測定中に上腕Tの動脈拍動による動脈壁の振動により、すなわち上腕Tの動脈の脈波により変動するが、圧力センサ110はこの圧力の変動を検出する。阻血用空気袋20は大カフともいい、動脈拍動検出用の空気袋40は小カフともいう。
【0028】
ROM111は、制御プログラムや各種のデータを予め格納している。RAM112は、演算結果や測定結果を一時的に格納する。駆動部113は、制御部100の指令により電磁バルブ116を駆動する。腕帯部3が上腕Tを加圧している場合には、圧力センサ110により検出される圧力の変動値は、測定時である減圧時の圧力の変動値に比べてかなり大きい。このため圧力センサ110が検出する圧力の変動値が所定値以上であると、制御部100が判断すると、制御部100は現在加圧中であると判断して駆動部113に指令をして電磁バルブ116を閉める。
【0029】
これに対して、圧力センサ110が検出する圧力について、所定期間内に圧力変動値(上昇値)がほぼゼロもしくは減圧状態であると制御部100が判断すると、制御部100は駆動部113に指令をして電磁バルブ116を減圧スピードが所定値になるように開く。そして血圧計1の動作は、加圧モードから測定モードに移行することになる。
強制排気弁117は、排気スイッチ11が押されると、制御部100の指令により開くようになっている。
ブザー114は、制御部100の指令により所定の警告音を発生する。例えば、ブザー114は、血圧計本体部2の電源スイッチ9を押して表示部8が表示可能な状態になった時、モードスイッチ10を押すことによるモードの切り替え時、血圧値が決定した時、エラーが発生した時等に警告音を発生する。
【0030】
図4に示す強制排気弁117は、チューブ6の一端部6Bと導通管120の間に配置されている。送気球5は、マニホールド118と、分岐部119と、導通管120と、強制排気弁117を通じて、チューブ6の一端部6Bに接続されている。チューブ6の他端部6Aは、阻血用空気袋20に接続されている。また、送気球5は、マニホールド118と、分岐部119と、マニホールド121と、分岐部122を介して、圧力センサ110に接続されている。分岐部122は、チューブ7の一端部7Bに接続されている。チューブ7の他端部7Aは、動脈拍動検出用の空気袋40に接続されている。こうして、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は、内圧が等しくなるように連通している。
【0031】
これにより、圧力センサ110は、阻血用空気袋20内の圧力及びその圧力の変動と、動脈拍動検出用の空気袋40内の圧力及びその圧力の変動を検出することができる。医療従事者が送気球5を握ったり離したりすることで、空気は、マニホールド118と、分岐部119と、導通管120と、強制排気弁117と、チューブ6を通じて、阻血用空気袋20内に送り込むことができるとともに、空気は、マニホールド118と、分岐部119と、マニホールド121と、分岐部122と、チューブ7を通じて、動脈拍動検出用の空気袋40に送り込むことができる。
【0032】
次に、
図1に示す腕帯部3の構造例を説明する。
この腕帯部3は、患者(被測定者)の上腕Tの素肌に直接巻かれるものであり、詳しい構造例は、
図5から
図7に示している。
図5は、腕帯部3が巻かれようとする状態を示す斜視図である。
図6(A)は、腕帯部3の内面側を示し、
図6(B)は、腕帯部3の外面側を示す斜視図である。
図7(A)は、腕帯部3の外面側を示す平面図であり、
図7(B)は、腕帯部3の内部に配置される阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40の形状例を示す平面図である。
【0033】
図5と
図6と
図7(A)に示すように、腕帯部3は、カフカバー50と、大カフである阻血用空気袋20と、小カフである動脈拍動検出用の空気袋40を有している。カフカバー50は、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を着脱可能に収納することで覆っている。
カフカバー50は、外布51と内布52から成り、外布51と内布52は長方形状である。外布51の端部と内布52の端部は例えば糸で縫製することで固定されており、外布51と内布52の中には、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が着脱可能に収納することができる。これにより、カフカバー50は、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40から外して取り替えたり、消毒を行うことができる。
【0034】
図5と
図6と
図7(A)に示すカフカバー50の外布51と内布52は、阻血用空気袋の外面を覆う収納体を構成しており、円周方向及び長手方向に非伸縮性の材料で形成されており、変形可能であるが伸縮性が非常に低いかほとんど無い布部材である。これにより、外布51と内布52は、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内に空気を供給した際に、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が腕帯部2の半径方向の外側に膨れないようにすることができる。したがって、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は半径方向の内側である上腕T側に加圧力をかけることができ、阻血用空気袋20が発生する圧力と動脈拍動検出用の空気袋40が発生する圧力は、腕帯部2の外側へは逃げずに上腕Tに対して加圧でき、正確な血圧測定をすることができる。
【0035】
図7(A)に示すように、カフカバー50は、取り出し用の開口部分50Pを有している。この取り出し用の開口部分50Pは、外布51と内布52との間の隙間であり、カフカバー50内に収納されている阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を取り出したり、逆にカフカバー50内に入れ込むために設けられている。この開口部分50Pからカフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を取り出したり、逆にカフカバー50内に入れ込むことを容易するために、長方形状の阻血用空気袋20は台形状の延長部分21を有している。台形状の延長部分21は、開口部分50Pに対応した位置にあり、延長部分21が外側に向けて幅が小さくなるように傾斜部22を有している。これにより、医療従事者がこの延長部分21を手で掴むことにより、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は開口部分50Pを通じて、取り出したり、逆にカフカバー50内に入れ込むことを容易に行える。
【0036】
しかも、この延長部分21は、
図7(A)と
図7(B)に示すように、阻血用空気袋20の長手方向に関して中央から少し位置がずれるように形成されている。このため、開口部分50Pからカフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を入れ込む際に、逆方向に入れ込んでしまうことを防止している。すなわち、開口部分50Pからカフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が正確な方向に入れ込まれれば、延長部分21が開口部分50Pの位置に一致するが、逆方向に入れ込まれれば、延長部分21が開口部分50Pの位置に不一致となる。このことから、医療従事者は、カフカバー50内に阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が正確に入れ込まれたかどうかを判断できる。
【0037】
図7(A)に示す腕帯部3としては、患者の腕周り寸法を考慮して異なるサイズを用意することができる。腕帯部3のサイズは、例えば小さいものから大きいものにかけて、SSサイズ(上腕周長13〜20cmに適用)、Sサイズ(上腕周長17〜26cmに適用)、Mサイズ(上腕周長24〜32cmに適用)、Lサイズ(上腕周長32〜42cmに適用)、そしてLLサイズ(上腕周長42〜50cmに適用)である。
図7(A)に示す腕帯部3では、横方向の長さL1と幅W1を示しており、各サイズの寸法例を挙げると次の通りである。
例えば、SSサイズの腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(345±5mm,100±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(130±10mm,80±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(30±1mm,20±1mm)である。
Sサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(435±5mm,130±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(170±10mm,110±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(40±1mm,25±1mm)である。
Mサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(520±5mm,150±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(240±10mm,130±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(60±1mm,30±1mm)である。
Lサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(640±5mm,190±4mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(320±10mm,170±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(80±1mm,40±1mm)である。
LLサイズのカフについて、例えば、腕帯部3のカフカバー50の横方向の長さL1と幅W1は(220±4mm,830±5mm)、阻血用空気袋20の横方向の長L2と幅W2は(420±10mm,200±5mm)、動脈拍動検出用の空気袋40の横方向の長L3と幅W3は(100±1mm,50±1mm)である。
【0038】
次に、
図5と
図6と
図7(A)を参照して、腕帯部3のカフカバー50の構造について説明する。
図5と
図6(B)と
図7(A)に示すように、カフカバー50の外布51には、面ファスナのメス部分53が設けられている。この面ファスナのメス部分53は、長方形状の部材であり、外布51の始端部54側から外布51のほぼ中央位置まで配置されている。外布51の始端部54側には、始端部54を示す2つの認識マーク55が設けられている。2つの認識マーク55は例えば三角形状である。また、外布51の開口部分50P付近には、リング状の認識マーク56が設けられている。この認識マーク56は、
図1に示す患者の上腕Tの動脈を圧迫する位置を示す。このため、
図5に示すように、腕帯部3を上腕Tに巻き付けて固定する場合には、この認識マーク56が上腕Tの動脈の上に位置決めする。これにより、動脈拍動検出用の空気袋40は動脈の上に正確に位置決めすることができ、正確な血圧測定が行える。
【0039】
一方、
図5と
図6(A)に示すように、カフカバー50の内布52には、面ファスナのオス部分57が設けられている。
図5に示すように、腕帯部3が上腕Tに対して巻き付けて固定される際には、この面ファスナのオス部分57は、上述した面ファスナのメス部分53に対して着脱可能に貼り付けられることで腕帯部3を筒状にして、腕帯部3が上腕Tに対してずれないように固定することができる。この面ファスナのオス部分57は、内布52の終端部58側寄りの位置に設けられている。
図6(A)に示すように、内布52の中央位置には、2つの矢印マーク59が設けられている。2つの矢印マーク59は、腕帯部3が上腕Tに直接接する面であることと、腕帯部3の巻き付ける方向を示している。
【0040】
図7(B)に示す阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は、可撓性を有する材料で形成されている袋状の部材である。例えば、阻血用空気袋20は、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー等により作られている。動脈拍動検出用の空気袋40は、ポリウレタン等により作られている。
阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40の間には、硬質板65が配置されている。この硬質板65が配置されていることにより、動脈拍動検出用の空気袋40内の微小な圧力変動が、阻血用空気袋20内の大きな圧力変動に影響されること無く検出することができる。
【0041】
図6に示すように、阻血用空気袋20の延長部分21は、チューブ6の他端部6Aに接続され、動脈拍動検出用の空気袋40は、チューブ7の他端部7Aに接続されている。直径の小さいチューブ7の他端部7Aが直径の大きいチューブ6の他端部6Aに対して弛ませるようにしてあるので、カフカバー50の開口部分50Pを通じて阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を取り出し、あるいはカフカバー50の開口部分50Pを通じて阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40を収納する場合に、直径の小さいチューブ7の他端部7Aが直径の大きいチューブ6の他端部6Aにつられて破損してしまうことを防いでいる。
【0042】
次に、上述した血圧計1の使用例を説明する。
医療従事者は、
図1に示す患者の上腕Tの素肌に対して直接腕帯部3を、次のようにして巻き付けて固定する。
図8は、腕帯部3を患者の上腕Tの素肌に直接巻く手順の例を示している。
図8(A)に示すように、上腕Tに巻こうとする腕帯部3は、外布51側を下側にして内布52を上側にし、まず
図8(A)から
図8(B)に示すように、内布52側を上腕Tの下側から当てる。医療従事者は、手で腕帯部3の始端部54を持ってR1方向に沿って腕帯部3を上腕Tに対して巻き付ける。この際に、
図5と
図6(A)に示す認識マーク56は、
図8(B)に示すように上腕Tの動脈の位置に合わせて位置決めすることで、動脈拍動検出用の空気袋40が上腕Tの動脈に対して正確に位置決めできる。
そして、
図8(C)に示すように、医療従事者は手で腕帯部3の終端部58を持ってR2方向に沿って腕帯部3を上腕Tに対して巻き付ける。終端部58側の面ファスナのオス部分57は、上述した面ファスナのメス部分53に対して着脱可能に貼り付ける。面ファスナのメス部分53と面ファスナのオス部分57が着脱可能にかみ合うので、腕帯部3は上腕Tの素肌に対して直接巻き付けてずれない様に固定することができる。
【0043】
次に、
図9から
図11を参照して、血圧計1が患者の上腕Tの血圧を測定する手順を説明する。
図9は、本発明の実施形態の血圧計1において、阻血用空気袋により上腕に対して加えられる圧力が時間経過により変化する圧力の変化例と、脈拍(脈波)のトレンド曲線CCを示している。
図10(A)は、
図9に示す圧力の変化例と、脈拍(脈波)のトレンド曲線CCを拡大して示す図である。
図10(B)は、本発明の範囲外である比較例における圧力の変化例と脈拍(脈波)のトレンド曲線DDを拡大して示す図である。
図11は、本発明の実施形態の血圧計1が血圧測定を行う手順を示すフロー図である。
図9と
図10(A)に示す圧力の変化例では、圧力上昇期間t1、自然減圧期間t2、脈拍数検出期間としての低速減圧期間t3、最適速度減圧期間t4、そして強制排気期間t5を有している。
図11のフロー図は、ステップST1からステップST11を有している。
【0044】
図11のステップST1では、
図1に示すように腕帯部3が上腕Tに対して正しい姿勢で保持された状態で、医療従事者は、
図3に示す電源スイッチ9を押し、しかもモードスイッチ10を押すことで例えばノーマルモードを選択する。
図11のステップST2では、
図2に示すように、延長部14を手Hの指で支えながら送気球5を握ったり離して手動による加圧動作を繰り返すことで、送気球5からの空気は、血圧計本体部2内の配管とチューブ6,7を通じて腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内に空気をそれぞれ送り込まれる。これにより、患者の上腕Tに装着された腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40が加圧される。
【0045】
腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内には空気を送るので、
図9と
図10(A)に示すように、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力は、圧力上昇期間t1において上昇する。この圧力上昇期間t1では、
図4の制御部100のCPU(中央処理装置)101は、現在加圧中であると判断して駆動部113に指令をして電磁バルブ116を閉める。そして、
図11のステップST3では、医療従事者が送気球5を握ったり離したりする動作を停止して加圧を終了する。このように加圧を終了した時点の上腕Tに対して阻血する加圧圧力PPは、患者の最高血圧値に対して任意のオーバーシュート加圧量、例えば30mmHgから40mmHgだけ高い圧力である。しかし、このオーバーシュート加圧量は30mmHgよりも低くても良い。
【0046】
図11のステップST4では、ゴム球である送気球5を使用しているので、
図9と
図10(A)に示す自然減圧期間t2では、圧力は自然に少し低下することから、この自然減圧期間t2の間(例えば2,3秒)待機する。
その自然減圧期間t2の経過後、
図11のステップST5では、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力は、脈拍数検出期間としての低速減圧期間t3において、
図4の制御部100のCPU101が減圧状態であると判断すると、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力は、次の最適速度減圧期間t4における最適な減速速度に比べて、低速で減圧される。低速減圧期間t3では、
図4の圧力センサ110が検出する圧力について、CPU101が判断すると、CPU101は駆動部113に指令をして電磁バルブ116を減圧速度が所定値の低速の減圧速度になるように開く。これにより、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力が所定値の低速の減圧速度で減少する。この時の低速減圧期間t3における所定値の低速の減圧速度は、例えば0mmHg/秒を越えて2mmHg/秒以下である。
【0047】
この低速減圧期間t3では、
図11のステップST6とステップST7に示すように、
図4のCPU101は、圧力センサ110からの圧力信号により、
図9と
図10(A)に示す脈拍(脈波)のトレンド曲線CCにおける脈波の検出と脈拍数を計算する。
図9と
図10(A)に例示する低速減圧期間t3では、
図4のCPU101は圧力センサ110からの圧力信号から、例えば4拍の脈波WS1から脈波WS4を確実に得る。CPU101は、脈波WS1と脈波WS2の間の検出時間TM1と、脈波WS2と脈波WS3の間の検出時間TM2と、脈波WS3と脈波WS4の間の検出時間TM3をそれぞれ計算して、これらの3つの検出時間TM1からTM3の平均値であるHR(ハートレート)=平均値VE(TM1、TM2、TM3)を計算する。
【0048】
次に、
図11のステップST8では、
図9と
図10(A)に示す最適速度減圧期間t4に入る。
図4の制御部100のCPU101が、上述したHR(ハートレート)から患者の脈拍数を計算することができる。そして、CPU101は、患者の脈拍数の大小に応じて、次の最適速度減圧期間t4における最適な減圧速度を得る。例えば、患者の脈拍数が30拍であると、最適な減圧速度は2.5mmHg/秒である。患者の脈拍数が60拍であると、最適な減圧速度は5mmHg/秒である。患者の脈拍数が120拍であると、最適な減圧速度は10mmHg/秒である。即ち、患者の脈拍数が多いと制御部100のCPU101は、減圧速度(mmHg/秒)を大きく、患者の脈拍数が少ないと減圧速度(mmHg/秒)を小さくなるように制御する。これらの最適な減圧速度の値は、
図4の制御部100の記憶部100Mに予め記憶されている。
図11のステップST9では、
図4のCPU101は、記憶部100Mから患者の脈拍数に合った最適な減圧速度を読みだして、新しい最適な減圧速度として変更を行う。
【0049】
図11のステップST10では、
図9と
図10(A)に示す最適速度減圧期間t4では、
図4の圧力センサ110が検出する圧力について、
図4のCPU101が減圧状態であると判断すると、CPU101は駆動部113に指令をして電磁バルブ116を減圧速度が所定値の最適な減圧速度になるように開く。この最適速度減圧期間t4における所定値の最適な減圧速度は、低速減圧期間t3における減圧速度に比べて大きく、例えば5mmHg/秒である。これにより、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力が所定値の最適な減圧速度で減少され、この減圧の間に、
図4に示すCPU101は、圧力センサ110からの信号により、最高血圧値(SYS)と最低血圧値(D1A)と脈拍値(脈拍値)を取得する。
【0050】
その後、
図11のステップST11では、
図9と
図10(A)に示す強制排気期間t5では、
図4のCPU101は強制排気弁117を作動することで、腕帯部3内の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40内の空気を強制排気することで、圧力を大気圧に戻す。
【0051】
ところで、
図10(B)は、本発明の範囲外である比較例における時間経過により変化する圧力の変化例と脈拍(脈波)のトレンド曲線DDを示している。
図10(B)の比較例では、
図10(A)における低速減圧期間t3が設定されておらず、圧力上昇期間t1が終了するとすぐに速度減圧期間t6が開始されてしまう。このため、脈拍(脈波)のトレンド曲線DDに示すように、最大でも2つの脈波WR1、WR2を検出できるだけであり、脈波WR2と脈波WR1の間の1つの検出時間TNだけが得られる。このように、1つの検出時間TNだけが得られるので、CPUは1つの検出時間TNだけでは患者の脈拍数を計算できないことから、CPUは速度減圧期間t6における患者の脈拍数に応じた正確な減圧速度を計算できない。このため
図10(B)の比較例では、患者の脈拍数に応じた減圧速度を選定することができないので、正確な血圧測定を行うことができない。
【0052】
これに対して、
図10(A)に示す本発明の実施形態では、低速減圧期間t3において、
図4のCPU101は例えば4拍の脈波WS1から脈波WS4を確実に得るので、CPU101は、脈波WS1と脈波WS2の間の検出時間TM1と、脈波WS2と脈波WS3の間の検出時間TM2と、脈波WS3と脈波WS4の間の検出時間TM3を用いて、検出時間TM1からTM3の平均値であるHR(ハートレート)=平均値VE(TM1、TM2、TM3)を計算できる。このため、
図4のCPU101は、上述したHR(ハートレート)から患者の脈拍数を計算することができる。そして、CPU101は、患者の脈拍数の大小に応じて最適な減圧速度を算出することができるので、CPU101は最適速度減圧期間t4における患者の脈拍数に応じた正確な減圧速度を選択できるので、正確な血圧測定を行うことができる。
【0053】
次に、
図12は、本発明の別の実施形態を示している。
図12では、本発明の別の実施形態の血圧計1において、阻血用空気袋により上腕に対して加えられる圧力が、時間経過により変化する圧力の変化例と脈拍(脈波)のトレンド曲線CCを示している。
図9と
図10(A)に示す本発明の実施形態では、
図11のステップST5では、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力は、脈拍数検出期間としての低速減圧期間t3において、
図4の制御部100のCPU101が減圧状態であると判断すると、最適速度減圧期間t4での減速速度に比べて低速で減圧される。
【0054】
しかし、
図12の本発明の実施形態では、
図11のステップST5では、腕帯部3内の阻血用空気袋20内の圧力は、低速減圧期間t3に代えて一定の圧力を保持している圧力保持期間t6になっている。つまり、脈拍数検出期間としての圧力保持期間t7では、
図4の制御部100は駆動部113に指令をして電磁バルブ116を閉じることで、圧力をほぼ一定に保持、すなわち減圧速度は、0〜0.5mmHg/秒である。
【0055】
このように脈拍数検出期間としての圧力保持期間t7を、自然減圧期間t2と最適速度減圧期間t4の間に設定することで、
図10(A)に示す本発明の実施形態の低速減圧期間t3と同様にして、
図4のCPU101が例えば4拍の脈波WS1から脈波WS4が確実に得られるので、CPU101は、脈波WS1と脈波WS2の間の検出時間TM1と、脈波WS2と脈波WS3の間の検出時間TM2と、脈波WS3と脈波WS4の間の検出時間TM3を用いて、検出時間TM1と検出時間TM2と検出時間TM3の平均値であるHR(ハートレート)=平均値:VE(TM1、TM2、TM3)を計算する。
図4の制御部100のCPU101が、上述したHR(ハートレート)から患者の脈拍数を計算することができる。そして、CPU101は、最適速度減圧期間t4において患者の脈拍数の大小に応じて最適な減圧速度を選択することができるので、正確な血圧測定を行うことができる。
【0056】
本発明の実施形態の血圧計1は、腕帯部3を被測定者である患者の上腕Tに装着して加圧することで血圧を測定する際に、腕帯部3内に配置されて空気を供給することで上腕Tを加圧する空気袋20と、空気袋内の圧力を検出する圧力センサ110と、圧力センサ110からの圧力検出の信号により上腕Tに加えている圧力を得て、上腕Tを加圧するために空気袋に空気を供給する圧力上昇期間と、空気袋から空気を抜いて最適速度で減圧する最適速度減圧期間t4との間には、複数の脈波(例えばWS1からWS4)から脈拍数を算出するための脈拍数検出期間t3(t7)を設定する制御部100を有する。このため、繰り返して血圧測定を行う必要が無く、血圧測定時間を短縮することができる。すなわち、制御部100のCPU101が、脈拍数検出期間t3(t7)において、複数の脈波から患者の脈拍数を計算することができる。制御部100のCPU101は、患者の脈拍数の大小に応じて患者に合った最適な減圧速度を算出することができる。このため、患者の血圧測定は、患者に合った最適な減圧速度で減圧した状態で正確に行うことができる。このため、繰り返して血圧測定を行う必要が無く、血圧測定時間を短縮することができる。
【0057】
また、本発明の実施形態の血圧計1では、圧力上昇期間t1において加圧圧力PPは、患者の最高血圧値に対して任意のオーバーシュート加圧量、例えば30mmHgから40mmHgだけ高い圧力である。しかし、このオーバーシュート加圧量は30mmHgよりも低くても、制御部100のCPU101が、脈拍数検出期間t3(t7)において、複数の脈波から、加圧不足を判定することができる。制御部100のCPU101は、患者の脈拍数の大小に応じて患者に合った最適な減圧速度を算出することができる。言い換えれば、自然減圧期間t2を経過した後、脈拍数検出期間である低速減圧期間t3(圧力保持期間t7)では、この後の最適速度減圧期間t4に比べて小さくすることで、圧力上昇期間t1におけるオーバーシュート加圧量を低減することもできる。このため、圧力上昇期間t1における上腕の痛み等を軽減することができる。
【0058】
脈拍数検出期間は、最適速度減圧期間における減圧速度よりも小さい減圧速度で減圧する低速減圧期間t3である。このため、制御部100は、低速減圧期間t3において複数の脈波(例えばWS1からWS4)を得て脈拍数を確実に検出することができるので、繰り返して血圧測定を行う必要が無く、血圧測定時間を短縮することができる。
好ましくは、脈拍数検出期間は、減圧速度がゼロである圧力保持期間t7である。このため、制御部100は、圧力保持期間t7において複数の脈波(例えばWS1からWS4)を得て脈拍数を確実に検出することができるので、繰り返して血圧測定を行う必要が無く、血圧測定時間を短縮することができる。
腕帯部3の空気袋は、空気を供給することで上腕を阻血する阻血用空気袋20と、空気を供給することで上腕Tの動脈の拍動を検出する動脈拍動検出用の空気袋40とにより構成され、阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40は、腕帯部カバー50により収納されている。このため、動脈拍動検出用の空気袋40は上腕Tの動脈に合わせて容易に位置決めしながら巻き付けることができる。このため、正確な血圧測定が行える。
【0059】
腕帯部3の阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40に対してチューブ6,7を用いて接続された血圧計本体部2を有し、血圧計本体部2は、筐体4と、筐体に取り付けられて押すことによりチューブ6,7を通じて空気を阻血用空気袋20と動脈拍動検出用の空気袋40に送る送気球5を有する。このため、医療従事者が一方の手で送気球を持った状態で、医療従事者は他方の片手だけで腕帯部を上腕に容易に位置決めしながら巻き付けることができ、腕帯部の巻き付け作業性を向上できる。
【0060】
本発明の実施形態の血圧計1を用いることで、加圧不足の判定の頻度を低減し、再加圧の頻度が少なくなり、血圧測定時間を短縮することができるので、患者に対する負担を減らすことができる。しかも、オーバーシュート圧力量を確保して時点からすぐに腕帯部の圧力を急激に減圧するのではなく、減圧速度を緩くする期間を有するので、減圧による上腕の痛みを発生させないようにすることができる。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
図示した血圧計は、手動加圧式のものであるが、本発明の血圧計はこれに限らない。自動式の血圧計は、腕帯部と、腕帯部とは別体の血圧計本体部を有し、腕帯部は患者(被測定者)の上腕に対して巻き付ける。そして、血圧計本体部内のポンプを駆動すると、血圧計本体部から空気がチューブを通じて阻血用空気袋と動脈拍動検出用の空気袋に送ることができる。
図9と
図10および
図12に示す本発明の各実施形態では、例えば4つの脈波WS1から脈波WS4を検出しているが、これに限らず、3つの脈波あるいは5つ以上の脈波を検出することで患者の脈拍数を算出すようにしても良い。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。