(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィルム体には模様が施されているとともに、前記主体板及び前記被覆体のうち少なくとも一方には模様が施されていることを特徴とする請求項1記載の携帯容器の蓋体。
【背景技術】
【0002】
コンパクト容器等の携帯容器として、例えば下記特許文献1に示されるように、蓋体に動きに富んだ装飾を施したものが知られている。
具体的に、この蓋体は、主体板を有する蓋本体と、蓋本体上に組み付けられた透明あるいは半透明な被覆体と、を備え、主体板と被覆体との間の隙間に、透明あるいは半透明なドットが施された固定フィルム及び可動フィルムが積層されている。そして、蓋体を開操作したり、携帯容器自体を傾けたりして、隙間内において可動フィルムが固定フィルムに対してスライドすることで、被覆体を通して視認できる模様が変化するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の携帯容器にあっては、主体板と被覆体との隙間内で、可動フィルムをスムーズにスライドさせることに対して改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、主体板と被覆体との隙間内で、フィルム体をスムーズにスライドさせることができる携帯容器の蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る携帯容器の蓋体は、平板状の主体板を有する蓋本体と、該蓋本体上に組み付けられ、透明あるいは半透明な平板状の被覆体と、を備え、前記主体板と前記被覆体との間に形成された隙間に、フィルム体が収容され、前記主体板及び前記被覆体のうち、少なくとも
前記主体板には、前記隙間内で前記フィルム体の表面をスライド移動自在に支持する凹凸が配設されていることを特徴とするとしている。
【0007】
このような特徴により、例えば携帯容器の開操作時等において、蓋体が水平方向に対して傾いたときに、主体板と被覆体との間の隙間内でフィルム体がスライド移動することになる。これにより、蓋体の傾きに応じてフィルム体が被覆体及び蓋本体に対して相対的に移動するため、被覆体を通して蓋体を視認したときの蓋体の見た目が変化することになる。
特に、主体板及び被覆体のうち少なくとも一方に凹凸が形成され、これら凹凸がフィルム体をスライド移動自在に支持しているため、フィルム体が主体板や被覆体上を直接スライド移動する場合に比べてフィルム体の摺動抵抗を減少させることができる。これにより、主体板と被覆体との間の隙間内で、フィルム体をスムーズにスライドさせ、蓋体の見た目を滑らかに変化させることができる。
【0008】
また、前記フィルム体には模様が施されているとともに、前記主体板及び前記被覆体のうち少なくとも一方には模様が施されていてもよい。
【0009】
この場合、主体板と被覆体の少なくとも一方及びフィルム体にそれぞれ模様を施すことで、蓋体の傾きに応じてフィルム体の模様と、主体板及び被覆体の模様との位置がずれるため、蓋体の見た目の変化をより明確に表現できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る携帯容器の蓋体によれば、主体板と被覆体との隙間内で、フィルム体をスムーズにスライドさせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の携帯容器として、例えば化粧料等の内容物が収納される携帯用のコンパクト容器を例にして説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の携帯容器1は、平面視矩形状の扁平容器であって、化粧料が充填された図示しない中皿や、塗布具を収納する容器本体2と、容器本体2にヒンジ軸3を介して開閉可能に連結された蓋体4と、ヒンジ軸3の反対側に配設され、蓋体4の容器本体2に対する閉状態を維持する係合部5と、を備えている。
なお、本実施形態では、容器本体2から見て蓋体4側を「上」とし、その反対側を「下」とする。また、容器本体2から見てヒンジ軸3側を「後」とし、その反対側(係合部5側)を「前」とする。
【0014】
容器本体2は、上方に向けて開放された箱型形状のものであり、その内側に上述した中皿や、塗布具がそれぞれ収納されるようになっている。
【0015】
図1,2に示すように、蓋体4は、平板状の主体板12を有する蓋本体11と、蓋本体11上に組み付けられ、透明あるいは半透明な平板状の被覆体13と、を備えている。
主体板12は、平面視において容器本体2と同形同大の矩形状に形成され、閉状態で容器本体2に対して上下方向に対向している。
【0016】
主体板12の外周縁には、主体板12を外側から囲繞する矩形筒状の周壁部15が連設されている。周壁部15は、主体板12に対して上下方向に突出するように形成されている。したがって、周壁部15の内側は、上方に向けて開放された上側凹部21と、下方に向けて開放された下側凹部22と、が主体板12を間に挟んで上下方向に区画されている。
【0017】
図1に示すように、周壁部15のうち、後方に位置する後壁部15aの下部は、上述した容器本体2のうち、後方に位置する後壁部2aにヒンジ軸3を介して連結されている。ヒンジ軸3は、水平方向のうち、前後方向に直交する方向(以下、横方向という)を軸方向としており、これにより、蓋体4は、容器本体2に対してヒンジ軸3の軸線回りに回動可能に支持されている。
【0018】
図1,2に示すように、蓋本体11の上側凹部21内において、主体板12の上面と周壁部15との境界部分には、主体板12に対して上方に向けて突出する段部23が形成されている。段部23は、周壁部15のうち、横方向の両側に位置する側壁部15bの内周面に連設された状態で、側壁部15bの全長に亘って形成されている。段部23の上面は、側壁部15bの上端縁よりも低くなっている。
また、主体板12のうち、段部23に対して横方向に沿う内側に位置する部分には、上方に向けて突出する一対の第1支持突部(凹凸)25が形成されている。これら第1支持突部25は、断面視で半円状に形成され、前後方向に沿って主体板12の全体に亘って延設されている。なお、蓋本体11の下側凹部22内において、主体板12の下面には、図示しない鏡体が接合される。
【0019】
上述した被覆体13は、平面視矩形状の板材であり、外形が周壁部15の外径よりも小さくなっている。そして、被覆体13は、厚さ方向を上下方向として蓋本体11の上側凹部21内に収容された状態で、外周部分が上述した段部23に下方から支持されている。したがって、被覆体13の下面と、主体板12の上面と、の間には隙間Sが形成されている。なお、本実施形態の被覆体13には、例えば横方向を長手方向とするストライプ状の模様が印刷されている。
【0020】
また、被覆体13のうち、横方向に沿う両側に位置する部分には、下方に向けて突出する一対の第2支持突部(凹凸)26が形成されている。これら第2支持突部26は、上述した主体板12側の第1支持突部25と同様に、断面視で半円状に形成され、前後方向に沿って被覆体13の全体に亘って延設されている。また、各第2支持突部26は、上述した各第1支持突部25にそれぞれ上下方向で間隔をあけた状態で対向して配設されている。
【0021】
ここで、主体板12と被覆体13との間に形成された隙間Sには、フィルム体31が収容されている。このフィルム体31は、平面視矩形状に形成されるとともに、外形が被覆体13よりも小さくなっている。フィルム体31は、上面または下面のうち横方向に沿う両側に位置する部分が、上述した第1支持突部25または第2支持突部26に支持されている。そして、フィルム体31は、隙間S内において、第1支持突部25または第2支持突部26上を水平方向に沿ってスライド移動自在に配設されている。なお、本実施形態のフィルム体31は、透明または半透明の素材からなり、水平方向のうち前後方向及び横方向に交差する方向を長手方向とするストライプ状の模様が印刷されている。
【0022】
また、
図1に示すように、上述した係合部5は、容器本体2のうち前方に位置する前壁部2bの凹部32内に装着された操作片33と、蓋本体11の周壁部15のうち、前側に位置する前壁部15c、及び容器本体2の前壁部2bにそれぞれ形成され、互いに係合可能な図示しない係合片と、を備えている。そして、携帯容器1では、各係合片が係合されることで、蓋体4の閉状態が保持されるように構成されている。また、操作片33は後方に向けて押し込み操作可能に構成され、これにより、係合片同士の係合を解除できるように構成されている。
【0023】
このような携帯容器1においては、
図1に示すように蓋体4を閉状態に保持して、保管したり携帯したりする。
一方、携帯容器1を使用する場合には、操作片33の押し込み操作により係合片同士の係合を解除して、蓋体4をヒンジ軸3回りに回動させる。これにより、容器本体2が開放されることで、容器本体2内の中皿や塗布具が使用可能となる。
【0024】
ここで、本実施形態によれば、上述した開操作時等において、蓋体4が水平方向に対して傾くことで、主体板12と被覆体13との間の隙間S内でフィルム体31がスライド移動することになる。これにより、蓋体4の傾きに応じてフィルム体31が被覆体13及び蓋本体11に対して相対的に移動するため、被覆体13を通して蓋体4を視認したときの蓋体4の見た目が変化することになる。
特に、本実施形態では、主体板12及び被覆体13にそれぞれ支持突部25,26が形成され、これら支持突部25,26がフィルム体31をスライド移動自在に支持しているため、フィルム体31が主体板12や被覆体13上を直接スライド移動する場合に比べてフィルム体31の摺動抵抗を減少させることができる。これにより、主体板12と被覆体13との間の隙間S内で、フィルム体31をスムーズにスライドさせ、蓋体4の見た目を滑らかに変化させることができる。
【0025】
しかも、本実施形態では、被覆体13及びフィルム体31にそれぞれストライプ状の模様を施すことで、被覆体13の模様とフィルム体31の模様との位置が蓋体4の傾きに応じてずれるため、動きのあるモアレ模様を発生させることができる。そのため、蓋体4の見た目の変化をより明確に表現できる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0027】
例えば、上述した実施形態では、ヒンジ軸3を介して容器本体2と蓋体4とを回動可能に連結した場合について説明したが、これに限らず、容器本体2に蓋体4が開閉可能であれば構わない。
また、上述した実施形態では、本発明の携帯容器の蓋体をコンパクト容器に適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、携帯電話や筆箱等の蓋付き携帯容器にも適用することが可能である。
【0028】
さらに、携帯容器1自体を傾けたり、振ったりして、隙間S内でフィルム体31をスライド移動させても構わない。
また、例えば操作片33の押し込み操作に連動してフィルム体31が移動する構成としても構わない。
【0029】
また、上述した実施形態では、被覆体13とフィルム体31に模様を施した場合について説明したが、主体板12及び被覆体13のうち、少なくとも一方と、フィルム体31と、に模様を施していれば構わない。さらに、上述した構成に限らず、主体板12、被覆体13及びフィルム体31のうち何れか一方のみに模様を施しても構わない。さらに、模様が施されていない被覆体13及びフィルム体31を用いることも可能である。
また、被覆体13やフィルム体31に施される模様は、ストライプ状に限らず、ドット等、適宜変更が可能である。
さらに、上述した実施形態では、印刷により模様を施す場合について説明したが、これに限らず、被覆体13やフィルム体31自体に凹凸等により模様を施しても構わない。
【0030】
また、上述した実施形態では、主体板12及び被覆体13の双方に支持突部25,26を形成した場合について説明したが、これに限らず、主体板12及び被覆体13のうち何れか一方に凹凸(凹部または突部)が形成されていれば構わない。
さらに、上述した実施形態では、主体板12及び被覆体13の横方向に沿う両側に前後方向に延在する支持突部25,26を形成した場合について説明したが、凹凸の形成位置は、主体板12及び被覆体13の面内の任意の位置に設定することが可能である。また、凹凸は、間欠的に形成しても構わない。
例えば、
図3に示すように、主体板12の上面にシボ加工を施し、主体板12の上面全体に亘って凹凸41を形成しても構わない。
【0031】
また、上述した実施形態では、隙間S内にフィルム体31を1枚収容した構成について説明したが、これに限らず、複数枚積層しても構わない。
さらに、フィルム体31は、透明(あるいは半透明)材料に限られない。
【0032】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。