特許第5933342号(P5933342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933342
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/06 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   A45D40/06 C
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-123963(P2012-123963)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-248076(P2013-248076A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】茂澤 浩行
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−104084(JP,A)
【文献】 実開平03−123423(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3016347(JP,U)
【文献】 実開昭57−015310(JP,U)
【文献】 特開平08−010044(JP,A)
【文献】 特開2006−239277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00−40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器軸方向に延在する筒状の操作部材と、
該操作部材内から容器軸方向に沿った一方側に突出する筒状の容器本体と、
該容器本体内に容器軸方向に進退可能に配置され、前記容器本体内に収容された内容物を保持する保持部材と、を備える繰出容器であって、
前記容器本体には、前記操作部材内に配置され、該操作部材との周方向の相対的な回転が規制された基筒部と、該基筒部に周方向に相対的に回転可能に外装されるとともに、前記操作部材内から前記一方側に突出する回転筒部と、が備えられ、
前記保持部材は、前記回転筒部内に配置された本体部と、該本体部から容器軸方向に沿った他方側に突設され、前記基筒部内に挿入された軸部と、を備え、
前記回転筒部および前記本体部には、互いに係合することで、前記回転筒部と前記保持部材との周方向の相対的な回転を規制する係合部が設けられ、
前記基筒部の内周面および前記軸部の外周面のうちのいずれか一方には、周方向に延在する螺旋溝が形成されるとともに、いずれか他方には、前記螺旋溝内に配置される突起部が形成され
前記回転筒部には、前記他方側の端部が前記操作部材内に配置されて前記基筒部に回転可能に外嵌された胴部と、該胴部から前記他方側に延在するとともに前記胴部における前記他方側の端部よりも大径であり、前記基筒部との間に環状隙間が設けられた脚部と、が備えられ、
前記基筒部において前記胴部よりも前記他方側に位置する部分には、当該基筒部との周方向の相対的な回転が規制されたリング部材が外嵌され、
該リング部材には、前記環状隙間内に配置されて前記脚部に径方向の内側から圧接する圧接部材が、周方向に複数設けられ、または周方向の全周にわたって設けられ、
前記基筒部により、前記胴部における前記他方側の端部を径方向の内側から支持しつつ、前記圧接部材により、前記脚部を径方向の内側から支持することを特徴とする繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、容器軸方向に延在する筒状の操作部材と、該操作部材内から容器軸方向に沿った一方側に突出する筒状の容器本体と、該容器本体内に容器軸方向に進退可能に配置され、容器本体内に収容された内容物を保持する保持部材と、を備える繰出容器が知られている。
【0003】
ここで前記容器本体には、操作部材内から前記一方側に突出するとともに、操作筒部との周方向の相対的な回転が規制された本体筒部と、本体筒部に周方向に相対的に回転可能に外嵌された回動筒部と、が備えられている。本体筒部の周壁部には、容器軸方向に延在する複数の縦溝が形成されている。これらの縦溝は、周壁部において、操作部材内に位置する部分から操作部材よりも前記一方側に位置する部分に至るまで延設されている。回動筒部は、本体筒部の周壁部において縦溝が形成された部分に外嵌されており、操作部材に対して前記一方側にずらされて配置されている。回動筒部の内周面には、周方向に延在する螺旋溝が形成されている。この螺旋溝および前記縦溝には、保持部材の外周面から突設された突起部が一体に挿通されている。
前記繰出容器では、操作部材、および容器本体の回動筒部を各別に把持してこれらを周方向に相対的に回転させると、突起部が縦溝および螺旋溝の双方に沿って移動し、保持部材が容器本体に対して容器軸方向に進退する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第2528703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の繰出容器では、螺旋溝が、操作部材に対して前記一方側にずらされて配置された回転筒部に形成されていることから、この螺旋溝に応じて操作部材の設計が制限されることがあった。例えば、当該繰出容器の外観性を向上させることを目的として、操作部材を前記一方側に延長させて容器軸方向に大きく形成することで、回動筒部において螺旋溝が形成された部分を広い範囲にわたって操作部材により径方向の外側から覆い隠す必要がある場合などがあった。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、設計の自由度を向上させることができる繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る繰出容器は、容器軸方向に延在する筒状の操作部材と、該操作部材内から容器軸方向に沿った一方側に突出する筒状の容器本体と、該容器本体内に容器軸方向に進退可能に配置され、前記容器本体内に収容された内容物を保持する保持部材と、を備える繰出容器であって、前記容器本体には、前記操作部材内に配置され、該操作部材との周方向の相対的な回転が規制された基筒部と、該基筒部に周方向に相対的に回転可能に外装されるとともに、前記操作部材内から前記一方側に突出する回転筒部と、が備えられ、前記保持部材は、前記回転筒部内に配置された本体部と、該本体部から容器軸方向に沿った他方側に突設され、前記基筒部内に挿入された軸部と、を備え、前記回転筒部および前記本体部には、互いに係合することで、前記回転筒部と前記保持部材との周方向の相対的な回転を規制する係合部が設けられ、前記基筒部の内周面および前記軸部の外周面のうちのいずれか一方には、周方向に延在する螺旋溝が形成されるとともに、いずれか他方には、前記螺旋溝内に配置される突起部が形成され、前記回転筒部には、前記他方側の端部が前記操作部材内に配置されて前記基筒部に回転可能に外嵌された胴部と、該胴部から前記他方側に延在するとともに前記胴部における前記他方側の端部よりも大径であり、前記基筒部との間に環状隙間が設けられた脚部と、が備えられ、前記基筒部において前記胴部よりも前記他方側に位置する部分には、当該基筒部との周方向の相対的な回転が規制されたリング部材が外嵌され、該リング部材には、前記環状隙間内に配置されて前記脚部に径方向の内側から圧接する圧接部材が、周方向に複数設けられ、または周方向の全周にわたって設けられ、前記基筒部により、前記胴部における前記他方側の端部を径方向の内側から支持しつつ、前記圧接部材により、前記脚部を径方向の内側から支持することを特徴とする。
【0008】
この発明では操作部材、および容器本体の回転筒部を各別に把持してこれらを周方向に相対的に回転させると、操作部材からの回転力が容器本体の基筒部に伝達される一方、回転筒部からの回転力が係合部を介して保持部材に伝達され、これらの基筒部と保持部材とが周方向に相対的に回転する。すると突起部が螺旋溝に沿って移動し、保持部材が容器本体に対して容器軸方向に進退する。
ここで螺旋溝が、容器本体のうち、操作部材に対して容器軸方向にずらされた部分に形成されているのではなく、操作部材内に配置された基筒部、または基筒部内に挿入された保持部材の軸部に形成されているため、螺旋溝に応じて操作部材の設計に制約が生じるのを抑え、例えば操作部材の容器軸方向に沿った大きさを抑えつつ当該繰出容器の外観性を確保すること等が可能になり、当該繰出容器の設計の自由度を高めることができる。
また基筒部が、操作部材内に配置されているので、操作部材を把持することにより、操作部材と基筒部との周方向への相対的な回転を確実に規制することが可能になり、操作部材および回転筒部を周方向に相対的に回転させるときに、操作部材からの回転力を基筒部に効率的に伝達することができる。これにより、突起部を螺旋溝に沿って円滑に移動させることが可能になり、当該繰出容器の操作性を向上させることができる。
【0010】
また、リング部材に前記圧接部材が設けられているので、基筒部と回転筒部とが径方向にがたついたり、基筒部と回転筒部とが意図せずに周方向に相対的に回転したりするのを抑制することが可能になり、当該繰出容器の操作性を一層向上させることができる。
【0012】
また、脚部が、胴部における前記他方側の端部(以下、他端部という)よりも大径なので、容器軸から胴部の他端部までの径方向の距離と、容器軸から脚部までの径方向の距離と、が互いに異なることとなる。したがって、基筒部により、胴部の他端部を径方向の内側から支持しつつ、圧接部材により、脚部を径方向の内側から支持することで、回転筒部の軸線が基筒部の軸線に対して傾斜するように基筒部と回転筒部とが径方向にがたつくのを確実に抑制することが可能になり、当該繰出容器の操作性をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る繰出容器によれば、操作部材の設計の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る繰出容器の縦断面図である。
図2図1に示すX部の拡大縦断面図である。
図3図1に示す繰出容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る繰出容器を説明する。
図1に示すように、繰出容器10は、容器軸O方向に延在する筒状の操作部材11と、該操作部材11内から容器軸O方向に沿った前方(一方側)に突出する筒状の容器本体12と、該容器本体12内に容器軸O方向に進退可能に配置され、容器本体12内に収容された内容物を保持する保持部材13と、操作部材11に着脱可能に装着され、容器本体12を前方から覆うオーバーキャップ14と、を備えている。保持部材13は、内容物を前方に突出させた状態で保持する。そして保持部材13は、容器軸O方向に進退することで、容器本体12において前方に向けて開口する繰出口12aから内容物を出没させる。
【0016】
ここで、保持部材13は筒状に形成されており、操作部材11、容器本体12、保持部材13およびオーバーキャップ14の中心軸線は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、この容器軸Oに沿って、操作部材11から容器本体12が突出する方向を前側といい、その反対側(他方側)を後側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
なお前記内容物としては、例えば化粧料(口紅、リップクリームもしくはスティックアイシャドーなど)、薬剤または糊などが棒状に形成されてなる棒状体があげられる。
【0017】
操作部材11は、有底筒状の袴部15と、袴部15内に嵌合された筒状の中具16と、を備えている。これらの袴部15および中具16はいずれも、例えば金属材料などで形成されている。
【0018】
袴部15の底壁部には、前方に向けて突出する規制凸部15aが、周方向に間隔をあけて複数配置されている。規制凸部15aは、底壁部の外周縁部に配置されている。規制凸部15aは、底壁部が前方に向けて屈曲されてなる。
中具16は、袴部15内に嵌合されるとともに袴部15内から前方に突出している。中具16の前端部には、径方向の内側に向かって突出するフランジ部16aが設けられている。中具16の後端部には、当該中具16が径方向の内側に向けて屈曲されてなる屈曲部16bが配置されている。
【0019】
容器本体12は、操作部材11内に配置され、該操作部材11との周方向の相対的な回転が規制された基筒部17と、該基筒部17に周方向に相対的に回転可能に外装されるとともに、操作部材11内から前方に突出する回転筒部18と、を備えている。基筒部17は、例えば樹脂材料などで形成され、回転筒部18は、例えば金属材料などで形成されている。
【0020】
基筒部17は、操作部材11の容器軸O方向の内側に位置している。基筒部17は、操作部材11の前記底壁部上に載置されている。基筒部17の後端面には、前記規制凸部15aが嵌合される規制凹部17aが、周方向に間隔をあけて複数配置されている。基筒部17は、後側に位置する大径の土台筒部19と、前側に位置する小径の立ち上がり筒部20と、を備える2段筒状に形成されている。
【0021】
土台筒部19は、操作部材11内に嵌合され、操作部材11の袴部15との間に、操作部材11の中具16を挟み込んでいる。土台筒部19は、中具16の後端部内に嵌合されており、土台筒部19の外周面は、中具16の屈曲部16bに径方向の内側から当接している。土台筒部19は、立ち上がり筒部20および操作部材11の袴部15のいずれよりも容器軸O方向に沿った大きさが小さくなっている。
立ち上がり筒部20は、後側に位置する外径が大きい大外径部20aと、前側に位置する外径が小さい小外径部20bと、が容器軸O方向に連設されてなる。小外径部20bの外径は、操作部材11の前記フランジ部16aの内径よりも小さくなっている。
【0022】
回転筒部18は、基筒部17および操作部材11に対して前方にずらされて配置されている。回転筒部18の前端開口部は、前記繰出口12aとなっている。繰出口12aは、当該繰出容器10を径方向から見た側面視において、容器軸Oに対して傾斜している。回転筒部18は、基筒部17よりも容器軸O方向に沿った大きさが大きくなっている。回転筒部18は、前側に位置する小径の胴部21と、後側に位置する大径の脚部22と、が連結されてなる。
【0023】
胴部21は、操作部材11の前記フランジ部16a内に挿通されている。胴部21の後端部(容器軸方向に沿った他方側の端部)は、操作部材11内に配置され、基筒部17の前記小外径部20bに、周方向に回転可能に外嵌されている。脚部22は、胴部21から後方に延在し、基筒部17の前記大外径部20aを径方向の外側から囲繞している。脚部22と基筒部17との間には環状隙間Sが、周方向の全周にわたって設けられている。脚部22の容器軸O方向に沿った大きさは、胴部21の容器軸O方向に沿った大きさよりも小さくなっている。
【0024】
図2に示すように、回転筒部18の内周面には、容器軸O方向に延在する第1係合部23aが形成されている。第1係合部23aは、容器軸O方向に延在する溝状に形成されている。第1係合部23aは、回転筒部18のうちの前記胴部21に形成されている。第1係合部23aの前端は、保持部材13よりも前方に位置し、第1係合部23aの後端は、胴部21の後端面から後方に向けて開口している。第1係合部23aは、例えば周方向に同等の間隔をあけて複数配置されていてもよく、容器軸Oを間に挟んで径方向に対向するように一対配置されていてもよい。
【0025】
ここで、基筒部17および回転筒部18には、これらの基筒部17と回転筒部18との容器軸O方向の相対的な移動を規制する規制機構24が設けられている。規制機構24は、基筒部17の外周面に設けられた周溝24aと、回転筒部18の内周面に設けられ周溝24a内に嵌合された環状凸部24bと、を備えている。環状凸部24bは、回転筒部18が径方向の内側に向けて屈曲されてなる。規制機構24は、操作部材11内に配置されており、操作部材11により径方向の外側から覆われている。
【0026】
また図1に示すように、基筒部17において回転筒部18の胴部21よりも後方に位置する部分には、基筒部17との周方向の相対的な回転が規制されたリング部材25が外嵌されている。リング部材25は、基筒部17の前記大外径部20aに外嵌され、基筒部17の前記土台筒部19における前端面上に配置されている。
リング部材25には、前記環状隙間S内に配置され、回転筒部18の脚部22に径方向の内側から圧接する弾性片(圧接部材)25aが、周方向に複数設けられている。弾性片25aは、リング部材25の前端から前方に向けて突設されており、リング部材25の前端に一体に設けられている。弾性片25aは、脚部22の後端部に径方向の内側から圧接し、径方向の内側に向けて弾性変形させられている。弾性片25aは、脚部22の内周面に摺動可能に圧接している。
【0027】
保持部材13は、回転筒部18内に配置された本体部26と、該本体部26から後方に突設され、基筒部17内に挿入された軸部27と、を備えている。これらの本体部26および軸部27は、例えば樹脂材料などにより一体に形成されている。
本体部26は、容器本体12の回転筒部18内に、容器軸O方向に摺動可能に嵌合されている。本体部26は、有底筒状に形成され、基筒部17の前端面17b上に配置されている。本体部26の底壁部26aには、容器軸Oと同軸に配置され軸部27よりも小径の貫通孔が形成されている。本体部26内には、内容物が容器軸Oと同軸に嵌合される。
【0028】
図2に示すように、本体部26には、回転筒部18の前記第1係合部23aと係合することで、回転筒部18と保持部材13との周方向の相対的な回転を規制する第2係合部23bが形成されている。第2係合部23bは、容器軸O方向に延在する突条に形成されている。第2係合部23bは、第1係合部23a内に配置されている。第2係合部23bは、複数の第1係合部23aそれぞれに対応して複数設けられている。
【0029】
図1に示すように、軸部27は、本体部26の前記貫通孔を通して本体部26内に連通する筒状に形成されている。軸部27の後端部は、基筒部17の土台筒部19内に位置するとともに、操作部材11の前記底壁部から前方に離間している。軸部27の後端部には、径方向の外側に向けて突出する環状の規制部27aが設けられている。
【0030】
そして本実施形態では、容器本体12の基筒部17の内周面、および保持部材13の軸部27の外周面のうちのいずれか一方には、周方向に延在する螺旋溝28が形成されるとともに、いずれか他方には、螺旋溝28内に配置される突起部29が形成されている。螺旋溝28は、軸部27の外周面に形成され、突起部29は、基筒部17の内周面に形成されている。ここで、軸部27の外周面には雄ねじ27bが形成されており、この雄ねじ27bにおけるねじ谷が前記螺旋溝28となっている。突起部29は、基筒部17の前端部から径方向の内側に向けて突設されている。突起部29は、周方向に間隔をあけて複数配置されていてもよく、螺旋溝28の螺旋方向に沿って延在する突条であってもよい。
【0031】
ここで図2および図3に示すように、容器本体12および保持部材13には、保持部材13が容器本体12に対して後退端位置に位置するときに、保持部材13の更なる後退を規制する後退規制部30と、保持部材13が容器本体12に対して前進端位置に位置するときに、保持部材13の更なる前進を規制する前進規制部31と、が設けられている。
図2に示すように、保持部材13は、当該保持部材13の前記底壁部26aが基筒部17の前端面17bに前方から当接することで更なる後退が規制されており、これらの底壁部26aおよび前端面17bが前記後退規制部30を構成している。
また図3に示すように、保持部材13が容器本体12に対して前進端位置に位置するときに、規制部27aが突起部29に後方から当接することで更なる前進が規制されており、これらの規制部27aおよび突起部29が前進規制部31を構成している。
【0032】
図1に示すように、オーバーキャップ14は、有頂筒状の内蓋部14aおよび外蓋部14bを備えている。外蓋部14bの後端部は、操作部材11の中具16に着脱可能に外嵌されている。
【0033】
前記繰出容器10の使用に際しては、オーバーキャップ14を離脱させた後、操作部材11と、容器本体12の回転筒部18と、を各別に把持してこれらを周方向に相対的に回転させる。このとき、操作部材11からの回転力が容器本体12の基筒部17に伝達される一方、回転筒部18からの回転力が係合部23a、23bを介して保持部材13に伝達され、これらの基筒部17と保持部材13とが周方向に相対的に回転する。すると、突起部29が螺旋溝28に沿って移動し、保持部材13が容器本体12に対して容器軸O方向に進退する。なおこのとき、係合部23a、23bは、第1係合部23aにおいて周方向を向く側壁面と第2係合部23bとが周方向に当接し合うことで、保持部材13と回転筒部18との容器軸O方向に沿った移動を許容しつつ、周方向の相対的な回転を規制することとなる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係る繰出容器10によれば、螺旋溝28が、容器本体12のうち、操作部材11に対して容器軸O方向にずらされた部分に形成されているのではなく、操作部材11内に配置された基筒部17、または基筒部17内に挿入された軸部27に形成されているため、螺旋溝28に応じて操作部材11の設計に制約が生じるのを抑え、例えば操作部材11の容器軸O方向に沿った大きさを抑えつつ当該繰出容器10の外観性を確保すること等が可能になり、当該繰出容器10の設計の自由度を高めることができる。
【0035】
また基筒部17が、操作部材11内に配置されているので、操作部材11を把持することにより、操作部材11と基筒部17との周方向への相対的な回転を確実に規制することが可能になり、操作部材11および回転筒部18を周方向に相対的に回転させるときに、操作部材11からの回転力を基筒部17に効率的に伝達することができる。これにより、突起部29を螺旋溝28に沿って円滑に移動させることが可能になり、当該繰出容器10の操作性を向上させることができる。
【0036】
また、リング部材25に前記弾性片25aが設けられているので、基筒部17と回転筒部18とが径方向にがたついたり、基筒部17と回転筒部18とが意図せずに周方向に相対的に回転したりするのを抑制することが可能になり、当該繰出容器10の操作性を一層向上させることができる。
さらに脚部22が、胴部21の前記後端部よりも大径なので、容器軸Oから胴部21の後端部までの径方向の距離と、容器軸Oから脚部22までの径方向の距離と、が互いに異なることとなる。したがって、基筒部17により、胴部21の後端部を径方向の内側から支持しつつ、弾性片25aにより、脚部22を径方向の内側から支持することで、回転筒部18の軸線が基筒部17の軸線に対して傾斜するように基筒部17と回転筒部18とが径方向にがたつくのを確実に抑制することが可能になり、当該繰出容器10の操作性をより一層向上させることができる。
【0037】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、オーバーキャップ14はなくてもよい。
また前記実施形態では、操作部材11は、別体に形成された袴部15と中具16とを備えるものとしたが、これに限られず、例えば袴部と中具とが一体に形成されていてもよい。
【0038】
また前記実施形態では、リング部材25に弾性片25aが周方向に複数設けられているものとしたが、これに限られず、周方向の全周にわたって設けられていてもよい。
さらに前記実施形態では、脚部22が、胴部21における後端部よりも大径であるものとしたが、本発明の参考例ではこれに限られない。例えば、脚部と胴部とが同径である一方、基筒部のうち、胴部よりも後方に位置する部分が、胴部が外嵌された部分よりも小径とされ、基筒部と脚部との間に環状隙間が設けられていてもよい。
さらにまた、本発明の参考例ではリング部材25および弾性片25aはなくてもよい。
【0039】
また前記実施形態では、第1係合部23aが溝状に形成され、第2係合部23bが突条に形成されているものとしたが、これに限られず、例えば、第1係合部が突条に形成され、第2係合部が溝状に形成されていてもよい。
【0040】
また前記実施形態では、螺旋溝28は、雄ねじ27bにおけるねじ谷であるものとしたが、これに限られず、例えば螺旋溝が、軸部の外周面に窪み形成されていてもよい。
さらに、突起部29は前記実施形態に示したものに限られず、例えば、容器本体の内周面に雌ねじが形成され、この雌ねじのねじ山が前記突起部とされてもよい。
さらにまた、前記実施形態では、螺旋溝28が軸部27の外周面に形成され、突起部29が基筒部17の内周面に形成されているものとしたが、これに代えて、例えば螺旋溝が基筒部の内周面に形成され、突起部が軸部の外周面に形成されていてもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 繰出容器
11 操作部材
12 容器本体
13 保持部材
17 基筒部
18 回転筒部
21 胴部
22 脚部
23a、23b 係合部
26 本体部
25 リング部材
25a 弾性片(圧接部材)
27 軸部
28 螺旋溝
29 突起部
S 環状隙間
図1
図2
図3