特許第5933369号(P5933369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933369
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】書き込みポールチップを備える装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20160526BHJP
【FI】
   G11B5/31 D
   G11B5/31 Q
   G11B5/31 C
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-144249(P2012-144249)
(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2013-16250(P2013-16250A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2015年3月11日
(31)【優先権主張番号】13/173,854
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェン・ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ホワチン・イン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ・ジエンフア
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ガビンス
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・ユー・ロン・ウォン
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−064539(JP,A)
【文献】 特開2009−295262(JP,A)
【文献】 特開2011−096322(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/153837(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の上部斜面と第2の上部斜面とを有する書き込みポールチップを備え、
前記第1の上部斜面は、前記第2の上部斜面よりも空気ベアリング面の近くに配置され、
前記書き込みポールチップの前記空気ベアリング面に垂直な面に対する前記第1の上部斜面の角度は、前記第2の上部斜面の角度よりも大きい、装置。
【請求項2】
前記書き込みポールチップに隣接し、前記第1の上部斜面の角度と実質的に同じ角度を有するフロントシールドをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記書き込みポールチップは、さらに底部斜面を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記書き込みポールチップは、3つ以上の上部斜面を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
3つ以上の上部斜面を含む書き込みポールチップを備え、
前記3つ以上の上部斜面の各々は、前記書き込みポールチップの空気ベアリング面に垂直な面に対して異なる角度で傾斜する、装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0001】
概要
本発明に係る特定の実施例は、全体として凸形状を有する書き込みポールチップを含む装置に関する。
【0002】
特定の実施例において、装置は、書き込みポールチップを含み、書き込みポールチップは、書き込みポールパドルと空気ベアリング面との間に凸形状を形成する単調減少斜面である上面を有する。
【0003】
特定の実施例において、装置は、第1の上部斜面と第2の上部斜面とを有する書き込みポールチップを含む。第1の上部斜面は、書き込みポールチップの空気ベアリング面に垂直な面に対して、第2の上部斜面よりも大きい角度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の特定の実施例に係る例示的な書き込みポールの等角図である。
図2図1の例示的な書き込みポールの側面図である。
図3】本開示の特定の実施例に係る例示的な書き込みポールの等角図である。
図4図3の例示的な書き込みポールの側面図である。
図5】本開示の特定の実施例に係る例示的な書き込みポールの側面図である。
図6】例示的な磁気記録ヘッドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
本開示は、磁気記録ヘッドに使用される書き込みポールに関する。当業者は、書き込みポールを利用する磁気記録ヘッドが多くのデータ記録装置に設けられることを理解するであろう。
【0006】
図6に示されるように、ハードディスクドライブなどのデータ記憶装置には、磁気記録ヘッド600と、複数の同心トラックに沿ってデータが記憶される回転可能な媒体602が設けられる。ヘッドジンバル組立体によって、トラックに隣接する磁気記録ヘッド600が正確に位置決めされる。データを記録媒体602に書き込むためには、磁気記録ヘッド600の電導コイル604を介して電流の流れが引き起される。コイルの電流は、書込ポール606、608にわたって磁界を誘発する。コイル604を流れる電流の極性を逆にすることによって、記録媒体602に書き込まれるデータの極性もまた逆となる。通常、上部ポール606は、記録媒体602にデータを物理的に書き込むために使用される。上部ポール606は、書き込まれるデータのトラックの幅を定める。
【0007】
磁気記録において記憶容量を増やすための1つの方法は、情報を記録して確実に読み出すことができる面/トラック密度を増やすことである。トラック密度が増加するにつれ、磁気記録ヘッド600内の構成部分の大きさが縮小する。例えば、狭いトラック幅に対する読み取りおよび書き込みは、磁気記録ヘッド600の空気ベアリング面(ABS)の幅が狭いポールチップを使用することによって実現する。しかし、ポールの幅は、書き込みポールのパドル領域において大きくなければならない。なぜなら、パドル領域は、周囲のコイルからの磁界を捕捉または収集し、書き込みポールチップ、および最終的には記録媒体602に磁界を集めるからである。ポール幅を大きくすると、コイル書き込み電流によってポールを介して適切な磁束が誘導される。
【0008】
記録ヘッドの書き込みポールの大きさを小さくすると、書き込みポールから記録媒体への効果的な磁束の伝搬に関して問題が起こる。例えば、データを書き込むための磁束の適切な量に対して書き込みポールを適合させることができなくなる、すなわち書き込みフィールド幅および傾斜が、記録媒体にデータを適切に書き込むには十分でなくなるという問題がある。遷移の鮮明さまたは分解能が劣化するにつれ、ビット間での遷移の質が乏しくなる。これにより、信号対ノイズ比が下がり、ビットエラー率の損失を引き起こし得る。
【0009】
特定の書き込みポールの形状は、磁束が書き込みポールからフロントシールド(トレーリングシールドという場合もある)へ漏れ、これにより、記録媒体へ運ばれる磁束の量が減るため、非効率である。製品の信頼性に関しては、(書き込みポールの側面視のダウントラック方向における)書き込みポール長さの中心に対する書き込みポールの形状が過度に非対称性であると、書き込みポールチップの後縁において複雑な磁化点が形成される。これにより、書き込み電流が止められた後に、残留フリンジ磁界が書き込みポールチップから発生し、書き込み後の消去(EAW)が記録ビットにおいて引き起こされる。
【0010】
本開示の特定の実施例は、高面密度記録媒体に対して磁界を適切に伝搬させることができる書き込みポールチップおよびトレーリングシールドを含む装置に関する。
【0011】
図1は、第1の上部斜面102と、第2の上部斜面104と、底部斜面106と、空気ベアリング面(ABS)とを有する書き込みポールチップ100を示す。図1の点線は、便宜上、書き込みポールチップ100の形状を示すために含まれる。第1の上部斜面102および第2の上部斜面104は、所定の角度(θ、θ)で傾斜する。図1に示されるように、ABSに垂直な面に対して、第1の上部斜面の角度(θ)は、第2の上部斜面の角度(θ)よりも大きく、凸形状が形成される。パドル部108は、書き込みポールチップ100の端部に位置する。図1に示されるように、パドル部108は、導電コイルによって磁界がパドル部108を越えて誘導される磁気記録ヘッドの領域の方向に沿って徐々に細くすることができる。これにより、導電コイルの近くにおいてポールの幅を広くすることができる。この領域は、ヨークとも呼ばれる。書き込みポールチップ100および他の書き込みポールの部分は、CoFe、CoFeNi、CoFeRh、CoFeRu、CoFePt、CoFePd、および/またはNiFeなどの高モーメント材料を含むことができる。
【0012】
図2は、図1の書き込みポールチップ100の側面図である。図2は、書き込みポールチップ100に隣接して書き込みポールチップ100の上側に面する、フロントシールド110をさらに含む。フロントシールド110は、高モーメント材料を含む種層112を有する。高モーメント材料は、例えば、CoFe、CoFeNi、CoFeRh、CoFeRu、CoFePt、CoFePd、および/またはNiFeを含むが、これらに限定されるものではない。図2に示されるように、フロントシールド110は、第1の上部斜面102に実質的に同じ角度を有する。ここでいう「実質的」とは、完全に一致する角度から僅かに離れた数値を含むことを意図する。図2に示されるように、書き込みポールチップ100は、記録媒体114の上に浮遊する。矢印の方向に記録媒体114が進む時に、第1の上部斜面102および第2の上部斜面104は書き込みポールチップ100の前縁に位置し、底部斜面106は書き込みポールチップ100の後縁に位置する。ABSは、記録媒体114に面する。書き込みポールチップ100の近くの間隔層および絶縁層の描画は、明瞭化のために省略される。書き込みポールチップ100の幅は、ABSにおいて、パドル部108よりも小さい。
【0013】
図3は、上面302と、底部斜面304と、空気ベアリング面(ABS)とを有する書き込みポールチップ300を示す。図3の点線は、書き込みポールチップ300の形状を示す便宜のために含まれる。上面302は、書き込みポールチップ300の端部に位置するABSとパドル部306との間に凸形状を形成するように成形される。図3に示されるように、凸形状は、パドル部306から始まりABSで終端する傾斜において単調に減少する。
【0014】
図4は、図3の書き込みポールチップ300の側面図である。図4は、書き込みポールチップ300に隣接して書き込みポールチップ300の凸形状の上面302に対面するフロントシールド308をさらに含む。フロントシールド308は、高モーメント材料を含む種層310を有する。図4に示されるように、書き込みポールチップ300は、記録媒体312の上に浮遊する。記録媒体312が矢印の方向に進む時に、上面302は書き込みポールチップ300の前縁に位置し、底部斜面304は書き込みポールチップの後縁に位置する。ABSは、記録媒体312に面する。書き込みポールチップ300の近くに設けられる間隔層および絶縁層は、明瞭化のために省略される。
【0015】
図5は、第1の上部斜面502と、第2の上部斜面504と、第3の上部斜面506と、底面508と、および空気ベアリング面(ABS)とを有する書き込みポールチップ500を示す。図5の点線は、便宜上、書き込みポールチップ500の形状を示すために含まれる。第1の上部斜面502、第2の上部斜面504、および第3の上部斜面506は、ある角度(θ、θ、θ)で傾斜している。図5に示されるように、ABSに垂直な面に対し、第1の上部斜面の角度(θ)は、第2の上部斜面の角度(θ2)より大きく、第2の上部斜面の角度は、第3の上部斜面の角度(θ)よりも大きい。これにより、凸形状が形成される。パドル部510は、書き込みポールチップ500の端部に位置する。フロントシールド512は、書き込みポールチップ500に隣接し、書き込みポールチップ500の第1の上部斜面502、第2の上部斜面504、および第3の上部斜面506に対面して配置される。フロントシールド512は、高モーメント材料を含む種層514を有する。
【0016】
図5に示されるように、書き込みポールチップ500は、記録媒体516の上に浮遊する。記録媒体516が矢印の方向に進む時に、第1の上部斜面502、第2の上部斜面504、および第3の上部斜面506は、書き込みポールチップ500の前縁に位置し、底面508は、書き込みポールチップ500の後縁に位置する。ABSは、記録媒体516に面する。書き込みポールチップ500の近くに設けられる間隔層および絶縁層は、明瞭化のために省略される。
【0017】
上述の記載においては、本発明の様々な実施例の数多くの特徴や利点が、本発明の様々な実施例の構造や機能の詳細と共に記載されたが、詳細な記載は例示のみであり、細部についての変更は可能である。特に、添付の請求項に記載の用語の広い一般的な意味によって最大限に示される本発明の要旨内における部品の構造や配置についての変更が可能である。
【符号の説明】
【0018】
100 書き込みポールチップ、102 第1の上部斜面、104 第2の上部斜面、106 底部斜面、108 パドル部、110 フロントシールド、112 種層、114 記録媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6