(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5933404
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月8日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 15/00 20060101AFI20160526BHJP
B60C 15/04 20060101ALI20160526BHJP
B60C 15/05 20060101ALI20160526BHJP
【FI】
B60C15/00 D
B60C15/04 F
B60C15/00 E
B60C15/05
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-224402(P2012-224402)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-76700(P2014-76700A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝田 広一
【審査官】
増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−105806(JP,A)
【文献】
特開平6−156022(JP,A)
【文献】
特開2005−199775(JP,A)
【文献】
特開2004−130860(JP,A)
【文献】
特開平4−250029(JP,A)
【文献】
特開2006−273259(JP,A)
【文献】
特開2008−173938(JP,A)
【文献】
特開2000−301917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 15/00
B60C 15/04
B60C 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビード部に埋設されたビードコアと、前記ビードコアの回りでタイヤ軸方向外側から内側に巻き上げられたカーカスプライとを備える空気入りタイヤにおいて、
前記ビードコアの断面形状は、タイヤ径方向内側の底辺と、前記底辺とのなす角が90°以内であって前記底辺のタイヤ軸方向内側端からタイヤ径方向外側へ向かって延びるタイヤ軸方向内側辺とを有する多角形であり、
前記ビードコアは、前記タイヤ軸方向内側辺からタイヤ軸方向外側かつタイヤ径方向内側へ向かって延びる分割面によって、タイヤ径方向において内側コアと外側コアとに分割されており、
前記カーカスプライは、タイヤ赤道面から前記ビードコアに向かって延びる本体部と、前記ビードコアの回りで巻き上げられる巻き上げ部とで構成され、
前記巻き上げ部の巻き上げ端は、タイヤ軸方向内側から外側へ向かって前記内側コアと前記外側コアとの間に挟み込まれていることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記巻上げ端は、前記ビードコアの内部で終端していることを特徴する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記内側コアは、前記外側コアよりも断面積が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビード部に埋設されたビードコアと、ビードコアの回りでタイヤ軸方向外側から内側に巻き上げられたカーカスプライとを備える空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気入りタイヤにおいて、カーカスプライは、タイヤ赤道面からビードコアに向かって延び、ビードコアの回りでタイヤ軸方向内側から外側へ巻き上げられるように構成されている(例えば下記特許文献1、2)。
【0003】
これに対し、下記特許文献3には、操縦安定性の向上と耐久性の向上を目的として、カーカスプライがビードコアのタイヤ軸方向外側から内側に巻き返された空気入りタイヤが記載されている。この構成によれば、タイヤをリム組みしインフレートした状態において、カーカスプライに作用する張力によってビードコアを回転する力が発生する。この回転する力はビードトウ部をリムに押さえつける方向の力であるため、ビードトウ部がリムに対して浮き上がろうとするのを抑制でき、操縦安定性の向上を図ることができる。
【0004】
また、特許文献3の空気入りタイヤは、ビードコアがタイヤ軸方向において内側ビードコアと外側ビードコアとに分割されており、カーカスプライの端部は、ビードコアのタイヤ径方向の外側から内側へ向かって、内側ビードコアと外側ビードコアとの間に挟み込まれている。これにより、カーカスプライに張力が作用する場合にも、カーカスプライの端部でセパレートするのを抑制でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0005】
しかし、特許文献3の空気入りタイヤでは、ビードコアの断面が略六角形状となっているため、ビードコアの底面が狭く、内圧付与時にカーカスプライの張力によってビードトウ部に生じるモーメントによりビードコアが回転してしまうため、成型時よりカーカスプライがずれて、弛みを生じやすい。同様に、特許文献1及び2の空気入りタイヤも、内圧付与時にビードコアの回転が発生しやすく、カーカスプライがずれて弛みを生じやすい。ビードコアが回転すると、カーカスプライの端部において十分な係止力が得られないため、カーカスプライに十分な張力が発生せず、操縦安定性にも悪影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−40026号公報
【特許文献2】特開平6−156022号公報
【特許文献3】特開2006−273259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内圧付与時のビードコアの回転を抑制し、カーカスプライの端部に対して十分な係止力を与えることができるとともに、耐久性を向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明に係る空気入りタイヤは、ビード部に埋設されたビードコアと、前記ビードコアの回りでタイヤ軸方向外側から内側に巻き上げられたカーカスプライとを備える空気入りタイヤにおいて、
前記ビードコアの断面形状は、タイヤ径方向内側の底辺と、前記底辺とのなす角が90°以内であって前記底辺のタイヤ軸方向内側端からタイヤ径方向外側へ向かって延びるタイヤ軸方向内側辺とを有する多角形であり、
前記ビードコアは、前記タイヤ軸方向内側辺からタイヤ軸方向外側かつタイヤ径方向内側へ向かって延びる分割面によって、タイヤ径方向において内側コアと外側コアとに分割されており、
前記カーカスプライは、タイヤ赤道面から前記ビードコアに向かって延びる本体部と、前記ビードコアの回りで巻き上げられる巻き上げ部とで構成され、
前記巻き上げ部の巻き上げ端は、タイヤ軸方向内側から外側へ向かって前記内側コアと前記外側コアとの間に挟み込まれているものである。
【0009】
本発明のビードコアは、分割面によってタイヤ径方向において内側コアと外側コアとに分割されている。また、本発明のカーカスプライは、タイヤ赤道面からビードコアに向かって延び、外側コア及び内側コアのタイヤ軸方向外側、内側コアのタイヤ径方向内側、内側コアのタイヤ軸方向内側を通り、巻き上げ端が内側コアと外側コアとの間に挟み込まれている。巻き上げ端が内側コアと外側コアに挟み込まれていることで、巻き上げ端でのクラックの発生を抑え、空気入りタイヤの耐久性を向上させることができる。
【0010】
本発明では、内圧付与時のカーカスプライにおいて、本体部にはタイヤ径方向外側へ向かって張力が作用し、巻き上げ部にはタイヤ径方向内側へ向かって張力が作用する。本発明のビードコアは、断面形状が、タイヤ径方向内側の底辺と、底辺とのなす角が90°以内であって底辺のタイヤ軸方向内側端からタイヤ径方向外側へ向かって延びるタイヤ軸方向内側辺とを有する多角形であり、底辺と底辺とのなす角が鈍角であるタイヤ軸方向内側辺とを有する六角形のものに比べ、カーカスプライに張力が作用する際にも回転が起きにくく、カーカスプライに効果的に張力を作用させることができる。また、ビードコアを内側コアと外側コアとに分割する分割面は、ビードコアのタイヤ軸方向内側辺からタイヤ軸方向外側かつタイヤ径方向内側へ向かって延びているため、内側コアは、少なくともタイヤ軸方向内側辺の上部が鋭角となっている。内圧付与時、上述のように巻き上げ部にはタイヤ径方向内側へ向かって張力が作用するが、内側コアのタイヤ軸方向内側辺の上部は鋭角なので、巻き上げ部に対して十分な係止力を与えることができる。さらに、外側コアは内圧によりタイヤ径方向内側へ移動し、内側コアはカーカスプライに作用する張力によりタイヤ径方向外側へ移動しようとする。これにより、外側コアと内側コアとによって巻き上げ端が挟持されるため、巻き上げ部に対する係止力が効果的に高まる。よって、本発明の空気入りタイヤによれば、内圧付与時のビードコアの回転を抑制し、カーカスプライの端部に対して十分な係止力を与えることができるとともに、耐久性を向上させることができる。
【0011】
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記巻上げ端は、前記ビードコアの内部で終端していることが好ましい。この構成によれば、ビードコアのタイヤ軸方向外側辺付近では、内側コアと外側コアとの間にカーカスプライが存在しないため、ビードコアの構造が崩れにくく、カーカスプライの端部に対する係止力を高める上で有利となる。
【0012】
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記内側コアは、前記外側コアよりも断面積が大きいことが好ましい。この構成によれば、カーカスプライの巻き上げ部に対する係止力を効果的に高めることできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図
【
図3】本発明の別実施形態における空気入りタイヤの要部を示す断面図
【
図4】本発明の別実施形態における空気入りタイヤの要部を示す断面図
【
図5】本発明の別実施形態における空気入りタイヤの要部を示す断面図
【
図6】比較例における空気入りタイヤの要部を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る空気入りタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図である。
図2は、
図1の空気入りタイヤの要部を示す拡大図である。
【0015】
この空気入りタイヤTは、一対のビード部1と、ビード部1からタイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向外側端に連なって踏面を構成するトレッド部3とを備える。ビード部1には、ゴム被覆したビードワイヤを積層巻回した収束体よりなる環状のビードコア11が埋設され、そのビードコア11のタイヤ径方向外側にビードフィラー12が配置されている。
【0016】
本実施形態のビードコア11は、全体として断面四角形状をしている。ビードコア11は、分割面113によって、タイヤ径方向において内側コア111と外側コア112とに分割されている。分割面113は、ビードコア11のタイヤ軸方向内側辺11aからタイヤ軸方向外側かつタイヤ径方向内側へ向かって延びている。これにより、内側コア111は、タイヤ軸方向内側辺の上部が鋭角となっている。
【0017】
本実施形態の分割面113は、ビードコア11のタイヤ軸方向内側辺11aの上端から延びている。また、分割面113は、ビードコア11のタイヤ軸方向外側辺11bへ向かって平面状に延びている。そのため、本実施形態の外側コア112は断面三角形状となり、内側コア111は断面台形状となっている。
【0018】
内側コア111と外側コア112の断面積もしくはビードワイヤの本数は、同じであっても異なっていてもよい。ただし、後述するカーカスプライ4に対する係止力を高めるためには、内側コア111は、外側コア112よりも断面積が大きい、もしくはビードワイヤの本数が多いことが好ましい。
【0019】
ビードフィラー12は、ビードコア11のタイヤ径方向外端からタイヤ径方向外側に先細状に延びている。ビードフィラー12は、略三角形状の断面をしている。
【0020】
カーカスプライ4は、一対のビード部1に配設されたビードコア11間で延在しており、ビードフィラー12のタイヤ軸方向外側面を通りビードコア11の回りでタイヤ軸方向外側から内側に巻き上げられている。カーカスプライ4は、タイヤ赤道面Cからビードコア11に向かって延びる本体部41と、ビードコア11の回りで巻き上げられる巻き上げ部42とで構成されている。カーカスプライ4は、タイヤ周方向に対して略直交する方向に配列したプライコードを、トッピングゴムで被覆して形成されている。プライコードとしては、スチールコードや有機繊維コードが好適に使用される。
【0021】
本体部41は、タイヤ赤道面Cからビードフィラー12のタイヤ軸方向外側面を通ってビードコア11に向かって延び、内側コア111のタイヤ軸方向外側まで達している。巻き上げ部42は、内側コア111のタイヤ径方向内側、内側コア111のタイヤ軸方向内側を通り、巻き上げ部42の巻き上げ端42Eは、タイヤ軸方向内側から外側へ向かって内側コア111と外側コア112との間に挟み込まれている。巻き上げ端42Eが内側コア111と外側コア112に挟み込まれていることで、巻き上げ端42Eでのクラックの発生を抑え、空気入りタイヤTの耐久性を向上させることができる。
【0022】
内圧付与時のカーカスプライ4において、本体部41には、タイヤ径方向外側へ向かって張力T1が作用する。この張力T1により、内側コア111のタイヤ軸方向内側を通る巻き上げ部42には、タイヤ径方向内側へ向かって張力T2が作用する。また、張力T1により、ビードコア11のタイヤ軸方向内側辺11aの下端を中心に、ビードコア11を本体部41に張力T1が作用する方向に回転させるようなモーメントMが発生する。
【0023】
本発明のビードコア11の断面形状は、タイヤ径方向内側の底辺11cと、底辺11cとのなす角θが90°以内であって底辺11cのタイヤ軸方向内側端からタイヤ径方向外側へ向かって延びるタイヤ軸方向内側辺11aとを有する多角形となっている。本実施形態のビードコア11の断面形状は、底辺11cと、底辺11cとのなす角θが約90°であるタイヤ軸方向内側辺11aを有する四角形となっている。ビードコア11の断面形状が、底辺11cと、底辺11cとのなす角θが90°以内であるタイヤ軸方向内側辺11aとを有する多角形である場合、底辺と底辺とのなす角が鈍角(約120°)であるタイヤ軸方向内側辺とを有する六角形のものに比べ、カーカスプライ4に張力T1が作用してモーメントMが発生する際にも、ビードコア11の回転が起きにくく、カーカスプライ4に効果的に張力を作用させることができる。
【0024】
また、前述のように、内側コア111は、タイヤ軸方向内側辺の上部が鋭角となっている。内圧付与時、巻き上げ部42にはタイヤ径方向内側へ向かって張力T2が作用するが、内側コア111のタイヤ軸方向内側辺の上部は鋭角なので、巻き上げ部42に対して十分な係止力を与えることができる。さらに、外側コア112は内圧によりタイヤ径方向内側へ移動し、内側コア111は張力T1によりタイヤ径方向外側へ移動しようとする。これにより、外側コア112と内側コア111とによって巻き上げ端42Eが挟持されるため、巻き上げ部42に対する係止力が効果的に高まる。
【0025】
本実施形態の巻上げ端42Eは、ビードコア11の内部で終端している。すなわち、巻き上げ部42の巻き上げ端42Eは、ビードコア11のタイヤ軸方向外側辺11bに達していない。これにより、ビードコア11のタイヤ軸方向外側では、内側コア111と外側コア112との間にカーカスプライ4が存在しないため、ビードコア11の構造が崩れにくく、巻き上げ部42に対する係止力を高める上で有利となる。
【0026】
カーカスプライ4の内側には、空気入りタイヤTの内周面を構成するインナーライナーゴム5が設けられている。インナーライナーゴム5は、タイヤ内に充填された気体の透過を阻止する機能を有する。また、サイドウォール部2では、カーカスプライ4の外側に、空気入りタイヤTの外壁面を構成するサイドウォールゴム6が設けられている。また、サイドウォールゴム6のタイヤ径方向内側には、少なくともリムフランジに接触する部分にリムストリップゴムを設けてもよい。
【0027】
本発明の空気入りタイヤは、ビードコア11とカーカスプライ4を上記の如く構成すること以外は、通常の空気入りタイヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造、製法などが何れも本発明に採用することができる。
【0028】
<別実施形態>
(1)前述の実施形態では、ビードコア11の分割面113は、タイヤ軸方向内側辺11aからタイヤ軸方向外側辺11bへ向かって平面状に延びているが、必ずしも平面状である必要はない。例えば、
図3に示すように、分割面113は、タイヤ軸方向内側辺11aからタイヤ軸方向外側かつタイヤ径方向内側へ向かって延び、その後、向きを変えてタイヤ軸方向に平行に延びるようにしてもよい。
【0029】
(2)前述の実施形態では、ビードコア11の分割面113は、タイヤ軸方向内側辺11aから延びてタイヤ軸方向外側辺11bに達しているが、必ずしもタイヤ軸方向外側辺11bに達する必要はない。すなわち、
図4に示すように、分割面113がタイヤ軸方向外側辺11bに達しておらず、内側コア111と外側コア112の一部が一体となっていてもよい。
【0030】
(3)前述の実施形態では、巻き上げ端42Eがビードコア11の内部で終端するように構成しているが、
図5に示すように、巻き上げ端42Eは、ビードコア11のタイヤ軸方向外側辺11bまで達するようにしてもよい。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は、下記のようにして測定を行った。試験に供したタイヤのサイズは195/65R15であり、JATMA規定のリムサイズのリムに装着した。
【0032】
(1)耐久性能
JIS D4230に規定する方法に準拠してドラム耐久試験を行い、カーカスプライの巻上げ端でクラックの発生有無を判定した。表1の「○」は巻上げ端でクラックが発生せず、「△」は巻上げ端でクラックが発生したことを示す。
【0033】
(2)係止力
成型及び加硫時の内圧付与により、カーカスプライがビードコアから外れるか否かを判定した。表1の「○」はカーカスプライの外れが無く、「△」はカーカスプライの外れが発生したことを示す。
【0034】
(3)成型時のビードコア安定性
成型時の内圧付与により、カーカスプライの張力によってビードコアが回転するか否かを判定した。表1の「○」はビードコアの回転が無く、「△」はビードコアの回転が発生したことを示す。
【0035】
(4)操縦安定性
実車にテストタイヤを装着して走行させ、ドライバーの官能評価により10点満点における採点を行った。従来例を6として指数評価し、点数が多いほど操縦安定性に優れることを示す。
【0036】
実施例1
図1及び
図2に示す構造を有する空気入りタイヤを製造した。かかる空気入りタイヤを用いて、上記評価を行った結果を表1に示す。
【0037】
実施例2
図3に示す構造を有する空気入りタイヤを製造した。かかる空気入りタイヤを用いて、上記評価を行った結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
図4に示す構造を有する空気入りタイヤを製造した。かかる空気入りタイヤを用いて、上記評価を行った結果を表1に示す。
【0039】
従来例
カーカスプライをビードコアの回りで内側から外側に巻き上げた空気入りタイヤを製造した。ビードコアの断面形状は四角形とした。ビードコアは、内側コアと外側コアに分割されておらず、単一の構造とした。かかる空気入りタイヤを用いて、上記評価を行った結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
図6(a)に示すような、断面六角形状のビードコア13と、ビードコア13の回りでタイヤ軸方向外側から内側に巻き上げられたカーカスプライ4とを備え、ビードコア13はタイヤ軸方向において内側ビードコア131と外側ビードコア132とに分割されており、カーカスプライ4は、タイヤ赤道面からビードコア13に向かって延びる本体部41と、ビードコア13の回りで巻き上げられる巻き上げ部42とで構成され、巻き上げ部42の巻き上げ端42Eは、タイヤ径方向外側から内側へ向かって内側ビードコア131と外側ビードコア132との間に挟み込まれている空気入りタイヤを製造した。かかる空気入りタイヤを用いて、上記評価を行った結果を表1に示す。
【0041】
比較例2
図6(b)に示すような、断面六角形状のビードコア14と、ビードコア14の回りでタイヤ軸方向内側から外側に巻き上げられたカーカスプライ4とを備え、ビードコア14はタイヤ径方向において内側ビードコア141と外側ビードコア142とに分割されており、カーカスプライ4は、タイヤ赤道面からビードコア14に向かって延びる本体部41と、ビードコア14の回りで巻き上げられる巻き上げ部42とで構成され、巻き上げ部42の巻き上げ端42Eは、タイヤ軸方向外側から内側へ向かって内側ビードコア141と外側ビードコア142との間に挟み込まれている空気入りタイヤを製造した。かかる空気入りタイヤを用いて、上記評価を行った結果を表1に示す。
【0042】
比較例3
カーカスプライをビードコアの回りで外側から内側に巻き上げた空気入りタイヤを製造した。ビードコアの断面形状は四角形とした。ビードコアは、内側コアと外側コアに分割されておらず、単一の構造とした。かかる空気入りタイヤを用いて、上記評価を行った結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すとおり、実施例1〜3に係る空気入りタイヤは、従来例及び比較例1,2に比べ、成型時のビードコアの回転を抑制することができ、カーカスプライの端部に対して十分な係止力を与えることができるため、カーカスプライは高張力となり操縦安定性に優れる。さらに、実施例1〜3に係る空気入りタイヤは、カーカスプライの巻き上げ端が内側コアと外側コアとに挟み込まれているため、耐久性にも優れる。
【符号の説明】
【0045】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカスプライ
11 ビードコア
11a タイヤ軸方向内側辺
11b タイヤ軸方向外側辺
11c 底辺
12 ビードフィラー
41 本体部
42 巻き上げ部
42E 巻き上げ端
111 内側コア
112 外側コア
113 分割面
C タイヤ赤道面